JP3088173B2 - pH指示薬含有被覆層の形成法 - Google Patents

pH指示薬含有被覆層の形成法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、pHの変化に応じて
鋭敏に変色する耐久性に優れたpH指示薬含有被覆層を
基体表面上に形成させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、フェノールフタレイン、フル
オレセイン、エオシン、ナフトールフタレインおよびチ
モールフタレイン等は溶液または試験紙に含浸させた形
態でpH指示薬や沈澱測定用指示薬として使用されてい
るため、試験や測定の度に適量の指示薬を添加したり、
試験紙を用いてpHを確認したりしなければならず、極
めて煩雑で非能率的である。一方、当該分野について
は、耐溶剤性、耐熱性、耐候性等の理由から、PTFE
等のフッ素系樹脂を一体成形または表面被覆して成る回
転子や撹拌棒が多用されるようになっている。従って、
この種のフッ素系樹脂に親和的に混練可能な指示薬が利
用できれば、各種のpH試験や滴定を極めて簡便かつ能
率的におこなうことが可能となる。
【0003】出願人は先に、このような要請に応える含
フッ素指示薬を提供し、該指示薬とフッ素系樹脂との混
練物を用いてpH測定用の装置や器具を一体成形する
か、または該混練物を該装置や器具等に表面被覆する方
法を提案した(特願平3−206755号)。
【0004】しかしながら、このような方法は、可使指
示薬が限定され、一般的でないだけでなく、pH指示薬
の活性基が表面に十分に露出しないために、pHの変化
に応じて鋭敏に変色しないという難点を有する。さら
に、一体成形法の場合には、不必要な量の高価な含フッ
素指示薬を使用するために、コスト的に不利であり、ま
た、表面被覆法の場合には、フッ素系樹脂製基体の表面
が撥水撥油性に富み、不活性なために、被覆層の密着性
や接着性が不十分となり、耐久性が劣るという問題があ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の諸
問題を解決し、広範囲のpH指示薬に適用でき、pHの変
化に応じて鋭敏に変色する耐久性に優れたpH指示薬含
有被覆層を、基体表面に形成させる方法を提供するため
になされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ちこの発明は、基体表
面上にフッ素系樹脂溶液またはフッ素系樹脂水性分散液
を塗布し、乾燥後、該塗膜を、pH指示薬を含有するフ
ッ素系樹脂水性分散液を用いて被覆し、該被覆層を乾燥
させることを特徴とするpH指示薬含有被覆層の形成法
に関する。
【0007】本発明の適用対象となる基体は特に限定的
ではなく、pHの測定に係わる各種の製品、部材および
部品等が挙げられるが、特に環境インジケータ用基体、
例えば、滴定用の回転子もしくは撹拌棒、反応釜、酸性
雨測定板、ビーカー、工場等からの廃液測定板、雨傘、
ホワイトボードおよび交通標識板等が一般的である。ま
た、基体の表面材質も特に限定的ではなく、例えば、フ
ッ素系樹脂をはじめとする各種の合成樹脂、金属、コン
クリート、ガラスおよびアスファルト等が挙げられる
が、フッ素系プライマー皮膜の剥離強度の観点からは、
フッ素系樹脂が好適である。
【0008】フッ素系樹脂としては、ポリテトラフルオ
ロエチレン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロア
ルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオ
ロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチ
レン−エチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチ
レン、クロロトリフルオロエチレン−エチレン共重合
体、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニルフルオラ
イド、軟質フッ素樹脂、ビニリデンフルオライド−ヘキ
サフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレ
ン−プロピレン共重合体、含フッ素シリコン樹脂、含フ
ッ素ビニルエーテル樹脂および含フッ素フォスファゼン
樹脂等が例示され、これらの樹脂は2種以上適宜併用し
てもよい。
【0009】フッ素系プライマー、即ち、フッ素系樹脂
溶液またはフッ素系樹脂水性分散液の塗布の前に、基体
表面は適当な洗剤および/または有機溶剤を用いる清浄
化処理に付すのが好ましい。
【0010】本発明に使用するフッ素系樹脂溶液は、フ
ッ素系樹脂を有機溶剤、例えばケトン(例えば、アセト
ン、メチルエチルレトン、シクロヘキサノン、メチルイ
ソブチルケトン、メチルn−ブチルケトン、エチルn−ブ
チルケトン、メチルn−アミルケトン、ジイソブチルケ
トン、メチルn−ヘキシルケトン、ジアセトンアルコー
ルおよびメチルフェノールケトン等)、エステル(例え
ば、n−プロピルアセテート、酢酸イソブチル、酢酸n−
ブチル、2−メトキシエチルアセテート、アミルアセテ
ート、アジピン酸ジメチル、グルタル酸ジメチルおよび
コハク酸ジメチル等)またはエーテル(例えば、メチルセ
ロソルブ、2−メトキシ−2−プロパノールセロソル
ブ、1−エトキシ−2−プロパノールブチルセロソル
ブ、1,4−ジオキサン、プロピレングリコールメチル
エーテルおよびプロピレングリコールメチルエーテルア
セテート等)等に適宜溶解させることによって調製され
る。フッ素系樹脂の濃度は通常10〜60重量%であ
る。
【0011】この種のフッ素系樹脂としては、ポリフッ
化ビニリデン、ポリビニルフルオライドやフッ化ビニリ
デン/ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン/
ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチレン、
フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン、テトラフル
オロエチレン/プロピレン、含フッ素シリコン系、含フ
ッ素ビニルエーテル系、含フッ素トリアジン系または含
フッ素フォスアゼン系等のフッ素ゴムにアクリル樹脂を
配合したものやフルオロオレフィンとビニルエーテル系
の共重合体等が例示される。
【0012】特に好ましいフッ素系樹脂溶液は、フッ化
ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリ
デン/ヘキサフルオロプロピレン/テトラフルオロエチ
レン、フッ化ビニリデン/トリフルオロエチレン、テト
ラフルオロエチレン/プロピレン、含フッ素シリコン
系、含フッ素ビニルエーテル系、含フッ素トリアジン系
または含フッ素フォスアゼン系等のフッ素ゴム50〜9
0重量%とメチルメタクリレートを主体とするアクリル
系重合体[90重量%以上のメチルメタクリレートとア
クリル酸もしくはメタクリル酸のアルキルエステル(例
えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエス
テル、ブチルエステル、イソブチルエステル、n−ヘキ
シルエステル、2−エチルヘキシルエステルまたはラウ
リルエステル等)との共重合体]50〜10重量%から成
る混合樹脂を上記のケトン、エステルまたはエーテルに
溶解した溶液である。
【0013】本発明に使用するフッ素系樹脂水性分散液
は、フッ素系樹脂を水性媒体に適宜分散させて調製され
る。フッ素系樹脂の分散量は通常10〜60重量%であ
り、また、樹脂粒の大きさは通常0.05〜5μmであ
る。
【0014】この種のフッ素系樹脂水性分散液として
は、フッ化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、
テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、
パーフルオロアクリル酸などのフッ素含有エチレン系不
飽和化合物の単独重合体または共重合体、あるいはフッ
化ビニリデン、トリフルオロクロロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフル
オロアクリル酸などのフッ素含有エチレン系不飽和化合
物と重合可能なモノマー、例えば、ブタジエンまたはク
ロロプレン等との共重合体の水性分散液、または上記フ
ッ素系重合体粒子100重量部の存在下に、アルキル基
の炭素原子数1〜18のアクリル酸及び/またはメタク
リル酸アルキルエステル(例えば、アクリル酸メチル、
アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n
−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸アミル、
アクリル酸イソアミル、アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸メチル、メタク
リル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n
−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミ
ル、メタクリル酸イソアミル、メタクリル酸2−エチル
ヘキシル、メタクリル酸ラウリル等)ならびに必要に応
じてこれらと共重合可能なエチレン系不飽和化合物(例
えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、クロトン
酸およびイタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸、
酢酸ビニルなどのビニル化合物、アクリルアミド、メタ
クリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−メチル
メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N
−メチロールメタクリルアミド、N−アルキルアクリル
アミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジア
ルキルアクリルアミドおよびN,N−ジアルキルメタク
リルアミドなどのアミド化合物、アクリル酸2−ヒドロ
キシエチル、アクリル酸N−ジアルキルアミノエチル、
アクリル酸グリシジル、アクリル酸フルオロアルキルな
どのアクリル酸エステル、メタクリル酸ジアルキルアミ
ノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸フル
オロアルキル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、エ
チレングリコールジメタクリレートなどのメタクリル酸
エステルおよびアリルグリシジルエーテルなどのビニル
エーテル化合物、1,3−ブタジエンおよびイソプレン
等の共役ジエン、スチレン、α−メチルスチレンおよび
ハロゲン化スチレンなどの芳香族ビニル化合物、ジビニ
ルベンゼンなどのジビニル化合物、アクリロニトリルお
よびメタクリロニトリルなどのシアン化ビニル等)を含
有する単量体混合物5〜100重量部を水性媒体中で乳
化重合してえられるフッ素系樹脂水性分散液等が例示さ
れる。
【0015】フッソ系樹脂溶液又は、フッ素系水性分散
液を塗布し、乾燥する温度は、基体表面上に強固な膜を
形成させるためには、フッ素系樹脂溶液の場合には、室
温から150℃が好ましく、特に、30〜150℃が好
ましい。また、フッ素系樹脂水性分散液の場合には、1
00〜250℃が好ましく、特に好ましいのは130〜
220℃である。水性分散液の場合は、乾燥温度が低す
ぎると膜強度が充分でなく、また、剥がれ易い。
【0016】本発明に使用するpH指示薬含有フッ素系
樹脂水性分散液は、上記のフッ素系樹脂水性分散液にp
H指示薬溶液を通常0.1〜20重量%配合することに
よって調製される。pH指示薬溶液の配合量が0.1重
量%よりも少ないと、pH指示薬の変色が確認し難く、
20重量%よりも多くなると、分散液の安定性が損なわ
れる。
【0017】pH指示薬溶液は、pH指示薬を水または有
機溶剤、好ましくは、アルコール(例えば、メタノー
ル、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、イソ−ブタノール、エチレングリコー
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルまたはエチ
レングリコールモノエチルエーテル等)、ケトン(例え
ば、アセトン、メチルエチルレトン、シクロヘキサノ
ン、メチルイソブチルケトン、メチルn−ブチルケト
ン、エチルn−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、
ジイソブチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、ジア
セトンアルコールまたはメチルフェノールケトン等)、
エステル(例えば、酢酸エチル、n−プロピルアセテー
ト、酢酸イソブチル、酢酸n−ブチル、2−メトキシエ
チルアセテート、アミルアセテート、アジピン酸ジメチ
ル、グルタル酸ジメチル、コハク酸ジメチル等)、エー
テル(例えば、メチルセロソルブ、2−メトキシ−2−
プロパノールセロソルブ、1−エトキシ−2−プロパノ
ールブチルセロソルブ、1,4−ジオキサン、プロピレ
ングリコールメチルエーテルまたはプロピレングリコー
ルメチルエーテルアセテート等)または非プロトン性極
性溶媒(例えば、アセトニトリル、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル
ピロリドン、ジメチルスルホキシドまたはスルホラン
等)等、特に好ましくは、アセトン、メチルエチルレト
ン、酢酸エチルまたはメチルセロソルブ等に溶解させる
ことによって調製される。pH指示薬の濃度は、通常は
0.1重量%以上であり、0.1重量%よりも小さいと
pH指示薬の変色が確認し難い。
【0018】本発明に用いるpH指示薬としては、メチ
ルバイオレット6B、メタクレゾールパープル、メタニ
ルイエロー、チモールブルー、p−キシレノールブル
ー、ペンタメトキシレッド、トロパエオリン00、ベン
ゾパープリン4B、キナリジンレッド、アリザリンイエ
ローR、2,6ジニトロフェノール、2,4ジニトロフェ
ノール、ヘキサメトキシレッド、メチルイエロー、ダイ
レクトパープル、ブロモフェノールブルー、テトラブロ
モフェノールブルー、コンゴーレッド、メチルオレン
ジ、ブロモクロロフェノールブルー、α−ナフチルレッ
ド、Naアリザリンスルホネート、ブロモクレゾールグ
リーン、2,5−ジニトロフェノール、ブロモクレゾー
ルパープル、ブロモフェノールレッド、アリザリン、ブ
ロモチモールブルー、キノリンブルー、p−ロゾリック
酸、フェノーレッド、クレゾールレッド、α−ナフトー
ルフタレイン、Naα−ナフトールアゾベンゼンスルフ
ォネート、o−クレゾールフタレイン、フェノールフタ
レイン、α−ナフトールベンザイン、チモールフタレイ
ン、アリザリンイエローGG、ニトラミン、1,3,5−
トリニトロベンゼン、インジゴカーミン、含フッ素o−
クレゾールフタレイン、含フッ素α−ナフトールフタレ
イン、含フッ素フェノールフタレインおよび含フッ素ア
ゾ色素等が挙げられるが、特にフッ素系樹脂と親和性の
高い含フッ素pH指示薬が好ましい。
【0019】本発明によってpH指示薬含有被覆層を形
成させるには、まず、上述のようにして調製されるフッ
素系樹脂溶液またはフッ系素樹脂水性分散液を、基体表
面上に塗布した後、該塗膜を乾燥処理に付す。塗布方法
は、塗装の分野において常用されている方法の中から、
基体の種類や材質等に応じて適当な方法を適宜選択すれ
ばよく、特に限定的ではないが噴霧法、浸漬法および刷
毛塗法等が一般的である。乾燥処理は空気中でおこなえ
ばよく、また、処理温度はフッ素系樹脂の種類や含有量
および基体の種類や材質等に応じて適宜選定すればよい
が通常は周囲温度〜200℃である。乾燥後の塗膜は、
密着性や接着性等の二次加工性に富む均一な皮膜であ
る。なお、上記の塗布処理と乾燥処理は、所望により、
複数回繰り返してもよい。
【0020】上記のようにして調製されたフッ素系プラ
イマー塗膜上に、前述のpH指示薬を含有するフッ素系
樹脂水性分散液を噴霧法、浸漬法または刷毛塗法等の塗
装法によって塗布し、該塗膜を乾燥処理に付す。乾燥処
理は空気中でおこなえばよく、また、処理温度は通常は
周囲温度〜200℃、特に、50〜150℃である。た
だし、乾燥温度をあまり高くすると、膜強度は強くなる
が、一方、pH指示薬は、樹脂膜内に入り込み、pH変
化に応じて、鋭敏に変化しなくなる。このようにして形
成されるpH指示薬含有被覆層は上記のフッ素系プライ
マー塗膜に密着した耐久性である。
【0021】
【実施例】以下、本発明を実施例によって説明する。実施例1 テフロン樹脂で被覆した回転子をフッ素系樹脂溶液(フ
ローレン(日本合成ゴム(株))を用いて被覆し、常温で乾
燥させた。回転子表面には均一な膜(膜厚:約)が形成さ
れた。該塗膜を、フェノールフタレイン0.5重量部を
含むアセトン溶液5重量部をフッ素系樹脂水分散液(F
EP(三井・デュポン・フロロケミカル(株)))95重量
部に加えて得られた水性分散液を用いて被覆し、100
℃で乾燥させた。得られたpH指示薬含有被覆層を有す
る回転子は、酸性およびアルカリ性条件下において鋭敏
な変色反応を示した。この鋭敏な変色反応は繰り返して
約5回観測された。
【0022】実施例2 フェノールフタレインの代わりにメチルレッドを用いる
以外は実施例1と同様にして得られたpH指示薬含有被
覆層を有する回転子は、酸性およびアルカリ性条件下に
おいて、鋭敏な変色反応を繰り返して約5回示した。
【0023】実施例3および4 フェノールフタレインの代わりに次式(1)または(2)で
表わされる含フッ素指示薬を用いる以外は実施例1と同
様にして得られたpH指示薬含有被覆層を有する回転子
は、酸性およびアルカリ性条件下において、鋭敏な変色
反応を20回以上繰り返して示した。
【化1】
【化2】
【0024】実施例5 フェノールフタレイン0.5重量部の代わりに、前記の
式(1)および(2)で表わされる含フッ素指示薬をそれぞ
れ0.25重量部用いる以外は実施例1と同様にして得
られたpH指示薬含有被覆層を有する回転子は、酸性お
よびアルカリ性条件下において、鋭敏な変色反応を20
回以上繰り返して示した。
【0025】比較例1 フェノールフタレイン0.5重量部を含むアセトン溶液
5重量部をフッ素系樹脂溶液(フローレン(日本合成ゴム
(株)))95重量部に溶解して調製された溶液を用いてテ
フロン樹脂製回転子の表面を被覆し、100℃で乾燥す
ることによって得られた回転子は、酸性およびアルカリ
性条件下において、変色反応を示さなかった。
【0026】比較例2 フェノールフタレインの代わりに、前記の式(1)で表わ
される含フッ素指示薬を用いる以外は比較例1と同様に
して得られた回転子は酸性およびアルカリ性条件下にお
いて、変色反応を示さなかった。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、不活性な表面を有する
フッ素系樹脂成形体を含む種々の材質の基体の表面を、
フッ素系プライマー塗膜によって密着性や接着性等の二
次加工性に富むように改質した後、該塗膜上に、フッ素
系樹脂基材中にpH指示薬が活性基を表面に十分に露出
した状態で均一に分散されたpH指示薬含有被覆層が密
着形成される。従って、本発明によれば、pHの変化に
応じて鋭敏に変色する耐久性(耐剥離性、耐摩耗性、耐
熱性および耐候性等)に優れたpH指示薬含有被覆層を有
する各種のpH測定用の装置や器具、例えば、滴定用の
回転子もしくは撹拌棒、反応釜、酸性右測定板、廃液測
定板、雨傘、ホワイトボードおよび交通標識板等の環境
インジケータを製造することができる。このような装置
や器具等を利用することによって、各種のpHに係わる
試験、測定、滴定、判定および検査等を極めて簡便かつ
能率的におこなうことが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 矢野 興二 滋賀県甲賀郡甲西町大池町1番1 株式 会社ネオス内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 31/22

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基体表面上にフッ素系樹脂溶液またはフ
    ッ素系樹脂水性分散液を塗布し、乾燥後、該塗膜を、p
    H指示薬を含有するフッ素系樹脂水性分散液を用いて被
    覆し、該被覆層を乾燥させることを特徴とするpH指示
    薬含有被覆層の形成法。
  2. 【請求項2】 pH指示薬が含フッ素pH指示薬である
    請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 基体が環境インジケータ用基体である請
    求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】 環境インジケータ用基体が、滴定用の回
    転子もしくは撹拌棒、反応釜、酸性雨測定板、雨傘、ホ
    ワイトボードまたは交通標識板である請求項3記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載の方法によ
    って形成されたpH指示薬含有被覆層を有する環境イン
    ジケータ。
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