JP3079061B2 - コレステロールを低減した牛乳類の製造方法 - Google Patents
コレステロールを低減した牛乳類の製造方法Info
- Publication number
- JP3079061B2 JP3079061B2 JP09092831A JP9283197A JP3079061B2 JP 3079061 B2 JP3079061 B2 JP 3079061B2 JP 09092831 A JP09092831 A JP 09092831A JP 9283197 A JP9283197 A JP 9283197A JP 3079061 B2 JP3079061 B2 JP 3079061B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- milk
- cholesterol
- fat
- reduced
- skim
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Dairy Products (AREA)
Description
減ないしコレステロール・フリーの牛乳類の製造に関す
るものである。
た食品であるが、成人にとっては、コレステロールの含
有量が低い方がより好適である。このような観点から、
米国においては、FDAより牛乳類のコレステロール・
フリー規格が次のように定められている。 米国FDAの牛乳類コレステロール・フリー規格 コレステロール 2mg/240ml以下 飽和脂肪酸 2g/240ml以下 全脂肪 5g/240ml以下
4日に施行された「食品の栄養表示基準制度」には、コ
レステロール含量の規格は無いが、該制度の素案の段階
においては(1995年10月12日)、次のようなコ
レステロール・フリー規格が検討された経緯がある。 コレステロール 2mg/100ml以下 飽和脂肪酸 2g/100ml以下
ル低減製品として脱脂乳や低脂肪乳が製造されており、
例えば米国の牛乳類のコレステロール含量は次のように
発表されている。 脱脂乳 1.9mg/100g 低脂肪乳(FAT 2.0%) 7.9mg/100g 全脂乳(FAT 3.3%) 13.7mg/100g ホエー 1.9mg/100g また、日本食品標準成分表においては、コレステロール
含量は次のように公表されている。 脱脂乳 3mg/100g 全脂乳 11mg/100g
術の現状に鑑み、コレステロール含量を更に低減せしめ
た牛乳類を製造する目的でなされたものであり、特にこ
のような牛乳類を工業的に製造する目的でなされたもの
である。具体的には、本発明は、上記したコレステロー
ル・フリー規格に鑑み、コレステロール含量が2mg/
100ml未満、好適には1mg/100ml以下のコ
レステロール・フリー乳飲料を新たに製造する目的でな
されたものである。
の結果、次の点に新たに着目した。すなわち、牛乳中の
コレステロールは、そのほとんどが、脂肪球と遊離脂肪
中に存在している。また、脂肪球中のコレステロールは
内部の脂肪と表面のリポ蛋白質の間に不均一に分布して
いる。特にリポ蛋白質表層は脂肪球重量の2〜3%を占
めるが、表層中のコレステロール量は脂肪球全体の10
%に達する。従って脱脂乳は脂肪含量は少ないが、含ま
れる脂肪球は極く微細なものが多数存在するため、脂肪
含量に比較して全体の脂肪球表面積は大きく、脱脂乳由
来の脂肪中のコレステロール濃度は全脂乳のそれの約4
倍に達する。なお、脱脂乳中のコレステロール量は、数
mg/100gである。
法について鋭意研究を行った結果、牛乳を脱脂処理して
得た脱脂乳について、微細な孔径を有するフィルターで
濾過したところ、微細な脂肪球を除去することができ、
その結果、コレステロールを効率的に低減できるという
有用な新知見を得た。
結果、遂に完成されたものであって、乳性原料を、微細
な孔径を有するフィルターで濾過して、微細な脂肪球を
除去し、もってコレステロール含量の極めて少ない牛乳
類を製造する点を基本的技術思想とするものであって、
本発明によれば、コレステロール含量が2mg/100
g未満、例えば1mg/100ml以下というコレステ
ロール・フリーの乳性飲料を製造することもはじめてし
かも工業的に可能になった。以下、本発明について詳述
する。
として脱脂乳をフィルター濾過処理する必要があるが、
所望するのであれば、乳性原料としては、牛乳、牛乳の
脂肪を一部除去した低脂肪乳、脱脂濃縮乳、脱脂粉乳、
無脂肪乳(例えば、もっとCa:明治乳業(株)製
品)、ホエー、ホエー蛋白質(カゼイン、ラクトアルブ
ミン、ラクトグロブリンその他)、ホエー蛋白質処理物
(ホエー蛋白質濃縮物(WPC)、ホエー蛋白質分離物
(WPI)その他)、発酵乳、その他乳を起源とする材
料が使用可能である。
する。そのためには既知の膜処理法が適宜使用され、市
販品、例えばミリポアフィルター(ミリポア社商品
名)、マイクロフィルター Alcross M(テト
ラパック社商品名)等、微細な孔径を有するフィルター
を用いる濾過処理も適宜可能である。
することによって、コレステロールの低減量を適宜変え
ることができ、例えば脱脂乳を膜処理することにより、
コレステロール含量を0.5mg/100g以下とする
ことが可能である。したがって、このように膜処理して
得た脱脂乳は、それ自体、本発明に係るコレステロール
を低減したコレステロール・フリーの牛乳類として実用
に供することができる。
原料のコレステロールを大幅に且つ効率的に低減、除去
することができ、このようにしてコレステロールを低
減、除去して得た乳性原料は、それ自体、本発明の目的
対象である低(無)コレステロール牛乳類となることは
もちろんであるが、本発明においては、更に、これ
(ら)を原料として更に加工乳、乳飲料等の牛乳類を製
造することができる。
得た低(無)コレステロール乳性原料を用いて、コレス
テロールを低減、除去した加工乳、乳飲料、発酵乳タイ
プの牛乳類を製造することができる。ここに、本発明に
おいて、牛乳類とは、上記した乳性原料のほか、乳性原
料を原料とした各種加工乳、乳飲料、発酵乳その他、乳
を含有したり及び/又は乳を由来とする飲料をすべて包
含するものである。また、該飲料としては、液状を呈す
るいわゆる飲料のほか、濃縮物、ペースト化物、乾燥物
等各種の形態のものも広く包含される。
乳のほか、ウマ、ヤギ、ヒツジ、スイギュウ、ラクダそ
の他哺乳動物の乳が広く包含され、ヒトの乳(母乳)も
使用可能である。低(無)コレステロール乳性原料を用
いる各種タイプの牛乳類の製造は、乳性原料を原料とし
て、他の物質を配合、加工、各種処理して行えば良く、
例えば次のような牛乳類の製造が可能である。(なお、
以下において、乳性原料としては脱脂乳を代表例として
説明する。)
造 膜濾過によりコレステロールを低減した脱脂乳(1/
3脱濃、脱粉使用)を主原料として、無脂肪によるこく
味の不足を乳風味増強物質(ミルクテイスト、WPI、
WPC、カゼイン等)で補う。 WPI、WPC、カゼイン等の使用でコレステロール
含量が高い場合には、脱脂乳に乳風味増強物質を添加し
てから膜濾過を行う。 1/3脱濃をSNF10%程度に希釈して膜濾過する
ことにより、脱脂乳よりSNF含量が高く、こく味のあ
る無脂肪乳(加工乳)を生産する。
飲料の製造 コレステロールを低減した脱脂乳(1/3脱濃、脱粉
使用)を主体に、乳化済み植脂あるいは液体植脂、乳風
味増強物質(ミルクテイスト、WPI、WPC、カゼイ
ン等)、栄養成分強化物質(Ca、Feその他ミネラル
類、ビタミン類等)等を添加する。 植脂は「第五次改訂・日本人の栄養所要量」において
推奨している飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の比率に極力近
づけた配合とする。なお、不飽和脂肪酸の比率が高いほ
ど風味的には劣る。 植脂にもコレステロールは含まれており、その場合、
マーガリン用原料で実施しているコレステロール低減処
理(白土処理等)するのが好ましい。 コレステロールを除去したバターオイルと植脂を混合
した油脂調製品(バターオイルは1/3以下)を使用す
る。
施例1においては、ミリポアフィルター(ミリポア社)
(0.5、1.0、3.0μmフィルター)を用いて処
理し、実施例2においてはAlcrossM(テトラパ
ック社)(孔径1.4μmのセラミックフィルター使
用、処理能力100L/時)を使用したが、処理能力
5,000L/時の装置を用いて工業的大規模にコレス
テロールの除去を行うこともできる。
テロール低減操作は、例えば次のようにして行えばよ
い。
ィルター) 孔径1.4μmのセラミックフィルター(他に0.8μ
mのフィルターも使用可能である。) 処理能力:5,000L/時(透過液は4,500L/
時、透過しない脂肪球等を含んだ脱脂乳は他の乳飲料等
に使用することができる) ○ 加温プレート:濾過する脱脂乳(5,000L/
時)を50〜55℃に加温する。さらにCIP時にアル
カリ洗剤を80〜85℃に加温する。 ○ 冷却プレート:濾過(透過)した脱脂乳(4,50
0L/時)を5℃以下に冷却する。 ○ 冷却チューブ:濾過されない(濃縮)脱脂乳(50
0L/時)を5℃以下に冷却する。 ○ ストレージタンク:濾過(透過)する脱脂乳用 ○ ストレージタンク:濾過(濃縮)した脱脂乳用
送液ポンプを起動してフィルター内を水で満たす。透過
液用ポンプ、濃縮液用ポンプを起動する。バランスタン
ク中の水が無くなる寸前に脱脂乳を投入する。運転を止
める際は、逆の操作を行う。 ○ フィルター等の洗浄 アルカリ洗剤:4% Divos124+1.5% H
enkel P3 Ultrasil 25 酸洗剤:0.3%硝酸 アルカリ洗剤をバランスタンクに投入し、80〜85℃
に加熱し、20〜30分間循環する。50℃の温水を投
入してアルカリ洗剤を排出し、5分間温水を循環する。
次に酸洗剤をバランスタンクに投入し、50℃に加温後
10分間循環する。運転を休止し、酸洗剤は次回の運転
までフィルター中に満たしておく。
3.0μmフィルター使用)を用いて脱脂乳をそれぞれ
膜処理し、膜濾過法によって脱脂乳のコレステロール低
減処理を行った。なお、コレステロールの定量は、試料
をケン化した後、液体クロマトグラフィーでステロール
類を分取し、次いでガスクロマトグラフィーによって分
別定量することによって行った。得られた結果を下記表
1に示す。
cross M)(孔径1.4μmのセラミック製:処
理能力100L/時)を用いて脱脂乳を膜処理し、膜濾
過法によって脱脂乳のコレステロール低減処理を行っ
た。得られた結果を下記表2に示す。
I 5kgを添加して混合・溶解した。これを、テトラ
パック社マイクロフィルター(Alcross M)
(孔径1.4μmのセラミック製:処理能力100L/
時)を用いて膜処理し、膜濾過法によってコレステロー
ル含量0.5mg/100mlのコレステロール低減乳
風味増強無脂肪乳(加工乳)を製造した。
I 3kgを添加して混合・溶解した。これを、テトラ
パック社マイクロフィルター(Alcross M)
(孔径1.4μmのセラミック製:処理能力100L/
時)を用いて膜処理し、膜濾過法によってコレステロー
ル低減無脂肪乳503kgを得た。該無脂肪乳に植物性
脂肪(大豆油主体の混合油)10kgを添加し、150
Kg/cm2の圧力で均質化して、コレステロール含量
0.6mg/100mlのコレステロール低減乳風味増
強低脂肪乳(乳飲料)を製造した。
コレステロール・フリーの牛乳類の工業的製造が可能と
なり、コレステロールの過剰摂取を懸念することなく牛
乳類を飲用することができ、その結果、消費者サイドに
おいては健康栄養食品として牛乳類を大量に摂取するこ
とができると同時に、生産者サイドにおいては牛乳類の
大量需要に対応してその生産を増大させることができ
る。
Claims (4)
- 【請求項1】 微細な孔径を有するフィルターで膜濾過
することによりコレステロール含量を2mg/100g
未満に低減した脱脂乳を使用すること、を特徴とするコ
レステロールを低減した牛乳類を製造する方法。 - 【請求項2】 請求項1に記載された方法によって製造
してなる、コレステロールを低減した牛乳類。 - 【請求項3】 更に、乳風味増強物質を配合してなるこ
とを特徴とする、無脂肪乳表示の加工乳/乳飲料タイプ
の請求項2に記載の牛乳類。 - 【請求項4】 更に、植物性脂肪のほかに、乳風味増強
物質及び/又は栄養成分強化物質を配合してなることを
特徴とする、植物性脂肪を添加した乳飲料タイプの請求
項2に記載の牛乳類。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09092831A JP3079061B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | コレステロールを低減した牛乳類の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP09092831A JP3079061B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | コレステロールを低減した牛乳類の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10262552A JPH10262552A (ja) | 1998-10-06 |
JP3079061B2 true JP3079061B2 (ja) | 2000-08-21 |
Family
ID=14065389
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP09092831A Expired - Fee Related JP3079061B2 (ja) | 1997-03-28 | 1997-03-28 | コレステロールを低減した牛乳類の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3079061B2 (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140115309A (ko) * | 2011-12-27 | 2014-09-30 | 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 | 마이크로캡슐 |
-
1997
- 1997-03-28 JP JP09092831A patent/JP3079061B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR20140115309A (ko) * | 2011-12-27 | 2014-09-30 | 다우 글로벌 테크놀로지스 엘엘씨 | 마이크로캡슐 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10262552A (ja) | 1998-10-06 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
FI119904B (fi) | Menetelmä säilyvyysominaisuuksiltaan hyvän kulutusmaidon tuottamiseksi | |
JP6174357B2 (ja) | クリームチーズを生成するための方法 | |
JP3195594B2 (ja) | 乳由来のリン脂質を配合した食品組成物。 | |
JPWO2011078107A1 (ja) | 濃厚タイプヨーグルトの製造方法 | |
US20210360939A1 (en) | Low-bacteria milk powders with a high whey protein nitrogen index (iv) | |
JP3119496B2 (ja) | 水中油形エマルジョンの製造方法 | |
US6551648B1 (en) | Method for obtaining milk products containing selected fractions of fat globules | |
JP3973691B2 (ja) | 消費者用無菌ミルクの製造法 | |
JPS58500970A (ja) | 塗布可能な脂肪製品及びその製造方法 | |
Gassi et al. | Heat treatment of cream affects the physicochemical properties of sweet buttermilk | |
CN104430900B (zh) | 一种花生乳制品及其制备方法 | |
JP7102094B2 (ja) | 濃厚な発酵乳およびその製造方法 | |
JPH1128056A (ja) | 発酵乳及びその製造法 | |
JP3079061B2 (ja) | コレステロールを低減した牛乳類の製造方法 | |
US4550028A (en) | Method of re-suspending flocculated milk casein to obtain protein enriched dairy raw material | |
JPH0523072A (ja) | 乳脂肪を含有する除菌された乳の製造方法 | |
JP7118520B2 (ja) | 発酵乳の製造方法 | |
JPH10262550A (ja) | 液状発酵乳の製造方法 | |
RU2119287C1 (ru) | Композиция для получения кисломолочного продукта детского и диетического питания и способ ее получения | |
US20040116679A1 (en) | Method and a plant for the separation of fat from proteins in whey materials | |
CZ2007142A3 (cs) | Mlécný výrobek a zpusob jeho výroby | |
JP6199989B2 (ja) | 味覚、風味及び乳化安定性の良好な還元乳、及びその製造方法 | |
US20180332867A1 (en) | Dairy spread composition and method for its production | |
JP5723729B2 (ja) | ホワイトナーの製造方法 | |
US20240164397A1 (en) | Novel milk fat globule concentrate, method of production, and food products containing it |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 12 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 12 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120616 Year of fee payment: 12 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130616 Year of fee payment: 13 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |