JP3086102B2 - 過負荷保護装置 - Google Patents

過負荷保護装置

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JP3086102B2
JP3086102B2 JP05117311A JP11731193A JP3086102B2 JP 3086102 B2 JP3086102 B2 JP 3086102B2 JP 05117311 A JP05117311 A JP 05117311A JP 11731193 A JP11731193 A JP 11731193A JP 3086102 B2 JP3086102 B2 JP 3086102B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電動機等に用いて好適
なバイメタルを備えた過負荷保護装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、冷蔵庫や空気調和機,除湿機等
の電動機を用いる製品には、電動機の過熱焼損を防止す
るために、過負荷保護装置が設けられている。この種の
過負荷保護装置としては、従来、種々提案されている
が、その一例として実開昭59−72641号公報や実
開昭64−35642号公報等に開示されるものが知ら
れており、以下、これについて説明する。
【0003】図17は実開昭59−72641号公報に
記載の過負荷保護装置を示す縦断面図、図18は図17
の分断線B−Bから見た平面図であって、1はケ−ス、
1aは外部底面、1bは内部底面、2は蓋、3,4は可
動接点、5はバイメタル、5aは軸支穴、6は調整ネ
ジ、6aは頭部、7,8は固定接点、9,10は固定端
子、11はヒ−タ端子、12はヒ−タ線、13はバネ、
14’はこの過負荷保護装置である。
【0004】図17において、ケ−ス1はフェノ−ル樹
脂または不飽和ポリエステル樹脂等の耐熱絶縁材料から
なり、有底円筒状をなしている。このケ−ス1に蓋2が
被せられ、これらによって内部空間が形成される。
【0005】この内部空間内には、ケ−ス1の底部の中
心に、内部底面1bから外部底面1aを貫いて黄銅製の
調整ネジ6が取り付けられており、この調整ネジ6のケ
−ス1の内部側の端部に頭部6aが設けられている。こ
の調整ネジ6には、ディスク状のバイメタル5が、その
軸支穴5aに調整ネジ6が挿入されることにより、取り
付けられており、また、この調整ネジ6でのバイメタル
5とケ−ス1の内部底面1bと間にバネ13が取り付け
られている。このバネ13は圧縮された状態にあり、そ
の付勢力によってバイメタル5が調整ネジ6の頭部6a
に押圧されている。
【0006】バイメタル5の内部底面1b側に向いた面
(下面)の外周部に、互いに対向して可動接点3,4が
抵抗溶接により固着されている。また、ケ−ス1の内部
底面1bから外部底面1aに貫通して固定された固定端
子9が設けられ、この固定端子9の先端に、バイメタル
5の可動接点3に対向するようにして、固定接点7が固
着されており、同様にして、ケ−ス1の内部底面1bか
ら外部底面1aに貫通して固定された固定端子10の先
端に、バイメタル5の可動接点4に対向するようにし
て、固定接点8が固着されている。
【0007】また、ケ−ス1の内部底面1bから外部底
面1aに貫通してヒ−タ端子11が固定されており、ケ
−ス1の内部空間で、このヒータ端子11の端部と固定
端子9の先端との間に、溶接等により、ヒ−タ線12が
接続されている。固定端子10とヒ−タ端子11とがこ
の過負荷保護装置14’の外部端子となっている。この
ヒ−タ線12はバイメタル5の下面に近接し、かつ、図
18に示すように、図17で調整ネジ6の向う側に回り
込むように配置されており、ヒ−タ線12の発熱によっ
てバイメタル5が全周にわたって加熱されるようにして
ある。
【0008】バイメタル5は中心部を中心とした湾曲状
をなしており、その温度が低い場合には、図示するよう
に、中心部が蓋2側に突出した湾曲状をなし、可動接点
3,4が夫々固定接点7,8に接触している。これによ
り、固定端子10から固定接点8,可動接点4,バイメ
タル5,可動接点3,固定接点7,固定端子9,ヒ−タ
線12を通ってヒ−タ端子11に至る電路が形成され
る。バイメタル5の温度が高くなって或る温度に達する
と、バイメタル5は、図示とは逆に、中央部が内部底面
1b側に突出した湾曲状に急激に形状変形する。これ
を、以下、反転運動といい、反転運動によるバイメタル
5の状態を反転状態という。また、この反転運動が生ず
るバイメタル5の温度を反転動作温度という。バイメタ
ル5が反転運動すると、可動接点3,4が夫々固定接点
7,8から離れ、電路が遮断状態となる。
【0009】反転状態にあるバイメタル5の温度が或る
温度まで低下すると、バイメタル5は図示の状態に復帰
する。これを以下、復帰運動といい、この復帰運動によ
る図示の状態を元の状態という。また、復帰運動が生ず
るバイメタル5の温度を復帰動作温度という。バイメタ
ル5が反転状態から元の状態に復帰すると、可動接点
3,4が夫々固定接点7,8に接触して再び電路が形成
される。
【0010】図19はかかる過負荷保護装置14’を電
動機に用いた場合の電気的な接続関係を示す回路図であ
って、15は電動機、16は始動装置、17は始動巻
線、18は主巻線であり、図17,図18に対応する部
分には同一符号をつけている。
【0011】同図において、過負荷保護装置14’は上
記電路構成部分のみが示され、電動機15は巻線のみが
示されている。電動機15においては、始動巻線17と
始動装置16との直列回路が主巻線18に並列接続され
ている。かかる電動機15と過負荷保護装置14’と
は、電動機15の一方の端子が過負荷保護装置14’の
ヒ−タ端子11と接続されることにより、直列接続され
ている。これにより、過負荷保護装置14’の固定端子
10からバイメタル5,ヒ−タ線12,ヒ−タ端子11
を介して電動機15の始動巻線17、主巻線18に電流
が流れる。
【0012】電動機15やこの電動機15で駆動される
図示しないコンプレッサの軸受部分の焼付きや回転部分
へのゴミの侵入により、電動機15の運転中に電動機1
5のメカニカルロックが発生すると、そのロ−タが回転
しないために、始動電流に相当する大電流が流れ、電源
が接続されている状態でロ−タがロックされている限り
流れ続ける。これを拘束電流と呼び、電動機15の定格
電流の4〜5倍程度である。通常、正常な始動時での始
動電流が流れる時間(始動時間)は2〜3秒と短いため
に、電動機15はこの短時間に流れる程度の大きな始動
電流には充分耐えられるように設計されている。しか
し、拘束電流が長時間に渡って電動機15とその電流回
路に流れ続けることは設計上考慮されておらず、好まし
くない。
【0013】過負荷保護装置14’はこの不具合を解消
するものであって、電動機15に大きな拘束電流が流れ
続けてバイメタル5とヒ−タ線12の自己発熱が増加
し、バイメタル5の温度が反転動作温度に達すると、そ
の瞬間、バイメタル5が急激に反転運動し、上記のよう
に、可動接点3,4が夫々固定接点7,8から離れて電
動機15の通電を停止させる。このように通電停止があ
ると、バイメタル5とヒ−タ線12とは冷却し始め、バ
イメタル5の温度が復帰動作温度に達すると、バイメタ
ル5は急激に復帰運動して元の状態に復帰し、可動接点
3,4が夫々固定接点7,8に接触して電動機15の通
電が再開する。このとき、電動機15の拘束状態が解除
されていれば、バイメタル5は再度反転運動を行なうこ
とがなく、電動機15が正常な運転を行なう。
【0014】図20は実開昭60−183349号公報
等に記載の過負荷保護装置を示す縦断面図であって、1
4”はこの過負荷保護装置であり、図17及び図18に
対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略
する。
【0015】図20に示すように、この過負荷保護装置
14”は、基本的には、ヒ−タ線が設けられていない点
が図17に示した過負荷保護装置14’と異なってい
る。このため、先端に固定接点7を有する固定端子9が
ケ−ス1の底部を貫いて外部に突出されており、固定端
子10とともに外部端子となっている。可動接点3,4
が夫々固定接点7,8と接触しているときには、固定端
子10から固定接点8,可動接点4,バイメタル5,可
動接点3,固定接点7を介して固定端子9に至る電路が
形成される。
【0016】かかる過負荷保護装置14”を電動機15
に使用する場合には、図21に示すように、過負荷保護
装置14”の一方の固定端子9が電動機15の一方の端
子に接続される。
【0017】電動機15に何らかの異常が発生して大き
な拘束電流が流れると、バイメタル5の自己発熱が増加
し、その温度が反転動作温度に達すると、この瞬間、バ
イメタル5が急激に反転運動し、可動接点3,4が夫々
固定接点7,8から離れて電動機15の通電が停止す
る。このようにして通電停止があると、バイメタル5は
冷却し始め、バイメタル5の温度が復帰動作温度に達す
ると、バイメタル5は急激に復帰運動して元の状態に復
帰し、可動接点3,4が夫々固定接点7,8に接触して
電動機15の通電が再開する。
【0018】このとき、電動機15の拘束状態が解除さ
れていれば、バイメタル5は再度反転運動を行なうこと
がなく、電動機15は正常な運転を行なう。
【0019】以上のようにして、上記各従来例による
と、バイメタル5の反転状態中に拘束状態が解除されれ
ば、電動機15は正常な運転状態となって過熱焼損を防
止することができる。
【0020】しかしながら、電動機15の異常状態が解
消しないときには、バイメタル5が復帰運動して一旦元
の状態に戻っても、電動機15が再び拘束状態になるた
め、過負荷保護装置14”に大きな拘束電流が流れ、再
びバイメタル5が反転運動して反転状態となり、電動機
15の通電が停止する。従って、電動機15の異常状態
が解消されないときには、バイメタル5は反転運動と復
帰運動とを繰り返し行なうことになり、この繰返しが多
くなると、遂にはバイメタル5は疲労して破断すること
になる。
【0021】図17に示した過負荷保護装置14’や図
20に示した過負荷保護装置14”においては、図22
に示すように、調整ネジ6が嵌合する軸支孔5aに放射
状にスリット5b〜5gが設けられたバイメタル5が使
用されるが、かかるバイメタル5が上記のように反転運
動と復帰運動を繰り返すと、例えばスリット5bの先端
5b’から破断Eが生ずる。
【0022】また、大電流開閉用の過負荷保護装置で
は、その電流に見合った大きな可動接点3,4を用いる
ため、可動接点3,4の接合部のバイメタル5の反転動
作時の自由度がなく、この部分の応力が増加することか
ら、可動接点3,4の周囲から破断が同時に進行するこ
ともある。
【0023】このようにバイメタル5が破断すると、バ
イメタル5の特性が変化して、接点圧力の減少や接点開
離力の減少を招くとともに反転動作温度や復帰動作温度
が変化し、反転運動しても可動接点3,4の部分の反転
動作量が減少したりなどして反転動作間隔が短くなり、
バイメタル5やヒ−タ線12に流れる拘束電流の通電率
が増加して益々ケ−ス1内の温度が上昇する。また、こ
のとき、繰返し動作による最終故障モ−ドは、可動接点
3,4と固定接点7,8との接点溶着である。このよう
に接点溶着が発生すると、電動機15の巻線と過負荷保
護装置14’,14”のバイメタル5とに大きな拘束電
流が連続して流れることになり、電動機15の巻線が発
熱して焼損することになるし、また、バイメタル5やヒ
−タ線12の発熱によってケ−ス1の内部温度が上昇
し、ケ−ス1や蓋2の耐熱温度以上に温度上昇すると、
ケ−ス1や蓋2等のバイメタル5の周辺が焼損すること
になる。
【0024】なお、図17に示した従来例において、ケ
−ス1の内部温度が異常に上昇してヒ−タ線12が断線
すれば、過負荷保護装置14’の電路が遮断され、上記
の焼損が防止することができて安全であるが、必ずしも
ヒ−タ線12が遮断するとは限らず、安全性の点で問題
となる。また、図20に示したヒ−タ線を持たない過負
荷保護装置14”では、この作用さえも期待できない。
【0025】通常冷蔵庫に用いられる過負荷保護装置1
4’,14”のバイメタル5の溶断電流は5秒通電で7
0A以上である。また、空気調和機等に用いられるもの
では100A以上である。これは、これ等に用いられる
電動機15の最大拘束電流の2倍以上が流れない限り溶
断しないことを示している。
【0026】以上のような問題を解消する方法として
は、従来、種々の提案がなされているが、その一例とし
て、実開昭59−72641号公報に記載のものは、ケ
−スにセラッミク等の耐熱性材料を用いることがある。
【0027】また、実開昭63−174145号公報に
記載のものでは、複数の鋸歯状突起を有する動作係数板
が設けられ、バイメタルが復帰運動する毎に順次異なる
鋸歯状突起に係合して動作係数が降下し、鋸歯状突起の
個数に等しい回数バイメタルが復帰動作すると、動作係
数板はケ−スの内部底面に当接してバイメタルが復帰運
動をすることができないようにしている。これによる
と、電動機の異常状態が解消されなくとも、バイメタル
は、所定回数復帰運動を行なうと、復帰運動ができなく
なり、反転状態が保持されて拘束電流が遮断される。
【0028】さらに、実開昭63−224125号公報
に記載のものでは、第1のバイメタルとこれよりも反転
動作温度が高い第2のバイメタルとが直列接続されて設
けられ、異常電流の発生によって第1のバイメタルが反
転動作を行なうようにし、異常状態が解消されずに第1
のバイメタルが反転動作と復帰動作とを繰り返し、遂に
第1のバイメタルが破断して接点溶着が生じたときに
は、この結果生ずる異常温度上昇により、第2のバイメ
タルが反転して異常電流を遮断するようにしている。
【0029】さらに、実開昭64−1450号公報に記
載のものでは、第1のバイメタルの下面に第2のバイメ
タルを当接させ、第1のバイメタルが破断して接点溶着
が生ずると、第2のバイメタルが反転運動して第1のバ
イメタルを持ち上げるようにしている。
【0030】さらに、実開昭64−35642号公報に
記載のものでは、調整ネジがバイメタルを取り付けるた
めの頭部とそれ以外のネジ部とが熱可溶金属でもって固
着させてなっている。ここで、この頭部には凹部が設け
られており、これに熱可溶金属の溶融物を充填してネジ
部の端部を挿入することにより、ネジ部に頭部が固着さ
れている。ところで、通常、バイメタルは調整ネジに取
り付けたバネによってこの頭部に押圧されているが、バ
イメタルが接点溶着して温度が高くなると、熱可溶金属
が溶融して頭部と調整ネジとの固着が解け、バネの付勢
力によってバイメタルと頭部とが持ち上げられる。
【0031】さらに、特開平3−77228号公報に記
載のものでは、バイメタルにおけるその中心支持部と可
動接点との間に孔を設けて電気抵抗が大きい高抵抗部を
設定し、接点融着時、この高抵抗部に過電流によるジュ
−ル熱が集中して溶断されるようにしている。また、か
かる高抵抗部を得る手段として、板厚を薄くしたり、外
周形状に凹みを設けたりすることでも、同様の効果が得
られると述べられている。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、バイメ
タルの接点溶着の対策方法が種々提案されているが、夫
々には次のような問題もある。
【0033】即ち、実開昭59−72641号公報に記
載のようにケ−スをセラッミクで形成すると、確かにケ
−スの焼損を回避できるが、電動機の巻線の焼損は免れ
ないし、ケ−スが高価なものとなるという問題もある。
【0034】また、実開昭63−174145号公報に
記載のように動作計数板を設けた従来技術においては、
この動作計数板によってバイメタルの反転運動,復帰運
動の繰返し動作回数が限られているため、 (1)冷蔵庫や空気調和機,除湿機等に用いられる過負
荷保護装置の場合、電動圧縮機の故障、即ち機械的ロッ
ク以外でも作動してしまい、バイメタルが動作計数板に
よって反転状態に保持されてしまう事態が起り易く、従
って、サ−ビスコ−ルの増加を招く。 (2)調整作業中の動作確認においても動作計数板が位
置移動してしまい、残りの動作回数が減少してまう。 等の実用化に際しての課題が残っている。
【0035】さらに、実開昭63−224125号公報
に記載のように、直列に接続された第1,第2のバイメ
タルを用いる場合には、これらを同時に通電する必要が
有ることから、 (1)これらバイメタルの比抵抗に応じて流すことので
きる電流の大きさの範囲が制限される。 (2)バイメタルの比抵抗が不足してこれ自体の発熱量
が小さいときには、ヒ−タ線を設ける必要があるが、バ
イメタルとヒ−タ線との間の絶縁距離を確保する必要が
あることから、ヒ−タ線が占めるスペ−スも大きくな
り、過負荷保護装置が大形化する。 (3)第1,第2のバイメタル夫々に高価な接点を設け
る必要があり、装置自体が高価になる。 等の実用化に際しての課題が残っている。
【0036】さらに、実開昭64−35642号公報に
記載のように、熱可溶金属で調整ネジとその頭部とを固
着した場合には、 (1)バイメタルが接点溶着して高温になると、熱可溶
金属が溶融し始め、バネによってバイメタルと調整ネジ
の頭部が持ち上げられるが、熱可溶金属の粘性のため、
これらの持上げは緩やかに行なわれる。そして、バイメ
タルの持上げによって可動接点がケ−スの内部底面上の
固定接点からはずれると、電路が遮断されるために、こ
れと同時に熱源が失われ、熱可溶金属は固相方向に向か
う。このように、熱可溶金属の粘性に充分打ち勝つよう
にバネの力が作用してないときには、バイメタルが持ち
上げられたときの可動接点と固定接点との間の接点開離
量(接点ギャップ)を充分に確保できない。 (2)上記の熱可溶金属の固相現象は、バネの負荷抵抗
そのものであり、接点溶着時でのバネの接点引剥力を減
少させるように作用する。このことは、大電流の負荷を
開閉する過負荷保護装置を得る場合の障害となることが
予想される。 (3)熱可溶金属による結合にはクリープがあるので、
その融点はバイメタルの反転動作温度に対して充分な温
度差があることが必要である。通常、このときの温度差
は40〜50℃必要である。このため、接点開離動作が
行なわれるための動作温度が高くなり、装置の利用範囲
が制限されやすい。 (4)調整ネジの頭部の凹みへの熱可溶金属の流し込み
に安定度が高い設備が必要であって、設備費が高価にな
る。 等の実用化に際しての課題がある。
【0037】さらに、特開平3−77228号公報に記
載のように、バイメタルの電気抵抗よりも高抵抗部をな
すように孔を設けるとすると、普通一般的に用いられる
バイメタルの外形形状が可動接点に近い側になること
は、開示された図面からも明確である。また、バイメタ
ルの外周形状に凹みを設ける場合において、その位置に
ついて開示されていないが、前記理由と同様、可動接点
に近い側で設けられるのが必然的と言える。
【0038】さらに、バイメタルの板厚を薄くする場合
において、その方法等について開示されていないが、位
置については、前記と同様の可動接点に近い側になるこ
とが容易に推定される。また、その方法については、プ
レス加工等によって部分的に薄くする方法が考えられ
る。しかしながら、いずれにしても、バイメタルの弾性
力が可動接点に作用するとき、バイメタルの変形量が可
動接点に近い断面積が最少となる高抵抗部に集中するこ
とは避けられず、従来技術に比較して同一接点圧力を得
ようとすると、 (1)バイメタルの調整代が大きくなる。 (2)バイメタルの応力が増加し、高抵抗部から破断が
始まり、バイメタルの疲労が加速されて寿命が短縮す
る。 (3)バイメタルの一部に孔と凹みを設ける方式の場合
では、ノッチ作用によって著しく寿命を短縮させる。 (4)バイメタルの一部を薄くする方式の場合には、広
範囲が加工硬化や異種金属結合部(張り合せ部)の剥離
が生じやすく、寿命を著しく短縮させる。 等の問題が予測される。
【0039】また、この問題を回避するため、従来技術
と比較して低い接点圧力で実用化しようとすると、接点
圧力の減少により、接点溶着が多発しやすくなることは
周知の通りであり、その結果、大容量負荷の開閉時に
は、著しく寿命が短縮して機能停止が早まる。
【0040】そこで、バイメタルの応力分散を目的とす
る実開昭60−183349号公報に開示されるような
バイメタルの中央部に形成した嵌合孔から放射状にのび
るスリット備えたバイメタルと組合せて、低い接点圧力
で実用化しようとすると、 (A)可動接点とスリットとの間のバイメタルの断面積
が減少し、バイメタルの基本特性が大きく変化する。 (B)放射状のスリットによってバイメタルの断面積が
小さくなるため、この部分よりさらに抵抗値が高い高抵
抗部を得ようとするためには、孔の幅寸法をさらに大き
くする必要があり、より技術的に実用化が困難である。 等の問題があった。
【0041】さらに付記すれば、バイメタルの軸支構造
にバイメタルを調整ネジの頭部に押し付けるバネが設け
られておらず、バイメタルの溶断後の位置はバイメタル
の自由位置となるため、充分な遮断距離が確保できない
恐れがある。
【0042】本発明の目的は、かかる問題を解消し、所
定の動作温度で速やかにかつ永久的に電路を遮断し、な
おかつ、通常使用時には、高い信頼性を維持できるよう
にした構成が簡単で安価な過負荷保護装置を提供するこ
とにある。
【0043】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、有底ケース内に、少なくとも一対の固定
接点と、該固定端子夫々に対向した可動接点を有しディ
スク状のスナップアクション動作を行なうバイメタル
と、該バイメタルを反転自在に軸支する調整ネジと、バ
イメタルを該調整ネジの頭部に押し付けて保持するバネ
とを備えた過負荷保護装置において、 1.バイメタルの該調整ネジに取り付けるための軸支穴
から放射状に設けられた複数のスリットのうち、これら
可動接点を結ぶ直線に対して互いに反対側にある少なく
とも1つずつの該スリットを、他のスリットよりも該バ
イメタルの外周辺近くまで伸延するようにする。 2.バイメタルを高膨張金属と低膨張金属とが接合され
た2層構造、または、高膨張金属と中間層金属と低膨張
金属とが接合された多層構造とし、可動接点の接合部周
囲では、高膨張金属または低膨張金属の単層構造とす
る。
【0044】
【作用】スナップアクション動作を行なうバイメタルの
寿命末期に訪れる接点溶着発生時では、接点溶着に伴っ
て可動接点とバイメタルに大きな拘束電流が連続して流
れる。そこで、 1.バイメタルの外周辺近くまで伸延された上記スリッ
トとバイメタルの外周辺との間の断面積が狭い部分で
は、高電流密度が非常に大きくなるため、この部分の発
熱エネルギー(ジュール熱)が大幅に増加し、これによ
るバイメタルの温度がバイメタルの溶融温度以上になる
と、この部分が溶断し、電路を永久的に遮断することに
なる。 2.バイメタルの可動接点周囲の断面積が狭い単層部分
では、高電流密度が非常に大きくなるため、この部分の
発熱エネルギー(ジュール熱)が大幅に増加し、これに
よるバイメタルの温度がバイメタルの溶融温度以上にな
ると、この部分が溶断し、電路を永久的に遮断すること
になる。この場合、バイメタルの可動接点周囲が融け出
すと、さらに可動接点周囲の残りの部分に電流が集中し
て電流密度がさらに増加し、結局、可動接点の周囲全て
がリング状に融けることになる。
【0045】以上のように溶断が生ずると、バイメタル
は接点溶着による拘束から解除されることになり、バネ
の付勢力によってバイメタルが上方に押し上げられて、
溶断後のバイメタルは切り離された可動接点からより遠
ざかる方向に移動する。この結果、完全にバイメタルと
可動接点との間の電気的結合がなくなり、電路を永久的
に遮断する。
【0046】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面によって説明す
る。図1は本発明による過負荷保護装置の一実施例を示
す縦断面図、図2は図1の分断線A−Aから見た平面図
であって、14はこの実施例の過負荷保護装置であり、
図17,図18に対応する部分には同一符号をつけてい
る。
【0047】図1及び図2に示すこの実施例は、その基
本構成が図17及び図18に示した従来の過負荷保護装
置14’と同様であるが、これに使用されるバイメタル
5の構成が異なっている。また、この実施例を電動機に
用いたときの電気回路も、先に説明した図19と同様と
なる。このため、ここでは、図1,図2及び図19の説
明は省略する。
【0048】図3は図1,図2におけるバイメタル5の
一具体例を示す平面図であって、図22に対応する部分
には同一符号をつけている。
【0049】図3において、バイメタル5には、その中
心部にある軸支孔5aから放射状かつ等角間隔に6つの
スリット5b〜5gが伸び、これらの先端部5b’〜5
g’は円形状をなしている。ここで、可動接点3,4を
結ぶ直線に関して、スリット5bと5g、スリット5c
と5f、スリット5dと5eは夫々対称であり、スリッ
ト5c,5fは可動接点3,4を結ぶ直線に垂直な直線
に平行に形成されている。
【0050】ここで、スリット5bは、図面上、可動接
点3よりも若干右方に、また、スリット5gは、図面
上、可動接点3よりも若干左方に夫々伸延しているが、
これらスリット5b,5gは長さが等しく、他のスリッ
ト5c,5d,5e,5fよりも長くてバイメタル5の
外周辺近くまで伸延している。なお、スリット5c,5
d,5e,5fの長さは等しい。このため、これらスリ
ット5b,5gの先端部5b’,5g’からバイメタル
5の外周辺までの幅(従って、断面積)が他のスリット
5c,5d,5e,5fの先端部からバイメタル5の外
周辺までの幅(従って、断面積)よりも狭くなってい
る。
【0051】なお、これらスリット5b〜5gの応力は
その先端部で最大となり、また、先端部5b’,5g’
と先端部5c’〜5f’とでは、軸支孔5aに近い方の
先端部5c′〜5f’で大きくなることは周知の通りで
ある。
【0052】図4は図1,図2におけるバイメタル5の
他の具体例を示す平面図であって、図3に対応する部分
には同一符号をつけている。
【0053】この具体例は、図4に示すように、図3に
示した具体例と同様、軸支孔5aから放射状かつ等角間
隔に6つのスリット5b〜5gが伸延しているが、軸支
孔5aを中心にして対向する2つのスリット5c,5e
が可動接点3,4を結ぶ直線上に配置されている。そし
て、図面上、右上方向に伸延したスリット5cと左上方
向に伸延したスリット5gとがバイメタル5の外周辺近
くまで伸延している。
【0054】以上の構成のバイメタル5では、通電時、
可動接点4から可動接点3に、スリット5b〜5gの外
側を二手に分かれて電流が流れる2つの電路が形成され
る。
【0055】以上のバイメタル5を用いている図1,図
2に示した過負荷保護装置14を、図19に示すように
して電動機15に用いた場合、電動機15が正常に回転
可能な状態では、バイメタル5とヒータ線12に大きな
始動電流が短時間流れた後、小さな運転電流の連続通電
になる。通常、始動電流が流れる時間は約3秒以内であ
って、これは始動装置16等の作動により制限されてい
る。このとき、バイメタル5の発熱エネルギーとヒータ
線12の加熱エネルギーとによる温度上昇でバイメタル
5は反転動作しないことは、従来技術と同様である。
【0056】また、電動機15に始動電流を最大値とし
て過大な拘束電流が連続して流れると、バイメタル5の
発熱エネルギーとヒータ線12の加熱エネルギーが増加
し、バイメタル5の温度が反転動作温度に達すると、そ
の瞬間、バイメタル5が急激に反転運動し、可動接点
3,4が固定接点7,8から離れて電動機15への通電
が断たれる。
【0057】通電が断たれた後、バイメタル5とヒータ
線12とが冷却し始め、バイメタル5の温度が反転復帰
温度に達すると、その瞬間、バイメタル5が反転運動を
行なって元の状態に復帰し、可動接点3,4が固定接点
7,8と接触して電動機15が再び通電される。この復
帰時に電動機15の拘束状態が解除されていれば、電動
機15は正常に運転し、バイメタル5の反転運動はもは
や行なわれない。これは従来技術と全く同様である。
【0058】しかしながら、バイメタル5が元の状態に
復帰したときに、電動機15が拘束状態から解放されて
いないと、バイメタル5が反転動作と復帰動作を繰り返
し行ない、約5,000〜15,000回のかかる繰返
し動作が行なわれると、バイメタル5が疲労して破断が
生ずる。
【0059】図5は図3に示したバイメタル5のかかる
破断状態を示したものであって、ここでは、スリット5
cの先端部5c’とバイメタル5の外周辺との間に破断
Eが生じたものとする。
【0060】図6は図4に示したバイメタル5のかかる
破断状態を示したものであって、ここでは、スリット5
dの先端部5d’とバイメタル5の外周辺との間に破断
Fが生じたものとする。
【0061】このようにバイメタル5に破断E,Fが生
ずると、図5,図6でのバイメタル5でのスリット5b
〜5gよりも右側の電路は遮断されるが、左側の電路は
そのまま形成されている。しかし、バイメタル5の特性
が変化して、可動接点3,4の固定接点7,8への押圧
力の減少や可動接点3,4の固定接点7,8からの開離
力の減少を招くとともに、バイメタル5の反転動作温度
や復帰動作温度も変化し、反転動作と復帰動作の繰返し
が行なわれても、可動接点3,4の部分の反転動作量が
減少したりなどして反転動作間隔が短くなり、バイメタ
ル5やヒータ線12に流れる拘束電流の通電率が増加し
て益々ケース1内の温度が上昇する。
【0062】そして、かかる繰返し動作によって接点溶
着が発生すると、溶着した可動接点3,4との間の図
5,図6で示すバイメタル5のスリット5b〜5gより
も左側の電路に大きな拘束電流が連続して流れる。この
ため、スリット5gの先端部5g’とバイメタル5の外
周辺との間の幅の狭い部分(断面積が小さい部分)の温
度が大幅に上昇する。この温度がバイメタル5の材料毎
に定まる融点以上になると、この部分が融け始め、部分
的に融け落ちた残りの部分にはさらに電流が集中するこ
とになり、次々と連鎖反応的にかつ加速度的に融け出し
て、遂には、図7に示すように、その部分が溶断する。
この結果、可動接点3と可動接点4との間が、前述の破
断部EまたはFと溶断部Gとにより、分断されることに
なる。
【0063】通常、かかる状態で電路が完全に断路され
て大きな拘束電流を遮断し、過負荷保護装置14はその
機能を充分に発揮するものであるが、このとき、既にバ
イメタル5は弾性を失っており、バネ13の弾性力によ
って上方に押し上げられる。運良く可動接点4側が溶着
していない場合には、図8に示すように、この部分も固
定接点8から離れ、電路遮断がより確実なものとなる。
【0064】従って、可動接点3または4のいずれか一
方が電路上遮断できれば、本来の目的が達成し得るもの
であるため、バイメタル5での溶断Gが生ずる位置は必
ずしも限定する必要がない。例えば、可動接点4側で溶
断Gが生ずるようにしようとすれば、図3においては、
スリット5d,5eを、図4においては、スリット5
d,5fを夫々バイメタル5の外周辺近くまで長くすれ
ばよい。
【0065】なお、上記のように可動接点3,4のいず
れか一方側の2つのスリットのみでなく、図9に示すよ
うに、可動接点3,4両方側の2つずつのスリット、即
ちスリット5bと5g、スリット5dと5eを夫々バイ
メタル5の外周辺近くまで長くするようにしてもよい。
【0066】しかしながら、前述のように、バネ13の
作用によって可動接点3または4と固定接点7または8
との開離を期待し、電路遮断をより確実にしようとする
と、図9に示したように、可動接点3,4両方側に長い
スリットを設けるのが望ましい。即ち、接点溶着は可動
接点3または可動接点4のいずれか一方に発生し、同時
に発生することは極めてまれであるためである。
【0067】以上のように、この実施例によれば、使用
条件、即ちバイメタル5において、溶断が生ずるような
流れる電流にマッチした断面積を生じさせる放射状のス
リットを設けたことにより、接点溶着発生時に確実に電
路を遮断させることができるのである。
【0068】発明者等の実験では、冷蔵庫等の比較的小
電流領域で用いられるバイメタル、JIS C 253
0で規定されたTM−1(体積低効率 140μΩ・c
mat20℃)及びTM−2(体積低効率 80μΩ・
cm at20℃)と、空気調和機等の比較的大電流領
域で用いられるTM−6(体積低効率 20〜50μΩ
・cm at20℃)について、板厚を0.15mm,
0.18mm,0.20mmの種々の材料を入手して検
討した結果、放射状のスリットによる局部的発熱温度の
影響度合は次式により示すことができる。
【0069】△T=0.24I2RT/MC 但し、例えば図3に示したバイメタル5において、スリ
ット5b,5gとバイメタル5の外周辺との間の部分の
ように溶断を起こさせるようにする部分を溶断対象部分
と呼ぶこととして、 △T:溶断対象部分の上昇温度(℃) I:溶断対象部分に流れる電流(A) R:溶断対象部分の抵抗(Ω) T:溶断対象部分に電流が流れる時間(sec) M:溶断対象部分の影響する質量(g) C:比熱(cal/g/℃) である。
【0070】上記の式によると、溶断対象部分の断面積
が他のスリットの先端とバイメタル5の外周辺との間の
部分の断面積の1/2となると、その質量も1/2にな
るから、抵抗は2倍になる。その結果、溶断対象部分で
の温度上昇は4倍の変化となって現われ、また、同一温
度に到達する時間は1/4となる。換言すれば、同一電
流であれば、1/4の時間で溶断が生ずることになる。
従って、スリットによって溶断対象部分の断面積を適宜
設定することにより、任意の溶断条件を設定することが
できることになる。
【0071】また、溶断対象部分を設定するためのスリ
ット(図3のスリット5bなど)に可動接点3,4の近
傍で適当な大きさと広がり(面積)を持たせることによ
り、従来技術のようにバイメタル5の調整代が大きくな
る欠点も生じない。
【0072】逆に、溶断対象部分を設定するための長い
放射状のスリットの作用によってバイメタル5が反転動
作したとき、バイメタル5での可動接点3,4の接合部
の周囲が自由に変化するため、この部分を起点にした破
断を防止することができる。この結果、大電流開閉用の
過負荷保護装置14では、特に信頼性が向上する等の利
点が生まれる。
【0073】さらに、溶断対象部分を設定するための長
い放射状のスリットの作用により、バイメタル5が復帰
運動するとき、可動接点3,4が固定接点7,8と接触
するときの機械的振動(チャタリングやバウンシング)
が吸収され、寿命を延ばすという効果も得られる。ま
た、同じ寿命を得る場合には、接点ボリウムを減らすこ
とも可能であって、その分原価を下げることもできる等
の幾多の効果を得ることができる。
【0074】以上のように、この実施例では、負荷電流
に左右されず種々の特性のもの容易に得られるものであ
る。
【0075】図10は本発明による過負荷保護装置の他
の実施例を示す縦断面図であって、5’は高膨張金属、
5”は低膨張金属であり、図1に対応する部分には同一
符号をつけて重複する説明を省略する。
【0076】同図において、バイメタル5は高膨張金属
5’と低膨張金属5”とを接合した2層構成のものであ
って、高膨張金属5’が図面上下層となり、低膨張金属
5”が上層となっている。また、バイメタル5での可動
接点3,4の接合部周囲は低膨張金属5”のみからな
り、従って、可動接点3,4は低膨張金属5”の下面に
抵抗溶接されている。
【0077】バイメタル5の温度が低いときには、高膨
張金属5’が収縮しているので、図示するように、バイ
メタル5は上側に突出した湾曲状をなして可動接点3,
4が固定接点7,8に接触しており、バイメタル5の温
度が高いときには、高膨張金属5’が大きく膨張してバ
イメタル5は下側に突出した湾曲状となり、可動接点
3,4が固定接点7,8から離れる。
【0078】かかる構成によると、接点溶着が発生した
場合、可動接点3,4の接合部周囲の低膨張金属5”の
みの部分で電流密度が最も高くなり、この部分が融け
て、図11に示すように、溶断部Gが生ずる。従って、
固定接点7に溶着した可動接点3がバイメタル5から分
離された状態になり、確実に電路が遮断状態となる。こ
のようにして、先の実施例と同様の効果が得られる。
【0079】図12は本発明による過負荷保護装置のさ
らに他の実施例を示す縦断面図であって、図10に対応
する部分には同一符号をつけている。
【0080】この実施例では、図12に示すように、バ
イメタル5が高膨張金属5’と低膨張金属5”を接合し
た2層構造をなし、高膨張金属5’が下層、低膨張金属
5”が上層をなしているが、バイメタル5での可動接点
3,4の接合部周囲は高膨張金属5’のみからなるよう
にしている。即ち、可動接点3,4は高膨張金属5’の
下面に抵抗溶接されている。
【0081】かかる構成において、図13に示すよう
に、可動接点3側で接点溶着が生じたとすると、高膨張
金属5’の可動接点3の接合部周囲で溶断Gが生じ、先
の実施例と同様に、可動接点3がバイメタル5から分離
された状態になって、電路が遮断される。
【0082】図14(a),(b)は図10に示したバ
イメタル5の具体例を示す平面図であって、図10に対
応する部分には同一符号をつけている。
【0083】図14(a)に示すバイメタル5では、可
動接点3,4の周囲で環状に高膨張金属5’が取り除か
れたものであり、図14(b)に示すバイメタル5で
は、さらに、バイメタル5に端部まで高膨張金属5’が
取り除かれたものである。これらでは、予め高膨張金属
5’と低膨張金属5”とを接合し、しかる後、可動接点
3,4の周囲で、機械加工等により、高膨張金属5’を
取り除くようにしてもよいし、接合前に予め高膨張金属
5’での可動接点3,4の接合部周囲を打抜き加工によ
って取り除き、しかる後、この高膨張金属5’と低膨張
金属5”とを接合するようにしてもよい。いずれのもの
も、可動接点3,4の周囲に原開部を有しているので、
接点圧力の大幅な減少を防止することができる。
【0084】なお、図12におけるバイメタル5につい
ても、同様である。
【0085】図15は本発明による過負荷保護装置のさ
らに他の実施例でのバイメタルの要部を示す断面図であ
って、5'”は中間層金属であり、前出図面に対応する
部分には同一符号をつけている。
【0086】この実施例は、図15に示すように、バイ
メタル5が高膨張金属5’,中間層金属5'”及び低膨
張金属5”を接合した多層構成からなり、図10,図1
2に示した実施例と同様、高膨張金属5’が下層、低膨
張金属5”が上層をなしてこれらの層の間に中間層金属
5'”が設けられている。また、可動接点3,4の接合
部周囲では、高膨張金属5’と中間層金属5'”とが除
かれ、低膨張金属5”の下面に可動接点3,4が抵抗溶
接されている。
【0087】この実施例においても、先の実施例と同
様、断面積が小さい可動接点3,4の接合部周囲で溶断
が生ずる。
【0088】図16は本発明による過負荷保護装置のさ
らに他の実施例でのバイメタルの要部を示す断面図であ
って、図15に対応する部分には同一符号をつけてい
る。
【0089】この実施例では、図16に示すように、図
15に示した実施例と同様、バイメタル5は高膨張金属
5’,中間層金属5'”及び低膨張金属5”を接合した
多層構成からなり、高膨張金属5’が下層、低膨張金属
5”が上層をなしてこれらの層の間に中間層金属5'”
が設けられているが、可動接点3,4の接合部周囲で
は、低膨張金属5”と中間層金属5'”とが除かれ、高
膨張金属5’の下面に可動接点3,4が抵抗溶接されて
いる。
【0090】この実施例においても、先の実施例と同
様、断面積が小さい可動接点3,4の接合部周囲で溶断
が生ずる。
【0091】以上、本発明の実施例を説明したが、本発
明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。バ
イメタル5の構成を、例えば、図3に示した構成と図1
0に示した構成とを組み合わせるなど、上記の実施例を
任意に組み合わせるようにすることもできる。
【0092】また、図1に示した実施例でのバイメタル
では、スリットの個数は適宜選定できるものであるが、
スリットで別けられる上記の2つの電路での電流量を等
しくするために、各スリットの配置を可動接点3,4を
結ぶ直線に関して対象であることが好ましい。
【0093】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
バイメタルに接点溶着が生じたときには、溶着時の大き
な拘束電流による発熱エネルギー(ジュール熱)を利用
してバイメタルを溶融せしめることができるし、バネの
付勢力でもってバイメタルを調整ネジの頭部に押し付け
ることができて、電路を永久的に遮断することができる
ものであって、 1.従来技術と同様の基本構造でもって安全性の高い過
負荷保護装置を提供できる。 2.部品点数を増やすことなく、かつヒータの有無に関
係なく、全ての過負荷保護装置に採用でき、安価な過負
荷保護装置を提供できる。 3.電路遮断するのにマイナスとして作用する要因がな
いので、小電流から大電流領域に用いることができる過
負荷保護装置を提供できる、 という優れた効果が得られるものであり、特性、性能面
だけでなく、経済的にも優れたものであって、その実用
的効果に大なるものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による過負荷保護装置の一実施例を示す
縦断面図である。
【図2】図1の分断線A−Aから見た平面図である。
【図3】図1におけるバイメタルの一具体例を示す平面
図である。
【図4】図1におけるバイメタルの他の具体例を示す平
面図である。
【図5】図3に示したバイメタルの破断状態を示す平面
図である。
【図6】図4に示したバイメタルの破断状態を示す平面
図である。
【図7】図3に示したバイメタルの破断後の溶断状態を
示す平面図である。
【図8】図1に示した実施例の電路遮断状態を示す図で
ある。
【図9】図1におけるバイメタルのさらに他の具体例を
示す平面図である。
【図10】本発明による過負荷保護装置の他の実施例を
示す縦断面図である。
【図11】図10に示した実施例の電路遮断状態を示す
図である。
【図12】本発明による過負荷保護装置のさらに他の実
施例を示す縦断面図である。
【図13】図12に示した実施例の電路遮断状態を示す
図である。
【図14】図10,図12のバイメタルの具体例を示す
平面図である。
【図15】本発明による過負荷保護装置のさらに他の実
施例におけるバイメタルの具体例の要部を示す側面図で
ある。
【図16】本発明による過負荷保護装置のさらに他の実
施例におけるバイメタルの具体例の要部を示す側面図で
ある。
【図17】従来の過負荷保護装置の一例を示す縦断面図
である。
【図18】図17の分断線B−Bから見た平面図である
【図19】図17に示した従来例と電動機との結線図で
ある。
【図20】従来の過負荷保護装置の他の例を示す縦断面
図である。
【図21】図20に示した従来例と電動機との結線図で
ある。
【図22】図17,図20におけるバイメタルの破断状
態を示す平面図である。
【符号の説明】
1 ケース 1a 外部底面 1b 内部底面 2 蓋 3,4 可動接点 5 バイメタル 5’ 高膨張金属 5” 低膨張金属 5'” 中間層金属 5a 軸支穴 5b〜5g スリット 6 調整ネジ 7,8 固定接点 9,10 固定端子 11 ヒータ端子 12 ヒータ線 13 バネ 14 過負荷保護装置 15 電動機
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−54765(JP,A) 特開 平4−109528(JP,A) 特開 平3−77228(JP,A) 特公 昭40−7421(JP,B1) 実公 昭2−7906(JP,Y1) 米国特許5235308(US,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01H 37/00 - 37/56 H01H 1/06 - 1/66

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有底ケ−ス内に、少なくとも一対の固定
    接点と、該固定接点夫々に対向した可動接点を有しディ
    スク状のスナップアクション動作を行なうバイメタル
    と、該バイメタルを反転自在に軸支する調整ネジと、該
    バイメタルを該調整ネジの頭部に押し付けて保持するバ
    ネとを備えた過負荷保護装置において、 バイメタルの該調整ネジに取り付けるための軸支穴から
    放射状に設けられた複数のスリットのうち、該可動接点
    を結ぶ直線に関して互いに反対側に位置する少なくとも
    1つずつのスリットが、他のスリットに比べて該バイメ
    タルの外周辺近くまで伸延していることを特徴とする過
    負荷保護装置。
  2. 【請求項2】 有底ケ−ス内に、少なくとも一対の固定
    接点と、該固定接点夫々に対向した可動接点を有しディ
    スク状のスナップアクション動作を行なうバイメタル
    と、該バイメタルを反転自在に軸支する調整ネジと、該
    バイメタルを該調整ネジの頭部に押し付けて保持するバ
    ネとを備えた過負荷保護装置において、 該バイメタルは高膨張金属と低膨張金属とが接合された
    2層構造をなして、バイメタルの該可動接点の接合部周
    囲では、該高膨張金属もしくは該低膨張金属の単層構造
    をなしていることを特徴とする過負荷保護装置。
  3. 【請求項3】 有底ケ−ス内に、少なくとも一対の固定
    接点と、該固定接点夫々に対向した可動接点を有しディ
    スク状のスナップアクション動作を行なうバイメタル
    と、該バイメタルを反転自在に軸支する調整ネジと、該
    バイメタルを該調整ネジの頭部に押し付けて保持するバ
    ネとを備えた過負荷保護装置において、 該バイメタルは高膨張金属と低膨張金属との間に中間層
    金属が設けられた多層構造をなして、該バイメタルの該
    可動接点の接合部周囲では、該高膨張金属もしくは低膨
    張金属の単層構造をなしていることを特徴とする過負荷
    保護装置。
  4. 【請求項4】 請求項1,2または3において、 前記バイメタルの板厚を0.15mmから0.25mm
    までの範囲としたことを特徴とする過負荷保護装置。
  5. 【請求項5】 請求項1,2,3または4において、 空気調和機,冷蔵庫,除湿機等の電動圧縮機に接続して
    用いたことを特徴とする過負荷保護装置。
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