JP3070183B2 - 調光材料およびそれを用いた調光素子 - Google Patents

調光材料およびそれを用いた調光素子

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JP3070183B2 JP3262374A JP26237491A JP3070183B2 JP 3070183 B2 JP3070183 B2 JP 3070183B2 JP 3262374 A JP3262374 A JP 3262374A JP 26237491 A JP26237491 A JP 26237491A JP 3070183 B2 JP3070183 B2 JP 3070183B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、調光材料およびそれを
含む調光素子に関する。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】液晶とそ
れを保持する高分子よりなる調光材料は、電界無印加時
には高分子の屈折率と液晶の屈折率との差等により入射
光が散乱する為、くもり状態となり、また電界が印加さ
れると液晶が、その電場方向に向って整列する為に、高
分子の屈折率と液晶の屈折率とが、近い値となる等の原
因等により透明状態になる。又、電界をはずすと元のく
もり状態になる。
【0003】この様な性質を利用した調光素子が例えば
特開昭63−271233号公報、および特開平1
−252689号公報に開示されている。しかし前記
およびにはいずれも本発明の前記一般式(I)で示さ
れるイソシアヌール酸系化合物と前記一般式(II)で示
されるアクリレート系化合物との組み合せの開示はな
い。
【0004】調光素子には、任意の透過率、繰り返し応
答性、電圧感受性、応答速度、膜の均一性、耐光性、耐
熱性、耐水性等の耐久性等が要求されるが、前記及び
はこれらの要求を満足しうる特性を有するものとは言
えなかった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を
解決するものであり、特に、膜の均一性、透過率、繰り
返し応答性、電圧感受性等の課題を解決するものであ
る。すなわち、本発明は液晶と高分子を含む、電界の印
加の有無により光の透過散乱を制御する調光材料におい
て前記高分子が前記請求項1に記載の一般式(I)で示
されるイソシアヌール酸系化合物および一般式(II)で
示されるアクリレート系化合物から成る重合性組成物を
共重合させて得られる高分子であることを特徴とする調
光材料およびそれを少くとも一方が透明な、内面に電極
を有する一対の基板間に挟持して構成されることを特徴
とする調光素子を要旨とするものである。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。前記高分
子を形成する単量体である一般式(I)のR1 および一
般式(II)のR2 は水素原子又はメチル基を示し、一般
式(I)において、pは2または3を示し、Xは、
【0007】
【化3】
【0008】一般式(II)においてR3 はメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル
基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ド
デシル基、トリデシル基、ペンタデシル基、ステアリル
基等の炭素数1〜18の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキ
ル基;シクロヘキシル基;テトラヒドロフルフリル基;
【0009】
【化4】
【0010】−CH2 CH2 CH(CH3 )−,−CH
2 C(CH3 2 CH2 −,−CH(CH3 )CH
2 −,−CH2 CH(CH3 )−,−CH(CH3 )−
(CH2 3 −,−CH(CH3 )CH2 CH2 −,−
CH2 C(C4 9 2 CH2 −等の炭素数2〜11の
直鎖もしくは分岐鎖状のアルキレン基を示し、R5 は、
メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等の炭素数1
〜8の直鎖状もしくは分岐鎖状アルキル基を示し、nは
1〜10の整数を示す。〕を示す。
【0011】一般式(I)で表される化合物としては、
好ましくは、R1が、水素原子で、p=2,qが0であ
り、A1 〜A3 が同じである化合物、R1 が水素原子で
1 〜A3 の少くとも1つの基のXが
【0012】
【化5】
【0013】一般式(II)としては、下記表1に示され
るアクリレート系化合物を挙げることが出来る。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【表3】
【0017】液晶としてはネマチック液晶、コレステリ
ック液晶、スメクチック液晶のいずれも使用することが
できる。本発明で用いるネマチック液晶としては、動作
温度範囲でネマチック状態を示すものであれば、かなり
広い範囲で選択することができる。またこのようなネマ
チック液晶に後述の旋光性物質を加えることにより、コ
レステリック状態をとらせることができる。ネマチック
液晶の例としては下記表4,5,6に示される物質、あ
るいはこれらの誘導体があげられる。
【0018】
【表4】
【0019】
【表5】
【0020】
【表6】
【0021】上記表4,5,6中、R′はアルキル基又
はアルコキシ基を、Rはアルキル基を、X′はアルキル
基、アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロ
メチル基、トリフルオロメトキシ基又はハロゲン原子を
表わす。又、上記表4,5,6中のベンゼン環は更にフ
ッ素原子で置換されてもよい。
【0022】本発明で用いる液晶としては、表4,5,
6に示した液晶又はそれらを含む混合物のいずれでもよ
いが、例えばメルク社からZLI−1132、ZLI−
1840あるいはZLI−1565という商品名で販売
されている液晶又はBritish Drug Hou
se社からE−7、E−8、E−37、E−44、E−
46あるいはBL001〜BL020という商品名で販
売されている液晶等が使用される。
【0023】また、このようなネマチック液晶に以下の
旋光性物質を加えることにより、コレステリック状態を
とらせることができる。本発明の液晶組成物に用いる旋
光性物質としては、カイラルネマチック化合物、例え
ば、2−メチルブチル基、3−メチルブトキシ基、3−
メチルペンチル基、3−メチルペントキシ基、4−メチ
ルヘキシル基、4−メチルヘキトキシ基などの光学活性
基をネマチック液晶に導入した化合物がある。また、特
開昭51−45546号に示す1−メントール、d−ボ
ルネオール等のアルコール誘導体、d−ショウノウ、3
−メチルシクロヘキサン等のケトン誘導体、d−シトロ
ネラ酸、1−ショウノウ酸等のカルボン酸誘導体、d−
シトロネラール等のアルデヒド誘導体、d−リノネン等
のアルケン誘導体、その他のアミン、アミド、ニトリル
誘導体などの光学活性物質を使用することができる。
【0024】更に、本発明で用いるスメクチック液晶と
しては、スメクチックA液晶、スメクチックカイラルC
液晶が挙げられる。前記の液晶、前記一般式(I)と
(II)の単量体からなる重合性組成物および光重合開始
剤を混合し、場合により加熱して均一溶液にして紫外線
または電子線等で露光する。その結果、共重合物と液晶
は相分離状態となり、調光材料を得ることが出来る。
【0025】この時一般式(I)の化合物と一般式(I
I)の化合物の使用割合は、10/1〜1/10(化合
物(I)/化合物(II);重量比)で使用することが好
ましく、1/1〜1/10がより好ましい。また、一般
式(I)の化合物と一般式(II)の化合物は各々1種以
上を混合してもよい。
【0026】また、均一溶液中に占める液晶の比率は、
40〜90重量%で使用出来、好ましくは65〜85重
量%で使用出来る。光重合開始剤としては、2,2−ジ
メトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキ
シ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等を
挙げることが出来る。
【0027】また、必要に応じて、界面活性剤、光安定
化剤、色素、連鎖移動剤、光増感剤、加橋剤等を併用す
ることが出来る。一方、本発明の調光素子の電極として
はITO等の透明電極が用いられ、電極用基板として
は、ガラスまたはポリエステル等のプラスチック板のよ
うな透明基板が挙げられる。
【0028】一対の透明な電極基板を使用する場合に
は、透過型調光素子として使用出来、一方が透明で他方
が不透明な電極基板を使用する場合には、不透明な電極
基板の後に反射性層を置くことにより、反射型調光素子
として使用出来る。本発明の調光素子は、例えば前述の
液晶、重合性組成物及び光重合性開始剤並びに必要に応
じて各種添加剤を含む均一溶液としてそれを上記電極を
有する基板間に挟み、露光して該重合性組成物を重合さ
せることによって製造することができる。
【0029】
【実施例】次に本発明を実施例により具体的に説明する
が本発明は以下の実施例に限定されるものではない。 実施例1 イソシアヌール酸系化合物Ia(一般式(I)でR1
H,q=0,A1 =A 2 =A3 ,p=2)0.1g、ア
クリレート系化合物IIa(一般式(II)でR2 =H,R
3 =C4 9 (n))0.2g、重合開始剤として2,
2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン0.00
6g、液晶としてE−8(BDH社製)0.7gと混合
して、均一溶液を得、この溶液中に直径10μmのプラ
スチック(ジビニルベンゼン共重合体)製スペーサー
0.015gを加え、この混合液を6cm×9cmの大
きさのITO付プラスチック(ポリエチレンテレフタレ
ート)の間に挿入し、紫外線照射装置により露光するこ
とにより亀裂等のない均一な調光素子が得られた。与え
たエネルギーは800mJに相当する。
【0030】得られた調光素子に電界を印加しない場合
(b)と100Vの交流(60Hz,正弦波)を印加し
た場合(a)の透過率スペクトルを図1に示す。尚、電
界を外すと元の電界を印加しないスペクトルに戻った。
図1に示すごとく広い波長領域にわたって良好な透過率
差を示した。600nmの波長で見ると、69%の透過
率差を示した。また、この調光素子は40V印加で、透
過率変化が飽和に達し、100V印加と同等の透過率と
なり、良好な電圧感受性を示した。
【0031】実施例2〜10 下記の表7の一般式(I)、一般式(II)の化合物およ
び液晶を使用し、他は実施例1と同様に処理して、亀裂
等のない均一な調光素子を作成し、100V交流(60
Hz,正弦波)印加時と無印加時の透過率変化を測定し
た。その結果を以下の表7に示す。
【0032】
【表7】
【0033】比較例1 イソシアヌール酸系化合物Ia(一般式(I)でR1
H,p=2,q=0,A1 =A2 =A3 )0.3g、重
合開始剤として2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセ
トフェノン0.006g、液晶としてE−8(BDH社
製)0.7gを混合して、均一溶液を得、この溶液中に
直径10μmのプラスチック(ジビニルベンゼン共重合
体)製スペーサー0.015gを加え、この混合液を6
cm×9cmの大きさのITO付プラスチック(ポリエ
チレンテレフタレート)の間に挿入し、紫外線照射装置
により露光することにより亀裂等のない均一な調光素子
が得られた。与えたエネルギーは800mJに相当す
る。得られた調光素子に100Vの交流(60Hz,正
弦波)を印加したが、透過率変化はほとんど起らず、調
光素子として駆動出来ないことがわかった。
【0034】比較例2 モノアクリレート系化合物IIa(一般式(II)でR2
H,R3 =C4 9 (n))0.3g、重合開始剤とし
て2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン
0.002g、液晶としてE−8(BDH社製)0.7
gを使用し、他は実施例1と同様に処理して調光素子を
作成したが、相分離が全んど起らず、均一な調光膜は得
られなかった。
【0035】
【発明の効果】本発明によって得られる調光材料は膜の
均一性が良好であり、該調光材料を使用した調光素子は
電界印加時と無印加時の透過率差、電圧感受性、繰り返
し応答性等に優れ表示装置、調光窓等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の調光素子の電界印加時と無印加時の
透過率スペクトル図。
【符号の説明】 図1における縦軸は透過率、横軸は波長を表わし、また
aは調光素子に電界(100V交流、500Hz、正弦
波)を印加した時の透過率スペクトルを表わし、bは電
界を印加しない時の透過率スペクトルを表わす。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C09K 19/38 C09K 19/38 (56)参考文献 特開 平2−109745(JP,A) 特開 平4−264521(JP,A) 特開 平1−312527(JP,A) 特開 平2−271319(JP,A) 特開 平2−272424(JP,A) 特開 平2−269313(JP,A) 特表 平2−502834(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1334 C08F 220/18 C08F 220/28 C08F 220/36 C08F 299/02 C09K 19/38

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液晶とそれを保持する高分子を含む電界
    の印加の有無により光の透過散乱を制御する調光材料に
    おいて、該高分子が下記式(I) 【化1】 で示されるイソシアヌール酸系化合物と、 一般式 CH2 =CR2 −COOR3 (II) 〔式中、R2 は水素原子又はメチル基を示し、R3 は炭
    素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、テトラ
    ヒドロフルフリル基、または、 【化2】 で示されるアクリレート系化合物を共重合させて得られ
    る高分子であることを特徴とする調光材料。
  2. 【請求項2】 少くとも一方が透明な内面に電極を有す
    る一対の基板間に請求項1に記載の調光材料を挟持して
    構成されることを特徴とする調光素子。
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