JP3063380U - 検体処理容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】パラフィン等で病理検体を包埋した処理容器を
簡易に、且つ簡単な道具を用いて取り出すことを課題と
する。 【解決手段】洗浄、脱水、除去の簡略化を図ると共に、
ホルマリン固定液の浸漬から、パラフィン等の包埋、検
体の取り出しに至るまでの作業を著しく短縮せしめたも
のである。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】 本考案は顕微鏡による病理組織学的検査を行う際に、臓器生検用検体片を安全 且つ敏速に採収して各分配包埋できる検体処理容器に関するものであり、詳細に は、開閉操作を容易にした容器に関するものである。

【０００２】

【考案の属する技術分野】

医学における病理組織検査を行う場合の臓器検体を包埋する容器に関するもの である。

【０００３】

【従来の技術】

従来より、手術・検査等において臓器の検体を採収処理保存に使用する検体処 理容器として、図７に図示の様な通気孔と井桁状の仕切を設けた容器と、多数の 通気孔を穿設させた蓋体とから構成された容器が知られている。

【０００４】 これらの従来の採収容器は、容器に検体などを収納し蓋を閉じる際は比較的手 間、隙を要しないが、保存処理に際してパラフィン等で固着させるために、再び 容器の蓋を開ける際には手間や力が掛かり、検体が蓋を開く時の衝撃で飛び散っ たり混合したり等、重大な医療事故の発生、等の問題があった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、健康への関心が高まり、積極的な検診が求められていて、これに対 応する検査機関、及び病院等の検査室では、一定期間の定められた日時に検査結 果を提出する責務を有しているため、昨今の業務が煩雑を極める医療機関におい てはそのような一つ一つの手間隙を簡略化していくことにより迅速な医療体制を 維持することが可能となるものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、上記の事由に着目し、これらの要望を満たすべく鋭意創案の結果、 到達し得たものであって、洗浄、脱水、除去の簡略化を図ると共に、ホルマリン 固定液の浸漬から、パラフィン等の包埋、検体の取り出しに至るまでの作業を著 しく安全且つ短縮せしめたものである。

【０００７】

【考案の実施の形態】

斯かる目的を達成した本考案の検体処理容器の実施例を以下の図面に基づき説 明する。

【０００８】 本考案は、可撓性の樹脂材を用いて、容器６の底部を簾の子状に多数の容器側 通気孔９を穿設して、面上を井桁状枠体１０で仕切り、独立した室及び複数室を 設けて容器６を形成し、同様に蓋体１の面へも、多数の蓋体通気孔４を穿設する と共に、容器６と蓋体１を合着係止する係止片２と挿入片３を蓋体の裏側に設け 、これと相対する係止片受穴部７と挿入片受穴８を容器６に設けたものである。

【０００９】 即ち、上記の如く構成した蓋体１の挿入片３は、容器６の挿入片受穴８との係 合により蓋体１の開閉時の支点として機能するものであり、それぞれ形状を鈎状 に形成させている。

【００１０】 一方、蓋体１の係止片２は、容器６の係止片受穴７と樹脂弾性を利して係合す ることで、蓋体１を着脱させるものであり、そのため、係止片２の先端部には突 起２１を形成し、係止片受穴７には突起２１と係合する陥部７１を形成している 。

【００１１】 蓋体１を容器６に取り付けるには、先ず、蓋体１の挿入片３を容器６の挿入片 受穴８に挿入させることで、ここを支点として開閉可能とする。 次いで、蓋体１の係止片２を係止片受穴７に位置合わせし、蓋体１を押圧するこ とで嵌合させる。この際、係止片２の先端に設けた突起２１が係止片受穴７の陥 部７１に係合されることで、蓋体１は容器６に合着される。

【００１２】 蓋体１を容器６から取り外す際には、係止片２側の蓋体１の端部を摘み部とし て弾性変形させ、係止片２の先端に設けた突起２１と係止片受穴７の陥部７１と を離脱させる。次いで、蓋体１の端部を上部方向に持ち上げることで、係止片２ を係止片受穴７から取り外す。従って、係止片受穴７は図３で示す矩形穴の如く 、係止片２を取り外すに十分な大きさと形状を有している。

【００１３】 尚、本考案では、図１に図示の如く、蓋体１の係止片２を設けた面部に２つの 貫通孔５を形成している。この貫通孔５を設けたことで、脱着時には素手を使う ことなく、ピンセットなどの鈎状の端部をもつ道具を使用して貫通孔５に挿入し 、蓋体１を容器６から簡単に離脱させることができる。

【００１４】 図４乃至図６は、係止片２と係止片受穴７の別の実施態様を示している。 図４は、係止片２の先端に設けた突起２１を球状とした例を示すものであり、 それに対して、図５は、この様な球状の突起２１を挿入させるに適合した円形状 の係止片受穴７を示している。これらの係止片２及び係止片受穴７は、球面の滑 動性を利して着脱作業をより容易にすることができる。 尚、図示の如く、これらの係止片２及び係止片受穴７は、複数個を設けることが 可能である。

【００１５】

【考案の効果】

本考案は、以上の如く構成したので臓器穿刺、嘴具、鉗子等で採取した臓器の 検体を採収させた容器をパラフィンを浸透させた後、検体を取り出す際に、極め て簡易な作業で容器と蓋との離脱着が図れる。これにより、病理組織学的検査及 び内視鏡的検査において、信頼できる検査順序を確立できるものであって、本考 案の貢献性は極めて有意義なものがあり、顕著な実用性を有するものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の容器及び蓋体の全体を表す斜視図で
ある。

【図２】 本考案の蓋体と容器との係合状態を示す断面
図である。

【図３】 本考案の容器の係止片受穴を説明するための
一部を省略した概要図である。

【図４】 本考案の他の実施例の蓋体の係止片を説明す
るための一部を省略させた概要図である。

【図５】 本考案の他の実施例の容器の係止片受穴を説
明するための一部を省略した概要図である。

【図６】 本考案の他の実施例の蓋体と容器との係合状
態を示す断面図である。

【図７】 検体容器の従来例である。

【符号の説明】

１…蓋体 ２…係止片 ２１…突起部 ３…挿入片 ４…蓋体側通気孔 ５…貫通孔 ６…容器 ７…係止片受穴部 ７１…陥部 ８…挿入片受穴 ９…容器側通気孔 １０…井桁状枠体。

Claims (5)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】手術・検査等において臓器の検体を採収、
   処理、保存に使用する容器において、前記処理容器は底
   部へ簾の子状に多数の容器側通気孔を穿設させると共
   に、底部の面上へは井桁状の枠体を設けた可撓性樹脂材
   で形成した容器と、多数の蓋体側通気孔を穿設させた蓋
   体から成り、前記容器と蓋体とを一方の端部を支点とし
   て係合させると共に、蓋体の他方の端部へは先端部に突
   起と係合する陥部を設けた係止片受穴を形成させて、該
   容器に係る蓋体を極めて容易に着脱自在に係止させるこ
   とを特徴とする検体処理容器。
2. 【請求項２】前記係止片受穴は蓋体の先端部を摘部とし
   て弾性変形させた際に、係止片受穴の陥部から係止片の
   突起が離脱し且つ係止片が抜け出すのに十分な大きさを
   有していることを特徴とする請求項１に記載の検体処理
   容器。
3. 【請求項３】前記支点部が蓋体に設けた鈎状の挿入片
   と、容器に設けられた鈎状の挿入受穴から成り、前記係
   止片と係止片受穴との離脱により蓋体と容器とを離脱さ
   せた際に、挿入片と挿入受穴との離脱が可能であること
   を特徴とする請求項１に記載の検体処理容器。
4. 【請求項４】前記蓋体の係止片の突起部が鈎状または球
   体状に形成されたことを特徴とする請求項１に記載の検
   体処理容器。
5. 【請求項５】前記係止片を形成させた蓋体の面部に貫通
   孔を設けたことを特徴とする請求項１に記載の検体処理
   容器。