JP3084210B2 - バタフライ弁のシートリング - Google Patents

バタフライ弁のシートリング

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JP3084210B2 JP07179432A JP17943295A JP3084210B2 JP 3084210 B2 JP3084210 B2 JP 3084210B2 JP 07179432 A JP07179432 A JP 07179432A JP 17943295 A JP17943295 A JP 17943295A JP 3084210 B2 JP3084210 B2 JP 3084210B2
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英次 久木
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、流通管路の開閉を行
なうバタフライ弁に関し、特に、粉粒体等の流体を輸送
する配管に適したバタフライ弁のシートリングに関す
る。
【0002】
【従来の技術】弁体が接離するシートリングをメタルシ
ートとしたバタフライ弁は従来から多数公知である。即
ち、図5に示したように流通管路(1)の中心に向って斜
めに突出する弾性リップ(2)を備えた弁座(3)を本体
(4)に嵌着することにより、この弾性リップ(2)に弁体
(5)を圧接させて密閉作用を行なわせ、しかも、弁軸を
偏心させて弁体(5)を弾性リップ(2)に一層確実に圧接
させることにより、シール効果を得るようにしたもの
(特開昭48-84921号公報を参照)、図6に示したように
弁体(5)における接触面(6)との対向位置に該接触面
(6)と略平行な薄板で構成した支持斜面(7)を設け、こ
の支持斜面(7)と弁体(5)の接触面(6)の間にメタルシ
ート(8)のシーリング部(9)を挟み込むことにより、支
持斜面(7)の弾性変形を利用して熱膨張又は流体圧力に
よる弁体(5)の変位を吸収させて弁体(5)の開閉トルク
を低減するようにしたもの(特開昭61-38268号公報を参
照)、あるいは、図7に示したようにメタルシート(8)
のシーリング部(9)に巻線(10)を多重に巻装保持させる
ことにより、シーリング部(9)に弾力性を与えて弁体
(5)の変位を吸収させつつ開閉トルクを低減させるよう
にしたもの(特公平4-48989号公報を参照)がある。
【0003】しかしながら、これらのものはいずれもシ
ーリング部を弾性リップあるいは薄板等で構成して弾性
を与えていたために、流体中に含まれる粉粒体が弁体の
接触面(6)とシーリング部(9)の間に夾雑物として作用
するために閉弁時の密封効果が低下し、あるいは、流体
中に含まれる粉粒体で弾性リップ(2)が摩耗し易いため
に耐久性が低いという不具合があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記従来
のものに見られた不具合を解消し、粉粒体等の流体を輸
送する際にも安定したシール作用を行なう信頼性の高い
シートリングを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
にこの発明が採った手段は、流通管路を構成する弁体の
内周面に該流通管路と直交するシートリングを挿着し、
該シートリングを弁体に接離させてシール作用を達成す
るようにし、半径方向内方に向かう断面円弧状の突条を
内周面に形成したメタルシート部材と、該メタルシート
部材を本体の内周面に設けた環状凹溝内に流通管路方向
に揺動可能に保持させる弾性密封部材とでシートリング
を構成し、弁体との当接によりメタルシート部材が流通
管路方向に揺動してシール性を保持するようにしたバタ
フライ弁のシートリングにおいて、半径方向外方に向か
う凸部をメタルシート部材に設け、本体に設けた環状凹
溝の内側面と凸部の側面との間にそれぞれ弾性密封部材
を挟設してメタルシート部材を流通管路方向に揺動可能
かつ気密に取り付けたことを特徴とする。
【0006】
【作用】弾性密封部材によりメタルシート部材を流通管
路方向に揺動可能に保持させているために、開弁から閉
弁に至る弁体がメタルシート部材に設けた断面円弧状の
突条に当接するに際して、弾性密封部材の反発弾性力に
相当する力で突条が弁体に押圧保持されてシール作用を
する。そして、閉弁から開弁に至る際は弁体が突条を閉
弁時と逆の方向に押圧してシール作用をし、開弁後は弾
密封部材の復帰力でメタルシート部材が環状凹溝の中
央部に弾圧保持されるため、安定したシール作用をす
る。
【0007】又、断面円弧状の突条をメタルシート部材
に設けて弁体との当接部を構成しつつ、弾性密封部材を
用いてメタルシート部材を揺動可能に支持させているた
め、メタルシート部材の剛性が高くなると共に、メタル
シート部材の表面処理を容易化してシートリングの耐久
性を高く出来る。
【0008】更に、メタルシート部材の内周面に設けた
突条の内径を流通管路の内径と略同径にした場合は、メ
タルシート部材の突条が流通管路の内側に大きく突出し
ないために流通管路の抵抗の増加が予防されると共に、
流体によるメタルシート部材の摩耗が抑制される。
【0009】更に又、半径方向外方に向う凸部をメタル
シート部材に設け、本体に設けた環状凹溝の内側面と凸
部の側面の間にそれぞれ弾性密封部材を挟設してメタル
シート部材を流通管路方向に揺動可能かつ気密に取り付
けたので、シートリングの構成が簡略化され、メタルシ
ート部材及び弾性密封部材の材料選択の自由度が高くな
る。
【0010】
【発明の効果】この発明のバタフライ弁のシートリング
によれば、半径方向外方に向う凸部をメタルシート部材
に設け、本体に設けた環状凹溝の内側面と凸部の側面の
間にそ れぞれ弾性密封部材を挟設してメタルシート部材
を流通管路方向に揺動可能かつ気密に取り付けてあるの
で、シートリングの構成が簡略化され、メタルシート部
材及び弾性密封部材の材料選択の自由度が高くなる。
【0011】
【実施例】以下に図1乃至図4を参照しつつ、この発明
の好ましい実施例を詳細に説明する。図において(11)は
この発明にかかるシートリングを示し、流通管路(12)を
構成する本体(13)の内周面に凹設された流通管路(12)と
直交する環状凹溝(14)に取り付けられている。
【0012】シートリング(11)は、流通管路(12)の半径
方向内方に向って突出する断面円弧状の突条(15)を内周
面に形成したメタルシート部材(16)と、このメタルシー
ト部材(16)を環状凹溝(14)内に流通管路の方向に揺動可
能に保持させる弾性密封部材(17)とで構成される。そし
て、弁体(18)との当接により弾性密封部材(17)が弾性変
形してメタルシート部材(16)が流通管路(12)方向に揺動
してシール性を保持するようになっている。
【0013】又実施例では、メタルシート部材(16)の内
周面に設けた突条(15)の内径を流通管路(12)の内径と略
同径にして突条(15)が流通管路(12)に突出しないように
している。従って、突条(15)によって流通管路(12)の抵
抗が大きく増加することがなく、しかも、流通管路(12)
を流れる流体中に含まれる粉粒体によるメタルシート部
材(16)の摩耗が予防される。
【0014】更に実施例では、半径方向外方に向う凸部
(18)をメタルシート部材(16)の外周面に設け、本体(13)
に設けた環状凹溝(14)の内側面と凸部(18)の側面の間に
それぞれ弾性密封部材(17)を挟設することにより、この
弾性密封部材(17)の弾性変形でメタルシート部材(16)を
流通管路方向に揺動可能かつ気密に保持させている。(1
9)はシートリング押え、(20)は弁体であり、本体(13)に
保持された弁軸(21)を中心として回動して流通管路(12)
を開閉する。尚、メタルシート部材(16)は耐摩耗性に優
れた金属材料若しくは表面に耐摩耗処理を施した金属材
料等で構成され、弾性密封部材(17)は例えばNR、EP
DMのように常温仕様で反発弾性の大きなエラストマ等
で構成される。
【0015】以上のように構成したバタフライ弁のシー
トリングにおいて、弾性密封部材(17)によりメタルシー
ト部材(16)を流通管路方向に揺動可能に保持させてい
る。このため、開弁から閉弁に至る弁体(20)の運動に際
して弁体(20)が図2の矢印方向に回動してメタルシート
部材(16)に設けた断面円弧状の突条(15)に当接すると、
図中下側に位置する弾性密封部材(17)が圧縮されて上方
に位置する弾性密封部材(17)が引き伸ばされる方向に揺
動する。そして、このような弾性密封部材(17)の弾性変
形にともなう反発力に相当する力で突条(15)が弁体(20)
に押圧保持されてシール作用をする。
【0016】又、弁体(20)が閉弁から開弁に至る際は、
図3に示したように弁体(20)が閉弁時と逆の方向に突条
(16)を押圧してシール作用をし、開弁後は図4に示した
ように弾性密封部材(17)の復元力でメタルシート部材(1
6)が環状凹溝(14)の中央部に弾圧保持されるため、安定
したシール作用をする。尚、実施例のように凸部(18)の
背面と環状凹溝(14)の底面の間に隙間(22)を設けた場合
は、弁体(20)との接触によってメタルシート部材(15)を
自動調芯させると共に、本体(13)及び弁体(20)の機械加
工誤差等を吸収させることが出来る。
【0017】又、実施例ではメタルシート部材(16)の内
周面に設けた突条(15)の内径を流通管路(12)の内径と略
同径にしてメタルシート部材(16)の突条(15)が流通管路
(12)の内側に大きく突出しないようにしている。従って
この場合は、突条(15)による流通管路(12)の抵抗の増加
が予防されると共に、流体による突条(15)の摩耗が抑制
されるためにシートリング(11)の耐久性が高くなる。
【0018】更に上記実施例では半径方向外方に向う凸
部(18)をメタルシート部材(16)の外周面に設け、本体(1
3)に設けた環状凹溝(14)の内側面と凸部(18)の側面の間
にそれぞれ弾性密封部材(17)を挟設してメタルシート部
材(16)を流通管路(12)の方向に揺動可能、かつ気密に取
り付けてシートリング(11)及び弾性密封部材(17)の構成
を簡略化すると共に、メタルシート部材(16)及び弾性
部材(17)の材料選択の自由度を高くしているが、要す
るに弁体(20)との当接部を構成するメタルシート部材(1
6)とこのメタルシート部材(16)を揺動可能に保持させる
弾性密封部材(17)を設けたものであればよく、メタルシ
ート部材(16)及び弾性密封部材(17)の具体的な構造は実
施例に限定されない。
【0019】更に又、上記実施例では弁棒(21)の中心を
シートリング(11)の当接部を構成する突条(15)に対して
偏心させると共に、流通管路(12)の直径方向にも偏心さ
せたダブル偏心形のバタフライ弁を採用して弁体(20)の
回動奇跡から突条(15)による当接部への圧接量を大きく
してより確実なシール作用を行なわせるようにしている
が、弁軸(21)の偏心量及び偏心方向は要求されるバタフ
ライ弁の諸元に基づいて任意に設定される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明にかかるシートリングを備えたバタフ
ライ弁の一実施例を示す断面図
【図2】図1に示したバタフライ弁の閉弁直前の拡大断
面図
【図3】図1に示したバタフライ弁の開弁直前の拡大断
面図
【図4】図1に示したバタフライ弁の開弁状態の拡大断
面図
【図5】従来例を示す断面図
【図6】従来例を示す断面図
【図7】従来例を示す断面図
【符号の説明】
(11) シートリング (12) 流通管路 (13) 本体 (14) 環状凹溝 (15) 突条 (16) メタルシート (17) 弾性密封部材 (18) 凸部 (19) シートリング抑え (20) 弁体 (21) 弁軸 (22) 隙間

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】流通管路を構成する弁体の内周面に該流通
    管路と直交するシートリングを挿着し、該シートリング
    を弁体に接離させてシール作用を達成するようにし、半
    径方向内方に向かう断面円弧状の突条を内周面に形成し
    たメタルシート部材と、該メタルシート部材を本体の内
    周面に設けた環状凹溝内に流通管路方向に揺動可能に保
    持させる弾性密封部材とでシートリングを構成し、弁体
    との当接によりメタルシート部材が流通管路方向に揺動
    してシール性を保持するようにしたバタフライ弁のシー
    トリングにおいて、半径方向外方に向かう凸部をメタル
    シート部材に設け、本体に設けた環状凹溝の内側面と凸
    部の側面との間にそれぞれ弾性密封部材を挟設してメタ
    ルシート部材を流通管路方向に揺動可能かつ気密に取り
    付けたことを特徴とするバタフライ弁のシートリング。
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