JP3080951B1 - ウイルスを検出する方法 - Google Patents

ウイルスを検出する方法

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Abstract

【要約】 【課題】ウィルスを検出する方法を提供する。 【解決手段】 本発明にかかる、試料中の標的ウイルス
を検出する方法は、前記標的ウィルスのRNAの特定の
位置の塩基配列に対して連続してハイブリダイズ可能な
塩基配列を有するプローブであって、かつ前記ハイブリ
ダイズの際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘
起し得るエネルギードナー蛍光色素および/またはエネ
ルギーアクセプター蛍光色素で標識したプローブを、前
記試料中に含まれるウイルスから調製した全RNAと反
応させ、前記エネルギードナー蛍光色素の光励起による
FRETを検出することにより前記標的ウイルスを検出
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高感度、高選択
的、かつ迅速にウィルスを検出する方法を提供する。
【0002】
【従来の技術】ウィルスに起因する傷病・病害の予防、
または治療において、原因となるウィルスを同定し検出
することが重要である。ウイルスの同定は、病徴、生理
・化学的性質、形態学的観察等により、おおよその分類
は可能であるが、厳密な系統・株の同定の為には検定生
物を用いた宿主域のテスト、核酸配列解析による遺伝子
レベルの同定が必要とされている。
【0003】従来このようなウイルスの同定には、病徴
の観察による方法、形態的特徴(電子顕微鏡などを使
用)による方法、抗体を用いる簡便な方法が用いられて
いるが、これらは厳密性(高い選択性)に欠けるという
欠点がある。また、検定生物を用いる方法、分子生物学
的手法(遺伝子配列を解析する方法、ハイブリダイゼー
ションを利用する法(ドット・ハイブリダイゼーショ
ン、FISHなど)、PCRまたはRT-PCR法)の高い厳密性を
有する方法も用いられているが操作が煩雑で時間を要す
るという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上で説明し
た分子生物学的手法の高い厳密性(ウイルス間の高い選
択性、検出性)を保持しつつ、かつその欠点である煩雑
性を解決し、ウィルスを高感度、高選択的、かつ迅速に
ウィルスを検出する方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記従来
の分子生物学的手法の有する問題点に鑑み鋭意研究し、
標的たるウィルスのゲノム核酸に対して相補的な塩基配
列を持つ複数の蛍光色素で標識した核酸プローブを用い
ることで、高い感度および高い選択性を保持しつつかつ
迅速に標的ウィルスを検出することができることを見出
し本発明を完成した。
【0006】すなわち、標的ウィルスのゲノム核酸の特
定の位置の塩基配列に対して相補的な塩基配列を持ち、
かつ下記蛍光共鳴エネルギー移動(以下FRETとい
う)を誘起し得る複数の蛍光色素で標識した核酸プロー
ブを用いるものである。これらのプローブは標的ウィル
スの存在する試料から調製した全RNA等に添加されて
前記標的ウィルスのゲノム核酸に対して隣接した位置に
ハイブリダイズし、前記蛍光色素の前記FRET現象を
生じることとなる。従って、前記FRET現象の有無を
検出(蛍光分光光度計、蛍光顕微鏡などにより)するこ
とで、簡便迅速に、かつ高い選択性をもって標的ウィル
スの存在の有無を判別することが可能となる。
【0007】また、前記プローブに設けるFRET現象
を生じる蛍光色素は基本的には、エネルギードナー(励
起光からエネルギーを吸収する色素)と、前記のエネル
ギードナー色素からのエネルギーを受けて蛍光を生じる
エネルギーアクセプターとからなる1組の色素である。
本発明においては、前記プローブにこれらの1組の色素
を設ける場合において、1つのエネルギードナーと、1
つのエネルギーアクセプターのみに限定されず、複数の
エネルギードナーと、複数のエネルギーアクセプターを
設けるものも含まれる。かかる構成のプローブを用いる
ことにより、より高い感度で標的ウイルスを検出するこ
とが可能となる。特に、2つのエネルギードナーと1つ
のエネルギーアクセプターを設けたプローブは、更に高
い感度で標的ウイルスを検出することができる。
【0008】また、本発明においては、標的ウイルスの
検出はin vitroのみならず生きている細胞中でも可能で
ある。
【0009】以下、本発明を実施の形態に即して詳細に
説明する。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明は、試料中の標的ウイルス
を検出する方法であって、前記標的ウィルスのRNAの
特定の位置の塩基配列に対してハイブリダイズ可能な塩
基配列を有するプローブを用いるものである。この方法
は従来から知られているハイブリダイゼーション法の高
い選択性(厳密性)を基礎としている。本発明において
は、かかるプローブであって、さらに2以上のプローブ
が隣接してハイブリダイズするように選択されるもので
ある。従って、かかる場合においては2以上のプローブ
が共にミスマッチによりハイブリダイズする確率が極め
て小さく、本発明による方法が高い選択性(厳密性)を
有することとなる。
【0011】かかるプローブの塩基配列の選択、および
その長さの選択については特に制限はない。前記標的ウ
ィルスのRNAの少なくとも一部が知られている、若し
くは決定された場合にはそれらの塩基配列と相補的な配
列を選択することは容易である。さらに、ウィルスのR
NAは溶液状態においては特定の2次構造をとっている
ことが知られていることから、プローブの塩基配列はこ
の2次構造(実際の構造でもよいし、またコンピュータ
ーによるシミュレーションに基づいてもよい)を考慮
し、外部プローブがハイブリダイズしやすい部分を決め
ることができる。望ましくは用いるプローブのTm(融
解温度)を同じくらいに設計するとよい。また、この様
に決めた候補の中から、本発明の方法により最適なもの
を選抜することもできる。
【0012】さらに、本発明においては前記説明したハ
イブリダイズを検出するためにいわゆるFRET現象を
利用したものである。この現象はすでによく知られたも
のであり、蛍光エネルギードナー色素の光励起による蛍
光エネルギーが、近接に位置するエネルギーアクセプタ
ーである蛍光色素へと移動し、その結果前記エネルギー
アクセプター蛍光色素に基づく蛍光が長波長側に観測さ
れることとなる。従って、前記プローブであって、FR
ETが可能となるような前記2種類の蛍光色素を有して
いる場合、これらのプローブが前記標的ウィルスのRN
Aの特定の位置の塩基配列に対して連続してハイブリダ
イズした場合にはFRET現象が生じることとなる。こ
の現象の有無に基づいて前記ハイブリダイズが生じてい
ることが判断可能となり、これに基づいて前記標的ウィ
ルスのRNAの存在すなわち、前記標的ウイルスの検出
が可能となるものである。
【0013】従って、本発明において使用可能なFRE
Tを誘起させる蛍光色素については特に制限はなく、従
来公知の種々の色素、およびそれらの誘導体を好ましく
使用できる。より詳しくは、好ましいエネルギードナー
蛍光色素、エネルギーアクセプター蛍光色素について
は、公知の色素であって、それらの物理化学的特性が知
られているものから、当業者が容易に選択することがで
きる。
【0014】さらに、かかる色素をプローブに結合する
方法についても特に制限はなく、通常公知の種々の蛍光
色素ラベル化方法が使用可能である。この際、結合の種
類、結合位置の選択、結合の際のリンカーの有無、その
種類等についても特に制限はなく、通常公知の結合方法
を採用することが可能である。前記説明したプローブを
用いることで、類似しているが相違する種々のウイルス
を個別に検出することが可能となる。
【0015】また、試料中のウイルスの量が少ない場合
等、以下に説明する方法により、より高い感度、選択性
での検出が必要となる。
【0016】すなわち、前記標的ウィルスのRNAの2
以上の特定の位置の塩基配列に対して隣接してハイブリ
ダイズ可能な塩基配列を有する2組以上の前記プローブ
を用いる方法である。かかる2以上の特定の位置につい
ては特に制限はなく、配列が知られていれば使用可能で
ある。かかる構造により、FRETが複数の個所から生
じ、結果としてより高い感度の検出が可能となる。
【0017】また、前記標的ウィルスのRNAの特定の
位置が1箇所であっても、プローブに、エネルギードナ
ー蛍光色素とエネルギーアクセプター色素の組み合わせ
を複数設けることも可能である。
【0018】さらには、前記FRETが、1種のエネル
ギードナー蛍光色素からのエネルギーが、隣接する複数
のエネルギーアクセプター蛍光色素へ順次リレーされて
移動して生じるプローブを用いることも可能である。か
かる場合、これらのプローブが連続してハイブリダイズ
していることが極めて厳密に判別可能となるため、極め
て厳密な検出方法となる。
【0019】さらに、前記FRETが、2以上の同じエ
ネルギードナー蛍光色素と、1つのエネルギーアクセプ
ター蛍光色素間で生じるプローブを用いることによりよ
り高い感度の検出方法となる。
【0020】特に、2つの同じエネルギードナー蛍光色
素で標識したプローブと1つのエネルギーアクセプター
蛍光色素で標識したプローブの組合せを用いた場合は、
1つのエネルギードナー蛍光色素で標識したプローブと
1つのエネルギーアクセプター蛍光色素で標識したプロ
ーブの組合せを用いた場合、更には、3つの同じエネル
ギードナー蛍光色素で標識したプローブと1つのエネル
ギーアクセプター蛍光色素で標識したプローブの組合せ
を用いた場合に比較しても、FRETによる蛍光の絶対
強度および/またはFRETによる蛍光の規格化した強
度が大きくなる。
【0021】これは、FRETによる蛍光の強度はエネ
ルギードナー色素の数に単純に比例するものでないこと
を示している。2つの同じエネルギードナー蛍光色素で
標識したプローブを用いた場合においては、この2つの
色素間で相互作用が生じていると考えられ、その結果と
してFRETによる蛍光の絶対強度および/またはFR
ETによる蛍光の規格化した強度が大きくなる。
【0022】2つの同じエネルギードナー蛍光色素間で
相互作用が生じていることは、例えば、紫外/可視吸収
スペクトル(UV/VIS吸収スペクトル)を測定する
ことにより示される。すなわち、2つの同じエネルギー
ドナー蛍光色素で標識したプローブのUV/VIS吸収
スペクトルは、1つのエネルギードナー蛍光色素で標識
したプローブのUV/VIS吸収スペクトルとは異な
り、1つのエネルギードナー蛍光色素で標識したプロー
ブでは観察されない新たなピークが現れる。
【0023】2つの同じエネルギードナー蛍光色素で標
識したプローブにおける、当該2つのエネルギードナー
蛍光色素の位置は特に制限されず、隣接してハイブリダ
イズされるべきプローブのエネルギーアクセプター蛍光
色素へエネルギー移動が起こりうる位置であればよい。
したがって、2つのエネルギードナー蛍光色素はプロー
ブの末端付近に位置することが好ましい。また、2つの
同じエネルギードナー蛍光色素のうちの一方は、プロー
ブの5’末端を標識するものであることが好ましい。
【0024】2つのエネルギードナー蛍光色素間の距離
は特に制限はないが、2つのエネルギードナー蛍光色素
は1〜20塩基隔てた位置に標識されることが好まし
く、1〜10塩基隔てた位置であることがより好まし
い。また、1塩基隔てた位置に標識されることが特に好
ましい。
【0025】2つの同じエネルギードナー蛍光色素を塩
基に標識する標識方法は、挿入型(蛍光色素と結合した
リンカーを塩基間に挿入)でも、置換型(標識部位の塩
基を1塩基除いて蛍光色素と結合したリンカーを挿入)
でもよい。
【0026】2つの同じエネルギードナー蛍光色素の種
類は特に制限はないが、蛍光色素間の相互作用が強いこ
とが好ましく、UV/VIS吸収スペクトルにおいて、
新たなピークが観察できる程度の強い相互作用であるこ
とがより好ましい。
【0027】このようなエネルギードナー蛍光色素とし
ては、4,4−ジフロロ−1,3,5,7−テトラメチ
ル−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−
8−プロピオン酸(4,4-difluoro-1,3,5,7-tetramethyl
-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-8-propionic acid)
およびその誘導体(これらはBodipy 493/503シリーズと
してモレキュラープローブス社から入手可能);テトラ
メチルローダミンイソチオシアネート(5−イソチオシ
アネートおよび6−イソチオシアネートの混合物であっ
てもよい)(tetramethylrhodamine-5-(and-6)-isothio
cyanate)およびその誘導体(これらはTRITCシリ
ーズとしてモレキュラープローブス社から入手可能);
及び4,4−ジフロロ−5,7−ジメチル−4−ボラ−
3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−プロピオン
酸(4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s
-indacene-3-propionic acid)およびその誘導体(これ
らはBodipy FLシリーズとしてモレキュラープローブス
社から入手可能)が挙げられる。
【0028】また、本発明において使用可能であるエネ
ルギーアクセプター蛍光色素としては、1,1’−ビス
(ε−カルボキシペンチル)−3,3,3’,3’−テ
トラメチル インドジカルボシアニン−5,5’−二ス
ルホン酸カリウム塩(1,1'-bis(ε-carboxypentyl)-3,
3,3',3'-tetramethyl indodicarbocyanine-5,5'-disulf
onate potassium salt)およびその誘導体(これらはC
y5シリーズとしてアマシャム ファルマシア バイオ
テク社から入手可能);1,1’−ビス(ε−カルボキ
シペンチル)−3,3,3’,3’−テトラメチル イ
ンドカルボシアニン−5,5’−二スルホン酸カリウム
塩(1,1'-bis(ε-carboxypentyl)-3,3,3',3'-tetrameth
yl indocarbocyanine-5,5'-disulfonate potassium sal
t)およびその誘導体(これらはCy3シリーズとしてア
マシャム ファルマシア バイオテク社から入手可
能);X−ローダミンイソチオシアネート(5−イソチ
オシアネートおよび6−イソチオシアネートの混合物で
あってもよい)(X-rhodamine-5-(and-6)-isothiocyana
te)およびその誘導体(これらはXRITCシリーズと
してモレキュラープローブス社から入手可能);6−
(((4,4−ジフロロ−5−(2−チエニル)−4−
ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−イ
ル)スチリロキシ)アセチル)アミノヘキサン酸(6-
(((4,4-difluoro-5-(2-thienyl)-4-bora-3a,4a-diaza-s
-indacene-3-yl)styryloxy)acetyl)aminohexanoicaci
d)およびその誘導体(これらはBodipy 630/650シリー
ズとしてモレキュラープローブス社から入手可能);6
−(((4,4−ジフロロ−5−(2−ピローリル)−
4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−
イル)スチリロキシ)アセチル)アミノヘキサン酸(6-
(((4,4-difluoro-5-(2-pyrrolyl) -4-bora-3a,4a-diaza
-s-indacene- 3-yl)styryloxy)acetyl)aminohexanoic a
cid)およびその誘導体(これらはBodipy 650/665シリ
ーズとしてモレキュラープローブス社から入手可能)等
が挙げられる。
【0029】本発明の方法によれば、生きた細胞中(例
えば、植物細胞中)に存在する標的ウイルスを検出する
ことが可能となる。すなわち、標的ウイルスに感染した
生きた細胞に、この標的ウイルスのRNAの特定の位置
の塩基配列に対して隣接してハイブリダイズ可能な塩基
配列を有するプローブをマイクロインジェクションし、
細胞中でこのプローブと標的ウイルスをハイブリダイズ
させ、この様子を例えば共焦点レーザー走査顕微鏡観察
により可視化することが可能である。
【0030】上記の手法により、生きた細胞中の標的ウ
イルスの存在場所、またその標的ウイルスの経時的な移
動等の情報を、2次元的に、更には共焦点レーザー走査
顕微鏡の焦点位置を変化させることにより3次元的に捉
えることが可能である。
【0031】標的ウイルスの検出をin vitroで行う場合
は、標的ウイルスの存在の有無の情報が得られるが、こ
れに対して、上述のように本発明の方法を生きた細胞に
用いることによって、標的ウイルスの存在の有無のみな
らず標的ウイルスの2次元的、3次元的分布および経時
変化等の多くの情報を非破壊的に得ることができ、ウイ
ルスの検出法としては画期的手法と考えられる。
【0032】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
【0033】(実施例1)TMV-L株とTMV-Ob株の検出 各検出用プローブは標的株核酸と混合した際にのみFRET
を生じる事を蛍光分光光度計を用いて確認した。すなわ
ちドナー・アクセプター両プローブおよびタバコ・モザ
イク・ウィルス(TMV) L株(トマト・モザイク・トバモ
ウイルス;ToMV)およびOb株(厳密にはOb株のコートタ
ンパク質遺伝子を変異型グリーン蛍光タンパク質<GFP
遺伝子>で置換した組換えウィルス株;Ob△C-G3株)の
RNA(in vitro transcriptionで試験管内合成)をSSC溶
液として各50pmol/150μl (約333nM)になるように調
製し、混合後30分経過後にその蛍光スペクトルを測定
した。実験は室温(23℃)で行った。プローブは図1
に記載のTMV-L株検出用プローブ(76FD、91RA)およびO
b株検出用プローブ(ObF2、ObR2)を用いた。これらの
プローブセットは図1のようにBodipy493/503またはCy5
で標識した。蛍光分光光度計を用いて480nm(Bodipy493
/503用の励起波長)で励起した際の665nmの蛍光強度(B
odipy493/503から共鳴エネルギー移動したCy5の蛍光)
と515nmの蛍光強度(Bodipy493/503の蛍光極大付近の波
長)の比をもって蛍光共鳴エネルギー移動の程度(すな
わちハイブリダイズの程度を示す)を評価した。TMV-L
株感染タバコの葉より抽出・精製した全RNAの中に存在
するL株RNAの検出を、L株用プローブを用いて同様に試
みた。
【0034】この結果、図2に示す様にTMV-L株検出用
プローブではTMV-L株RNAを用いた際に高い値が得られ、
TMV-Ob株RNAに対してはほとんどハイブリダイズが起き
なかった。さらに、この際には植物体の全RNAに含まれ
るウィルスRNAの検出が可能であることも示された。反
対にTMV-Ob株検出用のプローブを用いた場合には逆の現
象がみられた。TMV-L株とTMV-Ob株は同じトバモウィル
ス属に分類される植物ウィルスの代表的な系統の基準株
(トマト系ーL株、トウガラシ系ーOb株)であり、比較
的類似した遺伝子配列を有する。しかしながら本発明の
方法を用いる事によって遺伝子配列のわずかな違いを明
確に検出する事が可能となった。
【0035】(実施例2)検出に要する時間の短縮 実施例1においては検出に要する時間(検出用プローブ
を標的核酸に混合してからハイブリダイズが平衡に達し
てFRETによる蛍光量が安定するまでの時間)を、検出用
プローブの融解温度(Tm)を調節する事により短縮を試
みた。反応時間30分の際の蛍光強度比を100%とした際
には、実施例1のTMV-L株検出用プローブ(Tm=42℃;
G、Cを4℃、A、Tを2℃として算出)は図3に示す様に
ほぼ平衡に達するまで約30分を要するが、Tmを34℃にま
で下げる事により、この時間を10分にまで短縮する事
が可能となった。
【0036】(実施例3)検出用プローブに適した領域
の探索(TMV-L株) TMV-L株の2次構造予測図(部分)等を参考に図4に示
す7組の領域に相補的な配列を有する検出用プローブ・
セットを設計し、実施例1と同様な方法で蛍光共鳴エネ
ルギー移動の強さを評価する事により検出用プローブと
して適した領域を探索した。この結果図5に示したよう
に2ヶ所の部位(配列番号:62-91、5281-5310)が検出
用プローブとして有効であることが見いだされた。
【0037】(実施例4)検出用プローブに適した領域
の探索(TMV-Ob株) TMV-Ob株において実施例3同様に検出用プローブとして
適する領域を探索した。この結果、図6に示した5’末
端の非翻訳領域付近において良好なプローブ・セットが
みいだされた(図7)。
【0038】(実施例5)検出用プローブを複数用いる
方法 実施例4において見いだされたプローブセットの中の2
組(ObF1-ObR1、ObF2-ObR2)を同時に用いる事により、
蛍光共鳴エネルギー移動として検出される蛍光の絶対量
を増加させ、より明確に蛍光共鳴エネルギー移動を検出
する事が可能となった(図8)。2組のプローブ・セッ
トを用いた場合には、わずか1分のハイブリダイズ時間
でも、1組(ObF2-ObR2を使用)を用いて30分間の場
合に勝る明確なFRETが検出できた。これはすなわち、標
的1分子あたりに検出されるエネルギー移動の蛍光を大
きくできる事を意味するので、顕微鏡下等の観察時に検
出感度を向上させる効果が期待できる。
【0039】(実施例6)2波長型FRET 実施例4の領域において連続した配置の3つのプローブ
を用いて、中央のプローブにドナー蛍光色素(Bodipy49
3/503)を両末端ラベルし、残りの2つをそれぞれXRIT
C、Cy5標識を行ったプローブセットを設計(図9)し
た。これを用いて実施例1と同様な方法でTMV-Ob株の検
出を試みたところ、プローブを2つずつ組み合わせた場
合には1波長の蛍光しか得られないのに対して、3つを
同時に使用した場合にはBodipy493/503とXRITC(蛍光極
大605nm付近)、Bodipy493/503とCy5蛍光極大665nm付近
の2組の蛍光共鳴エネルギー移動に起因する蛍光が検出
された(図10)。この方法は生細胞における核酸の検出
を目的とする場合に、蛍光標識プローブの(色素の性質
に起因する)局在が疑われる様な場合において、2種の
蛍光色素に由来するFRETを検出することにより、より厳
密な検出を可能とする事ができる。また、3つのプロー
ブが全て正しくハイブリダイズしないと2波長の蛍光共
鳴エネルギー移動が検出されないことから、検出の厳密
性を高める効果も持つ。
【0040】(実施例7)リレー型FRET 実施例4の領域において連続した配置の3つのプローブ
を用いて、端側の1つのプローブのほぼ中央部の核酸を
ドナー蛍光色素(Bodipy493/503)で標識し、隣接する
中央部のプローブをCy3で標識し、さらに隣接するプロ
ーブをCy5で標識した(図11)。これらの3つの検出用
プローブは標的核酸(TMV-Ob株RNA)と混合した際にの
みドナー蛍光色素の励起波長(480nm)の励起光によりC
y5の蛍光(Bodipy493/503→Cy3→Cy5と蛍光エネルギー
がリレーされた)が得られた(図12)。これは実施例6
と同様に3つのプローブが全て正しくハイブリダイズし
ないと2波長の蛍光共鳴エネルギー移動が検出されない
ことから、検出の厳密性を高める効果も持つ。
【0041】(実施例8)複数のドナー色素を用いる方
法 実施例1のOb株検出用プローブセットの改良を試みた。
すなわち図13に示した様なドナープローブ(DAと呼ぶ)
に色素を2つ標識したプローブ(DDと命名)を作製し
た。これを用いて、それぞれアクセプタープローブ(A
と呼ぶ)と組み合わせてOb株のRNAの検出を試みた。こ
の結果、図14に示した様に従来の検出用プローブセット
(DA)に比較して遙かに強い蛍光共鳴エネルギー移動が
見られる事が見いだされた。この際の蛍光共鳴エネルギ
ー移動の量(ドナーの蛍光あたりのアクセプターの蛍光
の比)を図15に示した。実用的にはフリーの(未反応
の、過剰な)アクセプタープローブに由来する直接励起
光(ドナー色素の励起波長におけるアクセプター色素の
蛍光)の影響がノイズと見なされるので、これに対する
エネルギー移動の量がシグナルとして検出される。この
際のS/N比が高い事が本手法のようなレシオイメージン
グに用いるプローブとして望まれる性質である。図16に
示した様に、蛍光色素を2個標識したドナープローブを
用いる事により(DDA)、従来のもの(DA)より遙かに
高いS/N比も実現できる事が確認された。
【0042】(実施例9)複数のドナー色素を用いる方
法(2) 実施例8の複数のドナー色素を用いる方法において、ド
ナー色素の標識位置の影響を調べた。図17に示した様に
ドナープローブの両末端を標識した場合の影響を調べ
た。この結果、図18に示した様に、近接した位置に2箇
所標識した場合(DD-A)には強い蛍光共鳴エネルギー移
動がみられた。しかしながら1箇所しか標識していない
もの(D-A)に比較して両末端の2箇所を標識したもの(D/
D-A)の方が比較的強い蛍光共鳴エネルギー移動が見られ
たことから、(標識位置によって差はみられるものの)
ドナープローブの蛍光色素を複数化する事により蛍光共
鳴エネルギー移動が強まる事が示された。一方、アクセ
プター色素の標識位置を末端に行ったもの(DD-A0)で
はさらに強い蛍光共鳴エネルギー移動がみられる事を見
いだした。これらの事実から蛍光標識の数とその位置を
工夫することにより、蛍光共鳴エネルギー移動を著しく
改善可能であることが判明した。
【0043】(実施例10)複数のドナー色素を用いる方
法(3) 実施例3のTMV-L株用の検出用プローブセットについて、
実施例8、9に記載のドナー色素を複数用いる方法の適用
を試みた。図19に示した構造のプローブを用いてTMV-L
RNA (in vitro transcription産物)を標的として、同図
に示すDDA(2分子標識型ドナープローブを使用)およびDA
(1分子型ドナープローブを使用)の2種の組み合わせで同
様に蛍光スペクトルを測定した。
【0044】この結果を図20および図21(図20のスペク
トルを規格化したもの)に示した。両図に示すように、
実施例8、9とは異なる配列(および二次構造)をもつRNA
分子(および標的部位)においても、同様な二分子型ドナ
ープローブの効果が生じる事が証明された。ここで着目
すべきなのは、規格化していないスペクトルにおいても
二分子型ドナープローブのシグナルの増大効果がみられ
ることであり、この事はドナー色素との比率を増大させ
る(規格化時、レシオ・イメージングなどに有効)だけで
なく、検出感度自体を増大させうる事を示しているの
で、実用上(例えば顕微鏡観察下での微弱光の検出時)を
考えた場合には重要な効果である。
【0045】(実施例11)複数のドナー色素を用いる方
法(4) 実施例8、9に記載のドナー色素を複数用いる方法におい
て、標識する分子をさらに3分子にした場合の効果を検
討した。図22に示した構造のプローブを用いてTMV-Ob R
NA (in vitro transcription産物)を標的として、同図
に示すDA(1分子型ドナープローブを使用)、DDA(2分子標
識型ドナープローブを使用)およびDDDA(3分子標識型ド
ナープローブを使用)の3種の組み合わせで同様に蛍光ス
ペクトルを測定した。
【0046】この結果を図23および図24(図23のスペク
トルを規格化したもの)に示した。DDDAでは規格化した
場合にはDDA型を遙かに上回る値を示したが、実際のシ
グナル(図23)ではDDA型より弱かった。しかしいずれの
場合もDAより遙かに高い値が得られた。データは示して
いないが、構造もしくは標的RNAの異なる実験の結果を
総合して考えると、DDDA型では実測のシグナルはDDA型
と同等もしくはそれ以下となる事を把握している。
【0047】さらに標的RNAをプローブに対して相補的
な配列を持つ合成RNA(配列を図25および図26に示す)
を用いて同様に評価した。この場合には標的RNAのもつ
二次構造の影響が著しく軽減されるため、プローブのハ
イブリダイズが促進されると同時にエネルギー移動効率
も増加することが期待される。
【0048】結果を図25および図26(図25のスペクトル
を規格化したもの)に示すが、1分子標識に比較して非常
に高いFRET効率が確認された。高分子RNAを標的とした
際に比較して遙かに高い効率が得られる事は、プローブ
の構造、標的位置などを工夫する事により、シグナルを
さらに増大させる事ができる余地がある事を証明してい
ると考えられる。この場合もDDDAとDDAの差は小さかっ
た。これらの結果からドナー色素を複数(2分子以上)標
識したプローブは、FRETを増大させる効果がある事が示
された。
【0049】(実施例12)蛍光色素を複数標識したドナ
ープローブの効果の理論的考察 実施例8-11に記載の現象の原因を調べるため、図27に示
したドナープローブ(水溶液)について理化学的性質を検
討した。標識方法を挿入型(蛍光色素と結合したリンカ
ーを塩基間に挿入)および置換型(標識部位の塩基を1塩
基除いて蛍光色素と結合したリンカーを挿入)の2通りの
方法で行った。
【0050】図28にはドナープローブのUV/VIS吸
収スペクトルを示した。260nmの核酸由来のピークが示
すように、使用した検体はほぼ等モルに調製されている
が、蛍光色素由来のスペクトル(504nm付近に極大吸収)
の形は2分子の蛍光色素(Bodipy 493/503)が標識される
事により、単純に2倍の強度になるのではなく短波長側
に新たなピークが出現していた。
【0051】このことは標識された2分子の色素が独立
した分子ではなく相互作用を持つ分子として存在してい
る事を示している。2分子型のスペクトルのピーク高
さ、面積から考えて吸光係数は1分子型に比べて明らか
に高いと考えられる。
【0052】次にこの溶液の蛍光スペクトルを測定し
た。励起波長を480nmとした際のスペクトルを図29に示
した。図28の吸収スペクトルよりDD型には蛍光色素が2
分子標識されている事が確認されているにも関わらず、
蛍光強度は逆に低くなることが判明した。このことは2
分子間でセルフクエンチングを起こしている可能性を示
している。
【0053】さらに本ドナープローブの蛍光分子の蛍光
寿命をストリークカメラを用いて測定した。この際には
実施例8と同様にTMV-Ob RNA (in vitro transcription
産物)を標的として、プローブをハイブリダイズさせる
前(図30)、させた場合(図31)のドナープローブの蛍光寿
命を比較した。アクセプタープローブは図27のA0を使用
した。
【0054】一般的にはハイブリダイズに伴い、ドナー
プローブの蛍光寿命は短くなるといわれており、本実験
においてもDの寿命はハイブリダイズにより短く(減衰速
度が速く)なっている。また図30では2分子型のプローブ
では1分子型に比較して蛍光寿命が短くなっている。こ
の事は2分子間で同一色素間での共鳴エネルギー移動が
起きている可能性を示唆していると考えられる。
【0055】しかしながら二分子型ではハイブリダイズ
に伴う蛍光寿命の低下が検出されなかった。これは蛍光
寿命の低下が無いのか、または本実験系では短くなった
速度成分を検出できないためなのか定かではないが、少
なくとも1分子型とは理化学的挙動がかなり異なる事が
示唆された。
【0056】以上の知見を総合的に考察してみると、本
発明の一態様である実施例8-11の方法は、これまでに知
られている蛍光エネルギー移動に関する知見・理論では
説明ができない新しい現象を利用していると思われる。
【0057】(実施例13)生きた植物細胞におけるウイ
ルスRNAの検出 上述の実施例により得られた、ウイルス検出用核酸配列
およびFRETを増大させるプローブの構造の知見を利用し
て、生きた植物細胞中に存在するウイルスRNA分子の検
出を行った。
【0058】図19に記載のLDD(挿入型)ドナープローブ
および91Aアクセプタープローブを使用した。実験試料
として、タバコ懸濁培養細胞BY-2より調製したプロトプ
ラスト(細胞壁を酵素処理で消化した単細胞状態)にウイ
ルス(LQ:BFP-fus)を感染させた細胞を用いた。このウイ
ルスはTMV-L株のコートタンパク質を除き、移行タンパ
ク質にBFP(青色蛍光タンパク質)を融合タンパク質とし
て発現する様に組み換えた組換えウイルスである。
【0059】UV励起下で顕微鏡観察し、BFPの蛍光に基
いてウイルス感染細胞を検出した。これに上述のプロー
ブセットをマイクロインジェクションした。細胞内では
導入されたプローブと存在するウイルスRNAがハイブリ
ダイズすると考えられるので、この様子を共焦点レーザ
ー走査顕微鏡観察により可視化した。
【0060】ドナー色素を励起・蛍光観察する条件(ド
ナー像)、アクセプター色素を励起・蛍光観察する条件
(アクセプター像)、更にドナー色素の励起条件でアクセ
プター色素の蛍光を観察する条件(すなわち蛍光エネル
ギー移動像)の3通りの画像を経時的に取得し、RNAの可
視化を行った。
【0061】この結果を図32(ドナー像)、図33(アクセ
プター像)、図34(蛍光エネルギー移動像)に示した。図3
4では細胞質中に存在するRNA分子が粒子状に検出され
た。これは、1つの細胞の中に分布するRNAの局在を生き
たままで検証した画期的な実施例であると考えられる。
【0062】対照実験として非感染細胞に同様にプロー
ブを導入した画像を図35(ドナー像)、図36(アクセプタ
ー像)、図37(蛍光エネルギー移動像)に示した。図37が
示すように標的RNAが存在しない場合はこの様な粒子状
のRNAの局在は観察されなかった。尚、核内にうすくシ
グナルが見えるのは、アクセプター色素がドナー色素の
励起条件でも極わずかに蛍光を生じるためである。これ
はアクセプター色素が高濃度に集積している場合に見ら
れる現象であるが、アクセプター像におけるシグナルの
強度の比からエネルギー移動のものと容易に区別する事
が可能である。同様の現象がまれにドナープローブに起
因して生じることがあるが、同様に区別可能である。
【0063】(実施例14)2分子標識型ドナープローブ
の標識位置の効果 実施例8、9に記載のドナー色素を複数用いる方法におい
て、標識する蛍光分子の位置を変化させた場合の効果を
検討した。使用したプローブと標的RNA(合成オリゴRNA)
の配列および標識位置を図38に示した。
【0064】260nmの吸光度に基づいて等モルになるよ
うに調製したプローブを混合してハイブリダイズさせた
5分後の480nmで励起した際の蛍光スペクトルを測定し
た。その665nmの蛍光強度、および665nmの蛍光強度と51
5nmの蛍光強度の比をとり、1分子標識型ドナー・プロー
ブの場合の値を100%として算出した値を図39に示した。
【0065】この結果、この配列を用いた場合にはFRET
の蛍光強度の絶対値(665nmの蛍光強度)はDD-4baseおよ
びDD-5baseが最も高い値を示したが、665nmの蛍光強度
と515nmの蛍光強度の比は圧倒的にDD-1baseが優れてい
ることが判明した。DD-1baseの蛍光強度の絶対値はDD-4
baseおよびDD-5baseに遜色無いため、この配列を用いた
場合にはDD-1baseを用いることにより、FRETの蛍光検出
(480nm程度で励起し、665nm付近の蛍光を測定する場合)
およびレシオ・イメージング(480nm程度で励起した際の
515nmと665nmの比を測定)のどちらの方法においても1分
子型ドナー・プローブより遙かに優れた結果が得られる
ことが判明した。また、この様に標識位置を最適化する
事により劇的な改善が見られる(特にレシオイメージン
グを目的とする場合)事も示唆された。また、標的RNAと
して高分子のRNA(TMV-Ob株のもの)を用いても同様の結
果が得られた(図40)。
【0066】本発明の方法においては、ドナー色素その
ものの蛍光強度は2分子標識化する事によって弱くな
り、これがレシオ・イメージングに有利な特徴を生んで
いる。この理由は標識された蛍光分子同士で共鳴エネル
ギー移動を起こしてセルフクエンチングをしていると推
察しているが、本実験の結果においても標識分子間の距
離が遠くなるに従って蛍光強度は回復する(強くなる)事
が判明し、この考え方を支持する結果となった。
【0067】(実施例15)複数のドナー色素を用いる方
法(5) 本発明の方法において実際に細胞内でのRNA検出を行う
場合には、導入するプローブの細胞内の挙動が重要とな
る。この際にプローブの挙動に重要な影響を与える因子
として標識蛍光色素の理化学的性質が挙げられる。この
観点から、使用可能な蛍光色素はできるだけ多様である
事が好ましい。
【0068】そこで、ドナー色素を複数用いる方法につ
いて、実施例8〜14で使用したドナー色素以外のドナ
ー色素で同様な効果が得られるかどうかを実施例10に記
載のTMV-L株用の検出用プローブセットを基本にして検
討を試みた。すなわちドナー色素をBodipy 493/503に代
えてTRITCにした場合の効果を調べた。使用したプロー
ブをおよび標的RNAを図41に示した。このドナープロー
ブのUV/VIS吸収スペクトルを測定した結果を図42
に示した。
【0069】この結果2分子型ドナー・プローブ(L76DD-
R)ではBodipy 493/503でみられたもの(実施例12参照)と
同様に、メインピーク(558nm付近)よりも短波長側に新
しいピーク(520nm)が出現した。
【0070】260nmの吸光度に基づいて等モルになるよ
うに調製したプローブを混合してハイブリダイズさせた
5分後の544nmで励起した際の蛍光スペクトルを測定し
た。この結果、図43に示した様にFRETの蛍光強度の絶対
値(544nm励起時の665nmの蛍光)にはあまり差がみられな
いものの、580nmで規格化した図44に示した様に、665nm
の蛍光強度と580nmの蛍光強度の比は圧倒的に2分子標識
型ドナー・プローブ(L76DD-R)が優れていることが判明
した。
【0071】従って、この色素を用いてレシオ・イメー
ジングを行う場合にはドナー・プローブを2分子型にす
る事によりシグナルを増強可能であることが示された。
この実施例により、本発明で見いだしたFRET現象におい
てドナー色素を2分子用いる方法が、いろいろな色素の
組み合わせに適用可能であることが示唆された。
【0072】(実施例16)複数のドナー色素を用いる方
法(6) ドナー色素を複数用いる方法について、実施例8〜15
で使用したアクセプター色素以外のアクセプター色素で
同様な効果が得られるかどうかを実施例10に記載のTMV-
L株用の検出用プローブセットを基本にして検討を試み
た。
【0073】図45に記載したプローブを用いて、3種類
のアクセプター色素を比較した。合成オリゴRNAを標的
として検出を試みた結果を、515nmで規格化した蛍光ス
ペクトルとして図46に示した。この様にBodipy系の色素
でもCy5同様の強いFRETの蛍光が得られる事が判明し
た。
【0074】
【配列表】
SEQUENCE LISTING <110> Laboratory of Molecular Biophotonics <120> A method for detecting virus <130> P99MB-009Y <160> 42 <210> 1 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 1 gccattgtag ttgta 15 <210> 2 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 2 gctgtttgtg tgtat 15 <210> 3 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 3 ttgcaaatgt tgtt 14 <210> 4 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 4 attgtagttg tatg 14 <210> 5 <211> 12 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 5 gccattgtag tt 12 <210> 6 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 2 tgtttgtgtg tat 13 <210> 7 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 7 tccatctttg agcaa 15 <210> 8 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 8 actaacgtgt ggttc 15 <210> 9 <211> 16 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 9 catgtctaat aagtaa 16 <210> 10 <211> 16 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 10 ctgcatctac tttgta 16 <210> 11 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 11 atacacaatc gtttg 15 <210> 12 <211> 16 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 12 tgattttctt tgaatg 16 <210> 12 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 13 ctttgttgta atacc 15 <210> 14 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 14 gttcttttct gcatc 15 <210> 15 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 15 ctcatcaaca acttc 15 <210> 16 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 16 aacattctcc atgaa 15 <210> 17 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 17 atcttgcaat gctag 15 <210> 18 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 18 agaagccttt tcaga 15 <210> 19 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 19 gttgttgttg tatt 14 <210> 20 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 20 tgttgttgta aaatt 15 <210> 21 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 21 ttgcaaatgt tgtt 14 <210> 22 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 22 attgtagttg tatg 14 <210> 23 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 23 atgtgccatt gtag 14 <210> 24 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 24 catggattgt tgtat 15 <210> 25 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 25 ttgcaaatgt tgtt 14 <210> 26 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 26 ttgcaaatgt tgtt 14 <210> 27 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe <400> 27 attgtagttg tatg 14 <210> 28 <211> 12 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 labeled probe - insertion type <400> 28 gccattgtag tt 12 <210> 29 <211> 14 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 triply labeled probe <400> 29 ttgcaaatgt tgtt 14 <210> 30 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 30 tgcaaatgtt gtt 13 <210> 31 <211> 29 <212> RNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic target RNA <400> 31 aaacaacauu ugcaacauac aacuacaau 29 <210> 32 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 32 ttcaaatgtt gtt 13 <210> 33 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 33 ttgaaatgtt gtt 13 <210> 34 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 34 ttgcaatgtt gtt 13 <210> 35 <211> 13 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy493/503 doubly labeled probe <400> 35 ttgcaatgtt gtt 13 <210> 36 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> TRITC labeled probe <400> 36 gccattgtag ttgta 15 <210> 37 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> TRITC doubly labeled probe <400> 37 gccattgtag ttgta 15 <210> 38 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Cy5 labeled probe <400> 38 gctgtttgtg tgtat 15 <210> 39 <211> 30 <212> RNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Synthetic target RNA <400> 39 uacaacuaca auggcauaca cacaaacagc 30 <210> 40 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy 493/503 labeled probe <400> 40 gccattgtag ttgta 15 <210> 41 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy 630/650 labeled probe <400> 41 gctgtttgtg tgtat 15 <210> 42 <211> 15 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Bodipy 650/665 labeled probe <400> 42 gctgtttgtg tgtat 15
【0075】
【発明の効果】本発明において用いるプローブは、標的
ウィルスのゲノム核酸の特定の位置の塩基配列に対して
相補的な塩基配列を持ち、かつ下記蛍光共鳴エネルギー
移動(以下FRETという)を誘起し得る複数の蛍光色
素で標識した核酸プローブである。これらのプローブは
標的ウィルスの存在する試料から調製した全RNA等に
添加されて前記標的ウィルスのゲノム核酸に対して隣接
した位置にハイブリダイズし、前記蛍光色素の前記FR
ET現象を生じる。従って、前記FRET現象の有無を
検出(蛍光分光光度計、蛍光顕微鏡などにより)するこ
とで、簡便迅速に、かつ高い選択性をもって標的ウィル
スの存在の有無を判別することが可能となる。
【0076】また、前記プローブに設けるFRET現象
を生じる蛍光色素は基本的には、エネルギードナー(励
起光からエネルギーを吸収する色素)と、前記のエネル
ギードナー色素からのエネルギーを受けて蛍光を生じる
エネルギーアクセプターとからなる1組の色素である。
本発明においては、前記プローブにこれらの1組の色素
を設ける場合において、1つのエネルギードナーと、1
つのエネルギーアクセプターのみに限定されず、複数の
エネルギードナーと、複数のエネルギーアクセプーを設
けるものも含まれる。中でも2つのエネルギードナーと
1つのエネルギーアクセプターを設ける場合は強いFR
ET現象が生じる。かかる構成のプローブを用いること
により、より高い感度で標的ウイルスを検出することが
可能となる。また、本発明の方法により、生きた細胞中
の標的ウイルスを検出することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で使用したプローブTMV-L株
検出用プローブ(76FD、91RA)およびOb株検出用プロー
ブ(ObF2、ObR2)を示した図である。
【図2】図2は、実施例1の結果を示す図である。
【図3】図3は実施例2の結果を示す図である。
【図4】図4は7組の領域に相補的な配列を有する検出
用プローブ・セットを示す図である。
【図5】図5は、2ヶ所の部位(配列番号:62-91、528
1-5310)が検出用プローブとして有効であることを示す
図である。
【図6】図6は、実施例4において見出された5’末端
の非翻訳領域付近において良好なプローブ・セットを示
す図である。
【図7】図7は、実施例4において見出された5’末端
の非翻訳領域付近において良好なプローブ・セットを示
す図である。
【図8】図8は、実施例5の結果を示す図である。
【図9】図9は、実施例6で設計したプローブを示す図
である。
【図10】図10は、実施例6の結果を示す図である。
【図11】図11は、実施例7で設計したプローブを示
す図である。
【図12】図12は、実施例7の結果を示す図である。
【図13】図13は、実施例8で設計したプローブを示
す図である。
【図14】図14は、実施例8の結果を示す図である。
【図15】図15は、実施例8の結果を示す図である。
【図16】図16は、実施例8の結果を示す図である。
【図17】図17は、実施例9で設計したプローブを示
す図である。
【図18】図18は、実施例9の結果を示す図である。
【図19】図19は、実施例10で設計したプローブを
示す図である。
【図20】図20は、実施例10の結果を示す図であ
る。
【図21】図21は、実施例10の結果を規格化した図
である。
【図22】図22は、実施例11で設計したプローブを
示す図である。
【図23】図23は、TMV-Ob RNA標的検出時の蛍光スペ
クトルである。
【図24】図24は、TMV-Ob RNA標的検出時の蛍光スペ
クトルを規格化したものである。
【図25】図25は、合成RNA標的検出時の蛍光スペク
トルである。
【図26】図26は、合成RNA標的検出時の蛍光スペク
トルを規格化したものである。
【図27】図27は、実施例12で設計したプローブを
示す図である。
【図28】図28は、実施例12で設計したドナープロ
ーブのUV/VIS吸収スペクトルである。
【図29】図29は、実施例12で設計したドナープロ
ーブの蛍光スペクトルである。
【図30】図30は、実施例12で設計したドナープロ
ーブを標的RNAとハイブリダイズさせずに蛍光寿命を測
定した結果を示す図である。
【図31】図31は、実施例12で設計したドナープロ
ーブをTMV-Ob RNAとハイブリダイズさせ蛍光寿命を測定
した結果を示す図である。
【図32】図32は、ウイルス感染細胞中のウイルスに
ハイブリダイズしたプローブのドナー色素蛍光像であ
る。
【図33】図33は、ウイルス感染細胞中のウイルスに
ハイブリダイズしたプローブのアクセプター色素蛍光像
である。
【図34】図34は、ウイルス感染細胞中のウイルスに
ハイブリダイズしたプローブの蛍光エネルギー移動像で
ある。
【図35】図35は、非感染細胞中に導入したプローブ
のドナー色素蛍光像である。
【図36】図36は、非感染細胞中に導入したプローブ
のアクセプター色素蛍光像である。
【図37】図37は、非感染細胞中に導入したプローブ
の蛍光エネルギー移動像である。
【図38】図38は、実施例14で設計したプローブを
示す図である。
【図39】図39は、実施例14で設計したプローブを
合成RNA標的とハイブリダイズさせた時のFRETの蛍
光強度を示す図である。
【図40】図40は、実施例14で設計したプローブを
TMV-Ob RNA標的とハイブリダイズさせた時のFRETの
蛍光強度を示す図である。
【図41】図41は、実施例15で設計したプローブを
示す図である。
【図42】図42は、実施例15で設計したドナープロ
ーブのUV/VIS吸収スペクトルである。
【図43】図43は、プローブに相補的な合成RNAを標
的として検出時の蛍光スペクトルである。
【図44】図44は、プローブに相補的な合成RNAを標
的として検出時の蛍光スペクトルを規格化したものであ
る。
【図45】図45は、実施例16で設計したプローブを
示す図である。
【図46】図46は、プローブに相補的な合成RNAを標
的として検出時の蛍光スペクトルを規格化したものであ
る。
フロントページの続き (72)発明者 菅 隆之 静岡県浜北市平口5000番地 株式会社分 子バイオホトニクス研究所内 (72)発明者 古澤 巌 京都府京都市左京区高野東開町1−20− 3−36−303 (72)発明者 三瀬 和之 京都府京都市左京区東白川東瀬ノ内町50 −1 ハイジ北白川201 (72)発明者 渡辺 雄一郎 東京都品川区小山台2−5 小山台住宅 6−303 (72)発明者 川上 茂樹 東京都八王子市寺田町432−112−2 (56)参考文献 特開 平10−332594(JP,A) 特開 平6−233688(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) WPI(DIALOG) BIOSIS(DIALOG)

Claims (15)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 標的ウィルスのRNAの特定の位置の塩
    基配列に対して隣接してハイブリダイズ可能な塩基配列
    を有するプローブであって、かつ前記ハイブリダイズの
    際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘起し得る
    エネルギードナー蛍光色素および/またはエネルギーア
    クセプター蛍光色素で標識したプローブを、試料中に含
    まれるRNAと反応させ、前記エネルギードナー蛍光色
    素の光励起によるFRETを検出することにより前記標
    的ウイルスを検出する方法であって、前記FRETが、
    2以上の同じエネルギードナー蛍光色素と、1つのエネ
    ルギーアクセプター蛍光色素間で生じるプローブを用い
    ることを特徴とする、試料中の標的ウイルスを検出する
    方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法であって、前記2以
    上の同じエネルギードナー蛍光色素は、プローブの末端
    の塩基に結合した1つのエネルギードナー蛍光色素と、
    該塩基と該塩基に隣接する塩基間に挿入されたリンカー
    に結合した1つのエネルギードナー蛍光色素とを含む、
    2以上の同じエネルギードナー蛍光色素であることを特
    徴とする方法。
  3. 【請求項3】 標的ウィルスのRNAの特定の位置の塩
    基配列に対して隣接してハイブリダイズ可能な塩基配列
    を有するプローブであって、かつ前記ハイブリダイズの
    際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘起し得る
    エネルギードナー蛍光色素および/またはエネルギーア
    クセプター蛍光色素で標識したプローブを、試料中に含
    まれるRNAと反応させ、前記エネルギードナー蛍光色
    素の光励起によるFRETを検出することにより前記標
    的ウイルスを検出する方法であって、前記FRETが、
    1種のエネルギードナー蛍光色素からのエネルギーが、
    隣接する複数種類のエネルギーアクセプター蛍光色素へ
    順次リレーされて移動して生じるプローブを用いること
    を特徴とする、試料中の標的ウイルスを検出する方法。
  4. 【請求項4】 標的ウィルスのRNAの特定の位置の塩
    基配列に対して隣接してハイブリダイズ可能な塩基配列
    を有するプローブであって、かつ前記ハイブリダイズの
    際に蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)を誘起し得る
    エネルギードナー蛍光色素および/またはエネルギーア
    クセプター蛍光色素で標識したプローブを、試料中に含
    まれるRNAと反応させ、前記エネルギードナー蛍光色
    素の光励起によるFRETを検出することにより前記標
    的ウイルスを検出する方法であって、前記FRETが、
    1種のエネルギードナー蛍光色素と、相違する2種以上
    のエネルギーアクセプター色素間で生じるプローブを用
    いることを特徴とする、試料中の標的ウイルスを検出す
    る方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の方法で
    あって、前記試料が生きた細胞であることを特徴とする
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で
    あって、さらに前記標的ウィルスが植物ウィルスである
    ことを特徴とする方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の方法であって、さらに
    前記植物ウィルスが1本鎖RNA(+)ウィルスであることを
    特徴とする方法。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の方法であって、さらに
    前記1本鎖RNA(+)植物ウィルスがトバモウィルスである
    ことを特徴とする方法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の方法であって、さらに
    前記上記トバモウィルスがタバコ・モザイク・ウィルス
    (TMV)L株であることを特徴とする方法。
  10. 【請求項10】 請求項8に記載の方法であって、さら
    に前記上記トバモウィルスがタバコ・モザイク・ウィル
    スOb株であることを特徴とする方法。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の方法であって、さら
    に前記プローブが、gccattgtagttgta、およびgctgtttgt
    gtgtatからなる塩基配列を有することを特徴とする方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の方法であって、さ
    らに前記プローブが、ttgcaaatgttgttおよびattgtagttg
    tatgからなる塩基配列を有することを特徴とする方法。
  13. 【請求項13】 標的核酸の特定の位置の塩基配列に対
    して隣接してハイブリダイズ可能な塩基配列を有するプ
    ローブであって、前記プローブが2つの同じエネルギー
    ドナー蛍光色素で標識されたプローブと1つのエネルギ
    ーアクセプター蛍光色素で標識されたプローブからな
    り、当該エネルギードナー蛍光色素と当該エネルギーア
    クセプター色素が前記ハイブリダイズの際に蛍光共鳴エ
    ネルギー移動(FRET)を誘起し得るものであること
    を特徴とするプローブ。
  14. 【請求項14】 請求項13に記載のプローブであっ
    て、前記2つの同じエネルギードナー蛍光色素で標識さ
    れたプローブが、1つの当該エネルギードナー蛍光色素
    で標識されたプローブとは異なる紫外/可視吸収スペク
    トル(UV/VIS吸収スペクトル)を示すことを特徴
    とするプローブ。
  15. 【請求項15】 請求項13または14に記載のプロー
    ブであって、前記2つの同じエネルギードナー蛍光色素
    は、プローブの末端の塩基に結合した1つのエネルギー
    ドナー蛍光色素と、該塩基と該塩基に隣接する塩基間に
    挿入されたリンカーに結合した1つのエネルギードナー
    蛍光色素とからなる2つの同じエネルギードナー蛍光色
    素であることを特徴とするプローブ。
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