JP3090429B2 - スピードスプレーヤの薬液噴霧機構 - Google Patents

スピードスプレーヤの薬液噴霧機構

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JP3090429B2
JP3090429B2 JP09098684A JP9868497A JP3090429B2 JP 3090429 B2 JP3090429 B2 JP 3090429B2 JP 09098684 A JP09098684 A JP 09098684A JP 9868497 A JP9868497 A JP 9868497A JP 3090429 B2 JP3090429 B2 JP 3090429B2
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政幸 金子
有 松沢
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスピードスプレーヤ
の薬液噴霧装置に関し、より詳細には傾斜地での薬液の
噴霧が好適にできるスピードスプレーヤの薬液噴霧機構
に関する。
【0002】
【従来の技術】スピードスプレーヤは車輌本体の後部に
設けたファンから吸入したエアを車輌本体の側面で開口
する整流部から車輌本体の側方に向けて放出させ、整流
部の周囲に配置したノズルからエアの噴出力を利用して
薬液を噴出させる。薬液を噴出させる際、薬液の噴出方
向を変えるようにするが、これは果樹の成育状態や圃場
の状態に応じて適切な薬液散布をするためである。果樹
の高さが低い場合は薬液を上方に向けて噴射するのは効
率的でないし、果樹が車輌の進行方向の片側にある場合
は果樹がない側に薬液を噴射することは無駄だからであ
る。
【0003】本出願人は先に、薬液の噴射方法を可変に
したスピードスプレーヤとして、図5に示すような傾斜
地で有効に使用できるスピードスプレーヤを提案した
(特開平8-294650号公報)。このスピードスプレーヤは
図6に示すように、開口部の周縁に沿って移動可能にノ
ズル5を支持し、かつノズル5の放射方向を可変にした
ことを特徴とする。ノズル5は回動アーム6に支持され
て回動し、回動アーム6が下方に回動した際にストッパ
7にノズル5の側面が当接してノズル5の向きが変わ
る。
【0004】ノズル5はスプリング8によって中心から
放射する方向(径方向)に常時付勢されて支持されてお
り、ストッパ7にノズル5が当接した後、回動アーム6
をさらに押し下げることにより回動アーム6の駆動力に
よってスプリング8の付勢力に抗してノズル5が下向き
に回動される。ノズル5はリンク機構によって相互に連
設されており、これによって一体的に回動して向きが変
えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のスピードスプレ
ーヤはエアを放出する整流部内で回動アーム6の回動位
置を変えることによって薬液の放出方向を変え、果樹や
圃場の状況に応じた薬液の散布を行うことができるもの
であり、とくに、図5に示すような傾斜地では回動アー
ム6を下方に回動させ、さらにノズル5を下向きとする
ことで、車輌よりも下方に向けて薬液を噴霧することが
可能となり、下方の果樹へも適切な薬液の噴霧を行うこ
とができる。しかしながら、上記の薬液噴霧装置はスプ
リング8の付勢力を利用してノズル5を動作させるか
ら、ノズル5の動作が不確実になるおそれがあるといっ
た問題点があった。
【0006】そこで、本発明はこれらの問題点を解消す
べくなされたものであり、その目的とするところは、エ
アを放出する開口部の縁部に沿ってノズルを移動可能と
して薬液の放出方向を調節可能とすることに加えて、ノ
ズルが移動した位置でノズルの向きを変えることによっ
て薬液の噴霧範囲を広げ、傾斜地などでの薬液の散布に
好適に使用できるスピードスプレーヤの薬液噴霧機構を
提供するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するため次の構成を備える。すなわち、スピードスプレ
ーヤの車輌本体の後部からエアを吸入し、整流部から車
輌本体の側方に向けてエアを噴出させるとともに、薬液
タンクから薬液が供給されるノズルを整流部の開口縁に
沿って移動可能に設け、エア流によりノズルから薬液を
噴霧させるスピードスプレーヤの薬液噴霧機構におい
て、車輌本体の中心を挟む左右両側に軸支された一対の
回動アームと、該各回動アームの先端側に開口縁に沿っ
て支持された薬液を供給する主管と、該主管に連通し配
向位置が可変に取り付けられた複数個のノズルと、各ノ
ズルから延設された揺動アーム及び該揺動アーム間を連
結する連結アームを有するノズルのリンク機構と、回動
アーム及びノズルのリンク機構を駆動する駆動機構とを
備え、駆動機構が、支点軸を支点として回動駆動される
駆動アームと、駆動アームと回動アームとに両端が軸支
され、駆動アームの回動動作にともなって回動アームに
支持された主管を所定範囲内で回動させる押動ロッド
と、押動ロッドとリンク結合されると共に、駆動アーム
とノズルのリンク機構との間を連繋し、主管の回動位置
にともなってノズルの配向位置を変化させる連繋ロッド
とを具備したことを特徴とする。また、車輌本体のフレ
ームからブラケットを立設し、該ブラケットに回動アー
ムを支持する軸を固定して回動アームを回動可能に支持
したことを特徴とする。
【0008】
【作用】本発明に係るスピードスプレーヤの薬液噴霧機
構は薬液を噴霧するノズルを主管に支持し、回動アーム
で主管を支持することにより、回動アームを回動するこ
とによって、整流部内でノズルを上位置と下位置の範囲
内で移動させる。ノズルはリンク機構によって相互に連
繋して支持されるとともに、回動アームを駆動する駆動
機構とリンク結合したことにより、回動アームの回動動
作とノズルの配向方向を移動させる動作が連動してなさ
れる。ノズルは下位置に移動した際に、下向きに配向す
るようリンクによって係合されているから、通常のノズ
ルの移動による薬液の噴霧にくらべてより広範囲の薬液
散布が可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施形態に
ついて添付図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明
に係るスピードスプレーヤの薬液噴霧機構の一実施形態
の構成を示す説明図である。図は薬液噴霧機構をスピー
ドスプレーヤの本体10の後面側から見た状態である。
12はスピードスプレーヤの本体10を支持する支持フ
レームである。スピードスプレーヤは薬液タンク14と
風胴16との間に整流部を設け、風胴16から吸い込ま
れたエアを整流部で車輌本体の側方に向けて放出させ
る。
【0010】図2はスピードスプレーヤの整流部および
薬液噴霧機構を側面方向から見た状態を示す。整流部に
は風胴16内に配置したファン20から放出されたエア
をスピードスプレーヤの側方に放出させるように湾曲面
に形成した整流筒18を配置する。ノズル22はこの整
流筒18の外周縁に沿い、薬液を流通させる主管24に
連通して支持する。主管24にはホースを介して薬液タ
ンク14から薬液が供給される。整流筒18で整流して
放出されるエア流中にノズル22を配置することによ
り、ノズル22から薬液が噴出され、エア流とともに薬
液が遠方に運ばれる。
【0011】図2に示すように実施形態のスピードスプ
レーヤではノズル22を前後に2列で配置するととも
に、図1に示すように周方向には主管24上に所定間隔
で6個設ける。図1で30は主管24を支持する回動ア
ームである。整流部内で左右に一対配置する主管24お
よびノズル22を支持するため、回動アーム30は車輌
本体の中央部から側方に向けて独立に回動可能に一対配
置する。主管24は周方向に湾曲して形成され、回動ア
ーム30はその先端部で主管24を支持する。
【0012】32は回動アーム30を支持するブラケッ
トである。ブラケット32は基端を左右の支持フレーム
12に固定して起立させ、上端を車輌本体の略中央部に
配置するファンシャフトの防護筒34に連結して支持す
る。ブラケット32の上部側面には回動アーム30の基
部を軸支する軸36を設け、軸36を支点として回動ア
ーム30が周方向に回動可能に支持する。実施形態のス
ピードスプレーヤでは図1に示すように軸36、36を
若干離間させて配置している。
【0013】主管24上でノズル22の向き(放射方
向)を変える構成は、主管24にノズル22を回動可能
に連結し、各々のノズル22に揺動アーム38を取り付
け、隣接する揺動アーム38の作用端を各々連結アーム
40を介して相互にリンク係合することによる。なお、
実施形態では主管24で最上部に設置するノズル22a
についてはリンク結合せず、回動アーム30に揺動アー
ム38の端部を固定して主管24に対して定方向となる
ように設定した。これは、主管24を下方に回動した際
であっても最上部のノズル22aからはある程度上向き
に薬液が放射されるようにするためである。
【0014】本実施形態のスピードスプレーヤは回動ア
ーム30の回動動作とノズル22の配向方向を変える動
作を連動して行う。そのため、回動アーム30とノズル
のリンク機構とをさらにリンク結合する。すなわち、図
1で42は回動アーム30等を駆動する駆動源としての
電動モータであり、44は電動モータ42により支点軸
46を中心として回動される駆動アームである。駆動ア
ーム44の一端側には電動モータ42の出力軸に連結し
たピニオン48に歯合する扇形ギヤ50が形成され、支
点軸46を挟んだ他端側には回動アーム30と連繋する
押動ロッド52とノズル22のリンク機構に連繋する連
繋ロッド54の一端が軸支される軸支プレート56が形
成されている。
【0015】押動ロッド52は回動アーム30の側面に
まで延び、他端が回動アーム30の側面に軸支される。
連繋ロッド54はノズル22のリンク機構の端部にまで
延び、他端がリンク機構の連結アーム8の端部に軸支
される。実施形態では押動ロッド52の長さを連繋ロッ
ド54よりも若干短く設定している。これは、押動ロッ
ド52により回動アーム30を押動する操作に若干遅れ
てノズル22のリンク機構に対する連繋ロッド54の作
用が及ぶようにするためである。
【0016】電動モータ42の駆動力によりピニオン4
8を回動すると、これに歯合する扇形ギヤ50が支点軸
46を支点として回動し、これによって軸支プレート5
6が支点軸46を支点として回動し、押動ロッド52に
よって回動アーム30が回動駆動されるとともに連繋ロ
ッド54に連繋したノズル22のリンク機構が作動して
ノズル22の向きが変化する。前述したように、ノズル
22のリンク機構は主管24が上位置にあるときにはノ
ズル22が上向きになり、主管24が下位置にきたとき
にはノズル22が斜め下方に向くように設定する。図1
で中心線Aの右側には主管24が上位置にある状態、中
心線Aの左側には主管24が下位置にある状態を示す。
【0017】なお、図1では回動アーム30およびノズ
ル22のリンク機構と駆動アーム44との連繋機構を説
明するため、回動アーム30等の駆動機構については右
半部のみを示すが、左側の回動アーム30に対する駆動
機構の構成もまったく同様であり、各部の配置は左右対
称である。上述したように、本実施形態のスピードスプ
レーヤの薬液噴霧機構はノズル22の配向方向を回動ア
ーム30の回動動作に連動してリンク機構によって設定
したことを特徴とする。各ノズル22の動作を設定する
場合はノズル22に取り付ける揺動アーム38、揺動ア
ーム38を連結する連結アーム40、押動ロッド52、
連繋ロッド54等の長さ、取り付け位置を適宜設定する
ことによる。
【0018】図3、4は本実施形態の薬液噴霧機構で回
動アーム30およびノズル22のリンク機構が駆動機構
によって動作する様子を拡大して示す説明図である。図
3は主管24が上位置にある状態、図4は回動アーム3
0が下方に回動して主管24が下位置にある状態であ
る。前述したように、主管24は回動アーム30の端部
に固定され、主管24および回動アーム30はノズル2
2に対して固定フレームを構成する。押動ロッド52は
点Pを作用点としてこの固定フレームを軸36を支点と
して引き上げ、押し下げることによって回動動作をな
す。この回動動作によりノズル22が上下動する。
【0019】これに対して、連繋ロッド54は主管24
に支持されたノズル22の配向位置を主管24の回動位
置にともなって変化させる作用をなす。図3に示すよう
に押動ロッド52の他端と連繋ロッド54の他端との間
には連結リンク58を設置し、連繋ロッド54とノズル
22のリンク機構とはリンク片60を介して連繋してい
る。図3に示すように主管24が上位置にあるときに
は、押動ロッド52が回動アーム30を引き上げ、連繋
ロッド54はノズル22の揺動アーム38を相対的に押
すように作用している。すなわち、ノズル22の向きが
全体的に上向きになる。
【0020】一方、図4に示すように主管24が下位置
にきたときには、連繋ロッド54はノズル22の揺動ア
ーム38の作用端側を相対的に引き上げるように作用
し、これによってノズル22を下向きにしている。連繋
アーム54の作用を比較する場合は、連結リンク58が
回動アーム30に対してなす角を比較するのが良い。図
4では連結リンク58が回動アーム30に対し略平行に
なっていて、リンク機構を引き上げていることを示す。
【0021】上述したように、本実施形態のスピードス
プレーヤでは回動アーム30の回動動作に連繋してノズ
ル22の配向位置を変える構成としてノズル22を相互
にリンク係合するとともに、ノズル22のリンク機構と
駆動機構とをリンク結合してノズル22の配向位置を機
械的操作によって変えることができるようにしているか
ら、ノズル22の向きを変える動作を確実に行うことが
可能になった。
【0022】なお、ノズル22を相互にリンク係合する
構成、および回動アーム30の駆動機構にノズルのリン
ク機構を連繋する構成は種々の形態が可能であり、上記
実施形態の構成に限定されるものではない。なお、本実
施形態のスピードスプレーヤはフロントエンジン方式の
もので、薬液タンク14と整流筒18との間に若干のス
ペースを有する。実施形態ではこのスペースにブラケッ
ト32を配置してノズル22の移動とノズル22の向き
を可変としたものである。
【0023】
【発明の効果】本発明に係るスピードスプレーヤの薬液
噴霧機構によれば、上述したように、スピードスプレー
ヤから薬液を噴霧する際の噴霧範囲を広くすることがで
き、とくに、側方から下方に向けて薬液を噴霧する際に
はノズルの向きを斜め下向きにして傾斜地等での薬液噴
霧を有効に行うことができる。また、ノズルの移動動作
とノズルの配向方向を変える動作をリンク機構によって
構成しているから、回動アームの回動動作とともに円滑
にノズルの配向向きを変えることができ、またノズルの
動作を確実にすることができる等の著効を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】スピードスプレーヤの薬液噴霧機構を本体の後
面側から見た状態の説明図である。
【図2】スピードスプレーヤの薬液噴霧機構を側面方向
から見た状態の説明図である。
【図3】主管が上位置にある状態での各部の構成を示す
説明図である。
【図4】主管が下位置にある状態での各部の構成を示す
説明図である。
【図5】傾斜地でのスピードスプレーヤの動作を示す説
明図である。
【図6】従来のスピードスプレーヤの薬液噴霧機構を示
す説明図である。
【符号の説明】
10 本体 18 整流筒 20 ファン 22 ノズル 24 主管 30 回動アーム 32 ブラケット 36 軸 38 揺動アーム 40 連結アーム 42 電動モータ 44 駆動アーム 46 支点軸 50 扇形ギヤ 52 押動ロッド 54 連繋ロッド 56 軸支プレート 58 連結リンク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B05B 17/00 102 A01M 7/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スピードスプレーヤの車輌本体の後部か
    らエアを吸入し、整流部から車輌本体の側方に向けてエ
    アを噴出させるとともに、薬液タンクから薬液が供給さ
    れるノズルを前記整流部の開口縁に沿って移動可能に設
    け、エア流によりノズルから薬液を噴霧させるスピード
    スプレーヤの薬液噴霧機構において、車輌本体の中心を挟む左右両側に軸支された一対の回動
    アームと、該各回動アームの先端側に前記開口縁に沿っ
    て支持された薬液を供給する主管と、該主管に連通し配
    向位置が可変に取り付けられた複数個のノズルと、各ノ
    ズルから延設された揺動アーム及び該揺動アーム間を連
    結する連結アームを有するノズルのリンク機構と、前記
    回動アーム及びノズルのリンク機構を駆動する駆動機構
    とを備え、 前記駆動機構が、支点軸を支点として回動駆動される駆
    動アームと、 前記駆動アームと回動アームとに両端が軸支され、該駆
    動アームの回動動作にともなって回動アームに支持され
    た主管を所定範囲内で回動させる押動ロッドと、 前記押動ロッドとリンク結合されると共に、前記駆動ア
    ームとノズルのリンク機構との間を連繋し、前記主管の
    回動位置にともなって前記ノズルの配向位置を変化させ
    る連繋ロッドとを具備 したことを特徴とするスピードス
    プレーヤの薬液噴霧機構。
  2. 【請求項2】 車輌本体のフレームからブラケットを立
    設し、該ブラケットに前記回動アームを支持する軸を固
    定して回動アームを回動可能に支持したことを特徴とす
    る請求項1記載のスピードスプレーヤの薬液噴霧機構。
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