JP3090643B2 - 木材中への液体注入方法及びこれに用いる装置 - Google Patents

木材中への液体注入方法及びこれに用いる装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、木材の生物劣化を
抑制するための防虫剤或いは防腐剤等の薬剤、耐火性を
向上させるための難燃剤、耐水性その他の物性を向上さ
せるための樹脂原料(モノマー、プレポリマー等)、着
色剤等を含む液体を木材に注入する方法、並びにこの注
入処理を工業的に実施するための装置に関する。
【0002】木材に用いる防虫剤、防腐剤、難燃剤、着
色剤、樹脂原料等は、一般に極性或いは非極性溶剤に溶
解した溶液、乳化或いは懸濁した分散液等の液体として
使用される。また、クレオソート油のように液体状の原
体のまま用いられるものもある。ここでは、これら液体
を総称して薬液と呼ぶこととする。
【0003】
【従来の技術】木材組織の中へ薬液を浸透させる薬液注
入技術として、幾つかの処理方法が確立されているが、
中でも減圧・加圧注入法がよく知られ、工業的にも実施
されている。これは、0.8kg/cmA程度の減
圧雰囲気において木材中の導管やひび割れ等に含まれて
いる空気を除去した後、木材を減圧下に薬液に浸漬し、
薬液を数気圧から十数気圧程度に加圧して木材中に注入
するものである。木材により注入の難易度が異なるた
め、真空排気した後に薬液を加圧するベセル法(充細胞
法)、薬液加圧のみ行うローリー法(半空細胞法)、先
に空気を圧入した後に薬液加圧を行うリューピン法(空
細胞法)が知られている。なお、何れの方法も注入後の
余剰薬液を木材から除去するため、後排気を行っている
場合もあるが、これは注入上の本質的要件ではないので
説明を省略する。
【0004】しかし、上記方法では液体が導管内等を通
る際の流動抵抗が大きいので、充分な量の薬液を注入す
るためには所要時間が長く、また、木材の中心部まで薬
液を注入させることが困難な場合もあった。そのため、
金型を用いて木材を繊維軸に対して直角方向に圧縮した
後、薬液中で形状を回復(体積緩和)させる際に発生す
る吸引力により薬液を注入する「圧縮回復法」が開発さ
れている(例えば、木材学会誌:41巻9号811−8
19頁(1995)等)。
【0005】上記方法では、予め木材を金型内で圧縮す
る工程、木材の圧縮状態を一時的に保持させる工程、更
には圧縮木材を金型から取り出して薬液中へ移動させる
工程等が必要であり、著しく工程が煩雑である。そこ
で、先に本発明者等は、軟化点以上の温度に加熱された
木材を、上記金型の使用に替えて薬液の静水圧を用いて
圧縮し、次いで静水圧を低下させて薬液中で形状回復を
起こさせることにより、効率の良い注入を行う「静水圧
圧縮回復法」を発明し、特許出願した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の「静
水圧圧縮回復法」を更に改良し、木材の内部組織を損傷
せずに大量の薬液を注入する処理操作をより円滑に、且
つ、より効率的に行う方法を提供しようとするものであ
る。更に、この薬液注入処理を工業的に実施するための
注入装置を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、薬液中で静
水圧により圧縮された木材の形状回復に関与する操作条
件を、本発明者等が新たに見出した現象に基づいて組み
合わせることにより解決された。
【0008】即ち第1の本発明は、木材中へ薬液を注入
するに際し、軟化点以上に加熱された木材を上記薬液
において静水圧により圧縮し、この圧縮された木材が
積緩和することにより上記薬液を吸入するに充分な時
間、上記静水圧を保持することを特徴とする液体注入方
法の発明である。
【0009】ここで云う軟化点は、木材が加熱されて軟
化し、外力によって形状を粘弾性的に変形するに至る温
度である。木材の軟化点は樹種や水分含有率により異な
り、一概には規定できないが、例えばスギ等の針葉樹で
は70℃付近から100℃付近であることが多い。
【0010】また第2の本発明は、木材中へ薬液を注入
する別の方法であって、軟化点以上に加熱された木材を
上記薬液中において静水圧により圧縮するに際して、木
材の温度を軟化点以上に保持しながら、静水圧を常圧か
ら少なくとも圧縮立ち上がり点を超える圧力まで漸増ま
たは段階的に増加させた後、この静止水圧を保持するこ
とを特徴とする液体注入方法の発明である。
【0011】ここで云う「圧縮立上がり点」とは、圧力
対木材の圧縮比の関係を表わすグラフの勾配が明瞭に変
化を示す点の圧力を意味するものとする。圧縮立上がり
点も樹種や温度、含水率により異なり、一概には規定で
きないが、例えばスギ等の針葉樹では、圧縮比で概ね5
%付近、或いは圧力で7−8kgf/cm付近にあ
ることが多い。
【0012】また第3の本発明は、木材中へ液体を注入
する別の方法であって、軟化点以上に加熱された木材
を、該木材の内部組織の圧縮され易い部分が選択的に圧
縮され得る圧力の静水圧により圧縮した後、この静水圧
を一定に保持しながら上記木材の温度を130℃以下の
範囲において徐々に上昇させることを特徴とする液体注
入方法の発明である。
【0013】ここで云う「木材の内部組織の圧縮され易
い部分を選択的に圧縮し得る圧力」は、やはり樹種や温
度、含水率により異なり一概には規定できないが、例え
ばスギ等の針葉樹では、概ね圧力7−8kgf/cm
付近であることが多い。
【0014】更に第4の本発明は、上記木材中への液体
注入方法に用いる装置であって、少なくとも (A)薬剤加温溶解槽 (B)耐圧液体注入槽 (C)薬液加圧手段 (D)溶質の析出を防止する手段を備えた液体輸送系統 からなることを特徴とする液体注入装置の発明である。
【0015】本発明に共通する要素であるが、木材を軟
化点以上に加熱することにより、圧縮の際に木材が損傷
を受けずに可逆的に変形することができる。また、比較
的低い圧力で容易に圧縮することができる。
【0016】従来技術では、液体圧入の際に製材が圧縮
されて生じる表面の変形が、注入処理後に残存する現象
(所謂、落ち込み)を避けるため、木材の加熱は行われ
なかった。然し、本発明による静水圧圧縮では変形が可
逆的であり、液体注入に静水圧圧縮と液体中での圧縮回
復を用いることにより、製材の圧縮形状は100%回復
される。
【0017】圧縮回復法の科学的原理は必ずしも明らか
ではないが、圧縮された木材を液体中において体積緩和
させることにより、恰かもスポイトがインクを吸い込む
ように仮導管等の細胞が形状を回復する際のスポイト
(SPUIT)効果による液体吸力が発生する。これ
により、従来の単なる加圧による圧入に較べ木材の内部
深くまで液体を浸透させることができる。
【0018】第1の本発明において体積緩和を起こさせ
るには、充分な時間をかけて静水圧を保持すれば足り、
先に出願した発明のように、体積緩和を起こさせるため
静水圧を一旦上昇させた後下降させる必要がない。これ
により、注入操作が簡明且つ円滑に行われる。木材を圧
縮する程の加圧下において圧縮木材が形状を回復すると
いう現象は、本発明者等による一連の静水圧圧縮技術の
開発過程において見出されたものである。これは、木材
中で液体の浸透が進行中の部分より木材の木口側に在っ
既に液体が充満した仮導管等の細胞が静水圧を支え
液体の流路となり、一方、より木材の中心側に在って
だ圧縮された状態の細胞が順次形状を回復するに伴い
記流路から液体を吸い込むことによりスポイト効果が発
現するためと考えられる。
【0019】第2の本発明において、静水圧を常圧から
圧縮立上がり点を超える圧力まで漸増させることの作用
は次の通りである。即ち、圧縮を緩やかに行うことによ
り、木材中に存在する節やアテ材( reaction wood )
等の硬質組織と通常の均質組織との境界部分を破壊せず
に圧縮が進み、然も第1発明のプロセスを順次高い圧縮
状態まで繰り返すことになるので、所望の注入量まで薬
液の大量注入を進めることができる。また、段階的な圧
力増加は、緩やかな連続的圧力増加を実用的な微少区分
によって近似することであり、同様な作用が発揮され
る。
【0020】第3の本発明における静水圧による一定の
加圧下において、圧縮木材の温度を上げていくことの作
用は次の通りである。即ち、圧縮された細胞壁に含まれ
るリグニン、ヘミセルロース、セルロース等の分子は温
度が上昇するに連れて益々活発に分子運動を行うように
なるため、同一の静水圧により圧縮される部分が増大す
る。また加熱温度は木材の軟化点以上でなければならな
いが、ヘミセルロースやリグニン等の加水分解が顕著に
なるため、130℃を超えてはならない。
【0021】本発明において静水圧圧縮を適用する薬液
の温度は、少なくとも木材の軟化点付近にある。従っ
て、溶質となる薬剤が常温では溶剤に難溶であっても、
木材の軟化点以上の温度で著しく溶解度が増加する場
合、高濃度の薬液を調製して注入に用いることにより、
薬剤の大量注入が可能となる。このような溶解度特性は
必ずしも一般的ではなく、例えば水へのNaClの溶解
度は20℃で100g飽和溶液中26.38g、100
℃で28.2gであるから溶解度の温度依存性を示す両
者の比は28.2/20.38=1.04に過ぎず、N
SO のように温度を上げれば逆に溶解度が低下す
るものもある。しかし、前記薬液の一種として知られる
木材保存剤CCAの成分に関連する無機塩類CuSO
では、上記の比は43.4/16.8=2.6、As
では7.7/1.81=4.2、である。また防虫
剤の成分に関連するH BO では、上記の比は27.
53/4.65=5.9、難燃剤の成分に関連するNa
HPO では51.1/7.15=7.1(数値は化
学便覧による)であり、本発明に係る薬液注入において
はこのように上記の比が2.5以上である薬剤を選択す
れば良いなお、防蟻剤として知られるホウ砂を例にと
ると、20℃では100g飽和水溶液中4.71
しか溶存しないが、100℃では65.63gも溶存
るので、高濃度水溶液として大量注入することができ
る。これにより、注入処理し乾燥した後の木材が雨水等
に曝されても、常温で水への溶解度が低いので容易に溶
出せずに木材中に多量に残存し、防虫や防カビ等の効果
が従来方法による処理木材より長く持続する。
【0022】次に第4の本発明の薬液注入装置を例示し
た工程系統図(図1)に沿って、本発明の装置の構成を
説明する。所定量の薬剤が(A)薬剤加温溶解槽1にお
いて溶剤に溶解されて所定濃度の薬液が調製される。こ
の溶解槽1はスチームジャケット、加熱用コイル或いは
バンドヒータ等の加熱手段を備えることが必須であり、
更に作業に便利なように撹拌翼等の撹拌手段、温度指示
計等の温度計測手段(図示せず)を備えている。また、
溶剤や薬液を計量する計量槽12、送液ポンプ11が付
属している。
【0023】薬液を注入しようとする木材が(B)耐圧
液体注入槽2に装填され、注入槽2の開閉蓋5が密閉さ
れ、加温された上記薬液が送入される。この注入槽2
は、木材を装填するに充分な長さを有する耐圧容器であ
ることが必須であり、通常は耐圧30kg/cm
度の円筒型容器が用いられる。また、通常は安全弁3、
圧力計測手段4を備え、円筒の一端に木材の装入及び取
り出しのための開閉蓋5を備えている。また木材の取り
出しの際に残留する薬液を受け入れるピット13が付属
している。
【0024】第1の本発明を実施するために木材の軟化
を注入槽2内で行う場合、薬液送入に先立ち、スチーム
配管(図示せず)を用いて直接スチーム吹き込みにより
木材を加熱しても良い。或いは図示したように、後述す
る廃溶液再生装置8と注入槽2との間で高温薬液を循環
して木材を加熱しても良い。または、第2、第3の本発
明を実施するために、必要に応じてスチーム加熱管、バ
ンドヒータ等の加熱手段(図示せず)を備えても良い。
【0025】注入槽2に木材の装填及び薬液の送入が行
われた後、(C)薬液加圧手段である薬液加圧ポンプ7
を用いて注入槽2の液圧を昇圧する。この(C)薬液加
圧手段は、薬液の圧力を木材の静水圧圧縮に必要な圧力
まで昇圧する能力を持つ必要があり、第2の本発明を実
施するために液圧を漸増させたり、或いは第1、第3の
本発明を実施するために液圧を一定に保持したりする調
節機能を備える必要がある。通常はポンプ及び圧力制御
弁が使用される。ポンプ7は加温された薬液を圧入でき
る形式であれば、通常用いられるものが使用される。薬
液が腐蝕性を有することがあるので、実用上は耐蝕性ポ
ンプを用いると好都合である。
【0026】注入槽2内で圧縮された木材を加圧下に注
入槽2内に所定時間保持した後、薬液を廃液再生装置8
へ抜き出す。通常、再生装置8は薬液中に滲み出したヤ
ニ等の不純分を分離する機能、薬剤濃度を所定の値に再
調整する機能、廃液中の微小木片等を濾別する機能、及
び廃液の加温手段等(図示せず)を備えている。
【0027】所定の薬液注入が行われた後、注入槽2か
ら薬液を抜き出し、次いで注入槽2の開閉蓋5を開き、
注入槽2内に残留する薬液をピット13に受けた後、薬
液を注入処理した後の木材(図示せず)を取り出す。注
入処理後の木材は、シャワー等の簡易洗浄装置(図示せ
ず)により洗浄された後、乾燥機(図示せず)を用いて
所定条件下において乾燥される。
【0028】ピット13に回収された薬液は、微小木片
等の異物を除去した後、送液ポンプ10により、廃液再
生装置8へ送液される。再生された薬液は、送液ポンプ
9により計量槽12を経て注入槽2へ送られ、循環使用
される。送液ポンプ9は、昇圧能力は必要としないが、
ポンプ7と同程度の耐蝕性を有すれば好都合である。
【0029】本発明の方法を実施中に薬液の温度が低下
すると、溶解していた薬剤が過飽和状態となり、析出し
て配管等を閉塞する危険がある。このため、(D)液体
輸送系統、即ち薬液を輸送する経路に在る全ての配管、
弁やポンプには、析出防止用加熱ジャケット15等の保
温または加熱機構が備えられている。また、薬剤による
配管の閉塞が生じた場合の対策として、全てのポンプ、
弁及び配管の要所ごとに析出物洗浄用熱水ライン16等
の接液部洗浄機構が備えられている。
【0030】
【発明の実施の形態】本発明は樹種に依らず適用でき
る。本発明に使用する静水圧による圧縮方法には、木材
を収容した耐圧容器に薬液を直接ポンプで圧入して薬液
の圧力を所定の値まで高める方法、或いは木材と充分な
液量の薬液とを耐圧容器に収容した後、空気等の加圧気
体を圧入することにより薬液の圧力を上昇させる方法が
ある。いずれの方法でも良い。
【0031】本発明において、木材を軟化させる方法に
は、予め別の設備においてスチーム等で加熱軟化した木
材を耐圧注入槽へ装填する方法、或いは耐圧注入槽へ通
常の木材を装填し、高温のスチームを吹き込むことによ
り加熱軟化させる方法、もしくは木材を装填した耐圧注
入槽へ加温した薬液を送入し、必要に応じて加温薬液を
循環して温度を保持しつつ加熱軟化させる方法等があ
る。いずれの方法を用いても良い。本発明において、薬
液は回収し、再生し、循環使用しても良い。
【0032】本発明の実施の形態を具体的に例示するた
め実施例を記載するが、本発明はこれにより限定される
ものではない。この実施例で使用した木材の種類及び製
材としての寸法(全て単位はmm)は次の通りである。
九州産スギ板目材(心材のみ使用)、寸法L2000x
W150xT50長野産カラマツ板目材(心材のみ使
用)、寸法L2000xW150xT50また、静水圧
は全てゲージ圧である。薬剤としては、木材用生物劣化
防止剤であるTimBor(Borax社製ホウ酸系薬剤、概略組
Na 13 ・4HO)の40重量%水溶液
(比重約1.18g/cm)を使用した。この薬剤の
水への溶解度は20℃で10.4wt%、100℃で4
5wt%である。同様な薬剤として水への溶解度が20
℃で3.59wt%、100℃で50.13wt%であ
る同社のNeobor(概略組成Na ・5H O)
が知られている。
【0033】[実施例1]図1に示した装置の薬剤加温
溶解槽1を用いて、上記薬液を調製した。次いで注入槽
2に上記スギ材及びカラマツ材を装填し、スチーム吹き
込みにより装置及び木材の温度を90℃付近に予熱した
後、90℃の上記薬液を送入した。次いで注入槽2内を
圧縮空気により10分間かけて8kgf/cmまで
昇圧した。昇圧時間を含め合計2時間加圧した後、圧力
を常圧に戻し、木材を注入槽2から取り出し、冷水シャ
ワーで木材を洗浄した。直ちに含水率及び重量増加を測
定し、結果を表1に示した。後述する比較例に比べ7−
15倍量の薬剤が注入されたことが判る。
【0034】[実施例2]上記実施例1と同様にして木
材を2時間浸漬して加熱した後、注入槽2内を圧縮空気
の送入により常圧から15kgf/cmまで2時間
かけて段階的に加圧した。段階的加圧は1kgf/cm
ごとに昇圧し、昇圧と圧力保持時間を含め各段階を
8分とした。加圧時間終了後、圧力を常圧に戻し、実施
例1と同様にして含水率及び重量増加を測定し、結果を
表1に示した。薬剤の注入量が更に増加したことが判
る。
【0035】[実施例3]上記実施例1と同様にして木
材を2時間浸漬して加熱した後、注入槽2内を圧縮空気
により常圧から12kgf/cmまで約15分かけ
て加圧した。この圧力に保持したまま、注入槽2内蔵の
ヒータにより液温を90℃から130℃まで40分かけ
て昇温した。昇温時間を含め2時間木材を加圧した後、
圧力を3kgf/cmまで降圧し、液温を90℃ま
で約1時間かけて降温した。次いで圧力を常圧に戻し、
実施例1と同様にして含水率及び重量増加を測定し、結
果を表1に示した。薬剤の注入量は実施例2と同様に増
加したことが判る。
【0036】[比較例1]従来から用いられている減圧
・加圧注入法(ベセル法)により、実施例と同装置を用
い、同種同寸法の木材に常温で薬液を注入した。但し、
溶解度を考慮して薬剤濃度を10重量%に調製した。比
重は25℃において約1.05であった。木材を注入槽
2に装填後、真空ポンプで15分かけて装置内を減圧
し、減圧状態を45分保持した後、装置内に上記薬液を
送入し、実施例1と同様にして常圧から8kgf/cm
まで約10分かけて昇圧した。昇圧時間を含め2時
間加圧した後、圧力を常圧に戻し、実施例1と同様にし
て含水率及び重量を測定し、結果を表1に示した。
【0037】
【表1】
【0038】
【発明の効果】本発明の薬液注入方法を用いれば、従来
法に比べ注入量が7−15倍と飛躍的に増加する。スギ
材に注入した実施例1の結果を例に採って見ると、木材
1m 当たり258kgの薬剤(645x0.40)が
注入されている。一般にホウ酸系薬剤の場合、明瞭に難
燃効果が表れるのは100kg/mとされるので、
本発明の注入方法をホウ酸系薬剤に適用すれば、一種類
の薬剤注入で防虫効果や菌類による腐朽に対する防腐効
果のみならず難燃効果まで、一挙に達成することができ
る。
【0039】本発明の薬液注入方法を用いれば、木材組
織を損傷すること無く大量の薬液を注入することができ
るので、木材の強度低下が無く且つ有効量の薬剤を含有
する木材が生産される。
【0040】本発明の薬液注入装置を用いれば、薬剤の
析出による操作不調を防止できるので、大量の薬剤を含
有して保存性に優れ且つ強度にも優れた木材を生産性良
く製造することができる。
【0041】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薬液注入装置の一例を示す工程系統図
である。
【符号の説明】
1.薬剤加温溶解槽 2.耐圧液体注入槽 3.安全弁 4.圧力計 5.開閉蓋 6.空気放出弁 7.加圧ポンプ 8.廃溶液再生装置 9.送液ポンプ 10.送液ポンプ 11.送液ポンプ 12.計量槽 13.ピット 14.薬液抜出し弁 15.析出防止用加熱ジャケット 16.析出物洗浄用熱水ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−130304(JP,A) 特開 平8−25311(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B27K 3/00 - 5/00

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 木材中へ薬液を注入するに際し、軟化点
    以上に加熱された木材を上記薬液中において静水圧によ
    り圧縮し、この圧縮された木材が体積緩和することによ
    り上記薬液を吸収するに充分な時間、上記静水圧を保持
    することを特徴とする液体注入方法。
  2. 【請求項2】 前記静水圧による圧縮は、木材の温度を
    軟化点以上に保持しながら、静水圧を常圧から少なくと
    も圧縮立ち上がり点を超える圧力まで漸増または段階的
    に増加させた後、この静水圧を保持することを特徴とす
    る請求項1記載の液体注入方法。
  3. 【請求項3】 前記軟化点以上に加熱された木材を、該
    木材の内部組織の圧縮され易い部分が選択的に圧縮され
    得る圧力の静水圧により圧縮した後、この静水圧を一定
    に保持しながら上記木材の温度を130℃以下の範囲に
    おいて徐々に上昇させることを特徴とする請求項1記載
    の液体注入方法。
  4. 【請求項4】 前記薬液は、溶剤及び常温付近では該溶
    剤への溶解度が少ないが木材の軟化点以上の温度では溶
    解度が常温時の溶解度の2.5倍以上に増加する溶質か
    らなる溶液であることを特徴とする請求項1、2または
    3記載の液体注入方法。
  5. 【請求項5】 前記溶剤が水であり、前記溶質が無機塩
    類である請求項4記載の液体注入方法。
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