JP3086134B2 - 液晶ライトバルブの製造方法 - Google Patents

液晶ライトバルブの製造方法

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JP3086134B2
JP3086134B2 JP06190567A JP19056794A JP3086134B2 JP 3086134 B2 JP3086134 B2 JP 3086134B2 JP 06190567 A JP06190567 A JP 06190567A JP 19056794 A JP19056794 A JP 19056794A JP 3086134 B2 JP3086134 B2 JP 3086134B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、投射型ディスプレイ、
画像処理装置、光情報処理装置等に用いられる液晶ライ
トバルブの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ここ最近、大画面表示投射型ディスプレ
イの開発が盛んに行われており、そのなかでも光アドレ
ス型液晶ライトバルブ(以下、単に液晶ライトバルブと
略記する)を用いたデバイスの開発が、高輝度・高精細
の点から活発に行われている。
【0003】上記の液晶ライトバルブとしては、例えば
図15に示すような構成のものがある。これにおいて
は、外周側でスペーサ307を介して互いに貼り合わさ
れた一対の透光性基板であるガラス基板301a・30
1bを有しており、光入射側に配されるガラス基板30
1bには、透明電極(透光性導電膜)302b、及び光
導電体層(光導電体膜)303、反射層(光反射膜)3
04、及び配向膜306bが順に形成される一方、光出
射側に配されるガラス基板301aには、透明電極30
2a、及び配向膜306aが形成され、基板間には液晶
層308が形成されている。
【0004】このような液晶ライトバルブの製造工程を
一例を挙げて説明すると、まず、ガラス基板301a・
301bの上に、透明電極302a・302bとしてI
TO透明導電膜を電子ビーム蒸着法にて形成する。
【0005】次に、一方のガラス基板301bにおける
透明電極302bの上に、光導電体層303として非晶
質水素化シリコン(a−Si:H)を形成する。このa
−Si:H膜は、シランガスと水素ガスとを原料とし、
プラズマCVD法を用いて作成される。次いで、この光
導電体層303の上に、反射層304として誘電体ミラ
ー(酸化チタン/酸化シリコンの多層膜)を電子ビーム
蒸着法で形成する。
【0006】次に、ガラス基板301aにおける透明電
極302a、及びガラス基板301bにおける反射層3
04の上に、配向膜306a・306bとしてポリイミ
ド膜をそれぞれ形成した後、ラビングによる分子配向処
理を施す。
【0007】その後、ガラス基板301a・301bを
スペーサ307を介して貼り合わせ、基板間に液晶層3
08として強誘電液晶やネマチック液晶を注入して封止
する。これにて液晶ライトバルブが完成する。
【0008】尚、液晶ライトバルブに用いられる表示モ
ードとしては、ハイブリッド電界効果(HFE)モー
ド、相転移モード、表面安定化強誘電性液晶表示(SS
−FLC)モードなどが用いられる。
【0009】このような構造を有する液晶ライトバルブ
の透明電極302a・302b間には、交流電源309
によって電圧が印加される。ガラス基板301b側から
アドレス光L2 が入射すると、光の当たった領域(明状
態)では、光導電体層303のインピーダンスが減少
し、交流電源309によって印加された電圧は液晶層3
08に加わる。一方光の当たらない領域(暗状態)で
は、光導電体層303のインピーダンスは変化せず液晶
層308には電圧が加わらない。この明状態と暗状態の
違いにより液晶層308にアドレス光L2 に対応した画
像情報が形成され、投射型ディスプレイや光情報処理装
置等に応用される。
【0010】上記した液晶ライトバルブの構成以外に、
反射層に変えて遮光層(遮光膜)を有したものや、反射
層・遮光膜の両方を備えたタイプもある。
【0011】また、このような液晶ライトバルブにおけ
る光導電体層としては、CdS(ヒューズ:特開昭49
−90155号公報)や、非晶質シリコン(日本電気:
特開昭57−150821号公報,特開昭59−816
27号公報、ヒューズ:特開平2−501334号公
報、シャープ:特開平5−165050号公報)等を用
いることが提案されている。このうち、非晶質シリコン
はプラズマCVD法で作成され利用されている。
【0012】遮光層は、その性能として暗導電率、明導
電率が共に10-7Ωcm以下で吸収係数が大きいことが
要求される。この材料として、CdTe(ヒューズ:特
開昭49−90155号公報,特開平2−501334
号公報)や、非晶質シリコン系材料(日本電気:特開昭
59−81627号公報、シャープ:特開平3−200
934号公報,特開平5−165050号公報)や、サ
ーメット材料、顔料分散型有機材料等が提案されてい
る。また、島状の金属膜を光導電体層の上に形成して遮
光層及び反射層として利用している。
【0013】光反射層としては、一般に屈折率の大きい
材料と小さい材料を交互に組み合わせ、干渉効果により
反射率を増大させた誘電体ミラーを用いている。通常、
誘電体ミラーの材料としては、二酸化チタン/二酸化ケ
イ素、硫化亜鉛/フッ化マグネシウムなどが電子ビーム
蒸着法やスパッタ法で形成されている。また、非晶質シ
リコン(a−Si:F:H)/窒化シリコン(SiN
x)をプラズマCVD法で形成する方法も提案されてい
る(日本電気:特開昭59−170820号公報)。
【0014】ところが、このように液晶ライトバルブの
製造にあたり、透光性導電膜、光導電体層、遮光層、光
反射層等の形成には、スパッタ法、プラズマCVD法、
電子ビーム蒸着法等の異なる薄膜形成方法が併用されて
いると、薄膜作成用真空装置への基板の出し入れの回数
が多くなると共に、昇温、降温を繰り返す必要があり、
作成時間が長くかかる。また、基板の出し入れ時にゴミ
等が付着し易く、歩留まり低下も生じる。その結果、製
造コストが上昇するという問題が発生している。
【0015】そこで、このような問題を解決すべく、シ
ラン(SiH4 )や4フッ化ケイ素(SiF4 )等の半
導体用特殊材料ガスを原料として使用し、プラズマCV
D法を使って光導電体層、遮光層、光反射層を連続して
形成する提案がなされている(特開昭59−17082
0号公報)。
【0016】一方、これとは別に、非晶質シリコン太陽
電池を形成する場合、薄膜の積層構造を連続的に形成す
るために、多室プラズマCVD装置を用いて生産性の向
上が図られている(文献:Firester,A.
H.,and Carlson,D.E.(198
3).RCA Eng.28,40)。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
特開昭59−170820号公報のプラズマCVD法を
使った製造方法では、SiH4 やSiF4 等の半導体用
特殊材料ガスを原料として使用しているため、製造を安
全に且つ環境汚染防止に努めながら行うには、製造装置
と共に排ガス処理装置等の設備が必要になる。したがっ
て、このようにプラズマCVD法では、作業環境の安全
性確保のためには製造設備費用、維持管理費用が増大
し、製造コストを思うように削減できていない。
【0018】本発明は、上記課題に鑑みて成されたもの
で、安全な作業環境を保つと共に、製造工程を簡略化し
て製造コストを低減できる液晶ライトバルブの製造方法
を提案することを目的としている。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明の液晶ライトバル
ブの製造方法は、上記の課題を解決するために、基板間
に液晶層を挟持した一対の透光性基板を有し、一方の基
板における基板対向面には、透光性導電膜、シリコンを
主成分とする非晶質半導体からなる光導電体膜、遮光膜
及び光反射膜の少なくとも一方、及び配向膜がほぼ全面
に順に形成されている液晶ライトバルブの製造方法にお
いて、上記透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜及び/又
は光反射膜のうちの少なくとも3層の連続する膜を物理
的気相成長法を用いて透光性基板上に連続して形成し、
その際、光導電体膜と、遮光膜及び/又は光反射膜とを
マスク成膜してパターン化することを特徴としている。
【0020】
【0021】本発明の液晶ライトバルブの製造方法は、
上記の課題を解決するために、 基板間に液晶層を挟持
した一対の透光性基板を有し、一方の基板における基板
対向面には、透光性導電膜、シリコンを主成分とする非
晶質半導体からなる光導電体膜、遮光膜及び光反射膜の
少なくとも一方、及び配向膜がほぼ全面に順に形成され
ている液晶ライトバルブの製造方法において、上記透光
性導電膜、光導電体膜、遮光膜及び/又は光反射膜のう
ちの少なくとも3層の連続する膜を物理的気相成長法を
用いて透光性基板上に連続して形成した後、さらに連続
して、光導電体膜、遮光膜及び/又は光反射膜を選択性
ドライエッチングしてパターン化することを特徴として
いる。
【0022】本発明の液晶ライトバルブの製造方法は、
上記の課題を解決するために、上記の液晶ライトバルブ
の製造方法において、物理的気相成長法としてスパッタ
法又は電子サイクロトロン共鳴スパッタ法を用いること
を特徴としている。
【0023】
【作用】上記の構成によれば、透光性導電膜、光導電体
膜、遮光膜及び/又は光反射膜のうちの少なくとも3層
の連続する膜は、物理的気相成長法を用いて透光性基板
上に形成されるので、薄膜材料として固体を使うことが
でき、特殊材料ガスを使う必要がないため、安全な作業
環境を実現することができる。これにより、従来のプラ
ズマCVD法を用いていた場合のように、排ガス処理装
置等の設備を必要としない。
【0024】また、構成している層の少なくとも3層以
上を物理的気相成長法で連続的に形成すると、各層毎で
形成方法が異なっていた場合のように、薄膜作成用真空
装置への基板出し入れや、昇温・降温を繰り返す必要が
なく、ゴミ等の付着による歩留まり低下や作成時間が長
くかかることによる製造コストの上昇という問題点を解
決して、作成時間の短縮及び歩留まりの向上が可能とな
る。
【0025】この結果、安全な作業環境を保つと共に、
製造工程を簡略化して製造コストを大幅に削減すること
ができる。
【0026】また、上記の少なくとも3層の連続する膜
を物理的気相成長法を用いて連続して形成する際、光導
電体膜と、遮光膜及び/又は光反射膜とを、マスク成膜
してパターン化するので、液晶ライトバルブからの電極
取り出しが容易になり、電極取り出しのための別工程が
不要になる。これにより、さらなる製造工程の簡略化と
製造時間の短縮とが図れると共に、歩留まり向上も図
れ、液晶ライトバルブの製造コストをより一層低減する
ことができる。
【0027】あるいは、上記の構成によれば、上記の少
なくとも3層の連続する膜を物理的気相成長法を用いて
連続して形成した後、さらに連続して、光導電体膜、遮
光膜及び/又は光反射膜を選択性ドライエッチングして
パターン化するので、液晶ライトバルブからの電極取り
出しが容易になり、電極取り出しのための別工程が不要
になる。これにより、さらなる製造工程の簡略化と製造
時間の短縮とが図れると共に、歩留まり向上も図れ、液
晶ライトバルブの製造コストをより一層低減することが
できる。
【0028】上記の構成によれば、さらに、物理的気相
成長法としてスパッタ法又は電子サイクロトロン共鳴ス
パッタ法を用いるようになっている。特に電子サイクロ
トロン共鳴スパッタ法(以下、ECR−SP法と略記す
る)に使われるECRイオン源は低ガス圧力で高イオン
化プラズマが生成でき、低エネルギーで且つ大イオン電
流照射ができるため、反応性の高い成膜が可能であると
共に、低温成膜が可能で、且つ内部応力が低い成膜が可
能である等の特徴を有している。したがって、作成条件
を調整することで透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜、
光反射膜を低温で密着性良く作成することができる。
【0029】
【実施例】
〔実施例1〕本発明の一実施例を、図1ないし図6に基
づいて説明すれば以下の通りである。本実施例に係る液
晶ライトバルブの製造方法により作製された液晶ライト
バルブ100は、図2に示すように、例えば投影型表示
装置の光変調器として用いられるものである。
【0030】まず始めに、この投影型表示装置の構成及
びその動作を簡単に説明する。
【0031】投影型表示装置は、上記液晶ライトバルブ
100と共に、書き込み用光源2、第1及び第2のレン
ズ3・5、及び画像書き込み用液晶パネル4からなる書
き込み光学系1と、偏光ビームスプリッタ6と、投射レ
ンズ7と、スクリーン8と、第3レンズ9と、投影用ラ
ンプ10とを備えている。
【0032】これにおいて、書き込み用光源2から光が
出射されると、その出射光は、第1及び第2のレンズ3
・5、及び画像書き込み用液晶パネル4を通って液晶ラ
イトバルブ100上に結像する。これにより、液晶ライ
トバルブ100には、画像書き込み用液晶パネル4の画
像に応じた画像が書き込まれることとなる。
【0033】このように画像が書き込まれた液晶ライト
バルブ100に、投影用ランプ10からの光が第3レン
ズ9及び偏光ビームスプリッタ6を介して入射すると、
この入射光は、液晶ライトバルブ100における後述す
る誘電体ミラー105(図3参照)によって反射され
る。この反射光のうち、液晶層108(図3参照)の配
向状態が変化している部分を透過した光のみ、電気光学
効果によって偏光方向が変化するので、偏光ビームスプ
リッタ6を透過することができる。偏光ビームスプリッ
タ6を透過した反射光は、投射レンズ7によって拡大さ
れてスクリーン8上に結像し、こうして液晶ライトバル
ブ100に書き込まれた画像がスクリーン8に投影され
ることとなる。
【0034】次に、上記液晶ライトバルブ100の構成
を図3を用いて説明する。図に示すように、液晶ライト
バルブ100は、一対のガラス基板(透光性基板)10
1a・101bを備えている。このうち、光入射側に配
されるガラス基板101bの上には、透明電極(透光性
導電膜)102b、光導電体層(光導電体膜)103、
遮光層(遮光膜)104、誘電体ミラー(光反射膜)1
05、及び配向膜106bが順に形成され、他方、光出
射側に配されるガラス基板101aの上には、透明電極
102a、配向膜106aが形成されている。
【0035】上記透明電極102a・102bは、IT
O透明導電膜からなり、スパッタ法にて形成され、膜厚
は約0.2μmである。光導電体層103は、非晶質水素
化シリコンカーバイト(a−SiC:H)からなり、反
応性スパッタ法にて形成され、膜厚は約6μmである。
遮光層104は、非晶質水素化シリコン錫(a−SiS
n:H)からなり、反応性スパッタ法にて形成され、膜
厚は約1.2μmである。誘電体ミラー105は、二酸化
チタン/二酸化シリコンが交互に合計10層積層された
多層膜からなり、反応性スパッタ法にて形成されてい
る。
【0036】これら一対のガラス基板101a・101
bは、スペーサ107を介して外周側が貼り合わされ、
基板間に液晶層108としてネマチック液晶が注入・封
止されている。
【0037】上記液晶ライトバルブ100のセル厚は約
4μmである。尚、動作モードとしては、例えばハイブ
リッド電界効果(HFE)モードが用いられている。
【0038】このような構造を有する液晶ライトバルブ
100の透明電極102a・102b間には、交流電源
109によって交流電圧が印加される。ガラス基板10
1b側からアドレス光L1 が入射すると、光の当たった
領域(明状態)では、光導電体層103のインピーダン
スが減少し、交流電源109によって印加された電圧は
液晶層108に加わる。一方、光の当たらない領域(暗
状態)では、光導電体層103のインピーダンスは変化
せず液晶層108には電圧が加わらない。この明状態と
暗状態の違いにより液晶層108にアドレス光L1 に対
応した画像情報が形成されることとなる。
【0039】次に、このような液晶ライトバルブ100
の製造工程を順を追って説明する。尚、本実施例では、
液晶ライトバルブ100を6枚一括して生産するように
なっており、図1に示す大型のガラス基板101を使用
している。
【0040】まず、ガラス基板101を2枚用意し、一
方のガラス基板101の上にITO透明導電膜からなる
透明電極102aをスパッタ法を用いて形成する。
【0041】次に、もう一枚のガラス基板101の上
に、同じくスパッタ法を用いてITO透明導電膜からな
る透明電極102bを形成し、続けて、この透明電極1
02bの上に、光導電体層103、遮光層104、誘電
体ミラー105をスパッタ法(物理的気相成長法)を用
いてマスク成膜にて一定形状に連続形成する。このよう
な透明電極102b、光導電体層103、遮光層10
4、及び誘電体ミラー105の連続形成は、図1に示す
成膜用スパッタ装置20にて行われる。
【0042】成膜用スパッタ装置20は、第1ないし第
5の成膜室22・24・25・26・27、仕込み室2
1、基板搬送室23、トレイ搬送室28、取り出し室2
9、及びトレイ準備室30を備えている。上記第1成膜
室22は、透明電極102bを形成するための成膜室、
第2成膜室24は、光導電体層103を形成するための
成膜室、第3成膜室25は、遮光層104を形成するた
めの成膜室、第4及び第5の成膜室26・27は、誘電
体ミラー105を形成するための成膜室である。
【0043】上記第1ないし第5の成膜室22・24・
25・26・27は、何れもほぼ同じ構成を有したスパ
ッタ装置からなる。例えば第1成膜室22は、図4に示
すように、反応チャンバ22a内に、スパッタターゲッ
トであるITOターゲット16を備え、この対向位置に
基板トレイ13に支持されたガラス基板101が配置さ
れるようになっている。そして、薄膜形成時、この反応
チャンバー22a内には、ガス導入管17から所定のガ
スが導入されると共に、ITOターゲット16のベース
プレート16aに、交流電源18から高周波電力が印加
されるようになっている。
【0044】また、上記第1成膜室22で使用される基
板トレイ13は、図5(a)(b)に示すように、中央部
に開口部13aが形成された枠体からなる。これを使用
した場合、ガラス基板101の周端部を除く全面に薄膜
が形成される。
【0045】一方、第2ないし第5の成膜室24〜27
で使用されるマスク成膜用トレイ14は、図6(a)
(b)に示すように、パネル単位に応じた6個の開口部
14a…が形成されている。これを使用した場合、ガラ
ス基板101には開口部14aに応じた一定形状の薄膜
が形成される。
【0046】このような成膜用スパッタ装置20を用い
て成膜するにあたり、まず、図1に示すように、基板ト
レイ13にガラス基板101を取り付け、仕込み室21
にこの基板トレイ13を装填して仕込み室21内を真空
排気し、ガラス基板101を所定温度に加熱する。真空
排気及び基板加熱完了後、基板トレイ13ごとガラス基
板101を図示しない搬送手段を用いて第1成膜室22
に搬送し、反応チャンバ22a内にガス導入管17から
アルゴンガス(Ar),酸素(O2 )を流しながら交流
電源18から高周波電力を印加して、ITOターゲット
16をスパッタし、透明電極102bとしてのITO透
明導電膜をガラス基板101上に形成する(図4参
照)。
【0047】ITO透明導電膜形成後、基板トレイ13
上のガラス基板101を、基板搬送室23内の基板搬送
ロボット15を使って、第2成膜室24内にあるマスク
成膜用トレイ14に取り付け、光導電体膜103として
のa−SiC:H膜を形成する。a−SiC:H膜は、
基板温度300℃で、Ar,水素ガス(H2 ),メタン
ガス(CH4 )を流し、Ar:H2 :CH4 =10:
3:1とし、シリコンターゲットを反応性スパッタリン
グすることで作成する。
【0048】次に、このガラス基板101をマスク成膜
用トレイ14ごと第3成膜室25に搬送し、遮光層10
4としてのa−SiSn膜を形成する。a−SiSn膜
は、基板温度280℃で、Ar,H2 ガス雰囲気中、水
素分圧比H2 /(H2 +Ar)=0.3とし、シリコンと
錫をモル比で1:1に混合して形成したターゲットを反
応性スパッタリングすることで作成する。尚、マスク成
膜用トレイ14がガラス基板101と共に第3成膜室2
5に移動された後は、トレイ準備室30から第2成膜室
24に別のマスク成膜用トレイ14が供給されるように
なっており、これにて連続して成膜できるようになって
いる。
【0049】第3成膜室25にて遮光層104が形成さ
れると、次に、このガラス基板101をマスク成膜用ト
レイ14ごと第4成膜室26に搬送し、二酸化シリコン
の薄膜を形成し、続けて第5成膜室27に搬送して二酸
化チタンの薄膜を形成する。この後、トレイ搬送室28
を通して再び第4成膜室26にマスク成膜用トレイ14
ごとガラス基板101を搬送して同じ成膜を繰り返し、
二酸化シリコン/二酸化チタンを連続して合計10層形
成し、これにて誘電体ミラー105が形成される。二酸
化シリコン・二酸化チタンの各薄膜は、Ar,O2 の雰
囲気中、反応性スパッタリングすることで形成する。こ
こで、原料ターゲットとしては、二酸化チタン、二酸化
シリコンをそれぞれ用い、基板温度280℃、二酸化チ
タン作成時の酸素分圧O2 /(O2 +Ar)=0.15、
二酸化シリコン作成時の酸素分圧0.05とする。
【0050】成膜完了後は取り出し室29にマスク成膜
用トレイ14ごとガラス基板101を搬送し、常圧に戻
した後、ガラス基板101を取り出す。
【0051】こうして、ガラス基板101の上に、透明
電極102b、光導電体層103、遮光層104、誘電
体ミラー105までが連続して形成されると、誘電体ミ
ラー105の上に、配向膜106bとしてポリイミド膜
を印刷法によって形成し、ラビングによる分子配向処理
を施す。
【0052】また、もう一方のガラス基板101の透明
電極102a上にも同様の方法で配向膜106aを形成
する。
【0053】その後、これら一対のガラス基板101・
101を、各パネル単位でスペーサ107を介して貼り
合わせ、個々の単位に分断した後、液晶層108として
ネマチック液晶を注入し、封止する。こうして液晶ライ
トバルブ100が製造される。
【0054】このように、本実施例では、成膜用スパッ
タ装置20を用いて、ガラス基板101の上に、透明電
極102b、光導電体層103、遮光層104、誘電体
ミラー105を物理的気相成長法としてのスパッタ法に
て形成するので、薄膜材料として固体のターゲットを使
うことができ、特殊材料ガスを使う必要がないため、安
全な作業環境を実現することができる。これにより、従
来のプラズマCVD法を用いていた場合のように、排ガ
ス処理装置等の設備が必要なくなる。
【0055】また、一台の成膜用スパッタ装置20を用
いて透明電極102b、光導電体層103、遮光層10
4、及び誘電体ミラー105までを連続して形成するよ
うになっているので、各層毎で作成方法が異なっていた
場合のように、薄膜作成用真空装置への基板出し入れ
や、昇温・降温を繰り返す必要がなく、ゴミ等の付着に
よる歩留まり低下や作成時間が長くかかることによる製
造コストの上昇という問題点を解決して、作成時間の短
縮及び歩留まりの向上を図ることができる。
【0056】この結果、安全な作業環境を保つと共に、
製造工程を簡略化して製造コストを大幅に削減すること
が可能となる。
【0057】しかも、本実施例の成膜用スパッタ装置2
0においては、光導電体層103、遮光層104、及び
誘電体ミラー105の3層をマスク成膜し、透明電極1
02bの電極の取り出しまでも1台の成膜用スパッタ装
置20にて行うようになっているので、電極取り出しが
容易になり、電極取り出しのための別工程が不要にな
る。したがって、さらなる製造工程の簡略化と製造時間
の短縮、及び歩留まり向上が図れ、より一層のコスト削
減が可能となる。
【0058】〔変形例前記実施例1の一変形例 を図7ないし図9に基づいて説
明すれば以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記の
実施例1にて示した部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0059】本変形例に係る液晶ライトバルブの製造方
法により作製された図7に示す液晶ライトバルブ300
も、前記の実施例1における液晶ライトバルブ100と
同様に、例えば投影型表示装置の光変調器として用いら
れるものである。
【0060】液晶ライトバルブ300は、透明電極10
2bがITO積層透明導電膜102b’とSnO2 透明
導電膜102b”との2層からなり、また誘電体ミラー
105が除かれている点が、前記実施例1の液晶ライト
バルブ100と異なる。上記ITO積層透明導電膜10
2b’はスパッタ法にて形成され、膜厚は約1000Å
である。SnO2 透明導電膜102”は、反応性スパッ
タ法にて形成され、膜厚は300Åである。また、この
液晶ライトバルブ300の場合、光導電体層103は、
非晶質水素化シリコン(a−Si:H)からなり、反応
性スパッタ法にて形成され、膜厚は約7μmである。遮
光層104は、非晶質水素化シリコンゲルマニウム(a
−SiGe:H)からなり、反応性スパッタ法にて形成
され、膜厚は約1.5μmである。
【0061】また、前記の実施例1における液晶ライト
バルブ100と同様に、上記液晶ライトバルブ300の
セル厚は約4μmであり、動作モードとしては、例えば
ハイブリッド電界効果(HFE)モードが用いられてい
る。
【0062】次に、このような液晶ライトバルブ300
の製造工程を説明する。但し、大型のガラス基板101
を用いて量産することや、配向膜106a・106bの
形成、ガラス基板101・101同士の貼り合わせ、液
晶層108の注入・封止等は、前記の実施例1の液晶ラ
イトバルブ100の製造工程と同じであるので、ここで
は省略する。
【0063】本変形例の液晶ライトバルブの製造方法に
おいては、液晶ライトバルブ300における光入射側に
配されるガラス基板101bの上に、透明電極102b
(102b’・102b”)、光導電体層103、遮光
層104を連続して形成すると共に、真空中で光導電体
層103、遮光層104をレーザー光によって蒸発させ
てパターン化し、透明電極102bの電極取り出しま
で、図8に示す一台の連続成膜用スパッタ装置400を
用いて行うようになっている。
【0064】成膜用スパッタ装置400は、第1ないし
第4の成膜室402・403・404・405、仕込み
室401、レーザーパターニング室406、及び取り出
し室407を備えている。
【0065】上記第1成膜室402は、透明電極102
bとしてのITO積層透明導電膜102b’を形成する
ための成膜室、上記第2成膜室403は、透明電極10
2bとしてのSnO2 透明導電膜102b”を形成する
ための成膜室、上記第3成膜室404は、光導電体層1
03を形成するための成膜室、第4成膜室405は、遮
光層104を形成するための成膜室である。上記第1な
いし第4の成膜室402・403・404・405は、
実施例1における第1成膜室22と同様の構成を有して
いる。
【0066】一方、レーザーパターニング室406に
は、レーザー装置409から出射されたレーザー光が、
反射ミラー408と集光レンズ410とを介して入射さ
れるようになっている。レーザー装置409から出射さ
れるレーザー光は、光導電体層103、遮光層104で
吸収されるものである。
【0067】このような連続成膜用スパッタ装置400
を用いて成膜するにあたり、まず、図8に示すように、
基板トレイ13にガラス基板101を取り付け、仕込み
室401にこの基板トレイ13を装填して仕込み室40
1内を真空排気し、ガラス基板101を所定温度に加熱
する。次に、基板トレイ13ごとガラス基板101を図
示しない搬送手段を用いて第1成膜室402に搬送し、
Ar,O2 を流しながら高周波電力を印加して、ITO
ターゲットをスパッタし、透明電極102bとしてのI
TO積層透明導電膜102b’をガラス基板101上に
形成する。
【0068】続いて、基板トレイ13ごとガラス基板1
01を、第2成膜室403に搬送し、Ar,O2 を流し
ながら高周波電力を印加して、SbドープしたSnO2
ターゲットをスパッタし、透明電極102bとしてのS
nO2 透明導電膜102b”を、ITO積層透明導電膜
102b’の上に形成する。
【0069】次いで、基板トレイ13ごとガラス基板1
01を第3成膜室404、第4成膜室405へと順に搬
送し、光導電体膜103としてのa−Si:H膜、遮光
層104としてのa−SiGe:H膜を形成する。ここ
までの工程で、ガラス基板101は、図9(a)に示す
ような構成となる。
【0070】第4成膜室405にて遮光層104が形成
されると、次に、このガラス基板101を基板トレイ1
3ごとレーザーパターニング室406に搬送し、レーザ
ー装置409からのレーザー光にて、ガラス基板101
全面に連続して形成された透明電極102b(102
b’・102b”)、光導電体層103、遮光層104
のうち、電極取り出し部分の光導電体層103としての
a−Si:H膜と遮光層104としてのa−SiGe:
H膜とを蒸発させてパターン化し、透明電極102bの
電極の取り出しを行う。ここまでの工程により、ガラス
基板101は、図9(b)に示すような構成となる。
【0071】その後、取り出し室407にガラス基板1
01を基板トレイ13ごと搬送し、常圧に戻した後、ガ
ラス基板101を取り出す。
【0072】このようにしてガラス基板101bの上
に、ITO積層透明導電膜102b’とSnO2 透明導
電膜102b”の2層からなる透明電極102b、光導
電体層103、遮光層104を連続形成し、レーザー光
を用いてパターン化することでも前記の実施例1の場合
と同様の効果を得ることができる。
【0073】〔実施例〕 本発明の他の実施例を図10ないし図14に基づいて説
明すれば以下の通りである。尚、説明の便宜上、前記の
実施例1にて示した部材と同一の機能を有する部材に
は、同一の符号を付記し、その説明を省略する。
【0074】本実施例に係る液晶ライトバルブの製造方
法により作製された図10に示す液晶ライトバルブ20
0も、前記の実施例1における液晶ライトバルブ100
と同様に、例えば投影型表示装置の光変調器として用い
られるものである。
【0075】液晶ライトバルブ200は、前記の実施例
1の液晶ライトバルブ100における誘電体ミラー10
5が除かれた構成である。また、この液晶ライトバルブ
200の場合、透明電極102a・102bは、SnO
2 透明導電膜からなる。光導電体層103は、非晶質水
素化シリコン(a−Si:H)からなり、ECR−SP
法にて形成され、膜厚は約6μmである。遮光層104
は、非晶質水素化シリコンゲルマニウム(a−SiG
e:H)からなり、ECR−SP法にて形成され、膜厚
は約1μmである。
【0076】また、前記の実施例1における液晶ライト
バルブ100と同様に、上記液晶ライトバルブ200の
セル厚は約4μmであり、動作モードとしては、例えば
ハイブリッド電界効果(HFE)モードが用いられてい
る。
【0077】次に、このような液晶ライトバルブ200
の製造工程を説明する。但し、大型のガラス基板101
を用いて量産することや、配向膜106a・106bの
形成、ガラス基板101・101同士の貼り合わせ、液
晶層108の注入・封止等は、前記の実施例1の液晶ラ
イトバルブ100の製造工程と同じであるので、ここで
は省略する。
【0078】本実施例の液晶ライトバルブの製造方法に
おいては、液晶ライトバルブ200における光入射側に
配されるガラス基板101bの上に、透明電極102
b、光導電体層103、遮光層104を連続して形成す
ると共に、光導電体層103、遮光層104を選択性エ
ッチングして、透明電極102bの電極取り出しまで、
図11に示す一台の枚葉式スパッタ装置50を用いて行
うようになっている。
【0079】枚葉式スパッタ装置50は、基板搬送用ロ
ボット53を備えた基板搬送室52の周囲に、仕込み室
51、第1ないし第3の成膜室54・55・56、エッ
チング室57、及び取り出し室58が配されている。
【0080】第1成膜室51は前記の実施例1における
第1成膜室22と同様の構成を有しており、スパッタ法
にてSnO2 膜を作成し、透明電極102bを形成する
成膜室である。一方、第2成膜室55及び第3成膜室5
6は、ECR−SP法を用いて光導電体層103、遮光
層104をそれぞれ形成する成膜室であり、図12に示
すECR−SP装置60を備えている。
【0081】ここで、ECR−SP法での成膜について
説明する。一般には、ECR−SP法は次のように行
う。プラズマ室61にAr等のガスを導入口62を通し
て導入し10-5〜10-3Torrの圧力に設定する。マ
イクロ波(2.45GHz)電力63を導波管64を介
してプラズマ室61に投入すると共に磁気コイル66か
ら875ガウスの磁束密度を与えることで電子サイクロ
トロン共鳴(ECR)条件に設定してプラズマを生成す
る。磁気コイル66による磁界分布はプラズマ室61か
ら反応室65内の基板ホルダ69の方向に弱くなる発散
磁場の構成になるよう設計されており、ECRにより高
速に円運動する電子は基板ホルダ69の方向に運動し、
その結果プラズマ流67が基板ホルダ69に保持された
ガラス基板101表面に到達する。
【0082】このプラズマ流67を取り囲むようにスパ
ッタターゲット68を配置し、スパッタ電源71を投入
し、プラズマ流67中の一部のイオンを利用してスパッ
タリングを行う。スパッタ粒子はプラズマ流67中を通
過しガラス基板101の表面に供給される。成膜時に、
反応性ガスを導入することで反応性ガスイオンの低エネ
ルギーイオン照射ができ反応性スパッタ膜が形成でき
る。
【0083】一方、エッチング室57は、光導電体層1
03及び遮光層104を所定の形状に選択性エッチング
処理を施してパターン化する室であり、図13に示すエ
ッチング装置80からなる。エッチング装置80は、反
応チャンバ80a内に、マスク上下機構81と、マスク
82とが設けられており、電極84・85間に交流電源
83から高周波電力を印加してドライエッチングを行う
ようになっている。
【0084】このような枚葉式スパッタ装置50を用い
て成膜するにあたり、まず、図11に示すように、ガラ
ス基板101を仕込み室51に装填し、真空排気完了
後、ガラス基板101を基板搬送室52内の基板搬送ロ
ボット53を使って、第1成膜室54に搬送し、Ar,
2 を流しながら高周波電力を加えて、Sbドープした
SnO2 ターゲットをスパッタし、透明電極102bと
してのSnO2 透明導電膜をガラス基板101上に形成
する。
【0085】SnO2 透明導電膜形成後、ガラス基板1
01を第2成膜室55に搬送し、ECR−SP法を用い
て光導電体層103としてのa−Si:H膜を形成す
る。a−Si:H膜は、基板温度200℃で、導入ガス
としてAr,H2 を使い、水素分圧比H2 /(H2 +A
r)=0.1とし、シリコンターゲットを用いてスパッタ
リングすることで作成する。
【0086】次に、ガラス基板101を第3成膜室56
に搬送し、ECR−SP法で遮光膜としてのa−SiG
e:H膜を形成する。基板温度200℃で、Ar,H2
を導入して水素分圧比を0.2とし、シリコンとゲルマ
ニウムの混合ターゲットをスパッタリングすることで作
成する。ここまでの工程で、ガラス基板101は、図1
4(a)に示すような構成となる。
【0087】次に、ガラス基板101をエッチング室5
7に搬送し、選択性エッチングにより電極取り出し部分
における光導電体層103としてのa−Si:H膜と遮
光層104としてのa−SiGe:H膜を蒸発させてパ
ターン化し、透明電極102bの電極の取り出しを行
う。つまり、ガラス基板101をエッチング室57に装
填後、マスク上下機構81によりマスク82をガラス基
板101に1mm以下に近接又は密着させ、O2 とCF
4 を流し、O2 /(O2 +CF4 )=0.15とし、電極
84・85間に高周波電力を印加してエッチングを行い
SnO2 電極の取り出しを行う。ここまでの工程によ
り、ガラス基板101は、図14(b)に示すような構
成となる。
【0088】次に、ガラス基板101を取り出し室58
に搬送し、常圧に戻した後ガラス基板101を取り出
す。
【0089】このようにしてガラス基板101bの上
に、透明電極102b、光導電体層103、遮光層10
4を連続形成し、パターン化することでも前記の実施例
1の場合と同様の効果を得ることができる。
【0090】しかも、この場合、ECR−SP法を用い
ており、ECRイオン源は低ガス圧力で高イオン化プラ
ズマが生成でき、低エネルギーで且つ大イオン電流照射
ができるため、反応性の高い成膜が可能であると共に、
低温成膜が可能で、且つ内部応力が低い成膜が可能であ
る等の特徴を有している。したがって、作成条件を調整
することで光導電体層103、遮光層104を低温で密
着性良く作成することができ、光導電体層103や遮光
層104の性能が向上する。
【0091】尚、本実施例では光導電体層103として
のa−Si:Hと、遮光層104としてのa−SiS
n:HをECR−SP法を用いて作成したが、反応性ス
パッタ法を用いることももちろん可能であり、また、反
射層を設けた構成では、反射層をECR−SP法を用い
て作成することももちろん可能である。
【0092】また、従来、液晶ライトバルブの光導電体
層の材料として使用されている材料中、CdSは有害物
質であり、また、a−Si:Hは形成後の薄膜は無公害
物質だが、作成方法として一般にプラズマCVD法を用
いSiH4 ガスを分解して作成するため、安全性確保の
ため設備の維持管理に多大な費用を要していたが、上記
した実施例1・変形例・実施例では、a−SiC:H
やa−Si:Hを、物理的気相成長法としてのスパッタ
法、ECR−SP法を用いて原料として安全な固体材料
を使って成膜しているので、安全に光導電性のよい良質
な光導電体層103を形成することが可能となってい
る。
【0093】また、従来、光導電体層の材料としてケイ
酸ビスマス(Bi12SiO20)結晶を使う方法もある
が、薄膜化が困難なため解像度の向上が難しく、また結
晶を使うため大型基板を作ることができず、量産性が悪
く製造コストが増大するという問題があったが、上記の
実施例1・変形例・実施例に記載したように光導電体
層103を形成することで、解像度の優れた液晶ライト
バルブを量産することができる。
【0094】尚、実施例1・変形例・実施例において
液晶ライトバルブ100・300・200の光導電体層
103としては、a−SiC:Hやa−Si:Hを用い
たが、これら以外に非晶質水素化シリコンオキサイド
(a−SiO:H)、非晶質水素化シリコンナイトライ
ド(a−SiN:H)、非晶質水素化シリコンゲルマニ
ウム(a−SiGe:H)などのシリコンを主成分とす
る非晶質半導体材料を用いることもできる。
【0095】また、従来、遮光層の材料の性能として使
用されている材料中、CdTeは有害物質であり、ま
た、a−SiF:Hは形成後の薄膜は無公害物質である
が原料ガスとしてSiF4 を使うため安全性確保のため
設備の維持管理に多大な費用を要するが、上記した実施
例1・変形例・実施例では、a−SiSn:H、a−
SiGe:Hをスパッタ法、ECR−SP法を用いて原
料として安全な固体材料を使って成膜しているので、安
全な環境下で、遮光層を作成することができる。また、
従来の遮光層に顔料分散型有機材料を使う場合に比べ、
上記した実施例1・変形例・実施例では、光導電体層
103と遮光層104の膨張係数が近いため、層間の密
着性を向上させることができる。
【0096】また、各実施例における液晶ライトバルブ
100・200・300の液晶表示モードであるが、ネ
マチック液晶を用いた場合には上記したハイブリッド電
界効果モードの他に、相転移モード、ツイステッドネマ
チックモード、動的散乱モード、ゲストホストモードが
利用できる。また、スメクチック液晶を用いた場合、複
屈折モード、ゲストホストモード、光散乱モードが利用
でき、このほかに強誘電性液晶も利用できる。
【0097】
【発明の効果】本発明の液晶ライトバルブの製造方法
は、以上のように、透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜
及び/又は光反射膜のうちの少なくとも3層の連続する
膜を物理的気相成長法を用いて透光性基板上に連続して
形成する際、光導電体膜と、遮光膜及び/又は光反射膜
とをマスク成膜してパターン化するものである。
【0098】これによれば、透光性導電膜、光導電体
膜、遮光膜及び/又は光反射膜のうちの少なくとも3層
の連続する膜は、物理的気相成長法を用いて透光性基板
上に形成されるので、薄膜材料として固体を使うことが
でき、特殊材料ガスを使う必要がないため、安全な作業
環境を実現することができる。これにより、従来のプラ
ズマCVD法を用いていた場合のように、排ガス処理装
置等の設備が必要ない。
【0099】また、構成している層の少なくとも3層以
上を物理的気相成長法で連続的に作成すると、各層毎で
作成方法が異なっていた場合のように、薄膜作成用真空
装置への基板出し入れや昇温、降温を繰り返す必要がな
く、ゴミ等の付着による歩留まり低下や作成時間が長く
かかることによる製造コストの上昇という問題点を解決
して、作成時間の短縮及び歩留まりの向上が可能とな
る。
【0100】その結果、安全な作業環境を保つと共に、
製造工程を簡略化して製造コストを大幅に削減すること
ができるという効果を奏する。
【0101】
【0102】また、上記の少なくとも3層の連続する膜
を物理的気相成長法を用いて連続して形成する際、光導
電体膜と、遮光膜及び/又は光反射膜とを、マスク成膜
してパターン化するので、液晶ライトバルブからの電極
取り出しが容易になり、電極取り出しのための別工程が
不要になる。それゆえ、さらなる製造工程の簡略化と製
造時間の短縮とが図れると共に、歩留まり向上も図れ、
液晶ライトバルブの製造コストをより一層低減すること
ができるという効果を上記効果に加えて奏する。
【0103】本発明の液晶ライトバルブの製造方法は、
以上のように、透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜及び
/又は光反射膜のうちの少なくとも3層の連続する膜を
物理的気相成長法を用いて透光性基板上に連続して形成
した後、さらに連続して、光導電体膜、遮光膜及び/又
は光反射膜を選択性ドライエッチングしてパターン化す
るものである。
【0104】これによれば、上記の少なくとも3層の連
続する膜を物理的気相成長法を用いて連続して形成した
後、さらに連続して、光導電体膜、遮光膜及び/又は光
反射膜を選択性ドライエッチングしてパターン化するの
で、液晶ライトバルブからの電極取り出しが容易にな
り、電極取り出しのための別工程が不要になる。これに
より、さらなる製造工程の簡略化と製造時間の短縮とが
図れると共に、歩留まり向上も図れ、液晶ライトバルブ
の製造コストをより一層削減することができるという効
果を上記効果に加えて奏する。
【0105】本発明の液晶ライトバルブの製造方法は、
以上のように、上記の液晶ライトバルブの製造方法にお
いて、物理的気相成長法としてスパッタ法又は電子サイ
クロトロン共鳴スパッタ法を用いるものである。
【0106】特にECR−SP法に使われるECRイオ
ン源は低ガス圧力で高イオン化プラズマが生成でき、低
エネルギーで且つ大イオン電流照射ができるため、反応
性の高い成膜が可能であると共に、低温成膜が可能で、
且つ内部応力が低い成膜が可能である等の特徴を有して
いる。したがって、作成条件を調整することで透光性導
電膜、光導電体膜、遮光膜、光反射膜を低温で密着性良
く作成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における液晶ライトバルブの
製造方法を実施して、液晶ライトバルブを作製する成膜
用スパッタ装置の構成図である。
【図2】上記液晶ライトバルブを用いた投影型表示装置
の構成図である。
【図3】上記液晶ライトバルブの断面図である。
【図4】上記成膜用スパッタ装置における成膜室の構成
図である。
【図5】上記成膜用スパッタ装置にて使用される基板ト
レイを示すもので、(a)は平面図、(b)は断面図で
ある。
【図6】上記成膜用スパッタ装置にて使用されるマスク
成膜用トレイを示すもので、(a)は平面図、(b)は
断面図である。
【図7】本発明の実施例の一変形例における液晶ライト
バルブの製造方法により作製された液晶ライトバルブの
断面図である。
【図8】上記液晶ライトバルブを製造する連続成膜用ス
パッタ装置の構成図である。
【図9】(a)はレーザーパターニングを実施する前の
ガラス基板の断面図であり、(b)はレーザーパターニ
ング後のガラス基板の断面図である。
【図10】本発明の他の実施例における液晶ライトバル
ブの製造方法により作製された液晶ライトバルブの断面
図である。
【図11】上記液晶ライトバルブを製造する枚葉式スパ
ッタ装置の構成図である。
【図12】上記枚葉式スパッタ装置に備えられたECR
−SP成膜室の構成図である。
【図13】上記枚葉式スパッタ装置に備えられたエッチ
ング室の構成図である。
【図14】(a)はエッチング処理を実施する前のガラ
ス基板の断面図であり、(b)はエッチング処理後のガ
ラス基板の断面図である。
【図15】従来の液晶ライトバルブの断面図である。
【符号の説明】
100 液晶ライトバルブ 101a ガラス基板(透光性基板) 101b ガラス基板(透光性基板) 102a 透明電極(透光性導電膜) 102b 透明電極(透光性導電膜) 102b’ ITO積層透明導電膜 102b” SnO2 透明導電膜 103 光導電体層(光導電体膜) 104 遮光層(遮光膜) 105 誘電体ミラー(光反射膜) 106a 配向膜 106b 配向膜 108 液晶層 200 液晶ライトバルブ 300 液晶ライトバルブ

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板間に液晶層を挟持した一対の透光性基
    板を有し、一方の基板における基板対向面には、透光性
    導電膜、シリコンを主成分とする非晶質半導体からなる
    光導電体膜、遮光膜及び光反射膜の少なくとも一方、及
    び配向膜がほぼ全面に順に形成されている液晶ライトバ
    ルブの製造方法において、 上記透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜及び/又は光反
    射膜のうちの少なくとも3層の連続する膜を物理的気相
    成長法を用いて透光性基板上に連続して形成し、その
    際、光導電体膜と、遮光膜及び/又は光反射膜とをマス
    ク成膜してパターン化することを特徴とする液晶ライト
    バルブの製造方法。
  2. 【請求項2】基板間に液晶層を挟持した一対の透光性基
    板を有し、一方の基板における基板対向面には、透光性
    導電膜、シリコンを主成分とする非晶質半導体からなる
    光導電体膜、遮光膜及び光反射膜の少なくとも一方、及
    び配向膜がほぼ全面に順に形成されている液晶ライトバ
    ルブの製造方法において、 上記透光性導電膜、光導電体膜、遮光膜及び/又は光反
    射膜のうちの少なくとも3層の連続する膜を物理的気相
    成長法を用いて透光性基板上に連続して形成した後、さ
    らに連続して、光導電体膜、遮光膜及び/又は光反射膜
    を選択性ドライエッチングしてパターン化することを特
    徴とする 液晶ライトバルブの製造方法。
  3. 【請求項3】物理的気相成長法としてスパッタ法又は電
    子サイクロトロン共鳴スパッタ法を用いることを特徴と
    する上記請求項1又は2記載の液晶ライトバルブの製造
    方法。
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