JP3086540U - ワイパーシールおよびこのワイパーシールを用いた伸縮自在カバー - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 隣接するカバーボックスを互いに引き出すと
きの衝撃を原因とする騒音の発生やカバーボックスなど
の破損の発生を防止できるワイパーシールおよびこのワ
イパーシールを用いた伸縮自在カバーを提供する。 【解決手段】 フレキシブルな材料より成り、ほぼ平板
状に形成された中央部８と、この中央部８の前側におい
て上面が前側ほど下側に位置しかつ前端側ほど肉薄とな
るように形成されたリップ部９と、前記中央部８の後側
において中央部８よりも肉厚に形成された緩衝部１０と
を有するワイパーシールＷであって、前記緩衝部１０の
硬度を他の部分の硬度よりも低くしてある。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、工作機械における摺動面を保護するための伸縮自在カバーおよびこ の伸縮自在カバーに用いられるワイパーシールに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

互いに摺動自在に係合し、それぞれが上壁、左右側壁および後壁を有する複数 のカバーボックスより成り、工作機械における摺動面を保護するための従来の伸 縮自在カバーとして、最小のカバーボックスを除いた各カバーボックスの上壁先 端部にワイパーシールが設けられたものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかし、上記の構成からなる従来の伸縮自在カバーでは、隣接するカバーボッ クスを互いに引き出したときに、後側のカバーボックスの上壁に設けられたワイ パーシールの後部に強い衝撃が加わり、この衝撃が、騒音の発生の原因や、カバ ーボックスあるいはワイパーシール等の破損の発生の原因となっていた。

【０００４】 本考案は上述の事柄に留意してなされたもので、その目的は、隣接するカバー ボックスを互いに引き出すときの衝撃を原因とする騒音の発生やカバーボックス などの破損の発生を防止できるワイパーシールおよびこのワイパーシールを用い た伸縮自在カバーを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案のワイパーシールは、フレキシブルな材料 より成り、ほぼ平板状に形成された中央部と、この中央部の前側において上面が 前側ほど下側に位置しかつ前端側ほど肉薄となるように形成されたリップ部と、 前記中央部の後側において中央部よりも肉厚に形成された緩衝部とを有するワイ パーシールであって、前記緩衝部の硬度を他の部分の硬度よりも低くしてある（ 請求項１）。

【０００６】 また、互いに摺動自在に係合し、それぞれが上壁、左右側壁および後壁を有す る複数のカバーボックスより成り、工作機械における摺動面を保護するための伸 縮自在カバーに設けられるワイパーシールであって、フレキシブルな材料より成 り、前記カバーボックスの上壁下面の前端部に上面が当接する平板状の中央部と 、この中央部よりも前側において上面が前側ほど下側に位置しかつ前端側ほど肉 薄となるように形成されたリップ部と、前記中央部よりも後側において中央部よ りも肉厚に形成された緩衝部とを有しており、前記緩衝部の硬度を他の部分の硬 度よりも低くしてあるとしてもよい（請求項２）。

【０００７】 上記の構成により、隣接するカバーボックスを互いに引き出すときの衝撃を原 因とする騒音の発生やカバーボックスなどの破損の発生を防止できるワイパーシ ールを提供することが可能となる。

【０００８】 また、前記リップ部の後面上部が前記中央部よりも上方に立ち上がりかつ前記 カバーボックスの上壁の前面に当接し、また、リップ部の可変形性を上昇させる ために、リップ部の下部分がほぼ湾曲状にえぐられているとしてもよい（請求項 ３）。この場合には、前記リップ部に適度の可変形性を容易に持たせることが可 能となり、ひいては、工作機械の動作によって生じた切粉などがカバーボックス 内に侵入することを防止するというリップ部の機能を高めることが可能となる。

【０００９】 さらに、前記緩衝部の上面が、後端側ほど下に位置する傾斜面となっており、 また、緩衝部の可変形性を上昇させるために、緩衝部の下部分がほぼ湾曲状にえ ぐられているとしてもよい（請求項４）。この場合には、前記緩衝部に適度の可 変形性を容易に持たせることが可能となるのであり、ひいては、隣接するカバー ボックスを互いに引き出したときに、後側のカバーボックスの上壁に設けられた ワイパーシールの緩衝部に強い衝撃が加わっても、この衝撃が、適度の可変形性 を有する緩衝部によってより効果的に緩衝されることとなる。

【００１０】 また、前記中央部の下面に当てられ、前記中央部および前記カバーボックスの 上壁前端部を貫通するビスによって固定される当板を有し、また、前記中央部に 当てた状態の前記当板の下面と、前記リップ部の後部の下面および前記緩衝部の 前部の下面とが、ほぼ面一となるように構成されているとしてもよい（請求項５ ）。この場合には、前記当板によって、ワイパーシールがより安定してカバーボ ックスの上壁に固定されることになり、ワイパーシールが不意にカバーボックス から外れたりする事故を防止することができ、作業者にかかる負担を軽減するこ とが可能となる。

【００１１】 また、前記緩衝部のゴム硬度が４５〜５５度であり、緩衝部以外の部分のゴム 硬度が８５〜９５度となるように形成されているとしてもよい（請求項６）。

【００１２】 本発明のワイパーシールを用いた伸縮自在カバーは、互いに摺動自在に係合し 、それぞれが上壁、左右側壁および後壁を有する複数のカバーボックスより成り 、工作機械における摺動面を保護するための伸縮自在カバーであって、最小のカ バーボックスを除いた各カバーボックスの上壁の前端部に、請求項１〜６のいず れかに記載のワイパーシールを設けてある（請求項７）。

【００１３】 上記の構成により、隣接するカバーボックスを互いに引き出すときの衝撃を原 因とする騒音の発生やカバーボックスなどの破損の発生を防止できるなど、上述 したワイパーシールの効果を同様に得られる伸縮自在カバーを提供することが可 能となる。

【００１４】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施例を、図を参照しながら説明する。 図１は、本考案の一実施例に係るワイパーシールＷの構成を概略的に示す説明 図、図２は、前記ワイパーシールＷを用いた伸縮自在カバーＤの構成を概略的に 示す説明図、図３は、図２のＸ−Ｘ線断面図、図４は、上記実施例における要部 の構成を概略的に示す説明図である。 前記伸縮自在カバーＤは、互いに摺動自在に係合し、それぞれが上壁１、左右 側壁２，３および後壁４を有する複数（例えば、５つ）のカバーボックス５，５ …より成り、工作機械における摺動面６を保護するためものであり、プロテクタ ー、テレスコピックカバーとも呼ばれる。そして、伸縮自在カバーＤは、その前 後方向にカバーボックス５，５…を互いに引き出したり押し込んだりすることに よって伸縮させることができる。より詳しくは、先端側のカバーボックス５が、 このカバーボックス５に隣接された後端側のカバーボックス５内に自在に進入し 、かつ抜けてしまわないように構成されている。

【００１５】 そして、前記伸縮自在カバーＤの伸縮は、各カバーボックス５が摺動面（リニ アガイドレール）６に沿って摺動することで行われる。なお、７は、ボールネジ である。

【００１６】 前記ワイパーシールＷは、隣接する二つのカバーボックス５，５の上壁１，１ 間から、工作機械の動作によって生じた切粉などがカバーボックス５，５内に入 ることを防止するためのものである。そして、ワイパーシールＷは、ほぼ平板状 に形成された中央部８と、この中央部８の前側において上面が前側ほど下側に位 置しかつ前端側ほど肉薄となるように形成されたリップ部９と、前記中央部８の 後側において中央部８よりも肉厚に形成された緩衝部１０とを有しており、前記 緩衝部１０の硬度を他の部分の硬度よりも低くしてある。

【００１７】 また、前記ワイパーシールＷは、隣接する二つのカバーボックス５，５のうち 、後端側のカバーボックス５の上壁１の前端部１ａが、先端側のカバーボックス ５の上壁１の上面に接することがないように配置されている。

【００１８】 なお、ワイパーシールＷは、フレキシブルな材料（例えば、ニトリルゴム等の ＮＢＲや、フッ素ゴムなど）よりなる。

【００１９】 前記中央部８は、前記カバーボックス５の上壁１下面の前端部１ａに上面が当 接する。

【００２０】 前記リップ部９は、その後面上部が前記中央部８よりも上方に立ち上がりかつ 前記カバーボックス５の上壁１の前面に当接し、また、リップ部９の可変形性を 上昇させるために、リップ部９の下部分はほぼ湾曲状にえぐられている

【００２１】 前記緩衝部１０は、その上面が、後端側ほど下に位置する傾斜面となっており 、また、緩衝部１０の可変形性を上昇させるために、緩衝部１０の下部分がほぼ 湾曲状にえぐられている。

【００２２】 また、ワイパーシールＷは、前記中央部８の下面に当てられ、前記中央部８お よび前記カバーボックス５の上壁１の前端部１ａを貫通するビス１１によって固 定される当板１２を有し、さらに、前記中央部８に当てた状態の前記当板１２の 下面と、前記リップ部９の後部の下面および前記緩衝部１０の前部の下面とが、 ほぼ面一となるように構成されている。

【００２３】 そして、ワイパーシールＷは、前記緩衝部１０のゴム硬度が４５〜５５度（例 えば、約５０度）となり、緩衝部１０以外の部分のゴム硬度が８５〜９５度（例 えば、約９０度）となるように形成されている。

【００２４】 なお、前記ワイパーシールＷと同様の役割を果たすフレキシブルな材料からな るシール材（図示せず）が、最小のカバーボックス５を除いた各カバーボックス ５の左右側壁の先端側にも設けられている。

【００２５】 上記の構成からなるワイパーシールＷおよびこのワイパーシールＷを用いる伸 縮自在カバーＤでは、隣接するカバーボックス５，５を互いに引き出したときに 、後側のカバーボックス５の上壁１に設けられたワイパーシールＷの緩衝部１０ （後部）に強い衝撃が加わっても、この衝撃が、ゴム硬度を落としてある緩衝部 １０によって緩衝され、上記衝撃を原因とする騒音（衝撃音）の発生やカバーボ ックス５，５…あるいはワイパーシールＷ等の破損の発生を防止・緩和すること ができる。

【００２６】 また、前記リップ部９の後面上部が前記中央部８よりも上方に立ち上がりかつ 前記カバーボックス５の上壁１の前面に当接し、また、リップ部９の可変形性を 上昇させるために、リップ部９の下部分がほぼ湾曲状にえぐられているとしてあ ることから、前記リップ部９に適度の可変形性を容易に持たせることが可能とな り、ひいては、工作機械の動作によって生じた切粉などがカバーボックス５内に 侵入することを防止するというリップ部９の機能を高めることが可能となる。

【００２７】 さらに、前記緩衝部１０上面が、後端側ほど下に位置する傾斜面となっており 、また、緩衝部１０の可変形性を上昇させるために、緩衝部１０の下部分がほぼ 湾曲状にえぐられているとしてあることから、前記緩衝部１０に適度の可変形性 を容易に持たせることが可能となるのであり、ひいては、隣接するカバーボック ス５，５を互いに引き出したときに、後側のカバーボックス５の上壁１に設けら れたワイパーシールＷの緩衝部１０に強い衝撃が加わっても、この衝撃が、適度 の可変形性を有する緩衝部１０によってより効果的に緩衝されることとなる。

【００２８】 また、前記中央部８の下面に当てられ、前記中央部８および前記カバーボック ス５の上壁１の前端部１ａを貫通するビス１１によって固定される当板１２を有 し、また、前記中央部８に当てた状態の前記当板１２の下面と、前記リップ部９ の後部の下面および前記緩衝部１０の前部の下面とが、ほぼ面一となるように構 成されているとしてあることから、前記当板１２によって、ワイパーシールＷが より安定してカバーボックス５の上壁１に固定されることになり、ワイパーシー ルＷが不意にカバーボックス５から外れたりする事故を防止することができ、作 業者にかかる負担を軽減することが可能となる。

【００２９】 なお、本発明のワイパーシールＷの形状は、図面に示した実施例の具体的形状 に限定されるものではない。

【００３０】

【考案の効果】

上記の構成からなる本考案によれば、隣接するカバーボックスを互いに引き出 すときの衝撃を原因とする騒音の発生やカバーボックスなどの破損の発生を防止 できるワイパーシールおよびこのワイパーシールを用いた伸縮自在カバーを提供 することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係るワイパーシールの構成
を概略的に示す説明図である。

【図２】前記ワイパーシールを用いた伸縮自在カバーの
構成を概略的に示す説明図である。

【図３】図２のＸ−Ｘ線断面図である。

【図４】上記実施例における要部の構成を概略的に示す
説明図である。

【符号の説明】

８…中央部、９…リップ部、１０…緩衝部、Ｗ…ワイパ
ーシール。

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 フレキシブルな材料より成り、ほぼ平板
   状に形成された中央部と、この中央部の前側において上
   面が前側ほど下側に位置しかつ前端側ほど肉薄となるよ
   うに形成されたリップ部と、前記中央部の後側において
   中央部よりも肉厚に形成された緩衝部とを有するワイパ
   ーシールであって、前記緩衝部の硬度を他の部分の硬度
   よりも低くしてあることを特徴とするワイパーシール。
2. 【請求項２】 互いに摺動自在に係合し、それぞれが上
   壁、左右側壁および後壁を有する複数のカバーボックス
   より成り、工作機械における摺動面を保護するための伸
   縮自在カバーに設けられるワイパーシールであって、フ
   レキシブルな材料より成り、前記カバーボックスの上壁
   下面の前端部に上面が当接する平板状の中央部と、この
   中央部よりも前側において上面が前側ほど下側に位置し
   かつ前端側ほど肉薄となるように形成されたリップ部
   と、前記中央部よりも後側において中央部よりも肉厚に
   形成された緩衝部とを有しており、前記緩衝部の硬度を
   他の部分の硬度よりも低くしてあることを特徴とするワ
   イパーシール。
3. 【請求項３】 前記リップ部の後面上部が前記中央部よ
   りも上方に立ち上がりかつ前記カバーボックスの上壁の
   前面に当接し、また、リップ部の可変形性を上昇させる
   ために、リップ部の下部分がほぼ湾曲状にえぐられてい
   る請求項２に記載のワイパーシール。
4. 【請求項４】 前記緩衝部の上面が、後端側ほど下に位
   置する傾斜面となっており、また、緩衝部の可変形性を
   上昇させるために、緩衝部の下部分がほぼ湾曲状にえぐ
   られている請求項２または３に記載のワイパーシール。
5. 【請求項５】 前記中央部の下面に当てられ、前記中央
   部および前記カバーボックスの上壁前端部を貫通するビ
   スによって固定される当板を有し、また、前記中央部に
   当てた状態の前記当板の下面と、前記リップ部の後部の
   下面および前記緩衝部の前部の下面とが、ほぼ面一とな
   るように構成されている請求項２〜４のいずれかに記載
   のワイパーシール。
6. 【請求項６】 前記緩衝部のゴム硬度が４５〜５５度で
   あり、緩衝部以外の部分のゴム硬度が８５〜９５度とな
   るように形成されている請求項１〜５のいずれかに記載
   のワイパーシール。
7. 【請求項７】 互いに摺動自在に係合し、それぞれが上
   壁、左右側壁および後壁を有する複数のカバーボックス
   より成り、工作機械における摺動面を保護するための伸
   縮自在カバーであって、最小のカバーボックスを除いた
   各カバーボックスの上壁の前端部に、請求項１〜６のい
   ずれかに記載のワイパーシールを設けてある伸縮自在カ
   バー。