JP3090490U - 輸液用容器 - Google Patents

輸液用容器

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Abstract

(57)【要約】 【課題】輸液用容器において、薬剤の混合,調整を忘れ
たとき、あるいは混合、調整が不完全な場合にその状態
のまま薬液流出口より薬液が流出されるのを回避し、投
薬時の問題を解消する。 【解決手段】使用時に連通可能な封止部4により区画さ
れた複数の薬剤室2,3を有し、使用時、懸垂孔7によ
り容器1を吊り下げて複数の薬剤室2,3内の薬剤を混
合,調整し、薬液流出口6より流出して薬剤を投与する
輸液用容器1において、薬剤室間を区画する封止部4に
対し、薬液流出口6に通ずる側の封止部5の封止力を大
きくし、より強い押圧を必要とするようにした。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は輸液用容器に係り、詳しくは薬剤の調整や配合を忘れることなく確実 に行うことができる運輸液用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
患者に輸液を行う場合、予め、ビタミン剤や抗生物質等の薬剤を混合・溶解さ せ、薬液を調整することが従来より行われている。
【0003】 このような薬液の調整は液体状の薬剤の場合はそのまま、一方、固体状の薬剤 の場合は注射器で溶解液を加えて溶液した後、輸液剤が充填されたバイアル瓶や 軟質バッグに注入混合して行われていたが、操作手順が煩雑であり、迅速な輸液 を必要とする場合、不適であり、また薬液の細菌による汚染や異物混入の恐れが あったため、種々の改善が試みられ、近時、特開2000−5275号公報によ り簡単な操作で容器内に無菌的に2種以上の薬剤を混合できる輸液用容器が提案 されている。
【0004】 この輸液用容器は使用時に連通可能に区画された複数の薬剤室を有すると共に 、該容器を吊り下げるための懸垂孔を備え 、少なくとも1つの薬剤室が該懸垂 孔内に侵入しているる構成からなっていて、使用に際し、懸垂孔に侵入している 薬剤室もしくは連通可能部と接触しているもう1つの薬剤室を外部より押圧する ことにより両薬剤室を連通させ薬液流出口より流出させるようになっている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】
しかし、上記輸液用容器は、該輸液用容器を輸液用スタンドに懸垂する際、懸 垂孔を押し開く必要があるため、懸垂孔内に侵入している薬剤室に注意が向き、 混合し忘れに気付き易いとは云え、連通可能部の連通に気が付かずに混合し忘れ たまま薬剤を投与する可能性を残している。
【0006】 本考案は上述の如き実状に対処し、更に複数薬剤の混合し忘れを確実になくす ることに着眼し、薬剤室間の剥離と、薬液流出口に直結する部分の剥離に強弱差 を設けることにより薬液流出口に至る薬剤の混合を確実にし、混合忘れのまま薬 液流出口より流出することのないようにして、混合忘れによる薬液の投与を皆無 ならしめることを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
即ち、上記目的に適合する本考案の特徴は、使用時に連通可能な封止部により 区画された複数の薬剤室を有し、該複数の薬剤室の一方の端部を更に連通可能な 封止部を介して薬液流出口に連通可能ならしめると共に、他方側の端部はシール して該シール部に容器を吊り下げるための懸垂孔を設けた輸液用容器において、 上記薬液流出口に連通可能な封止部の封止力を薬剤室を区画する封止部の封止力 に比し大ならしめた点にある。
【0008】
【作用】
上記本考案に係る輸液用容器を使用し、吊り下げて患者に点滴等をするときは 、連通可能な封止部によって区画された複数の薬剤室の1つ以上を押圧すること により薬剤室間の封止部は剥離し、両薬剤室に充填されている薬剤は混合する。 このとき、薬液流出口側の封止部は封止力が大きく、より強力な押圧によらな ければならないため剥離することはなく、従って両薬剤室の薬剤に混合忘れがあ ったとしても、混合忘れのまま薬剤が流出することはない。
【0009】 そして、複数の薬剤室に充填されている薬剤が確実に混合したのを見届けた上 、次により強い押圧力で薬液流出口に隣接する薬剤室を押圧すると、該流出口と の間の封止部が剥離されて確実に混合されている薬剤を薬液流出口より流出させ ることができ、薬剤を混合し忘れて投与することを確実に阻止する。
【0010】
【考案の実施の形態】 以下、更に添付図面を参照し、本考案の具体的な実施の形態を説明する。
【0011】 図1は本考案に係る輸液用容器の1例を示す正面図、図2は図1における矢示 断面図である。 これら図において1は本考案に係る輸液用容器を示し、図においては、該容器 1は使用時、連通可能な封止部4によって区画形成された第1薬剤室2と第2薬 剤室3の両室によって構成されており、第1薬剤室2の前記第2薬剤室3の反対 側の端部、図の上端部には更に使用時に連通可能に封止された封止部5が設けら れ、その外側に上縁部1aが形成されて、該上縁部1aに薬液流出口6が設けら れている。 そして、一方、下部の第2薬剤室3の下端部はシールされてシール部1bとな っていて、該シール部1bには容器を吊り下げるための懸垂孔7が設けられてい る。
【0012】 ここで容器1は柔軟可撓性があり、耐熱性,耐薬品性を有することが好ましく 、通常、ポリオレフィン,ポリエステル,エチレン−酢ビ共重合体の如き軟質合 成樹脂によって袋状に形成されたものが用いられる。 なお、上記軟質合成樹脂による袋状物は内部を透視し得る上から透明または半 透明であることが好ましい。 また、第1薬剤室2,第2薬剤室3の大きさは適宜大きさでよく、両者略同様 な大きさでも、一方を大きく、他方を小さくしてもよい。これは混合調整する薬 剤の種類等によって選択される。
【0013】 更に図示例では薬剤室は第1,第2の両室となっているが、2つに限らず、必 要に応じ3つ以上の薬剤室とすることも差し支えない。この場合に薬剤室を区画 する連通可能な封止部の数が増加する。
【0014】 しかして、本考案容器は上記の如き袋状の容器において、各薬剤室を区画する 封止部、図では第1薬剤室2と第2薬剤室3の間の封止部4と、第1薬剤室2上 部の薬液流出口6を含む上縁部1aとを区画する封止部5は夫々既知の手段によ って形成されるが、この封止部4,5は何れも薬剤室に充填されている薬液を外 部より押圧することにより少なくとも部分的に剥離され、両薬剤室間あるいは第 1薬剤室2と上縁部1aを連通可能ならしめ得るようになっている。 しかし、ここで本考案容器にあって重要なことは上記薬剤室間を区画する封止 部4と、第1薬剤室2と上縁部1aを区画する封止部5の封止力、即ち、剥離に 必要とされる押圧力は相違し、薬剤室を区画する封止部4に比し上縁部1aとの 間を区画する封止部の封止力が大きく、強力であることである。
【0015】 即ち、第2薬剤室3に充填されている薬液を押圧したとき、第1薬剤室2との 間の封止部4は少なくとも部分的に剥離し、両薬液の混合,調整が達成されるが 、このままでは第1薬剤室2と上縁部1aとの間の封止部5は剥離されることは なく、従って、第1,第2両薬剤室に充填された両薬液は適宜、混合,調整され るとしても、該混合薬液は上縁部1a側に流出することはなく、従って薬液流出 口6から流出されることはない。
【0016】 これは第2薬剤室3下部のシール部1bに設けられた懸垂孔7によって容器1 を吊り下げた場合も同様で、第2薬剤室3を押圧することにより該室3内の薬液 が第1薬剤室に流下し、両薬液の混合、調整がはかられるとしても、そのままで は下方に向いている薬液流出口6からの薬液の流下は起こらない。
【0017】 そこで、薬液流出口から混合,調整されている薬液を流出させようとすれば、 既に連通している第1,第2の両薬剤室、特に下方に位置する第1薬剤室2を前 記薬剤室間の封止部4に必要とした押圧力以上の強い押圧力で押圧しなければな らない。 例えば、薬剤室2,3間の封止部4が30kgの押圧力で剥離するとすれば、 上縁部1aとの間の封止部5は40kgの押圧力で押圧することが必要である。 そのため、第1,第2両薬剤室2,3内に充填された薬剤を混合し忘れたとし ても、薬液流出口6から流出することは全く阻止され、薬剤の混合忘れによる事 故は全く起こることがない。
【0018】 第1薬剤室2,第2薬剤室3に充填される薬剤は常に同一とは限らず、患者に 応じて夫々、異なるが、如何なる場合にも混合、調整を忘れることがないことは 、常に投薬事故防止の面より重要である。 なお、薬剤室に充填される薬剤は液体に限られるものではなく、乾燥粉末でも よいが、この場合には適宜、薬液流出口などを通じ希釈液を注入して液体状とし た後に投薬するのが好適であることは云うまでもない。
【0019】
【考案の効果】
本考案は以上のように使用時に連通可能な封止部により区画された複数の薬剤 室を有し、使用時、懸垂孔により容器を吊り下げて複数の薬剤室内の薬剤を混合 ,調整し、薬液流出口より流出して薬剤を投与する輸液用容器において、薬剤室 間を区画する封止部に対し薬液流出口に連通する封止部の封止力を大きく、より 強い押圧を必要とする封止部となしたものであり、容器を吊り下げあるいは吊り 下げることなしに使用する場合でも薬剤室間の封止部は通常の押圧で剥離し、薬 剤室に充填されている薬液の混合、調整が行われるにしても、薬液流出口より混 合調整した薬液を流出しようとする場合には、より強い押圧力で押圧する必要が あるため、薬剤室内に充填されている薬液が未混合のまま流出されることは回避 され、薬液の混合、調整を確認した後により強い圧力で押圧することにより投薬 による事故防止をはかることができる顕著な効果を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案に係る輸液用容器の1例を示す正面図で
ある。
【図2】図1の矢示線断面図である。
【符号の説明】
1 輸液用容器 2 第1薬剤室 3 第2薬剤室 4 薬剤室間の封止部 5 上縁部封止部 6 薬液流出口 7 懸垂孔

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】使用時に連通可能な封止部により区画され
    た複数の薬剤室を有し、該複数の薬剤室の一方の端部を
    更に連通可能な封止部を介して薬液流出口に連通可能な
    らしめると共に、他方側の端部はシールして該シール部
    に容器を吊り下げるための懸垂孔を設けた輸液用容器に
    おいて、上記薬液流出口に連通可能な封止部の封止力を
    薬剤室を区画する封止部の封止力に比し大ならしめたこ
    とを特徴とする輸液用容器。
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