JP3084627B2 - 詰め襟構造 - Google Patents

詰め襟構造

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JP3084627B2
JP3084627B2 JP10354243A JP35424398A JP3084627B2 JP 3084627 B2 JP3084627 B2 JP 3084627B2 JP 10354243 A JP10354243 A JP 10354243A JP 35424398 A JP35424398 A JP 35424398A JP 3084627 B2 JP3084627 B2 JP 3084627B2
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正照 河合
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明石被服興業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、詰め襟の合わせ部
を係合する詰め襟構造を対象の技術分野とするものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来の詰め襟構造は、鈎を有するホック
(hook)等で合わせ部を係合する。このホックは、雄カン
と雌カンとを各合わせ部に縫着等で取り付けている。不
意にホックが外れないように、雄カン及び雌カンの係合
は緊密で、それだけ掛け合わす作業(係合作業)が煩わし
く、例えば手袋をした状態では容易に係合することがで
きない。そこで、磁石の吸着作用を利用したホックとし
て、実開昭59-91121号(詰め襟服の襟止具)、実公昭63-4
2820号(襟止め等の金具)又は実公平4-73921号(磁気ホッ
ク)等が提案されている。
【0003】実開昭59-91121号は、対向する面(吸着面)
が互いに反対磁極の永久磁石片を詰め襟の襟両端面(端
縁)に装着したもので、磁石の吸着作用を利用した最も
典型的なホックの形態と言える。実公昭63-42820号は、
強磁性材を収納固定した一方の取付部の截頭錐形凸部
に、他方の取付部の同形の截頭錐形凸部を嵌合する構造
で、磁力の吸着力が多少ずれた取付部同士も自動的かつ
確実に嵌合し、合わせ部の係合作業が改善される等の利
点を挙げている。また、実公平4-73921 号は、所定外形
の磁石(例示では円柱状)とこの磁石の一面に相似な金属
片とが吸着することで合わせ部を係合する構造である。
いずれも、従来の構造的な係合関係を磁力の吸着作用で
代用する点は類似である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】構造的に係合するホッ
クを用いた旧来の詰め襟構造では、ホックが係合した詰
め襟の合わせ部を固定して、着用者に窮屈感を与えてし
まうことから、詰め襟の合わせ部は通常外されているこ
とが多かった。これは、詰め襟本来の見栄えを大きく損
ない、着用者自身の見かけの品性をも低下させていた。
磁石の吸着作用を利用した上記各従来技術は、磁力以上
の力が掛かればホックが外れるようにすることで、詰め
襟における窮屈感の解消を図ることができる。しかし、
適切な磁石の強度、特に磁束密度が曖昧であり、一度外
れた合わせ部を再度係合するには、着用者自身が合わせ
部を持って誘導する必要があった。
【0005】また、磁石を利用した従来のホックは、磁
石や磁石と吸着する金属部材を合わせ部から露出させて
吸着作用を発揮させ、合わせ部の係合を図っていた。こ
うした磁石等が外部から覗く構造としたのも、やはり適
切な磁石の選択が判然としていなかったためで、確実な
吸着作用を図るには、磁石等を露出させるのが賢明と考
えられていたのである。しかし、こうした磁石等を露出
させた詰め襟では、前記磁石等と同幅の隙間ができ、こ
の隙間から着用者の首や下に着た服等が覗いてしまい、
見栄えを悪いものにしていた。加えて、本来詰め襟の生
地と材質の異なる磁石等が合わせ部を傷める虞があった
り、露出した係合部位が首に触れるのを嫌って、着用者
が詰め襟の合わせ部を外してしまう虞もあった。
【0006】更に、磁石の吸着作用を利用した従来のホ
ックについて言えば、詰め襟の合わせ部が一定の開度で
突き合わさり、係合する点に考慮を図っているとは言い
難かった。詰め襟は、断面略円形の首周りに沿って丸み
を帯び、両端の合わせ部を突き合わせて係合するが、合
わせ部は一定の開度で係合するのが通常であり、その方
が見栄えもよい。ところが、従来技術では、こうした詰
め襟特有の外観についてはなんら考慮されておらず、磁
石が本来の吸着力を十分に発揮して合わせ部を係合でき
るかどうかが不明であった。そこで、窮屈感がなく、外
観がすっきりして見栄えもよく、そして詰め襟の生地を
傷めない詰め襟構造の試作を繰り返しながら、前記能力
又は外観を実現できる範囲での適切な磁石の特定を試み
た。
【0007】
【課題を解決するための手段】試行の結果、従来と比べ
てより良好なものとして、詰め襟の合わせ部を係合する
位置関係でこの合わせ部内に詰め襟に対する磁軸方向と
N極、S極の向きを特定した磁石を収納した詰め襟構造
を作り上げることができた。合わせ部内への磁石の収納
方法としては、型崩れを防止するために詰め襟内に収納
する芯地の端部それぞれに磁石を位置固定で固着する方
法が適しており、例えば、(1) 芯地の短手方向磁軸方
向を一致させ且つ詰め襟の合わせ部においてN極、S極
を互い違 いに対向させて磁石を取り付ける、又は(2) 芯
地の長手方向磁軸方向を一致させた複数の磁石を短手
方向に重ね且つ詰め襟の合わせ部においてN極、S極を
互い違いに対向させて磁石を取り付けると、磁軸方向と
N極、S極の向きの特定及び位置固定が容易である。芯
地に対する磁石の固着には、磁石を保持した取付具を芯
地に縫着、接着、ネジ止め又はピン止めするとよく、更
に磁石又は取付具を(a) 樹脂や(b) 布で被覆すると合わ
せ部の生地を傷めずに済む。また、磁石は芯地の詰め襟
内面側(首に対面する側)又は少なくとも詰め襟内面側が
突出するように固着する方が、芯地によって磁石が隠さ
れるので、外部から磁石の存在を知られずに済む。(1)
(2) の詰め襟構造は合わせ部を端縁で突き合わせて係合
するもので、学生服の詰め襟に適しているが、詰め襟の
端部を重ねて係合することもでき、この場合はファッシ
ョン性が求められる一般衣服に適している。
【0008】本発明の詰め襟構造は、吸着し合う一対の
部材を共に磁石とし、そのN極、S極を詰め襟の短手方
向又は/及び首に対面する方向に互い違いにすることで
磁石同士を吸着させ、合わせ部を端縁で直接係合するも
のである。合わせ部の係合を実現する一対の磁石はいず
れも合わせ部内に収納しているので、外観のすっきりと
した見栄えのよい詰め襟構造となる。一対の磁石による
合わせ部の係合は、磁力を越える負荷がかかれば容易に
解除されるが、磁石同士の吸着作用は多少離隔しても十
分に及ぶので、負荷がなくなれば容易かつ自然に合わせ
部を再係合させることができる。
【0009】芯地の長手方向磁軸方向を同一として磁
極を互い違いとした磁石を取り付ける詰め襟構造とは、
例えば、合わせ部の一方の端縁にはN極、他方の端縁に
はS極が現れるように磁石を取り付けた場合で、両磁石
は芯地の長手方向に同じ磁軸方向と磁極を有する。これ
により、合わせ部では逆極性の磁石が対向し、該合わせ
部の端縁は突き合わせ状態で係合する。また、互いに吸
着した磁石の位置関係は、磁石の大きさ、形状、極性の
配置関係や芯地に対する取付位置により一義的に定まっ
ている。このため、首の動きに従って詰め襟が動き、一
時的に外れた合わせ部は、磁力の働きによって再び元と
同じ突合わせ状態で係合させることができる。
【0010】芯地の短手方向に互い違いに磁極を形成す
磁石を取り付けた詰め襟構造とは、例えば、合わせ部
の一方に上(N極)から下(S極)への磁軸方向を持つ
ように磁石を取り付け、他方に下(N極)から上(S
極)への磁軸方向を持つように磁石を取り付けた場合
で、両磁石は芯地の短手方向に互い違いにN極、S極
有する。この詰め襟構造では、上記詰め襟構造同様、合
わせ部を端縁で突き合わせ状態で係合できる。また、芯
地に取り付ける磁石が芯地に平行な板状になることが多
いことから、磁石同士を重ねて吸着させる関係、すなわ
ち合わせ部を重ねる位置関係で係合させることもでき
る。この場合でも、吸着した磁石の位置関係は一義的に
定まるから、一時的に外れた合わせ部は元と同じ突合わ
せ状態で再係合させることができる。
【0011】このように、磁石は大きさや取付位置、何
よりも磁軸方向とN極、S極の向きを特定することによ
り、一義的に定まる位置関係で合わせ部を係合できるこ
とから、詰め襟に相応して合わせ部の係合開度の特定も
可能となる。具体的には、磁石を芯地の内面に取付ける
ための取付具を、突合せた磁石相互が形成するところ
の、首に対面する側であって両端部の合わせ部を頂角と
する角度である詰め襟の内面側の開度を115 〜145 度に
なるように、芯地に接する部分の一部である短手方向縁
部を芯地の長手方向両端部の短手方向縁に沿って突き合
せ面側へ僅かに突出させて突部を形成した構成として、
前記突部の存在により、磁石は吸着面を密着させず、吸
着したこの磁石が形成する、首に対面する側であって両
端部の合わせ部を頂角とする角度である詰め襟内面側の
開度を形成する場合と、磁石の首に対面する内面側の短
手方向に沿う角部を切り欠いて吸着面を形成して、該磁
石の吸着面を密着させることにより、磁石相互が形成す
前記開度を115 〜145 度になるようにする場合の詰め
襟構造を例示できる。密着時の磁石の開度が115 〜145
度であれば、磁石に従う合わせ部も略同様の係合開度を
有するようになる。とりわけ、磁石が芯地に固着されて
いる場合、合わせ部の係合開度は吸着時の開度に従う。
【0012】また、係合する合わせ部の位置関係をより
厳密に定めるには、同一合わせ部内にN極、S極の向き
が異なる複数の磁石を収納し、各合わせ部における収納
位置が対称関係にある磁石同士を1対1の関係で対応づ
けて吸着させればよい。磁力による吸着作用は互いの磁
石を位置固定するものではないので、吸着した磁石は相
互の磁力が及ぶ範囲で多少のずれを生じる可能性があ
る。そのずれを防止する意味から、同一合わせ部内に
極、S極の向きを互い違いとして複数の磁石を収納し、
この複数の磁石それぞれにおける吸着位置関係のずれを
互いに打ち消し、係合する合わせ部の位置関係をより厳
密にするのである。あまり多くの磁石を同一合わせ部内
に収納することは詰め襟の外観を損なうことになるか
ら、通常2個の磁石を磁極が逆となるように互い違いと
して同一合わせ部内へ収納する。
【0013】これまで、本発明の詰め襟構造について説
明してきたが、より実際的には、以上の構成又は構造に
よって実現される外観を維持し、容易な係合及び再係合
を自然に実施できる磁石の特定が望まれる。この点に関
し、本発明に至る試行の末、磁石の吸着面における磁束
密度が2000〜4000Gauss である詰め襟構造が望ましいこ
とが判明した。磁束密度に幅があるのは、具体的な磁石
の種類、大きさ、とりわけ吸着面の形状と面積、そして
適用される詰め襟形状等によって必要とされる吸着力が
異なるためである。大きさは、縦10〜20mm、横5〜15m
m、そして厚みは3〜5mmが適当である。磁性材料とし
ては、例えば、小型化又は扁平化しやすい可能な希土類
磁石( ネオジ磁石、サマリウム磁石) が好ましい。合わ
せ部の係合の解除及び再係合に適切な吸着力は200 〜40
0 gであり、前記吸着力を実現できる磁束密度が2000〜
4000Gauss である。裏を返せば、前記吸着力又は磁束密
度が得られるものであれば、特に磁石の種類は問わず、
例えばプラスチック磁石の利用も可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態につい
て、図を参照しながら説明する。図1は端部に磁石1,
2を取り付けた芯地3を内蔵する詰め襟構造を採用した
学生服の詰め襟4付近を表した斜視図、図2は芯地3の
斜視図、図3は取付具と共に磁石を樹脂13で被覆して更
に布14で覆った取付形態を現した図2中芯地3端部拡大
図、そして図4は背面方向から見た磁石1, 2の対向関
係を表した斜視図である。
【0015】本例の詰め襟構造は、芯地3の長手方向
同一な磁軸方向を有する磁石1, 2を、詰め襟内面側へ
突出するように芯地3の端縁を切り欠いて取り付けた例
であり、合わせ部5の左端縁6( 図1中右側) にはN
極、合わせ部5の右端縁7( 図1中左側) にはS極が現
われ、合わせ部5を両端縁6, 7で突き合わせた状態で
係合する。従来のホックによる係合と比較すれば明らか
なように、合わせ部5に隙間が生ずることなく、何ら部
材が露出しないため、外観上すっきりとして見栄えがよ
い。また、着用者の首8に触れる異物が露出していない
ので、合わせ部5を係合することの抵抗感が低減する。
【0016】芯地3は、図2に見られるように、詰め襟
4の長手方向に沿って収納される。磁石1, 2を接着等
の手段により直接芯地3に固着する構成も考えられる
が、本例では、図4に見られるように、磁石1, 2を金
属製取付具9で保持し、この金属製取付具9を芯地3端
部に鳩目10,10 により固着している。金属製取付具9
は、芯地3に対する磁石1, 2の取付安定性を確保する
と同時に、磁石1, 2を外部からの衝撃等による破損か
ら保護する働きを有している。磁石1, 2を芯地3に固
着できればよいので、必ずしも「 金属製」 取付具である
必要はない。例えば、金属製取付具9であれば磁性化さ
れ、磁力の及ぶ範囲を広くする働きがあり、樹脂製取付
具であれば製造が容易になり、生産性を高めることがで
きる利点がある。本例では、この金属製取付具9により
合わせ部5( 図1参照) の生地を傷めないように、図3
に見られるように、まず金属製取付具9と共に磁石2を
樹脂13で被覆し、更に布14で覆っている。この取付形態
は、磁石2が芯地3端部から外れることをも防止する。
樹脂製取付具であれば、樹脂に被覆は必要なく、布の被
覆のみでもよい。
【0017】現在一般的な芯地は、短繊維と低溶融熱可
塑性樹脂粉末との混合物からなる不織布のプレス成形シ
ート、又は高融点樹脂と低融点樹脂の芯鞘構造のフィラ
メントからなる不織布の熱融着シートである。当然こう
した芯地は磁化しないので、合わせ部5の端部に取り付
けた磁石1, 2の吸着作用は、取付部位近傍にしか作用
しない。しかし、芯地は首の動きを阻害せず、詰め襟を
保形する機能を発揮できればよいので、例えば可撓性及
び防錆性を有する薄い金属片や金属メッシュで芯地を構
成してもよい。この場合、前記金属片又は金属メッシュ
が磁性化し、磁石の磁力は芯地全域に及び、例えば首周
りの血行を改善し、肩凝り解消や思考力を向上させると
いった機能が期待できる。つまり、本発明の詰め襟構造
は、磁性金属材料からなる芯地を用いることで、衣服と
一体化した「 磁気ネックレス」 の提供も可能にするので
ある。
【0018】一対の磁石1, 2は共に縦12mm、横7mm、
厚み4mmの大きさで約3000Gauss の磁束密度を有し、そ
れぞれN極、S極の向きが逆で磁軸方向と芯地の長手方
向が同一になるように芯地3に取り付けている。本例で
は、図2及び図4に見られるように、合わせ部5の左端
縁6に対応する磁石1( 図2中手前、図4中左) と合わ
せ部5の右端縁7に対応する磁石2( 図2中奧、図4中
右) とを、磁軸方向が同一、N極、S極の向きが逆にな
るように対向させている。このため、両磁石1, 2は対
向方向でN極及びS極を突き合わせて吸着させることは
できるが、磁軸方向とN極、S極の向きを同じにしたま
ま両磁石1, 2を重ねることはできない。また、両磁石
1, 2は、磁力が最大となるように吸着するので、互い
の上下位置関係のずれが最小限に抑えられるように、一
定の位置関係の範囲内でのみ吸着することになる。
【0019】上述のように、両磁石1, 2が互いの上下
位置関係のずれを最小限に抑えるように吸着すること
は、合わせ部5の両端縁6, 7の係合開度を一義的に定
めることに利用できる。本例では、図5に見られるよう
に、金属製取付具9, 9に対し、磁石1, 2の詰め襟の
合わせ部の外面側(首に対面する側を詰め襟の内面側と
して)において吸着面よりわずかに覗く突部15,15 を設
けている。突出量Δt は1mm以下、0.5mm 前後でよい。
これにより、合わせ部5の端縁6, 7を突き合わせた
際、磁石1, 2の両吸着面が密着せず、突部15,15 によ
って一定の開度( 好ましくは約135 度) を有する。前記
開度は、芯地3の端部同士の開度を規制し、結果合わせ
部5の係合開度をも決定付けるのである。吸着した状態
で磁石1, 2が互いに傾斜した関係にあるので、比較的
に分離しやすい( 例えば開度方向に折り曲げるように)
利点がある。同様に、図6に見られるように、首に対面
する内面側の短手方向に沿う角部を切り欠いた吸着面1
6,16 を有する磁石1, 2を用いた場合も、磁石1, 2
が吸着した状態で所定開度を形成し、もって合わせ部5
の係合開度をも決定付けることができる。
【0020】磁力による吸着は、磁力以上の負荷がかか
れば容易に外すことができる。このため、本発明の詰め
襟構造を採用した学生服では、通常図1の状態で合わせ
部5が係合された状態にあるが、例えば図7に見られる
ように首8が動くと、係合が解除され、合わせ部5を開
くことができる。正確には、この状態でも合わせ部5の
両端縁6, 7は磁石1, 2の吸着作用により互いに引き
合っており、首8の動きが収まれば、すぐに図1の状態
へと復帰する。このように、本発明の詰め襟構造では、
首8の動きに従って開いた合わせ部5が、磁軸方向とN
極、S極の向きを特定した磁石1, 2により定まる位置
関係で容易かつ自然に再係合する点に特徴がある。本例
のような係合及び再係合を実現する目安として、吸着力
が200 〜400 gとなる磁束密度2000〜4000Gauss の磁石
が好ましい。本例で使用した3000Gauss の磁石では、好
適な吸着力300 〜350 gを実現する。
【0021】図8は芯地3の短手方向磁軸方向を一致
させてN極、S極の向きを互い違いとした磁石11,12 の
対向関係を表した図4相当斜視図であり、図9は図8の
磁石11,12 を用いて合わせ部5を重ねるように係合する
詰め襟構造を採用した一般衣服の詰め襟4付近を表した
図1相当斜視図である。本発明では、磁石における磁力
の方向性を利用して、合わせ部を突き合わせのほか、重
ね合わせの関係で係合できる。これにより、本発明の詰
め襟構造の適用範囲が拡がり、詰め襟類似の一般衣服に
も利用できる。
【0022】本例は、図4に示した例とは異なり、図8
に見られるように、合わせ部5の左端縁6に対応する磁
石11(図8中左)と合わせ部5の右端縁7に対応する磁石
12(図8中右) とを、磁軸方向を芯地3の短手方向に向
け、かつ互いのN極、S極の向きを逆にして対向させて
いる。すなわち、上記例示の詰め襟構造がN極又はS極
のいずれか一方ずつを合わせ部5の端縁に現し、磁界の
発生元であるN極、S極の突き合わせによる吸着である
のに対し、本例では共にN極及びS極をそれぞれの端縁
に現しながらN極、S極の向きを違えており、磁界の接
線方向における極の突き合わせによる吸着を利用してい
る。このため、本例の詰め襟構造では、両磁石11,12 は
対向方向で自身のN極と相手方のS極とを突き合わせる
ほか、面積の広い自身のN極と相手方のS極とを重ねて
吸着させることができる。この場合も、互いのN極とS
極とは、磁力が最大に働くように、ずれなく重なろうと
するので、吸着時における両磁石11,12 のずれはより小
さく抑えられることになる。
【0023】このような重ね合わせの吸着関係にある磁
石11,12 を用いた詰め襟構造を採用すると、図9に見ら
れるように、合わせ部5を重ねて係合することができ
る。学生服等の定型化したものを除き、この合わせ部5
の重ね合わせは詰め襟4のデザイン性を高めるので、一
般衣服には好ましい。ただし、重ね合わせによる吸着は
突き合わせによる吸着よりも吸着面積が大きくなるた
め、係合解除に必要な力、つまり磁石の吸着力が過剰に
ならないように、提示した磁束密度の範囲で比較的低い
値の磁石を用いる方が好ましい。
【0024】これまでは、使用する磁石が1個であった
場合を例示してきた。しかし、磁石に磁極方向があるこ
とを利用して、同一合わせ部内に磁極方向のN極とS極
の向きが異なる複数の磁石を収納し、各合わせ部におけ
る収納位置が対称関係にある磁石同士を1対1の関係で
対応づけて吸着すれば、磁石の吸着の位置関係をより厳
密に定めることができ、記述したように合わせ部の係合
開度を決定付けるだけでなく、より見栄えのよい詰め襟
を形成できる。図10は芯地の長手方向磁軸方 向を一致
させN極とS極を逆にした2個の磁石17,18(又は19,20)
を詰め襟内外面方向に重ね、互いの磁極を互い違いにし
た構成を表した図4相当斜視図、図11は芯地の長手方向
磁軸方向を一致させた3個の磁石21,22,21( 又は23,2
4,23) をN極とS極を互い違いとして上下段に重ねた構
成を表した図4相当斜視図、そして図12は芯地の短手方
磁軸方向を一致させた2個の磁石25,26(又は27,28)
を詰め襟内外面方向にN極とS極を互い違いとして重ね
た構成を表した図8相当斜視図である。
【0025】図10の例では、同一合わせ部内における磁
石17,18 のN極とS極が異なり、対向する磁石19,20 と
1対1の関係で対応づけられて吸着する。この構成で
は、特に詰め襟内外面方向にずれて磁石17,19(又は18,2
0)が吸着しようとしても、一方の磁石18( 又は17) の吸
着作用が残る他方の吸着作用のずれを阻止するように働
くので、吸着時の位置関係がより厳密に定まる。図11の
例では、上下段に磁石21,22,21( 又は23,24,23) が積層
しているため、主として上下方向のずれが抑制できる。
とりわけ、3段構成とすることで、中段の磁石22( 又は
24) が上下段の磁石21( 又は23) と反発し、よりずれに
くくする。図12の例では、先の図10及び図12の例のずれ
防止の作用を併せ持つ。すなわち、磁石25( 又は26)
が、(1) 単体で対応する磁石27( 又は28) とで上下方向
のずれを防止し、 (2)重ね合わせた磁石26( 又は25) と
の関係で、詰め襟内外面方向のずれを防止している。同
一合わせ部内における磁石25,26 は互いに吸着状態で重
なっているから、仮に金属製取付具9が破損した場合で
も容易に磁石25,26 が分離しない利点がある。
【0026】
【発明の効果】本発明の詰め襟構造により、着用者に対
して窮屈感を与えることなく合わせ部を容易かつ自然に
係合、解除、そして再係合できる詰め襟が実現され、見
栄えのよい学生服等の提供が可能になる。また、従来の
ホックによる係合とは異なり、合わせ部周辺に露出する
部材がなく、外観のすっきりとした見栄えのよい詰め襟
構造となる。加えて、磁石の強度、詰め襟の方向に対す
る磁軸方向とN極とS極 の向き、取付方向又は取付位置
を適切に定めることで、自然な感じで解除及び再係合で
きる合わせ部を多様な形態で実現できるようになり、デ
ザイン性にも優れた詰め襟が提供できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】端部に磁石を取り付けた芯地を内蔵する詰め襟
構造を採用した学生服の詰め襟付近を表した斜視図であ
る。
【図2】芯地の斜視図である。
【図3】取付具と共に磁石を樹脂で被覆して更に布で覆
った取付形態を現した図2中芯地端部拡大図である。
【図4】背面方向から見た磁石の対向関係を表した斜視
図である。
【図5】突部の存在が決定する係合開度を表した合わせ
部付近の拡大平面図である。
【図6】磁石の切欠の存在が決定する係合開度を表した
合わせ部付近の拡大平面図である。
【図7】首を動かして合わせ部の係合を解いた状態を表
した図1相当斜視図である。
【図8】芯地の短手方向磁軸方向を一致させ合わせ部
短手方向にN極とS極を互い違いとする磁石の対向関係
を表した図4相当斜視図である。
【図9】図8の磁石を用いて合わせ部を重ねるように係
合する詰め襟構造を採用した一般衣服の詰め襟付近を表
した図1相当斜視図である。
【図10】芯地の長手方向磁軸方向を一致させた2個
の磁石のN極とS極重ね方向に互い違いにした構成を
表した図4相当斜視図である。
【図11】芯地の長手方向磁軸方向を一致させた3個
の磁石のN極とS極短手方向に互い違いにした構成を
表した図4相当斜視図である。
【図12】芯地の短手方向磁軸方向を一致させた2個
の磁石25,26 を短手方向と重ね方向についてN極とS極
を互い違いにした構成を表した図8相当斜視図である。
【符号の説明】
1 合わせ部の左端縁に対応する磁石 2 合わせ部の右端縁に対応する磁石 3 芯地 4 詰め襟 5 合わせ部 6 合わせ部の左端縁 7 合わせ部の右端縁 8 着用者の首 9 金属製取付具 10 鳩目 11 芯地の短手方向磁軸方向一致させN極を下とした
左側の磁石 12 芯地の短手方向磁軸方向一致させS極を下とした
右側の磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A44B 21/00 A41D 27/18,29/00

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 詰め襟の型崩れを防止するために詰め襟
    内に収納する芯地の、詰め襟の合わせ部となる両端部の
    それぞれに、反対の磁極を形成するよう磁石を取付けた
    詰め襟において芯地のそれぞれの端部の短手方向に、該短手方向と磁軸
    方向が一致し且つN極、S極が端部相互間で短手方向に
    沿って互い違いに対向するように磁石を取付け、これを
    詰め襟内に 収納したことを特徴とする詰め襟構造。
  2. 【請求項2】 芯地の端部に取付けたそれぞれの磁石
    は、複数の磁石を詰め襟の厚み方向にN極、S極を互い
    違いとして重ねたものである請求項1記載の詰め襟構
    造。
  3. 【請求項3】 詰め襟の型崩れを防止するために詰め襟
    内に収納する芯地の、詰め襟の合わせ部となる両端部の
    それぞれに、反対の磁極を形成するよう磁石を取付けた
    詰め襟において、 芯地のそれぞれの端部の長手方向に、該長手方向に磁軸
    方向が一致する複数の磁石を、N極、S極が端部相互間
    であって詰め襟の厚み方向に互い違いに対向するように
    取付け、これを詰め襟内に収納したことを特徴とする
    め襟構造。
  4. 【請求項4】 詰め襟の型崩れを防止するために詰め襟
    内に収納する芯地の、詰め襟の合わせ部となる両端部の
    それぞれに、反対の磁極を形成するよう磁石を取付けた
    詰め襟において、 長手方向に磁軸方向が一致する複数の磁石を短手方向に
    沿って重ね、N極、S極が端部相互間の短手方向に沿っ
    て互い違いに対向するように取付けたことを特徴とする
    詰め襟構造。
  5. 【請求項5】 詰め襟部内の芯地への突合せ状態となる
    磁石は磁束密度が2000〜4000Gaussであり、しかも前記
    磁石を合わせ部内に位置固定する金属製又は樹脂製の取
    付具を、突合せた磁石相互が形成するところの、首に対
    面する側であって両端部の合わせ部を頂角とする角度で
    ある詰め襟の内面側の開度が115 〜145 度になるよう
    に、芯地に接する部分の一部である短手方向縁部を芯地
    の長手方 向両端部の短手方向縁に沿って突き合せ面側へ
    僅かに突出させて突部を形成した構成として、該取付具
    に詰め襟の突合せ状態において吸着面が密着することな
    く吸着するように前記磁石を保持させ、前記突部の突合
    せと磁石の吸着とによって前記詰め襟内面側の前記開度
    を形成したことを特徴とする請求項1、2、3又は4記
    載の詰め襟構造。
  6. 【請求項6】 詰め襟の型崩れを防止するために詰め襟
    内に収納する芯地の、詰め襟の合わせ部となる両端部の
    それぞれに、反対の磁極を形成するよう長手方向に磁軸
    方向が一致する磁石を取付けるにおいて、 磁束密度が2000〜4000Gaussの磁石を使用するととも
    に、該磁石の首に対面する内面側の短手方向に沿う角部
    を切り欠いて吸着面を形成し、該吸着面を密着により突
    合せた磁石相互が形成するところの、首に対面する側で
    あって両端部の合わせ部を頂角とする角度である開度を
    115 〜145 度に確保するようにしたことを特徴とする
    め襟構造。
  7. 【請求項7】 詰め襟の型崩れを防止するために詰め襟
    内に収納する芯地の、詰め襟の合わせ部となる両端部の
    それぞれに、反対の磁極を形成するよう長手方向に磁軸
    方向が一致する磁石を取付けるにおいて、 磁束密度が2000〜4000Gaussの磁石を使用するととも
    に、前記磁石を合わせ部内に位置固定する金属製又は樹
    脂製の取付具を、突合せた磁石相互が形成するところ
    の、首に対面する側であって両端部の合わせ部を頂角と
    する角度である詰め襟の内面側の開度が115 〜145 度に
    なるように、芯地に接する部分の一部である短手方向縁
    部を芯地の長手方向両端部の短手方向縁に沿って突き合
    せ面側へ僅かに突出させて突部を形成した構成として、
    該取付具に詰め襟の突合せ状態において吸着面が密着す
    ることなく吸着するように前記磁石を保持させ、前記突
    部の突合せと磁石の吸着とによって前記詰め襟内面側の
    前記開度を形成したことを特徴とする 詰め襟構造。
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