JP3078228U - 緑化用マルチマットによる法面構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】本考案は緑化用マルチによる法面構造に関する
もので、吹付工事後の種子混在生育基盤層の表面に特殊
マット状物を張設して覆蔽するだけの簡単な施工によっ
て豪雨や強風或いは凍上や旱魃被害等から生育基盤を確
実に保護し、より安定した緑化法面を実現する。 【構成】地山、造成地、崩落斜面等の法面(1)に種子が
混在している生育基盤層(2)が施工され、且つ植物の毛
細根に似た極細ポリエステル短繊維を不織布加工したマ
ット材（4）に化学繊維製ラッセルネット(5)を重ねて成
るマット体（3）を幅約１ｍ、長さ約５０ｍに設定し、
且つロール巻きにしたものを法面(1)の法肩から法先に
向かって敷設して前記生育基盤層(2)の表面を被覆した
ことを特徴とする緑化用マルチマットによる法面構造。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は緑化用マルチマットによる法面構造に関するもので、法面吹付工事後 の種子混在生育基盤層の表面に特殊マット状物を張設して覆蔽するだけの簡単な 施工によって豪雨や強風或いは凍上や旱魃被害等から生育基盤を確実に保護し、 より安定した緑化工法を実現することを目的とする。

【０００２】

【従来の技術】

本出願人は多年に亘り、法面緑化工法の改良の研究開発を重ねてきた。その結 果、リサイクル緑化基盤の製造に関するもの（特許第2062221号、特許第2542525 号、特許第2000611号と特許第1762172号等）を提供した。さらに、本出願人は、 ＰＭＣ工法と称する、リサイクル緑化工法を開発した。その内容は、緑化用基盤 材にピーエム材（＝登録商標、指定商品：飛び粉肥料）とコーティング肥料を配 合して成る客土（＝植物生育基盤材）をモルタル吹付機に投入してコンプレッサ の圧搾空気で搬送し、吹付ホース先端のノズル噴射時に水と混合しながら法面に 所定の厚さで吹付ける。 その後、吹付けた生育基盤層の表面に、種子・養生材 付きネットを張り付ける。すなわち、生育基盤保護のネット体と植物の発芽促進 との養生材に種子を組み合わせたことによって、 ネット体と養生材で種子を 保護しており、発芽・生育を促進すると共に、年間を通じて安定した施工が可能 となる。 ネット体の被覆で雨滴や表面流下水から生育基盤と種子の流亡を防 止する。 ネット体の被覆で凍結融解から生育基盤の滑落を防止する。以上の ような機能を有している。

【０００３】 これによって、緑化を必要とする法面、崩落斜面、造成地、硬岩荒れ地等の地 山表面に草本類の繁茂による緑化が得られ、特に公共地の観光地などの景観保全 や修景に貢献している。ところが、本出願人の緑化工法においても、工事コスト の縮減対策の必要により、なお技術的な改良を要求されているのが現状である。 本出願人の特許をはじめ、関連する在来の緑化工法に共通して次のような課題が 考えられる。 生育基盤の吹付施工中に突然の降雨や集中豪雨或いは冬期の凍上融解解作用 の激しいときは、緑化ネット下の生育基盤材が動いて流失したり崩落すると、手 直しを必要とし、その都度工事費が追加される。しかも、雨水で流失した基盤材 には、微生物等で分解された富栄養物質や有機質堆肥が含まれている。そのため 、当該基盤材が河川、湖沼、地下水（井戸水を含む）に流れ込むと、その河川や 湖沼、地下水を汚染する。 生育基盤層の施工法面の傾斜が急な個所や石礫を含んだ個所及び霜柱が発生 する個所、すなわち具体的には傾斜角度が４５度以上、或いは風化や亀裂の多い岩 盤、寒冷地等であり、このような法面では、吹付け前に別途に金網（標準的には ラスとし、亜鉛メッキ鉄線径２．０ｍｍ、網目５０．０ｍｍ程度）を張り巡らせ て生育基盤材を強固に固定する必要が生じる。（例えば、実用新案登録第159224 2号「実公昭59-30061号」）。因みに、前記の金網張り工は、生育基盤層の強化 が図れるが、一方では、緑化工法のコストアップにつながると共に、金網が将来 の植生の十分な成長の妨げとなる恐れがあった。例えば、木本植物根や幹部を締 め付け強風時に倒木したり、万一の災害による崩落の場合は金網により被災面積 が拡大してしまう。 夏期の乾燥時期の施工では、生育基盤材では乾燥してしまい、植物の発芽や 生育が十分ではなく、潅水や追播作業が必要となる

【０００４】

【課題を解決するための手段】

そこで、本考案は上記従来の課題を解決し、発明の目的を達成するために提供 するものである。

【０００５】 本考案は、緑化用マルチマットによる法面構造において、地山、造成地、崩落 斜面等の法面に種子が混在している生育基盤層が施工され、且つ植物の毛細根に 似た極細ポリエステル短繊維を不織布加工したマット材に化学繊維製ラッセルネ ットを重ねて成るマット体を幅約１.０ｍとし、長さを約５０.０ｍの超長尺に設 定し、且つロール巻きにしたものを法面の法肩から法先に向かって敷設して前記 生育基盤層の表面を被覆したものである。

【０００６】

【実施例】

次に本考案の実施例を図面に則して説明する。図において、１は法面、２は植 物の生育基盤層であり、コンニャクの飛び粉肥料（登録商標：ピーエムザイ）と コーティング肥料及び種子を加えて基盤材を作り、モルタル吹付機械を用いて、 そのノズル噴射時に水を混合ながら法面に所定の厚さになるように吹付施工して 形成する。３はマルチ「（Ｍulch）＝敷きわら、根覆い、根囲い」のマット体で あり、比較的薄いマット状に不織布加工したマット材４とラッセルネット５から 成っている。前記のマット材４は植物の毛細根に似た極細ポリエステル短繊維１ 平方メートル当たり３５ｇ目付量で、ランダム配向に不織布加工してある。その サイズは、幅約１.０ｍとし、且つ長さを約５０.０ｍの超長尺に加工する。また 、ラッセルネット５は、網目が比較的大きく且つ軽量のポリエチレン繊維から成 り、これに前記マット材に重ねて装着するようになっている。このラッセルネッ トの大きさは、前記マット材と同形にしておくものとする。そして、前記のマル チ体３は、木本の根を保護するために根覆いや根囲いをする機能とフィルタ（Ｆ ilter＝濾過器状のもので濾過する、漉し器状のもので漉す）機能を有している ものである。６は前記のマルチ体３の表面から地山に打ち込むためのアンカーピ ン、７は生育基盤層２に混在する草本並びに/又は木本植物の種子である。

【０００７】

【具体的な使用例】

上記の実施例に基づく具体的な工事例を説明する。すなわち、地山の法面１や 造成地、崩落斜面等表層に、種子７が混在している生育基盤材とピーエムザイとコ ーティング肥料を配合した客土をモルタ吹付機に投入してコンプレッサの圧搾空 気で搬送し、吹付ホース先端のノズル噴射時に水と混合しながら法面１に所定の 厚さで吹付ける。そして、客土吹付工により形成された生育基盤層２に、植物の 毛細根に似た極細ポリエステル短繊維をランダム配向に不織布加工して成るい、 且つロール巻きしてある超長尺のマット体３を繰り出して、法面１の法肩から法 先に向かって長さ２５．０ｍ〜５０．０ｍの範囲で設定の寸法に裁断して生育基 盤層２に張り巡らし、所定の間隔でアンカーピン６を打ち込んで当該生育基盤層 の表面を被覆する。そして、生育基盤層２に混在している種子７が発芽した草本 並びに/又は木本植物は、マット材４の空隙及びラッセルネット５の網目から表 面に伸芽して生育する。

【０００８】

【考案の効果】

本考案は上記の構成であるから、緑化工事において、工事の直後に降雨があっ た場合、施工面に当たった雨水はマット材の厚さ内において、フィルタ機能によ って排水されると共に、根覆いや根囲い機能によって生育基盤層は雨水による浸 食を防止する。また、強風が施工面に当たってもマット体のフィルタ機能によっ て、そのマット材内を通って通過する。さらに、根覆いや根囲い機能によって生 育基盤面の種子等が吹き飛ばされたりして流失するようなことがない。そして、 冬期の凍結融解によってもマット体が有する保温効果が保持されることによって 生育基盤の崩落等が防止される。しかも、考案が解決しようとする課題〜が 解決される。 さらに、従来工法の強化としては、 吹付け施工直後や連続す る長雨による柔らかな状態の生育基盤の状態での降雨による生育基盤材の流失が 防止できる。 不意の豪雨災害時の雨水流による生育基盤の流失やその後の法 面自体の崩落が防げる。生育基盤の流失防止により、河川や湖沼、地下水の汚 染が防止される。 保温効果により冬期の凍結融解作用が軽減し、生育基盤材 の霜崩れが防げる。 旱魃による急激な水分の蒸発散を防ぎ、水分を保持し、 生育基盤材の乾燥を抑えるため植物の発芽や生育が確実となる。以上の利点や強 化機能は、植物が活着した後も継続し、法面自体の安全はさらに向上する。次に 、金網（ラス）張り工が省略できる結果については、 金網（ラス）張り作業 が省けるので施工が容易で工期が短縮される。 コストの縮減が図れる。 仮に、礫、風化岩等の崩落が万一発生した場合には、局部的な破損に止まり、被 災面積を最小限に抑えることが可能になる。 草本並びに/又は木本植物の根や 幹部が十分に成長でき、強風時で倒木することがなくなる。以上のような効果が 得られるものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案に係る緑化用マルチマットによる法面
構造の縦断面図である。

【図２】 マット材に化学繊維ラッセルネットに装着し
たマット体の斜視図である

【図３】 マット体を法面に吹付けた生育基盤層表面に
張設した状態の斜面図である。

【符号の説明】

１……法面 ２……生育基盤層 ３……マルチのマット体 ４……マット材 ５……ポリエチレン繊維のラッセルネット ６……アンカーピン ７……生育基盤層に混在している草本並びに/又は木本
植物の種子

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 地山、造成地、崩落斜面等の法面(1)に
   種子が混在している生育基盤層(2)が施工され、且つ植
   物の毛細根に似た極細ポリエステル短繊維を不織布加工
   したマット材（4）に化学繊維製ラッセルネット(5)を重
   ねて成るマット体（3）を幅約１.０ｍで且つ超長尺の長
   さに設定し、且つロール巻きにしたものを法面(1)の法
   肩から法先に向かって敷設して前記生育基盤層の表面を
   被覆したことを特徴とする緑化用マルチマットによる法
   面構造。