JP3070666U - 忌避具 - Google Patents

忌避具

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isothiocyanate
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JP2000000410U
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Inventor
田 徹 岡
部 辰 男 矢
野 拓 三 天
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天野 拓三
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ネズミ等の忌避成分の有効量の揮散放出を、
長期間に渡って継続できる忌避具を提供する。 【解決手段】 イソチオシアン酸化合物を主とした忌避
成分が二酸化珪素、ゼオライト、セピオライトのうち少
なくとも1種からなる基材に吸着または担持された粒体
形状の忌避部材と、脂肪酸、脂肪酸アミド、蝋のうち少
なくとも1種からなり、前記忌避部材を覆う形状に成形
された外皮部材とを備えている忌避具。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
本考案は、ネズミ、ゴキブリなどを寄せ付けない忌避具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、屋内屋外を問わず、計器類や精密機器の配線設備をネズミ、ゴキブリ等 が囓るなどの被害によって、それらが故障を起こしたり、更には火災などの災害 に至ることもある。 これらの原因となるネズミ等を防ぐために、設備類を密封するなどの対策が採 られていたり、また忌避成分を含む忌避具も使用されている。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
忌避具は、忌避に有効な一定濃度の揮発を1〜3ヶ月程度持続させる必要があ るが、現状においては4〜5日程度の持続しかできず、十分に効果を発揮してい るとはいえない。
【0004】
【課題を解決するための手段】
そこで、本考案者らは、上記問題点に鑑み、従来、鮮度保持剤として使用され ていたイソチオシアン酸アリルに着目し、更にその雰囲気を長期間保たせるよう に検討を重ね、揮発を抑制して透過量を制限できる被覆を施して透過量を自在に 調整できるのを確認して、本考案を完成させた。 本考案の目的は、長期間に渡って有効な濃度の忌避成分の揮散放出を継続でき る忌避具を提供することにある。
【0005】 すなわち、本考案は、イソチオシアン酸化合物を主とした忌避成分が二酸化珪 素、ゼオライト、セピオライトのうち少なくとも1種からなる基材に吸着または 担持された粒体形状の忌避部材と、脂肪酸、脂肪酸アミド、蝋のうち少なくとも 1種からなり、前記忌避部材を覆う形状に成形された外皮部材とを備えているこ とを特徴とする忌避具である。
【0006】
【考案の実施の形態】
以下、本考案の実施の形態について説明するが、本考案はこれに限定されるも のではない。 本考案の忌避具における、忌避効果を有するイソチオシアン酸化合物を主とし た忌避効果を有する成分(忌避成分)と、脂肪酸、脂肪酸アミド、蝋(以下、脂 肪酸または脂肪酸誘導物質という)とには、80〜110℃の範囲で溶解性が高 く、温度が低下するに従って溶解性が少なくなる性質がある。
【0007】 本考案の忌避具を製造するには、まず、100℃程度で上記忌避成分と、脂肪 酸または脂肪酸誘導物質とを完全に溶解させる。 この溶解液をセピオライトなどの鉱物の担体と混合して含浸させると、溶解液 は鉱物に添着される。
【0008】 次に、これを冷却する。図1は、この冷却工程における、本考案の忌避部材と 外皮部材とを備えた忌避具粒子の断面模式図の一例であり、忌避部材1は内部に イソチオシアン酸アリルが高濃度で含まれる鉱物、外皮部材2は脂肪酸または脂 肪酸誘導物質である。冷却によって、外皮部材2の脂肪酸または脂肪酸誘導物質 は、忌避成分よりも融点が高いため、図1のように忌避具粒子の外側から外皮状 に凝固していく。それにつれて忌避成分のイソチオシアン酸アリルは内部に移行 して、忌避具粒子の中心部ほど、鉱物の内部になるほど忌避成分の濃度が高くな るためイソチオシアン酸アリルは鉱物により吸着または担持され、また脂肪酸ま たは脂肪酸誘導物質が忌避部材表面をカプセルのように覆う形状の外皮部材とな ってイソチオシアン酸アリルを被覆する。これにより、忌避具粒子は適度な揮散 性を有するようになる。 更にこの粒子を適度な透過性を持ったフィルム(図示せず)で包装することによ り3ヶ月程度の透過性を維持できるようになる。
【0009】 本考案の忌避具に主として含有される忌避成分、すなわち、イソチオシアン酸 アリル(CH=CHCHNCS、以下、AITという)等のイソチオシアン酸化合物は、 わさびやからしに含まれる揮発性の高い水に難溶性の液体であり、魚肉類、畜産 類の鮮度保持剤の有効成分として知られている。イソチオシアン酸化合物は、A IT(イソチオシアン酸アリル)、イソチオシアン酸ブチルまたはその誘導体等 が例示されるが、AITが特に好ましい。これらイソチオシアン酸化合物は、天 然品、合成品のいずれであっても良い。更に、これらを有効成分として含有する わさび抽出物、からし抽出物であっても良い。
【0010】 忌避成分は、イソチオシアン酸化合物単独でも良く、その他の、ユーカリプト ール、リナロールオキサイド、カンファー、ヘキサナール、シトラールの忌避成 分群のうち1種以上と混合させても良い。このように混合させると相乗的に忌避 効果が増加する。忌避成分はイソチオシアン酸化合物を主とし、その混合比率は 、イソチオシアン酸化合物1に対して上記の忌避成分群は0.1〜5倍が好まし く、より好ましくは0.5〜2倍である。忌避成分群から2種以上を複合して用 いる場合でも比率は同様である。また、上記で挙げた忌避成分以外の忌避成分を 含有してもよい。 なお、混合比率は重量比とし、以下同様とする。
【0011】 上記イソチオシアン酸化合物を含む忌避成分は、脂肪酸または脂肪酸誘導物質 と混合される。脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等 炭素数が15以上のものが好ましい。脂肪酸誘導物質としては、バレルアミド、 ラウルアミド、ベルシトアミド、ステアルアミド、オレアミド等融点が70℃以 上の脂肪酸アミドが好ましく、また、蜜蝋、植物性蝋(例えばカルナバ蝋)等の融 点60℃以上の蝋が好ましい。これらは1種でもまたは2種以上の混合物でもよ い。忌避成分1に対し脂肪酸または脂肪酸誘導物質0.5〜20倍の比率が好ま しく、より好ましくは1〜1.5倍である。
【0012】 さらに忌避具の核となる鉱物としては、二酸化珪素、ゼオライト、セピオライ ト等が挙げられる。鉱物の形状は、粒状、顆粒状の他、必要に応じて適宜成形し ても良い。 忌避成分と脂肪酸または脂肪酸誘導物質が100℃程度で完全に溶解した溶解 液は、上記鉱物のうちの少なくとも1種に混合され、含浸される。鉱物1に対し 脂肪酸または脂肪酸誘導物質0.1〜10倍の比率が好ましく、より好ましくは 0.5〜1.5倍である。
【0013】 このように上記溶解液を鉱物と混合して、鉱物に添着させた後、冷却すると、 上述した作用により忌避成分は、鉱物により吸着又は担持され、脂肪酸または脂 肪酸誘導物質により被覆される。冷却速度は、組成や生産性によって適宜選択さ れる。
【0014】 更に揮発性をコントロールするため、忌避具はフィルムにより包装されること ができる。フィルムはポリオレフィン、ナイロン、有孔ナイロン/ポリエチレン ラミネートフィルム、有孔ポリエステル/ポリエチレンラミネートフィルム等が 例示され、特に有孔ナイロン/ポリエチレンラミネートフィルムが好ましい。こ れらのうち少なくとも1種のフィルムを使用する。また、フィルムの透過性は、 1〜200ml/m/24Hatmのものが好ましく、特に50〜100ml/m /24Hatmが好ましい。 上記した忌避成分と脂肪酸または脂肪酸誘導物質、鉱物との比率等の被覆条件 、フィルム透過性等の包装条件を選択すれば、AITの透過量すなわち徐放濃度 、徐放期間を自在にコントロールでき、多岐にわたって応用することができる。
【0015】
【実施例】
次に、本考案を、実施例を挙げて具体的に説明する。 (実施例1) AIT 15g、ユーカリプトール 5g、カルナバ蝋 30gを容器に入れ 、攪拌を続けながら加熱し、100℃まで上昇させ、完全に溶解させた。次に別の 容器に焼成したセピオライト 50gを入れ、激しく攪拌しながら前記加熱溶解 した混合液を加え、添着させた。次いでこれを20〜30℃まで冷却して固化さ せて粒状物質を得た。この粒状物質を、有孔ナイロン10μm/ポリエチレン40μ mラミネートフィルム(5×7cm、透過性 50ml/m/24Hatm)の袋に 5g充填し密封した。これをサンプルとして、以下の忌避テストに供した。
【0016】 (忌避テスト方法) 供試動物:クマネズミ(Rattus rattu)、成獣5個体(雄3、雌2、体重142 〜165g)、横浜駅周辺のビルから採集し、温度21〜24℃、湿度30〜7 0%の室内環境下で飼育中の個体を用いた。 試験方法:両端を餌場に、中央部分を巣場所にした実験用装置(図2参照)内に 、クマネズミを1個体放した。図2は、実験用装置の平面模式図であり、餌場A 、B中、○印は餌、□印は水を示す。数日後、クマネズミが両餌場に通うことを 確認し、その後、一方の餌場内にサンプルを配置し、原則として1日後に両餌場 A、Bの摂食量を測定した。試験系としては、次の通りであった。 ネズミがどちらかの餌場を選択できる状態で、一方の餌場にサンプルを配置 して相対的忌避効力の有無を検討し、その効力が認められた場合、サンプルの 配置場所を入れ替えた。以上の試験で相対して忌避効力が認められた場合、サ ンプルを配置した餌場にのみ餌を配置し、絶対的忌避効力の有無を検討した。 これを、テスト開始から30日間の間行った。 なお、両餌場はいずれも広さ0.064m(40×40×40cm)であり、 両餌場には1日当たり、餌として粉末飼料(オリエンタル酵母工業社製、MF)を2 0g、水を150ミリリットルずつ配置し、サンプルから徐放される有効成分の 漏出をできるだけ少なくするためにネズミ用の出入り口(2×4cm)を除いて餌 場を密閉した。 テスト結果: 良好(30日目でも、相対的忌避効果、絶対的忌避効果のいずれ も認められる)。
【0017】 (実施例2〜実施例4、比較例1) 表1の実施例2〜実施例4に示す組成とした以外は実施例1と同様にして、サ ンプルを作製して忌避テストに供した。また、比較例1として、忌避具を用いず に忌避テストに供した。 テスト結果を表1に併記する。
【0018】
【表1】
【0019】 (実施例5) 実施例1で得られたサンプルを3×7×0.5cm、透過性 100ml/m /24Hatm)のカセットに10g充填し密封した。これをAITカセットサンプ ルとして、以下の徐放テストに供した。 1リットルビーカー(容量1.3リットル)にAITカセットサンプルを1個 入れ、市販のラップフィルムを貼って密封し、1時間当たりのAIT放出量を測 定した。なお、実験中サンプル及びビーカーは10℃に保冷しておいた。 8ヶ月後までの、サンプル数n=4での平均AIT放出量を表2に示す。この データから、60リットル中で3年後の予測ラインを換算すると、上限値は0. 56ppm、下限値は0.35ppmであり、3年間有効に徐放し続けると推察 できる。
【0020】
【表2】
【0021】
【考案の効果】
以上、説明したように、本考案によれば、長期間に渡って有効量の忌避成分の 揮散放出を継続できる。また、忌避成分の徐放濃度、徐放期間を自在に調整可能 であり、多岐に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の忌避具の一例の断面模式図である。
【図2】本考案の実施例に使用する実験用装置の平面模
式図である。
【符号の説明】
1 忌避部材 2 外皮部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI A01N 25/34 A01N 25/34 Z

Claims (2)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 イソチオシアン酸化合物を主とした忌避
    成分が二酸化珪素、ゼオライト、セピオライトのうち少
    なくとも1種からなる基材に吸着または担持された粒体
    形状の忌避部材と、脂肪酸、脂肪酸アミド、蝋のうち少
    なくとも1種からなり、前記忌避部材を覆う形状に成形
    された外皮部材とを備えていることを特徴とする忌避
    具。
  2. 【請求項2】 イソチオシアン酸アリル、イソチオシア
    ン酸ブチルまたはその誘導体を主とした忌避成分が二酸
    化珪素、ゼオライト、セピオライトのうち少なくとも1
    種からなる基材に吸着または担持された粒体形状の忌避
    部材と、脂肪酸、脂肪酸アミド、蝋のうち少なくとも1
    種からなり、前記忌避部材を覆う形状に成形された外皮
    部材とを備えていることを特徴とする忌避具。
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