JP3077159B2 - ダイナミックフォーカス回路 - Google Patents

ダイナミックフォーカス回路

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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、高精細度や大画面の陰極線管表示装置のフ
ォーカス制御に用いられるダイナミックフォーカス回路
に関する。
〔発明の概要〕
本発明は、陰極線管のフォーカス電極に印加されるフ
ォーカス用直流高圧に少なくとも水平周期のパラボラ波
を重畳してフォーカス制御を行うようなダイナミックフ
ォーカス回路において、水平周期のパラボラ波が垂直周
期のパラボラ波で振幅変調された信号を発生する水平パ
ラボラ波発生回路からの出力の先端値をフォーカス用直
流高圧でクランプすることにより、陰極線管の画面上の
全ての部分でフォーカス調整を容易にしかも高い精度で
行えるようにするものである。ここでクランプ回路は、
垂直周期のパラボラ波が重畳されたフォーカス用直流高
圧により水平パラボラ波発生回路からのパラボラ波出力
の先端値をクランプすることにより、特に画面の垂直方
向の両端での高精度のフォーカス調整を容易化できる。
〔従来の技術〕
一般の陰極線管モニタ装置において、第5図に示すよ
うに、陰極線管51の電子銃52のフォーカス電極(例えば
いわゆるG4電極)53に、例えば10kV程度のフォーカス用
直流高圧を印加して、スクリーン表示面SC上に電子ビー
ムの焦点が結ばれるようにしているが、偏向中心Qから
スクリーン表示面SCまでの距離が、表示面SCの中心部と
周辺部とで異なっているため、中心部で焦点が合ってい
ても周辺部ではオーバーフォーカス等のように焦点が合
わなくなる。なお図中の破線は偏向中心Qからのジャス
トフォーカス面を示している。
ところで、高精細度の陰極細管モニタ装置や大画面受
像機等においては、画面周辺部においても鮮明な像を得
ることが必要とされることから、電子ビームのスクリー
ン表示面SC上での走査に応じて、表示面SCの周辺部ほど
フォーカス電圧が高くなるように、電子ビーム走査周期
のパラボラ波を上記フォーカス用直流高圧に重畳して、
画面全体で良好な焦点を結ぶようにすること、いわゆる
ダイナミックフォーカスが考えられている。
このようなダイナミックフォーカス回路の具体的な一
例を第6図に示す。
この第6図において、入力端子61には、水平偏向出力
回路からのリトレースパルス等のような水平周期(H周
期)のパルス信号が供給されている。この水平周期のパ
ルス信号を、ダイナミックフォーカストランス62の1次
側に入力して昇圧すると共に、該トランス62の2次側巻
線のインダクタンスと浮遊容量による2次積分効果を利
用して、水平周期のパラボラ波を得るようにしている。
また、高解像度ディスプレイや大画面広角陰極線管を使
用したモニタ受像機等においては、さらに垂直方向につ
いてもシャープなフォーカス特性を得るために、ダイナ
ミックフォーカストランス62の2次側巻線の一端に垂直
周期補正電圧供給回路63からの垂直周期(V周期)のパ
ラボラ波信号を供給し、2次側巻線の他端からこの垂直
周期のパラボラ波が重畳された水平周期のパラボラ波信
号をコンデンサ64を介して取り出すようにしている。こ
の垂直周期のパラボラ波が重畳された水平周期のパラボ
ラ波信号は、分圧抵抗65によりフォーカス用直流高圧が
重畳されて、出力端子66よりフォーカス制御信号として
上記フォーカス電極に供給されるようになっている。な
お、第6図の垂直周期補正電圧供給回路63の入力端子67
には、垂直周期のパラボラ波信号が入力されており、ま
た分圧抵抗65の端子68には、フライバックトランス等か
らの10〜15kV程度の直流高電圧が供給されている。
この他、上記垂直周期の補正電圧を、コンデンサ64の
後段で重畳する回路も知られている。
〔発明が解決しようとする課題〕
ところで、このような従来のダイナミックフォーカス
回路においては、各パラボラ波の振幅値が固定されてお
り、さらに微細な調整を行うことができず、例えば画面
中心でジャストフォーカスとなっても画面周辺の各部で
いずれもフォーカスが合うとは限らず、これらの各点で
のフォーカスのずれが所定の範囲内に収まっておればよ
しとする程度の調整しかできない。
そこで、さらに高精度のフォーカス制御が要求される
製品においては、垂直、水平の各パラボラ波の振幅を可
変し、画面の全ての部分でフォーカスが合うように調整
しているが、この場合、任意の一点でフォーカス調整を
行っていると、既に調整済みの他の点でのフォーカスが
ずれてくるという不具合が生ずる。特にフォーカス調整
は、例えばコンバージェンス調整等と違って、いわゆる
アンダーフォーカスかオーバーフォーカスかの判別が難
しく、調整点が増えると調整作業が非常に難しくなると
いう性質を持っており、その上に上述した調整点以外の
ところのフォーカス状態が変化するような悪影響がある
ため、調整作業が極めて困難となっており、作業性や生
産性の低下の大きな原因ともなっている。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであ
り、陰極線管のスクリーン表示面上の全ての部分でフォ
ーカスが合うように調整が行えると共に、この調整作業
が、容易にしかも高い精度で行えるようなダイナミック
フォーカス回路の提供を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係るダイナミックフォーカス回路は、陰極線
管のフォーカス電極に印加されるフォーカス用直流電圧
に少なくとも水平周期のパルスの位相を調整する移相器
と、この移相器からの出力を波形整形して得た信号でス
イッチングして、水平周期のフライバックパルスを生成
するスイッチング素子と、このスイッチング素子にチョ
ークコイルを介して、互いに独立に可変とされた垂直周
期のパラボラ波の振幅成分の電圧と直流電圧とが重畳さ
れた信号を供給するアンプと、上記スイッチング素子か
らのフライバックパルスが1次側に供給されるトランス
と、このトランスの2次側からの出力が一端に供給され
る第1のコンデンサと、この第1のコンデンサの他端か
らの出力を上記陰極線管のフォーカス電極に供給する出
力端子と、上記第1のコンデンサの他端がカソードに接
続される第1のクランプ用ダイオードと、この第1のク
ランプ用ダイオードに直列接続される第2のクランプ用
ダイオードと、この第2のクランプ用ダイオードのアノ
ード側に、電圧調整されたフォーカス用直流電圧を供給
する手段と、上記第1,第2のクランプ用ダイオードの接
続中点に一端が接続される第2のコンデンサと、この第
2のコンデンサの他端に、ボトムクランプのための垂直
周期のパラボラ波信号を供給する手段とを有することに
より、上述した課題を解決する。
〔作 用〕
水平周期のパラボラ波を垂直周期のパラボラ波で振幅
変調することにより、画面四隅でのフォーカス調整を可
能とし、この振幅変調された信号をフォーカス用直流高
圧でクランプすることにより、画面中心でのフォーカス
合わせが終わった後に他の点でのフォーカス調整を行っ
ても、画面中心でのフォーカスずれが生じず、調整が容
易となる。また、振幅変調された水平パラボラ波信号の
先端値を、垂直周期のパラボラ波が重畳されたフォーカ
ス用直流高圧でクランプすることにより、水平両端位置
のフォーカスと垂直両端位置のフォーカスとが互いに独
立に調整できる。
〔実施例〕
第1図は本発明に係るダイナミックフォーカス回路の
一実施例を示す回路図である。
この第1図において、入力端子11には、水平周期のパ
ルス信号、例えばいわゆる水平駆動パルスHDが供給され
ている。この水平駆動パルスHDは、左右バランス調整用
の移相器12に送られて所定位相分だけ移相され、モノマ
ルチ等のパルス発生器13に送られて所定デューティのパ
ルスとなって水平パラボラ波出力回路20に送られてい
る。
水平パラボラ波出力回路20においては、上記パルス発
生器13からの水平周期(H周期)のパルス信号がスイッ
チングトランジスタ(FET)21に供給されている。この
トランジスタ21は、ダイナミックフォーカス用トランス
22の1次側巻き線に接続されており、この1次側巻き線
には、ダンパダイオード23や共振コンデンサ24が並列接
続されている。また、水平パラボラ波出力回路20の入力
端子14には、第2図のAに示すような垂直周期(V周
期)のパラボラ波信号が供給されている。この垂直周期
パラボラ波信号の電圧EXは、直流オフセットに相当する
第1の電圧成分EX1と振幅に相当する第2の電圧成分EX2
とから成っており、これらの各電圧成分EX1、EX2は、そ
れぞれ互いに独立に可変となっている。この垂直周期パ
ラボラ波信号はアンプ26で増幅され、チョークコイル27
を介してダイナミックフォーカス用トランス22の上記1
次側巻き線に供給されている。これによって、ダイナミ
ックフォーカス用トランス22の2次側巻き線からは、第
2図のBに示すように、上記垂直周期パラボラ波で振幅
変調された水平周期(H周期)のパラボラ波形の信号が
出力される。この振幅変調された水平周期パラボラ波信
号の振幅は、上記垂直周期パラボラ波信号の電圧EXに比
例するものとなっているわけであるが、以下の説明を簡
略化するために、振幅が電圧EXに等しくなっているもの
とする。このような水平パラボラ波出力回路20からの出
力信号はクランプ回路30に送られる。
クランプ回路30は、水平パラボラ波出力回路20からの
信号が供給されるコンデンサ31が、クランプ用ダイオー
ド32のカソードに接続され、このダイオード32のアノー
ドがもう一つのクランプ用ダイオード33のカソードに接
続されている。これらのクランプ用ダイオード32、33に
は抵抗34、35がそれぞれ並列接続されて、いわゆるソフ
トクランプ回路を構成している。ここで、フライバック
トランス等からの高電圧供給端子15からの電圧を可変抵
抗16を介して取り出したフォーカス用直流高圧が、クラ
ンプ回路30のダイオード33のアノードに印加されてお
り、また、ダイオード32、33の接続点には、端子17から
の垂直周期のパラボラ波信号が、アンプ18を介しコンデ
ンサ36を介して、第2図のCに示すような信号となって
供給されている。従って、上記水平パラボラ波出力回路
20からの水平パラボラ波信号は、垂直周期のパラボラ波
がフォーカス用直流高圧に重畳した信号によりいわゆる
ボトムクランプされ、第2図のDに示すような信号とな
る。このクランプ出力は、コンデンサ31とダイオード32
との接続点より出力端子38を介してフォーカス制御電圧
信号として取り出され、前述したような陰極線管のフォ
ーカス電極に印加されるようになっている。なお、可変
抵抗16からのフォーカス用直流高圧は、後述するフォー
カス調整時のスタティック調整用電圧ESとして、また上
記第2図のCの垂直周期のパラボラ波電圧の振幅値は、
垂直調整用電圧EYとして、それぞれ可変調整可能となっ
ている。
このような構成のダイナミックフォーカス回路におい
て、先ず可変抵抗16の抵抗値を変化させて、第2図Dの
フォーカス制御電圧の内のスタティック調整用電圧(フ
ォーカス用直流高圧)ESを調整することにより、第3図
に示すようなスクリーン表示面SC上の中心位置P0でのフ
ォーカスを合わせる。次に、端子17より入力する垂直パ
ラボラ波信号の電圧を可変して上記第2図のCの垂直周
期パラボラ波の振幅である垂直調整用電圧EYを調整する
ことにより、第3図のスクリーン表示面SCの縦方向の中
心線LV上の上端位置PU及び下端位置PDのフォーカスを合
わせる。このときのフォーカス制御電圧は、クランプ回
路30(内の主としてダイオード33)により上記スタティ
ック調整用電圧ESでいわゆるボトムクランプされている
ため、垂直調整用電圧EYを調整しても上記中心位置P0
のフォーカスは合った状態のまま保持される。次に、端
子14に供給する垂直パラボラ波の電圧を可変することに
より、水平方向の各端部のフォーカスを合わせるが、第
2図Dのフォーカス制御電圧の水平パラボラ波の振幅で
ある水平調整用電圧EXは、第2図Aに示す垂直パラボラ
波電圧の第1の電圧成分EX1と、第2の電圧成分EX2とが
合成されたものであり、これらの各成分毎に調整を行
う。すなわち、垂直パラボラ波電圧の上記第1の電圧成
分EX1を調整することにより、第3図のスクリーン表示
面SCの横方向の中心線LH上の左端位置PL及び右端位置PR
のフォーカスを合わせることができ、さらに上記第2の
電圧成分EX2を調整することにより、スクリーン表示面S
Cの四隅の各位置PUL、PUR、PDL及びPDRのフォーカスを
合わせることができる。この場合にも、振幅変調された
水平パラボラ波が第2図Cの垂直パラボラ波及び直流高
圧(上記スタティック調整用電圧ES)によりボトムクラ
ンプされているため、既にフォーカス調整済の上記各位
置P0、PU及びPDでのフォーカスは合った状態のまま保持
される。従って、フォーカス調整している間に調整済み
の他の位置のフォーカスがずれてくるような不具合を回
避でき、フォーカス調整作業が容易かつ迅速にしかも高
精度で行えるようになる。
なお、本発明は、上記実施例のみに限定されるもので
はなく、例えば垂直周期の補正電圧を可変しない場合に
は、端子17に固定入力を供給するようにしてもよい。こ
の場合、第4図に示すように、クランプ回路30の構成を
簡略化でき、具体的には、第1図のクランプ用ダイオー
ド33を省略した1段のクランプ回路構成とすればよい。
なお、第4図中の第1図と対応する部分には同じ指示符
号を付しており、それ以外の部分は第1図と同様に構成
すればよいため図示せず説明を省略する。この他、本発
明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である
ことは勿論である。
〔発明の効果〕
本発明に係るダイナミックフォーカス回路によれば、
陰極線管のフォーカス電極に印加されるフォーカス用直
流高圧に少なくとも水平周期のパラボラ波を重畳するこ
とによりフォーカスを制御するようなダイナミックフォ
ーカス回路において、水平周期のパルスの位相を調整す
る移相器と、この移相器からの出力を波形整形して得た
信号でスイッチングして、水平周期のフライバックパル
スを生成するスイッチング素子と、このスイッチング素
子にチョークコイルを介して、互いに独立に可変とされ
た垂直周期のパラボラ波の振幅成分の電圧と直流電圧と
が重畳された信号を供給するアンプと、上記スイッチン
グ素子からのフライバックパルスが1次側に供給される
トランスと、このトランスの2次側からの出力が一端に
供給される第1のコンデンサと、この第1のコンデンサ
の他端からの出力を上記陰極線管のフォーカス電極に供
給する出力端子と、上記第1のコンデンサの他端がカソ
ードに接続される第1のクランプ用ダイオードと、この
第1のクランプ用ダイオードに直列接続される第2のク
ランプ用ダイオードと、この第2のクランプ用ダイオー
ドのアノード側に、電圧調整されたフォーカス用直流電
圧を供給する手段と、上記第1,第2のクランプ用ダイオ
ードの接続中点に一端が接続される第2のコンデンサ
と、この第2のコンデンサの他端に、ボトムクランプの
ための垂直周期のパラボラ波信号を供給する手段とを有
することにより、画面四隅でのフォーカス調整が可能
で、画面中心でフォーカスを合わせた後に他の点でのフ
ォーカス調整を行っても画面中心でのフォーカスずれが
生じないため、高精度のフォーカス調整が容易に行える
のみならず、水平両端位置でのフォーカス調整と垂直両
端位置でのフォーカス調整とが、互いに影響を与えるこ
となく独立に行える。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例となるダイナミックフォーカ
ス回路を示す回路図、第2図は該実施例の動作を説明す
るための波形図、第3図はフォーカス調整作業の手順を
説明するためのスクリーン表示面の正面図、第4図は他
の実施例の要部を示す回路図、第5図は陰極線管におけ
るダイナミックフォーカスの原理を説明するための概略
断面図、第6図はダイナミックフォーカス回路の従来例
を示す回路図である。 11……水平パルス信号入力端子 14……垂直パラボラ波信号入力端子 15……高電圧供給端子 16……可変抵抗 17……垂直パラボラ波信号入力端子 20……水平パラボラ波出力回路 22……ダイナミックフォーカストランス 30……クランプ回路 32、33……クランプダイオード 38……フォーカス制御電圧出力端子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−262579(JP,A) 特開 昭52−22818(JP,A) 特開 昭62−283779(JP,A) 特開 平2−268078(JP,A) 実開 昭61−62467(JP,U) 実公 昭58−19879(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H04N 3/26

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】陰極線管のフォーカス電極に印加されるフ
    ォーカス用直流高圧に少なくとも水平周期のパラボラ波
    を重畳することによりフォーカスを制御するようなダイ
    ナミックフォーカス回路において、 水平周期のパルスの位相を調整する移相器と、 この移相器からの出力を波形整形して得た信号でスイッ
    チングして、水平周期のフライバックパルスを生成する
    スイッチング素子と、 このスイッチング素子にチョークコイルを介して、互い
    に独立に可変とされた垂直周期のパラボラ波の振幅成分
    の電圧と直流電圧とが重畳された信号を供給するアンプ
    と、 上記スイッチング素子からのフライバックパルスが1次
    側に供給されるトランスと、 このトランスの2次側からの出力が一端に供給される第
    1のコンデンサと、 この第1のコンデンサの他端からの出力を上記陰極線管
    のフォーカス電極に供給する出力端子と、 上記第1のコンデンサの他端がカソードに接続される第
    1のクランプ用ダイオードと、 この第1のクランプ用ダイオードに直列接続される第2
    のクランプ用ダイオードと、 この第2のクランプ用ダイオードのアノード側に、電圧
    調整されたフォーカス用直流電圧を供給する手段と、 上記第1,第2のクランプ用ダイオードの接続中点に一端
    が接続される第2のコンデンサと、 この第2のコンデンサの他端に、ボトムクランプのため
    の垂直周期のパラボラ波信号を供給する手段と を有することを特徴とするダイナミックフォーカス回
    路。
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