JP3094008B2 - 地下構造物用蓋 - Google Patents

地下構造物用蓋

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博高 長島
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、上面を通過するタ
イヤ或いは靴底等との間の摩擦を増大し、スリップを防
止するための凹凸構造として、蓋本体の板面から突出す
る多数の突起と、各突起間の空所とを備えた地下構造物
用蓋に関するものである。
【0002】
【従来の技術】マンホール蓋等、各種の地下構造物用蓋
には、様々なパターンを持った模様が形成されている。
この種の模様は蓋表面の摩擦が周囲の路面の摩擦と極端
に変わらないように、かつその摩擦が蓋表面の摩耗進行
によって急激に変化しないように、といった意図をもっ
て設計される。しかし現実は所期の意図と一致せず、模
様を構成する凹凸構造も、凹部が土砂等により埋められ
てしまうと効を奏さない状態となる。
【0003】例えば特許第2758589号及びその分
割出願である特開平10−131224号の発明は、蓋
表面に流入する雨水、土砂等の排出の問題を扱ってお
り、一つの手段として凹部を蓋本体の中央部から外周へ
向けて漸次深くなるようにしている。しかし外周よりも
中央部が高い曲面を持ったマンホール蓋は従来から極く
周知のものであり、その蓋表面凹部は中央部よりも外周
の方が深い状態にある。つまり、従来周知のものとの差
は必ずしも明確ではない。
【0004】また上記発明の内、後者は、蓋表面の凹部
に設けた凸部の上面に、その外周で開口する排出溝を設
けるという構成を持っている。しかしながら、凸部の上
面に排出溝を設けるということは、排出溝の効果が或る
限られた時間しか期待できないということを意味する。
上面の摩耗が進行すると排出溝も摩損、消滅するからで
ある。
【0005】しかも上記発明後者において、2段階構造
の凸部を設けた場合には、凸部の有効期間は更に限られ
た僅かなものとなる。また前者と同様中央部の浅い凹部
に設けた場合には周辺部よりも中央部の摩耗が進行し摩
擦が不均等となる事態も考えられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記の点に着
目してなされたものであり、その課題はタイヤや靴底等
との間の摩擦を効果的に増大し、かつその摩擦増大効果
が長期間持続されるようにする点にある。
【0007】また本発明の他の課題は突起の摩耗が進行
して高さが低くなっても、当初とほぼ同様の模様が上面
に持続的に現われる地下構造物用蓋を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記の課題を解決する本
発明においては、地下構造物用蓋に凹凸構造として設け
る突起は、下部が大きく上部が小さい錐状を呈し、かつ
凸多角形の平面形状を持つ角錐台形状を基本形状として
おり、各突起の傾斜した側面の下部から上部に及ぶ凹部
を有することを特徴とする。
【0009】上記各突起の傾斜した側面には、上下方向
の凸部を有するものとしても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明に係る地下構造物用蓋10
は、上面を通過するタイヤ或いは靴底等との間の摩擦を
増大し、スリップを防止するための凹凸構造を有する。
この凹凸構造は、蓋本体11の板面12から突出する多
数の突起13と、各突起間の空所14とによって構成さ
れる。図5、図6等参照のこと。
【0011】蓋本体11としては、マンホール鉄蓋等を
想定する。従って、ダクタイル鋳鉄等による鋳造品であ
り、凹凸構造も鋳造によって形成される。なお、円形マ
ンホール鉄蓋の場合、蓋本体11は平面からなる板面を
持っていても良いし、また前述したような曲面からなる
板面を持っていても良い。
【0012】上記の突起13は、下部が大きく上部が小
さい錐状を呈するものとする。錐状の立体であることに
より、突起13は傾斜した側面15を持つことになる。
この傾斜は鋳造時の脱型に必要な傾斜と同等かそれより
も大とする。故に、脱型のために特に傾斜を与える必要
は本発明にはない。
【0013】本発明における突起13は、蓋本体11の
板面12から突出したものである。しかも多段構造では
なく、スリップ防止のための突起としていわば単段構造
の、必要十分な高さを有するものとする。またこの突起
13は凸多角形、つまり通常の多角形の平面形状を持つ
角錐台形状を基本形状として有する。この凸多角形とは
例えば三角形、四角形、五角形、六角形若しくは七角形
以上の多角形であり、それが上面16に表われる。この
ような基本形状は夫々三角錐台、四角錐台乃至はそれ以
上の多角錐台である。
【0014】上記多角錐台を基本形状とする、突起13
の傾斜した側面15には凹部17が設けられる。凹部1
7は側面15の範囲内に設けられ、かつ突起13の下端
から上端にかけて、上下方向に設けられる。正面形状は
図示のような平行形状でも良く、また基本角錐台形状の
突起13と同じく上すぼまりのテーパ状であっても良
い。
【0015】多角錐台を基本形状とする突起13の傾斜
した側面15には凸部18が設けられても良い。凸部1
8も側面15の範囲内、かつ突起13の下端部から上端
にかけて上下方向に設けられる。凸部18は、例えば角
錐のような角のある形状がより適している。他の構成は
凹部17に準ずる。つまり平行ないしテーパ状の正面形
状を有し得る。
【0016】図1の(a)、(b)は凹部17を有する
突起13の例示である。図1(a)は三角錐台、図1
(b)は四角錐台の突起13の例である。図1(b)は
(a)に対して側面15の傾斜がより急であり、その分
底面形状は小さいものとなる。
【0017】図2は凸部18を有する突起13の例示で
ある。凸部18は三角錐形の断面形状を呈している。こ
の凸部18は図1の各例のように平行な正面形状を有し
ている。
【0018】図3(a)、(b)及び図4には、上記図
1(a)、(b)及び図2の各例の突起13の平面形が
示されている。これらにより、使用前後の突起13の形
態の変化を把握することができる。図3(a)、(b)
及び図4の左列は使用前の形態であり、右列は上面16
の摩耗が進行した状態を示す。
【0019】左右を比べると突起13の高さは減少して
いるが、上面16の面積は拡大し、凹部17及び凸部1
8の横断面が上面16に持続して表われており、上面1
6の形状を徐々に大形に変化させていることが理解され
よう。これにより本発明では凹多角形による摩擦が新品
と同様に期待されるので、突起13が摩耗しても摩擦は
減少しないという特徴が得られる。なお符号16′は摩
耗した上面を示す。
【0020】以上、突起13に凹部17または凸部18
を設ける例について説明したが、1個の蓋に凹部17と
凸部18とが混在していても良い。その場合、凹部17
だけを設けた突起13と凸部18だけを設けた突起13
とを混在させても良いし、また一つの突起13の或る側
面15に凹部17を設け、他の側面15に凸部18を設
けるようにしても良い。
【0021】このような突起13は、例えば図5に示さ
れる全方向からの進入に対して有効なパターンでもって
蓋本体11の板面12を埋め尽くし(図7)、上面を通
過するタイヤTや靴底等との間の摩擦を増大し、スリッ
プを防止するための凹凸構造を地下構造物用蓋に付与す
る。突起13は角錐台形状からなるためその稜19や凹
部17或いは凸部18に基づく角がタイヤの摩擦を高め
る。
【0022】特に2輪車ではカーブ走行時にタイヤTが
傾斜する(図6)。このときタイヤTはトレッド中心部
よりもサイドウォールにかけての部分が蓋に接し、垂直
荷重と同時に遠心力が凹凸構造に働くこととなる。本発
明における突起13は角錐台形状を有するのでその凹部
17や凸部18、稜19などとカーブ走行中のタイヤT
がかみ合う状態となり摩擦抵抗力を与えるため、タイヤ
のグリップ効果が高められスリップが防止されることと
なる。しかもこの効果は、突起13の摩耗によっても減
少しない点、既に説明したとおりである。
【0023】
【発明の効果】本発明は以上の如く構成されかつ作用す
るものであるから、単段構造それ自体が十分な高さを突
起に与え、傾斜した側面に形成された凹部または凸部
と、角錐台形状の突起の稜等がタイヤや靴底等との間の
摩擦を効果的に増大し、しかもその摩擦効果は突起の摩
耗の進行によって減少せず長期間維持されるという効果
を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る地下構造物用蓋の実施例に関する
もので、凹部を有する(a)、(b)2種類の突起を示
す斜視図と断面図。
【図2】同じく凸部を有する突起を示す断面図。
【図3】図1に対応する(a)、(b)3種類の突起に
関するもので、使用前と使用後摩耗が進行した状態を示
す平面図。
【図4】図2に対応する突起に関するもので、使用前と
使用後摩耗が進行した状態を示す平面図。
【図5】数種類の突起を組み合わせた凹凸構造の1例を
示す平面図。
【図6】本発明に係る地下構造物用蓋とタイヤとの関係
を示す断面説明図。
【図7】本発明に係る凹凸構造を持った地下構造物用蓋
の部分平面図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 久保田 康弘 奈良県奈良市富雄元町1丁目11番53号 (56)参考文献 特開 平10−131225(JP,A) 特許2796087(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) E02D 29/12 - 29/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 上面を通過するタイヤ或いは靴底等との
    間の摩擦を増大し、スリップを防止するために、蓋本体
    の板面から突出する多数の突起と、各突起間の空所とか
    らなる凹凸構造を備えた地下構造物用蓋であって、突起
    は、下部が大きく上部が小さい錐状を呈し、かつ凸多角
    形の平面形状を持つ角錐台形状を基本形状としており、
    各突起の傾斜した側面の下部から上部に及ぶ凹部を有す
    ることを特徴とする地下構造物用蓋。
  2. 【請求項2】 上面を通過するタイヤ或いは靴底等との
    間の摩擦を増大し、スリップを防止するために、蓋本体
    の板面から突出する多数の突起と、各突起間の空所とか
    らなる凹凸構造を備えた地下構造物用蓋であって、突起
    は、下部が大きく上部が小さい錐状を呈し、かつ凸多角
    形の平面形状を持つ角錐台形状を基本形状としており、
    各突起の傾斜した側面の下部から上部に及ぶ凸部を有す
    ることを特徴とする地下構造物用蓋。
  3. 【請求項3】 突起は、摩耗により、突起上面の平面形
    状が相似形をほぼ維持して徐々に大形に変化することを
    特徴とする請求項1又は2記載の地下構造物用蓋。
  4. 【請求項4】 上面を通過するタイヤ或いは靴底等との
    間の摩擦を増大し、スリップを防止するために、蓋本体
    の板面から突出する多数の突起と、各突起間の空所とか
    らなる凹凸構造を備えた地下構造物用蓋であって、突起
    は、下部が大きく上部が小さい錐状を呈し、かつ凸多角
    形の平面形状を持つ角錐台形状を基本形状としており、
    角錐台形状の傾斜した側面の下部から上部に及ぶ凹部と
    凸部とが混在している多数の突起を有することを特徴と
    する地下構造物用蓋。
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