JP3077925B2 - 2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン無水物結晶およびその製造法 - Google Patents

2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン無水物結晶およびその製造法

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JP3077925B2 JP04334757A JP33475792A JP3077925B2 JP 3077925 B2 JP3077925 B2 JP 3077925B2 JP 04334757 A JP04334757 A JP 04334757A JP 33475792 A JP33475792 A JP 33475792A JP 3077925 B2 JP3077925 B2 JP 3077925B2
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Yamasa Corp
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、抗腫瘍剤として有用な
2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジン(以下、D
MDCと略す)の新規な無水物結晶およびその製造法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】DMDCは下記構造式で表される化合物
であり、抗腫瘍作用、抗ウイルス作用を有する極めて有
用な化合物である(特開昭63−230699号公報、
特開昭63−258818号公報)。
【0003】
【化1】
【0004】従来、DMDCの結晶性物質としては、塩
酸塩結晶(特開昭63−230699号公報)および二
水和物結晶(特開平3−240794号公報)が知られ
ており、DMDCの無定形物質としては無定形無水物が
知られている(J. Med, Chem., 34, 2607-2615 (199
1))。しかしながら、塩酸塩結晶および無定形無水物
は、吸湿性、安定性、取扱性などの点で問題を有し、医
薬品原体として満足できるものではない。一方、二水和
物結晶は、塩酸塩結晶および無定形無水物の欠点を克服
できるものであることから、DMDCの抗腫瘍剤として
の開発は主に二水和物結晶を中心に行われてきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】DMDC二水和物結晶
を抗腫瘍剤として開発しようとする場合、製剤の形態と
しては錠剤、散剤などの経口投与形態、注射剤などの非
経口投与形態などのさまざまな形態が考えられる。その
中でも経口投与形態は患者への苦痛も少なく優れた形態
であり、抗腫瘍剤を開発する場合も、経口投与剤は魅力
的な製剤形態である。経口投与剤として製剤化する際、
一般には微粉砕化された化合物を用いるのが望ましいと
されている。しかし、公知の二水和物結晶は、物理的な
粉砕に対して不安定で、微粉砕化するとその一部が溶融
し、溶融したものが粉砕室等に強固に付着するために、
目的とする微粉砕品の回収率が著しく低下するという問
題を有している。
【0006】本発明の目的は、良好な吸湿性、安定性、
取扱性を有し、かつ物理的な粉砕に対しても安定である
2’−デオキシ−2’−メチリデンシチジンを提供する
ことである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述した
二水和物結晶の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、D
MDCを有機溶媒に加温して溶解させた後にDMDCを
晶析させることにより、物理的な粉砕処理に対して安定
なDMDC無水物結晶を得ることができることを見い出
し、本発明を完成させた。
【0008】即ち、本発明は、新規なDMDCの無水物
結晶(以下、本発明化合物と称することもある)および
その微粉砕物に関するものである。また、本発明は、D
MDCの有機溶媒溶液からDMDCを晶析させることを
特徴とするDMDC無水物結晶の製造法に関するもので
ある。
【0009】本発明化合物は、典型的には下記の物理化
学的性質を有する。 水分含量:第12改正日本薬局方に記載の方法により
測定した本発明化合物の水分含量は、通常0.2重量%
以下である。
【0010】融点:第12改正日本薬局方に記載の方
法により測定した本発明化合物の融点は、通常180〜
184℃、好ましくは181〜183℃である。
【0011】示差走査熱量分析:示差走査熱量分析装
置(セイコー電子工業:SSC580DS)を用い、下
記の条件で測定した本発明化合物の吸熱ピークは、通常
194〜198℃、好ましくは195〜197℃に出現
する。 測定条件;試料約5mg、昇温速度5.0℃/分、対照
物質Al
【0012】粉末X線回折:X線回折装置(島津製作
所:XD−610)を用い、下記の条件で測定した本発
明化合物の粉末X線回折スペクトル上の主要ピークは、
下記の回折角に出現する。 回折角2θ(°):11.2,15.6,18.5,1
9.0,21.2,22.5,25.3および27.2 測定条件; X線チューブ:ターゲットCu、40kV、40mA スリット:(SS)1deg、(DS)1deg、(R
S)0.31mm スキャンモード:CONTI プレセットタイム:0.4(s) ステップ幅:0683305(deg/step) スキャンスピード:4(deg/分)
【0013】上記のような物性を有する本発明化合物
は、さらに以下に示すように物理的粉砕に対して安定で
あり、かつ吸湿性を示さないという特徴を有している。
【0014】微粉砕試験 本発明化合物250gまたは二水和物結晶220gを超
微粉砕器を用いて粒径が0.1〜10μmになるように
粉砕した。その結果、二水和物結晶は、粉砕中にその一
部が溶融して粉砕器に付着・固化し、その付着量は運転
時間と共に増大し、目的とする微粉砕品を低収率でしか
得られなかった。これに対し、本発明化合物は、二水和
物結晶のように粉砕中に溶融しないので、微粉砕品をほ
ぼ定量的に得ることができた(表1参照)。なお、無定
形無水物を上記微粉砕試験に供してみたところ、無定形
無水物は下記試験に示すように吸湿性を有し、微粉砕す
ることはできなかった。
【0015】
【表1】
【0016】吸湿試験 本発明化合物および無定形無水物を相対湿度53%、温
度25℃の条件下で放置し、吸湿による重量変化を測定
した。その結果、無定形無水物は吸湿し、1日で7.8
6%の重量増加を示した。一方、本発明化合物はほとん
ど吸湿せず、1日の重量増加はわずかに0.14%であ
った(表2参照)。
【0017】
【表2】
【0018】本発明化合物は、DMDCの有機溶媒溶液
からDMDCを晶析させる方法により調製することがで
きる。
【0019】DMDCの有機溶媒溶液を調製する際に使
用されるDMDCとしては、従来公知の二水和物結晶お
よび無定形無水物のいずれの化合物も使用できる。二水
和物結晶または無定形無水物を溶解させる有機溶媒とし
ては、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノ
ールなど)、ジオキサンおよびアセトニトリルからなる
群より選択される単一溶媒またはこれらの二種以上を混
合した混合溶媒を使用することができる。なお、使用す
る有機溶媒は含水量が1重量%未満のものまたは無水の
ものを用いるのが好ましい。
【0020】DMDCの有機溶媒溶液は、DMDCの二
水和物結晶または無定形無水物に約3〜30倍重量の有
機溶媒を加え、50〜100℃に加温撹拌することによ
り調製することができる。
【0021】DMDCの有機溶媒溶液から本発明化合物
を得るには、該有機溶媒溶液を徐々に冷却して晶析させ
るか、溶解度の低い別の有機溶媒を加えて晶析させれば
よい。ここで、別の有機溶媒としては、上記有機溶媒と
同じものを例示することができ、DMDCの有機溶媒溶
液を調製する際に使用したものとは別のものを使用すれ
ばよい。このようにして晶析させた結晶を濾取した後、
必要に応じて乾燥処理(加熱乾燥、通風乾燥または減圧
乾燥)を施し、本発明化合物とする。
【0022】
【実施例】以下、実施例を示し、本発明をより具体的に
説明する。
【0023】実施例1 DMDCの二水和物結晶5gにメタノール5mlを加え
て加温溶解後、エタノール10mlを加えて晶析させ、
冷却後、濾取、乾燥して無水物結晶4.37gを得た。 元素分析:測定値(%) C;50.03,H;5.5
0,N;17.43 理論値(%) C;50.21,H;5.48,N;1
7.56 旋光度〔α〕20 D :−140.0(水溶液中) 赤外吸収スペクトル(KBr法):3228,165
5,1610,1504,1289,1070,103
8,784(cm-1
【0024】実施例2 二水和物結晶5gにメタノール10mlを加えて加温溶
解後、徐々に冷却して晶析させ、濾取、乾燥して無水物
結晶3.19gを得た。さらに、この無水物結晶を微粉
砕器に供し、粒径が0.1〜10μmの微粉砕化された
無水物結晶を得た。
【0025】実施例3 二水和物結晶5gにエタノール20mlを加えて加温溶
解後、徐々に冷却して晶析させ、濾取、乾燥して無水物
結晶4.20gを得た。
【0026】実施例4 二水和物結晶5gに1−プロパノール30mlを加えて
加熱溶解した後、徐々に冷却して晶析させ、濾取、乾燥
して無水物結晶4.22gを得た。
【0027】実施例5 二水和物結晶5gに2−プロパノール30mlを加えて
加熱溶解した後、徐々に冷却して晶析させ、濾取、乾燥
して無水物結晶4.39gを得た。
【0028】実験例 本発明の無水物結晶(実施例1を使用)と、従来公知の
無定形無水物、二水和物結晶に対して、前記の方法に従
って水分含量、融点を測定し、示差走査熱量分析、粉末
X線回折、微粉砕試験、吸湿試験を行い、その結果を表
3に示した。
【0029】
【表3】
【0030】
【発明の効果】本発明化合物は、従来公知のDMDCの
二水和物結晶および無定形無水物とは物理化学的性質の
点で大きく相違し、全く新規な化合物である。しかも、
本発明化合物は、二水和物結晶および無定形無水物にな
い特性を有し、物理的な粉砕処理に対して安定で微粉砕
化が可能であるため、経口投与製剤のための医薬品原体
として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明化合物であるDMDCの無水物結晶の示
差走査熱量分析曲線を示したものである。図面中、横軸
は温度を示し、縦軸は回折の示差走査熱量を示す。
【図2】公知のDMDCの無定形無水物の示差走査熱量
分析曲線を示したものである。
【図3】公知のDMDCの二水和物結晶の示差走査熱量
分析曲線を示したものである。
【図4】本発明化合物であるDMDCの無水物結晶の粉
末X線回折スペクトルを示したものである。図面中、横
軸は回折角度を示し、縦軸は回折の相対強度を示す。
【図5】公知のDMDCの無定形無水物の粉末X線回折
スペクトルを示したものである。
【図6】公知のDMDCの二水和物結晶の粉末X線回折
スペクトルを示したものである。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 19/06 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2’−デオキシ−2’−メチリデンシチ
    ジン無水物結晶。
  2. 【請求項2】 水分含量が0.2重量%以下である、請
    求項1記載の無水物結晶。
  3. 【請求項3】 融点が180〜184℃であり、示差走
    査熱量分析で194〜198℃に吸熱ピークを示す、請
    求項1記載の無水物結晶。
  4. 【請求項4】 粉末X線回折で下記の回折角に主要回折
    ピークを示す、請求項1記載の無水物結晶。 回折角2θ(°):11.2,15.6,18.5,1
    9.0,21.2,22.5,25.3および27.2
  5. 【請求項5】 請求項1記載の2’−デオキシ−2’−
    メチリデンシチジン無水物結晶を微粉末化して得られ
    る、粒径が0.1〜10μmの2’−デオキシ−2’−
    メチリデンシチジン無水物結晶。
  6. 【請求項6】 2’−デオキシ−2’−メチリデンシチ
    ジンの有機溶媒溶液から2’−デオキシ−2’−メチリ
    デンシチジンを晶析させることを特徴とする、2’−デ
    オキシ−2’−メチリデンシチジン無水物結晶の製造
    法。
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