JP3065448B2 - 筒内噴射式2サイクルエンジンの燃焼制御装置 - Google Patents

筒内噴射式2サイクルエンジンの燃焼制御装置

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JP3065448B2 JP5103184A JP10318493A JP3065448B2 JP 3065448 B2 JP3065448 B2 JP 3065448B2 JP 5103184 A JP5103184 A JP 5103184A JP 10318493 A JP10318493 A JP 10318493A JP 3065448 B2 JP3065448 B2 JP 3065448B2
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  • Combustion Methods Of Internal-Combustion Engines (AREA)
  • Control Of Throttle Valves Provided In The Intake System Or In The Exhaust System (AREA)
  • Output Control And Ontrol Of Special Type Engine (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、2サイクルエンジンの
燃焼制御装置に関し、詳細には筒内噴射弁及び排気通路
面積可変バルブを備えたものにおける、該可変バルブの
開度制御方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】2サイクルエンジンにおいて、成層燃焼
を行わせるために筒内噴射弁を備えたものが提案されて
いる。この種の2サイクルエンジンにおいては、アイド
リングを含む低速回転,低負荷運転域では成層燃焼を行
い、高速回転,高負荷運転域では燃焼室全体で空燃比が
一定となる均一予混合燃焼を行っている。成層燃焼域で
は遅めに噴射し、混合気が分散しないうちに点火するの
で比較的安定した燃焼が可能である。一方、均一混合燃
焼域では火災伝播が十分に行われ、燃焼は安定する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、成層燃焼及
び均一予混合燃焼間の遷移領域すなわち中速回転かつ中
負荷運転域においては、上記各燃焼の中間状態であるた
め、火災伝播が不完全となり、不整燃焼状態が生じ易く
良好な燃焼が行われない場合がある。
【0004】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たもので、中速回転かつ中負荷域の燃焼安定性を向上で
きる筒内噴射式2サイクルエンジンの燃焼制御装置を提
供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、筒内
噴射弁を備えた2サイクルエンジンにおいて、排気通路
に該通路面積を変化させる可変バルブを設けるととも
に、中速回転かつ中負荷域の開度が略全閉となり、高負
荷域の開度が略全開となるよう上記可変バルブを制御す
る制御手段を設けたことを特徴としている。ここで略全
閉とは、可変バルブを最小開度位置にしても完全密閉さ
れるものでなく、リーク程度の排気ガス流は存在すると
の意味である。また略全開とは、該可変バルブ自体が排
気通路内に残留する程度に排気通路が閉じられていると
の意味である。
【0006】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、上記制御手段が上記可変バルブの低速回転かつ低負
荷域の開度を上記高負荷域の開度より小で、かつ上記中
速回転かつ中負荷域の開度より大に制御することを特徴
としている。
【0007】
【作用】請求項1の発明に係る燃焼制御装置によれば、
制御手段の制御により、中速回転かつ中負荷域において
は可変バルブの開度が略全閉になっている。このため、
中速かつ中負荷域、すなわち成層燃焼と均一予混合燃焼
との間の遷移領域においては燃焼室内に高温の燃焼ガス
が多く残留し、燃焼室内が高温に保持され、火災伝播が
十分に行われ、この結果中速かつ中負荷の遷移領域での
不整燃焼を改善でき、燃焼安定性を向上できる。
【0008】また請求項2の発明に係る燃焼制御装置に
よれば、可変バルブの開度が、中速かつ中負荷域、低速
かつ低負荷域、高負荷域の順に大きくなっているので、
遷移領域での不整燃焼を改善でき、燃焼安定性を向上で
きるとともに、低速かつ低負荷の成層燃焼域においては
燃焼ガスの残留量が比較的少なくなって掃気が良好とな
り、成層燃焼をさらに安定化できる。
【0009】
【実施例】以下、本発明の実施例を添付図面に基づいて
説明する。図1ないし図5は本発明の一実施例による筒
内噴射式2サイクルエンジンの燃焼制御装置を説明する
ため図であり、図1は本実施例装置が適用された2サイ
クルエンジンの断面側面部分図、図2は該2サイクルエ
ンジンを搭載した自動二輪車の左側面図、図3はエンジ
ン回転数と負荷との関係を示す図、図4は上記実施例装
置の可変バルブの動作を説明するための図、図5は排気
タイミング制御バルブの動作を説明するための図であ
る。
【0010】図2において、自動二輪車1の車体フレー
ム2は、ヘッドパイプ3から後方に延びる左,右一対の
メインフレーム2a,2aの後端同士をリアフレーム支
持ブロック6で連結した構造のものであり、その前部に
は走行風をエンジン回りに導入するための導風部2bが
形成されている。
【0011】上記ヘッドパイプ3により前フォーク4の
操向軸が左右に軸支されており、該前フォーク4の下端
で前輪5が軸支されている。また上記リアアーム支持ブ
ロック6によってリアアーム7が上下に揺動自在に枢支
されており、該アーム7の後端で後輪8が軸支されてい
る。また上記車体フレーム2のメインフレーム下方部分
にエンジン9が懸架支持されており、該エンジン9の上
方には燃料タンク10が搭載され、これの後方部分には
シート11が配設されている。該シート11の周囲はサ
イドカバー12で囲まれており、上記車体フレーム2,
エンジン9,及び前フォーク4の上部はカウリング13
で囲まれている。
【0012】上記エンジン9は、水冷式2サイクルV型
4気筒エンジンであり、前,後ケース20,21からな
る2分割式クランクケース14の前壁上側,下側に上側
シリンダボディ15,下側シリンダボディ16を左右一
対ずつ所定のバンク角をなすように締結し、該各シリン
ダボディ15,16にシリンダヘッド17を装着した構
造のものである。なお、22,23は上側,下側用クラ
ンク軸である。
【0013】上記各上側シリンダボディ15の背面,各
下側シリンダボディ16の底面にはそれぞれ上側,下側
排気管18,19が接続されている。上記左,右の上側
排気管18,18は上記メインフレーム2a,2a間か
ら上記サイドカバー12内を通って斜め上方に延びてお
り、また上記左,右の下側排気管19,19は上記クラ
ンクケース14の下方を通って上記リアアーム7の左右
側方を斜め上方に延びている。
【0014】図1に示すように上記エンジン9の各シリ
ンダボディ15,16内のシリンダボア30内にはピス
トン31が摺動自在に挿入配置されており、該ピストン
31はコンロッド32で上記クランク軸22,23に連
結されている。シリンダボディ15,16の前壁33側
には吸気ポート34が形成され、該吸気ポート34はス
ロットルボディ35(図2)に接続されている。またシ
リンダボディ15,16の後壁36側には排気ポート3
7が形成され、該排気ポート37に連なる排気通路38
には上記排気管18,19が接続されている。
【0015】上記シリンダボディ後壁36の排気ポート
37近傍には、排気タイミング制御バルブ(以下排気バ
ルブと記す)40が回動可能に配設されている。該排気
バルブ40は鼓形の部材の軸方向中央部を切り欠いて該
中央部の横断面を半円状にしたものであり、エンジン運
転状態、特にエンジン回転数に応じて適宜回動させるこ
とにより実質的な排気ポート上縁位置を変更するととも
に、排気通路面積を変化させ得るようになっている。
【0016】例えば、低中速回転時には該排気バルブ4
0を閉位置(図1実線位置)として実質的な排気ポート
上端位置を下降させることにより排気開始時期を遅ら
せ、また高速回転時には該排気バルブ40を開位置(同
図一点鎖線位置)として排気ポート上端位置を上昇させ
ることにより排気開始時期を進ませるようにする。これ
によりエンジン回転数に応じた適切な排気開始時期が確
保される。なお、図5に示すように、排気バルブ40が
全閉位置にある場合は排気通路開口面積は50%程度と
なり、全開位置にあるときは100%となる。
【0017】上記排気通路38内には排気バタフライ弁
(可変バルブ)45が開閉可能に設けられている。該排
気バタフライ弁45の開閉により、後述するようにエン
ジン運転状態に応じた適切な排気通路面積が確保されて
燃焼性が改善されるようになっている。
【0018】シリンダヘッド17の底壁には燃焼室の一
部を形成する燃焼凹部17aが凹設されている。該燃焼
凹部17a内には点火プラグ46の電極部47が挿入さ
れている。またシリンダヘッド17の側壁にはアイドリ
ングを含む低速回転,低負荷運転域において成層燃焼を
行わせるために気筒内に燃料を噴射する筒内燃料噴射弁
48が装着されている。
【0019】また上記エンジン9にはECU50が設け
られている。該ECU50には、回転センサ51からの
エンジン回転数検出信号a,及びスロットル開度センサ
52からのスロットル開度検出信号bが入力され、該E
CU50はこれらの入力信号に基づいて、上記燃料噴射
弁48の駆動を制御する制御信号A,上記排気バルブ4
0の回動を制御する制御信号B,及び上記排気バタフラ
イ弁45の回動を制御する制御信号Cを各部に出力す
る。
【0020】次に本実施例の動作について説明する。い
ま、上記エンジン9の回転数−負荷の関係が図3の実線
rのように表されるとする。すなわちこのエンジン9の
最大負荷はエンジン回転数が5000rpmのときに発
生している。
【0021】この場合、エンジン回転数が約2000r
pm以下のいわゆる低速回転域(図3の領域L部分)に
おいては、この運転状態が各センサ51,52により検
出され、該検出信号a,bに基づいてECU50が制御
信号Cを出力して排気バタフライ弁45を図4(a)に
示すように制御する。なお、この図4(a)は、領域L
内においてエンジン回転数が一定のN1(<2000)
rpmのときの制御を示している。
【0022】図4(a)において、排気バタフライ弁4
5は低負荷域の成層燃焼領域では少し開いており、中負
荷域の遷移領域に移行するにしたがいに徐々に全閉位置
に移行している。その後高負荷域の均一予混合域に移行
するにしたがい徐々に全開位置に移行して全開状態を保
持している。
【0023】ここで、上記全閉位置,全開位置とは本バ
タフライ弁45の最小開度位置,最大開度位置の意味で
あり、例えば全閉位置において、排気通路面積の97〜
98%程度を閉じ、残りの2〜3%が開いており、この
開口面積によって必要最小限の排気流量は確保される。
【0024】すなわちこの低速N1rpmにおいては、
排気バタフライ弁45の開度は、低中負荷域(成層及び
遷移領域)の方が高負荷域(均一予混合領域)よりも小
さくなっており、しかも中負荷域(遷移領域)で最小に
なっている。このように低中負荷域で排気バタフライ弁
45を閉側にすることによって、低中負荷域において燃
焼室内に燃焼直後の高温の燃焼ガスが残留し、これによ
り燃焼室が高温に保持され、不整燃焼を改善でき、燃焼
安定性を向上できる。またこの場合において、中負荷域
では排気バタフライ弁45の開度を最小にすることによ
って、この中負荷域においてより多くの燃焼ガスが燃焼
室内に残留し、これにより中負荷域における燃焼安定性
をより向上できる。
【0025】一方図4(a)中の破線に示すように、排
気バタフライ弁45の開度を成層領域においても全閉と
することも可能である。しかし成層領域では燃焼ガス温
度が比較的低いことから、燃焼室内に燃焼ガスを残留さ
せても上記燃焼室温度を高める効果は低いので、この成
層領域では同図実線のようにむしろ少し開く方が掃気効
率が向上して成層燃焼がより安定することになる。なお
上述のように、排気バタフライ弁45が全閉状態になっ
てもリークにより必要最小限の排気は行われる。
【0026】次にエンジン回転数が2000〜2500
rpmのいわゆる中速回転域(図3の領域M部分)にお
いては、各センサ51,52からの検出信号a,bに基
づいてECU50が排気バタフライ弁45を図4(b)
に示すように制御する。なお、この図4(b)は、領域
M内においてエンジン回転数が一定のN2(2000〜
2500)rpmのときの制御を示している。
【0027】図4(b)において、排気バタフライ弁4
5は低中負荷域の遷移領域では少し開いており(同図実
線参照)、遷移領域から高負荷域の均一予混合域に移行
するにしたがいに徐々に全開位置に移行して全開状態を
保持している。
【0028】すなわちこの中速N2rpmにおいても、
排気バタフライ弁45の開度は、低中負荷域(遷移領
域)の方が高負荷域(均一予混合領域)よりも小さくな
っている。このように低中負荷域で排気バタフライ弁4
5を閉側にすることによって、燃焼室内に燃焼直後の燃
焼ガスが残留し、これにより低中負荷域での不整燃焼を
改善でき、燃焼安定性を向上できる。なお図4(b)の
破線に示すように、エンジン回転数によっては遷移領域
において排気バタフライ弁45の開度を全閉状態とする
ことも可能である。
【0029】次にエンジン回転数が2500rpm以上
のいわゆる高速回転域(図3領域H部分)においては、
ECU50が排気バタフライ弁45を図4(c)のよう
に制御する。なお、この図4(c)は、領域H内におい
てエンジン回転数が一定のN3(>2500)rpmの
ときの制御を示している。
【0030】この場合には低中高負荷域において均一予
混合燃焼状態にあり、図4(c)に示すように、排気バ
タフライ弁45は全ての負荷域において全開状態にあ
る。これにより、掃気効率が向上して高出力を得ること
ができる。なお同図に破線に示すように排気バタフライ
弁45の開度を、全開より少し閉じた状態から徐々に全
開状態とするか、またはこの全開より少し閉じた状態を
保持させるようにしてもよい。このようにすることによ
り、新気の吹き抜けを抑制でき、高速回転域の燃焼安定
性を向上できる。
【0031】
【発明の効果】以上のように、請求項1の発明に係る2
サイクルエンジンの燃焼制御装置によれば、排気通路に
該通路面積を変化させる可変バルブを設けるとともに、
中速回転かつ中負荷域の開度を略全閉とし、高負荷域の
開度を略全開に制御したので、中速回転かつ中負荷域に
おいて燃焼室内に燃焼直後の高温の燃焼ガスが残留し、
これにより燃焼室が高温に保持され、その結果中速回転
かつ中負荷域での不整燃焼を改善でき、燃焼安定性を向
上できる効果がある。
【0032】また請求項2の発明に係る2サイクルエン
ジンの燃焼制御装置によれば、可変バルブの低速回転か
つ低負荷域の開度を高負荷域の開度より小で、かつ中速
回転かつ中負荷域の開度より大に制御したので、中速回
転かつ中負荷域すなわち遷移領域の燃焼安定性を向上で
きるとともに、低速回転かつ低負荷域すなわち成層燃焼
域においては、残留ガスが比較的少なくなり、掃気が良
好となり、成層燃焼を安定化できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例による燃焼制御装置が適用さ
れた2サイクルエンジンの断面側面部分図である。
【図2】上記2サイクルエンジンを搭載した自動二輪車
の左側面図である。
【図3】エンジン回転数と負荷との関係を示す図であ
る。
【図4】上記実施例装置の排気バタフライ弁の動作を説
明するための図である。
【図5】上記実施例装置の排気タイミング制御バルブの
動作を説明するための図である。
【符号の説明】
9 エンジン 15,16 シリンダボディ 38 排気通路 45 排気バタフライ弁(可変バルブ) 48 筒内噴射弁 50 ECU(制御手段)
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−4820(JP,A) 特開 昭62−267515(JP,A) 特開 昭63−68719(JP,A) 特開 平2−33436(JP,A) 実開 平1−61428(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02D 9/04 - 13/02 F02B 17/00 - 25/20

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 筒内噴射弁を備えた2サイクルエンジン
    において、排気通路に該通路面積を変化させる可変バル
    ブを設け、該可変バルブの開度を、中速回転かつ中負荷
    域では略全閉に、高負荷域では略全開に制御する制御手
    段を設けたことを特徴とする筒内噴射式2サイクルエン
    ジンの燃焼制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、上記制御手段が、上
    記可変バルブの低速回転かつ低負荷域の開度を、上記高
    負荷域の開度より小で、かつ上記中速回転かつ中負荷域
    の開度より大に制御することを特徴とする筒内噴射式2
    サイクルエンジンの燃焼制御装置。
JP5103184A 1993-04-28 1993-04-28 筒内噴射式2サイクルエンジンの燃焼制御装置 Expired - Fee Related JP3065448B2 (ja)

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