JP3096233B2 - プローブ構造 - Google Patents

プローブ構造

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JP3096233B2
JP3096233B2 JP07260574A JP26057495A JP3096233B2 JP 3096233 B2 JP3096233 B2 JP 3096233B2 JP 07260574 A JP07260574 A JP 07260574A JP 26057495 A JP26057495 A JP 26057495A JP 3096233 B2 JP3096233 B2 JP 3096233B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、微細な被検査体に
対する電気的諸特性の測定、あるいは高温下で行われる
バーンインテスト等に有用なプローブ構造に関し、特に
被検査体との接点部がバンプであるものに関する。かか
る被検査体としては、半導体素子が形成されたダイシン
グ前のウエハもしくはダイシング後のベアダイ、また、
これら素子にほぼ同じサイズの基板が一体化された、い
わゆるチップサイズパッケージ、さらに、これらのパッ
ド上に板状もしくは半球状のハンダボールまたは金等か
らなるバンプ電極が形成されたものが例示される。
【0002】
【従来の技術】従来、ICチップの諸特性の検査は、I
Cをパッケージした後に行われていた。例えば、高温下
における特性検査であるバーンインテストでは、プリン
ト配線板上に配設されたICソケットにICパッケージ
を挿入し、高温下で負荷電圧をかけながらテストすると
いう方法が採られていた。
【0003】近年、多数の集積回路をウエハ上に形成し
た段階で結合した、チップオンボード、マルチチップモ
ジュール等の大規模な集積回路の開発が急速に伸びたた
め、個々のICに対するバーンインテスト等の諸特性の
検査は、パッケージ前の裸の状態、即ちICチップ(ダ
イレベル)、またはダイシング前のウエハレベルの段階
で行なうことが要求されている。
【0004】ダイレベルの段階においてテストを行うた
めの1つの方法として、回路形成されたICチップのパ
ッド上に板状または半球状の半田バンプを形成し、これ
をプリント配線板状に配置された接合部にハンダ付け
し、高温下で負荷電圧をかけながらテストをするという
方法が挙げられる。
【0005】上記のような微細な被検査体の電気的な特
性検査を行うために、プローブカードと呼ばれるものが
開発されている。これは、柔軟性を有する絶縁基板面上
に、被検査体の接触対象部分と当接する接点部(いわゆ
るバンプ)を有するものである(特開昭62−1826
72号公報等参照)。
【0006】このようなプローブカードでは、バンプ
は、接触抵抗が小さく、耐食性および耐磨耗性に優れた
ものであることが必要である。このため、従来のバンプ
の最外層には、接触抵抗が小さく耐食性にすぐれた金、
または約0.1%程度のニッケル、コバルトを金に添加
して耐磨耗性を向上させた硬質金が使われていた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、バンプ
の最外層に金または硬質金を用いた場合、これらは被検
査体の電極パッドとの接触によって容易に変形するの
で、導通不良や接触抵抗の変化等のトラブルが発生し、
繰り返しの検査に用いるにはプローブとしての信頼性は
低いものであった。また、該最外層の下地に卑金属を用
いた場合、最外層の金がつぶれて卑金属が露出し、その
部分から卑金属の酸化や腐食が生じるという問題があっ
た。
【0008】また、被検査体がICである場合、その電
極パッドの材料は主にアルミニウムであるが、バーンイ
ンテストのように熱履歴がある場合、アルミニウムがバ
ンプ表面の金に転写付着し、拡散して、接触抵抗が高く
なるという問題があった。また、軟質金に含まれる銅、
ニッケル等の卑金属は、高温時に表面まで拡散し、酸化
して、接触抵抗が高くなるという問題があった。
【0009】さらに、上述のように、ICチップのパッ
ド上に板状または半球状の半田バンプを形成して利用す
るようなテスト方法においては、テスト終了後、温度を
かけて半田バンプの半田を溶融させてICチップを取り
外すので、ICチップのパッド上に形成されたバンプの
大きさ体積、形状等がまちまちになり、再度、半田バン
プを形成し直す必要があった。また、ICを剥がした後
のプリント配線板上の接合部にも半田が残っているの
で、毎回検査を行う毎に掃除をしなければならないとい
う問題があった。
【0010】こうした問題は、ベアチップウエハだけで
なく、ICチップをチップと同サイズの基板と一体化し
たチップサイズパッケージにおいても指摘されるもので
ある。
【0011】本発明は、上記従来の問題点を解決し、ウ
エハ、IC、半導体素子、さらにはチップサイズパッケ
ージ等の微細な被検査体の電気的テスト、特にバーンイ
ンテストにおいて、低くかつ安定した接触抵抗を維持す
ることを目的とする。また、被検査体に半田バンプを形
成して利用するようなテスト方法においては、検査後の
被検査体の半田成分がプローブ構造の当接部に付着する
ことがなく、換言すると、被検査体の半田バンプの体積
の減少を防ぐことを目的とする。さらに、被検査体との
接触開閉の繰り返しに対しても、初期の接触状態からの
劣化が少なく、信頼性の高いテストを行うことを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次に示す本
発明のプローブ構造によって達成される。 (1)絶縁性基板の一方の面側に導電性の接点部が形成
され、絶縁性基板の他方の面側に導電性回路が形成さ
れ、接点部と導電性回路とが、絶縁性基板の厚み方向の
貫通孔内に形成された導通路を介して導通され、接点部
が、銅、ニッケル、ニッケル・パラジウム合金、または
導電性回路の材料が銅である場合のニッケル合金を材料
とする深層と、金、パラジウム、銀、インジウム、また
は白金を材料とする中層と、ロジウム、ルテニウム、コ
バルト−タングステン合金、クロム、鉄−タングステン
合金、クロム−モリブデン合金、ロジウム合金、ルテニ
ウム合金、またはロジウム−ルテニウム合金を材料とす
表層とを順次積層した構造を有し、接点部における表
層の引っ張り応力が50kg/mm 2 以下であることを
特徴とするプローブ構造 (2)絶縁性基板の一方の面側に導電性の接点部が形成
され、絶縁性基板の他方の面側に導電性回路が形成さ
れ、接点部と導電性回路とが、絶縁性基板の厚み方向の
貫通孔内に形成された導通路を介して導通され、接点部
が、銅、ニッケル、ニッケル・パラジウム合金、または
導電性回路の材料が銅である場合のニッケル合金を材料
とする深層と、金、パラジウム、銀、インジウム、また
は白金を材料とする中層と、ロジウムを材料とする表層
とを順次積層した構造を有し、表層の引っ張り応力が5
0kg/mm 2 以下であることを特徴とするプローブ構
造。(3) 接点部における表層がロジウム層、中層が金層、
深層がニッケル層または層である上記(1)または
(2)記載のプローブ構造。(4) 接点部における中層の厚みが0.01μm以上
μm以下、表層の厚みが0.5μm以上10μm以下
ある上記(1)〜(3)いずれか記載のプローブ構造 (5)接点部における表層、中層および深層の少なくと
も一つがメッキで形成されたものである上記(1)〜
(4)いずれか記載のプローブ構造。
【0013】
【作用】本発明のプローブ構造は、上記のように、導電
性の接点部が深層・中層・表層の三層を有するものであ
り、各層の作用および構造全体の作用は以下の通りであ
る。
【0014】深層は、公知のバンプ接点と同様、電気信
号の導通路となり、かつ接点部の土台または中心部のコ
アとなって接点部の強度を支える。中層は、表層に加え
られた接触圧によって接点部内に生じる応力を吸収し緩
和する。また、表層の下地として、表層と深層とをよく
密着させる作用を有することによって、さらに好ましい
ものとなる。表層は、磨耗・損傷に強い層である。耐食
性を有し、被検査体からの他の金属の転写・拡散を抑制
しうる性質を有することによって、接触抵抗を低い状態
に維持することができ、さらに好ましいものとなる。
【0015】また、半田バンプを形成して利用するよう
なテスト方法においては、表層に耐触性を付与すること
によって、被検査体の半田バンプがプローブのバンプと
の接触部分に対して転写および拡散することが抑制さ
れ、検査後の被検査体の半田バンプの体積は減少し難
く、好ましいものとなる。また、これら3層の組み合わ
せ構造によって、各層の材料の欠点が互いに補われ、繰
り返しの接触開閉に対して劣化の少ない接点部が構成さ
れる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明のプローブ構造を図
面に基づいてさらに詳細に説明する。図1は本発明のプ
ローブ構造の一例を示す断面図である。同図に示すよう
に、該プローブ構造は、絶縁性基板1の一方の面側1a
に接点部2が形成され、該絶縁性基板1の他方の面側1
bに導電性回路3が形成され、接点部2と導電性回路3
とが、該絶縁性基板1の厚み方向に設けられた貫通孔4
の内部に形成された導通路5を介して導通される構造で
あって、さらに、接点部2が、各硬度・性質が以下に説
明するものであるような、深層2c・中層2b・表層2
aを有するものである。ただし、同図は、接点部2と導
通路5とが同じ材料で一体的に形成された場合の例を示
す図である。
【0017】絶縁性基板1の材料としては、絶縁性を有
するものであれば特に限定されないが、絶縁性と共に可
撓性を有するものが好ましく、ポリエステル系樹脂、エ
ポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、
ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系
樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(AB
S)共重合体樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シリコー
ン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱硬化性樹脂および熱可塑
性樹脂が挙げられる。これらのうち、耐熱性および機械
的強度に優れ、また被検査体の線膨張率と合致させられ
る等の点から、ポリイミド系樹脂が特に好適に使用され
る。
【0018】絶縁性基板1の厚さは、特に限定されない
が、十分な機械的強度や可撓性を有するようにするた
め、2〜500μm、好ましくは5〜150μm、さら
に好ましくは8〜150μm、最も好ましくは10〜1
50μmに設定するのがよい。
【0019】導電性回路3は、導体・半導体によって形
成された回路パターンの他に、接点部、コイル、抵抗
体、コンデンサ等の回路を構成する要素を包含する。導
電性回路3の材料としては導体・半導体を問わず導電性
を有するものであれば特に限定されないが、公知の良導
体金属が好ましい。例えば、金、銀、銅、白金、鉛、
錫、ニッケル、コバルト、インジウム、ロジウム、クロ
ム、タングステン、ルテニウム等の単独金属、およびこ
れら単独金属を成分とする各種合金、例えば、半田、ニ
ッケル−錫、金−コバルト等が挙げられる。導電性回路
3の厚さは特に限定されないが、電路としての抵抗値を
小さくする点から1μm以上が好ましく、化学エッチン
グ等による加工性の点から200μm以下が好ましい。
これらの範囲内では特に5〜50μmに設定するのが良
い。
【0020】導電性回路3の形成方法としては、絶縁性
基板1上へ目的の回路パターンを直接描画・形成する方
法(アディティブ法)と、目的の回路パターンを残すよ
うに他の導体部分を除去して形成する方法(サブトラク
ティブ法)とが挙げられる。前者の方法としては、スパ
ッタリング、各種蒸着、各種メッキ等の成膜方法を用い
た回路パターンの描画が挙げられる。また、後者の方法
としては、絶縁性基板1上へ導体層を形成し、該導体層
上に目的の回路パターン形状だけを被覆するようにレジ
スト層を形成した後、露出している導体層をエッチング
して、所望の回路パターンを得る方法が挙げられる。
【0021】貫通孔4は接点部2と導電性回路3との導
通路5となり、隣合う貫通孔同士がつながらない範囲内
で、孔径をできる限り大きくし、また、孔間ピッチをで
きる限り小さくして、単位面積当たりの該貫通孔の数を
増やすことが、導通路5としての電気抵抗を小さくする
上で好ましい。貫通孔4の孔径は、5〜200μm、好
ましくは8〜50μm程度が良い。貫通孔4の形成方法
は、パンチング等の機械的穿孔方法、プラズマ加工、レ
ーザー加工、フォトリソグラフィー加工、または絶縁性
基板1と耐薬品性の異なるレジスト等を用いた化学エッ
チング等が例示される。また、レーザー加工は該貫通孔
4を任意の孔径や孔間ピッチにて微細加工が可能であ
り、接点部2のファインピッチ化に対応することができ
る方法である。なかでもパルス数またはエネルギー量を
制御したエキシマレーザー、炭酸ガスレーザ、YAGレ
ーザの照射による穿孔加工は高精度で好ましい。
【0022】また、貫通孔4は、絶縁性基板1の面に対
して垂直に形成されるだけでなく、図2に示すように、
絶縁性基板1の面に対して所定の角度を成すように形成
されることによって、被検査体に与える圧力が分解さ
れ、被検査体の導体部分に対する損傷を防止できる。
【0023】導通路5は、貫通孔4内に形成されて接点
部2と導電性回路3とを接続しうるものであればよく、
貫通孔4内に導電性物質を充填してなるもの、スルーホ
ールメッキのように貫通孔4の壁面全周に導電性物質の
層を形成してなるもの等が例示される。導通路5の形成
方法としては、機械的に導電性物質を貫通孔4内にはめ
込む方法、CVD法等の成膜法、電解メッキや無電解メ
ッキ等のメッキ法等が挙げられるが、導電性回路3を電
極とした電解メッキによる方法が簡便であり好ましい。
【0024】接点部2は、被検査体との電気的な接触・
接続を意図して絶縁性基板1の面上に設けられる導体部
分である。接点部2全体としての態様は、絶縁性基板1
面からの突出の有無を問わず、また、接点部2上面の接
触面の形状は、接触する相手の突起状態に応じて、凸
状、平面状、凹状のいずれであってもよい。従って、基
板1面に対する垂直面・平行面で切断したときの接点部
2の断面形状は限定されるものではなく、全ての多角
形、円形、楕円形、これら各形状の一部分または複合形
等が挙げられ、これら断面形状の組み合わせによって、
接点部2の形状は、多角柱・円柱の端部または側面、円
錐(台)・角錐(台)、球体の一部等、あらゆる立体的
形状が可能となる。これによって、被検査体との接触
は、点接触、線接触、面接触等となる。
【0025】接点部2の絶縁性基板1面からの高さは特
に限定されるものではないが、IC等の微細な被検査体
に対しては0.1μm〜数百μm程度であることが好ま
しい。被検査体の一パッド当たりの接点数に関して、1
または2以上設けることができ、特に限定されるもので
ない。
【0026】接点部2は深層2c、中層2b、表層2a
の三層を有する。また、深層2cと導通路5とは、同一
材料で一体的に形成されるものであってよい。深層2c
材料としては、公知のバンプに用いられる安価な良導
体金属が好ましいものであり、銅、ニッケル、ニッケル
・パラジウム合金等が例示される。
【0027】このような材料は、硬度が100〜700
Hk(100Hk以上700Hk以下を示す、以下同
様)である。ただし、Hkはヌープ硬さ数(ヌープ硬
度)の単位である。材料が、硬度100Hk未満では、
接点部2が接触対象物に当接して、圧力がかけられた際
に接点部2の変形が生じ易くなり、硬度700Hkを上
回るとクラックが発生し易くなる。また硬度の上昇に伴
って、電気抵抗が大きくなり、電気的信頼性が低下する
ので、硬度は可及的に小さくするのが望ましい。深層2
cの硬度のさらに好ましい範囲は、150〜600H
k、実用的には150〜250Hkである。
【0028】また、深層2cと導通路5とは、同一材料
で一体的に形成されて導電性回路3と接続される場合が
多い。このような場合、深層2cを形成する材料は、導
電性回路3を形成する材料に対して、結晶学的に整合性
を有し、密着が良く、拡散しにくいものであることが好
ましい。例えば、導電性回路3の材料が銅である場合、
これに対する深層2cの材料は、銅、ニッケル、ニッケ
ル合金が好ましい組み合わせとなる。硬度の調整方法
は、絶縁性基板1に対して熱によるダメージを与えない
点から、合金化または有機物の添加によって調整するこ
とが好ましい。
【0029】中層2bの材料としては、例えば、金、パ
ラジウム、銀、インジウム、白金等が挙げられる。ま
た、深層2c、表層2aとの密着性にすぐれ、表面に露
出しても耐食性を有する金属がより好ましく、特に、深
層がニッケル、表層2aがロジウムである場合には、中
層2bには金が最も好ましい材料となる。このような材
料は、硬度が10〜300Hkである。材料が、硬度1
0Hk未満では変形し易く、300Hkを上回るとクッ
ション性に乏しくなる。中層2bの硬度の好ましい範囲
は50〜200Hk、特に50〜150Hk、さらに5
0〜100Hkである。
【0030】中層2bの厚さは0.01〜3μm、好ま
しくは0.1〜1μmが良い。0.01μm未満ではク
ッション効果が弱く、3μmを上回ると圧力をかけた際
の変形量が大きくなるので表層2aの金属が割れ易い。
【0031】表層2aの材料としては、ロジウム、ルテ
ニウム、コバルト−タングステン合金、クロム、鉄−タ
ングステン合金、クロム−モリブデン合金等の硬質の金
属が挙げられる。特に、耐食性を有し、接触対象物から
転移する金属の拡散を防止するバリアとしての性質を有
する材料であることがより好ましく、ロジウム、ルテニ
ウム等の貴金属が例示される。
【0032】表層2aに上記貴金属を用いる場合、該貴
金属は、単一金属、合金のいずれでも良い卑金属が表
面に拡散し酸化されることによる接触抵抗の増大や、有
機不純物による内部応力の増大、クラックの発生等を抑
制するためにも、99%以上が白金族であることが好ま
しい。なお、合金の場合、耐食性を有し、拡散しにくい
貴金属の組合せが好ましく、ロジウムとルテニウムとの
組み合わせ等が例示される。このような材料は、硬度が
700〜1200Hkである。材料が、硬度700Hk
未満では被検査体の導体との接触の際に表層2aがダメ
ージを受け易く、1200Hkを上回るとクラックが発
生し易くなる。表層2aの硬度の好ましい範囲は、80
0〜1100Hkであり、特に好ましくは900〜10
00Hkである。
【0033】被検査体のパッド部のアルミニウム、Sn
Pb半田等の金属に対し、拡散しにくいロジウム等を表
層2aの材料として用いた場合でも、バーインテスト等
の電気抵抗試験を行うと物理的に転写することがある。
被検査体のICを検査毎に交換し、繰り返し試験を行う
場合に顕著である。
【0034】転写したアルミニウムや半田は酸化膜を形
成し、接触抵抗が高くなるので、電気的信頼性に劣る。
繰り返し電気抵抗試験を安定化させるためには、1回の
試験終了後、接点部2に転写したアルミニウムや半田を
選択的にエッチング除去することが好ましい。除去方法
としては、アルゴンプラズマ等のドライエッチング、ま
たは下地金属を浸食させないエッチング液で電気的、化
学的に処理するウエットエッチングがあり、下地金属を
浸さないためには、アルカリ性エッチング液を用いるこ
とが好ましい。ウエットエッチングの具体例を下記に示
す。
【0035】例1 アルミニウムのパッドに対するウエ
ットエッチング <浸せきタイプ> 無水炭酸ナトリウム 23g/L リン酸ナトリウム 23g/L 界面活性剤 2g/L 70〜80℃ <電解タイプ> 水酸化ナトリウム 25g/L 無水炭酸ナトリウム 25g/L グルコン酸ナトリウム 10g/L EDTA 5g/L 38〜50℃、電流密度:8〜10A/dm2
【0036】例2 SnPb半田のパッドに対するウエ
ットエッチング <浸せきタイプ> 30%過酸化水素 40ml/L ほうふっ化水素酸(HBF4 ,テトラフルオロホウ酸)
150ml/L 室温 <電解タイプ> 水酸化ナトリウム 65g/L グルコン酸ナトリウム 15g/L 50〜60℃、電圧:2〜4v
【0037】表層2aの厚さは0.5〜10μm、好ま
しくは1〜5μm、特に好ましくは2〜3μmが良い。
表層2aの厚さが、0.5μm未満ではピンホールが発
生し易く、10μmを上回るとクラックが発生し易くな
る。
【0038】接点部2の形成方法、即ち、各層2a,2
b,2cの積層方法は、各層2a〜2cの構成金属の金
属箔を相互に圧接させる圧接法、イオンプレーティン
グ、イオンスパッタリング、CVD法等の成膜法、電解
メッキや無電解メッキ等のメッキ法等が挙げられる。こ
れらの形成方法のなかでも特に、導通路5を電極とした
電解メッキによる方法が簡便であり、また品質面でも金
属純度、硬度および外観寸法がコントロールでき、バラ
ツキを少なく制御できるので好ましい。
【0039】接点部2をメッキ法によって形成する場
合、メッキ液を確実に貫通孔4内に充填させるため、メ
タノール置換やプラズマによる表面改質等の濡れ性向上
処理を施すことが好ましい。また、コアの金属を形成す
る際に、被メッキ表面積に応じた電流をリニアに供給
し、一定の電流密度を維持することによって、コアの内
部応力を均一にでき、クラックを防止することができ
る。特に、表層2aの材料を上記白金族とし、これをメ
ッキで形成する場合、メッキ液中において被メッキ物を
左右に揺動することにより、被メッキ物に対するメッキ
液の流れ方向および流速が均一となり、各接点部2にお
ける表層2aの析出効率が均一になり、結果的に表層2
aの厚みが均一となる。さらに、メッキ法によって形成
する場合、特にロジウムメッキでは、メッキ液の組成や
操作条件を制御して、表層2aの引っ張り応力を50k
g/mm2 以下に保つことが好ましい。50kg/mm
2 を越えるとメッキ皮膜にクラックが生じ易く、好まし
くない。
【0040】メッキ液の組成中における有機不純物をク
ロロホルム抽出で50mg/L以下に維持すれば、引っ
張り応力を50kg/mm2 以下に維持でき、クラック
の発生が抑えられるので好ましい。但し、50mg/L
を越えた場合でも、活性炭処理等により有機物を除去す
れば再生できる。
【0041】また、他の被検査体によっては、図3に模
式的に示すように、深層2c上に複数の微小なバンプ2
dを有する例が好ましい接点部2の形状の一態様として
挙げられる。該微小なバンプ2dが形成された深層2c
上に中層2b・表層2aを順次形成し、接点部2の表面
を凹凸にすることによって、接点部2の接触の際に被検
査体の導体表面上に形成された酸化物層や異物等の絶縁
層が破壊され、接触の信頼性が改善される。
【0042】上記微小なバンプ2dの形成方法の一例と
して、深層2cを形成した後、メッキ浴中に、微小なバ
ンプ2dの核となる金属粉末2eを分散させて電解メッ
キすることが挙げられる。該金属粉末2eの粒径は、深
層2cの径の1/200〜1/10が良い。また、コバ
ルト等の磁性を有する金属粉末2eを用い、メッキ浴中
に1〜15キロガウス程度の磁場をかけ電解メッキする
ことで、該金属粉末2eを深層2cの表面に均一に施す
ことができる。
【0043】また深層2cを形成した後、メッキ条件に
よって結晶状態を制御して、接点部2に突起を形成する
方法もある。この操作は深層2c、中層2bまたは表層
2a上のいずれで行なっても良いが、図4に示すよう
に、表層2a上で行えばより鋭利な先端を有する突起2
fを形成することができる。鋭利な突起は、電流密度を
上げたり、金属濃度を低下させたり、攪拌を弱めたり等
の操作で、限界電流密度の付近でメッキして形成するこ
とができる。その他、結晶粒径の調整には、有機、無機
の添加剤の添加量を増減する操作、電流供給にパルスま
たは反転電流を用いる方法等が採用される。
【0044】表層2a上の微細な突起の形状は特に限定
されないが、被検査体のパッド部のアルミニウム層上に
100Å程度の厚さの酸化膜が形成されている場合に
は、先端が尖っている方が好ましい。突起の断面形状
は、その最大値寸法が底辺0.1〜2.0μmに対し、
高さ0.1〜0.8μmの三角形が好ましい。底辺0.
1μmより小さいと支持強度が弱くなり、底辺2.0μ
mより大きいと突起先端が鈍角となり酸化膜を突き破り
にくくなる。また高さ0.1μmより小さいと酸化膜を
十分に除去して酸化膜下の金属層に到達できず接触抵抗
は大きくなり、高さ0.8μmより大きいとアルミニウ
ム等の金属層を突き破り、検査後に行なう被検査体の実
装で接続不良が生じたり、接続後の電気的信頼性が落ち
る。
【0045】突起をメッキで形成して積層する方法以外
に、ウエットまたはドライエッチングにより一度形成し
た金属層を研磨する方法、微細な凹凸を有する型を用い
てプレスする方法、同様な型のノズルをスポット的にボ
ンダー等で圧力をかけて、機械的に金属を変形させる方
法もある。この機械的な変形は、表層2aで行うとクラ
ックが入り好ましくないので、中層2b上または比較的
硬度の低い深層2c上で行うのことによって、成形が容
易となり、またクラックが入らず好ましい。
【0046】本発明のプローブ構造は単独でもプローブ
としての機能を有するが、以下に示すように、多層配線
板との接合によって高機能なプローブカードを構成す
る。図5は、該プローブカードの構造の一例を模式的に
示す図である。同図に示すように、該プローブカード
は、本発明のプローブ構造Aと多層配線板Bとが機械
的、電気的に接合されてなるものであり、該プローブ構
造Aは、多層配線板Bに対してストローク動作が可能な
ように該多層配線板B上に弾性体6を介して接合され、
プローブ構造Aの導電性回路3と多層配線板Bの導電性
回路7とが、上記ストローク動作を妨げないように接合
されてなるものである。
【0047】同図では、導電性回路3と導電性回路7と
の接続は、導電性回路3が延長されて絶縁性基板1の端
部から突き出し、多層配線板Bの表面までなだらかに屈
曲し、多層配線板Bの表面に設けられた端子8に接合さ
れることで行われている。該端子8は、プローブ構造A
の導通路と同様の構造によって多層配線板Bの下層に設
けられた導電性回路7と導通し、外部の接続用機器等に
接続される。
【0048】多層配線板Bは、導電性回路7と絶縁層9
とを交互に積層し、本発明のプローブ構造の導通路と同
様の構造によって、異層の回路間を接続したものであ
る。また、多層配線板Bは、マルチチップモジュール
(MCM)基板の技術を応用することによって製造で
き、種類としては主にMCM−D、C、Lの3種類が挙
げられる。
【0049】多層配線板Bの導電性回路7内に抵抗体
(図示せず)を直列に挿入することによって、被検査体
に負荷電圧を印加でき、さらに被検査体の回路の短絡に
よる過電流を防止できる。また、該抵抗体に対して、コ
ンデンサ(図示せず)を並列に接続することによってノ
イズを低減できる。
【0050】弾性体6は、プローブ構造を被検査体に接
触させる際に、プローブ構造と被検査体との間に生じる
距離の誤差を吸収しうるものであればよく、シリコーン
ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等のポリマー弾性体が
好ましく使用される。
【0051】多層配線板B上への弾性体6の形成方法と
しては、シート状の弾性体6を裁断し貼付する方法、ス
クリーン印刷法、フォトリソグラフ法等により直接形成
する方法等が挙げられる。
【0052】弾性体6の厚みは、ICのパッド等の微細
な導体部分を接触対象とする場合には、被検査体の端子
の高さのバラツキを吸収して、被検査体の導体部分とプ
ローブ構造の接点部2との電気的接続をより確実なもの
とするため、5〜1000μm、好ましくは20〜50
0μmがよい。
【0053】外部の接続用機器は、テスターのような独
立した検査装置だけではなく、例えば、被検査体と回路
配線との間のインピーダンス整合に用いられるデバイス
や、後工程において製品として接続されるような他のI
Cであってもよい。
【0054】本発明のプローブ構造は、リジッド基板と
一体化することによって、フレキシブルな構造が堅固な
ものとなり、より取り扱い易くなる。図6,7は、リジ
ッド基板が一体化されたプローブ構造の例を示す断面図
である。図6に示されるプローブ構造は、基本的に図1
に示されるプローブ構造と同様であるが、絶縁性基板1
の接点部2側の外周縁部に、リジッド基板10が形成さ
れている。また図7に示されるプローブ構造において
は、導電性回路3がポリイミド等からなる絶縁層11に
覆われており、接点部2の近傍領域を除いた絶縁層11
上にリジッド基板10が形成されている。このようにリ
ジッド基板10は、フレキシブルなプローブ構造の外周
縁部に一体的に形成できるものであればよく、実使用上
ではどのような外形であってもよい。
【0055】リジッド基板10の材料としては、ガラス
エポキシ基板、BTレジン等の樹脂基板、アルミナ,窒
化珪素等のセラミック類および42アロイ等の合金類を
含む無機系基板が挙げられる。特に、線膨張係数を低く
抑える目的には、後者の無機系基板を用いることが好ま
しい。例えば、プローブ構造の絶縁層11の全面に、ま
たは図7に示されるように、接点部2の近傍部分のみを
除外した領域に、上記無機系基板を貼り付けるか、ある
いはプローブ構造の外周縁部のみに上記リジッド基板1
0を一体化し、一体化された状態で加熱等によって故意
にプローブ構造に収縮応力を発生させる。かかるプロー
ブ構造においては、バーンインサイクル過程における温
度範囲中で基板拡張方向(外方向)への張力が常に発生
するように設定でき、見かけ上の線膨張係数を小さくす
ることができる。
【0056】図7に示されるプローブ構造の場合、リジ
ッド基板10を絶縁層11の全面に貼り付けた後に、接
点部2の近傍部分をエッチング等により除去して形成し
てもよい。このようにして基板の接点部2近傍部に開口
を形成することにより、加圧時に適度なクッション性を
発現し、接触信頼性を向上させる。
【0057】また、リジッド基板10の線膨張係数は、
目的に応じて被検査体の線膨張係数と等しい値、または
異なる値となるように設定してよい。さらに、リジッド
基板10として線膨張係数が1〜8ppmのものを使っ
て、プローブ構造と一体化することによって、得られる
プローブ構造を低線膨張化できる。かかるプローブ構造
によれば、プローブ構造と被検査体であるベアダイまた
はウエハとの線膨張係数のミスマッチによるアライメン
ト不良および電極ダメージ等の問題を回避できるように
なり、信頼性が大幅に向上する。
【0058】
【実施例】以下、本発明のプローブ構造のより具体的な
実施例を示す。 実施例1 <絶縁性基板と導電性回路の形成>厚さ35μmの銅箔
上に、ポリイミド前駆体溶液を乾燥後の厚さが25μm
となるように塗工し、乾燥、硬化させ、銅箔と絶縁性基
板であるポリイミドフィルムとの2層フィルムを作製し
た。次に、銅箔の表面に回路パターン状にレジスト層を
形成した後、フォト工程を用いて、所望の回路パターン
を有する導電性回路を形成した。この回路パターン側
に、さらにポリイミド前駆体溶液を乾燥後の厚さが10
μmとなるように塗工、乾燥、硬化させてカバーコート
を形成した。
【0059】<導通路と深層の形成>上記ポリイミドフ
ィルムの導電性回路の真裏に当たる位置に、ポリイミド
フィルム面に垂直に、発振波長248nmのKrFエキ
シマレーザー光をマスクを通して照射してドライエッチ
ングを施し、ポリイミドフィルムにφ60μmの微細貫
通孔を形成し、導電性回路を該貫通孔内に露出させた。
【0060】<導電性回路側のレジスト保護>塩化ビニ
ル系レジストを75メッシュで印刷して塗工し、170
℃20分間乾燥させた。
【0061】<貫通孔内の前処理>濡れ性を付与するた
めに、貫通孔内に紫外線を10分間照射した。エキシマ
レーザーによるポリイミド分解物を除去するために、下
記のデスミヤ処理を行なった〔過マンガン酸塩酸化剤,
75℃,3分間,浸せき、硫酸系還元剤,50℃,1分
間,浸せき〕。 また、過硫酸ナトリウム系のソフトエッチング液を25
℃,1分間,超音波40kHz処理により、貫通孔内銅
上の分解物を除去した。
【0062】<深層の形成>ワット浴系ニッケルメッキ
(組成:硫酸ニッケル300g/L、塩化ニッケル65
g/L、ほう酸45g/L)を用いて、成長するメッキ
面積に応じて実電流を変化させながら、60℃,5A/
dm2 ,39分間処理して、ポリイミドフィルム表面
(貫通孔の開口端部)から13μm突出させて、深層を
形成した。なお、メッキ成長工程において間欠エアー攪
拌(5分間停止、20秒間駆動)を行なった。深層の硬
度は250Hkであった。
【0063】<中層の形成>シアン系金メッキを用い
て、実電流を一定とし、67℃,0.6A/dm2 ,9
0秒間処理して、深層上に0.5μmの中層を積層し
た。なお、メッキ浴中の垂直噴流を40L/分とし、被
メッキ物の揺動を3m/分とした。中層の硬度は100
Hkであった。
【0064】<表層の形成>硫酸系ロジウムメッキを用
いて、実電流を一定とし、50℃,1.9A/dm 2
6分間処理して、中層上に2μmの表層を積層した。な
お、メッキ浴中の液循環を2L/分とし、被メッキ物の
揺動を1m/分とした。表層の硬度は850Hkであっ
た。また、表層のスパイラル応力計での引っ張り応力は
46kg/mm2 であった。
【0065】<導電性回路側のレジスト剥離>導電性回
路の表面側に施したレジスト層を剥離して、接点部がマ
ッシュルーム型のバンプであるプローブを得た。
【0066】<電気抵抗試験>得られたプローブの接触
抵抗値を調べるために、電気回路を有するテスターにて
測定電流1mAを流して、電気抵抗試験を行った。図8
は、その測定概念図であり、プローブ構造12のポリイ
ミドフィルム1表面からの高さが15±2μmの接点部
2を、図9に示すIC13のアルミニウム電極に当接さ
せ、荷重に対応する二点間の接触抵抗を調べた。さらに
具体的に説明すれば、図10の接触概念図に示すよう
に、プローブ構造12はキャリア14内に配置され、I
C13は押さえ板15を介して加圧され、各接点部2と
IC13の各電極との接触を均等なものとすべく、コン
プライアンス材15が接点部2よりも加圧方向側に配設
されている。
【0067】荷重の変化による接触抵抗値の結果は、図
11のグラフに示されるようになり、バラツキはあるも
のの、いずれも2000mΩ以下となった。さらに荷重
37g/バンプの状態で25℃,30分間−150℃,
20分間のヒートサイクルテストを102回行なった結
果、図12に示すグラフのように、抵抗値2000mΩ
を越えるバンプ(接点部)が発生した。しかしヒートサ
イクルテスト後の表層ロジウムは傷、クラック、腐食は
見られず、さらにICのアルミニウムの転写や拡散によ
る付着も見られなかった。なお、図11において「c
h.」は測定を行なった特定のバンプを示す(以下同
様)。
【0068】比較例1 実施例1において、表層ロジウムの形成を省略し、深層
形成後に中層形成と同様の操作を6分間行なって、ニッ
ケル深層上に2μmの金層を積層した金プローブを得
た。表面の金層の硬度は100Hkであった。実施例1
と同様にICのアルミニウム電極に接点部を当接させ、
テスターにて測定電流100mAを流して電気抵抗試験
を行った。なお、試験条件は荷重37g/バンプ,15
0℃雰囲気下で1002時間測定を行った。
【0069】その結果、図13のグラフに示されるよう
に、金プローブは、実施例1のロジウムプローブに比べ
て、接触抵抗値が150mΩ程度高くなり、また金プロ
ーブでは表面にアルミニウムの転写が認められた。
【0070】銅層(35μm)/ポリイミド層(25μ
m)で構成される二層基材の銅面上に半田(Sn:Pb
=6:4)メッキを15μm施した面に、上記ロジウム
プローブおよび金プローブの各接点部を当接させ、テス
ターにて測定電流100mAを流して電気抵抗試験を行
なった。いずれのプローブとも初期評価では荷重37g
/バンプで1Ωの抵抗値を得た。さらに、25℃,30
分間−150℃,20分間のヒートサイクルテストを行
ったところ、金プローブでは2回目で半田が表面に転写
したが、ロジウムプローブでは50回行っても半田が転
写することなく、抵抗値も1Ωで安定していた。
【0071】実施例2,3 実施例1の深層形成を下記の表1の銅メッキ工程と組成
に代えて、深層のマッシュルーム型バンプを形成し、さ
らに表2(実施例2)または表3(実施例3)の操作条
件で銅メッキを施して、深層と中層との間に凸凹層を設
けた。
【0072】
【表1】
【0073】
【表2】
【0074】
【表3】
【0075】実施例1の深層形成を表1および表2の工
程と組成に代えて凸凹深層を形成した後、実施例1と同
様に中層の金0.5μmと表層のロジウム2μmとを積
層して、表面に直径2μm程度の球状粒が形成された高
電流密度凸凹プローブを得た(実施例2)。また、実施
例1の深層形成を表1および表3の工程と組成に代え
て、同様の操作により表面に直径0.5μm程度の球状
粒が形成された高塩素イオン凸凹プローブを得た(実施
例3)。
【0076】実施例2の高電流密度凸凹プローブにおけ
る各層の硬度は、深層が190Hk、中層が100H
k、表層が850Hkであり、表層のスパイラル応力計
での引っ張り応力は、46kg/mm2 であった。実施
例3の高塩素イオン凸凹プローブにおける各層の硬度
は、実施例2と同じく、深層が190Hk、中層が10
0Hk、表層が850Hkであり、表層のスパイラル応
力計での引っ張り応力は、46kg/mm2 であった。
以上の二種類の凸凹プローブを用いて、実施1と同様に
してICのアルミニウム電極に各凸凹プローブの接点部
を当接させ、テスターにて測定電流1mAを流して、電
気抵抗試験を行った。
【0077】荷重と接触抵抗値との関係を図14,15
に示す。図14は、高電流密度凸凹プローブを用いた場
合であるが、10g/バンプの荷重でバラツキはあるも
のの200mΩ以下、最小で36mΩが得られた。図1
5は高塩素イオン凸凹プローブを用いた場合であるが、
20g/バンプの荷重で200mΩ以上1600mΩ以
下となり、実施例1のプローブ構造に比べ若干低い抵抗
値が得られた。
【0078】実施例4 実施例2または実施例3と同様にして、表1の工程によ
り深層を銅で形成した後、凸凹面を有するポリイミドフ
ィルムを銅バンプに当接し、プレスにて加圧した。これ
により、銅バンプが円柱形状に変形されると同時に、銅
バンプの表面に直径10μm、高さ5μmの円錐形状の
突起が9ヶ/バンプ形成された。ソフトエッチングによ
る活性化処理を施した後、実施例1と同様にして、中層
の金0.5μmと表層のロジウム2μmとを積層して、
プレス凸凹プローブを得た。
【0079】プレス凸凹プローブにおける各層の硬度
は、深層(銅層)が190Hk、中層が100Hk、表
層が850Hkであり、表層のスパイラル応力計での引
っ張り応力は、46kg/mm2 であった。
【0080】実施例1と同様にして、プレス凸凹プロー
ブの接点部(バンプ)をICのアルミニウム電極に当接
させ、テスターにて測定電流1mAを流して、電気抵抗
試験を行った。
【0081】荷重と接触抵抗値との関係を図16に示
す。荷重22.9g/バンプでは安定して200mΩ以
下接触抵抗値が得られた。
【0082】実施例5 実施例1の深層形成工程において、ニッケルメッキ時間
を64分間に延長し、さらに表層形成工程において、電
流密度1.9A/dm2 を3A/dm2 に変更して、ポ
リイミドフィルム表面からの接点部の高さが40±5μ
mであり、厚さ0.5μmの金の中層と微細な凸凹を有
する厚さ2μmのロジウムの表層とで構成されたプロー
ブを得た。
【0083】このプローブにおける各層の硬度は、深層
が250Hk、中層が100Hk、表層が850Hkで
あり、表層のスパイラル応力計での引っ張り応力は、4
0kg/mm2 であった。
【0084】実施例1と同様にして、プローブの接点部
(バンプ)をICのアルミニウム電極に当接させ、テス
ターにて測定電流1mAを流して、電気抵抗試験を行っ
た。
【0085】荷重と接触抵抗値との関係を図17に示
す。荷重11.4g/バンプで200〜400mΩ、さ
らに荷重28.6g/バンプで100〜200mΩの接
触抵抗値が得られた。また試験後、ロジウム表層にクラ
ックはなく、アルミニウム電極を突き破る問題も発生し
なかった。また、表層の微細な凸凹は不定形であるが、
レーザー顕微鏡で凸凹の垂直断面を測定すると、高さ
0.2〜0.4μm、底辺0.8〜1.6μmの上部先
端が丸みを帯びた三角形状であった。
【0086】実施例6 表層のロジウムを電流密度1.9A/dm2 ,6分間で
形成する以外は実施例5と同様にして、ポリイミドフィ
ルム表面からの接点部の高さが40±5μmで、ニッケ
ルの深層と0.5μmの金の中層と2μmのロジウムの
表層とで構成されるプローブを得た。
【0087】このプローブにおける各層の硬度は、深層
が250Hk、中層が100Hk、表層が850Hkで
あり、表層のスパイラル応力計での引っ張り応力は、4
6kg/mm2 であった。
【0088】実施例1と同様にして、両プローブの接点
部(バンプ)をICのアルミニウム電極に当接させ、テ
スターにて測定電流1mAを流して、電気抵抗試験を行
った。
【0089】その結果、表層はクラックもなく、微細な
凸凹を有する無光沢の外観であるが、実施例5のバンプ
に比べると凸凹も小さく、不定形であった。レーザー顕
微鏡を用いて、凸凹の垂直断面を測定すると、高さ0.
1〜0.2μm、底辺0.4〜0.6μmの上部先端が
丸みを帯びた三角形状であった。
【0090】荷重と接触抵抗値との関係を図18に示す
が、荷重11.4g/バンプでは、500〜4000m
Ωの高い抵抗値となった。
【0091】本発明のプローブ構造が接触・接続を対象
とする被検査体は、半導体素子、半導体素子の集合体
(ダイシング前のシリコンウエハおよびダイシング後の
シリコンチップ等)、半導体素子からなる装置、該装置
を搭載するための回路基板、LCD用回路基板等、微細
な導体部分を有するものであり、また、これらの導体部
分に半田(錫、鉛および二金属を主成分とした合金)ま
たは金等のバンプを有しているものである。
【0092】被検査体の導体部分は、各種素子、その電
極部、回路パターン上の任意の場所等、被検査体の回路
を構成する全ての導体を意味し、特に実使用上では、微
小な被検査体が他の導体との電気的な接触・接続を意図
して有する端子、パッド、ランド等が接触対象部として
重要な部分となる。
【0093】
【発明の効果】本発明のプローブ構造は、接点部の表層
に用いられる硬質の金属、特に硬質の貴金属によって、
被検査体の導体部分に用いられるアルミニウム等の卑金
属が接点部へ転写し拡散することを防止でき、腐食にも
強く、低い接触抵抗を維持できる。また、接点部の表層
に、硬質で腐食に強い貴金属を用いることにより、被検
査体の半田バンプである場合には、半田が接点部に転写
し拡散することを防止でき、低い抵抗値を維持できる。
【0094】また、表層の下地密着層となる中層に用い
られる軟質の金属によって、被検査体との接触で生じる
応力が緩和され、クラック等の損傷の発生が抑制され
る。従って、IC、半導体素子等の微細な被検査体の電
気的テスト、特にバーンインテストにおける被検査体と
の接触開閉の繰り返しに対しても、初期の接触状態から
の劣化が少なく、信頼性の高い、安定した電気テストが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプローブ構造の一実施例を示す断面図
である。
【図2】本発明のプローブ構造における貫通孔の態様の
一例を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明のプローブ構造における接点部の態様の
一例を模式的に示す断面図である。
【図4】表層上に鋭利な突起を有するプローブ構造の一
例を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明のプローブ構造と多層配線板とによって
構成されるプローブカードの構造の一例を模式的に示す
図である。
【図6】リジッド基板が一体化されたプローブ構造の第
一例を模式的に示す断面図である。
【図7】リジッド基板が一体化されたプローブ構造の第
二例を模式的に示す断面図である。
【図8】プローブの接触抵抗値を調べるための電気抵抗
試験の測定概念図である。
【図9】ICの一例を模式的に示す拡大断面図である。
【図10】キャリア内でのバンプとICとの接触概念図
である。
【図11】実施例1の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【図12】実施例1のヒートサイクルテストの結果を示
すグラフである。
【図13】実施例1のロジウムプローブおよび比較例1
の金プローブの接触抵抗値を示すグラフである。
【図14】実施例2の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【図15】実施例3の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【図16】実施例4の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【図17】実施例5の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【図18】実施例6の荷重−接触抵抗値の測定結果を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 絶縁性基板 2 接点部 2a 表層 2b 中層 2c 深層 3 導電性回路 4 貫通孔 5 導通路
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−330749(JP,A) 特開 平6−347480(JP,A) 特開 平6−308158(JP,A) 特開 平7−63786(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01R 1/06 - 1/073 G01R 31/26 H01L 21/66

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板の一方の面側に導電性の接点
    部が形成され、絶縁性基板の他方の面側に導電性回路が
    形成され、接点部と導電性回路とが、絶縁性基板の厚み
    方向の貫通孔内に形成された導通路を介して導通され、
    接点部が、銅、ニッケル、ニッケル・パラジウム合金、
    または導電性回路の材料が銅である場合のニッケル合金
    を材料とする深層と、金、パラジウム、銀、インジウ
    ム、または白金を材料とする中層と、ロジウム、ルテニ
    ウム、コバルト−タングステン合金、クロム、鉄−タン
    グステン合金、クロム−モリブデン合金、ロジウム合
    金、ルテニウム合金、またはロジウム−ルテニウム合金
    を材料とする表層とを順次積層した構造を有し、接点部
    における表層の引っ張り応力が50kg/mm 2 以下で
    あることを特徴とするプローブ構造。
  2. 【請求項2】 絶縁性基板の一方の面側に導電性の接点
    部が形成され、絶縁性基板の他方の面側に導電性回路が
    形成され、接点部と導電性回路とが、絶縁性基板の厚み
    方向の貫通孔内に形成された導通路を介して導通され、
    接点部が、銅、ニッケル、ニッケル・パラジウム合金、
    または導電性回路の材料が銅である場合のニッケル合金
    を材料とする深層と、金、パラジウム、銀、インジウ
    ム、または白金を材料とする中層と、ロジウムを材料と
    する表層とを順次積層した構造を有し、表層の引っ張り
    応力が50kg/mm 2 以下であることを特徴とする
    ローブ構造。
  3. 【請求項3】 接点部における表層がロジウム層、中層
    が金層、深層がニッケル層または銅層である請求項1ま
    たは2記載のプローブ構造。
  4. 【請求項4】 接点部における中層の厚みが0.01μ
    m以上3μm以下、表層の厚みが0.5μm以上10μ
    m以下である請求項1〜3いずれか記載のプローブ構
    造。
  5. 【請求項5】 接点部における表層、中層および深層の
    少なくとも一つがメッキで形成されたものである請求項
    1〜4いずれか記載のプローブ構造。
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