JP3066495B1 - 活性アルミナにニッケルを担持した触媒を用いての水素化フラ―レンの製造及び水素化フラ―レンからの水素の回収 - Google Patents

活性アルミナにニッケルを担持した触媒を用いての水素化フラ―レンの製造及び水素化フラ―レンからの水素の回収

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Abstract

【要約】 【課題】 水素貯蔵材料としての水素化フラーレンを効
率よく製造する方法及び該水素化フラーレンから水素を
回収する方法を提供する。 【解決手段】 ニッケルを活性アルミナに含浸担持した
Ni/Al2 3 触媒を用いることにより、C60フラー
レンを水素化フラーレンに又は該水素化フラーレンをC
60フラーレンに変換することを特徴とするフラーレンの
変換方法、ニッケルを活性アルミナに含浸担持したNi
/Al23 触媒によるフラーレンの変換反応を利用し
て、穏和な水素化条件において高効率かつ高選択性にC
60フラーレンをC6036に変換することを特徴とする水
素化フラーレンの製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素化フラーレン
を製造する方法及び該水素化フラーレンから水素を回収
する方法に関するものであり、更に詳しくは、ニッケル
を活性アルミナに含浸担持したNi/Al23 触媒に
よるフラーレンの変換反応を利用して、高効率かつ高選
択性にC60フラーレンをC6036に変換することにより
水素化フラーレンからなる水素貯蔵材料を製造する方法
及び上記触媒上で逆反応を利用することにより該水素化
フラーレンをC60フラーレンに変換し水素を回収する方
法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】今世紀を「石油の時代」とするならば、
21世紀は「水素の時代」であると云えよう。エネルギ
ー消費の増大により、近い将来に、石油・石炭等の化石
資源の枯渇が問題となるのは火を見るより明らかであ
り、太陽エネルギーを一次エネルギー源とする「水素の
時代」に転換して行かざるを得ない。すなわち、水素の
製造・輸送・貯蔵・利用等に関する技術を制する企業が
21世紀を勝ち残るといっても過言ではない。自動車産
業では蓄電池とエンジンの併用型の電気自動車がすでに
実用化されているが、水素を利用した燃料電池型自動車
の投入ももうすぐそこまできている。地球温暖化の原因
ともなる二酸化炭素の排出がないクリーンなエネルギー
である水素をいかにして利用していくか、これが次世代
ハイテク産業の中心課題となるのは確実であろう。
【0003】本発明者らは、水素関連技術の中でも「水
素の輸送及び貯蔵」にターゲットを絞り込み、いかに軽
い貯蔵材料を開発するかに力点をおいて研究開発を進め
てきた。貯蔵材料としてはランタン・ニッケルハイドラ
イド(LaNi56 )など、いわゆる金属系化合物の
水素脆性を利用したものがこれまでによく研究されてい
る。しかしながら、これらは金属であるがゆえ、重量比
にしてせいぜい1wt.%程度しか水素を貯蔵すること
ができない(LaNi56 では1.4wt.%)。金
属材料を用いる限りこれ以上の貯蔵率を望むのは原理的
に難しい。一方、炭素材料は質量数12のカーボンのみ
から組み立てられており、もしこれを貯蔵材料として利
用可能ならば金属系材料をしのぐような比率で水素を貯
蔵できるかもしれない。
【0004】Ru、Rhなど高価な貴金属触媒を用いて
水素化フラーレンを作製した例は多いが、安価なNiを
用いた例は極めて少ない。唯一の例は重松らがニッケル
をケイソウ土に担持して作製したNi/ケイソウ土触媒
を用いてフラーレンの水素化を行っている(K.Shi
gematsu et al.,ChemistryE
xpress,,p483−486(1993))。
しかしながら、100気圧・180℃の厳しい条件下に
おいて付加した水素の数は約30個(C6030,m/z
750)であった。また500mgの出発原料に対して
回収した水素化フラーレンはたかだか167mgと、回
収率が非常に悪い(約33%)。これは担体として用い
たケイソウ土が出発原料のC60フラーレン及び生成物の
水素化フラーレンをかなり吸着たためと考えられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このような状況の中
で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、炭素材料の
フラーレンに着目し、穏和な条件下でフラーレンの水素
化及び該水素化フラーレンからの水素の回収を高効率か
つ高選択的に行うことができる新しいフラーレンの変換
方法の確立と優れた水素貯蔵材料の開発等を目標として
鋭意研究を積み重ねた結果、ニッケルを活性アルミナに
含浸担持したNi/Al23 触媒を用いることにより
初期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成す
るに至った。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の本発明は、以下の技術的手段から構成される。 (1)ニッケルを活性アルミナに含浸担持したNi/A
23 触媒を用いることにより、C60フラーレンを水
素化フラーレンに又は該水素化フラーレンをC60フラー
レンに変換することを特徴とするフラーレンの変換方
法。 (2)ニッケルを活性アルミナに含浸担持したNi/A
23 触媒によるフラーレンの変換反応を利用して、
60 フラーレンをC6036に変換することを特徴とする
水素化フラーレンの製造法。 (3)前記(1)記載の変換反応を用いて、水素をC60
フラーレンに導入し水素を水素化フラーレンC6036
変換することを特徴とする水素貯蔵材料の製造方法。 (4)ニッケルを活性アルミナに含浸担持したNi/A
23 触媒によるフラーレンの変換反応を利用して、
水素化フラーレンC6036の脱水素反応を行い、水素化
フラーレンC6036をC60フラーレン及び水素に変換
し、回収する方法。
【0007】
【発明の実施の形態】次に、本発明について更に詳細に
説明する。本発明は、上記のように、炭素材料のC60
ラーレンを水素化フラーレンに変換することにより、効
率よく水素を貯蔵(水素貯蔵率4.8wt%)するこ
と、及び該水素貯蔵材料から簡便な方法で効率よく水素
を回収することを特徴とするものである。本発明者らは
炭素材料としてフラーレンに着目し、それへの水素貯蔵
を試みたC60フラーレンは60個の炭素原子からなる球
状分子で、分子内に30の不飽和結合を有する極めて特
異な物質である。煤からのフラーレン抽出という簡便な
方法が1990年にクレッチマーらによって報告されて
以来、年々コストも低下してきている。
【0008】本発明者らは、フラーレン及び水素化フラ
ーレンをほとんど吸着しないであろう活性アルミナを担
体に用いて担持ニッケル触媒を作製し、穏和な条件下で
フラーレンの水素化(C60→C6036)及び水素化フラ
ーレンからの水素の回収(C6036→C60)を行った。
その結果、50気圧・100℃あるいは25気圧・15
0℃などの穏和な条件下においても高効率(約100
%)かつ高選択的(約100%)にC60フラーレンから
6036を製造した。また、製造した水素化フラーレン
を、上記触媒のもと、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気
下にて150度で加熱攪拌処理を行ったところ、水素が
回収され、またC60フラーレンも分解することなしに回
収した。
【0009】本発明で使用する、ニッケルを活性アルミ
ナに含浸担持したNi/Al23 触媒は、硝酸ニッケ
ル水溶液に活性アルミナを含浸し、ゆっくりと水分を蒸
発させた後、一晩乾燥機で乾燥し、その後、500℃で
3時間焼成してNiO/Al23 を調製した。担持量
はNiが10wt%である。反応前に水素雰囲気下で5
00℃で3時間還元処理し、Ni/Al2 3 を作製し
た。上記方法において、水素化条件としては、水素圧力
が25−75気圧、反応温度が100−250℃で1〜
24時間の攪拌が例示される。これにより、効率約10
0%、選択率約100%によりC60フラーレンをC60
36に変換することができる。また、上記方法において、
脱水素反応の条件としては、ヘリウム雰囲気下、150
℃で3日間加熱還流、が例示される。これによりC60
ラーレンを分解することなしに水素を回収することがで
きる。
【0010】次に、水素貯蔵材料としてのカーボンにつ
いて説明する。フラーレンへの水素化は約2300kJ
/molの発熱を伴うダウンヒル反応であり、比較的容
易に進行した。一方、水素化フラーレンからの水素引き
抜きはこの逆反応であるから正反対よりより多くのエネ
ルギーを必要とする。軽くて空気中でも安定で貯蔵率の
大きいこの固体水素化合物は、自動車・飛行機など瞬時
に水素を取り出すところに搭載するよりも、長距離運送
・長期貯蔵に向いているといえる。本発明の水素貯蔵材
料の利用の態様は次のとおりである。例えば、自然エネ
ルギーを豊富に有する地域(砂漠地帯など)で得たエネ
ルギーを水素に変換したのち、エネルギー多消費地に運
ぶ。エネルギー多消費地では運んできた水素を荷揚げ
し、発電や水素自動車、化学工業原料等に使う。この両
者を結ぶ橋渡しにフラーレンは好適に利用できる。軽く
てかさばらない、それでいて酸素雰囲気下においても2
80℃までなら酸化せず安定に固体として存在するので
あれば、長距離輸送には極めて有望な水素貯蔵材料と考
えられる。本発明の水素貯蔵材料にはいろいろな用途が
考えられるが、それは、どのような性能を有する材料が
どこに必要かを見極めた上で材料設計すればよく、その
範囲は特に限定されるものではない。
【0011】
【実施例】次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説
明する。以下の実施例は本発明の好適な一例を示すもの
であり、本発明は該実施例によって何ら限定されるもの
ではない。 実施例 (1)水素化フラーレンの作製 フラーレンはヘキスト製のC60(純度約100%)を用
いた。触媒は活性アルミナ(住友化学、KHS−46)
にニッケルを10wt.%含浸担持させたものを用い
た。内径3.9cm、内容積390mlのステンレス製
反応容器に、C60 (100mg)をトルエン(200m
l)に溶解した溶液を触媒(Ni/Al2 3 ,2g)
とともに注いだ。オートクレーブ(高圧反応装置)に反
応容器をトルクレンチを用いてセットした後、溶液内を
バブリング水素で置換した(500ml/min,15
min)。水素置換後、所定の水素圧力にセットし、漏
れがないことを確認してから目的の温度まで昇温した。
攪拌器を約33回/分の速度で回転させ、溶液と触媒と
の接触を均一にした。本装置には攪拌に伴って容器内の
気相水素をバブリング循環させる機能が備わっている。
従って、容器の上部に高圧で詰まっている水素は、バブ
リング管を通して容器最下部まで導かれ循環する。反応
後、溶媒を除去し残留物の物性をmass(質量分析装
置)やFT−IR、UV、XRD、TG、DTAなどに
より調べた。
【0012】(2)水素化フラーレンからの水素の回収 また、水素化フラーレンからの水素の取り出しを、同触
媒を用いた逆反応により検討した。上記(1)の手順で
水素化フラーレンを作製した後に、反応溶液を触媒ごと
三口フラスコに移した。リービッヒ冷却管をつけて15
0℃で3日間、ヘリウム雰囲気下で加熱還流した。反応
後、触媒と溶媒を除去し、残留物の物性を質量分析装置
で調べた。
【0013】(3)結果 図1に水素化反応を150℃で2時間行った時の温度・
圧力変化を示した。初期水素圧力は50kg−f/cm
2 である。約1時間かけて目標の150℃に到達した。
到達後、圧力が徐々に低下した。2時間後には、約6.
5kg−f/cm2 の圧力低下が認められた。図2に反
応前後の可視スペクトルを示した。反応前はC60の紫色
に起因する可視吸収が450−700nmに観測された
が、反応後にこれらの吸収はかなり弱くなっていること
がわかる。これは共役二重結合がC−H結合に取って替
わったためと考えられる。溶媒をエバポレーターで除去
した後、残留物を質量分析計で分析した。その質量スペ
クトルを図3に示す。m/z756の強い応答が認めら
れた。原料を示すm/z720は見あたらないことか
ら、水素化反応によりC6036がかなり選択的に生成し
ていることが示唆された。完全に水素化されたとされる
6060(m/z780)は認められなかった。
【0014】生成物のFT−IR、UV、XRDスペク
トルを調べた結果、C60は1426.1、1180.
2、573.7、525.5cm-1にIR吸収を示す一
方、生成物は2912.9、2847.4、1625.
7、1457.0、1384.6、668.2cm-1
吸収を示した。これはHauflerらがBirch還
元で得たC6036のIRスペクトルと一致した。また、
60は223、257、329、377nmにUV吸収
を示す一方、生成物は220nmのみに吸収を示した。
ブタジエンタイプのπ−π吸収がこのあたりにあること
から、やはり水素化により共役二重結合性が失われたも
のと考えられる。ちなみに、このUVスペクトルもHa
uflerらによって報告されているものと一致した。
また、XRDスペクトルでも体心立方格子(bcc)の
6036のパターンと一致した。以上、massやI
R、UV、XRDの結果から、水素化反応によりC60
36が選択的に生成していることが判明した。
【0015】図2の可視吸収変化(600nm)からC
60の見かけの転化率が計算できる。一方、見掛けの収率
(φ)を生成物(mg)/反応物(mg)の比から求め
た。図4には、時間変化における転化率と収率の関係を
示した。数時間後に転化率はほぼ100%に達した。ま
た収率もほぼ100%に近い。溶媒であるトルエンのメ
チルシクロヘキサンへの転化率をガスクロマトグラフィ
ーにより求めた結果、時間経過とともに転化率と圧力減
少量が協奏的に増大していくことがわかった。このこと
は圧力減少の主な要因が溶媒であるトルエンの水素化に
よるものであることを示唆している。
【0016】水素化反応における温度効果を調べた結
果、50、100℃では反応物であるC60を含む多数の
massピークが観察された。とくに50℃の反応では
かなりの未反応のC60が回収された。これは低温反応に
よる低活性・低選択性の結果であろう。150℃以上で
は図3に示したように、C6036が選択的に生成した。
ちなみに250℃においてもC6036のみが認められ、
6060の生成は認められなかった。圧力減少とトルエ
ン水素化の関係を調べた結果、やはり両者には強い相関
関係があるものと思われる。また、圧力を25−75k
g−f/cm2 に変化させたときの結果によると、この
圧力範囲内においては、しかるべき圧力効果は認められ
なかった。
【0017】本実施例における温度(150−250
℃)・圧力(25−75kg−f/cm2 )範囲では、
6060の生成や水素化フラーレンの分解はともに認め
られなかった。高選択的にC6036の生成が認められた
のは、水素化フラーレンの中でもC6036が構造的にも
っともひずみが小さいためと考えられる。C6036の水
素貯蔵率は4.8wt.%である。この数字はランタン
−ニッケル系金属(1.4wt.%)に比べてずっと大
きな値であり、水素貯蔵材料としての用途が期待され
る。
【0018】空気中における水素化フラーレンの熱安定
性を調べるため、TG−DTAを行った。図5に空気中
におけるC6036のTG−DTAの結果を示した。28
0℃と400℃に発熱ピークが認められ。前者では重量
増加が、後者では重量減少が認められた。それぞれ、C
6036の部分酸化及び燃焼によるものと考えられる。モ
ル比から計算すると部分酸化によりC60364.8 が生
成していることが示唆された。現時点で部分酸化化合物
がエポキサイドとして存在しているのかどうか不明であ
るが、C6036には12個の孤立した二重結合が存在し
ており、もしエポキシ化がおきているとするなら、約1
/3の二重結合がエポキシ化された計算になる。
【0019】C6036のヘリウム雰囲気下におけるTG
−DTAの結果を図6に示した。ヘリウム下ではC60
36の部分酸化や燃焼などはむろんおこらないものの、約
420℃位からC6036の分解が始まることが判明し
た。ヘリウム下におけるC6036のTPD(Temperatur
e-Programmed Degradation)の結果もTG−DTAの結
果を支持している。すなわち、ひずみを有するC6036
は熱的に不安定で、420℃あたりから自己分解するこ
とが判明した。一方、C60はヘリウム下で分解せず、8
00℃付近で昇華が始まることも見いだした。
【0020】水素貯蔵材料にとって水素脱着も重要であ
る。Ni/Al23 を用いて水素化したフラーレン
を、今度は逆反応を利用して脱水素化した。水素化した
フラーレン溶液を、触媒ごとリービッヒ冷却管を装置し
た三口フラスコに移し、ヘリウム雰囲気で丸1日150
℃で加熱還流させた後の質量スペクトルを図7に示す。
図3におけるC6036のピークがかなり小さくなる一方
で、C60のピークが大きく出現してきたことがわかる。
これは触媒反応により、逆反応である脱水素化が徐々に
進行していたことを示唆する。
【0021】(4)水素化フラーレンC6036の水素貯
蔵材料としての有用性 5wt.%−Rh/Al23 を用いて水素化したフラ
ーレン(図8)を、逆反応を利用して脱水素化した。水
素化したフラーレン溶液を、触媒ごとリービッヒ冷却管
を装置した三口フラスコに移し、ヘリウム気流下で3日
間150℃で加熱還流させた後の質量スペクトルを図9
に示す。C6036やC6018のピークがかなり小さくな
る一方で、C60のピークが大きくなっていることがわか
る。これはRh触媒上で脱水素反応が徐々に進行したこ
とを示唆する。また、同じ水素化フラーレンをジクロロ
ジシアノベンゾキノン(DDQ,m/z227)と12
0℃で30分反応(加熱還流)させたときの質量スペク
トルを図10に示した。C6036やC60H18のピークは
ほとんど消失し、原料であるC60の回収が認められた。
一方、ジクロロジシアノベンゾキノンは水素を二つもら
い受けてジクロロジシアノジハイドロベンゼン(DH
B,m/z229)に変化していることがわかる。すな
わち、ジクロロジシアノベンゾキノンをメディエーター
として用いることにより、C60からの水素の引き抜きを
容易にすることが可能であることが示唆された。これら
の結果から、水素化フラーレンは水素貯蔵材料として有
用であることが示される。
【0022】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明は、ニッケ
ルを活性アルミナに含浸担持したNi/Al23 触媒
によるフラーレンの変換反応を利用して、穏和な水素化
条件において高効率かつ高選択性にC60フラーレンをC
6036に変換することを特徴とする水素化フラーレンの
製造法、水素をC60フラーレンに導入し水素を水素化フ
ラーレンC6036に変換することを特徴とする水素貯蔵
材料の製造方法、ニッケルを活性アルミナに含浸担持し
たNi/Al23 触媒によるフラーレンの変換反応を
利用して、水素化フラーレンC6036の脱水素反応を行
い、水素化フラーレンC6036をC60フラーレン及び水
素に変換し、回収する方法に関するものであり、本発明
により、1)水素貯蔵材料として有用な水素化フラーレ
ンを高効率かつ高選択性に製造することができる、2)
該水素化フラーレンから効率よく水素を回収することが
できる、3)フラーレンの変換方法を提供することがで
きる、4)水素貯蔵の高い優れた水素貯蔵材料を提供す
ることができる、5)水素の貯蔵、利用技術を提供する
ことができる、等の格別の効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】水素化反応を150℃で行ったときの温度・圧
力変化を示す。
【図2】反応前後の可視スペクトルを示す。
【図3】質量スペクトルを示す。
【図4】時間変化における転化率と収率の関係を示す。
【図5】TG−DTAの結果を示す。
【図6】ヘリウム雰囲気下におけるTG−DTAの結果
を示す。
【図7】Ni/Al2 3 による脱水素化フラーレンの
質量スペクトルを示す。
【図8】水素化フラーレンの質量スペクトルを示す。
【図9】水素化フラーレンを加熱還流させた後の質量ス
ペクトルを示す。
【図10】DDQで脱水素化したときの質量スペクトル
を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C07B 61/00 300 B01J 23/74 321M 321Z (56)参考文献 特開 平5−229966(JP,A) 特開 平5−117174(JP,A) 特開 平5−270801(JP,A) Fullerene Science & Technology 1[3 ](1993)p309−318 Chemistry Express 8[7](1993)p483−486 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 31/02 101 C01B 3/00 C07C 1/00 C07C 13/32 CA(STN)

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケルを活性アルミナに含浸担持した
    Ni/Al23触媒を用いることにより、C60フラー
    レンを水素化フラーレンに又は該水素化フラーレンをC
    60フラーレンに変換することを特徴とするフラーレンの
    変換方法。
  2. 【請求項2】 ニッケルを活性アルミナに含浸担持した
    Ni/Al23触媒によるフラーレンの変換反応を利
    して、C 60 フラーレンをC6036に変換することを特
    徴とする水素化フラーレンの製造法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の変換反応を用いて、水素
    をC60フラーレンに導入し水素を水素化フラーレンC60
    36に変換することを特徴とする水素貯蔵材料の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ニッケルを活性アルミナに含浸担持した
    Ni/Al23触媒によるフラーレンの変換反応を利
    用して、水素化フラーレンC6036の脱水素反応を行
    い、水素化フラーレンC6036をC60フラーレン及び水
    素に変換し、回収する方法。
JP11082789A 1999-03-26 1999-03-26 活性アルミナにニッケルを担持した触媒を用いての水素化フラ―レンの製造及び水素化フラ―レンからの水素の回収 Expired - Lifetime JP3066495B1 (ja)

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