JP3090806B2 - 車両識別装置 - Google Patents

車両識別装置

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JP3090806B2
JP3090806B2 JP05020253A JP2025393A JP3090806B2 JP 3090806 B2 JP3090806 B2 JP 3090806B2 JP 05020253 A JP05020253 A JP 05020253A JP 2025393 A JP2025393 A JP 2025393A JP 3090806 B2 JP3090806 B2 JP 3090806B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、車両を識別する技術に
係り、特に、複数の車両に対し離れた状況で車両情報を
得るのに有用な車両識別装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図13には従来形の一例としての車両識
別装置の構成が模式的に示される。図示の構成は、高速
道路へアクセスする料金所に設置された装置の構成を示
すもので、例えば特開昭62−159526号公報に示
されている。図13において、21は屋内に設けられた
端末機、22は屋外に設けられた料金表示器を示し、該
料金表示器は、進入してくる車両25の運転者から視認
し易い場所に配置され、端末機21に接続されている。
また、23は屋外のゲート部に設けられたアンテナを示
し、該アンテナは、車両25の進入路に埋設され、端末
機21に接続されている。なお、24は車両25の車体
下部に設置されたトランスポンダを示す。
【0003】次に、動作について説明する。車両25が
高速道路に入るべく料金所のゲートに着くと、アンテナ
23から電波を送信する。この電波を受けた車載のトラ
ンスポンダ24は、その内部に予め記録されている当該
車両に固有の車両情報(車種、製造番号、サイズ、重量
等)をその受信電波に付加し、アンテナ23に送信す
る。アンテナ23で受信された信号は、端末機21にお
いて送信時に用いた電波で復調することにより、車両情
報を認識することになる。端末機21は、その車両情報
に基づいて当該車両25の走行料金を算出し、料金表示
器22に表示させる。このようにして、料金徴収の効率
化を図っている。
【0004】また、このような高速道路での料金徴収に
限らず、車両情報の内容によっては車検切れの車両の取
り締まりや駐車場への車両の出入りのチェック等、種々
の応用が可能である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来技術を用いた装置
では、車両情報を入手する場合、予め決められた位置も
しくは狭い範囲に車両を誘導する必要があり、しかも車
両が停止もしくは低速で走行している場合にのみ車両情
報の入手が可能であった。これは、装置を簡単に実現す
ることによる制約でなく、従来の通信方式を用いた場合
に必然的に付随する現象といえる。つまり、1つの送信
信号に対し複数の車両が応答すると混信を起こし、情報
を正しく伝送できなくなるためで、確実に伝送するため
にはどうしても上述したような設置状況に限定されたも
のになる。
【0006】これに対処するためには、車載のトランス
ポンダにいろいろバリエーションを持たせ、地上の送信
信号を識別し応答するようにして混信を防ぐ方法が考え
られる。しかしこの方法では、係るトランスポンダが運
用上の面から大量に必要になるため、小型軽量で且つ低
価格でなければならないという制約に鑑み、複雑な機能
のものは不向きである。
【0007】このように従来装置では、車両が決められ
た狭い範囲の位置を通過する時のみ車両情報の入手が可
能となっていたため、その車両情報の入手が可能な車両
の数が極端に制限されるといった問題があり、そのため
に、車両情報を用いたサービスの内容も自ずと限定され
たものになるという課題があった。本発明は、かかる従
来技術における課題に鑑み創作されたもので、走行中ま
たは停止中にかかわらず、広い範囲に亘って存在する全
ての車両に対し各々の車両情報を同時に且つ瞬時に入手
可能とし、ひいては該車両情報に基づく種々のサービス
の提供に寄与することができる車両識別装置を提供する
ことを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明では、複数のアンテナと信号処理の過程で自
己相関特性を利用するいわゆるスペクトル拡散技術とを
用いて、広い範囲を小さなブロックに分割し、各ブロッ
ク単位で車両情報を得るようにしている。従って本発明
によれば、図1の原理図に示されるように、識別の対象
とする所定範囲において電波を放射すると共に、該電波
に応答するトランスポンダ4を搭載し且つ該所定範囲に
存在する車両5からの反射波を受信するアンテナ1と、
該アンテナに結合され、該アンテナの受信信号を処理し
て前記車両に固有の車両情報を生成する送受信機2と、
前記車両情報を適宜演算処理するデータ処理器3とを具
備し、前記アンテナは、それぞれ車両1台の面積を越え
ないビーム幅のアンテナパターンを有する複数のアンテ
ナ素子を用いて各アンテナビーム角度をビーム幅の分だ
けシフトさせることで前記所定範囲を複数のゾーンZ1,
2,Z3,……に分割する第1の分割手段を有し、前記送
受信機は、送信に用いた擬似ランダム符号に対し所定の
時間遅延させた符号で前記受信信号を復調して得られる
自己相関特性を利用することで各ゾーンを前記アンテナ
から一定距離毎に複数のエリアE1,E2,E3,……に分割
する第2の分割手段を有し、前記第1および第2の分割
手段を用いて前記所定範囲を複数のブロックAi,Bj,C
k,……,に分割し、各ブロックの大きさを車両1台の大
きさより小さくなるように設定したことを特徴とする車
両識別装置が提供される。
【0009】なお、スペクトル拡散技術については「SP
READ SPECTRUM SYSTEMS, R.C.DIXON著」等の多くの文献
に記述されているので、その詳細な説明は省略する。以
下、本発明に関連する要素部分についてのみ簡単に説明
する。
【0010】
【作用】スペクトル拡散とは、送信信号をM系列等に代
表されるPNコードで変調すると周波数域においてこの
PNコードの変調クロックに対応して該送信信号が拡散
され、この拡散された信号を同一のPNコードで復調
(相関処理)すると再び元の信号に戻るというものであ
る。一方、送信に用いた符号と異なるPNコードで復調
した場合には何も得られないことから、このPNコード
は一種の鍵の役目をしている。何故このような働きをす
るかと言うと、図2に一例として示されるように、この
PNコードは特異な自己相関特性を有しているからであ
る。
【0011】図2(a)に示されるように、まずPNコ
ードを2分配した後、遅延手段2aで位相を遅らせたP
Nコードと該遅延手段を通さないPNコード(つまり相
関手段2bにそのまま入力したコード)との間で自己相
関をとると、同図(b)に示すようにパルス状の相関出
力信号が得られる。すなわち、2つのPNコードの位相
差が0の時にピークとなり、位相差が1ビット以内まで
は直線状に増減し、位相差が1ビット以上になると相関
出力が全く得られなくなる。
【0012】つまり、拡散時のPNコードに対し同一の
PNコードで且つ1ビット以内のPNコードを用いて復
調しなければ元の信号に戻らないということである。こ
の相関特性は全てPNコードにより決定されるものであ
り、相関のピーク電力は無相関時のレベルに対し20l
og(符号長)で表される。例えば符号長が255ビッ
トの場合、相関時と無相関時の電力差は約48dBとな
る。
【0013】次に、スペクトル拡散技術を用いて車両識
別の対象とする所定範囲を複数のゾーンZ1,Z2,Z3,…
…に分割する方法について説明する。ゾーンによる分割
は、それぞれのゾーンに対応したビーム角とビーム幅を
持つ複数のアンテナで行うが、通常、同一周波数帯で
は、各アンテナが電磁気的に結合してゾーンの分割が不
可能になったり、あるいはマルチパスの影響により反射
信号が複数のアンテナで受信されるといった問題が生じ
る。
【0014】本発明では、各アンテナパターンの送信信
号を別々のPNコードで変調し、受信信号に対してはそ
れぞれ対応する送信に用いた符号と同一のPNコードで
復調することにより得られる自己相関特性を利用する。
これは、スペクトル拡散技術による多重化技術である。
図1(b)を参照して説明すると、ゾーンZ1(Aゾーン
とする)を形成するアンテナから送信する信号に用いる
PNコードをPN1とし、受信信号の相関に用いるPN
コードもPN1とする。また、ゾーンZ2(Bゾーンとす
る)を形成するアンテナからの送信信号に用いるPNコ
ードをPN2とし、受信信号の相関処理に用いるPNコ
ードもPN2とする。また、ゾーンZ3(Cゾーンとす
る)を形成するアンテナからの送信信号に用いるPNコ
ードをPN3とし、受信信号の相関処理に用いるPNコ
ードもPN3とし、以降同様にして、各ゾーン毎にPN
コードを変える。
【0015】なお、このPNコードは、アンテナ毎に異
種のコードを使用しなくても送受信を同一の装置で行う
ため、既に周期が確立されていることに鑑みて、1つの
コードを位相を変えて使用することでも簡単に実現でき
る。今仮に、Bゾーンに車両が存在しているとすると、
アンテナパターン特性上、Bゾーンのアンテナから送信
した信号を車両のトランスポンダが再送信し、この送信
信号をBゾーンのアンテナで受信する電力が当然一番強
いので、ゾーンの特定が可能である。この際、Aゾーン
およびCゾーンの各アンテナからの送信信号が車両を経
由してそれぞれBゾーンのアンテナで受信される信号
は、異なるPNコードで相関処理されるので大きく減衰
することになる。この減衰量は、PNコードを255ビ
ットとすると48dBとなる。つまり、アンテナ特性に
加えて、このスペクトル拡散の手法により、マルチパス
の影響を除去し、ゾーンを完全に分離することができ
る。
【0016】次に、スペクトル拡散技術を用いて各ゾー
ンをアンテナから一定距離毎に複数のエリアE1,E2,E
3,……に分割する方法について説明する。図1(b)を
用いた上記説明で分かるように、送信信号が車両に当た
り該車両で反射された信号(つまり受信信号)は、送信
に用いたコードと同一のPNコードで復調(つまり相関
処理)されるが、この場合、相関出力が得られるかどう
かは、同一のPNコードか否かという条件の他に、位相
差が1ビット以内のPNコードで相関処理するか否かと
いう条件に依存する。
【0017】つまり、送信信号に用いたPNコードは、
アンテナと車両との往復伝搬距離に相当する分だけ遅延
してくる訳だから、受信信号との間で相関処理がなされ
るPNコードをこの分だけ強制的に遅延させれば、相関
出力が得られることになる。強制的に遅延させる方法と
して、例えばPNコードのビットをクロック単位で遅ら
せる方法がある。仮にPNコードのクロックを100M
Hzとすると、1クロックが3m(=300,000k
m/100MHz)に相当するため、送信に用いたPN
コードを1クロック分遅延させたPNコードで受信信号
を相関処理すると、0〜3mの範囲に存在する車両から
の信号を再生することになる。同様にして、送信に用い
たPNコードを3クロック分遅延させたPNコードで受
信信号を相関処理すると、3〜6mの範囲に存在する車
両からの信号を再生することになる。このように、順に
5クロック、7クロック、9クロックとしていくと、そ
れぞれ6〜9m、9〜12m、12〜15mの範囲とな
り、エリアが遠くに拡大されることになる。
【0018】このように、送信に用いたPNコードを電
波の往復伝搬距離に相当する分だけ強制的に遅延させ、
受信信号との間で相関処理することにより、各ゾーン内
のエリアを特定することが可能となる。このように車両
識別の対象とする所定範囲を複数のゾーンZ1,Z2,Z3,
……に分割する第1の分割手段と各ゾーンを複数のエリ
アE1,E2,E3,……に分割する第2の分割手段により、
当該所定範囲を他と混信することなく、それぞれ車両情
報が得られる複数のブロックA1,A2,A3,…,B1,B2,
3,…,C1,C2,C3,…に分割することができる。
【0019】図3〜図5にはそれぞれブロック分割の例
が示される。図3は、道路路肩に設置したアンテナ1に
対し、トランスポンダ4を搭載した走行中の車両5が車
両情報を伝送していく場合のブロック分割の例を示す。
同図において車両情報は、分割されたブロックD6→E
5→F4→G4→H4→I4の順に通過する過程で伝送
される。
【0020】また、図4は、アンテナ1を道路中央に設
置した場合の複数の走行車両5に対するブロック分割の
例を示したものであり、同様に図5は、ガソリンスタン
ドの対象領域(つまり識別の対象とする所定領域)10
に存在する複数の車両5に対するブロック分割の例を示
したものである。ブロック分割の例については図3〜図
5の例に限らず、状況に応じてそれぞれ適当なブロック
分割が可能であることは当業者には明らかであろう。
【0021】なお、本発明の他の構成上の特徴および作
用の詳細については、添付図面を参照しつつ以下に記述
される実施例を用いて説明する。
【0022】
【実施例】本発明の一実施例による車両識別装置は、概
略的な構成については図1(a)に示した原理構成と同
じである。同図において、アンテナ1と送受信機2は一
体化され、屋外等の最適な場所、すなわち多数の車両5
から車両情報を得るのに最適な位置に設置される。アン
テナ1は、複数のアンテナ素子(後述)から構成され、
それぞれ同じく多数の入出力ポートを有する送受信機2
に接続され、送受信機2からの送信信号を電波として外
部に放射すると共に、該電波に応答する外部からの反射
信号を受信し、送受信機2に出力する。送受信機2は、
アンテナ1の受信信号を処理し、車両5毎にそれぞれ固
有の車両情報を生成してデータ処理器3に出力する。デ
ータ処理器3は、地上の設備を構成するものであり、車
両情報を取得すると共に、この車両情報を演算処理し、
各種のサービスを提供するものである。一方、トランス
ポンダ4は、走行中あるいは停止中の多数の車両5に搭
載されており、アンテナ1からの信号を受信し、該受信
信号に自車両5の車両情報を付加し、再びアンテナ1に
送信する。
【0023】次に、図1(b)に示す簡略されたブロッ
ク分割に関して、詳細な内部構成について説明する。当
然、この基本構成を拡張することにより、現実的な運用
に近づくことは自明である。図6にはアンテナ1の一構
成例が示される。同図に示すように、アンテナ1は、A
ゾーン用アンテナ101、Bゾーン用アンテナ102お
よびCゾーン用アンテナ103の3つのアンテナから構
成されている。各アンテナ101,102および103
は、それぞれ対応するAゾーン、BゾーンおよびCゾー
ンの信号を送信し、主としてそれぞれAゾーン、Bゾー
ンおよびCゾーン内の反射信号を受信する。各アンテナ
は、外観上は1つの平面上に並んだプラナ・アレイ・ア
ンテナのように見えるが、あくまでも独立したリニア・
アレイ・アンテナである。このリニア・アレイ・アンテ
ナは導波管を用いて構成してもよいが、3つのアンテナ
を平面に組み立てることが製造上複雑となるため、好適
にはマイクロストリップラインのプリント基板技術を用
いて製作した方が容易に実現できる。
【0024】この場合、図で示すように各放射エレメン
トELの放射電力とその位相を制御することにより、任
意の方向に鋭いビームを放射するアンテナパターンを得
ることができる。放射電力については、放射エレメント
ELの大きさあるいは給電に対する結合の度合いで設定
することができ、また位相については、進行波型のアン
テナであれば放射エレメントの間隔で、そうでない場合
は給電手段(給電ポート111〜113)で電気長を可
変することでその設定が可能である。これらの数値的根
拠は多くの専門書に委ねるとして、マイクロストリップ
ラインを用いてそれぞれ特立のアンテナパターンを有す
る3つのアンテナを1つの平面に製作することにより、
簡単に3つのゾーンZ1,Z2,Z3 を形成することができ
る。
【0025】図7には送受信機2の一構成例が示され
る。まず、図1(b)におけるゾーンZ1(Aゾーン)に
関連する部分について説明する。符号発生器202で発
生するM系列等のAゾーン用のPN1コードは、変調器
203およびシフトレジスタ204に出力される。発振
器201からの発振信号は変調器203に入力される
が、Bゾーン用の変調器213およびCゾーン用の変調
器223にも同様に入力される。この発振信号(つまり
搬送波信号)は、変調器203において上記のPN1コ
ードにより変調され、拡散された信号としてサーキュレ
ータ205を介し、アンテナ1のAゾーン用アンテナ1
01を通して外部に電波として放射される。この放射電
波に対する外部からの反射波信号は、再びアンテナ1の
Aゾーン用アンテナ101を介してサーキュレータ20
5に入力され、復調器206に高周波信号として入力さ
れる。復調器206は、発振器201からの搬送波信号
を用いて、その高周波信号を復調することによりベース
バンド復調信号を生成する。このベースバンド復調信号
は3分配された後、それぞれ相関器207,208およ
び209に入力される。一方、シフトレジスタ204で
は、送信に用いた変調符号と同一のPN符号(PN1コ
ード)に対しそれぞれ1ビット遅延させた符号D11、3
ビット遅延させた符号D13、および5ビット遅延させた
符号D15を発生し、それぞれ相関器207,208およ
び209に送出する。各相関器207,208および2
09では、それぞれ1ビット遅延符号D11,3ビット遅
延符号D13および5ビット遅延符号D15と上記ベースバ
ンド復調信号との間で相関をとり、各々の相関器出力を
データ判定器210,211および212にそれぞれ出
力する。各データ判定器210〜212は、信号処理帯
域のみを通過させた後、車両情報を判定し、それぞれA
1データ、A2データおよびA3データを出力する。こ
こで、A1〜A3の各データは、それぞれブロックA
1,A2およびA3に存在する車両からの車両情報を指
示する。以上が、Aゾーンに関しての構成である。
【0026】Bゾーンに関しての構成も上述したAゾー
ンと同一の構成である。ただしこの場合、Aゾーンに使
用したPN1コードに代えてPN2コードを用いてお
り、Bゾーンの送信信号を発生すると共に、Bゾーンの
車両情報B1データ、B2データおよびB3データを出
力する。同様に、Cゾーンに関しての構成もAゾーンお
よびBゾーンと同一の構成である。この場合、Aゾーン
について使用したPN1コードとBゾーンについて使用
したPN2コードに代えてPN3コードを用いており、
Cゾーンの送信信号を発生すると共に、Cゾーンの車両
情報C1データ、C2データおよびC3データを出力す
る。
【0027】図8にはデータ処理器3の一構成例が示さ
れる。図示のデータ処理器は、9個のデータレジスタ3
01〜309、制御器310およびメモリ311から構
成されている。上述した送受信機2からの各ブロック毎
の車両情報出力A1データ、A2データ、A3データ、
B1データ、B2データ、B3データ、C1データ、C
2データおよびC3データは、それぞれデータレジスタ
301〜309に一時的に格納される。これらのデータ
は、制御器310によりメモリ311に整理された形で
格納される。一方、制御器310は、外部からの指示に
よりメモリ311のデータを演算処理し、外部に出力す
ることができ、システム運用に見合った情報を提供す
る。
【0028】図9にはトランスポンダ4の一構成例が示
される。図示のトランスポンダは、アンテナ401、B
PSK変調器402、ROM403、タイミング制御器
404、電源回路405および共振器406から構成さ
れている。地上アンテナ1(図1参照)からの拡散され
た送信信号は、車載のアンテナ401で受信され、BP
SK変調器402に入力される。このBPSK変調器4
02は、当該車両に固有の車両情報を予め格納している
ROM403からの2値信号に基づき上記受信信号をB
PSK変調し、変調された信号をアンテナ401から地
上アンテナ1に向けて送信する。共振器406および電
源回路405は、ダイポール等の形状をしたストリップ
ラインと整流用のダイオードで構成されており、地上ア
ンテナ1から送信された拡散された送信信号を整流し、
DC電源出力を発生する。このDC電源出力は、ROM
403およびタイミング制御器404の電源として用い
られる。タイミング制御器404は、ROM403のア
ドレス設定と車両情報を周期的に出力するためのタイミ
ングを発生するものである。
【0029】次に、車両情報の伝送に関連した各部の動
作について説明する。なお、ここでいう車両情報とは、
車種、製造番号、サイズ、重量、車検日、所有者、口座
等に代表される車両固有の情報であり、本実施例ではト
ランスポンダ4のROM403に書き込まれたROM値
に対応するものである。また、車両5はブロックA3に
停止しているものとする。
【0030】図10には車両が停止中の場合の車両情報
伝送を例示する各部の信号波形が示される。地上に設置
された送受信機2の発振器201で搬送波を発振し、該
搬送波を変調器203において、符号発生器202で発
生したPN1コードで位相変調しスペクトルを拡散す
る。この拡散された送信信号をアンテナ1のAゾーン用
アンテナ101から外部に向けて送信する。ブロックA
3に存在する車両5に搭載されたトランスポンダ4はこ
の信号を受信すると、受信信号にROM403のROM
値をBPSK変調器402で位相変調し、地上のアンテ
ナ1に向けて送信する。この時、トランスポンダ4での
位相変調は、PN1コードの周期より数倍の周期で行わ
れ、PN1コードとの分離を図るようにしている。トラ
ンスポンダ4から送信された信号は、アンテナ1のAゾ
ーン用アンテナ101で受信される。
【0031】次に、この受信信号は送受信幾2の復調器
206で搬送波と混合され、搬送波をキャンセルしたベ
ースバンド復調信号になる。この信号を3分配し、予め
送信に用いたPN1コードに対し、電波が車両5まで往
復するのに要する伝搬時間分だけ遅延させたコード(1
ビット遅延符号D11、3ビット遅延符号D13および5ビ
ット遅延符号D15)を用いて相関器207〜209で位
相復調による相関処理を行うと、ブロックA3の距離分
遅延させたPN1コードを用いた相関器209の出力か
らのみ車両情報が再生されることになる。
【0032】このようにして、ブロックA3に存在する
車両5に搭載されたトランスポンダ4の情報を送受信機
2のA3データとして伝送することができる。以上の説
明は車両5が停止中の場合の伝送方法についてである
が、車両が走行中の場合にも同様に説明され得る。図1
1には車両が走行中の場合の車両情報伝送を例示する各
部の信号波形が示される。
【0033】この場合、上述したPN1コード成分は消
えても、搬送波の影響により、車両との間の相対速度に
見合ったドップラ周波数成分が上記ベースバンド復調信
号に平衡変調されてくる。この平衡変調波の信号から情
報を判断する場合は、以下の方法で、停止中の車両を含
め全ての車両情報を伝送することが可能である。すなわ
ち、アンテナ1からの受信信号を送受信機2で2分配
し、それぞれを90°位相差を持つ搬送波で混合する
と、90°位相差を持つドップラ周波数の平衡変調信号
が得られる。この信号の立ち上がりと立ち下がりを検知
し、2つの検知信号の論理和(OR)をとると、車両情
報に対する位相変調の立ち上がりと立ち下がりを忠実に
再生することができ、結果的に車両情報が得られること
になる。
【0034】図12にはトランスポンダ4の車両情報送
信タイミングが例示される。トランスポンダ4の位相変
調は、連続で且つ繰り返し実行するのに代えて、車両情
報の量や車両の速度等を考慮し、周期的に実行すること
も可能である。例えば、時速180km/hの場合、1
00ms毎に20msの期間だけ車両情報を伝送すれ
ば、5m間隔で且つ1mの距離を移動している間に情報
を伝送することができる。当然、この速度より低速であ
れば、伝送の繰り返しが増えることになる。このように
連続して車両情報をトランスポンダ4から地上の装置に
送り返さなくても、周期的に且つバースト的に送り返す
ことにより、同一の車両にトランスポンダが複数搭載さ
れていたり、あるいは同一ブロックに複数の車両が集合
している場合でも、バーストの周期がトランスポンダ毎
に独立に発生するので対処することが可能である。
【0035】以上説明したように本実施例では、車両5
が走行中あるいは停止中のいずれの場合でも、予め設定
した所定範囲に存在する全ての車両に対し各々の車両情
報を同時に且つ瞬時に入手することが可能となる。従っ
て、その車両情報に基づく種々のサービスを提供するこ
とができる。一例として、有料道路での料金計算につい
ては、単にゲートを通過する車両に限定して実施するの
ではなく、大量に走行している車両に対し各々の料金を
瞬時に且つ同時に処理できるので、大幅な省力化と交通
渋滞の大幅な緩和を実現することが可能になる。
【0036】また他の例として、ガソリンスタンドに停
止している車両に対しても、車両間で混信することなく
各々の車両情報を入手できるので、料金計算等を車両毎
に実施し処理することが可能である。さらに他の例とし
て、トランスポンダの車載を義務付けた場合に、速度オ
ーバー、信号無視、車検切れ等の違反を、固定の基地局
から取り締まることはもちろんのこと、パトカー等の移
動している局からも取り締まることが可能になる。
【0037】さらに他の例として、駐車場において車両
の出入りのチェックのみでなく、駐車場の何処にどの車
両が駐車しているかを把握できるので、駐車場内での管
制を効率良く行うことが可能となる。
【0038】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、複
数のアンテナと信号処理の過程で自己相関特性を利用し
たスペクトル拡散技術を用いることにより、走行中また
は停止中にかかわらず、広い範囲に亘って存在する全て
の車両に対し各々の車両情報を同時に且つ瞬時に入手す
ることが可能となる。これは、その車両情報を利用した
多くのサービスの提供に大いに寄与するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の車両識別装置の原理説明図である。
【図2】PNコードの自己相関特性の説明図である。
【図3】ブロック分割の一例を示す図である。
【図4】ブロック分割の他の例を示す図である。
【図5】ブロック分割の更に他の例を示す図である。
【図6】図1におけるアンテナの一構成例を示す図であ
る。
【図7】図1における送受信機の一構成例を示す図であ
る。
【図8】図1におけるデータ処理器の一構成例を示す図
である。
【図9】図1におけるトランスポンダの一構成例を示す
図である。
【図10】車両が停止中の場合の車両情報伝送を説明す
るための動作波形図である。
【図11】車両が走行中の場合の車両情報伝送を説明す
るための動作波形図である。
【図12】トランスポンダの車両情報送信タイミングの
説明図である。
【図13】従来形の一例としての車両識別装置の構成を
模式的に示した図である。
【符号の説明】
1…アンテナ 2…送受信機 3…データ処理器 4…トランスポンダ 5…車両 Ai,Bj,Ck,…,…(分割された)ブロック D11,…,D21,…,D31,…,…所定の時間遅延させ
たPN符号 E1,E2,E3,…,…(分割された)エリア PN1〜PN3…送信に用いた擬似ランダム符号(PN
符号) Z1,Z2,Z3,…,…(分割された)ゾーン
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−182997(JP,A) 特開 平4−140900(JP,A) 特開 昭46−6251(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G08G 1/017 G01S 13/74

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 識別の対象とする所定範囲において電波
    を放射すると共に、該電波に応答するトランスポンダ
    (4)を搭載し且つ該所定範囲に存在する車両(5)か
    らの反射波を受信するアンテナ(1)と、 該アンテナに結合され、該アンテナの受信信号を処理し
    て前記車両に固有の車両情報を生成する送受信機(2)
    と、 前記車両情報を適宜演算処理するデータ処理器(3)と
    を具備し、 前記アンテナは、それぞれ車両1台の面積を越えないビ
    ーム幅のアンテナパターンを有する複数のアンテナ素子
    を用いて各アンテナビーム角度をビーム幅の分だけシフ
    トさせることで前記所定範囲を複数のゾーン(Z1,Z2,
    3,……)に分割する第1の分割手段を有し、 前記送受信機は、送信に用いた擬似ランダム符号に対し
    所定の時間遅延させた符号で前記受信信号を復調して得
    られる自己相関特性を利用することで各ゾーンを前記ア
    ンテナから一定距離毎に複数のエリア(E1,E2,E3,…
    …)に分割する第2の分割手段を有し、 前記第1および第2の分割手段を用いて前記所定範囲を
    複数のブロック(Ai,Bj,Ck,……)に分割し、各ブロ
    ックの大きさを車両1台の大きさより小さくなるように
    設定したことを特徴とする車両識別装置。
  2. 【請求項2】 前記第1の分割手段は平面状に形成され
    たリニア・アレイ・アンテナ(101〜103)を有す
    ることを特徴とする請求項1に記載の車両識別装置。
  3. 【請求項3】 前記送受信機は、前記車両が走行中の場
    合に、該車両との間の相対速度に対応したドップラ周波
    数成分が平衡変調された復調信号に対しそれぞれ90°
    位相差を持つ2つの復調信号を用いて前記ドップラ周波
    数の影響をキャンセルする手段を有し、それによって当
    該車両に固有の車両情報を生成することを特徴とする請
    求項1に記載の車両識別装置。
  4. 【請求項4】 前記送受信機は、前記トランスポンダか
    らの応答を周期的に実行する手段を有し、それによって
    同一の車両にトランスポンダが複数車載されている場合
    または同一ブロックに複数の車両が存在している場合に
    対処するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の
    車両識別装置。
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