JP3094879U

JP3094879U - 導線付き複層ダンパー

Info

Publication number: JP3094879U
Application number: JP2002008194U
Authority: JP
Inventors: 博大原
Original assignee: 博大原
Priority date: 2002-12-25
Filing date: 2002-12-25
Publication date: 2003-07-04
Anticipated expiration: 2008-12-25

Abstract

(57)【要約】（修正有）【課題】スピーカーが長時間の音振動から生じる縄跳び
現象により金属導線の一部捻糸が断裂され、信号伝送の
品質に影響を与えることと、成型型加工の原因で導線を
損害することを防ぐ。【解決手段】本考案の導線付き複層ダンパー１は、主に
スピーカーの中に設置されており、上片体１１と、下片
体１２と導線１３とから構成されている。この上片体と
下片体は、多数本の繊維を交叉状に織った薄片状のもの
で、上片体と下片体との間に導線が設けられている。こ
の導線は、主に金属材質から作られるものである。上片
体、下片体及び導線は、成型型で加圧加熱することによ
って、相互に結合される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案が属する技術分野】

本考案は導線付き複層ダンパーに関し、特にスピーカーに使用する複層ダンパーに関する。

【０００２】

【従来の技術】

現在、スピーカー専用に使用する繊維布体、すなわちダンパーは、主にスピーカー本体とスピーカーのボイスコイルとの間に設置されており、外部の信号が導線を通してスピーカー本体の信号端子によりスピーカーのボイスコイル上に伝送される。この導線は、信号端子によりスピーカーのボイスコイルと連接する時、前記繊維布体ダンパーの上部に懸架される。スピーカーが発声する時に、音振動波は、前記懸架された導線を上下に共振させて、縄跳び現象を引き起こす。このような現象が長時間わたって続くと、前記導線の一部の捻糸が断裂するおそれがあるばかりでなく、導線全体までもが断裂する可能性があり、信号伝送の品質に影響が生じてしまう。この問題を解決するため、繊維布体ダンパーを編む段階で導線を同時に布体の中に織り込んで、その後、表面上に波浪形状を呈する円盤体を成型する方法が行われている。この方法では、縄跳び現象によって導線が断裂することを避けることができるが、このような予め導線を織り込んだ繊維布体は、繊維布体と導線を同時に成型する場合には成型用鋳型による導線の断裂問題が生じやすくなる。この問題を解決する方法として、図６に示すように導線を直接、繊維布体ダンパー上に縫って成る繊維布体ダンパーが開発されているが、この方法では加工に時間を要しコストも高くなる上、加工の際にダンパー本体が壊れるおそれがあり、ダンパー本体の強度と寿命が低減してしまう。このように、スピーカーの伝送品質に影響を与える問題の早期克服が期待されている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

本考案の目的は、スピーカーの長時間の音振動により生じる縄跳び現象によって、導線の一部の捻糸が断裂し、信号伝送の品質に影響を与えることを防ぐことである。また、本考案の目的は、布体全体の構造が壊れず、且つ強度及び弾性に影響がない状態で、導線を上片体、下片体の上に脱落・移動しないように確実的に固定することである。更に、本考案の目的は、加工時に導線を破損せず、簡便かつ低コストに複層ダンパーを製造することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の導線付き複層ダンパーは、主にスピーカーの中に設置されており、上片体と、下片体と導線とから構成されている。上片体及び下片体は、多数本の繊維を交叉状に織った薄片である。上片体と下片体との間に導線が設けられており、導線は主に金属材質から作られている。上片体、下片体及び導線は、成型ダイを用いて加圧下に加熱することによって、相互に結合される。また、上片体と下片体は表面に若干の波浪形状を呈する円盤状になるように成型される。これにより、上片体及び下片体は垂直方向と平行方向からの力を受けた後、すぐに元の形状に回復することができる。また、上片体及び下片体との間に設置される導線を上片体及び下片体との間に確実的に固定することができ、導線が脱落したり移動するのを防ぐことができる。また、導線とダンパーとの結合の原因でダンパーの弾性と強度に対する影響も避けられる。

【０００５】

【考案の実施の形態】

図１、図２は、それぞれ本考案の実施例を示す立体図、立体分解図である。図面に示すように、本考案の導線付き複層ダンパー１は、主にスピーカーの中に設置されており、上片体１１と、下片体１２と導線１３から構成されている。この上片体１１と下片体１２は、多数本の繊維を交叉状に織った薄片である。上片体１１及び下片体１２の中央部にそれぞれ貫通する穴１１１、１２１が設けられ、これにより両片体が環状の片体になる。この貫通穴はスピーカーのボイスコイルの取り付け用の穴である。導線１３は、上片体１１と下片体１２との間に設けられており、金属材質で作られている。上片体１１、下片体１２及び導線１３は、成型ダイを用いて加圧下に加熱成型することによって、結合し一体化する。成型する際に、上片体と下片体との相互に面する側に接着剤を塗布させること、または上片体と下片体内部に接着剤を含有させることにより、上片体と下片体とを確実的に結合させることができる。また、この上片体１１と下片体１２は、表面に若干の波浪形状を呈する円盤状になるように成型される。これにより、上片体１１と下片体１２は、垂直方向や平行方向からの力を受けた後、すぐに元の形状に回復することができる。また、上片体１１と下片体１２との間に設置した導線１３が、上片体１１と下片体１２との間に挟まれているため、導線が上片体１１と下片体１２との間に脱落したり、移動したりせずに、確実的に固定できる。このような導線１３と上片体１１、下片体１２との結合方法は、上片体１１と下片体１２との一体化構造が壊れないため、ダンパー１の弾性及び強度に対する影響が出ない。上片体１１と下片体１２との間に設けてある導線１３の両端は、いずれも上片体１１と下片体１２の外部へ適度の長さを出すようにする。ダンパー１の全体の強度を高めるためには、上片体１１或いは下片体１２に更に片体を貼り付け、上片体１１或いは下片体１２の構造を単一層状態から複層状態にせしめる。

【０００６】図３は、本考案の実施例を示す断面図である。図３に示すように、導線１３を上片体１１と下片体１２との間に挟んで固定する方法により、導線１３がスピーカーの音振動から生じる縄跳び現象を避けることができる。また、導線１３が柔軟性のある、撓みを有する金属線で作られているため、上片体１１と下片体１２とを鋳型を用いて加圧下に加熱成型し表面上に若干の波浪状を呈する円盤状に成型する際に、上片体１１と下片体１２との間に挟まれた導線は、損壊されず上片体１１、下片体１２とともに波浪形状に曲げることができる。

【０００７】図４、図５は、それぞれ本考案の実施例を示す立体図、立体分解図である。図面に示すように、上片体１１と下片体１２との間に設けた導線の本数は二本である。この二本の導線１３の配置は特に限定されず、例えば平行に配置されたり、スピーカー信号端子を設置する位置に従って直線対置或いは十字型に配置することができる。金属導線１３の形状は円状或いは扁平状とすることができる。

【０００８】

【考案の効果】本考案によれば、布体全体の構造が壊れず、且つ強度及び弾性に影響がない状態で、導線を上片体、下片体の上に脱落・移動しないように確実的に固定することができる。また、上片体と下片体を複数層に設置することによりダンパー全体の強度が高められる。さらに、上片体、下片体及び導線の加工・成型を一つの工程で済ませることができ、成型・加工時に導線が損害することを避けることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す立体図である。

【図２】本考案の実施例を示す立体分解図である。

【図３】本考案の実施例を示す断面図である。

【図４】本考案の実施例を示す立体図である。

【図５】本考案の実施例を示す立体分解図である。

【図６】従来の導線付きダンパーを示す図である。

【符号の説明】

１ダンパー１１上片体１１１貫通穴１２下片体１２１貫通穴１３導線

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】上片体、下片体及び導線から構成される
複層ダンパーであり、該上片体、下片体及び導線は接着剤により相互に結合
し、該導線は上片体と下片体との間に設置されることを特徴
とする導線付き複層ダンパー。
【請求項２】前記上片体と下片体は、繊維体を交叉状
に織った薄片であることを特徴とする請求項１に記載の
導線付き複層ダンパー。
【請求項３】前記導線は、金属材料で作られ、且つ導
線の断面が円状或いは扁平状であることを特徴とする請
求項１に記載の導線付き複層ダンパー。
【請求項４】前記上片体と下片体との間に設置される
導線は、二本であることを特徴とする請求項１に記載の
導線付き複層ダンパー。
【請求項５】前記上片体と下片体との間に設置される
導線は、平行或いは直線対置で設置されることを特徴と
する請求項１に記載の導線付き複層ダンパー。
【請求項６】前記上片体と下片体との間に設置される
導線の両端は、上片体と下片体の外部に出ていることを
特徴とする請求項１に記載の導線付き複層ダンパー。
【請求項７】前記上片体と下片体は、表面が若干の波
浪形状を呈する円盤状であることを特徴とする請求項１
に記載の導線付き複層ダンパー。
【請求項８】前記接着剤は、上片体及び／又は下片体
の内側表面に塗布されることを特徴とする請求項１に記
載の導線付き複層ダンパー。
【請求項９】前記接着剤は、上片体及び／又は下片体
の内部に含有されることを特徴とする請求項１に記載の
導線付き複層ダンパー。