JP3087952B2 - Atm交換機 - Google Patents

Atm交換機

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JP3087952B2
JP3087952B2 JP21647996A JP21647996A JP3087952B2 JP 3087952 B2 JP3087952 B2 JP 3087952B2 JP 21647996 A JP21647996 A JP 21647996A JP 21647996 A JP21647996 A JP 21647996A JP 3087952 B2 JP3087952 B2 JP 3087952B2
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英司 大木
直明 山中
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Nippon Telegraph and Telephone Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はATM(Asynchronou
s Transfer Mode:非同期転送モード) 通信に利用する。
本発明は複数の品質クラスのコネクションが混在するA
TM通信網に利用する。
【0002】
【従来の技術】フレーム内の送出スロット位置を指定す
ることにより、各コネクション毎に確定的に帯域を割り
当てるSTM(Synchronous Transfer Mode) 交換と異な
り、ATM交換では各コネクションは任意の時刻にセル
を送出することができる。ATM交換においてはコネク
ション設定時に当該コネクションのトラヒックディスク
リプタを申告させ、セル損失が起きないようにコネクシ
ョン受付けの可否判断を行う。
【0003】ATM交換機内でセル損失が発生する主な
箇所は、セルがVP(Virtual Path)に送出されるATM
交換機の出力バッファである。出力バッファにおけるセ
ル読出アルゴリズムを図13および図14を参照して説
明する。図13は出力バッファを示す図である。図14
は出力バッファにおけるセル読出アルゴリズムを示す図
である。単純なセルの送出方法としては図13のような
FIFO(First in first out)の出力バッファで、図1
4のアルゴリズムにしたがうものがある。これは、1セ
ル時間毎にセルの読出しタイミングがあり、その読出し
タイミングになったときに(S1)、バッファにセルが
あれば(S2)、バッファの先頭のセルを読出す(S
3)。
【0004】ピークセル速度、平均セル速度、バースト
性、ピーク継続時間、ソースタイプ(例えば、電話、ビ
デオ)などがトラヒックディスクリプタの候補として考
えられる。ピークセル速度のみを用いたコネクションの
受付可否判定を行う場合は、各コネクションからのセル
送出のバースト性が強い(平均セル速度とピークセル速
度の比が大きい)場合は十分に帯域使用効率が上げられ
ないことが問題となる(以後、このようにピークセル速
度を基に帯域運用を行う方式をピーク割当方式と呼
ぶ)。
【0005】この問題点の一つの解として斉藤らは文献
“Dynamic call admission controlin ATM networks”.
IEEE J.Select.Areas Commun.,Vol.9(No.7):pp982-989,
Sept.1991. にてセル流量の観測に基づくコネクション
の受付判定を行う方式(CAC:Connection Admission Cont
rol)を提案している。
【0006】斉藤らの方式はウィンドウサイズ内の到着
セル数を観測しており、複数ウィンドウからなる観測周
期内で得られた到着セル数分布の統計処理を行ってい
る。
【0007】従来のコネクション判定では、新たにVC
(Virtual Channel) 接続要求が発生した場合には、固定
ウィンドウ長rで観測された到着セル数分布とVCのセ
ル送出分布とを畳み込んだ分布に基づいて、VC受け付
け後のセル損失率の上限を、
【0008】
【数1】 により推定する。〔外1〕は、既に受け付けられている
n本のVCに対する到着セル数分布、〔外2〕は、新し
い要求VCのセル送出分布、*は畳み込み積分である。
n+1 、An+1 は、固定ウィンドウγでのそれぞれ最
大、平均セル送出数である。ユーザがAn+1 を申告でき
ないときは、An+1 =Rn+1 とする。固定ウィンドウ長
rは、バッファサイズをKとして、r≦K+1である。
セル到着分布〔外3〕は、
【0009】
【数2】 のように、N個の固定ウィンドウ毎に更新される。〔外
4〕は、N×rの更新期間に観測されたセル到着分布で
ある。αは平滑化係数であり、 0≦α≦1 である。
【0010】
【外1】
【0011】
【外2】
【0012】
【外3】
【0013】
【外4】 従来の接続要求受付判定装置のブロック構成を図15に
示す。バッファ10に到着するセル流をセル流観測装置
3で観測する。観測に用いる固定ウィンドウのサイズr
はカウンタC1を用いて定められる。カウンタC2は、
更新期間において、ウィンドウの数がNになるまで計数
する。図16は観測する固定ウィンドウの動作を示すフ
ローチャートである。更新期間が開始すると(S1
1)、i=1とし(S12)、i番目の固定ウィンドウ
による観測を開始する(S13)。計数値C=0とし
(S14)、セル読出タイミング毎に(S15)、計数
値を一つずつ加算する(S16)。計数値がウィンドウ
サイズrになったら(S17)、固定ウィンドウを終了
する(S18)。ここで、i=i+1として(S1
9)、iの値がNを越えるまで繰り返される(S2
0)。このフローは更新期間終了まで繰り返される(S
21)。
【0014】図17は従来の固定ウィンドウのサイズを
示す図である。図17のように、固定ウィンドウは、t
=0からスタートしたとき、1セル時間毎にカウンタC
1が加算される。カウンタC1の値がrになったとき、
固定ウィンドウは終了する。図18は更新期間を示す図
である。更新期間は、N個の固定ウィンドウからなる。
それぞれの固定ウィンドウのサイズはrである。
【0015】更新期間が終了したら、セル到着分布を、
セル到着分布履歴保持部2で、式3にしたがって更新す
る。新しいコネクションの接続要求が発生した場合に
は、セル損失率予測部1で、コネクション受付後のセル
損失率を推定する。推定したセル損失率は、コネクショ
ン受付判定部4に転送され、推定値がコネクション受付
判定部4でセル損失率規定値以下ならば、コネクション
を受付け、推定値が規定値より大きければ、コネクショ
ンを受付けない。従来のコネクション受付判定アルゴリ
ズムを図19に示した。コネクション接続要求が発生す
ると、コネクション受付後のセル損失率推定値の最大値
(pclr ) を計算する(S31)。セル損失率推定値の
最大値(pclr ) がセル損失率規定値(CLR)以下な
らば(S32)、コネクションを受付け(S33)、推
定値が規定値より大きければ、コネクションを受付けな
い(S34)。
【0016】このように、従来のコネクション受付判定
は、セル流観測に基づいているので、ユーザが正確にコ
ネクションの送出トラヒックを申告できないときや、多
数のトラヒック特性を有するコネクションが混在する場
合でも有効である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
接続要求受付判定装置は、単一の品質クラスのコネクシ
ョンしか対象としていない。網資源を効率良く使用しな
がら、複数の品質クラス(例えば、遅延やセル損失率)
を提供する手段として、品質クラス毎にバッファを設け
て、低優先(高遅延)クラスに対して、高優先(低遅
延)クラスのセルを優先的に読出す完全優先制御法があ
る。
【0018】完全優先制御法では、高優先クラスのバッ
ファに蓄積されているセルがないときのみ、低優先クラ
スのセルは、バッファから読出される。したがって、低
優先クラスのセルの遅延の増加を許容しつつ、高優先ク
ラスのセルの遅延を最小限に抑えることができる。
【0019】また、遅延の他にセル損失率も重要な品質
の一つであり、低優先クラスのセル損失率をある規定値
以下にする必要が生じる。したがって、低優先クラスの
コネクションに対してもコネクション受付判定を行う必
要がある。しかし、低優先クラスのセルの読出しを行う
イベントが、高優先クラスのバッファの状態に依存して
変動するため、従来の接続要求受付判定装置での固定ウ
ィンドウによるセル流観測に基づくコネクション受付判
定を行うことができない。
【0020】このため、低優先クラスのコネクションに
対して、セル損失率を保証することができない。したが
って、セル損失率を保証することを要求するコネクショ
ンに対しては、低優先クラスとして扱うことができなか
った。それゆえ、網リソースを有効的に使用することが
できない。
【0021】本発明は、このような背景に行われたもの
であり、QoS(Quality of Services) クラス毎にバッ
ファを設けて、低優先(高遅延)クラスに対して、高優
先(低遅延)クラスのセルを優先的に読出す完全優先制
御法を行う場合に、高優先クラスのコネクションと低優
先クラスのコネクションの両方のセル損失率をそれぞれ
の規定値以下にするように、コネクション受付判定を行
うことができる接続要求受付判定装置を備えたATM交
換機を提供することを目的とする。本発明は、網リソー
スを有効に利用することができる接続要求受付判定装置
を備えたATM交換機を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明の接続要求受付判
定装置は、複数の品質クラス別に用意されたバッファで
完全優先制御を行うとき、高優先クラスと低優先クラス
のセル流を観測し、これらのセル流の観測に基づきコネ
クションの受付を判定することを最も主要な特徴とす
る。
【0023】また、高優先クラスのセル流を観測するウ
ィンドウは、従来と同じ固定長のウィンドウであるが、
低優先クラスのセル流を観測するウィンドウは等価ウィ
ンドウであり、低優先クラスのセル読出し機会が与えら
れる回数が一定となるようにウィンドウサイズが決定さ
れる。
【0024】高優先クラスのコネクションの接続要求が
あったときは、それぞれのセル流の観測に基づいて高優
先クラスのセル損失率と低優先クラスのセル損失率を推
定する。それぞれの推定値がセル損失率規定値以下なら
ば、高優先クラスのコネクションを受付け、少なくとも
一つの推定値が規定値より大きければ、高優先クラスの
コネクションを受付けない。
【0025】低優先クラスのコネクションの接続要求が
あったときは、低優先クラスのセル流の観測に基づいて
低優先クラスのセル損失率を推定する。推定したセル損
失率は、低優先クラスのセル損失率規定値以下ならば、
低優先クラスのコネクションを受付け、推定値が規定値
より大きければ、低優先クラスのコネクションを受付け
ない。
【0026】従来の接続要求受付判定装置は、一つの品
質クラスのコネクションのみを対象としていたが、本発
明の接続要求受付判定装置は、複数の品質クラスのコネ
クションを対象としている。
【0027】すなわち、本発明はATM交換機であっ
て、交換接続すべきセル流に対し高優先クラスおよび低
優先クラスの各セル流について個別に設けられた二つの
バッファと、高優先クラス用バッファのセルを低優先ク
ラス用バッファのセルに優先して読出す読出制御手段
と、前記二つのバッファに流入する各セルからの交換接
続要求に対する受付可否を判定する接続要求受付判定装
置とを備えたATM交換機である。本発明の特徴とする
ところは、前記接続要求受付判定装置は、前記二つのバ
ッファにそれぞれ流入する高優先クラスおよび低優先ク
ラスの双方のセル流について、セル流量を観測する手段
と、その観測の履歴を保持する手段と、その履歴からセ
ル損失率を推定する手段と、その推定結果をパラメタと
して受付判定を行う手段とを含むところにある。
【0028】前記受付判定を行う手段は、高優先クラス
の接続要求に対しては高優先クラスのセル損失率推定値
および低優先クラスの双方のセル損失率推定値がそれぞ
れ所定水準を維持するように、低優先クラスの接続要求
に対しては低優先クラスのセル損失率推定値が所定水準
を維持するように受付判定を行う手段を含むことが望ま
しい。
【0029】前記低優先クラスのセル流量を観測する手
段は、高優先クラス用バッファに読出すセルがないとき
に計数値が加算されるカウンタと、そのカウンタの計数
値にしたがって低優先クラスのセル流量を観測する期間
を定める手段とを備えることが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
【0031】
【実施例】本発明実施例の構成を図1および図2を参照
して説明する。図1は本発明実施例の全体構成図であ
る。図2は本発明実施例の接続要求受付判定装置のブロ
ック構成図である。
【0032】本発明はATM交換機5であって、交換接
続すべきセル流に対し高優先クラスおよび低優先クラス
の各セル流について個別に設けられた二つのバッファと
しての高優先クラス用バッファBH および低優先クラス
用バッファBL と、高優先クラス用バッファBH のセル
を低優先クラス用バッファBL のセルに優先して読出す
読出制御手段としての読出制御部50と、高優先クラス
用バッファBH および低優先クラス用バッファBL に流
入する各セルからの交換接続要求に対する受付可否を判
定する接続要求受付判定装置7とを備えたATM交換機
5である。
【0033】ここで、本発明の特徴とするところは、接
続要求受付判定装置7は、高優先クラス用バッファBH
および低優先クラス用バッファBL にそれぞれ流入する
高優先クラスおよび低優先クラスの双方のセル流につい
て、セル流量を観測する手段としての高優先セル流観測
装置23および低優先セル流観測装置33と、その観測
の履歴を保持する手段としての高優先クラスセル到着分
布履歴保持部22および低優先クラスセル到着分布履歴
保持部32と、その履歴からセル損失率を推定する手段
としての高優先クラスセル損失率予測部21および低優
先クラスセル損失率予測部31と、その推定結果をパラ
メタとして受付判定を行う手段としての高優先クラスコ
ネクション受付判定部20および低優先クラスコネクシ
ョン受付判定部30とを含むところにある。
【0034】高優先クラスコネクション受付判定部20
は、高優先クラスのセル損失率推定値および低優先クラ
スの双方のセル損失率推定値がそれぞれ所定水準を維持
するように受付判定を行い、低優先クラスコネクション
受付判定部30は低優先クラスのセル損失率推定値が所
定水準を維持するように受付判定を行う。
【0035】低優先セル流観測装置33は、高優先クラ
ス用バッファBH に読出すセルがないときに計数値が加
算されるカウンタI1と、そのカウンタI1の計数値に
したがって低優先クラスのセル流量を観測する期間を定
める手段としてのカウンタI2とを備えている。
【0036】ここで、本発明のコネクション受付判定の
概要を説明する。図3は品質クラス別の二つの出力バッ
ファである高優先クラス用バッファBH および低優先ク
ラス用バッファBL を示す図である。図4は完全優先制
御アルゴリズムの動作を示すフローチャートである。図
4のフローチャートを用いて、図3の構成における完全
優先制御の動作を示す。1セル時間毎にセルの読出タイ
ミングがあり、そのセル読出タイミングになったときに
(S41)、高優先クラス用バッファBH にセルがあっ
たら(S42)、高優先クラス用バッファBH からセル
を読出す(S43)。もし、高優先クラス用バッファB
H にセルがなければ(S42)、低優先クラス用バッフ
ァBL にセルがある場合は(S44)、低優先クラス用
バッファBL からセルを読出す(S45)。
【0037】本発明のコネクション受付判定方法の概念
を図5および図6を参照して説明する。図5は高優先ク
ラスのコネクション受付判定手順を示すフローチャート
であり、図6は低優先クラスのコネクションの受付判定
手順を示すフローチャートである。図5を参照して高優
先クラスのコネクションの接続要求のときを考える。高
優先クラスのセルが受付られると、高優先クラスと低優
先クラスの両方のバッファに影響を与える。したがっ
て、図5のように、高優先クラスのコネクションの受付
後の各クラスのバッファにおけるセル損失率(PH (H)
clr およびPL (H) clr )を推定し(S51、S5
3)、それぞれのセル損失率推定値(PH (H)clr およ
びPL (H) clr )が規定値(CLRH およびCLRL
以下であれば(S52、S54)、新しい高優先クラス
のコネクションが受付られる(S55)。
【0038】一方、図6に示す低優先クラスのコネクシ
ョンの接続要求時では、低優先クラスのコネクションが
受付けられたとき、高優先クラスのバッファには影響を
与えず、低優先クラスのバッファのみ影響を与える。図
6のように、低優先クラスのコネクションの受付後の低
優先クラス用バッファBL におけるセル損失率(PL(L)
clr )を推定し(S61)、その推定値(PL (L)
clr )が規定値(CLRL )以下であれば(S62)、
新しい低優先クラスのコネクションが受付けられる(S
63)。
【0039】次に、高優先クラスのセル流と低優先クラ
スのセル流の観測方法について説明する。高優先クラス
と低優先クラスのバッファサイズを、それぞれ、KH
Lとする。図7および図8は、各々のクラスでセル流
観測に用いられるウィンドウを示している。図7は高優
先クラス用バッファにおける固定ウィンドウを示す図で
あり、図8は低優先クラス用バッファにおける等価ウィ
ンドウを示す図である。更新期間は、N個の観測ウィン
ドウより構成されている。
【0040】図7は、高優先クラスのウィンドウサイズ
H (i)(i=0,1,…,N)はすべてのiに対し
てrH (一定)である(ただし、rH ≦KH +1)。こ
の高優先クラスの固定ウィンドウは、従来のコネクショ
ン受付判定に用いられた固定ウィンドウと同じである。
【0041】一方、図8のように低優先クラスのウィン
ドウサイズwL (i)(i=0,1,…,N)は、高優
先クラス用バッファの状態により変化する。この低優先
クラスの観測ウィンドウを等価ウィンドウと呼ぶ。図9
は等価ウィンドウの動作を示す図であるが、例えば、i
番目の観測では等価ウィンドウサイズは、図9のように
決定される。図10は等価ウィンドウの動作アルゴリズ
ムを示すフローチャートである。rL は、ある等価ウィ
ンドウによるセル流の観測中に行われる低優先クラス用
バッファからのセル読出回数を表している(ただし、r
L ≦KL +1)。Ce は低優先クラスのセル読出しのカ
ウンタ、te は時刻である。まず、時刻te =0で、C
e =0とし(S74)、i番目の等価ウィンドウによる
セル流観測をスタートする(S71〜S73)。高優先
クラス用バッファにセルがないときのみ、つまり、低優
先クラスのセル読出機会が与えられたときのみ(S7
5、S76)、Ce は加算される(S77)。高優先ク
ラス用バッファにセルがあるときは、低優先クラスのセ
ルは読出されることはないので、Ce の値は変わらな
い。時刻t=Te (i)で、Ce がrL に等しくなると
き(S78)、i番目の等価ウィンドウによるセル流観
測を終了する(S79)。したがって、i番目の等価ウ
ィンドウサイズw(i)は、Te (i)となる。この時
点で、i+1番目の等価ウィンドウがスタートし(S8
0)、同様のプロセスがN個の等価ウィンドウに対して
行われる(S81、S82)。
【0042】このように、等価ウィンドウでは、低優先
クラスのバッファにセル読出機会が与えられる回数(r
L )が一定となるように、ウィンドウサイズが定められ
ている。したがって、等価ウィンドウサイズは、高優先
クラスのバッファの状態に応じて適応的に変化すること
ができる。この等価ウィンドウで観測されたセル到着分
布は、単純FIFOにおいて固定ウィンドウ長rL で観
測したセル到着分布と等価的な扱いができる。
【0043】高優先・低優先クラスのバッファに対し
て、それぞれ固定・等価ウィンドウを用いて、セル到着
分布が得られる。観測されたセル到着分布を、それぞれ
〔外5〕、〔外6〕とする。
【0044】
【外5】
【0045】
【外6】 ここで、高優先クラスのコネクション受付判定について
説明する。まず、高優先クラスのセル損失率について説
明する。高優先クラスのコネクションの接続要求があっ
たとき、高優先クラスのコネクション受付後の高優先ク
ラスのセル損失率PH (H) clr は以下のように推定でき
る。
【0046】
【数3】 〔外7〕は、新しい高優先クラスの要求コネクションの
セル送出分布、RH n+1 、AH n+1 は、固定ウィンドウ
H でのそれぞれ最大、平均セル送出数である。式
(4)で計算されるセル損失率推定値は、図5の1番目
(S52)の条件判定に用いられる。式(4)(5)
は、従来のコネクション受付判定の式(1)(2)と基
本的には同じものである。
【0047】従来の方法と同様に高優先クラスのセル到
着分布〔外8〕は、
【0048】
【数4】 のように、更新期間毎に更新される。〔外9〕は、N×
H の更新期間に観測された高優先クラスのセル到着分
布である。αは平滑化係数であり、0≦α≦1である。
【0049】
【外7】
【0050】
【外8】
【0051】
【外9】 次に、高優先クラスのコネクション受付判定における低
優先クラスのセル損失率について説明する。低優先クラ
ス用バッファの状態は、高優先クラス用バッファの状態
に影響される。高優先クラスの新しいコネクション受付
後の低優先クラスのセル損失率PL (H) clr を推定する
ために、高優先クラス用バッファ状態の変化をパラメー
タbを用いて表す。新しい高優先クラスのコネクション
が受付けられると、等価ウィンドウで観測される低優先
クラスのセル到着数は、等価ウィンドウ長が大きくなる
ので増加する。図11はパラメータbの状態を示す図で
あり、横軸に到着セル数をとり、縦軸に低優先クラスセ
ル到着分布pL および引き延ばされたセル到着分布pL
ext をとる。パラメータbは等価ウィンドウで観測した
低優先クラスのセル到着分布〔外6〕を横軸方向(到着
セル数)に図11のように引き延ばす度合いを示す。引
き延ばされた(extended)低優先クラスのセル到着分布
は、
【0052】
【数5】 で表される。〔x〕は、x以上の最小の整数である。
〔外10〕もN個の等価ウィンドウ毎に更新される。高
優先クラスの新しいコネクション受付後の低優先クラス
のセル損失率PL (H) clr は、pL ext (k)を用い
て、
【0053】
【数6】 で推定できる。式(8)で計算されるセル損失率推定値
は、図5の2番目(S54)の条件判定に用いられる。
ここで、rl は、既に述べたように、等価ウィンドウサ
イズを決定するパラメータであり、 rL ≦KL +1 である。式(8)は、等価ウィンドウを用いた場合のセ
ル損失率の上限式を与えている。低優先クラスのセル到
着分布〔外10〕は、
【0054】
【数7】 のように更新期間毎に更新される。
【0055】
【外10】 〔外11〕は、更新期間に観測された低優先クラスのセ
ル到着分布である。αは平滑化係数であり、 0≦α≦1 である。パラメータbは、高優先クラスのコネクション
受付前のバッファ負荷yH と、コネクション受付後のバ
ッファ負荷の推定値yH ′を用いて、 b=(1−yH )/(1−yH ′) (10) で定義される。bは、コネクション受付前の平均の等価
ウィンドウサイズに対するコネクション受付後の平均の
等価ウィンドウサイズの割合である。yH 、yH′は、
それぞれ、
【0056】
【数8】 で与えられる。
【0057】
【外11】 ここで、低優先クラスのコネクション受付制御について
説明する。低優先クラスのセル損失率について説明す
る。低優先クラス用バッファの状態は、高優先クラス用
バッファの状態に影響を与えないので、図6に示したよ
うに、低優先クラスのコネクション受付後の低優先クラ
スのバッファのセル損失率PL (L) clr のみ推定すれば
よい。PL (L) clr は、
【0058】
【数9】 で推定できる。〔外12〕は、等価ウィンドウで観測し
たと仮定したときの新しい低優先クラスの要求コネクシ
ョンのセル送出分布であり、RL n+1 、AL n+1は、固
定ウィンドウサイズrL でのそれぞれ最大、平均セル送
出数である。式(4)(5)と式(13)(14)との
特徴的な差異は、セル到着分布を観測するウィンドウと
因子1/(1−yH )である。
【0059】
【外12】 高優先クラス用バッファ負荷がyH のとき、等価ウィン
ドウの平均サイズは、パラメータrL の1/(1−
H )倍となる。したがって、等価ウィンドウを用いて
新しいコネクションのセル流を観測したとき、低優先ク
ラスにおける平均セル送出数は、AL n+1 /(1−
H )であり、最大セル送出数は、RL n+1 /(1−y
H )と近似できる。
【0060】ここで、図2に戻り、本発明実施例の接続
要求受付判定装置について説明する。高優先クラス用バ
ッファBH においては、高優先クラス用バッファBH
到着するセル流を高優先セル観測装置23で観測する。
観測に用いる固定ウィンドウのサイズwH はカウンタh
1を用いて決められる。カウンタh2は、更新期間にお
いて、固定ウィンドウの数がNになるまで計数する。更
新期間が終了したら、高優先セル到着分布を、高優先ク
ラスセル到着分布履歴保持部22で、式(6)にしたが
って更新する。
【0061】低優先クラス用バッファBL においては、
低優先クラス用バッファBL に到着するセル流を低優先
セル流観測装置33で観測する。観測に用いる等価ウィ
ンドウのサイズwL はカウンタI2を用いて決められ
る。本発明では、等価ウィンドウのサイズを決定するカ
ウンタI2が高優先クラス用バッファBH にセルがない
ときのみ加算するのが特徴である。これは、高優先クラ
スセル監視部40を介して行われる。カウンタI2は、
更新期間において、等価ウィンドウの数がNになるまで
計数する。更新期間が終了したら、低優先セル到着分布
を、低優先クラスセル到着分布履歴保持部32で、式
(9)にしたがって更新する。
【0062】新しい高優先のコネクションの接続要求が
発生したとき、高優先クラスセル損失率予測部21と低
優先クラスセル損失率予測部31に通知され、高優先ク
ラスセル損失率予測部21で、高優先コネクション受付
後のセル損失率、低優先クラスセル損失率予測部31
で、高優先コネクション受付後のセル損失率を推定す
る。
【0063】推定したセル損失率は、それぞれ高優先ク
ラスコネクション受付判定部20、低優先クラスコネク
ション受付判定部30に転送され、それぞれの推定値が
高優先および低優先コネクション受付判定部20および
30でセル損失規定値以下ならば、高優先クラスのコネ
クションを受け付け、少なくとも一つの推定値が規定値
より大きければ、高優先クラスのコネクションを受け付
けない。
【0064】新しい低優先のコネクションの接続要求が
発生したとき、低優先クラスセル損失予測部31に通知
され、低優先クラスセル損失率予測部31で、低優先コ
ネクション受付後のセル損失率を推定する。
【0065】推定したセル損失率は、低優先クラスコネ
クション受付判定部30に転送され、低優先コネクショ
ン受付判定部30でセル損失規定値以下ならば、低優先
クラスのコネクションを受け付け、推定値が規定値より
大きければ、低優先クラスのコネクションを受け付けな
い。
【0066】本発明実施例の接続要求受付判定装置の性
能をシミュレーションにより評価した。シミュレーショ
ンでは、全てのコネクションのON−OFFモデルで、
ONとOFFの期間は指数分布に従うと仮定した。ON
期間の平均は、4(Kbyte)とした。VCのピーク
速度、平均速度は、それぞれ6(Mb/S〕、0.6
(Mb/S)であり、VP速度は60(Mb/S)とし
た。平滑化係数は、α=10-2、更新期間における観測
ウィンドウ数は、N=32とした。また、rH 、r
L は、それぞれ高優先クラスのバッファ量KH =32と
した。
【0067】図12は本発明の効果を示す図であり、横
軸に低優先クラス用バッファのセル受付可能数をとり、
縦軸にVP使用効率をとる。低優先クラス用バッファの
セル受付可能数を増加させると、本発明の接続要求受付
判定装置を用いたときのVP使用効率は著しく向上する
ことを示している。VP使用効率は、ρH +ρL 、つま
り両クラスの負荷の和で表される。
【0068】図12の縦軸のVP使用効率は、CLRH
=10-4を保証するように高優先クラスの負荷ρH を最
大値に固定したときの低優先クラスの負荷ρL の変化の
様子を示している。比較のために、ピーク割当て、理想
的な割当て、および従来の受付判定装置によるVP使用
効率を示した。本発明の装置を用いた場合には、例え
ば、低優先クラス用バッファKL =320(cell)
のとき、VP使用効率は0.91となり、理想的な割当
てによるVP使用効率に近い。また、従来の装置に比べ
約3倍、ピーク割当てに比べ約9倍のゲインが得られる
ことがわかる。
【0069】このように、本発明実施例装置により、高
優先クラスのトラヒックが使用しないリソースを低優先
クラスが使用することにより、大きなゲインを得ること
ができ、かつ、両クラスのセル損失率を安全側に保証す
ることができる。
【0070】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
QoS(Quality of Services) クラス毎にバッファを設
けて、低優先(高遅延)クラスに対して、高優先(低遅
延)クラスのセルを優先的に読出す完全優先制御法を行
う場合に、高優先クラスのコネクションと低優先クラス
のコネクションの両方のセル損失率をそれぞれの規定値
以下にするように、コネクション受付判定を行うことが
できる。これにより、網リソースを有効に利用すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施例の全体構成図。
【図2】本発明実施例装置のブロック構成図。
【図3】高優先クラス用バッファおよび低優先クラス用
バッファを示す図。
【図4】完全優先制御アルゴリズムの動作を示すフロー
チャート。
【図5】高優先クラスのコネクション受付判定手順を示
すフローチャート。
【図6】低優先クラスのコネクションの受付判定手順を
示すフローチャート。
【図7】高優先クラス用バッファにおける固定ウィンド
ウを示す図。
【図8】低優先クラス用バッファにおける等価ウィンド
ウを示す図。
【図9】等価ウィンドウの動作を示す図。
【図10】等価ウィンドウの動作アルゴリズムを示すフ
ローチャート。
【図11】パラメータbの状態を示す図。
【図12】本発明の効果を示す図。
【図13】出力バッファを示す図。
【図14】出力バッファにおけるセル読出アルゴリズム
を示す図。
【図15】従来の接続要求受付判定装置のブロック構成
図。
【図16】観測する固定ウィンドウの動作を示すフロー
チャート。
【図17】従来の固定ウィンドウのサイズを示す図。
【図18】更新期間を示す図。
【図19】従来のコネクション受付判定アルゴリズムを
示す図。
【符号の説明】
1 セル損失率予測部 2 セル到着分布履歴保持部 3 セル流観測装置 4 コネクション受付判定部 5 ATM交換機 7 接続要求受付判定装置 10 出力バッファ 20 高優先クラスコネクション受付判定部 21 高優先クラスセル損失率予測部 22 高優先クラスセル到着分布履歴保持部 23 高優先セル流観測装置 30 低優先クラスコネクション受付判定部 31 低優先クラスセル損失率予測部 32 低優先クラスセル到着分布履歴保持部 33 低優先セル流観測装置 40 高優先クラスセル監視部 50 読出制御部 BH 高優先クラス用バッファ BL 低優先クラス用バッファ C1、C2、h1、h2、I1、I2 カウンタ
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−183888(JP,A) 特開 平8−79255(JP,A) 電子情報通信学会技術研究報告 SS E93−160(1994年3月11日) 電子情報通信学会技術研究報告 SS E96−34(1996年8月19日) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04L 12/28 H04L 12/56

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交換接続すべきセル流に対し高優先クラ
    スおよび低優先クラスの各セル流について個別に設けら
    れた二つのバッファと、高優先クラス用バッファのセル
    を低優先クラス用バッファのセルに優先して読出す読出
    制御手段と、前記二つのバッファに流入する各セルから
    の交換接続要求に対する受付可否を判定する接続要求受
    付判定装置とを備えたATM交換機において、 前記接続要求受付判定装置は、前記二つのバッファにそ
    れぞれ流入する高優先クラスおよび低優先クラスの双方
    のセル流について、セル流量を観測する手段と、その観
    測の履歴を保持する手段と、その履歴からセル損失率を
    推定する手段と、その推定結果をパラメタとして受付判
    定を行う手段とを含み、 前記受付判定を行う手段は、高優先クラスの接続要求に
    対しては高優先クラスのセル損失率推定値および低優先
    クラスの双方のセル損失率推定値がそれぞれ所定水準を
    維持するように、低優先クラスの接続要求に対しては低
    優先クラスのセル損失率推定値が所定水準を維持するよ
    うに受付判定を行う手段を含む ことを特徴とするATM
    交換機。
  2. 【請求項2】 交換接続すべきセル流に対し高優先クラ
    スおよび低優先クラスの各セル流について個別に設けら
    れた二つのバッファと、高優先クラス用バッファのセル
    を低優先クラス用バッファのセルに優先して読出す読出
    制御手段と、前記二つのバッファに流入する各セルから
    の交換接続要求に対する受付可否を判定する接続要求受
    付判定装置とを備えたATM交換機において、 前記接続要求受付判定装置は、前記二つのバッファにそ
    れぞれ流入する高優先クラスおよび低優先クラスの双方
    のセル流について、セル流量を観測する手段と、その観
    測の履歴を保持する手段と、その履歴からセル損失率を
    推定する手段と、その推定結果をパラメタとして受付判
    定を行う手段とを含み、 前記低優先クラスのセル流量を観測する手段は、高優先
    クラス用バッファに読出すセルがないときに計数値が加
    算されるカウタと、そのカウンタの計数値にしたがって
    低優先クラスのセル流量を観測する期間を定める手段と
    を備えた ことを特徴とする ATM交換機。
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