JP3065788B2 - 圧延機および圧延方法 - Google Patents

圧延機および圧延方法

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JP3065788B2
JP3065788B2 JP4127795A JP12779592A JP3065788B2 JP 3065788 B2 JP3065788 B2 JP 3065788B2 JP 4127795 A JP4127795 A JP 4127795A JP 12779592 A JP12779592 A JP 12779592A JP 3065788 B2 JP3065788 B2 JP 3065788B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は圧延機に係り、特に、高
品質材の圧延に適した作業ロールがクロスする形式の圧
延機及び圧延方法に関する。
【0002】
【従来の技術】作業ロールがクロスする形式の圧延機と
しては特開昭47−27159 号公報に記載の作業ロールのみ
をクロスする方式のものがある。この方式では、上下作
業ロールを種々の角度でクロスさせて、作業ロールのロ
ールギャップ変えることにより、種々の板クラウン材の
ニーズに対応できるものと期待された。しかしながら、
実際には、作業ロールと補強ロールの間の相対すべりに
より生じるスラスト力が極めて大きくなり、実用化が困
難であった。
【0003】このスラスト力の問題を解決して、実用に
供せらたロールクロス方式の圧延機としては、三菱重工
技法Vol .21,No.6に記載されている上作業ロール
と上補強ロールとのペアのロール組みと下作業ロールと
下補強ロールとのペアのロール組みを各々一体として各
ペアロールの軸線を相互に交差(クロス)させる圧延機
が知られている。この方式では、作業ロールと補強ロー
ルとを一体のペアとし、ペアのロール組みをクロスさせ
る。このため、作業ロールと補強ロールの間の相対すべ
りが生じず、大きなスラスト力は発生しない。これによ
り、一応問題の解決は得るが、作業ロールと補強ロール
とを一体としてクロスする方式の場合、圧延荷重を直接
受ける補強ロールのメタルチョックの中心が圧下スクリ
ュウの中心からずれ、これによるモーメントが発生し、
圧下の円滑な操作が妨げられる。このため、剛性の大き
なビームを設けてバランスを取る構造が用いられるが、
必然的に圧延機が複雑化、大型化してしまうという問題
点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上の従来技術に対
し、より簡単にスラスト力を低減する方法として、本出
願人は補強ロールを平行に保ち、作業ロールのみをクロ
スさせ、作業ロールと補強ロールの間に潤滑剤を供給す
る方式の圧延機を発明し、出願している(特願平3−6
6007号)。この方式では、作業ロールと補強ロール
の間の相対すべりを無くすのではなく、潤滑剤を供給す
ることにより相対すべりにより生じるスラスト力自体を
低減するものである。この方法を用いることにより、比
較的簡単にスラスト力が低減できるため、比較的構造を
単純にし、且つ圧延機を小型にすることが可能となっ
た。
【0005】しかしながら、上述した圧延機は、作業ロ
ールをクロスして圧延する際に作業ロールと補強ロール
の間に生じるスラスト力の低減を目的とするものであ
り、以下に示す観点からの十分な配慮がなされておら
ず、別の問題を生じる。
【0006】すなわち、図2に示すように、作業ロール
のみをクロスして圧延する場合の作業ロールと補強ロー
ル間の荷重分布は、クロスしないで圧延する場合(従来
の4段圧延機)と比較して、圧延機中央にピークを持つ
形となり、局所的に高い荷重が負荷されることになる。
これが圧延毎に繰り返されることにより、補強ロールに
は中央付近が減肉する局所的な摩耗が形成される。この
局所的な摩耗を研削するために、補強ロールの交換頻度
を増やす必要を生じ、ロールの寿命を短くする原因とな
る。作業ロールにおいても、ロール中央付近で常に局所
的に高い荷重が負荷されることにより、局所的に金属疲
労が加速され、ロール寿命を短くする原因となる。ま
た、補強ロールに局所的な摩耗が形成されることによ
り、これと接触する作業ロールも局所的に変形してその
影響が板に転写され、板材の品質が劣化するなど圧延を
行う上で、はなはだしい不都合を生じる原因となる。
【0007】本発明の目的は、作業ロールをクロスする
方式の圧延機において、板の品質を確保し、圧延ロール
の寿命を伸ばし、種々の板クラウン材のニーズに対応で
きる圧延機及び圧延方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明によれば、一対の上下作業ロールと、これら
作業ロールを支持する一対の上下補強ロールとを備え、
前記上下作業ロールの軸線は前記上下補強ロールの軸線
に対してそれぞれ交差しかつ作業ロール同士で相互に交
差するように構成した圧延機において、前記上下作業ロ
ールと上下補強ロールのそれぞれの間に潤滑剤を供給す
る潤滑剤供給手段と、前記上下作業ロールの軸線の交差
点を前記上下補強ロールの軸線を含む垂直面に対して圧
延方向に相対的に移動させるロール移動手段とを設けた
ことを特徴とする圧延機が提供される。
【0009】また、本発明によれば、一対の上下作業ロ
ールと、これら作業ロールを支持する一対の上下中間ロ
ール及び上下補強ロールとを備え、前記上下作業ロール
の軸線は前記上下中間ロールの軸線に対してそれぞれ交
差しかつ作業ロール同士で相互に交差するように構成し
た圧延機において、前記上下作業ロールと上下中間ロー
ルのそれぞれの間に潤滑剤を供給する潤滑剤供給手段
と、前記上下作業ロールの軸線の交差点を前記上下中間
ロールの軸線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に
移動させるロール移動手段とを設けたことを特徴とする
圧延機が提供される。
【0010】以上の圧延機において、前記ロール移動手
段は前記上下作業ロールの軸受を圧延方向に移動させる
手段であってもよいし、前記上下補強ロール又は上下中
間ロールの軸受を圧延方向に移動させる手段であっても
よい。
【0011】また、前記ロール移動手段は、前記上下作
業ロールの軸受を上下で各々独立に圧延方向に移動する
手段を含んでいてもよいし、前記上下補強ロール又は上
下中間ロールの軸受を上下で各々独立に圧延方向に移動
する手段を含んでいてもよい。
【0012】また、本発明によれば、一対の上下作業ロ
ールと、これら作業ロールを支持する一対の上下補強ロ
ールとを備え、前記上下作業ロールの軸線は前記上下補
強ロールの軸線に対してそれぞれ交差しかつ作業ロール
同士で相互に交差するように構成した圧延機において、
前記上下作業ロールと上下補強ロールのそれぞれの間に
潤滑剤を供給すること、及び前記上下作業ロールの軸線
の交差点を前記上下補強ロールの軸線を含む垂直面に対
して圧延方向に相対的に移動させることを特徴とする圧
延方法が提供される。
【0013】更に、本発明によれば、一対の上下作業ロ
ールと、これら作業ロールを支持する一対の上下中間ロ
ール及び上下補強ロールとを備え、前記上下作業ロール
の軸線は前記上下中間ロールの軸線に対してそれぞれ交
差しかつ作業ロール同士で相互に交差するように構成し
た圧延機において、前記上下作業ロールと上下中間ロー
ルのそれぞれの間に潤滑剤を供給すること、及び前記上
下作業ロールの軸線の交差点を前記上下中間ロールの軸
線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に移動させる
ことを特徴とする圧延方法が提供される。
【0014】以上の圧延方法において、前記上下作業ロ
ールの軸受を圧延方向に移動することにより前記上下作
業ロールの軸線の交差点を圧延方向に移動させてもよい
し、前記上下補強ロール又は上下中間ロールの軸受を圧
延方向に移動することにより前記上下作業ロールの軸線
の交差点を圧延方向に移動させてもよい。
【0015】また、上記圧延方法は、更に前記上下作業
ロールの軸受を上下で各々独立に圧延方向に移動させて
板材の左右非対称性を修正してもよいし、前記上下補強
ロール又は上下中間ロールの軸受を上下で各々独立に圧
延方向に移動させて板材の左右非対称性を修正してもよ
い。
【0016】
【作用】作業ロールのみをクロスして圧延する場合、前
述したように作業ロールと補強ロール間の荷重分布は、
圧延機中央にピークを持つ形となり、局所的に高い荷重
が負荷されることになる(図5参照)。作業ロールと補
強ロール間の荷重分布をよりなだらかな形とする方法と
しては、補強ロールに凹クラウンを設けることが考えら
れるが、荷重分布の形は作業ロールと補強ロールの軸線
間の傾斜の度合いにより変化するため、適切なクラウン
量を見積もることは簡単ではない。したがって、本発明
では、局所的な高荷重により圧延ロールに局所的な摩耗
や金属疲労が発生するのを防止し、ピークの圧力が圧延
毎にロールの同じ位置に生じることを防止するために
は、作業ロールと補強ロールの軸線が交差(クロス)す
る位置を可変とし、ピークの圧力が生じる位置を分散す
る方法を採用する。
【0017】ここで、作業ロールと補強ロールの軸線が
交差(クロス)する位置を可変とする方法は、種々考え
られる。例えば、上下補強ロールの軸線を含む垂直面に
対して外側に、上作業ロールの駆動側と下作業ロールの
操作側に回転支点を設け、この回転支点を中心にとして
各々作業ロールを逆向きに傾動すれば良い。しかし、こ
の場合には、作業ロールと補強ロールの軸線が交差(ク
ロス)する位置を変える毎に、クロス角が変化して圧延
材の板クラウンが大幅に変化し、所定の品質の板材を連
続して圧延することが困難になる。
【0018】この板クラウンへの影響について種々検討
した結果、後で詳述するように、本願発明者等は上下補
強ロールの軸線を含む垂直面に対して作業ロールの軸線
の交差点を圧延方向に移動した場合についてはその影響
を非常に小さくできることを見出した。
【0019】本発明は以上の知見に基づいており、4段
圧延機においてロール移動手段で上下作業ロールの軸線
の交差点を上下補強ロールの軸線を含む垂直面に対して
圧延方向に相対的に移動させることにより、作業ロール
と補強ロールの軸線が交差(クロス)する位置を変化さ
せ、作業ロールと補強ロールの間のピーク荷重の生じる
位置を変化させることができ、これにより圧延毎に圧延
ロールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷され
るのを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩耗
や局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ば
すことができ、更に、上述したように板クラウンへの影
響を小さくできるため、安定して高品質の板材を圧延す
ることが可能となる。
【0020】作業ロールと中間ロールと補強ロールとを
圧延スタンドに備えた6段圧延機においても、補強ロー
ルを中間ロールに置き換えれば全く同じことが成り立
つ。すなわちロール移動手段で上下中間ロールの軸線を
含む垂直面に対して作業ロールの軸線の交差点を圧延方
向に相対的に移動させることにより、作業ロールと中間
ロールの軸線が交差(クロス)する位置を変化させて圧
延ロールの寿命を伸ばすことができ、更に、板クラウン
への影響を小さく保ち、安定して高品質の板材を圧延す
ることが可能となる。
【0021】上下作業ロールの軸受、若しくは上下補強
ロール又は上下中間ロールの軸受を上下で各々独立に圧
延方向に移動することにより、上作業ロールと上補強ロ
ール又は上中間ロールのクロスする位置と下作業ロール
と下補強ロール又は下中間ロールのクロスする位置を圧
延機中央に対し、左右非対称に配置することができ、上
下作業ロール軸心間のロールギャップを幅方向非対称分
布とすることができる。これにより、ウエッジ材のよう
な左右非対称材を圧延する際に問題となる左右非対称の
伸びを修正し、対称の伸びとしたり、板の蛇行などの左
右非対称の伸びを修正することが可能となる。
【0022】
【実施例】以下、本発明の好適実施例を図面により詳細
に説明する。まず、本発明の第1の実施例を図1〜図9
により説明する。図1及び図2において、本実施例の圧
延機は一対の上下作業ロール3,4と、これら作業ロー
ルを支持する一対の上下補強ロール1,2とを備え、上
補強ロール1と下補強ロール2は、その軸線が水平面内
で各々傾斜しないように構成され、上作業ロール3と下
作業ロール4の軸線は上下補強ロール3,4の軸線に対
して交差しかつ作業ロール同士で相互に交差するように
構成されている。
【0023】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と補強ロール1,2のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上作業ロール3の操作側軸
受9及び駆動側軸受10、下作業ロール4の操作側軸受
11及び駆動側軸受12の各々と圧延スタンド8の間に
配置され、上下作業ロール3,4の軸受9,10,1
1,12を同時に圧延方向に移動させる油圧シリンダ1
3と、同様に上下作業ロール3,4の軸受9,10,1
1,12の各々と圧延スタンド8の間に配置され、上下
作業ロール3,4の軸受位置を検出する位置検出器14
とを備えている。油圧シリンダ13と位置検出器14は
下記する制御系と協働して、上下作業ロール3,4の軸
受9,10,11,12を同時に圧延方向に移動させる
ことにより上下作業ロール3,4の軸線の交差点を上下
補強ロール1,2の軸線を含む垂直面に対して圧延方向
に相対的に移動させるロール移動手段を構成する。な
お、ここで「圧延方向」とは圧延パス方向とその逆方向
の両方向を含む意味で使用する。
【0024】また、本実施例の圧延機は、油圧シリンダ
13の油量を調節し、作業ロールの軸受を上記のように
移動させる制御系として、図3に示すように、上下作業
ロール3,4の軸線の交差点位置を設定する主設定装置
53と、上作業ロール3の軸受9,10の位置をそれぞ
れ設定する操作側設定装置52a及び駆動側設定装置
(図示せず)と、下作業ロール4の軸受11,12の位
置をそれぞれ設定する操作側設定装置52b及び駆動側
設定装置(図示せず)と、油圧シリンダ13のそれぞれ
の油量を調節する4個のフォースモータバルブ51とを
備えている。
【0025】オペレータは設定装置53に上下作業ロー
ル3,4の軸線の交差点位置の圧延方向の移動量Ofを
入力する。設定装置53では上作業ロール3の操作側軸
受9及び駆動側軸受10と下作業ロール4の操作側軸受
11及び駆動側軸受12のそれぞれの現在の指令位置に
対し、移動量Ofを加算し、加算した値に相当する指令
信号をそれぞれの設定装置52a,52bに出力する。
設定装置52a,52bでは、新たに受けた作業ロール
の軸受位置指令信号と位置検出器14から受けた現在の
作業ロールの軸受位置信号との差信号、すなわち作業ロ
ールの軸受位置指令信号から現在の作業ロールの軸受位
置信号を引いた値を求め、その差信号を各フォースモー
タバルブ51に出力する。フォースモータバルブ51で
は差信号の値の正負に応じて油圧シリンダ13を押出し
又は引き込むようにバルブの開閉を行い、油圧シリンダ
13によりそれぞれの作業ロールの軸受位置を変化させ
る。再び、作業ロール軸受位置の設定装置52a,52
bにおいて、作業ロールの軸受位置指令信号と位置検出
器14から受けた作業ロールの軸受位置信号との差信号
が求められ、その信号はフォースモータバルブ51へ出
力され、油圧シリンダ13によりそれぞれの作業ロール
の軸受位置を変化させる。これを繰り返すことにより、
作業ロールの軸受位置指令信号と位置検出器14から受
けた作業ロールの軸受位置信号との差信号は小さくな
り、最終的には差信号が0すなわち指令位置となるよう
にそれぞれの作業ロールの軸受は移動する。これによ
り、それぞれの作業ロールの軸受は設定された移動量O
fだけ圧延方向へ移動し、上下補強ロール1,2の軸線
を含む垂直面に対し上下作業ロール3,4の軸線の交差
点は圧延方向に移動することになる。
【0026】次に、本実施例で上記のように上下作業ロ
ール3,4の軸線の交差点を移動させる理由を説明す
る。
【0027】本実施例のように作業ロールのみをクロス
して圧延する圧延機では、作業ロールのみをクロスさせ
ない圧延機、例えば従来の4段圧延機と比較して、図4
及び図5に示すように作業ロールと補強ロール間の荷重
分布は、圧延機中央にピークを持つ形となり、局所的に
高い荷重が負荷されることになる。この主たる原因は次
のものである。作業ロールをクロスしたことにより、作
業ロールと補強ロールが水平面内で傾斜して保持され、
作業ロールと補強ロール間の距離は圧延機中央位置で最
も小さくなり(接触している場合はゼロ)、ロール端部
位置に近づくにつれロール間距離は大きくなる。この状
態でほぼ一定分布の圧延荷重が作業ロールへ負荷される
ことにより、作業ロールと補強ロールは互いに反発しあ
うが、この時、ロール間距離が最も小さい位置での反発
が最も強くなる。ロール間距離が最も小さい位置は作業
ロールと補強ロールの軸線が交差(クロス)する位置で
あり、この位置において常にピークの圧力を生じる。こ
の位置は圧延機中央であるため、作業ロールと補強ロー
ル間の荷重分布は圧延機中央にピークを持つ形となる。
作業ロールと補強ロール間の荷重分布をよりなだらかな
形とする方法としては、補強ロールに凹クラウンを設け
ることが考えられるが、荷重分布の形は作業ロールと補
強ロールの軸線間の傾斜の度合いにより変化するため、
適切なクラウン量を見積もることは簡単ではない。した
がって、局所的な高荷重により圧延ロールに局所的な摩
耗や金属疲労が発生するのを防止し、ピークの圧力が圧
延毎にロールの同じ位置に生じることを防止するために
は、作業ロールと補強ロールの軸線が交差(クロス)す
る位置を可変とし、ピークの圧力が生じる位置を分散す
る必要がある。
【0028】作業ロールと補強ロールの軸線が交差(ク
ロス)する位置を可変とする方法は、種々考えられる。
例えば、上下補強ロールの軸線を含む垂直面に対して外
側に、上作業ロールの駆動側と下作業ロールの操作側に
回転支点を設け、この回転支点を中心にとして各々作業
ロールを逆向きに傾動すれば良い。しかし、この場合に
は、作業ロールと補強ロールの軸線が交差(クロス)す
る位置を変える毎に、クロス角が変化して圧延材の板ク
ラウンが大幅に変化し、所定の品質の板材を連続して圧
延することが困難になる。
【0029】この板クラウンへの影響について種々検討
した結果、本願発明者等は上下補強ロールの軸線を含む
垂直面に対して作業ロールの軸線の交差点を圧延方向に
相対的に移動した場合については、その影響を非常に小
さくできることを見出した。以下、板クラウンへの影響
について説明する。
【0030】作業ロールをクロスして圧延する場合に板
クラウンを決定する最大の因子は、上下作業ロールの軸
線間のロールギャップの幅方向分布であり、これを調べ
ることにより板クラウンへの影響の有無について検討す
る。図6及び図7に示すように、上下補強ロールのロー
ル半径をRbu,Rbd、作業ロールのロール半径をR
wu,Rwd、作業ロールの軸線の交差点と上下補強ロ
ールの軸線を含む垂直面との距離をOf、Ofがゼロの
とき圧延機中央におけるロールギャップをH0、作業ロ
ールと補強ロールの軸線の傾斜角をθ、圧延機中央から
の幅方向の距離をxとする。作業ロールは補強ロールと
比べ小径であり、作業ロールは補強ロールの表面に沿
い、作業ロールは圧延機中央において互いに交差するも
のとする。この時、任意の幅方向の位置xにおける上下
作業ロール軸線間のロールギャップG1の変化量G(=
G1−H0)は、次式で表される。
【0031】 G={(yu−yd)2 +(zu−zd)2 0.5 −(Rwu+Rwd) …(1) yu=xtanθ−Of yd=xtan(−θ)−Of zu=(Rbu+Rwu)(1−cosωu)+Rwu
+H0/2 zd=−(Rbd+Rwd)(1−cosωd)−Rw
d−H0/2 ωu=sin-1{yu/(Rbu+Rwu)} ωd=sin-1{yd/(Rbd+Rwd)} 作業ロールの軸線の交差点と上下補強ロールの軸線を含
む垂直面との距離Ofを変えることにより、作業ロール
と補強ロールの軸線が交差(クロス)する位置を変化さ
せることができ、圧延機中央からの距離で示せば、Of
/tanθとなる。
【0032】図8に(1)式による計算結果を示す。こ
の図から分かるように、距離Ofを変化させることによ
りロールギャップ変化量Gはわずかに増加するが、Gの
幅方向分布の形にはほとんど差がないことがわかる。こ
のように、Ofを変化させても上下作業ロール軸線間の
ロールギャップの幅方向分布に差はなく、板クラウンへ
与える影響は小さいことがわかる。この例では、作業ロ
ールと補強ロールの軸線が交差(クロス)する位置を圧
延機中央からの距離で示せば、各々344mmと172mm
となる。
【0033】本実施例では、以上の理由により上下補強
ロール1,2の軸線を含む垂直面に対し上下作業ロール
3,4の軸線の交差点を圧延方向に移動させるものであ
り、これにより上下作業ロール3,4と上下補強ロール
1,2のクロスする位置を変えることができ、作業ロー
ルと補強ロールの間のピーク荷重の生じる位置を変化さ
せることができる。
【0034】作業ロール交差点位置の変化パターンの一
例としては、図9に示すように、圧延毎に作業ロールの
軸受を圧延方向に移動させて、作業ロール軸線の交差点
と上下補強ロール軸線を含む面との距離Ofを変化させ
れば、作業ロールと補強ロールのクロスする位置は圧延
毎に変化する。これにより、圧延毎に圧延ロールの同じ
個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷されるのを防止す
ることができ、圧延ロールの局所的な摩耗や局所的な金
属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ばすことができ
る。さらに、前述したように板クラウンへの影響を小さ
くできるため、安定して高品質の板材を圧延することが
可能となる。ただし、Ofの変化パターンは図9に示し
た例にこだわらず、任意のパターンを選定できる。例え
ば、2圧延毎に距離Ofを変えても良いし、ランダムに
変えても良い。更に、圧延中に連続的に距離Ofを変化
させても同様の効果が得られる。
【0035】なお、本実施例においては、作業ロールの
軸受を圧延方向に移動させ位置設定する手段として、油
圧シリンダと位置検出器を用いて説明したが、駆動手段
の種類は本発明の本質的な物ではなく、その他の位置設
定する手段、例えば電動モータと位置検出器を用いれば
同じ効果が得られる。
【0036】本発明の第2の実施例を図10及び図11
により説明する。図10及び図11において、本実施例
の圧延機は、一対の上下作業ロール3,4と、これら作
業ロールを支持する一対の上下補強ロール1,2とを備
え、上補強ロール1と下補強ロール2は、その軸線が水
平面内で各々傾斜しないように構成され、上作業ロール
3と下作業ロール4の軸線は上下補強ロール3,4の軸
線に対して交差しかつ作業ロール同士で相互に交差する
ように構成されている。
【0037】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と補強ロール1,2のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上補強ロール1の操作側軸
受15及び駆動側軸受16、下補強ロール2の操作側軸
受17及び駆動側軸受18の各々と圧延スタンド8の間
に配置され、上下補強ロール1,2の軸受15,16,
17,18を同時に圧延方向に移動させることにより上
下作業ロール3,4の軸線の交差点を上下補強ロール
1,2の軸線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に
移動させる油圧シリンダ13Aと、同様に上下補強ロー
ル1,2の軸受15,16,17,18の各々と圧延ス
タンド8の間に配置され、上下補強ロール1,2の軸受
位置を検出する位置検出器14Aとを備えている。
【0038】また、図示しないが、本実施例の圧延機
は、油圧シリンダ13Aの油量を調節し、補強ロールの
軸受を上記のように移動させる手段として図3に示すの
と同様な制御系を備えている。
【0039】本実施例においても、油圧シリンダ13A
の油量を調節し、適切な位置まで補強ロールの軸受を圧
延方向に移動させれば、上下補強ロール軸線を含む垂直
面に対して、相対的に上下作業ロール軸線の交差点を圧
延方向に移動させることができる。このように、上下補
強ロール軸線を含む垂直面に対して上下作業ロール軸線
の交差点を圧延方向に移動させることにより、作業ロー
ルと補強ロールのクロスする位置を変えることができ、
作業ロールと補強ロールの間のピーク荷重の生じる位置
を変化させることができる。これにより、圧延毎に圧延
ロールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷され
るのを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩耗
や局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ば
すことができる。さらに、前述したように板クラウンへ
の影響を小さくできるため、安定して高品質の板材を圧
延することが可能となる。
【0040】なお、本実施例においても、補強ロールの
操作側軸受を圧延方向に移動させ位置設定する手段とし
て、油圧シリンダと位置検出器を用いて説明したが、駆
動手段の種類は本発明の本質的な物ではなく、その他の
位置設定する手段、例えば電動モータと位置検出器を用
いれば同じ効果が得られる。
【0041】本発明の第3の実施例を図12及び図13
により説明する。図12及び図13において、本実施例
の圧延機は、一対の上下作業ロール3,4と、これら作
業ロールを支持する一対の上下中間ロール5,6及び上
下補強ロール1,2とを備え、上補強ロール1及び上中
間ロール5と下補強ロール2及び下中間ロール6は、そ
れらの軸線が水平面内で各々傾斜しないように構成さ
れ、上作業ロール3と下作業ロール4の軸線は上下中間
ロール5,6の軸線に対して交差しかつ作業ロール同士
で相互に交差するように構成されている。
【0042】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と中間ロール5,6のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上作業ロール3の操作側軸
受9及び駆動側軸受10、下作業ロール4の操作側軸受
11及び駆動側軸受12の各々と圧延スタンド8の間に
配置され、上下作業ロール3,4の軸受9,10,1
1,12を同時に圧延方向に移動させることにより上下
作業ロール3,4の軸線の交差点を上下中間ロール5,
6の軸線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に移動
させる油圧シリンダ13と、同様に上下作業ロール3,
4の軸受9,10,11,12の各々と圧延スタンド8
の間に配置され、上下作業ロール3,4の軸受位置を検
出する位置検出器14とを備えている。
【0043】また、図示しないが、本実施例の圧延機
は、油圧シリンダ13の油量を調節し、補強ロールの軸
受を上記のように移動させる手段として図3に示すのと
同様な制御系を備えている。
【0044】本実施例においては、油圧シリンダ13の
油量を調節し、適切な位置まで作業ロールの軸受を圧延
方向に移動させれば、上下中間ロール軸線を含む垂直面
に対して、相対的に上下作業ロール軸線の交差点を圧延
方向に移動させることができる。このように、上下中間
ロール軸線を含む垂直面に対して上下作業ロール軸線の
交差点を圧延方向に移動させることにより、作業ロール
と中間ロールのクロスする位置を変えることができ、作
業ロールと中間ロールの間のピーク荷重の生じる位置を
変化させることができる。これにより、圧延毎に圧延ロ
ールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷される
のを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩耗や
局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ばす
ことができる。さらに、前述したように板クラウンへの
影響を小さくできるため、安定して高品質の板材を圧延
することが可能となる。
【0045】なお、本実施例においても、作業ロールの
操作側軸受を圧延方向に移動させ位置設定する手段とし
て、油圧シリンダと位置検出器を用いて説明したが、駆
動手段の種類は本発明の本質的な物ではなく、その他の
位置設定する手段、例えば電動モータと位置検出器を用
いれば同じ効果が得られる。
【0046】本発明の第4の実施例を図14及び図15
により説明する。図14及び図15において、本実施例
の圧延機は、一対の上下作業ロール3,4と、これら作
業ロールを支持する一対の上下中間ロール5,6及び上
下補強ロール1,2とを備え、上補強ロール1及び上中
間ロール5と下補強ロール2及び下中間ロール6は、そ
れらの軸線が水平面内で各々傾斜しないように構成さ
れ、上作業ロール3と下作業ロール4の軸線は上下中間
ロール5,6の軸線に対して交差しかつ作業ロール同士
で相互に交差するように構成されている。
【0047】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と中間ロール5,6のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上中間ロール5の操作側軸
受19及び駆動側軸受20、下補強ロール2の操作側軸
受21及び駆動側軸受22の各々と圧延スタンド8の間
に配置され、上下中間ロール5,6の軸受19,20,
21,22を同時に圧延方向に移動させることにより上
下作業ロール3,4の軸線の交差点を上下中間ロール
5,6の軸線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に
移動させる油圧シリンダ13Bと、同様に上下中間ロー
ル5,6の軸受19,20,21,22の各々と圧延ス
タンド8の間に配置され、上下中間ロール5,6の軸受
位置を検出する位置検出器14Bとを備えている。
【0048】また、図示しないが、本実施例の圧延機
は、油圧シリンダ13Bの油量を調節し、中間ロールの
軸受を上記のように移動させる手段として図3に示すの
と同様な制御系を備えている。
【0049】本実施例においても、油圧シリンダ13B
の油量を調節し、適切な位置まで中間ロールの軸受を圧
延方向に移動させれば、上下中間ロール軸線を含む垂直
面に対して、相対的に上下作業ロール軸線の交差点を圧
延方向に移動させることができる。このように、上下中
間ロール軸線を含む垂直面に対して上下作業ロール軸線
の交差点を圧延方向に移動させることにより、作業ロー
ルと中間ロールのクロスする位置を変えることができ、
作業ロールと中間ロールの間のピーク荷重の生じる位置
を変化させることができる。これにより、圧延毎に圧延
ロールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷され
るのを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩耗
や局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ば
すことができる。さらに、前述したように板クラウンへ
の影響を小さくできるため、安定して高品質の板材を圧
延することが可能となる。
【0050】なお、本実施例においても、中間ロールの
操作側軸受を圧延方向に移動させ位置設定する手段とし
て、油圧シリンダと位置検出器を用いて説明したが、駆
動手段の種類は本発明の本質的な物ではなく、その他の
位置設定する手段、例えば電動モータと位置検出器を用
いれば同じ効果が得られる。
【0051】本発明の第5の実施例を図16及び図17
により説明する。以上の実施例では主として、作業ロー
ルと中間ロール、補強ロールの間のピーク荷重の生じる
位置を変化させることができ、これにより圧延ロールの
寿命を伸ばすことができる圧延機及び圧延方法について
説明し、さらに、これによる板クラウンへの影響を小さ
くできることを示した。
【0052】本実施例では、本発明を応用することによ
り、他の新たな効果として板材の左右非対称性を修正で
きるようにしたものである。
【0053】図16及び図17において、本実施例の圧
延機は一対の上下作業ロール3,4と、これら作業ロー
ルを支持する一対の上下補強ロール1,2とを備え、上
補強ロール1と下補強ロール2は、その軸線が水平面内
で各々傾斜しないように構成され、上作業ロール3と下
作業ロール4の軸線は上下補強ロール3,4の軸線に対
して交差しかつ作業ロール同士で相互に交差するように
構成されている。
【0054】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と補強ロール1,2のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上作業ロール3の操作側軸
受9と圧延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ2
3と位置検出器14、上作業ロール3の駆動側軸受10
と圧延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ24と
位置検出器14、下作業ロール4の操作側軸受11と圧
延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ25と位置
検出器14、下作業ロール4の駆動側軸受12と圧延ス
タンド8の間に配置された油圧シリンダ26と位置検出
器14とを備え、油圧シリンダ23〜26は、上下作業
ロール3,4の軸受9,10,11,12を同時に圧延
方向に移動させることにより上下作業ロール3,4の軸
線の交差点を上下補強ロール1,2の軸線を含む垂直面
に対して圧延方向に相対的に移動させると共に、上下作
業ロール3,4の軸受9,10,11,12を上下で各
々独立に圧延方向に移動させるように構成されている。
【0055】また、図示しないが、本実施例の圧延機
も、油圧シリンダ23〜26の油量を調節し、作業ロー
ルの軸受を上記のように移動させる手段として図3に示
すのと同様な制御系を備えている。
【0056】本実施例においては、第1の実施例の作用
効果に加えて、油圧シリンダ23,24の油量を調節
し、上作業ロールの軸受のみを圧延方向に移動させるこ
とにより、上作業ロールと上補強ロールのクロスする位
置と下作業ロールと下補強ロールのクロスする位置を圧
延機中央に対し、左右非対称に配置することができ、上
下作業ロール軸心間のロールギャップを幅方向非対称分
布とすることができる。これにより、ウエッジ材のよう
な左右非対称材を圧延する際に問題となる左右非対称の
伸びを修正し、対称の伸びとしたり、板の蛇行などの左
右非対称の伸びを修正することが可能となる。同様に、
下作業ロールの軸受のみを圧延方向に移動させるか、上
下作業ロールの軸受を異なる量圧延方向に移動させるこ
とにより、左右非対称の伸びを修正することが可能とな
る。
【0057】なお、本実施例においても、作業ロールの
軸受を圧延方向に移動させ位置設定する手段として、油
圧シリンダと位置検出器を用いて説明したが、駆動手段
は本発明の本質的な物ではなく、その他の位置設定する
手段、例えば電動モータと位置検出器を用いれば同じ効
果が得られる。
【0058】本発明の第6の実施例を図18及び図19
により説明する。図18及び図19において、本実施例
の圧延機は一対の上下作業ロール3,4と、これら作業
ロールを支持する一対の上下補強ロール1,2とを備
え、上補強ロール1と下補強ロール2は、その軸線が水
平面内で各々傾斜しないように構成され、上作業ロール
3と下作業ロール4の軸線は上下補強ロール3,4の軸
線に対して交差しかつ作業ロール同士で相互に交差する
ように構成されている。
【0059】また、本実施例の圧延機は、作業ロール
3,4と補強ロール1,2のそれぞれの間に潤滑剤を供
給する潤滑剤供給装置7と、上補強ロール1の操作側軸
受15と圧延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ
27と位置検出器14、上補強ロール3の駆動側軸受1
6と圧延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ28
と位置検出器14、下補強ロール2の操作側軸受17と
圧延スタンド8の間に配置された油圧シリンダ29と位
置検出器14、下補強ロール2の駆動側軸受18と圧延
スタンド8の間に配置された油圧シリンダ30と位置検
出器14とを備え、油圧シリンダ27〜30は、上下補
強ロール1,2の軸受15,16,17,18を同時に
圧延方向に移動させることにより上下作業ロール3,4
の軸線の交差点を上下補強ロール1,2の軸線を含む垂
直面に対して圧延方向に相対的に移動させると共に、上
下補強ロール1,2の軸受15,16,17,18を上
下で各々独立に圧延方向に移動させるように構成されて
いる。
【0060】また、図示しないが、本実施例の圧延機
も、油圧シリンダ27〜30の油量を調節し、作補強ー
ルの軸受を上記のように移動させる手段として図3に示
すのと同様な制御系を備えている。
【0061】本実施例では、第1の実施例の作用効果に
加えて、油圧シリンダ27,28の油量を調節し、上補
強ロールの軸受のみを圧延方向に移動させることによ
り、上作業ロールと上補強ロールのクロスする位置と下
作業ロールと下補強ロールのクロスする位置を圧延機中
央に対し、左右非対称に配置することができ、上下作業
ロール軸心間のロールギャップを幅方向非対称分布とす
ることができる。これにより、ウエッジ材のような左右
非対称材を圧延する際に問題となる左右非対称の伸びを
修正し、対称の伸びとしたり、板の蛇行などの左右非対
称の伸びを修正することが可能となる。同様に、下補強
ロールの軸受のみを圧延方向に移動させるか、上下補強
ロールの軸受を異なる量圧延方向に移動させることによ
り、左右非対称の伸びを修正することが可能となる。
【0062】本実施例においても、作業ロールの軸受を
圧延方向に移動させ位置設定する手段として、油圧シリ
ンダと位置検出器を用いて説明したが、駆動手段は本発
明の本質的な物ではなく、その他の位置設定する手段、
例えば電動モータと位置検出器を用いれば同じ効果が得
られる。
【0063】なお、以上第5及び第6の実施例では作業
ロールのみクロスする4段圧延機に対し本発明を適用
し、板材の左右非対称性を修正する場合について説明し
たが、第3及び第4の実施例と同様に6段圧延機に対し
ても本発明を適用し、同様の効果を得ることができる。
【0064】また、以上の全ての実施例では、作業ロー
ルのクロス角自体は一定で制御したが、クロス角も同時
に制御するようにすれば、圧延材のクラウン制御をより
効果的に行うことができる。また、図16〜図19に示
す第5及び第6の実施例に対して作業ロールのクロス角
の制御を併用すれば、より少ないロールの移動量で左右
非対称の伸びを修正することが可能となる。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、4段圧延機において、
作業ロールと補強ロールの間のピーク荷重の生じる位置
を変化させることができ、これにより、圧延毎に圧延ロ
ールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷される
のを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩耗や
局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸ばす
ことができる。さらに、板クラウンへの影響を小さくで
きるため、安定して高品質の板材を圧延することが可能
となる。
【0066】また、本発明によれば、6段圧延機におい
て、作業ロールと中間ロールの間のピーク荷重の生じる
位置を変化させることができ、これにより、圧延毎に圧
延ロールの同じ個所に局所的に高い荷重が繰返し負荷さ
れるのを防止することができ、圧延ロールの局所的な摩
耗や局所的な金属疲労を防止し、圧延ロールの寿命を伸
ばすことができる。さらに、板クラウンへの影響を小さ
くできるため、安定して高品質の板材を圧延することが
可能となる。
【0067】さらに、本発明によれば、ウエッジ材のよ
うな左右非対称材を圧延する際に問題となる左右非対称
の伸びを修正し、対称の伸びとしたり、板の蛇行などの
左右非対称の伸びを修正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による圧延機の正面図で
ある。
【図2】図1に示す圧延機の要部断面図である。
【図3】図1に示す圧延機の制御系を示す図である。
【図4】作業ロールをクロスしない従来の4段圧延機に
おける作業ロールと補強ロール間の荷重分布を示す図で
ある。
【図5】作業ロールのみをクロスする4段圧延機におけ
る作業ロールと補強ロール間の荷重分布を示す図であ
る。
【図6】作業ロールのみをクロスする4段圧延機におけ
る作業ロール間のロールギャップを示す図である。
【図7】作業ロールのみをクロスする4段圧延機におけ
る作業ロール軸線のクロスする位置を示す図である。
【図8】本発明にしたがって作業ロール軸線のクロス位
置を変化させた場合の作業ロール間のロールギャップの
変化を示す図である。
【図9】図1に示す圧延機での作業ロール軸線のクロス
位置を変化させるパターンの一例を示す図である。
【図10】本発明の第2の実施例による圧延機の正面図
である。
【図11】図10に示す圧延機の要部断面図である。
【図12】本発明の第3の実施例による圧延機の正面図
である。
【図13】図12に示す圧延機の要部断面図である。
【図14】本発明の第4の実施例による圧延機の正面図
である。
【図15】図14に示す圧延機の要部断面図である。
【図16】本発明の第5の実施例による圧延機の正面図
である。
【図17】図16に示す圧延機の要部断面図である。
【図18】本発明の第6の実施例による圧延機の正面図
である。
【図19】図18に示す圧延機の要部断面図である。
【符号の説明】
1 上補強ロール 2 下補強ロール 3 上作業ロール 4 下作業ロール 5 上中間ロール 6 下中間ロール 7 潤滑剤供給装置 8 圧延スタンド 9〜12 作業ロールの軸受 13 油圧シリンダ 14 位置検出器 15〜18 補強ロールの軸受 19〜22 中間ロールの軸受 23〜26 作業ロール軸受の油圧シリンダ 27〜30 補強ロール軸受の油圧シリンダ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 平間 幸夫 茨城県土浦市神立町502番地 株式会社 日立製作所 機械研究所内 (72)発明者 芳村 泰嗣 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (72)発明者 高倉 芳生 茨城県日立市幸町3丁目1番1号 株式 会社 日立製作所 日立工場内 (56)参考文献 特開 平5−293518(JP,A) 特開 平5−285503(JP,A) 特開 平5−269511(JP,A) 特開 平5−285504(JP,A) 特開 平5−212411(JP,A) 特開 平5−169108(JP,A) 特開 平5−200417(JP,A) 特開 平5−185122(JP,A) 特開 平11−267711(JP,A) 特開 平5−50110(JP,A) 特開 昭62−34612(JP,A) 特開 昭61−279305(JP,A) 特開 昭48−95970(JP,A) 特開 平3−234305(JP,A) 特開 昭57−193211(JP,A) 特開 昭59−39408(JP,A) 特開 昭46−1353(JP,A) 実開 昭62−41401(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B21B 13/14 B21B 1/22 B21B 27/10 B21B 31/16

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一対の上下作業ロールと、これら作業ロー
    ルを支持する一対の上下補強ロールとを備え、前記上下
    作業ロールの軸線は前記上下補強ロールの軸線に対して
    それぞれ交差しかつ作業ロール同士で相互に交差するよ
    うに構成した圧延機において、前記上下作業ロールと上
    下補強ロールのそれぞれの間に潤滑剤を供給する潤滑剤
    供給手段と、前記上下作業ロールの軸線の交差点を前記
    上下補強ロールの軸線を含む垂直面に対して圧延方向に
    相対的に移動させるロール移動手段とを設けたことを特
    徴とする圧延機。
  2. 【請求項2】請求項1記載の圧延機において、前記ロー
    ル移動手段は前記上下作業ロールの軸受又は上下補強ロ
    ールの軸受を圧延方向に移動させる手段であることを特
    徴とする圧延機。
  3. 【請求項3】請求項1記載の圧延機において、前記ロー
    ル移動手段は、前記上下作業ロールの軸受又は上下補強
    ロールの軸受を上下で各々独立に圧延方向に移動する手
    段を含むことを特徴とする圧延機。
  4. 【請求項4】一対の上下作業ロールと、これら作業ロー
    ルを支持する一対の上下中間ロール及び上下補強ロール
    とを備え、前記上下作業ロールの軸線は前記上下中間ロ
    ールの軸線に対してそれぞれ交差しかつ作業ロール同士
    で相互に交差するように構成した圧延機において、前記
    上下作業ロールと上下中間ロールのそれぞれの間に潤滑
    剤を供給する潤滑剤供給手段と、前記上下作業ロールの
    軸線の交差点を前記上下中間ロールの軸線を含む垂直面
    に対して圧延方向に相対的に移動させるロール移動手段
    とを設けたことを特徴とする圧延機。
  5. 【請求項5】請求項4記載の圧延機において、前記ロー
    ル移動手段は前記上下作業ロールの軸受又は上下中間ロ
    ールの軸受を圧延方向に移動させる手段であることを特
    徴とする圧延機。
  6. 【請求項6】請求項4記載の圧延機において、前記ロー
    ル移動手段は、前記上下作業ロールの軸受又は上下中間
    ロールの軸受を上下で各々独立に圧延方向に移動する手
    段を含むことを特徴とする圧延機。
  7. 【請求項7】一対の上下作業ロールと、これら作業ロー
    ルを支持する一対の上下補強ロールとを備え、前記上下
    作業ロールの軸線は前記上下補強ロールの軸線に対して
    それぞれ交差しかつ作業ロール同士で相互に交差するよ
    うに構成した圧延機において、前記上下作業ロールと上
    下補強ロールのそれぞれの間に潤滑剤を供給すること、
    及び前記上下作業ロールの軸線の交差点を前記上下補強
    ロールの軸線を含む垂直面に対して圧延方向に相対的に
    移動させることを特徴とする圧延方法。
  8. 【請求項8】請求項7記載の圧延方法において、前記上
    下作業ロールの軸受又は上下補強ロールの軸受を圧延方
    向に移動することにより前記上下作業ロールの軸線の交
    差点を圧延方向に移動させることを特徴とする圧延方
    法。
  9. 【請求項9】請求項7記載の圧延方法において、更に前
    記上下作業ロールの軸受又は上下補強ロールの軸受を上
    下で各々独立に圧延方向に移動させて板材の左右非対称
    性を修正することを特徴とする圧延方法。
  10. 【請求項10】一対の上下作業ロールと、これら作業ロ
    ールを支持する一対の上下中間ロール及び上下補強ロー
    ルとを備え、前記上下作業ロールの軸線は前記上下中間
    ロールの軸線に対してそれぞれ交差しかつ作業ロール同
    士で相互に交差するように構成した圧延機において、前
    記上下作業ロールと上下中間ロールのそれぞれの間に潤
    滑剤を供給すること、及び前記上下作業ロールの軸線の
    交差点を前記上下中間ロールの軸線を含む垂直面に対し
    て圧延方向に相対的に移動させることを特徴とする圧延
    方法。
  11. 【請求項11】請求項10記載の圧延方法において、前
    記上下作業ロールの軸受又は上下中間 ロールの軸受を圧
    延方向に移動することにより前記上下作業ロールの軸線
    の交差点を圧延方向に移動させることを特徴とする圧延
    方法。
  12. 【請求項12】請求項10記載の圧延方法において、更
    に前記上下作業ロールの軸受又は上下中間ロールの軸受
    を上下で各々独立に圧延方向に移動させて板材の左右非
    対称性を修正することを特徴とする圧延方法。
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