JP3086191U - 乾麺包装容器および乾麺包装体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】例えば、細い物ほど高級品とされる手延べ素麺
のような、単なる食品を越えた芸術品ともいえる品格を
備えた乾麺の包装が、体裁のよく安価にできて、保管上
の不都合もないようにすること。 【解決手段】乾麺１を収容する収容凹部４ａを有した乾
麺包装容器３であって、上記収容凹部４ａを囲む外側
を、線状体７の編織で形成するとともに、同じく線状体
７の編織で形成された被せ蓋５を備えた乾麺包装容器
３。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、例えば素麺、うどん、ひやむぎなどの乾麺を包装するのに適した 乾麺包装容器に関する。

【０００２】

【従来の技術】

上述例のような乾麺は、適宜の袋で包装されるほか、段ボールなどの紙箱や木 箱に入れて包装されている。

【０００３】 しかし、単に透明な袋に包装された乾麺は、安っぽく見えるほか、中身の乾麺 が折れやすい難点がある。

【０００４】 紙箱や木箱は、素麺の包装によく用いられている。紙箱では、中身の素麺が折 れたりすることを防止できるが、紙箱自体が水を良く吸うので、万が一大量の水 分に触れてしまった場合には、中身の素麺を湿気にさらすことになってしまい、 都合が悪い。

【０００５】 また木箱の場合には、体裁がよく高価に見えるが、重い上に角がとがっている ので、取り扱い性があまりよくない。その上、蓋体は、単に乗せているだけであ るので、中身を一部取り出した後は、蓋がずれやすく、水気対策等、保存に際し て気を使わなければならない。さらに、木箱の価格が高い上に、素麺の収納に適 した形の薄い箱であって、蓋体も単に乗せただけであるので、中身を出した後の 利用がしにくく、大抵の場合、単なるゴミにしかならないという難点もある。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

そこでこの考案は、体裁のよい包装が安価にできて、保管上の不都合もないよ うな包装を可能にすることを主たる課題とする。特に、細い物ほど高級品とされ る手延べ素麺のような、単なる食品を越えた芸術品ともいえる品格を備えた乾麺 の包装に適するような包装形態を提供する。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

そのための手段は、乾麺を収容する収容凹部を有した乾麺包装容器であって、 上記収容凹部を囲む外側を、線状体の編織で形成した乾麺包装容器であることを 特徴とする。

【０００８】 収容凹部を囲む外側とは、外観上見える部分をいい、一重の容器の場合には収 容凹部を形成する全体をのことであり、多重の容器の場合には、外側の部分のこ とである。線状体には、例えば柳や竹、葛（かずら）等、植物性の材料を使用す る方が環境保全の点やコストを抑える点でよく、この他、紙や金属等を用いるも よい。編織は、編んだり織ったりして形作ることであり、編織のしかたにより美 麗な外観が得られ、通気性も有する。

【０００９】 このような構成の乾麺包装容器では、乾麺を直接、あるいは適宜の袋や包装体 に入れて、収容凹部に収容し、包装する。すると、外観上、編織された線状体が 現れるので、これまでの袋や紙箱、木箱では得られなかった新規な外観を得られ る。このため、購買意欲を高めることができる上に、編織の仕方によって美しさ も得られ、中身の品格を表現することもできる。また、通気性もよいので、万が 一濡れてしまった場合でも、中身の乾麺に影響を与えないように即座に乾燥する こともできる。保存に際しては、天気の良い日に乾麺も包装容器も陰干しして乾 燥させる作業をすることが必要であるが、包装容器は線状体の編織で形成されて いるので乾きやすく、その作業も容易である。

【００１０】 なお、前記収容凹部を閉塞する被せ蓋を備えるとよい。被せ蓋の存在により、 取り扱いに際して重ねても中身の乾麺を外力から保護することができる。

【００１１】 この場合、その被せ蓋も線状体の編織で形成するとともに、外周縁部には、被 せたときに前記収容凹部を有する容器本体の外周縁部に係合可能な係合部を形成 するとよい。外観上統一でき、購買意欲を高めたり、通気性を高めたりする点で 都合がよい。また係合部は、容器本体に被せたときに被せ蓋の位置を規制するの で、中身を一部取り出した後でも、収容凹部の閉塞状態を維持でき、乾麺の保護 を確実にできる。全体を植物の天然材料で構成しているので、中身を全部使い終 わった後は懐古調の包装箱として、身の回り品の収納用具として長期間使用でき る。

【００１２】 前記線状体には、植物性の偏平な線状体を用い、蜜に編織するとよい。行李の ような外観を得られるので、涼しさや暖かさ、懐かしさ等、様々な良い印象を得 ることができる。その上、植物性ゆえに廃棄しても自然環境を破壊するような問 題の発生を阻止できる。

【００１３】 乾麺の包装に際しては、乾麺を包むとともに、前記収容凹部に収納可能な大き さの内包装体を備えるとよい。線状の乾麺が包装容器から飛び出したり、虫に食 われたりすることを阻止でき、しっかりと包装できる。

【００１４】 その内包装体には、ビニル製の袋等を用いるもよいが、紙を折曲して箱状に形 成するものを用いるのが好ましい。紙では、通気性も耐水性も、防虫性も容易に 得られる上に、形態の保持も可能だからである。内包装体は紙を折曲して形成し た本体部と蓋部とで構成するも、一枚の紙で構成するもよく、好ましくは、包装 する乾麺全体を包む形に形成するのがよい。また、その内包装体には、上から掛 かる荷重を支持する支持部を形成すると、万が一、線状体で形成した包装容器に 過度の荷重が掛かっても、それを支えて、所定の形態を維持することができる。

【００１５】 外観をより良好にするには、表面に漆を塗布するとよい。

【００１６】 別の手段は、前記乾麺包装容器に乾麺を収容した乾麺包装体であることを特徴 とする。その乾麺として素麺を収容すると、伝統と品格を備え単なる食品を超え た芸術品のような存在としての素麺に相応しい包装形態を得られる。

【００１７】

【考案の実施の形態】

この考案の一実施の形態を、以下図面を用いて説明する。 図１は、乾麺の一例として素麺１を包装した素麺包装体２の、開封状態の斜視 図であり、素麺１を包装する素麺包装容器３は、容器本体４と、この容器本体４ に被せる被せ蓋５と、上記容器本体４内に収納する内包装体６とで構成している 。

【００１８】 容器本体４は、素麺１を収容可能な大きさの収容凹部４ａをひとつ有する一重 の有底箱状容器で、竹製の偏平な線状体７を密に編んで形成している。上端開口 部の外周縁には、他の部分よりも肉厚の偏平な線状体からなる縁部４ｂを設けて 補強する。

【００１９】 図示例では、長さ１９センチメートルに統一されている素麺１を横一列に並設 して収納できる大きさに、上記収容凹部４ａを形成しているが、上下に二段、三 段と並べられる大きさのものであるもよい。

【００２０】 また、上記被せ蓋５は、上記収容凹部４ａを閉塞するもので、その外周縁部に 、上記容器本体４に対して被せた時に容器本体４の縁部４ｂに外側から係合する 係合部５ａを垂設している。この被せ蓋５も、容器本体４と同様、竹製の偏平な 線状体７を密に編んで形成するとともに、上記係合部５ａの下端外周縁には、他 の部分よりも肉厚の偏平な線状体からなる縁部５ｂを設けて補強している。

【００２１】 この被せ蓋５と容器本体４は、換言すれば、いわゆる行李で構成する。

【００２２】 容器本体４にも被せ蓋５にも、図１に仮想線で示したように、表面に、水や酸 に強い漆の塗膜８を形成して、外観美麗にするもよい。

【００２３】 内包装体６は、素麺１を直接包むもので、一枚の紙片９を折曲して形成する。 その紙片９は、図２に展開状態で示す形に形成して、折り曲げるだけで開閉可能 に素麺１全体を包み込めるように構成する。

【００２４】 すなわち、上記収容凹部４ａに収納可能な大きさの内包装体６は、その平面形 状に対応する大きさの長方形の底板部９ａを設け、この底板部９ａにおける四方 の外側縁に、谷折り線を介して側壁部９ｂを連設し、これら側壁部９ｂ間には、 各側壁部９ｂを立てた時に折り畳まれ、隣接する側壁部９ｂ同士を接触させる正 方形状の折り畳み部９ｃを連設する。そして、相対向する一方の側壁部９ｂには 、山折り線を介して、折り畳まれたときに先端縁が接地する折曲支持部９ｄを連 設している。

【００２５】 他方の相対向する側壁部９ｂには、谷折り線を介して、折曲したときに蓋とな って上面開口部を塞ぐ蓋部９ｅを、折曲時に先端縁部同士が相互に重なり合う長 さに連設し、この蓋部９ｅの両側縁には、折曲した時に上記折曲支持部９ｄの外 側面に沿って蓋部９ｅと折曲支持部９ｄとの間の隙間を隠蔽する側部蓋部９ｆを 、谷折り線を介して連設する。この側部蓋部９ｆは、開閉動作を円滑に行えるよ うにするため、側壁部９ｂに近い開閉基端部側を円弧状に形成するとともに、開 閉先端部側は、幅広に形成して、上記折曲支持部９ｄと同様に、折曲して開口部 を閉じたときに接地する接地縁９ｇを形成して、支持部としている。図２中、一 点鎖線は谷折り線を示し、二点鎖線は山折り線を示す。

【００２６】 この内包装体６を形成する紙片９には、通気性を備え、耐水性が良好であって 、防虫性も有する堅牢なものを用いるとよい。

【００２７】 このように構成した素麺包装容器３では、蓋部９ｅを開けて上面を開口させた 内包装体６に素麺１を入れ、蓋部９ｅを閉じて包み込んでから、その内包装体６ を容器本体４の収容凹部４ａに収納する。そして、被せ蓋５を被せて素麺包装体 ２を形成する。

【００２８】 内包装体６は、線状の素麺１が素麺包装容器３から飛び出したり、虫に食われ たりすることを阻止する。また、折曲支持部９ｄと側部蓋部９ｆが側壁部９ｂと ともに、上から掛かる荷重を支えて、本来の形状を保ち、素麺１の折れなどを防 止する。

【００２９】 この素麺包装容器３には、適宜の被覆部材、例えば図３に示したように、ボー ル紙等の適宜の材料からなる断面長方形で筒状の被覆部材１０を被せるとよい。 荷重による乾麺包装容器３の変形を抑制できる上に、乾麺包装容器３の変色を抑 制できる。

【００３０】 乾麺包装容器３は、竹製の線状体７を編んで形成しているので、外観上、これ までの袋や紙箱、木箱では得られなかった新規な外観を得られる。したがって、 購買意欲を高めることができる上に、編み方によって独特の美しさも得られ、中 身の品格を表現することもできる。また竹製であるので、木箱に比べて安価に製 造できる利点も有する。

【００３１】 また通気性を有するので、素麺１の保存を良好に行うことができるとともに、 万が一濡れてしまった場合でも、中身の乾麺１に影響を与えないように、素麺包 装容器３を即座に乾燥することもできる。保存に際しては、天気の良い日に素麺 も、素麺包装容器３も陰干しして乾燥させる作業をすることが必要であるが、素 麺包装容器３は線状体７の編織で形成されているので、内包装体６の蓋部９ｅを 開けさえすれば、素麺１を容器本体４に収容したままでも乾燥させることができ 、作業が容易に行える。

【００３２】 さらに、素麺包装容器３は、偏平な線状体７を編んで形成しているので、内側 の収容凹部４ａを広く取れ、収容凹部４ａを形成する面も滑らかに形成できるの で、より多くの素麺１を安定して収納できる。また行李のような外観を得られる ので、涼しさや暖かさ、懐かしさ等、様々な良い印象を得ることができる。その 上、植物性ゆえに廃棄しても自然環境を破壊するような問題の発生を阻止できる 。

【００３３】 また素麺包装容器３は、容器本体４に被せたときに位置規制が可能な被せ蓋５ を有しているので、被せるだけで収容凹部４ａの閉塞状態を維持できる。このた め、中身を一部取り出した後でも、素麺１の保護を確実にできるとともに、中身 を全部取り出した後での他の用途に使用する場合でも、被せるだけで閉塞状態の 維持が可能で、使用しやすい。

【００３４】 このように素麺包装容器３は、新規な外観が得られて、素麺１の包装容器とし ては美麗であって、購買意欲を高めることができるとともに、使用後は単なるゴ ミにされるだけではなく、その形態ゆえに、例えば弁当容器や、ざるなどの調理 器具、身の回りの小物入れ等としての再利用を促すことができる。

【００３５】 以上の一実施の形態において、上記素麺１は、この発明の乾麺に対応し、 素麺包装体２は、乾麺包装体に対応し、 素麺包装容器３は、乾麺包装容器に対応するも、 この考案は、上記構成に限定されるものではない。

【００３６】 例えば、上記内包装体６は、合成樹脂製や和紙製の適宜の袋体で構成するもよ く、また素麺に代えて、その他の各種乾麺を包装するように構成するもよい。さ らに被せ蓋５を省略して構成するも、被せ蓋５として、線状体を編織せずに形成 した木や樹脂、紙製の蓋体を使用するもよい。

【００３７】

【考案の効果】

以上のようにこの考案によれば、線状体の編織により、これまでの乾麺の包装 容器にない外観を得られるので、木箱に劣らない体裁のよい包装ができる。しか もその線状体の選択や編織の仕方により、好みの体裁を自由に得ることができる 利点も有する。

【００３８】 また、線状体に、柳や竹、葛等、安価な材料を使用すれば、包装容器の価格を 下げることができ、体裁のよい安価な包装が実現できる。特に行李のような外観 を得ることで、良好な印象作りができて、購買意欲を高める効果を得ることがで きる。その上、植物性の材料を使用することで、廃棄処分をしても環境保全の上 で問題になることを防止できるとともに、そもそも廃棄処分以前に、その良好な 印象ゆえに、木箱とは異なり再使用を促すことができる。再使用は、例えば弁当 容器や、ざるなどの調理器具、身の回りの小物入れ等、適宜行え、資源の有効利 用に大きく貢献する。

【００３９】 また、このような乾麺包装容器は、通気性が良好であるので、収容凹部の乾麺 を湿気から守りやすく、そのための作業もしやすい。

【００４０】 この乾麺包装容器は、乾麺の中でも特に素麺の包装に適する。すなわち、上述 のように湿気対策がしやすい上に、単なる食品を越えた芸術品ともいえる品格を 備えた素麺に相応しい、前述のように良好な外観の包装ができるからである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 素麺包装体の開封状態の斜視図。

【図２】 内包装体の構成を示す斜視図。

【図３】 素麺包装体の斜視図。

【符号の説明】

１…素麺 ２…素麺包装体 ３…素麺包装容器 ４…容器本体 ４ａ…収容凹部 ５…被せ蓋 ５ａ…係合部 ６…内包装体 ７…線状体 ８…漆の塗膜 ９…紙片

Claims (9)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】乾麺を収容する収容凹部を有した乾麺包装
   容器であって、上記収容凹部を囲む外側を、線状体の編
   織で形成した乾麺包装容器。
2. 【請求項２】前記収容凹部を閉塞する被せ蓋を備えた請
   求項１に記載の乾麺包装容器。
3. 【請求項３】前記被せ蓋も線状体の編織で形成するとと
   もに、外周縁部には、被せたときに前記収容凹部を有す
   る容器本体の外周縁部に係合可能な係合部を形成した請
   求項２に記載の乾麺包装容器。
4. 【請求項４】前記線状体に、植物性の偏平な線状体を用
   い、蜜に編織した請求項１から請求項３のうちのいずれ
   か一項に記載の乾麺包装容器。
5. 【請求項５】前記乾麺を包むとともに、前記収容凹部に
   収納可能な大きさの内包装体を備えた請求項１から請求
   項４のうちのいずれか一項に記載の乾麺包装容器。
6. 【請求項６】前記内包装体は、紙を折曲して形成した請
   求項５に記載の乾麺包装容器。
7. 【請求項７】表面に漆を塗布した請求項１から請求項６
   のうちのいずれか一項に記載の乾麺包装容器。
8. 【請求項８】前記請求項１から請求項７のうちのいずれ
   か一項に記載の乾麺包装容器に乾麺を収容した乾麺包装
   体。
9. 【請求項９】前記乾麺として素麺を収容した請求項８に
   記載の乾麺包装体。