JP3085182B2 - 遠赤外線放射体 - Google Patents
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Description
遠赤外線放射体に関するものであり、特に、常温で使用
する遠赤外線放射体に関するものである。
術の開発と進展はめざましく、その応用分野は、塗料や
プラスチック等の工業的加熱または乾燥装置或いは各種
暖房機器を始めとして、製茶、焙煎、熟成等の食品加
工、オーブン等の家庭用調理器、更には温熱治療を代表
とする医療・健康機器、等と多岐に亘っている。また、
それに併せて、遠赤外線を放射する遠赤外線放射体につ
いても、放射特性或いは放射効率の向上等の点から、コ
ージライト(コーディェライト)を基材とするもの等の
種々のセラミックスからなる遠赤外線放射体が開発され
ている。
広い分野で応用されているのは、特に、それが水や人体
を含めた有機物質に対して特異的な吸収特性を有してい
るためである。即ち、水や有機物質の多くは、一般に3
μm以上の波長の遠赤外線帯域に吸収スペクトルのピー
クを有している。例えば、水は3μm、6μm、及び1
0μm以上の波長に、また、人体(皮膚)は3μm、6
〜10μm、及び12μm以上の波長に、それぞれ吸収
ピークがある。これは、それらの分子を構成している原
子間の伸縮運動や変角運動等の振動運動に固有な振動数
が遠赤外線の振動数(1/波長)に一致し、それによっ
て、遠赤外線はその分子の振動に共鳴して吸収されるか
らである。そして、この共鳴吸収によって遠赤外線は水
や有機物質に効果的に吸収され、その振動運動を増幅
し、それを発熱させる。
はなく、それの波長範囲はそれを扱う分野等においてま
ちまちであるが、ここでは、当分野において一般的であ
るように、3μm程度以上の波長を有する赤外線を「遠
赤外線」という。
くは、熱源としての利用に関している。具体的には、遠
赤外線放射体を電気的手段等によって加熱し、または加
温下に置き、その熱的に励起された遠赤外線放射体から
放射する遠赤外線を利用するものである。しかし、遠赤
外線の利用はそれに止まらず、特に最近では、セラミッ
クスからなる遠赤外線放射体から常温下で放射される遠
赤外線の利用、つまり、遠赤外線放射体の非加熱利用に
も高い関心が集められている。即ち、遠赤外線放射体か
らは、非加熱下においても、理論的にはその絶対温度の
4乗に比例する全エネルギ量で(シュテファン・ボルツ
マンの法則)遠赤外線が放射される。この微弱ながらに
も放射される遠赤外線を利用するものである。そして、
その具体的応用は、飲料水の浄化または活性化、風呂水
(24時間風呂)の浄化、切り花の保存、植物の発芽、
生育の促進、有機質肥料の分解促進、或いはディーゼル
燃料の無煙化等であり、これらの幾らかは既に実用化さ
れている。
るコージライト等のセラミックス遠赤外線放射材料を小
球状に焼成した遠赤外線放射体がその一例であり、これ
を水道水に入れておくと、カルキ臭が除去されると共に
美味しい水が生成されることが知られている。また、花
瓶に入れておくことにより、水の汚れや濁りが防止さ
れ、また生花を長持ちさせることができる。つまり、水
の活性化効果と共に、有機物の分解効果及び抗菌効果が
ある。更に、ディーゼル燃料に入れておくことにより、
燃焼時の発煙量を低減することができる等の効果もあ
る。
使用効果については、例えば、衣服に適用した場合に血
行の促進効果や脱臭効果がある等、その他にも種々の効
果が確められている。そして、このような効果は、少な
くとも熱の見掛け上の移動がないことから、遠赤外線の
「非熱効果」または「常温効果」と呼ばれている。しか
し、そのメカニズムについては、上記の遠赤外線の共鳴
吸収と関連するとは考えられているが、明確には解明さ
れていない。ただし、NMR(核磁気共鳴分光法)によ
る分析から、その「非熱効果」(「常温効果」)によっ
て、水分子のクラスタ(集合体)が微細化され、生理的
にも活性な水に改質されること、また、ESR(電子ス
ピン共鳴分光法)による分析から、それによってラジカ
ルが生成すること等が確認されている。
すべて」(芳賀幸明他著 オプトロニクス社),「やさ
しい遠赤外線工学」(高嶋廣夫著 工業調査会),「遠
赤外線とNMR法」(松下和弘著 人間と歴史社),
他。
イト等のセラミックスからなる遠赤外線放射体は、加熱
下での使用だけでなく、水の浄化或いは活性化等の種々
の具体的応用において、非加熱下での、つまり、常温で
の利用もなされている。そして、それによって、遠赤外
線の(正確には、遠赤外線放射体の)「非熱効果」また
は「常温効果」を得ることができる。
分に得られるためには、遠赤外線放射体から放射される
遠赤外線エネルギが少ないだけに、比較的長い時間が必
要である。即ち、物質から放射されるエネルギに関する
シュテファン・ボルツマンの法則によれば、入射したあ
らゆる光を完全に吸収する理想的な物体「黒体」が放射
する全エネルギEb (W/cm2 )は、次のように示さ
れる。
線放射体の場合は、このEb にそれの全放射率を乗算し
たものとなる。例えば、コージライトの全放射率は常温
域では約0.95である。
エネルギは、それの絶対温度T(K)の4乗に比例する
ことである。そのため、その全エネルギは、それの温度
が高い程累加的に増加し、また逆に低い程急激に減少す
る。例えば、遠赤外線放射体を加熱して使用する場合の
温度は400℃程度が一般的であるが、その400℃
(673K)の時の全放射エネルギを「1」とすると、
100℃(373K)では約「0.1」であり、更に、
10℃(283K)の温度の例えば冷蔵庫内での非加熱
使用の場合には、僅かに「0.03」である。ただし、
遠赤外線放射体から放射される電磁波は、温度が低くな
る程その中心波長が長波長側に移行するため、常温域で
の遠赤外線の全エネルギは多少多くなる。しかし、その
ような増加は極く少ない。
温)使用については、それの放射する遠赤外線エネルギ
が少ないため、十分に有効な「非熱効果」(「常温効
果」)を得るために時間がかかるという問題があった。
もっとも、遠赤外線放射体の使用量を多くすることによ
って、放射する遠赤外線エネルギ量を増加することは可
能である。しかし、遠赤外線放射体の使用量にも限界は
あり、また、なるべく少ない使用量で高い効果が得られ
ることが望ましいことは言うまでもない。
下においても、遠赤外線をより多く放射することができ
る遠赤外線放射体の提供を課題とするものである。
は、放射性崩壊する自然放射性元素であるトリウムまた
はウランを含有する放射性鉱物を放射線源材料として使
用し、その粉末を、主材としてのセラミックス遠赤外線
放射材料の粉末に混合し、そして、その混合物を焼成し
て複合化することによって解決される。
は、セラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、自然放射
性元素の酸化トリウムの含有量として換算して0.3以
上2.0重量%以下に調整したモナザイトの粉末とを共
に10μm以下の平均粒子径としてなる混合物を、焼成
し、複合化してなるものである。
は、充填材等として利用可能な粉体、或いは、コーティ
ングの形態を含む所望の種々の形状の成形体として形成
することができる。
ミックス遠赤外線放射材料の粉末と、自然放射性元素の
酸化トリウムの含有量として換算して0.3以上2.0
重量%以下に調整したモナザイトの粉末とを共に10μ
m以下の平均粒子径としてな る混合物を、焼成し、複合
化した後、粉体状に粉砕してなるものである。
ミックス遠赤外線放射材料の粉末と、自然放射性元素の
酸化トリウムの含有量として換算して0.3以上2.0
重量%以下に調整したモナザイトの粉末とを共に10μ
m以下の平均粒子径としてなる粉末と、陶磁器材料の粉
末とを含む混合物を、所望の形状に形成すると共に、焼
成し、複合化してなるものである。
赤外線放射体には、自然放射性元素であるトリウムまた
はウランを含有する放射性鉱物が放射線源材料として配
合され、複合化されている。そのため、トリウムまたは
ウランの放射性崩壊によって放出される放射線(α線、
β線、γ線)のエネルギ、特に、α線が持つ約5MeVの
大きなエネルギは、セラミックス遠赤外線放射材料に吸
収され、その励起エネルギとなり、遠赤外線となって放
射される。こうして、この遠赤外線放射体によれば、そ
の温度にかかわらず、即ち、常温においても、遠赤外線
をより多く放射することができる。なおこの場合、放射
線源材料である放射性鉱物は、粉末としてセラミックス
遠赤外線放射材料の粉末と共に混合し、そして焼成する
ことにより複合化されているため、遠赤外線放射体中に
均一に分散・分布されると共に、セラミックス遠赤外線
材料の粒子との間が緻密化される。そのため、トリウム
またはウランの放出する放射線はセラミックス遠赤外線
材料に効果的に吸収され、そして有効に遠赤外線の放射
エネルギに変換されることができる。
具体化することができる。
は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、そ
のセラミックス遠赤外線材料が、白色系セラミックス遠
赤外線材料からなるものである。
項1乃至請求項3のいずれか1項において、そのセラミ
ックス遠赤外線材料が、有色系セラミックス遠赤外線材
料からなるものである。
て詳細に説明する。
ラミックス遠赤外線放射材料と放射性鉱物からなる放射
線源材料とを主要な原材料として使用し、これらを粉末
として混合し、焼成することにより複合化して形成され
る。これらのセラミックス遠赤外線放射材料と放射線源
材料、及びその他の原材料について、また、その製造に
ついて、順に説明する。
線放射材料としては、金属材料等も知られているが、化
学的にも安定なセラミックス材料が使用される。また好
ましくは、その中でも、遠赤外線の放射率が高いものを
使用することができる。
については、既に種々のものがその放射率及び放射特性
と共に知られている。例えば、アルミナ(Al2 O3
)、ジルコニア(ZrO2 )、チタニア(TiO2
)、シリカ(SiO2 )、ジルコン(ZrSiO4
)、マグネシア(MgO)、イットリア(Y2 O3
)、コージライト(2MgO・2Al2 O3 ・5Si
O2 )、βスポジューメン(Li2 O・Al2 O3 ・4
SiO2 )、ムライト(Al2 O3 ・3SiO2 )、チ
タン酸アルミニウム(Al2 O3 ・TiO2 )等であ
る。これらは、一般に白色を呈し(紫外線は吸収する
が、可視光を吸収しない)、近赤外域での放射率が低い
が、波長3μm付近から遠赤外域にかけて放射率が高く
なる特性を有している。そして、これらの白色系セラミ
ックス遠赤外線放射材料は、それぞれ単独で、または2
種以上を適宜組合せて使用することができる。
クス遠赤外線放射材料としては、有色であり(可視光を
吸収する)、全赤外域で放射率が高いセラミックス遠赤
外線放射材料を使用することができる。そのような有色
系のセラミックス材料としては、例えば、酸化銅(Cu
2 O,CuO)、酸化コバルト(CoO、Co3 O
4)、酸化ニッケル(NiO)、酸化マンガン(MnO2
)、酸化鉄(Fe2 O3)、酸化クロム(Cr2 O3
)、酸化錫(SnO2 )等の遷移金属の酸化物、或い
は、炭化ケイ素(SiC)、炭化ジルコニウム(Zr
C)、炭化タンタル(TaC)等の炭化物、等が挙げら
れ、これらの多くは、窯業用顔料としても一般に用いら
れているものである。また、これらはそれぞれ単独で使
用することができるが、好ましくは、2種以上を組合わ
せて使用することができる。例えば、MnO2 −Fe2
O3 −CuO−CoO、或いはCoO−Fe2 O3 −C
r2 O3 −MnO2 等の一体の焼成物は高効率赤外線放
射体と呼ばれるものであり、黒色を呈し、「黒体」に近
い赤外線の放射特性が得られる。
ックス遠赤外線放射材料を用いるかは、主に遠赤外線を
受ける対象に応じて決めることができる。即ち、有色
系、特に高効率赤外線放射体は全ての赤外線領域におい
て放射率が高いが、常温下では、6〜10μmの遠赤外
線領域における放射率(発散度)が白色系よりも少なく
なる傾向がある。そのため、水または水を多く含むも
の、或いは水中の有機化合物を対象とする場合は、一般
に白色系のセラミックス遠赤外線放射材料が好ましい。
また、芳香族化合物を含むオレフィン系炭化水素、即
ち、ディーゼル燃料を対象とする場合は、有色系のセラ
ミックス遠赤外線放射材料が好ましい。ただし、使用す
るセラミックス遠赤外線放射材料として理想的であるの
は、その遠赤外線放射特性が対象の吸収特性と合致する
ことである。この意味において、白色系と有色系のセラ
ミックス遠赤外線放射材料は、それらを相互に適当に組
合わせて使用することもできる。
て、半減期の長い自然放射性元素(核種)であって鉱物
中に安定な形で含有されていることから、トリウム( 2
32Th 半減期:1.4×1010年)及び/またはウラ
ン(主に 238U半減期:4.5×109 年)を含有する
放射性鉱物が使用される。
リウム鉱物やウラン鉱物が挙げられるが、特にウランを
多く含有する鉱物は原子力燃料用として確保されてい
る。そのため、入手が容易である点からも、放射性鉱物
としては、希土類元素原料として工業的に使用されてい
るモナザイト[(Ce,La,Th)PO4 ,ThO2
6%,U3 O8 0.3%]、パイロクロワ[(Na,C
a)(Nb,Ta,Ti)2 O6 (O,OH,F),T
hO2 0.5%,U3 O8 1%]、或いはゼノタイム
[YPO4 etc ,ThO2 1%,U3 O8 1%]等が好
ましい。これらの中でも、世界的に広く産出し、またト
リウムを比較的多く含有する点で、モナザイトが特に好
ましい。また、放射性鉱物としては、これらの鉱物の製
錬工程で得られるトリウムまたはウランを含む中間鉱物
も有利に使用することができる。
材料は、遠赤外線放射体の原材料として任意の割合で使
用することができる。ただし、その使用目的からすれ
ば、一般にその混合割合は、酸化トリウム(ThO2 )
の含有量として換算して、実用上少なくとも0.3重量
%以上の割合であることが好ましく、また、0.5重量
%以上がより好ましい。なお、この換算において、半減
期がそれの約1/3である酸化ウラン(U3 O8 )は3
倍して計算される。つまり、{酸化トリウム含有%+3
×酸化ウラン含有%}がその換算値である。そして、こ
れらの放射性核種の配合割合を多くするほど、遠赤外線
の放射量(放散度)を多くすることができる。しかし、
核原料物質であるこれらの放射性核種を含有するものに
ついては、その使用に関して規制があり、これらの濃度
が370ベクレル/g(現行規則では、トリウム含有%
+3×ウラン含有%で1.8%)以上である場合には届
出が必要となる。そのため、遠赤外線放射体をこのよう
な届出をしないでも使用できる点において、放射線源材
料の配合割合は、酸化トリウムの含有量として換算し
て、2.0重量%未満であることが好ましく、より好ま
しくは1.8重量%以下である。即ち、限定されるもの
ではないが、その配合割合は、酸化トリウムの含有量と
して換算して0.3〜2.0重量%が好ましく、また、
0.3〜1.8重量%がより好ましい。
場合には、成形性または保形性等を確保するために、陶
磁器材料を固結剤として配合することができる。具体的
には、長石、カオリン、木節粘土、蛙目粘土、陶石、蝋
石、或いは釉薬素地、等である。このような陶磁器材料
は、一般に放射率自体は低いが、場合によっては遠赤外
線放射材料の放射特性を補う特性も有している。そのた
め、この陶磁器材料はそれらの1種以上を比較的多量に
用いることができ、例えば、遠赤外線放射体全体に対し
て、60重量%程度までの割合で配合することができ
る。
体としての遠赤外線放射体の増量のため、或いは装飾等
のために、必要に応じて配合することができる。また、
遠赤外線放射体の用途によっては、例えば、24時間風
呂に適用する場合には、ミネラル鉱物等を適宜配合する
こともできる。
として混合し、次いで焼成することによって焼結し、複
合化することによって製造される。これによって、放射
線源材料は均一に分散、分布されると共に、遠赤外線放
射材料との粒子間が緻密化される。そのため、特に、遠
赤外線放射材料と放射線源材料はできるだけ細かな粒子
の微粉末とすることが好ましく、一般に、10μm以下
の平均粒子径とすることが好ましい。より好ましいの
は、0.5〜1μm程度の平均粒子径である。そして、
それらの粒度が細かい程、自然放射性元素の放射性崩壊
によるエネルギ線をより効果的に遠赤外線放射材料に吸
収させることができる。
は、好適には、ボールミル等を使用して湿式混合粉砕す
ることによって行うことができる。そしてこの場合に
は、得られた原材料粉末の湿式混合物を乾燥した後、焼
成する。また、この原材料粉末の混合物の焼成は、その
原材料の種類に応じて、それらの粒子が互いに焼結され
或いは固熔される温度、一般には、700〜1500℃
の温度に加熱することによって行うことができる。な
お、この焼成は通常の酸化性雰囲気中で行うことができ
るが、原材料の種類によっては、例えば、酸化銅(Cu
2 O)等の有色系の遠赤外線放射材料が使用される場合
等には、酸素を遮断した弱還元性雰囲気中で或いは窒素
ガスの雰囲気中で行うことが必要である。
充填剤或いは添加剤等として使用される粉体の形態に、
または、コーティングを含む各種の成形体の形態に形成
することができる。
放射材料と放射線源材料とを含む原材料粉末の混合物
を、焼成して複合化した後、再度粉体状に粉砕すること
によって得ることができる。そして、その粒度は汎用性
のために、十分小さいことが好ましく、一般に平均粒子
径で5〜100μm程度であることが好ましい。また、
繊維の練込み用充填剤として使用される場合には、原材
料の粉末よりは大径であることが必要であるが、より小
さな1〜2μm程度の粒子径であることが好ましい。な
お、この粉体状の遠赤外線放射体の場合にはその強度等
の必要がないため、原材料としては、白色系または有色
系の遠赤外線放射材料と放射線源材料のみを使用するこ
とができる。そして、放射性鉱物からなる放射線源材料
は、全体に対し一般に5〜60重量%、好ましくは5〜
30重量%の割合で配合することができる。
体は、遠赤外線放射材料と放射線源材料とを含む原材料
粉末の混合物を、湿式法または乾式法等によって所望の
形状に形成すると共に、焼成し、複合化することによっ
て得ることができる。そして、その形状は、小球状、棒
状、板状、或いは中空体、容器形状等の具体的な用途に
応じた各種の形状であることができ、また、溶射或いは
琺瑯引き等の方法によって基体上に形成されるコーティ
ングの形態であることもできる。なおこの場合、原材料
には、成形性を向上し、また、得られる成形体の強度等
を高めてその保形性等を確保するために、陶土等の磁器
材料を配合することが好ましい。そして、この場合の原
材料相互の割合は、具体的な用途等にもよるが、一般的
には、セラミックス遠赤外線放射材料20〜70重量
%、好ましくは30〜50重量%、放射線源材料5〜6
0重量%、好ましくは10〜30重量%、及び陶磁器材
料10〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の割
合である。
用の遠赤外線放射体として最も代表的なものは、5〜1
0mm程度の径の小球(ボール)である。このような小
球状の遠赤外線放射体は、原材料粉末の混合物を加圧成
形する乾式法によって成形することもできるが、湿式法
によって容易に成形し、また多量に製造することができ
る。即ち、セラミックス遠赤外線放射材料と、放射性鉱
物からなる放射線源材料と、更に陶磁器材料との混合物
に水を加えて湿式混合粉砕し、それらの原材料を十分微
粉化し、混合すると共に、上水を取除く等によって適度
の稠度の坏土を形成する。そして、この杯土を造粒機等
により小球状に成形し、次いでそれを乾燥した後、焼成
する。その後、必要に応じて更にバレル研磨等による表
面仕上げを施し、こうして、小球状のセラミックス成形
体からなる遠赤外線放射体を得ることができる。
できるが、非加熱下で、即ち、常温下において特に好適
に使用することができる。そして、放射線源材料を含む
この遠赤外線放射体によれば、通常の遠赤外線放射体の
場合よりも、より高い「非熱効果(常温効果)」を得る
ことができる。
は、例えば、これをプラスチックの充填剤として使用し
て、鮮度保持、或いは抗菌、脱臭等の「非熱効果」を有
する各種シート、シール、ラップ、或いは容器を形成す
ることができる。また、繊維材料に直接練込み、また
は、適当な合成樹脂バインダを使用して塗料化し、それ
を繊維製品にコーティングすることによって、保温、血
流・新陳代謝促進、毛根刺激、水虫治療等の「非熱効
果」を有する各種衣料用品、シーツ等の寝具用品を得る
ことができる。特に、血行の促進、生体分泌物の臭気成
分の分解等の効果から、老人用の下着、或いは寝具等と
して好適に適用することができる。
放射体は、既に良く知られているように、水の浄化、活
性化、植物の生育促進、抗菌、脱臭、有機物肥料の分解
促進、或いは炭化水素燃料の活性化(ディーゼル燃料の
無煙化)等の種々の応用において使用することができ
る。より具体的には、例えば、小球状に形成した遠赤外
線放射体の24時間風呂への適用が挙げられる。この場
合、小球状の遠赤外線放射体は適当な保持器に収納して
バイオフィルタ、濾過材等と共に使用することができ、
そして、湯水を活性化すると共に湯垢を分解促進し、風
呂水を常に清浄に保つことができる。なおここで、遠赤
外線放射体に含まれる自然放射性元素の放射体のうち、
遠赤外線放射材料に吸収されなかった一部は、水や水中
に溶存する有機物を電離しまたはラジカル化するため、
その「非熱効果」をより高める作用を有している。
に具体的に説明する。
較例3の遠赤外線放射体の配合組成と、それらの非熱利
用による藻の発生試験の結果とを示す表図である。ま
た、図2はそれらの実施例及び比較例の遠赤外線放射体
の遠赤外線放射率を示す特性図である。
至実施例3の遠赤外線放射体を作製した。また、比較の
ために、比較例1乃至比較例3の非焼成の遠赤外線放射
体も合わせて作製した。
放射体は、いずれも、セラミックス遠赤外線放射材料と
放射線源材料とからなっている。そして、セラミックス
遠赤外線放射材料は、主材としてのジルコン60重量%
と、アルミナ、またはコージライト、或いはシリカ15
重量%との混合物からなっている。そして、各実施例に
おいては、ジルコンと組合せて用いるもう一種のセラミ
ックス遠赤外線放射材料の種類が変えられている。即
ち、実施例1ではセラミックス遠赤外線放射材料として
ジルコンとアルミナを混合して用い、実施例2ではジル
コンとコージライトを用い、実施例3ではジルコンとシ
リカを配合した。なお、ジルコン(ZrSiO4 )を主
材としたのは、これが10μm以下の遠赤外線領域にお
いて比較的高い放射率を有するためである。
おいて、モナザイト25重量%を配合した。具体的に
は、放射性鉱物であるこのモナザイト(精製物)は豪州
産であり、レア・アース酸化物61.33%、五酸化リ
ン26.28%等の他に、自然放射性元素である酸化ト
リウムを6.55%、酸化ウランを0.34%を含有し
ている。
具体的には次のように行った。即ち、磁器製ポットをボ
ールミルとして用い、モナザイトを含む上記の配合の原
材料に、略同量の水を添加し、湿式混合粉砕を24時間
行った。次いで、これを取出して上水を切り、400℃
の温度で乾燥させた後、200メッシュの篩を通した。
そして、この原材料粉末の混合物を、電気炉で1200
℃の温度に2時間保持して焼成し、複合化した後、これ
を再び試験用ミルで粉砕して実施例1乃至実施例3の粉
体状の遠赤外線放射体を得た。
混合物を直径50mm×厚さ2mmにプレス成形し、7
00℃の温度で焼結して、遠赤外線放射率の測定用の資
料片を作製した。
各実施例の原材料粉末の混合物を焼成しないものを、そ
れぞれ比較例1乃至比較例3の遠赤外線放射体として同
様に準備した。
外線放射体について、その遠赤外線放射特性を評価する
ために、それらの遠赤外線放射率を測定した。また、こ
れらの遠赤外線放射体の「非熱効果(常温効果)」を評
価するために、簡単な試験として、藻の発生試験を行っ
た。
単体炉を備えたFT−IR(JIR5300,日本電子
製)を用いて、140℃の表面温度で遠赤外線放射率の
測定を行った。
す。なお、この図2においては、実施例1と比較例1、
実施例2と比較例2、及び実施例3と比較例3がそれぞ
れ対比して示されている。
た上水を200mlずつ入れ、これに実施例及び比較例の
各遠赤外線放射体15gをそれぞれ別々に加えた。そし
て、これを直射日光を避けた室内に置き、藻の発生状況
を観察し、その発生開始日を記録した(4月)。
の期間を、図1に合せて示す。
は、いずれも高い遠赤外線の放射率を示し、また4〜2
0μmの遠赤外線帯域において同様な放射率曲線を呈し
ている。ただ、詳細にみると、それらの遠赤外線放射率
曲線にも僅かな差異が見られる。また、放射率の高さの
みの点では、セラミックス遠赤外線原料材料としてジル
コンの他にアルミナを配合した実施例1が最も高く、次
いでコージライトを配合した実施例2、及びシリカを配
合した実施例3の順に放射率が高い傾向が見られる。
焼成の比較例とを対比すると、その差異は歴然としてい
る。即ち、遠赤外線放射材料の組成にかかわらず、原材
料粉末を焼成した実施例1乃至実施例3の遠赤外線放射
体は、非焼成の単なる混合物からなる比較例の場合より
も、その放射率が、遠赤外線帯域全体に亘って5〜10
%高い。この結果は表面粗さの相違も関係するとは思わ
れるが、いずれにしてもこの放射率特性に関する試験結
果から、原材料の混合物を焼成した方が、未焼成の場合
よりも優れた遠赤外線の放射特性が得られることが分か
る。
の表面温度が140℃でのものであり、常温(20℃)
での放射率特性は、この図2の特性曲線を2.5μm程
度だけ長波長側にずらしたものとなる(放射強度に関す
るウィーンの変位則)。
によれば、実施例1乃至実施例3の遠赤外線放射体の場
合は、いずれも2週間で藻の発生が見られたのに対し、
比較例2の場合はこれらよりも遅れて3週間後に、ま
た、比較例1と比較例3の場合は更に遅れて4週間後に
藻の発生が認められた。なお、この試験では、実施例1
乃至実施例3の相互間には、実質的な差異が見られなか
った。
クス遠赤外線放射材料と放射線源材料とは、これらの粉
末を単に混合して使用するよりも、焼成し、複合化して
使用する方が、より高い遠赤外線の放射率特性を得るこ
とができ、また遠赤外線放射体の常温使用において、よ
り高い「非熱効果(常温効果)」を得ることができるこ
とが分かる。
比較例7の小球状成形体からなる遠赤外線放射体の配合
組成(重量%)と、それらの非熱利用による植物の生育
促進試験の結果とを示す表図である。
至実施例6の小球状成形体からなる遠赤外線放射体を作
製した。また、これらとの比較のために比較例4乃至比
較例7の同様の遠赤外線放射体も合わせて作製した。
放射体は、いずれも白色系のセラミックス遠赤外線原料
材料と、モナザイトからなる放射線源材料と、固結剤と
しての陶磁器材料(陶石)の混合物からなり、そして、
各実施例においてセラミックス遠赤外線放射材料の種類
が種々に変えられている。即ち、実施例4は、ジルコニ
ア40重量%、モナザイト20重量%、及び陶石40重
量%からなっている。また、そのジルコニアに代えて、
実施例5ではジルコンが、実施例6ではアルミナがそれ
ぞれ用いられている。
は、具体的には次のように行った。即ち、各種のセラミ
ックス遠赤外線放射材料と、モナザイトと、更に陶石と
を、上記の配合で磁製ポットに入れ、これに略等量の水
を加えて湿式混合粉砕し、それらの原材料の粒子が平均
粒子径において約1μm程度になるまで粉砕し、また混
合した。そして、これを濾過して得た坏土を棒状に形成
すると共に10mm程度に切断し、その切断塊を回転造
粒機によって小球状に造粒した。次いで、この造粒物を
天日乾燥した後、約1200℃に加熱して焼成し、複合
化した。その後、バレル研磨処理を適宜施して、径約8
mmの小球状成形体からなる遠赤外線放射体を得た。
材料であるモナザイトの配合を省き、その分だけ陶石の
配合量を増加して、同様に比較例4乃至比較例6の遠赤
外線放射体を作製した。即ち、比較例4乃至比較例6
は、遠赤外線放射材料であるジルコニア、ジルコン、ま
たはアルミナの40重量%と、陶石の60重量%とから
それぞれなっている。更に、遠赤外線放射材料の配合を
省き、モナザイト20重量%と陶石80重量%とからな
る同様の成形体を、比較例7として作製した。
について、その「非熱効果(常温効果)」を評価するた
めに、植物の生育促進試験、具体的には、サルビアの苗
の生育促進試験とダイコンの発芽・生育促進試験とを行
った。
意し、それぞれの植木鉢に、10cm程度の高さに生育
した市販のサルビアの苗を1本ずつ植えると共に、その
苗の周囲1〜2cmの位置に実施例及び比較例の遠赤外
線放射体を50gずつ埋設した。そして、これらを日当
たりの良好な屋外で4ヵ月間育成し(5月〜9月)、そ
の生育状況を観察し、比較した。
この生育状況の評価については、遠赤外線放射体を使用
しないで育成したものを基準として、次のように比較評
価した。 ○:極めて良好に生育している。 □:良好に生育している。 △:普通の生育状態である。
例及び比較例の各遠赤外線放射体をそれぞれ15g、及
び水道水を100ml入れると共に、脱脂綿をコイル状に
巻いたものを、その側面が水面と同一レベルになるよう
に浸した。そして、その脱脂綿上にダイコン(一代交
配)の種を10粒宛撒き、直射日光の当らない室内に置
いて、蒸発する水は毎日追加するようにして1カ月間そ
の発芽・成育状況を観察した(9月〜10月)。なお、
その育成容器の外側には、外側に黒テープを巻いた別の
ポリエチレン容器を重ねて、その側面及び底から光が入
らないようにした。
いても、図3に合せて示す。なお、生育状況の評価につ
いては、遠赤外線放射体を使用しないで水だけで発芽・
生育させたものを基準として、次のように比較評価し
た。 ○:極めて良好に生育している。 △:普通の生育状態である。
のように、セラミックス遠赤外線放射材料と放射線源材
料であるモナザイトとを共に含む実施例4乃至実施例6
の遠赤外線放射体の場合では、これらの一方を含まない
比較例4乃至比較例7に比較して、一般により高い生育
状態が観察された。ただし、この種の試験では条件を統
一することが困難であり、そのため、その結果について
もバラツキが生じ易い。しかし、放射線源材料の配合に
よって「非熱効果(常温効果)」がより高められる傾向
は、この試験結果において明瞭に示されている。
よる植物の生育促進作用については、それから放射され
る微弱な遠赤外線が水に作用して、そのイオン化とクラ
スタの分割とを促進し、植物の生育に対して活性的な水
が生成されるためであると考えられる。また、植物の根
毛との接触により、遠赤外線がその生体を形成する有機
成分の分子運動を高め、生体反応を高めることも考えら
れる。
乃至比較例7の組成の遠赤外線放射体については、別
途、その遠赤外線放射率を前述の実施例と同様に測定し
た(140℃)。それによれば、遠赤外線放射材料とし
てジルコニアを用いた実施例4では、ほぼ理想的な放射
率特性、即ち、特に10μm以上の波長域における放射
率が十分に高く、かつ平坦である特性が得られたのに対
し、ジルコンを用いた実施例5では、10〜14μmの
波長域に僅かな放射率の落込みが見られ(ただし、14
μm以上では上昇)、また、アルミナを用いた実施例6
では、14μm以上で放射率が下降カーブを描くもので
あった。このようにこれらの放射率特性は、これには第
3成分である陶石も関連するが、三者三様であった。ま
た、モナザイトの配合を省いた比較例4乃至比較例6
は、それぞれ実施例4乃至実施例6と同様の波形の放射
率特性を示すものであったが、特に、6μm以下の波長
域における放射率が低下するものであった。更に、遠赤
外線放射材料を省いた比較例7は、全体的に放射率が低
く、また10〜13μmの波長域での落込みが大きいも
のであった。
こで、小球状成形体からなる実施例7の遠赤外線放射体
を作製し、これを水道水及び24時間風呂の風呂水に対
して使用して、そのときの水質変化を試験し、測定し
た。
を水道水に使用した場合の水質変化を示す表図である。
また、図5は同じく本発明の実施例7の遠赤外線放射体
を24時間風呂に使用した場合の水質変化を示す表図で
ある。
製〉 前述の実施例4〜6と同様にして、径8mmの小球状成
形体からなる遠赤外線放射体を、実施例7として作製し
た。ただし、その配合組成は、遠赤外線放射材料として
のジルコン35重量%、放射線源材料としてのモナザイ
ト15重量%、及び固結剤としての陶磁器材料である陶
石50重量%からなっている。
24時間後のその水質変化を試験した。試験項目は、p
H、塩素イオンCl- 濃度(mg/l)、カルシウムイオン
Ca2+濃度(mg/l)、COD(mg/l)、及び電気伝導度
である。また、試験は、遠赤外線放射体(遠赤体)を5
00mlの水道水に対して250g加えた場合と、500
mlの水道水に対して500g加えた場合とについて、加
えない場合と共に行った。
導度については、そのときの測定温度が下段に示されて
いる。
の経時変化は僅少であるのに対し、遠赤外線放射体を入
れた水道水では、pHのより高い上昇、塩素イオンCl
- の増加、カルシウムイオンCa2+の減少、及びCOD
の増加の各傾向が見られる。即ち、この試験では多量の
遠赤外線放射体を用いたが、それの常温使用による「非
熱効果(常温効果)」を確認することができる。
進によって生じるH3 O+ 、eaq-(水和イオン)、O
H- 、或いは・OH、・H等のラジカル等の時間の経過
と共に起こる相互反応によるものと考えられる。また、
塩素イオンの増加は、水分子の振動運動の増加及びクラ
スタの分割によりはじき出された塩素が、・OH等と反
応するためと考えられる。更に、カルシウムイオンCa
2+の減少は、クラスタの分割で活性化した有機化合物と
塩を形成するためであると考えられ、また、CODの増
加は、過マンガン酸カリに対して抵抗性を有していた有
機化合物が遠赤外線を吸収して活性化し、過マンガン酸
カリと反応し易くなった結果であると考えられる。な
お、電気伝導度については、測定温度が一定でないた
め、その評価が困難であるが、これがほぼ変わらないこ
とは、外からのイオンの増減がないことを示している。
で、風呂の水(湯)をポンプで循環すると共に、吸水口
に濾過フィルタを設け、また途中にバイオフィルタや機
種によっては紫外線殺菌燈等を設けて、風呂水の浄化と
殺菌を図り、それの一部の取出しとその分の補給はあっ
ても、1週間乃至1カ月湯を替えることなく保温し、随
時入浴を可能としたものである。この24時間風呂に対
して、上記の実施例7の遠赤外線放射体を濾過助剤とし
て使用し、それによる風呂水の浄化試験を行った。
に実施例7の遠赤外線放射体(小球状成形体)を約1kg
詰め、常に湯に接触させる条件で最大3週間使用した。
そして、所定期日後にその風呂水の一部を採取して、そ
の水質検査を行った。検査項目は、pH、COD(mg/
l)、濁度、カルシウムイオン濃度(mg/l)、マグネシ
ウムイオン濃度(mg/l)、塩素イオン濃度(mg/l)、鉄
イオン濃度(mg/l)、大腸菌群数、電気伝導度、及び全
窒素量(mg/l)である。
24時間風呂装置の機種も相互に異なる二ケ所で行っ
た。そして、一方の24時間風呂装置のA機種は紫外線
殺菌燈を備えたものであり、また、B機種はそれを欠く
代りにバイオフィルタを多く使用したものである。
使用した遠赤外線放射体の「非熱効果(常温効果)」は
明確ではない。しかし、図5の試験結果のように、2週
間以上の風呂水の連続使用によっても、その水質は十分
に清浄に保たれている。例えば、水道水の水質基準によ
ればCODは10mg/l以下、濁度は2.0度以下であ
り、その風呂水はこの水道水の基準をさえ下回るもので
ある。このことは、本遠赤外線放射体が24時間風呂の
風呂水の浄化に好適に利用できることを示している。な
お、この遠赤外線放射体には自然放射性鉱物であるモナ
ザイトが含有されていることから、ラジウム温泉のよう
な温泉効果もある程度期待することができる。ただし、
それについては現時点ではまだ確認されていない。
射率を示す特性図である。
しては、ディーゼル燃料(軽油)の無煙化が知られてい
る。そこで、そのような用途に適した遠赤外線放射体を
実施例8として作製し、併せて実車による燃焼試験を行
った。
作製〉 ディーゼル車で使用するディーゼル燃料、即ち、軽油
は、脂肪族炭化水素及びオレフィン系炭化水素の他に、
着火点も高く、完全燃焼され難いために黒煙の発生原因
となるベンゼン等の芳香族炭化水素を20%程度或いは
それ以上含んでいる。そして、この芳香族炭化水素は、
その吸収スペクトルのピークが12〜15μmの帯域に
集中している。
して、10μm以上の波長域の放射率特性が特に優れた
有色系の遠赤外線放射材料を用い、また、それらを組合
せて黒色の遠赤外線放射材料を作製した。即ち、酸化鉄
(Fe2 O3 )20%、酸化クロム(Cr2 O3 )32
%、酸化マンガン(MnO2 )6%、酸化コバルト(C
oO)42%の混合粉末を、1200℃で焼成して黒色
体を形成し、これを湿式粉砕して、黒色顔料様のセラミ
ックス遠赤外線放射材料を作製した。
施例4乃至実施例7の場合と同様に、次のように作製し
た。即ち、遠赤外線放射材料としての上記の黒色顔料4
0重量部と、放射線源材料としてのモナザイト20重量
部と、固結剤としての陶磁器材料である陶石40重量部
とを(合計100重量部)磁器ポットに入れ、これにほ
ぼ等量の水を加えて、24時間湿式混合粉砕した。そし
て、これを濾過して得た坏土を小球状に成形し、乾燥
後、1200℃で焼成し複合化して、直径10mmの小
球状成形体を作製した。
(表面温度140℃)は、図6に示される。
記の黒色顔料自体は「黒体」に近い放射率特性を有する
が、モナザイトと陶石とが配合されていることによっ
て、本遠赤外線放射体の放射率はそれよりも低下したも
のとなっている。しかし、その放射率は12〜14μm
の波長域において最大値を示しており、そして、常温で
の波形は2μm程度長波長側にずれることからすると、
その放射特性は、芳香族炭化水素の吸収特性に対して好
ましいものとなっている。
ゼル燃料の燃焼試験を、実車試験として行った。具体的
には、ディーゼル車である4tトラックを使用し、軽油
を満たしたそれの燃料タンク(300l )内中央に、そ
の遠赤外線放射体の900gを適当な網体に収容して、
蓋の裏側に吊下げて投入した。そして、24時間そのま
ま放置した後、エンジンを始動し、ディーゼル自動車検
車時の黒煙汚染度検査に準じた方法で、排ガスの黒煙濃
度を測定した。
約31%であった黒煙濃度が、使用後は約15%程度に
まで減少した(減少率52%)。そのため、この遠赤外
線放射体は、ディーゼル燃料の無煙化にも非常に有効で
あることが確認された。そして、この黒煙防止効果は、
燃料との接触面積を広げる等の工夫により更に向上する
と考えられるが、そのまま燃費の向上効果となるもので
ある。なお、本実施例の遠赤外線放射体との対比のため
に、モナザイトの配合を省き、50重量%の黒色顔料と
50重量%の陶石からなる同様の遠赤外線放射体と、ま
た、黒色顔料の配合を省き、20重量%のモナザイトと
80重量%の陶石とからなる同様の小球状成形体をそれ
ぞれ作製し、それらを用いて上記と同じ条件でディーゼ
ル燃料の燃焼試験を行った。その結果、黒煙濃度の減少
率は、それぞれ、34%、及び44%であり、本実施例
の遠赤外線放射体と顕著な差が見られた。
は、遠赤外線放射体から放射される遠赤外線が炭化水
素、特に、芳香族炭化水素に吸収され、その分子の原子
間の振動運動が選択的に増加されることによって、それ
の燃焼反応性が高められるためであると考えられる。ま
たこの場合、遠赤外線または放射線源材料からの放射線
の電離作用によって、反応性が高い炭化水素または水素
のラジカルが生成されることも考えられる。しかし、実
際には、これらの振動運動の増加とラジカル化とが相乗
的に作用し、それによって、特に芳香族炭化水素の反応
性が高められるものと思われる。
線放射体は、セラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、
自然放射性元素の酸化トリウムの含有量として換算して
0.3以上2.0重量%以下に調整したモナザイトの粉
末とを共に10μm以下の平均粒子径としてなる混合物
を、焼成し、複合化してなるものである。
は、放射性鉱物からなる放射線源材料が含まれているの
で、自然放射性元素の放射性崩壊によってそれから放出
される放射線のエネルギは、セラミックス遠赤外線放射
材料に吸収されてそれの励起エネルギとなり、遠赤外線
となって放射される。また、遠赤外線放射材料と放射線
源材料とは粉末化して混合され、そして焼成により複合
化されているので、それらの粒子は相互に均一に分散さ
れると共に粒子間が緻密化されるため、その放射線のエ
ネルギは有効に遠赤外線の放射エネルギに変換される。
そのため、セラミックス遠赤外線放射材料は、常温下
(非熱下)においても、遠赤外線をより多く放射するこ
とができる。即ち、この遠赤外線放射体によれば、常温
での使用においても、より多くのエネルギ量の遠赤外線
を放散することができ、またそれによって、水の浄化或
いは活性化等のより高い「非熱効果(常温効果)」を得
ることができる効果がある。更に、この遠赤外線放射体
によれば、放射性鉱物からなる放射線源材料が、酸化ト
リウムを比較的多く含むモナザイトからなるので、遠赤
外線の放射エネルギが多い遠赤外線放射体を容易に製造
することができる効果がある。
は、セラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、自然放射
性元素の酸化トリウムの含有量として換算して0.3以
上2.0重量%以下に調整したモナザイトの粉末とを共
に10μm以下の平均粒子径としてなる混合物を、焼成
し、複合化した後、粉体状に粉砕してなるものである。
ば、請求項1の効果が得られると共に、特に、粉体とし
て形成されているため、プラスチック材料の充填剤、繊
維材料の練込み用添加剤等として使用することができ、
また、適当な有機バインダを加えて衣料等のコーティン
グ剤として使用することもできる。
は、セラミックス遠赤外線放射材料の粉末と、自然放射
性元素の酸化トリウムの含有量として換算して0.3以
上2. 0重量%以下に調整したモナザイトの粉末とを共
に10μm以下の平均粒子径としてなる粉末と、陶磁器
材料の粉末とを含む混合物を、所望の形状に形成すると
共に、焼成し、複合化してなるものである。
ば、陶磁器材料が加えられているので、請求項1の効果
に加えて、強度等の高い成形体からなる遠赤外線放射体
を得ることができる効果がある。そして、この遠赤外線
放射体は、例えば、小球状等の適宜の形状に形成するこ
とができ、また、水の浄化或いは活性化等の種々の具体
的応用において使用することができる。
は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項において、そ
のセラミックス遠赤外線材料が、白色系セラミックス遠
赤外線材料からなるものである。
ば、セラミックス遠赤外線材料が、10μm以下の波長
域における放射率が比較的高い白色系セラミックス遠赤
外線材料からなるため、水または水を多く含むもの、或
いは水中の有機化合物を対象とする具体的用途に特に好
適に使用することができる。
項1乃至請求項3のいずれか1項において、そのセラミ
ックス遠赤外線材料が、有色系セラミックス遠赤外線材
料からなるものである。
ば、セラミックス遠赤外線材料が、10μm以上の波長
域における放射率が比較的高い有色系セラミックス遠赤
外線材料からなるため、炭化水素系燃料等の有機化合物
を対象とする具体的用途において、特に好適に使用する
ことができる。
例1乃至比較例3の遠赤外線放射体の配合組成と、それ
らの非熱利用による藻の発生試験の結果とを示す表図で
ある。
較例1乃至比較例3の遠赤外線放射体の遠赤外線放射率
を示す特性図である。
較例4乃至比較例7の遠赤外線放射体の配合組成(重量
%)と、それらの非熱利用による植物の生育促進試験の
結果とを示す表図である。
水道水に使用した場合の水質変化を示す表図である。
24時間風呂に使用した場合の水質変化を示す表図であ
る。
遠赤外線放射率を示す特性図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 セラミックス遠赤外線放射材料の粉末
と、自然放射性元素の酸化トリウムの含有量として換算
して0.3以上2.0重量%以下に調整したモナザイト
の粉末とを共に10μm以下の平均粒子径としてなる混
合物を、焼成し、複合化してなることを特徴とする遠赤
外線放射体。 - 【請求項2】 セラミックス遠赤外線放射材料の粉末
と、自然放射性元素の酸化トリウムの含有量として換算
して0.3以上2.0重量%以下に調整したモナザイト
の粉末とを共に10μm以下の平均粒子径としてなる混
合物を、焼成し、複合化した後、粉体状に粉砕してなる
ことを特徴とする遠赤外線放射体。 - 【請求項3】 セラミックス遠赤外線放射材料の粉末
と、自然放射性元素の酸化トリウムの含有量として換算
して0.3以上2.0重量%以下に調整したモナザイト
の粉末とを共に10μm以下の平均粒子径としてなる粉
末と、陶磁器材料の粉末とを含む混合物を、所望の形状
に形成すると共に、焼成し、複合化してなることを特徴
とする遠赤外線放射体。 - 【請求項4】 前記セラミックス遠赤外線放射材料は、
白色系セラミックス遠赤外線放射材料からなることを特
徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の
遠赤外線放射体。 - 【請求項5】 前記セラミックス遠赤外線放射材料は、
有色系セラミックス遠赤外線放射材料からなることを特
徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の
遠赤外線放射体。 【0001】
Priority Applications (1)
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JP08022180A JP3085182B2 (ja) | 1996-02-08 | 1996-02-08 | 遠赤外線放射体 |
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