JP3077541B2 - ショートアークメタルハライドランプ - Google Patents

ショートアークメタルハライドランプ

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JP3077541B2 JP06335346A JP33534694A JP3077541B2 JP 3077541 B2 JP3077541 B2 JP 3077541B2 JP 06335346 A JP06335346 A JP 06335346A JP 33534694 A JP33534694 A JP 33534694A JP 3077541 B2 JP3077541 B2 JP 3077541B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ディスプレイ用の光
源、特に、液晶投射型ディスプレイ用の光源として利用
されるショートアークメタルハライドランプに関する。
【0002】
【従来の技術】最近、液晶投射形ディスプレイ用の光源
として高効率で高演色性が得られるジスプロシウム、ネ
オジウムなどの希土類のハロゲン化物を封入したショー
トアークメタルハライドランプが盛んに使用されてい
る。この種類のランプは高輝度の要請から35w/cm
2 から80w/cm2 程度の高負荷で点灯されるため、
石英管管壁温度が900度C以上にも達し、数百時間の
点灯で管壁に白濁を発生する問題がある。白濁が発生す
ると光学的応用を目的にした用途では、ランプの見かけ
上の発光面積が大きくなるため光の利用効率が著しく悪
くなり、事実上白濁によりランプ寿命が決定されてい
る。
【0003】液晶投射型ディスプレイ用のショートアー
クメタルハライドランプの点灯方法としては、周波数が
250Hzから500Hzの範囲程度の矩形波による点
灯が一般的に実用化されているほか、白濁を抑制する方
法の一つとして直流で点灯することも提案されている。
放電方向を水平にして直流で点灯すると白濁抑制に著し
い効果があることは本発明者らが、平成5年度照明学会
全国大会(講演番号24)において既に報告している通
りであるが、この方法を液晶投射型ディスプレイ用のシ
ョートアークメタルハライドランプに応用しようとする
場合、色むらを取り除いたうえで液晶投射形ディスプレ
イ用の光源として良好な特性を得るためには特別の工夫
がいることが判明した。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、白濁を抑制
した直流点灯用のショートアークメタルハライドランプ
において、色むらを最低限に減少させ、かつ効率のよい
発光を得るためのものであって、発光出力を安定化さ
せ、液晶投射型ディスプレイ用の光源として優れた特性
を持つ長寿命の光源を実現することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは既に特許出
願済のように、白濁の発生を抑制する方法として放電方
向を水平にして直流電力で点灯する方法を発明した。こ
れは、従来は嫌われていた直流点灯した時に生じる発光
物質の偏り現象(カタホリシスと呼ばれる現象)を白濁
の抑制に積極的に利用するものである。すなわち、直流
点灯により希土類イオン原子が陰極方向に引っ張られ、
その結果陰極から陽極に向かって希土類原子の密度に勾
配が生じる現象、特にイオン原子を持続的に陰極に引き
つける効果により、管壁へ到達する希土類イオン原子や
中性原子の数を減らすことにより、白濁の発生を画期的
に減らすことに成功した。
【0006】しかしながら実用的なランプを開発する過
程で、直流点灯ではアークの不安定が発生し易いことが
判明した。アークのちらつきの発生原因には陰極に起因
するものと、陽極に起因するものとが有ることが判明し
た。陽極の取るべき形状に付いては既に特許出願してあ
るように、陽極の電極軸の先端の平面の面積をランプ電
流に対して一定の範囲内に設計すれば良いことを見だし
ている。陰極についても本発明者らは実験の結果、ラン
プ電流をIアンペア、陰極の電極軸の断面積をS平方ミ
リメートルとすると、0.029<S/I<0.076
の関係を満たし、かつ電極突出長を電極軸の2倍以上に
なるように陰極の電極軸を設計することにより安定した
放電が得られることを見だした。本発明の構成を図1に
沿って説明する。両端に陰極1と陽極2としてそれぞれ
動作する一対のタングステン製電極を備えた石英製発光
管3に希ガス、水銀のほか少なくとも希土類ハロゲン化
物とハロゲン化セシウムとを封入し、さらにハロゲン化
インジウムやハロゲン化錫などが封入され、直流点灯用
ショートアークメタルハライドランプが構成される。こ
こで、5は、封止部4に埋設されたモリブデン箔、6
は、箔5に接続された外部リード棒である。当該陰極は
図2のようにタングステンを主成分とした電極軸15に
タングステンコイル10を巻いた形状よりなり、円柱状
電極軸15の断面積を平方ミリメートル、定格ランプ電
流をIアンペアとすると、0.029<S/I<0.0
76の関係を満たすように設計され、さらに電極軸15
の先端11の突出長Lを電極軸15の2倍以上とする。
【0007】
【作用】ランプ電流と陰極軸断面積との関係を上記のよ
うに規定することにより陰極軸15の先端11に陰極ス
ポットが安定に形成され、安定した発光出力が得られる
ことを見だした。本発明の効果を実施例により説明す
る。
【0008】
【実施例】第1の実施例として入力電力が125Wのラ
ンプについて説明する。内径7.5mm、内容積0.3
cm3 の石英製発光管3にタングステン製陽極2と陰極
1を3mmの間隔で対向させて封止した。陰極1は、直
径が0.35mmで全長Xが8mmのタングステン軸1
5に直径0.3mmのタングステンコイル10を4ター
ン巻いたものを使用し、先端11は切断面のままとし、
電極軸の先端11をコイル10より1.0mm突出させ
た。つまり、L=1mmである。陽極2は、直径が1.
4mm、全長Yが10mmの円柱状タングステン軸を使
用し、先端12の直径が0.4mmになるように角を削
り落とし、石英ガラスへの封止部分13は直径0.7m
mに研削したものを用いた。この発光管3を排気し、水
銀14mg、よう化ディスプロシウムを含む希土類ハロ
ゲン化物とよう化セシウムの混合物0.4mg、よう化
インジウム0.3mgを封入し、さらにアルゴンガスを
常温で150トール封入した。ランプの陰極側の発光管
外面31に耐熱性酸化物を保温膜32として塗布した。
このランプを125W直流入力電力で点灯するとランプ
電圧は68Vになり、ランプ電流は1.84Aで効率6
4ルーメン/W,色温度7350Kであった(S/I=
0.052)。この仕様のランプ5灯を製作し、点灯試
験を行ったところ、2000時間点灯した時点でも安定
した放電が行われ、白濁、黒化などの発生もなく、良好
な結果が得られた。
【0009】一方、この仕様のランプにおいて陰極軸1
5の直径が0.3mm(S/I=0.038)および
0.4mm(S/I=0.068)でもほぼ同様の良好
な結果を得た。しかし、直径を0.5mmに変えたラン
プを試作し(S/I=0.086)、点灯試験したとこ
ろ、陰極軸15の先端11を陰極スポットが移動し、光
出力にちらつきを生じた。また陰極軸15の直径を0.
25mmにしたものは(S/I=0.026)始動時の
高ランプ電流により電極軸の先端11が消耗する不具合
を起こした。また陰極軸15の直径が0.3mmのラン
プでも、電極軸の先端11のコイル10からの突出長L
が0.5mmの場合はアークスポットが先端11に近い
位置のコイル10にできるランプがあり、電極軸15の
直径の2倍以上の突出長が必要であることが分かった。
【0010】第2の実施例として入力電力250Wラン
プについて述べる。内径10.5mm、内容積1.0c
3 の石英製発光管3にタングステン製陽極2と陰極1
とを3.0mmの間隔で対応させて封止した。陰極1
は、直径が0.4mmのタングステン軸15に直径が
0.3mmのタングステン線材よりできたコイル10を
先端11の突出長Lが1.0mmになるように装着した
ものを使用し、陽極2は、コイルなしで、最大部分16
の直径が2.4mmのタングステン軸を使用し、先端1
2の直径が0.5mmになるように角を削り、また石英
ガラスへの封止部分13は直径0.8mmに研削したも
のを使用した。これに沃化ディスプロシウムと沃化カド
ミウムと沃化セシウムとを1対1対1の分子比で混合し
たペレット0.45mg、よう化インジウム0.8mg
を封入し、さらに水銀44mgとアルゴンガスを常温で
150トール封入した。このランプは初期電圧64Vで
ランプ電流3.91Aで効率66ルーメン/W、色温度
7200Kであった。この仕様のランプ3灯を放電方向
を水平にして1500時間の点灯寿命試験を行ったが、
放電は安定しており、石英管3の上部の壁に僅かに白濁
が認められるだけで黒化はなく非常に良好な寿命特性を
示した(S/I=0.032)。
【0011】この仕様のランプに於いて、陰極軸15と
して直径0.5mmのタングステン軸(S/I=0.0
502)を用いた時も良好な結果を得た。しかし、陰極
軸15として直径0.65mmのタングステン軸を用い
たランプ(S/I=0.0848)は4灯中2灯のラン
プにちらつきが発生し、不良であった。さらに直径0.
3mmのタングステン軸を用いたランプ(S/I=0.
0175)は陰極軸の先端11の消耗が100時間の点
灯でも顕著であった。また陰極軸15の先端11の突出
長Lが0.6mmのランプではアークスポットが先端1
1に近い位置のコイル10にできるランプがあり、不具
合であった。
【0012】
【発明の効果】上述のように本発明は、希土類ハロゲン
化物を発光物質として用いた液晶投射形ディスプレイ用
ランプの大きな欠点である白濁の発生を、放電方向が水
平の点灯姿勢と直流点灯により抑制するランプにおい
て、液晶プロジェクター用の光源に適した、ちらつきの
ない安定な放電を得ようとするものであって、特に陰極
の設計に着目し、本発明の陰極形状により、アークポッ
トが陰極軸の先端に確実に形成され、ちらつかない安定
な発光が可能なランプが得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のランプの一実施例を説明する説明図で
ある。
【図2】本発明のランプに使用する陰極構造の実施例の
説明図である。
【符号の説明】
1 陰極 2 陽極 3 石英製発光管 4 封止部 5 モリブデン箔 6 外部リード棒 10 コイル 32 保温膜
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01J 61/073 H01J 61/88

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 陰極と陰極より大きい陽極を備え、少な
    くとも希土類ハロゲン化物と水銀とを封入し、放電方向
    をほぼ水平にして直流電力で点灯されるショートアーク
    メタルハライドランプにおいて、 当該陰極はタングステン製の電極軸にタングステンコイ
    ルを巻回した構造よりなり、当該陰極の電極軸の断面を
    S平方ミリメートルとし、定常点灯時の電流をIアンペ
    アとするとき、SをIで除した値が0.029より大き
    く、0.076より小さく、かつ陰極の電極軸の先端が当該陰極の電極軸径の2倍以
    上の長さでコイルより突出している ことを特徴とする直
    流点灯用のショートアークメタルハライドランプ。
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