JP3087663B2 - 定着装置 - Google Patents

定着装置

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JP3087663B2
JP3087663B2 JP08283332A JP28333296A JP3087663B2 JP 3087663 B2 JP3087663 B2 JP 3087663B2 JP 08283332 A JP08283332 A JP 08283332A JP 28333296 A JP28333296 A JP 28333296A JP 3087663 B2 JP3087663 B2 JP 3087663B2
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秀夫 斉藤
一美 稲葉
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慶太郎 薗口
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Fujifilm Business Innovation Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリン
タ、ファクシミリ等の画像情報記録装置において、記録
材上の未定着トナー像を接触加熱定着するタイプの加熱
加圧型定着装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の定着装置としては、図5に示すよ
うに、互いに圧接しながら回転する一対の定着ロール
(加熱ロール及び加圧ロール)の圧接領域に未定着トナ
ー像が形成された記録紙を挿通させて未定着トナー像を
接触加熱定着する加熱加圧型定着装置が多用されてい
る。
【0003】同図において、符号30は加熱ロール、4
0は加圧ロールである。加熱ロール30は、アルミニウ
ム等の熱伝導率の高い金属の中空ロール31の表面にシ
リコーンゴム等の比較的厚い弾性層32が形成されたも
のであり、中空ロール31の内部には加熱源としてハロ
ゲンランプ33が配置され、加熱ロール30表面に設け
た図示外の温度センサの信号により、図示外の温度制御
回路においてハロゲンランプ33がオン・オフ制御さ
れ、加熱ロール30がある一定温度に調整される。ま
た、定着時に記録紙50の上の未定着トナー51の一部
が加熱ロ−ル30に転移する現象(以下オフセットと言
う)を防止する為に、一定量のシリコ−ンオイルを加熱
ロール30に供給する図示外のオイル供給装置が設けら
れている。
【0004】一方、加圧ロール40は、芯金ロール41
表面にテフロン(デュポン社の商標)の被覆層42が被
覆されたものである。このロール構成においては、加熱
ロール30の弾性層32の弾性変形によってロール3
0,40の圧接部(以下ニップ部と言う)35が形成さ
れる。このニップ部35に未定着トナー像を通過させ、
圧力と熱エネルギとにより定着するものである。
【0005】このように、未定着トナー像と接触する側
のロール(加熱ロール)30を弾性変形させニップ部3
5を構成するロール構成は、多量のトナーが載った紙厚
が薄く、紙の腰の弱い記録紙50を発色定着させる場合
でも、剥離爪を必要とせず、ニップ部35の出口におい
て、なんの剥離装置をも用いずに剥離できる(以下この
ことをセルフストリッピングという)ため、三色(シア
ン、マゼンタ、イエロ)のトナーが多量に載った記録紙
50を目的の色になるように充分に溶融・混色させた発
色・定着させるカラー画像を定着させる場合に用いられ
る。
【0006】これは、溶融トナーと加熱ロール30表面
との界面の付着力は、単に両者の界面化学的な材料物性
値だけでは決まらずに、弾性変形による加熱ロール30
表面の歪みの影響を大きく受けるという事実による。つ
まり、あらかじめ表面歪みを有している加熱ロール30
表面に溶融トナーが接触している状態から、その表面歪
みが瞬間的に解放される状態に移る時に、トナーと加熱
ロール30表面との付着カが減少するという現象であ
る。
【0007】具体的には、加熱ロール30の表面が外か
らの荷重によって比較的容易に弾性変形して歪みを生じ
ることができる材料、例えばシリコーンゴムやフッ素ゴ
ム等の耐熱弾性体が被覆されている場合、ニップ部35
において歪みを受けながら定着され、そしてニップ部3
5出口においてその歪みが解放する瞬間、トナーと加熱
ロール30表面との付着力は急激に低減し、加えて、ニ
ップ部35出口における記録紙50の排出方向が加圧ロ
ール40側に向く作用によりセルフストリッピングされ
やすいということにある。従って、加熱ロール30の歪
み量(ε)が大きいほど、また、ニップ部35出口にお
ける記録紙50の排出方向が加圧ロール40側に向くほ
どセルフストリッピング能力は高くなる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5に
示す構成では、加圧ロール40は全く弾性変形しないた
め、荷重を増していくと加熱ロール30の表面歪み量の
み増大して、加圧ロール40との間の速度差が大きくな
り、弾性層32の摩耗を促進するという技術的課題があ
る。そこで、このような技術的課題を解決するために、
図6に示すように、加圧ロール40に加熱ロール30の
弾性層32より比較的薄い弾性層43を設け、加圧ロー
ル40にも加熱ロール30より小さい表面歪み量をもた
せたものが提案されている(例えば特開昭63−259
582号公報)。この構成では、荷重を増していく場
合、加熱・加圧ロール30,40とも相応した表面歪み
量が増大するため、ロール30,40間速度差はある一
定量にとどまり、加熱ロール30の磨耗を抑制できる上
にニップ領域をより広く得られる利点がある。
【0009】しかしながら、図6に示すロール構成の定
着装置では、記録紙50として封筒を用いた場合に通常
の記録紙50では発生しないいわゆる”しわ”が発生し
易いという技術的課題が見られた。封筒の構成は、二枚
重ねた記録紙の三隅を糊づけしたものとほぼ同じと考え
られ、ニップ領域においてこの上下の紙がそれぞれ接す
る側のロールの歪みの影響を受け、異なる速度で搬送さ
れる。この上下の紙のずれは糊づけ部によって逃げるこ
とができずにしわとなる。尚、三隅を糊づけしなければ
二枚重ねた記録紙でもしわは発生しづらい。
【0010】このような技術的課題を解決するために、
図7に示すように、両ロール30,40の弾性層32,
42の厚みを同等にし、ニップ部35を略平坦に形成し
て両ロール30,40の歪み量を同等にすることによ
り、封筒のしわを防止するようにしたものが提案されて
いる(例えば特公平7−7233号公報)。しかしなが
ら、図7のロール構成では、ニップ部35出口における
記録紙50の排出方向が加圧ロール40側に向く作用が
なくなるため、記録紙50の排出挙動が不安定になり、
多量のトナーが載った紙厚が薄く、紙の腰の弱い記録紙
50を発色定着させる場合にはセルフストリッピングが
困難になり、補助的剥離爪を必要とするという技術的課
題が新たに生ずる。
【0011】また、加熱ロール30に供給される離型剤
であるシリコーンオイルの使用量についても以下のよう
な技術的課題が生ずる。すなわち、従来、充分に溶融し
たカラー画像を定着・セルフストリッピングさせる定着
装置では、ニップ領域において溶融トナーと加熱ロール
30界面との間にオイル層が必要なため、多量のシリコ
ーンオイルが加熱ロール30に供給され、定着後の記録
紙50にも多量のシリコーンオイルが転移していた。こ
の場合、転移したオイルは、作業者が定着後の記録紙5
0を取り扱う際に非常な不快感を与えていた。そこで、
定着後の記録紙50の上のシリコーンオイルに不快感を
感じない程度(A4サイズの記録紙当たり5mg以下)
までオイル供給装置の供給量を減らしたところ、相当量
の両ロール30,40の歪みが必要になり、図5の構成
と同様に弾性層32,42の磨耗という技術的課題が発
生する。
【0012】上述したように、”セルフストリッピング
性能”と”封筒のしわ”と”弾性層の磨耗”は、加熱ロ
ール30の歪み量(εh)、加圧ロール40の歪み量
(εp)および両ロールの歪み量の差(εh−εp)に
よって複雑に絡み合い、いずれの許容領域をも満足する
定着装置を提供することは困難であった。
【0013】本発明は、以上の技術的課題を解決するた
めになされたものであって、多量のトナーが載った紙厚
が薄く、紙の腰の弱い記録材を発色定着させる場合で
も、少ない離型剤供給量において、ニップ部の出口側で
何の剥離装置も用いずに記録材を剥離できるというセル
フストリッピング性能を満足させながら、封筒のしわの
発生を抑え、しかも、定着ロールの弾性層の磨耗を防止
して寿命を延ばすことができる定着装置を提供すること
である。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、封筒のし
わ発生には、両ロールの歪み量の差(εh−εp)が支
配的要因であると推測し、また、セルフストリッピング
性能には、未定着トナー画像と接する側の定着ロールの
円周方向の歪み量(εh)およびニップ部出口における
記録材の排出方向が支配的要因であると推測し、更に、
定着ロールの磨耗については、未定着トナー画像と接す
る側の定着ロールの円周方向の歪み量(εh)、若しく
は、当該定着ロールの円周方向の歪み量(εh)の軸方
向略中央と端部との差分が支配的要因であると推測し、
実験によりその許容領域を特定することに到達し、本発
明を案出したものである。
【0015】すなわち、本発明は、図1に示すように、
互いに圧接しながら回転する一対の定着ロール1,2を
備え、これらの一対の定着ロール1,2の表面を夫々弾
性体3,4で被覆すると共に、少なくとも一方の定着ロ
ール1に加熱源5を設け、両定着ロール1,2間に未定
着トナー像が形成された記録材6を挿通させて未定着ト
ナー像を定着する定着装置において、両定着ロール1,
2圧接時におけるニップ部に関し、記録材6の未定着ト
ナー像と接する側の定着ロール1の弾性体3の円周方向
の歪み量をεh、他方の定着ロール2の弾性体4の円周
方向の歪み量をεp、εh−εpを△εとした場合に、 εh≧0.0583(△ε)4−0.6(△ε)3+2.1917(△
ε)2−3.65(△ε)+6 0<εh<6% 0<△ε≦3% の関係式を総て満足することを特徴とする。ここで、第
一式は、セルフストリッピング性能を保つための要件、
第二式は、定着ロールの磨耗防止のための要件、第三式
は封筒のしわ発生防止のための要件を示す。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、添付図面に示す実施の形態
に基づいてこの発明を詳細に説明する。図2はこの発明
が適用される定着装置の実施の一形態を示す説明図であ
る。同図において、定着装置は、互いに圧接しながら回
転する加熱ロール10と加圧ロール20とを備え、両ロ
ール10,20間の圧接部(ニップ部)15に未定着ト
ナー像が形成された記録紙50を挿通させて未定着トナ
ー像を定着するものである。
【0017】本実施の形態において、加熱ロール10は
外径32mm、内径28mmの鉄円筒でなる中空ロール
11に、弾性層12として下地層にHTVシリコーンゴ
ム(ゴム硬度40゜)が2mm被覆され、その表面にフ
ッ素ゴム(ゴム硬度60゜)が30μmの厚さにディッ
プコートし、鏡面状態に近い表面に仕上げられている。
そして、加熱源として500Wのハロゲンランプ13が
内部に設けられ、加熱ロール10の表面が温度センサ
(図示せず)を介して温度コントローラ(図示せず)に
より145℃〜155℃に調整される。
【0018】また、離型剤としては、官能基として−
(CH2)3NH2を有するアミノ変性シリコーンオイル
(オイル粘度300CS)信越化学(株)製、b=0.
1、c=130(X−21−7763G)を用い、記録
紙50にA4サイズ当たり3mgの量が転移するように
オイル供給システム(図示せず)により均一に供給され
ている。更に、加熱ロール10の表面には、清掃部材と
して不織布を用いたいわゆるクリーニングウェブ(図示
せず)が設けられている。
【0019】一方、加圧ロール20は径32mm、内径
28mmの鉄円筒でなる中空ロール21に、弾性層22
として下地層にHTVシリコーンゴム(ゴム硬度40
゜)がAmm被覆され、その表面にフッ素ゴム(ゴム硬
度60゜)が30μmの厚さにディップコートし、鏡面
状態に近い表面に仕上げられている。ここで、本実施の
形態における歪み特性を実験するために、加圧ロール2
0の弾性層22の厚みAを0.25mm、0.5mm、
0.75mm、1.0mm、1.25mm、1.5m
m、2.0mmの7水準に夫々設定し、さらに、加圧ロ
ール20として径32mm、内径28mmの鉄円筒でな
る中空ロール21に、テフロン(デュポン社の商標)の
被覆層が被覆されたものを水準の一つに加えた。
【0020】そして、加圧ロール20は、加圧手段とし
ての圧縮コイルスプリング(図示せず)により、加熱ロ
ール10の表面歪みが4%になるように加熱ロール10
の中心に向かって付勢されており、加圧ロール20の各
水準によってその荷重およびニップ幅は異なる。おおよ
そ荷重は30〜40kgf、ニップ幅3.5〜5.5m
mの範囲である。一方、加熱ロール10はベルトによる
駆動手段(図示せず)により70mm/secの速度で
回転駆動され、加圧ロール20は従動回転する。加熱ロ
ール10の表面温度は、同じ定着・発色レベルに合わせ
るため加圧ロール20の各水準によって異なる。
【0021】この定着装置に各種封筒(Monroe
Brand size10、同じくsize Mona
rch、River Siries size110×
220mm、同じくsize162×229mm)を通
し、しわの発生を調べた結果を表1に示す。
【0022】
【表1】
【0023】表1において、平坦ニップのロール構成
(加圧ロール:テフロン被覆層)は図7の従来例に相当
し、加熱ロールへこみニプ〜は加圧ロール20の
弾性層の厚さ(ゴム厚)によって分けられたものであ
る。また、表1の中で、横送りとは図3(c)または
(d)のような封筒52の搬送方向を表し、縦送りとは
図3(a)または(b)のような封筒52の搬送方向を
表している。尚、図3(b)(d)はフラップ52aが
開放されたままの状態の封筒52を示す。更に、しわの
評価結果の◎は全く発生せず、○は一部の封筒に5mm
以下のしわ発生、△はほぼすべての封筒に10mm以下
のしわ発生、×はほぼすべての封筒に30mm以下のし
わ発生、××はすベての封筒に30mm以上のしわ発
生、という発生レベルを表している。尚、電子写真複写
装置によって封筒上に宛名・住所が複写される際、10
mm以下のしわは複写像にほとんど影響を与えない。
【0024】しわの評価データから、封筒のしわは、加
熱ロール10の円周方向の表面歪みεhと加圧ロール2
0の円周方向の表面歪みεpとの差△εに相関を有する
ことが立証された。また、縦送りより横送りの方がしわ
の発生が極端に少ないことが判った。これは、ニップ部
15を通過する長さが短いほうが、封筒の複数重なった
表裏の紙のずれ量が少ないためであると考えられる。こ
のことは、Monroe Brand size10と
いう最も長い封筒において、縦送りのしわの発生が最も
多いことからも判る。以上より、封筒のしわの許容レベ
ルを、横送りにおいて○とすれば、△ε≦3%(ただ
し、△ε=εh−εp)が好ましい範囲であることが把
握される。更に、封筒のしわの許容レベルを、縦送りに
おいて○以上とすれば、△ε≦2%(ただし、△ε=ε
h−εp)が好ましい範囲であることが把握される。
【0025】次に、上記定着装置に比較的薄く、腰の弱
い55g/m2の記録紙の上にカラートナーが2.0m
g/cm2の密度で転写された未定着トナー像を通し、
セルフストリッピング性を調べた。このとき、記録紙の
送り方向は、紙の繊維が加熱・加圧ロール10,20と
平行になるようにしている。この送り方向の場合は紙の
構造上、紙の腰が弱く同じ紙厚でもセルフストリッピン
グがし難い傾向にある。結果を図4及び表2に示す。図
4において、○×はセルフストリッピング性の良好、不
良を示し、●はセルフストリッピング性の良好範囲の限
界値を示す。また、表2においては、表1と同様に、平
坦ニップのロール構成(加圧ロール:テフロン被覆層)
は図7の従来例に相当し、加熱ロールへこみニプ〜
は加圧ロール20の弾性層の厚さ(ゴム厚)によって
分けられたものであり、εhは溶融トナー画像と定着ロ
ール界面との剥離に必要な歪み量(図4の●に対応)を
示している。
【0026】
【表2】
【0027】以上のデータから、△εが小さいロール構
成ほどよりεhを大きくする必要があることが判る。こ
れは、△εが小さいロール構成ほど、言い換えれば、平
坦ニップに近づくほどニップ部出口における記録紙の排
出方向が加圧ロール20側に向かなくなり、ニップ部出
口における記録紙の排出方向によるセルフストリッピン
グの効果がなくなるため、より加熱ロール10の表面歪
みを取らざるを得ないと考えられる。図示外のオイル供
給装置からのオイル供給量を増やし、記録紙に転移する
オイル量をA4サイズ当たり6〜10mgにすると、従
来のように、記録紙を扱う際のオイルによる不快感は解
消されないが、セルフストリピングはし易くなり、最
低必要なεhは緩和されることも実験の中で判っている
が、表2のεhを取っていれば確実にセルフストリッピ
ングが可能になる。
【0028】ここで、表2のデータ(図4の実験結果の
限界値(図4中●))を近似式で表したところ、△εに
置き換えたロール構成とセルフストリッピング可能なε
hとの間に以下の関係が得られた。すなわち、 εh≧0.0583(△ε)4−0.6(△ε)3+2.1917(△
ε)2−3.65(△ε)+6 ただし、△ε=εh−εpである。
【0029】さらに、上記定着装置を用いて表2の各ε
hにて磨耗評価の実験を行ったところ、εh=6%では
3万枚程度で弾性層表層の磨耗(表面層の光沢の低下)
がロール軸方向端部で発生し、εh=4%,5%,5.
5%では10万枚以上でも弾性層表層の磨耗が発生しな
かった。尚、この実験は95%の画像密度の未定着カラ
ートナー像を有する65g/m2のA4サイズの紙を用
い、1分間に4枚の速度で通紙し、紙に転移するオイル
量をA4サイズ当たり3mgの条件で行った。
【0030】εh=6%の結果が悪いのは二つの要因が
かかわっていると考えられる。一つは、加熱ロール10
の軸方向中央部のεhは6%だが軸方向端部では7%と
さらにεhが大きいことである(一般に加熱ロール10
の軸方向中央部のεhが大きくなる程、加熱ロール10
の軸方向端部との差分も大きくなる傾向にある)。高湿
下で含水した紙が定着装置を通過する際のしわを防止す
るために、軸方向端部のニップ幅を中央部より若干太く
する必要があり、この影響で軸方向端部のεhは7%と
なってしまう。従って、ニップ部15出口におけるロー
ル10,20表面の歪みの解放によって生じるスリップ
に起因すると考えられる弾性層表層の磨耗(表面層の光
沢の低下)は軸方向端部において発生し易い。別の要因
は、オイル供給装置は加熱ロール10側にあるため、記
録紙50がニップ部15を通過している間は供給オイル
はほとんど記録紙に転移してしまい、加圧ロール20に
はオイルが転移せず、加熱ロール10側に比べて少な
い。この影響で弾性層表層の磨耗(表面層の光沢の低
下)は加圧ロール20で顕著に発生する。
【0031】このデータから、弾性層表層の磨耗防止の
為にεhについて以下の関係が得られた。すなわち、ε
h<6%、好ましくはεh≦5.5%である。
【0032】以上の実験データによって得られた関係式
を満足する領域を図4に示す。図中の斜線部分がそれで
ある。先に述べたように、歪みεはロール軸方向の中央
部と端部で約1%の公差を持ち、圧縮コイルスプリング
および弾性層の厚み等のばらつきにより約1%の公差を
有するため、実際に製品化する場合は約2%の公差を考
慮したほうが安全である。また、封筒のしわの許容レベ
ルを、縦送りにおいて○以上という好ましいレベルを考
慮する(表1参照)と、図4の斜線部分の1≦△ε≦2
の領域が特に好ましい。
【0033】また、本実施の形態での表面歪みは以下の
測定法による。すなわち、一般に、弾性体ロール(ある
荷重で弾性を有するロール)対がある荷重のもとで圧接
した場合、ニップ領域で弾性体ロール表面は弾性変形
し、その表面の円周方向はある歪みεを生じる。この状
態でロール対を回転させ、ニップ領域を記録紙が通過す
ると、記録紙は歪みを生じたニップ領域で搬送される。
このため、歪みを生じた弾性体ロール一回転で送り出さ
れる記録紙の長さは、実際にロール周長の長さより円周
方向歪みε分だけ搬送量が大きくなる。つまり、ε
(%)=[{(弾性体ロール1回転で送り出される記録
紙の長さ)÷(ε=0の時における弾性体ロールの周
長)}−1]×100ということになる。この方式から
実際の歪みεが実測可能となる。
【0034】また、本実施の形態においては、表面層に
フッ素ゴムをコーティングした定着ロール(加熱ロー
ル、加圧ロール)10,20に限られるものではなく、
弾性層のHTVシリコーンゴムあるいはRTVシリコー
ンゴムの単層構造でもかまわない。ただし、A4サイズ
当たり3mgのオイル供給量では磨耗が早いため、10
mg以上のオイル供給量にするか、あるいは、表面層に
フッ素樹脂又はフッ素樹脂とフッ素ゴムの混合層を設け
ることが好ましい。また、離型剤としてジメチルシリコ
ーンオイルを用いることもできる。更に、他の清掃部
材、オイル供給システムや、清掃部材についても適宜選
定して差し支えない。また、加圧ロール20に加熱源を
設けてもかまわない。
【0035】
【実施例】
◎実施例1 図2の実施の形態において、加熱ロール10は外径32
mm、内径28mmの鉄円筒でなる中空ロール11に、
弾性層12として下地層にHTVシリコーンゴム(ゴム
硬度40゜)が2mm被覆され、その表面にフッ素ゴム
(ゴム硬度60゜)が30μmの厚さにディップコート
し、鏡面状態に近い表面に仕上げられている。加熱源と
して500Wのハロゲンランプ13が内部に設けられ、
加熱ロール10の表面は、温度センサ(図示せず)を介
して温度コントローラ(図示せず)により146℃に調
整される。
【0036】また、離型剤として、官能基として−(C
H2)3NH2を有するアミノ変性シリコーンオイル(オ
イル粘度300CS)信越化学製、b=0.1、c=13
0(X−21−7763G)を用い、記録紙50にA4
サイズ当たり3mgの量が転移するようにフェルトとゴ
ムブレードを用いたオイル供給システム(図示せず)に
より均一に供給されている。また、加熱ロール10の表
面には、清掃部材として不織布を用いたいわゆるクリー
ニングウェブ(図示せず)が設けられている。
【0037】一方、加圧ロール20は径32mm、内径
28mmの鉄円筒でなる中空ロール21に、弾性層22
として下地層にHTVシリコーンゴム(ゴム硬度40
゜)が1.5mm被覆され、その表面にフッ素ゴム(ゴ
ム硬度60゜)が30μmの厚さにディップコートし、
鏡面状態に近い表面に仕上げられている。
【0038】そして、加圧ロール20は、加圧手段とし
ての圧縮コイルスプリング(図示せず)により、加熱ロ
ール10の表面歪みが4%になるように加熱ロール10
の中心に向かって付勢されており、荷重は36kgf、
ニップ幅4.6mmである。加熱ロール10はベルトに
よる駆動手段(図示せず)により、70mm/secの
速度で回転駆動され、加圧ロール20は従動回転する。
【0039】次に、この実施例に係る定着装置の性能に
ついて調べたところ、以下のような結果が得られた。先
ず、本実施例による封筒のしわの発生実験の結果を表3
に示す。
【0040】
【表3】
【0041】表3は、各種封筒について、その搬送方向
(a)(d)(図3(a)(d)に相当)におけるしわ
の発生の有無(○は発生せず、△は5mm以下のしわ発
生、×は5mmを越えるしわ発生)を示す。尚、Mon
roe Brand size10については搬送方向
(b)(図3(b)に相当)でも△であり、Monro
e Brand size Monarchについては
搬送方向(b)(図3(b)に相当)では○であった。
【0042】また、前述した磨耗評価実験を行ったとこ
ろ、10万枚までロール弾性層表面の磨耗およびオフセ
ット、加熱ロール10表面へのトナー固着は発生しなか
った。
【0043】◎実施例2 実施例1と略同様な構成であるが、実施例1と異なり、
ロール弾性層12,22として硬度が60゜または70
゜のものを用いたところ、実施例1と同様な結果が得ら
れた。また、ロールの回転速度(定着速度)を実施例1
と異なる条件にしたところ、実施例1と同様な結果が得
られた。ただし、ロール弾性層の硬度を変更すると、歪
みεを合わせても得られるニップ幅は狭くなるので、そ
れに見合った加熱ロール10の表面温度に設定する等の
定着条件の見直しは必要である。従って、本実施例によ
れば、本発明がロール弾性層の硬度、ロールの回転速度
(定着速度)に無関係に成立することが確認される。こ
れは、表面の円周方向の歪みεは二つのロールの幾何学
的まじわりで決定されるもので、それ以外の条件には左
右されないことを示している。
【0044】◎実施例3 実施例1と略同様な構成であるが、実施例1と異なり、
ロール10,20外径、弾性層12,22の厚みをx倍
にしたところ、εhおよびεpをいずれも変化させずに
x倍のニップ幅、1/x倍の荷重が得られた。この場合
のニップ領域における単位面積当たりの荷重は変化しな
い。ただし、ニップ幅の変化に伴って、それに見合った
定着条件の見直しは必要である。従って、本実施例によ
れば、本発明は、ロール外径、弾性層の厚みを変えても
成立することが確認される。
【0045】◎実施例4 実施例1と略同様な構成であるが、実施例1と異なり、
各ロール10,20の弾性層12,22の厚みのみをx
倍にしたところ、εhおよびεp、荷重、単位面積当た
りの荷重はいずれも1/x倍になる。この場合のニップ
幅は変化しない。従って、本実施例によれば、本発明
は、ロール10,20外径を変えずに弾性層12,22
の厚みのみを変えても成立することが確認される。
【0046】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
はロール表面の円周方向の歪みεに基づいた最適なロー
ル構成を実現することにより、従来の弾性層を有する加
熱加圧型定着装置においてなし得なかった”セルフスト
リッピング性能”と”封筒のしわ発生防止”と”弾性層
の磨耗防止”とを同時に達成できるものである。これに
より、剥離装置を用いずにセルフストリッピングが可能
になると共に、封筒のしわを防止でき、更に、定着ロー
ルの寿命を延ばすことができる。これらは、離型剤の供
給量が少ない条件でも達成できる。さらに、さまざまな
ロール構成に対して上記効果を得る適切なロール構成を
容易に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る定着装置の構成を示す説明図で
ある。
【図2】 本発明が適用された定着装置の実施の一形態
を示す説明図である。
【図3】 紙しわ実験における封筒の加圧ロール側から
見た送り態様を示す説明図である。
【図4】 本実施の形態に係る定着装置の歪み特性(Δ
ε(εh−εp)とεhとの関係)を示すグラフ図であ
る。
【図5】 従来における定着装置の一例を示す説明図で
ある。
【図6】 従来における定着装置の他の例を示す説明図
である。
【図7】 従来における定着装置の更に他の例を示す説
明図である。
【符号の説明】
1,2…定着ロール,3,4…弾性体,5…加熱源,6
…記録材,εh…未定着トナー像と接する側の定着ロー
ルの弾性体の円周方向の歪み量、εp…他方の定着ロー
ルの弾性体の円周方向の歪み量、Δε…εh−εp
フロントページの続き (72)発明者 薗口 慶太郎 神奈川県海老名市本郷2274番地 富士ゼ ロックス株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−26879(JP,A) 特開 平7−219380(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 13/20 G03G 15/20

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 互いに圧接しながら回転する一対の定着
    ロール(1),(2)を備え、これらの一対の定着ロー
    ル(1),(2)の表面を夫々弾性体(3),(4)で
    被覆すると共に、少なくとも一方の定着ロール(1)に
    加熱源(5)を設け、両定着ロール(1),(2)間に
    未定着トナー像が形成された記録材(6)を挿通させて
    未定着トナー像を定着する定着装置において、両定着ロール(1),(2)圧接時におけるニップ部に
    関し、 記録材(6)の未定着トナー像と接する側の定着
    ロール(1)の弾性体(3)の円周方向の歪み量をε
    h、他方の定着ロール(2)の弾性体(4)の円周方向
    の歪み量をεp、εh−εpを△εとした場合に、 εh≧0.0583(△ε)4−0.6(△ε)3+2.1917(△
    ε)2−3.65(△ε)+6 0<εh<6% 0<△ε≦3% の関係式を総て満足することを特徴とする定着装置。
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