JP3086003B2 - 光走査装置およびその製造方法 - Google Patents

光走査装置およびその製造方法

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JP3086003B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マイクロマシンを応用
して製作される静電マイクロモータを使用した光走査装
置およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図11は、IEEE Trans on Electron Devic
es, vol. 35, No.6, 724〜730,1988に掲載されたMuller
らによるマイクロ機械の一製法であり、機械的可動部分
に当たるロータの製作に関する基本的な製作工程を示し
ている。この機械構造物は、ロータ3、ジョイント6と
もCVD (化学気相堆積:Chemical Vapor Deposition)法
で堆積したポリシリコンで製作される。基板上に堆積さ
れた薄膜をフォトリソグラフィーによりエッチング加工
して、機械的構造物を製作する方法をサーフェスマイク
ロマシンと言う。
【0003】図11(a) において、1は基板であり、シリ
コン基板あるいは石英等のガラス基板でも良い。シリコ
ン基板の場合、その結晶面方位はいかなるものでも良
い。2は第1SiO2(二酸化シリコン)あるいはPSG (リ
ン珪酸ガラス:Phospho-Silicate Glass) であり、工程
の最後に静電マイクロモータのロータ等の機械的可動部
をリフトオフする時の第1犠牲層である。3は第1ポリ
シリコンであり、機械的可動部となる。実際の製作で
は、フォトレジストマスク(図示せず)で第1ポリシリ
コン3、下地の第1犠牲層2をRIE (反応性イオンエッ
チング:Reactive Ion Etching) で加工し、基板1の表
面が露出までエッチングする。図11(b) において、4は
第2SiO2あるいはPSG からなる第2犠牲層であり、可動
部3をピン止めするジョイント部にレジストマスク(図
示せず)で、RIE 等によりエッチングし、窓開けする。
さらに、図11(c) において、6は第2ポリシリコンであ
り、可動部3をピン止めするベアリングを構成する。加
工には、同様にフォトレジストとRIE を用いる。
【0004】図12はLangらの提案(Transducer'89講演番
号B5.3, June 1989)による静電マイクロモータの外観図
(a) 及び断面構造(b) である。ロータ21、ベアリング2
2、ステータ23は、減圧CVD 法で堆積されたポリシリコ
ンで形成されている。CVD 法は、下地によらず簡単に膜
堆積が可能であり、シリコンICの電極材料あるいは浅い
拡散層形成の為の拡散源として広く用いられているの
で、シリコンベースの薄膜マイクロマシンの構造体用材
料として便利な材料である。
【0005】しかし、機械材料としてポリシリコンを用
いた場合、ポリシリコンが粒径数μm 〜数10μm の単結
晶の集合体であり、粒径が熱処理で変わり、これに対応
して内部応力も熱処理の影響を受けることや、機械的耐
摩耗性が単結晶に比べて低いなどの点が、長寿命化を考
えた場合に問題となる。一方、現在のシリコン単結晶引
き上げ技術では、ICのデバイスやプロセス上有害となる
転位の抑制が達成できる。さらに、最近では、点欠陥の
制御に関する研究が行われつつあり、熱処理によるバル
ク欠陥と溶存酸素、溶存炭素濃度との関係も明らかにさ
れつつある。これに伴い、機械材料としての単結晶シリ
コンの重要性が益々増加しつつあり、その為、マイクロ
マシンの分野でも、可動部分を単結晶で構成することが
必要とされる。
【0006】図13は大阪大学西原教授らの提案(IEEE Jo
urnal of Quantum Electronics, vol. QE-22, No. 6, 8
45〜867)による、強誘電体基板を伝播する表面弾性波で
形成される回折格子での光偏向を利用した光走査装置で
ある。図13に示す例において、31はニオブ酸リチウム(L
iNbO3)であり、表面層に光導波路を形成する為にTiドー
プ層32が形成されている。レーザダイオード(LD)33から
光導波路32へ端面結合で入力された光34は、フレネルレ
ンズ35で平行光となった後、くし形電極36で発生した表
面弾性波(SAW:Surface Acoustic Wave)37で強誘電体基
板31の表面38に形成される回折格子により偏向された
後、集光グレーティングカプラー(FGC:Focusing Grati
ng Coupler)39 へ入射し、光感応紙40上へ集光される。
SAW 電極36へ加える印加電圧の周波数を掃引すること
で、光ビーム41は水平方向へ走査される。この光の水平
走査と光感応紙40の送りを同期させることで、光感応紙
40上での光の二次元走査を行うことができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来から公知
の技術では、表面マイクロマシンで用いられるポリシリ
コンは、その機械特性がプロセスの熱処理条件等で変わ
る点やポリシリコン自身が粒径数μm 〜数10μm の多結
晶体である為、粒界での機械的はく離の問題で、耐摩耗
性が単結晶シリコンに比べて劣る欠点があった。また、
静電マイクロモータはポリシリコン膜(数μm 厚)を反
応性イオンエッチングなどの方法で垂直に近い形状に加
工して製作される。この時のエッチング端面は、ドライ
エッチング中の反応生成物の端面側壁への付着や斜目入
射イオンによる衝撃などにより、縦縞状の凹凸が入るた
め光学的鏡面を得るまでには至っていない問題があっ
た。
【0008】一方で、SAW 回折格子を用いる光偏向器が
提案されその実用化が検討されているが、これによる偏
向角が小さい為、光プリンタ等の広範囲の光走査を行う
用途には適していない問題があった。さらに、西原型の
光走査装置は、従来のポリゴンミラーを利用した機械的
回転鏡での光偏向、光走査装置に比べ、小型軽量、精密
な光走査が可能である反面、光偏向角が数度程度に限ら
れる為、広範囲での光走査を行う用途には、SAW デバイ
スを直列に接続し、総合的な偏向角を大きくする工夫な
どが必要となる。しかし、SAW デバイスを直列接続する
方法は、素子の大型化につながる他、各SAW デバイスの
駆動に同期をとる必要がある為駆動回路系が複雑になる
欠点があった。
【0009】本発明の目的は上述した課題を解消して、
静電マイクロモータの機械的強度の確保および耐摩耗性
の向上ができるとともに、静電マイクロモータのロータ
端面の光学的鏡面の確保ができる光走査装置およびその
製造方法を提供しようとするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】 本発明の走査装置は、
基板と、この基板上に浮遊状態で回転可能に支持され、
その端面に半導体単結晶からなる鏡面を有する回転体
と、この回転体を回転駆動させるための静電マイクロモ
ータとを備えたことを特徴とするものである。
【0011】 また、本発明の光走査装置の製造方法の
第1発明は、基板上に第1犠牲層絶縁膜を形成する工程
と、この第1犠牲層絶縁膜上に半導体単結晶層を形成す
る工程と、この半導体単結晶層をフォトリソグラフィー
によりエッチングし、前記第1犠牲層絶縁膜を除去する
ことにより、基板上に浮遊状態で回転可能に支持され走
査用反射鏡を有する回転体及び、この回転体を回転駆動
させる静電マイクロモータを作製する工程とを有するこ
とを特徴とするものである。
【0012】 さらに、本発明の光走査装置の製造方法
の第2発明は、半導体単結晶からなる第1の基板をフォ
トリソグラフィーによりエッチングする工程と、第2の
基板上に第1犠牲層絶縁膜を形成する工程と、前記第1
の基板のエッチングされた表面と前記第2の基板を陽極
接合する工程と、前記第1の基板をエッチングされた表
面層を残して研磨により除去する工程と、前記第1の犠
牲層絶縁膜を除去して、基板上に浮遊状態で回転可能に
支持され走査用反射鏡を有する回転体及び、この回転体
を回転駆動させる静電マイクロモータを作製する工程と
を有することを特徴とするものである。
【0013】
【作用】上述した構成において、静電マイクロモータと
回転体好ましくは回転反射鏡とを同一基板上に一体また
は別体に設けたため、微小な光偏向装置を備えた光走査
装置を構成することができる。従って、本発明の光走査
装置を使用した画像形成装置も、小型化を達成すること
ができる。また、本発明の光走査装置は、上述した本発
明の製造方法の第1発明および第2発明の構成のよう
に、同一基板上に犠牲層絶縁膜の使用およびエッチング
工程により静電マイクロモータと回転体を同時に形成す
ることにより、簡単に得ることができる。
【0014】
【実施例】本発明では、例えば静電マイクロモータのロ
ータ端面等に光学的鏡面を形成する必要がある。そのた
めの技術として有効な結晶面依存性のある異方性エッチ
ングについて、まず最初に説明する。図1はシリコン異
方性エッチングの概略を説明するための図である(佐
藤、計測と制御 vol. 28, No. 6, 481〜484, 1989)。図
1(a) は結晶面が(110) 面のシリコン基板を異方性エッ
チングした場合のエッチング形状、図1(b) は同(100)
面のシリコン基板のエッチング形状をそれぞれ示す。図
1(c) は(100) シリコン基板を異方性エッチングで穴状
に加工(図ではダイヤフラムを形成)した時の基板断面
形状である。図1(c) で、エッチングマスクとしてSiO2
201を用いマスク端部の方位を<110> 方向に合わせた
時、エッチング速度が(100)>>(111)となる結晶面依存性
を持つ為、(111) 面202 が見掛け上エッチング停止面と
して働き、この面は(100)面203 に対して54.7°に正確
に決まる。又、この時のエッチング面202 は鏡面とな
る。図1(a) で、結晶面(110)を持つシリコン基板を用
い、<110> 方向にマスク方位を合わせると(110) 面と(1
11) 面が直交する為、この時のエッチング端面204 は基
板に対して垂直になり、かつ鏡面である。シリコン異方
性エッチングで作られる図1(a), (b)の(111) 面は、光
の反射面として優れた平坦性を持つ為、マイクロマシン
で製作する回転ミラー面として理想的である。
【0015】光学的鏡面のロータを持つ静電マイクロモ
ータで構成される光偏向器光走査装置の概念図を図2に
示す。図2(a) は、異方性エッチングにより端面を(11
1) 面で鏡面仕上げとし、かつ、端面が垂直になってい
る回転反射鏡301 と、これに接続されているポリシリコ
ンロータ302 、駆動ポリシリコン電極(ステータ)30
3、Si3N4 からなるガイド層304 、回転鏡301 とロータ3
02 との連結部305 からなる静電モータ系と、回転鏡301
に光軸合わせされている光導波路306 の第1クラッド
層307 、コア308 、第2クラッド層309 を、基板315 上
に構成した反射鏡付静電モータと導波路とが一体化され
たシステムの断面である。図2(b)は図2(a) に示すシ
ステムを上面から見た一例である。ポリシリコンロータ
302 の下には、反射鏡301 を連絡する為の連結部305 、
Si3N4 ガイド層304 の端315 、駆動用電極(ステータ)
303 、光導波路306 の端316 をそれぞれ示す。図2(c)
は、異方性エッチングで形成した(111)端面309 を持つ
回転反射鏡301 で、矢印310 の方向に回転しているとす
る。この時、回転中心311 へ向かうレーザ光312 の最大
偏向角は、回転反射鏡301 の回転に伴い、端面309-1 で
反射した光313 と端面309-2 で反射した光314とのなす
角度と考えて良いから、一点鎖線に示した角度となる。
実際には、(110) 面上での<110> 方向のなす角度は、α
=70.5°、β=110.5 °であるから、最大偏向角は2×
(180 °−α)か2×(180 °−β)のいずれか大きい
方で与えられ、2×(180 °−70.5°) =219 °とな
る。
【0016】図3(a) 〜(k) に本発明による第1実施例
の各工程を示す。同実施例では、回転鏡413 は結晶面(1
10) の単結晶シリコンで形成し、静電マイクロモータの
ロータ420 とステータ421 をポリシリコンで形成してい
るところに特徴がある。単結晶回転鏡413 とポリシリコ
ンロータ420 は、結晶学的に部分的にエピタキシャル成
長あるいは薄い自然酸化膜を介して接続されている。
【0017】以下に、第1実施例の製作工程の概略を説
明する。図3(a) では、結晶面(110) を有する単結晶シ
リコン基板401 にマスク(レジスト等)402 を用いて、
酸素あるいは酸素とリン403 をイオン注入し、基板401
の表面から所定の深さx:404に所定のピーク濃度c:405
-1を得る。この時、マスク領域406-1 の下のシリコン基
板401 には、酸素あるいはリン403 のイオンは注入され
ず、本プロセスで製作されて静電モータ駆動、制御系IC
を同一シリコン基板401 上に製作することができる。図
3(b) では、マスク402 を除去し、熱処理により注入イ
オン(酸素・リン)とシリコンとの反応によりシリコン
基板401 の所定の深さx:404にSiO2層あるいはPSG 層か
らなる第1犠牲層405 を形成し、同時にシリコン基板40
1 の表面層406 の結晶性の回復を行い単結晶化する。Si
O2層あるいはPSG 層405 は、以後の製作工程で単結晶シ
リコン406 の回転反射鏡をシリコン基板401 から浮遊さ
せる為の犠牲層となる。
【0018】図3(c) では、回転反射鏡413 の厚みは、
酸素あるいはリン403 のイオン注入深さ404 等(実際に
はイオン射影飛程、標準偏差、熱処理での酸素、リン元
素の拡散等)で決まる。しかし、イオンの注入深さ404
が浅く、回転鏡413 の厚みとして不十分な場合には、図
3(b) の工程で単結晶化したシリコン表面407 上に、エ
ピタキシャル成長法で単結晶層408 を追加することもで
きる(この追加層408と再結晶層406 を含めて結晶層409
と呼ぶことにする) 。図3(d) では、図3(c) に示し
た埋込み絶縁層(第1犠牲層)405 の領域の一部を拡大
して示す。熱酸化により結晶層409 表面にSiO2(第2犠
牲層)410 を形成する。熱酸化膜410 は次のシリコン異
方性エッチングのマスクとなるものである。又、熱酸化
膜410 以外の例えばCVD SiO2, Si3N4 等の絶縁膜、Au/C
r 等の金属膜等、異方性エッチングのマスクとして適当
な材料であれば如何なるものでも良い。
【0019】図3(e) では、マスク410 の少なくとも四
方を<110> 方向に合わせた形状に例えば図3(l) に示す
ひし形にフォトリソグラフィーで加工し、レジスト除去
後にマスク410 を用いて単結晶層409 をエッチングす
る。単結晶層409 の表面411 は(110) 面に選んであるの
で、異方性エッチング後の単結晶層409 の端面412 は(1
11) 面になる為、基板401 に対して垂直である。異方性
エッチング後の単結晶層409 は回転反射鏡となるので、
特に回転反射鏡413 と呼称する。又、異方性エッチング
は埋込み絶縁層405 で停止し、基板シリコン401 まで達
することはない。図3(f) では、第3の犠牲層414 例え
ばPSG を堆積し、図3(g) に示すように回転反射鏡413
の中心415 と同心の円で、かつ反射鏡413 を含む形状
(例えば図3(m) でD>L)に、PSG 414 及び埋込みの
絶縁層405 をフォトリソグラフィーで除去する。
【0020】図3(h) では、CVD Si3N4 膜416 を堆積
し、反射鏡413 の中央部に反射鏡413内に納まる第1開
口部417 をフォトリソグラフィーで形成する。この開口
部417は円形とし直径をaとする。図3(i) では、第4
犠牲層418 例えばPSG を堆積し、第1開口部417 より小
さい(直径をbとしb<a)第2開口部419 をフォトリ
ソグラフィーで形成する。この時第2開口部419 は回転
反射鏡413 に達するようにエッチングする。図3(j) で
は、ポリシリコンをCVD 法により堆積し、フォトリソグ
ラフィーにより、ロータ420 とステータ421 を形成す
る。図3(k) では、第1〜第4犠牲層405, 410, 414, 4
18をHF系溶液で除去し、反射鏡413 、ポリシリコンロー
タ420 、ステータ421 の一部422 及びSi3N4 416 の一部
417-1 をシリコン基板401 から浮遊させる。
【0021】上述した第1実施例では、ロータ420 と反
射鏡413 の回転中の固定は、ロータ413 とわずかに離れ
て設置されているSi3N4 416 で行われる。回転鏡413 の
形状は図3(l) に示すような矩形をなしているが、回転
に際し図3(m) に示すようにD>Lで円形に第1犠牲層
405 、第3犠牲層414 をパターン形成することで問題は
ない。また、単結晶反射鏡413 の加工に異方性エッチン
グとRIE 等のドライエッチングを併用し、より鏡面に近
い異方性エッチングで形成した端面を光の反射面として
用い、回転運動する時にバランスをとるのに都合の良い
形状にRIE (任意の形状に加工が可能)で加工すること
もできる。この時のエッチングの手順は、SiO2等のマス
クで単結晶シリコンを異方性エッチングし、然る後に、
レジストマスクで単結晶シリコンをRIE で加工する。
【0022】図4に示す本発明の第2実施例は、第1実
施例の回転鏡付静電マイクロモータに光入力の為の導波
路を同一基板上に形成するものであり、入射光の光軸と
回転鏡の反射面との位置合わせが容易に行える。製作工
程を以下に示す。第2実施例の製作工程において、図3
(a) 〜(g) の回転反射鏡412 を形成するまでは同一なの
で省略する。その後、以下の工程を実施する。
【0023】第4(a) では、501 は(110) シリコン基
板、505 は埋込み絶縁膜(第1犠牲層)、513 は端面垂
直となる異方性エッチングで形成した回転反射鏡、510
は熱酸化膜(第2犠牲層)、414 は第3犠牲層である。
この上にCVD によりSi3N4 515を堆積する。このSi3N4 5
15 は、次の光導波路を形成する際に犠牲層を保護する
為のものである。図4(b) では、光導波路の第1クラッ
ド層516 、コア層517 、第2クラッド層518 を順次堆積
し、レジストマスクで回転反射鏡513を取り囲む形にRIE
あるいはRIBE(反応性イオンビームエッチング:React
ive Ion Beam Etching)、IBE (イオンビームエッチン
グ:Ion Beam Etching) 等でCVD Si3N4 515 が露出する
までエッチングする。図4(c) では、Si3N4 515 をRIE
等で選択的にエッチングし、再度第2のSi3N4 519 を堆
積する。第2のSi3N4 519 は、次の犠牲層除去の際、エ
ッチング液(HF系溶液) から光導波路520 を保護する為
のものである。尚、第2のSi3N4 515 は工程上支障がな
ければ、第1のSi3N4 519 をエッチングせずに、重ねて
堆積しても良い。図4(d) では、レジストマスクで光導
波路520 領域以外の(第1Si3N4 515)、第2Si3N4 519
を除去する。
【0024】4(e) では、第4の犠牲層521 を堆積
し、回転反射鏡513 と、光導波路520の端部を含む領域
を残すように、フォトリソグラフィーにより、第4犠牲
層521をエッチングする。第4犠牲層521 堆積の目的
は、光導波路520 のコア層517 から回転反射鏡513 へ入
射する光522 に対して光学的界面(反射屈折面)を作
らないことである。また、第4犠牲層521 は光導波路端
面523 と回転反射鏡513 の間を充填すれば良いので、第
4犠牲層521 を堆積後にRIE 等でエッチバックし、回転
反射鏡513 上の第4犠牲層の厚みを薄くしても良い。こ
うすることでポリシリコンで形成する静電マイクロモー
タのロータ529 と回転反射鏡513 の接続孔のエッチング
を最小にすることができる。図4(f) では、第3のSi3
4 524 を堆積し、回転反射鏡513 の中央部をフォトリ
ソグラフィーによりエッチングし、回転反射鏡513 に達
する第1 の開口部525 を開ける。図4(g) では、第5の
犠牲層526 を堆積し、回転反射鏡513 の中央部をフォト
リソグラフィーによりエッチングし、第2の開口部527
を開け、同時に静電マイクロモータのロータとステータ
の一部を形成する領域以外の第5犠牲層526 を除去す
る。図4(h) では、ポリシリコン528 を堆積し、フォト
リソグラフィーにより静電マイクロモータのロータ529
及びステータ530 を形成する。図4(i) では、第1〜5
犠牲層505 ,510 ,514 ,521 ,526 をHF系エッチング
液で除去し、静電マイクロモータのロータ529 及び回転
反射鏡513 を浮遊状態にする。
【0025】上述した第2実施例において、第2Si3N4
519は光導波路の端面に当り、コア517 、第2Si3N4 519
の屈折率を適当に選び、反射による回転反射鏡への入
射光の損失を最少にする必要がある。例えばコア517 の
屈折率と第2 Si3N4の屈折率(実際にはSiOx y
し、酸素と窒素の組成化によりnSiO2=1.460 〜n
Si3N4 =2.00まで屈折率は可変となる) を同一とし、光
導波路の出射端面にn=(nsiOxNy×1)1/2 の屈折率
を有し、かつλ/4n 層の光学薄膜を堆積すれば、原理的
には反射損失はなくなる。一方、回転反射鏡513 の反射
率Rはシリコンの屈折率がn=3.85であるので、RはR
={(n−1)/(n+1)}2 ={(3.85−1)/
(3.85+1)}2 =0.345 となる。回転反射鏡513 の高
反射率化を行うには、反射鏡513 にAl, Au/Cr, Ag/Crな
どの高反射率金属を用いるか、高屈折率層と低屈折率層
の多層膜からなり、各膜厚がλ/4n となるように設定す
ることで、90%以上の反射率を容易に得ることができ
る。静電マイクロモータはステータ530 に印加する電圧
をパルス的に切り換えることにより、ロータ529 に連続
回転するトルクを与えたり、ある特定の位置で静止させ
たりすることができる。ロータ529 が連続回転する時は
光偏向、光走査を連続的に行うことができ、ロータ529
が静止している時は光を特定の方向へ出射することがで
きる。また、ロータ529の静止位置をステップ状に変え
ることで、光の出射方向をステップ状に変えることがで
き、光のディジタル偏向も可能となる。
【0026】第3の実施例は静電マイクロ回転鏡と光導
波路と光源とがハイブリッドあるいはモノリシックに一
体化された光走査システム構成に関するものである。図
5は上記の一体化走査システムの概略である。図5(a)
は、静電マイクロモータと回転反射鏡を一体にした本発
明による光走査系をレーザプリンタへ応用した例の模式
図である。図5(b) は同光走査系の断面である。図5
(a),(b) において、LD(レーザダイオード:Laser Diod
e) 601の活性層602 から出射される光603 は光学系604
で集光され、光導波路605 のコア層606 へ入射し回転反
射鏡607 へ向けて出射される。光導波路の出射端面には
反射防止膜608 がコーティングされており、回転反射鏡
端面には高反射膜609 がコーティングされている。回転
反射鏡607へ入射する光610 は、反射鏡端面609 で反射
され、静電マイクロモータのロータ611 の回転に伴い、
角度θの方向へ反射され光走査が行われる(出射光61
2)。実際には、反射鏡で反射された光は、再度光導波路
605 へ入射し、光導波路の他の端面から出射されること
になる。上記光走査系は、光の水平方向の走査を行うこ
とができ、走査光(出射光)612 を感光紙613 に集光
し、感光紙613 をローラ614 により垂直走査することで
光の二次元走査を行うことができる。この光のx-y走査
とLDのON-OFFを同期させることで、特定のキャラクター
の印字ができ、レーザプリンタへの応用が可能となる。
【0027】第4実施例は、静電マイクロモータと回転
反射鏡ともポリシリコンで製作する例である。図6(a)
〜(g) にその製作工程を示す。図6(a) では、単結晶シ
リコン基板701 上にCVD 法にてSi3N4 702 を堆積し、続
いて第1犠牲層703 、第1ポリシリコン704 を堆積す
る。Si3N4 702 は、次のエッチング工程の基板保護層、
704 は回転反射鏡となる。図6(b) では、フォトリソグ
ラフィーにて第1ポリシリコン704 、続いて第1犠牲層
703 を連続的にエッチングする。第1ポリシリコン704
の端面705 は垂直かつ光学的に平滑である必要があり、
その為第1ポリシリコン704 のエッチング加工には、RI
E, RIBE, IBEなどのドライエッチング法の中で上記の条
件を満足するエッチング方法とエッチング条件を用い
る。第1ポリシリコン704 の平面形状は、マスク形状を
変えることで、正方形、八角形など任意の形状とするこ
とができる。
【0028】図6(c) では、第2の犠牲層706 を堆積
し、回転反射鏡704 を同心で、該反射鏡704 を含む円形
にフォトリソグラフィーでパターン形成する。図6(d)
では、第2のSi3N4 707 を堆積し、回転反射鏡704 の中
央部に第1開口部708 を窓開けする。図6(e) では、第
3犠牲層709 を堆積し、回転反射鏡704 の中央部に第2
開口部710 を第1開口部708 の内側に窓開けする。この
時、同時にロータ712 とステータ713 の一部を含む領域
以外の第3犠牲層709 も除去する。図6(f) では、第2
ポリシリコン711 を堆積し、フォトリソグラフィーによ
りロータ712 とステータ713 を形成する。図6(g) で
は、HF系溶液に浸漬し、第1犠牲層703 、第2犠牲層70
6 、第3犠牲層709 を除去し、回転反射鏡704 と静電マ
イクロモータのロータ712 を浮遊状態にする。
【0029】第5実施例を図7に示す。本実施例では、
回転反射鏡に用いる(110) 単結晶シリコン801 と第1犠
牲層803 を堆積したガラス基板802 、あるいはシリコン
基板804 とを陽極接合した後、単結晶シリコン801 を研
磨することで、所定の厚みの単結晶シリコン層805 を得
るものである。まず、図7(a) では、(110) 結晶面を有
する単結晶基板801 と、PSG 等の犠牲層803 を被着した
ガラス基板802 、あるいは同犠牲層803 を被着したシリ
コン基板804 を用意する。以下、ガラス基板、シリコン
基板上での製作も同一なので以下では基板802, 804を区
別せず804 と呼称する。図7(b) では、(100) 単結晶基
板801 と基板804 を接触させ、400 〜500 ℃程度の温度
で犠牲層804 が被着してある基板804 側に負電位を印加
し、単結晶基板801 と基板804 とを陽極接合にて張り合
わせる。図7(c) では、単結晶基板801 側を機械的ある
いは化学・機械的に研磨し、第1犠牲層803 上に数μm
の単結晶層805 を残す。この単結晶層805 が回転反射鏡
の厚みとなる。
【0030】図7(d) では、熱酸化により、単結晶層80
5 上にSiO2(第2犠牲層)806 を形成し、フォトリソグ
ラフィーによりシリコン異方性エッチングのマスクを形
成し、単結晶層805 を異方性エッチングにより回転反射
鏡807 を形成する。図7(e)では、第3犠牲層808 を全
面に堆積し、図7(f) に示すように、フォトリソグラフ
ィーにより第3犠牲層808 と第1犠牲層803 をエッチン
グし、回転反射鏡807の中心と同心で回転反射鏡807 を
含む円形に残す。図7(g) では、Si3N4 809 を堆積した
後、フォトリソグラフィーで回転反射鏡807 の中央部に
第1開口部810を窓開けする。図7(h) では、第4犠牲
層811 を堆積し、フォトリソグラフィーで回転反射鏡80
7 の中央部に第2開口部812 を、第1開口部810 の内側
に窓開けする。図7(i)では、ポリシリコン813 を堆積
し、フォトリソグラフィーで静電マイクロモータのロー
タ814 及びステータ815 を形成する。図7(j) では、HF
系溶液で第1〜第4犠牲層803, 806, 808, 811を除去
し、回転反射鏡807 及び静電マイクロモータのロータ81
4 を浮遊状態にする。
【0031】上述した第5実施例では、陽極接合にて、
シリコン基板と、ガラス基板あるいはガラス付きシリコ
ン基板を接着する為、両基板とも平滑な表面を有するこ
とが重要である。また、接合したシリコン基板を図7
(c) の工程で研磨により数μmの厚さに薄くする加工が
あるが、ガラス基板上に接着したシリコン基板の厚みの
測定法としてガラス基板側から光を入射させ、シリコン
基板側での透過光強度から求める方法が簡便である。
【0032】第6実施例は、図8(a) の構造図に示すよ
うに、回転反射鏡902 の反射端面903 に逆テーパをつ
け、光導波路904 から透明基板901 に平行に回転反射鏡
902 へ入射する光905 を、透明基板901 側へ反射させる
ものである(908 は反射光) 。906 は静電マイクロモー
タのロータ907 は同ステータである。以下に、製法を示
す。まず、図8(b) では、(100) 結晶面を持つ単結晶シ
リコン910 に熱酸化膜911 を形成し、フォトリソグラフ
ィーにより四辺が<110> 方向に一致する回転反射鏡902
の形状にパターン形成後、異方性エッチングによりシリ
コン基板910 にメサ形状912 を堀り込む。このメサ形状
は順メサであり、斜面が(111) 面となることより、(10
0) シリコン基板910 とは54.7°の角度913 で交わる。
図8(c)では、マスク酸化膜911 を除去し、第1犠牲層
(PSG 等)914を堆積したガラス基板(石英、パイレック
スガラス等)915 上に順メサ912 を形成した面を合わせ
て乗せる。
【0033】図8(d) では、シリコン基板910 とガラス
基板915 間にシリコン基板910 側が正となるように数10
0 Vの電圧を印加しながら400 〜500 ℃に加熱し、両基
板を接合する(陽極接合)。図8(e) では、シリコン基
板910 を機械的あるいは機械・化学的に研磨し、メサ部
912 の一部916 を残し、すべて除去する。916 は回転反
射鏡902 となる。その後、第2犠牲層917 を堆積する。
図8(f) では、フォトリソグラフィーにより、第2犠牲
層917 、第1犠牲層914 を、回転反射鏡916 を含む円形
にパターン形成する。その後、全面に第1Si3N4 918 を
堆積し、続いて第1クラッド層919 、IP層920 、第2ク
ラッド層921 から成る光導波路層922 を堆積する。フォ
トリソグラフィーにより光導波路層922 をパターン形成
し、回転反射鏡916 を含む第1,第2犠牲層914, 917の
外側に光導波路端923 が位置するようにする。第1Si3N
4 918 は、光導波路層922 のパターン形成を行う時に、
第2犠牲層917 と第1犠牲層914 を保護する為のもので
ある。図8(g) では、第2Si3N4 924 を堆積し、フォト
リソグラフィーにて、第1,第2犠牲層914, 917上の第
1,第2Si3N4 918, 924を除去する。
【0034】図8(h) では、第3犠牲層925 を堆積し、
光導波路922 と第1,第2犠牲層914, 917の間を充填
し、必要に応じてエッチバックにより第3犠牲層925 を
薄くした後、フォトリソグラフィーにより第3犠牲層92
5 の端部が光導波路層922 上に位置するようにパターン
形成する。図8(i) では、第3Si3N4 927 を堆積し、フ
ォトリソグラフィーにより第3Si3N4 927 、第3犠牲層
925 、第2犠牲層917 をエッチングし、回転反射鏡916
の中央部に第1開口部を形成する。次に、第4犠牲層92
8 を堆積し、フォトリソグラフィーにより第4犠牲層92
8をエッチングし、回転反射鏡916 の中央部に回転反射
鏡916 に達し第1開口部より小さい第2開口部929 を形
成する。図8(j)では、ポリシリコン930 を堆積し、フ
ォトリソグラフィーによりポリシリコン930 をエッチン
グし、第4犠牲層928 の内側に静電マイクロモータのロ
ータ931 を形成し、第4犠牲層928 に一部かかり、その
外側にステータ932 を形成する。図8(k) では、HF系溶
液にて第4,3,2,1犠牲層928, 925, 917, 914をエ
ッチングし、回転反射鏡916 、静電マイクロモータのロ
ータ931 を浮遊状態にする。図8(l) に示すように、回
転反射鏡916 となるメサ912 端面933 に反射率を上げる
為に金属のコーティング、Al2O3/a-Si等の低屈折率層と
高屈折率層のλ/4n 膜厚からなる誘電体多層膜や半導体
多層膜934 のコーティングを施しても良い。
【0035】第7実施例を図9に示す。第7実施例は、
回転反射鏡1002の反射面が、光導波路1005から入射する
光1024を基板1001と反対方向(上方)へ反射するように
傾斜をつけたものである。光を上方へ出射するので、基
板1001が光に対して透明である必要がないので、基板選
択の自由度が高い。また、上方へ光を出射できるので実
装が容易などの利点もある。図9(a) は、本実施例の断
面構造である。1001は基板、1002は回転反射鏡、1003は
静電マイクロモータのロータ、1004は同ステータ、1005
は光導波路で、第1クラッド1006、コア1007、第2クラ
ッド1008からなる。1009は静電マイクロモータのロータ
1003と回転反射鏡1002からなる機械的可動物の支持体
(ガイド層) である。
【0036】図9(b)-1 では、結晶面(100) を有するシ
リコン基板1001-1に、酸素あるいは酸素とリンのイオン
注入と、その後のアニールで形成される第1犠牲層1010
と、同アニールで回復する結晶層あるいは必要に応じて
形成されるエピタキシャル成長層を含む結晶層1011とか
らなる。図9(c)-1 では、熱酸化により結晶層1011表面
に熱酸化膜(SiO2)1012を形成し、フォトリソグラフィー
により四辺を<110> 方向に合わせた長方形あるいは正方
形の回転反射鏡1002のパターンを形成する。シリコン異
方性エッチングにて、結晶層1011を第1犠牲層1010に達
するまでエッチングする。
【0037】図9(b)-2 では、結晶面(100) のシリコン
基板1001-2の全面あるいは一部に、化合物半導体、例え
ばGaAs等をヘテロエピタキシャル成長する。マスクエッ
ジの方向を<110> 方向に合わせたフォトレジストマスク
にて、化合物半導体層1013を選択エッチング(例えばH2
SO4/H2O2系、NH4OH/H2O2系) すると、順メサ方向には順
メサが、逆メサ方向には逆メサが形成される。図9(c)-
2 には、化合物半導体の逆メサ1014を示してある。図9
(d)-2 では、全面に第1犠牲層(PSG等)1015 を堆積す
る。図9(e)-2 では、任意の結晶面を有するシリコン基
板1016と図9(d)-2 に示す基板の第1犠牲層1015が接触
するように載せ、陽極接合法によって両基板を張り合わ
せる。
【0038】図9(b)-3 では、(100) 面を有する化合物
半導体基板1001-3に、図9(c)-3 に示すようにマスク四
辺を<110> 方向に合わせたフォトレジストマスクでエッ
チングし、順メサ方向に順メサを、逆メサ方向に逆メサ
を形成する。図には逆メサ1018を示している。図9(d)-
3 では、第1犠牲層(PSG等)1019 を堆積する。図9(e)-
3 では、任意の結晶面を有するシリコン基板1020と、図
9(d)-3 の基板の第1犠牲層1019側を接触させ、陽極接
合により両基板を接着する。
【0039】図9(f) では、図9(e)-2 に示すシリコン
基板1001-2、図9(e)-3 に示す化合物半導体基板を機械
あるいは機械・化学研磨し、メサ部1014あるいは1018を
残す。メサ部1014, 1018以外の基板1001-2, 1001-3はす
べて研磨で除去される。残されたメサ部1014, 1018をマ
スクに、第1犠牲層1015, 1019の回転反射鏡1014, 1018
の下の第1犠牲層1015, 1019以外の第1犠牲層1015, 10
19を除去する。以降の製作工程は、図8(e) 以降と全く
同様であるので、ここでは省略する。なお、図9(g) は
図9(a) に示した回転反射鏡(四端面とも順メサ形状の
場合)1002付き静電マイクロモータのロータ1003の平面
図の一例である。正方形回転反射鏡1002の順メサ端面10
21に入射する光1024は四極ロータ1003(4枚の翼1022の
中線1023が反射鏡1002の対角線と一致する方向に選んで
ある) のすき間を通過して上方へ出射される。
【0040】図10に本発明の第8実施例を示す。図10に
示す第8実施例において、静電マイクロモータの可動部
であるロータの機械的強度を確保する為に、SIMOX(Sepa
ration by Implanted Oxygen) を用いて、単結晶シリコ
ン基板表面下にSiO2あるいはPSG の構成元素となる酸素
並びにリンから成る層をイオン注入で形成し、これを浮
遊構造体を形成する為の犠牲層として熱処理によりシリ
コン基板表面層の再結晶化とし、イオン注入層のガラス
化を図り図10のプロセスで単結晶シリコンから成るロー
タを形成する。図10(a) は、本発明で製作される静電モ
ータの概念図である。101 は(110) 面シリコン基板、10
2 は同101 基板の表面層を使って形成されるロータ、10
3 はステータ、104 はポリシリコンで形成されるベアリ
ング、105 は間隙である。
【0041】以下に単結晶ロータ102 、ポリシリコンベ
アリング104 の部分の製作工程を示す。まず図10(b) で
は、(110) シリコン基板に例えば数10KeV 〜数MeV の加
速エネルギーで酸素イオン106 、リンイオン107 をイオ
ン注入し、基板101 表面から所定の深さに高濃度に酸
素, リンから成る注入層108 を形成する。これが第1犠
牲層となる。図10(c) では、熱処理によりイオン注入層
108 をガラス化し、SiO2あるいはPSG 層109 を形成し、
同一熱処理あるいは追加熱処理により、イオン106, 107
が通過したシリコン基板101 の表面層を再結晶化し、結
晶層110 に戻す。図10(d) では、PSG 等の第2犠牲層11
1 を堆積し、図10(e) に示すようにロータ112 の形状に
フォトリソグラフィーにより犠牲層111 のパターン形成
を行い、続いて結晶面異方性エッチング液で再結晶シリ
コン層110 を第1犠牲層109 が露出するまでエッチング
する。この時、第2犠牲層111 はシリコン異方性エッチ
ングのマスクとなり、このマスクの端部113 の方位の少
なくとも四方向を<110> 方向に一致させることで、垂直
端面が得られる。
【0042】図10(f) では、フォトリソグラフィーによ
り、ロータ102 の中央部にベアリング104 を形成するた
めの開口114 を形成する。図10(g) では、第3犠牲層11
5 を堆積し、ベアリング104 を形成するための窓口117
を開ける。これに続き図10(h) に示すベアリング104 と
なるポリシリコン116を堆積し、フォトリソグラフィー
によりベアリング形状に加工する。図10(i) では、第
1,第2,第3犠牲層109, 111, 115 をHF系溶液で除去
し、ロータ102 を浮遊状態にする。尚、図10で用いるシ
リコン基板101 は、端面113 が垂直なロータ102 を得る
為に(110) 基板を用いているが、(100) 基板を用いてい
ることで図10(e) の異方性エッチングによりロータ102
を形成する工程で順メサ形状を得ることもできる。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、静電マイクロモータと回転体とを同一基板上
に設けているため、微小な光偏向装置を備えた光走査装
置を得ることができるとともに、これを使用した画像形
成装置の小型化を達成することができる。また、本発明
の光走査装置は、犠牲層絶縁膜の使用およびエッチング
工程により同時に形成することにより、簡単に得ること
ができる。
【0044】また、単結晶シリコンで静電マイクロモー
タの可動部であるロータを形成するので、機械的強度、
耐摩耗性の高い静電マイクロモータが実現できる為、高
速回転に耐え、長寿命化が達成できる。さらに異方性エ
ッチングにより可動部端面を形成すると、この面は結晶
学的に(111) 面に定まり、光学的に平坦(光学的鏡面)
な端面となる。この端面を光走査用反射鏡として用いる
と理想的な反射鏡となる。
【0045】さらにまた、反射鏡を形成する結晶の面方
位を(110) とすることで垂直端面が得られ(100) とする
ことで順メサ状端面あるいは逆メサ状端面が得られる。
反射鏡端面の傾斜方向に応じて反射光の光軸を入射光の
光軸方向と同一(垂直端面の場合)、上方(順メサ端面
の場合)、下方(逆メサ端面の場合)と変えることがで
きる。反射鏡として機能する構造体(回転反射鏡)と静
電マイクロモータのロータとして機能する構造体を分離
することで、両者の機能を向上させることができる。具
体的には単結晶からなる反射鏡(異方性エッチングによ
り鏡面の端面)、静電モータとして最適形状のロータが
作製でき、両者とも独立に設計の自由度が向上する。静
電マイクロモータと、反射鏡を上下方向に分離するの
で、下の反射鏡の高さに位置合わせして光導波路を同一
基板上に集積できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】シリコン異方性エッチングを説明するための図
である。
【図2】本発明の光走査装置の一例の構成を示す概念図
である。
【図3】本発明の光走査装置の第1実施例の製造工程を
示す図である。
【図4】本発明の光走査装置の第2実施例の製造工程を
示す図である。
【図5】本発明の光走査装置の第3実施例を示す図であ
る。
【図6】本発明の光走査装置の第4実施例の製造工程を
示す図である。
【図7】本発明の光走査装置の第5実施例の製造工程を
示す図である。
【図8】本発明の光走査装置の第6実施例の製造工程を
示す図である。
【図9】本発明の光走査装置の第7実施例の製造工程を
示す図である。
【図10】本発明の光走査装置の第8実施例の製造工程
を示す図である。
【図11】従来のマイクロモータの製造工程を示す図で
ある。
【図12】従来の静電マイクロモータの構成を示す図で
ある。
【図13】従来の光走査装置の一例の構成を示す図であ
る。
【符号の説明】 315 基板 301 回転体 302, 303 静電マイクロモータ

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、この基板上に浮遊状態で回転可
    能に支持され、その端面に半導体単結晶からなる鏡面を
    有する回転体と、この回転体を回転駆動させるための
    電マイクロモータとを備えたことを特徴とする光走査装
    置。
  2. 【請求項2】 前記回転体が、前記基板上に浮遊状態で
    回転可能に支持され、その端面が半導体単結晶からなる
    鏡面である回転反射鏡と、前記静電マイクロモータのロ
    ータと、このロータと前記回転反射鏡とを接続する連結
    部からなり、この回転体を前記連結部において回転可能
    に軸支することを特徴とする請求項1記載の光走査装
    置。
  3. 【請求項3】 前記静電マイクロモータの周囲に前記回
    転体の端面と光軸が一致する光導波路を形成したことを
    特徴とする請求項1または2記載の光走査装置。
  4. 【請求項4】 前記半導体単結晶は、単結晶シリコンで
    あって、エッチングにより鏡面を仕上げたことを特徴と
    する請求項1または2記載の光走査装置。
  5. 【請求項5】 前記回転体、または、前記回転反射鏡
    は、半導体からなり、その結晶面が(100) または(110)
    であることを特徴とする請求項1または2記載の光走査
    装置。
  6. 【請求項6】 前記回転体、または、前記回転反射鏡の
    断面形状が、順メサ、逆メサ、あるいは垂直のいずれか
    であることを特徴とする請求項1または2記載の光走査
    装置。
  7. 【請求項7】 基板上に第1犠牲層絶縁膜を形成する工
    程と、この第1犠牲層絶縁膜上に半導体単結晶層を形成
    する工程と、この半導体単結晶層をフォトリソグラフィ
    ーによりエッチングし、前記第1犠牲層絶縁膜を除去す
    ることにより、基板上に浮遊状態で回転可能に支持され
    走査用反射鏡を有する回転体及び、この回転体を回転駆
    動させる静電マイクロモータを作製する工程とを有する
    ことを特徴とする光走査装置の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記半導体単結晶層が、SIMOX 法あるい
    は陽極接合法により形成されたことを特徴とする請求項
    7記載の光走査装置の製造方法。
  9. 【請求項9】 半導体単結晶からなる第1の基板をフォ
    トリソグラフィーによりエッチングする工程と、第2の
    基板上に第1犠牲層絶縁膜を形成する工程と、前記第1
    の基板のエッチングされた表面と前記第2の基板を陽極
    接合する工程と、前記第1の基板をエッチングされた表
    面層を残して研磨により除去する工程と、前記第1犠牲
    層絶縁膜を除去して、基板上に浮遊状態で回転可能に支
    持され走査用反射鏡を有する回転体及び、この回転体を
    回転駆動させる静電マイクロモータを作する工程とを
    有することを特徴とする光走査装置の製造方法。
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