JP3062601B1 - 芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化水素を含有する炭化水素の水素化処理方法 - Google Patents

芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化水素を含有する炭化水素の水素化処理方法

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JP3062601B1 JP11026792A JP2679299A JP3062601B1 JP 3062601 B1 JP3062601 B1 JP 3062601B1 JP 11026792 A JP11026792 A JP 11026792A JP 2679299 A JP2679299 A JP 2679299A JP 3062601 B1 JP3062601 B1 JP 3062601B1
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康朗 三木
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Abstract

【要約】 【課題】水素及び炭化水素水素化処理触媒の存在下に、
芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化水素を含む炭
化水素を水素化処理し、芳香族炭化水素及び(又は)縮
合多環炭化水素の水素化処理方法又は接触分解油の水素
化処理方法の提供 【解決手段】芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化
水素を含有する炭化水素を、水素、並びにモリブデン、
クロム、亜鉛及び硫黄を含有する水素化処理触媒又はニ
ッケル、モリブデン、クロム、亜鉛及び硫黄を含有する
水素化処理触媒の存在下に処理して、芳香族炭化水素及
び(又は)縮合多環炭化水素を水素化・開環して炭化水
素を得ることを特徴とする炭化水素の水素化処理方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素及び水素化処
理触媒の存在下に、芳香族炭化水素及び(又は)縮合多
環炭化水素を含有する炭化水素又は接触分解軽油の水素
化処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香
族炭化水素やナフタレンなどの縮合多環炭化水素は、ガ
ソリン、灯軽油等の化石燃料油中にその成分として含ま
れている。しかしながら、近年地球規模で環境保全を図
る必要性が強調されるに至り、これら燃料油中に含まれ
るこれらの炭化水素成分の低減化の必要性が指摘され、
それを実行することが要求されている。また、近年、石
油精製工業においては接触分解装置の稼働が積極的に進
められており、それに伴い、副産物としての接触分解軽
油の生成量が増大してきている。この接触分解軽油に
は、減圧蒸留塔から得られる直油系軽油と比較して、芳
香族化合物、特に縮合多環芳香族化合物の含有率が非常
に高く、市販軽油として使用する場合には、これら縮合
多環芳香族化合物を水素化すると共に、水素化開環する
ことが要求されている。燃料油中の芳香族炭化水素等の
低減方法としては、芳香族炭化水素等を水素化し、脂環
式炭化水素とすることが考えられる。しかしながら、単
に水素化して脂環式炭化水素とするだけでは、燃料とし
て利用するという観点からは十分でなく、水素化により
芳香族炭化水素を脂環式炭化水素とした後に、開環反応
により、脂肪族炭化水素とし、アルキル化や異性化反応
により、オクタン価などを高めることが要求される。従
来は、燃料中に含まれる芳香族族炭化水素を処理するこ
となく燃料として用いており、前記したような燃料油中
の芳香族炭化水素を水素化した後、開環反応を行い、燃
料に適した脂肪族炭化水素とする工業的に稼働している
プロセスは、未だ存在していない。前記のような開環反
応は、従来触媒の酸点により促進される反応であると言
われている。このような酸点により促進される反応に用
いられる触媒としては、酸性質が高いことが必要である
とされている。従来、酸性質の強い触媒としては、ゼオ
ライトやシリカ・アルミナ等の固体酸担体に水素化活性
の高い金属(パラジウム、コバルト、等)を担持した触
媒が、知られている。しかしながら、このような触媒を
前記芳香族炭化水素を含有する炭化水素の水素化・水素
化開環反応に用いると、開環反応に続いて、分解反応が
生起することがわかった。そして、この二次的な分解反
応のために、得られる生成物は燃料として適したもので
はないので、プロセスとして用いることは適していない
ものであることがわかった。そして、周期律表IV族及び
VIII族元素をアルミナ、シリカアルミナ等に担持した触
媒を用いる方法(特開平1−310743号公報、特開
平6−200262号公報)、また、周期律表IVb族及
びVIII族元素をアルミナに担持した触媒で処理した後
に、これらの金属をアルミナに担持した触媒で処理する
2段階処理方法(特開平6−116570号公報)が、
知られている。これらの触媒を用いることにより、メチ
ルナフタレン、アセナフテン、フルオレンを水素化処理
すると、確かに水素化・水素化開環反応を行うことがで
きるのであるが、反応温度としては400℃以上の高温
度を必要とするばかりでなく、開環生成物の二次的な分
解反応が進行するので、適切なものではない。従来の石
油精製用触媒は、ゼオライト系やシリカ−アルミナ系等
の水素化分解用触媒とコバルト(ニッケル)−モリブデ
ン/アルミナ系触媒水素化精製用触媒の二系列の触媒が
用いられてきた。そして、このような触媒を芳香族炭化
水素を含有する炭化水素の水素化・水素化開環反応に用
いることには、本質的に無理があることが分かった。す
なわち、水素化分解用触媒を用いると、反応に際し分解
生成物の再分解(過分解)が起こりやすいこと、及び高
温下ではコークスを生成しやすく、触媒の活性劣化を引
き起こしやすいこと、低温で使用すると、窒素化合物或
いは脱窒素反応で生成したアンモニアが触媒の酸点から
脱離され難く、活性劣化を引き起こすので、窒素化合物
を含む炭化水素に用いることが難しいことなどの問題点
が存在することが分かった。また、水素化精製用触媒を
用いると、酸的活性が弱く、原料油の熱分解が起こらな
いような温度領域(一般的には400℃以下)では、水
素化分解能は殆ど期待することができない。また、熱分
解が起こると、触媒上コークが析出し、触媒の活性劣化
が著しく促進されてしまうことなどの問題点が分かっ
た。このような技術的な背景のもとで、これらの反応で
は新規な触媒の開発が望まれている。また、この新規な
触媒を用いた炭化水素の水素化処理が必要とされてい
る。具体的には、これまで、縮合多環芳香族化合物の水
素化開環を目的とした触媒は提供されていない。接触分
解油を燃料とすると、セタン化が低く、燃料としては使
用することができない。燃料として使用するためには、
接触分解油に含まれる縮合多環芳香族化合物の水素化開
環反応を行うことが必要である。
【0003】
【発明の解決しようとする課題】本発明の課題は、水素
及び炭化水素水素化処理触媒の存在下に、芳香族炭化水
素及び(又は)縮合多環炭化水素を含む炭化水素を水素
化処理し、芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化水
素の水素化処理方法又は接触分解油の水素化処理方法を
提供することである。
【0004】
【課題を解決する手段】本発明者らは、このような技術
背景の基に触媒の開発を進めたところ、硫黄を含むモリ
ブデン酸塩の還元分解で調製した非担持二硫化モリブデ
ン触媒が、高い水素化能と共に高い水素化開環能を有
し、しかも開環生成物の二次的な分解が起こり難いもの
であること、具体的には、モリブデン、クロム、亜鉛及
び硫黄を含有する非担持水素添加触媒又はニッケル、モ
リブデン、クロム、亜鉛及び硫黄を含有する非担持水素
添加触媒を用いて、芳香族炭化水素及び(又は)縮合多
環炭化水素を水素化処理することにより、芳香族炭化水
素及び(又は)縮合多環炭化水素を水素化・開環するこ
とができることを見出し、接触分解油を水素化処理する
と、接触分解油のセタン価指数の高い油を得ることがで
きることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明によれば、以下の発明が
提供される。水素及びモリブデン、クロム、亜鉛及び硫
黄又はニッケル、モリブデン、クロム、亜鉛及び硫黄を
含有する非担持水素添加触媒の存在下に、芳香族炭化水
素及び(又は)縮合多環炭化水素を含有する炭化水素
を、処理して芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化
水素を水素化・開環して炭化水素を得る炭化水素の処理
方法及び接触分解油の処理方法が提供される。
【発明の実施の形態】
【0006】本発明に用いられる第一の水素化処理触媒
は、非担持モリブデン−クロム−亜鉛複合硫化物であ
る。前記水素化処理触媒は、組成式
【化1】 Mo(a)Cr(b)Zn(c)S
(d) (式中、 aは、0.005〜0.05 bは、0.20 〜0.67 cは、0.33 〜0.80 dは、0.008〜0.15 の各範囲の数値を示す。)で表されものである。
【0007】この触媒を製造するには、亜鉛化合物をび
クロム(III)(三酸化クロムの塩)の水溶液に混合
し、ヒドロキシクロム酸亜鉛を生成させる。用いる亜鉛
化合物は、水溶液となるものであれば、差し支えない。
この亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硝酸
亜鉛、酢酸亜鉛等を挙げることができる。クロム(II
I)の塩としては、水酸化クロム、三酸化クロム、クロ
ム酸塩、重クロム酸塩、ポリクロム酸塩等を挙げること
ができる。亜鉛化合物をクロムの塩の水溶液に混合させ
ると、ヒドロキシクロム酸亜鉛の水和物を得ることがで
きる。この水和物の亜鉛とクロムの原子比(Zn/C
r)が、0.5以上4以下の範囲となるように、亜鉛及
びクロムの塩の割合を調節する。0.5未満の場合及び
4を越える場合には触媒としての期待するような結果を
得ることができない。前記ヒドロキシクロム酸亜鉛の水
和物は、ZnCrO・(0.3−3.0)Zn(O
H)・nHOで表される組成物である。次に、前記
ヒドロキシクロム酸亜鉛水和物に、モリブデン酸硫化物
の塩の水溶液、例えば、チオモリブデン酸アンモニウム
水溶液を添加する。この生成物は粘土状の生成物であ
り、沈殿しているような状態である。これを十分に攪拌
することにより、水溶液の部分が粘土状物質中に入り込
んだ状態としてやることが必要である。チオモリブデン
酸アンモニウムの添加量は、亜鉛とクロムの原子に対す
るモリブデンの原子の割合(Mo/Zn+Cr)が、
0.005以上で、0.05以下の範囲となるように添
加する。このようにして得られた生成物は不均一な状態
の固液状となる。これを結晶の成長を抑制しつつ攪拌
し、加熱することにより水分及びアンモニア蒸気除去す
る。その結果、目的とする塊状体を得ることができる。
触媒を粒状で使用する場合には、水分及びアンモニアを
除去した後に、粉砕操作などを施して、粒状とする。次
に、粒状生成物を100〜180℃の範囲の還元状態の
雰囲気下に加熱し、最終的には450〜500℃に保持
する。還元には硫化水素ガス、二酸化硫黄、水素ガス、
一酸化炭素等の還元性ガスが用いられる。この加熱に
は、横置加熱炉が用いられている。加熱には電気炉など
を用いることができる。このようにして、粒状の触媒を
得ることができる。触媒として、ペレット状又は錠剤の
形状のものを得ようとする場合には、前記の水分除去の
工程で、水分を一部除去した状態であって、完全に水を
除去しない状態のときに、ペレット状又は錠剤に成形す
る。このように成形操作を施しものについて、前記と同
様な条件下に還元操作を施す。いずれも還元分解は、触
媒を反応器に充填した状態で行う。その際に生成するガ
スは、硫化水素、水、場合によっては炭酸ガス、アンモ
ニア等のガスである。これらのガスの中のアンモニア等
は触媒の反応管への充填前の焼成処理の工程で分解除去
することが有効である。
【0008】本発明に用いられる第二の水素化処理触媒
は、非担持ニッケル−モリブデン−クロム−亜鉛複合硫
化物である。この水素化処理触媒触媒は、組成式
【化2】 Ni(a)Mo(b)Cr(c)Zn(d)
S(e) (式中、 aは、0.05以下の範囲であり、0を含まないもので
あり、 bは、0.005 〜 0.05、 cは、0.20 〜 0.67、 dは、0.33 〜 0.80、 eは、0.008〜 0.30 の各範囲の値を示す。)で表される。
【0009】この触媒を製造するには、亜鉛化合物をび
クロム(III)(三酸化クロムの塩)の水溶液に混合
し、ヒドロキシクロム酸亜鉛を生成させる。用いる亜鉛
化合物は、水溶液となるものであれば、差し支えない。
この亜鉛化合物としては、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硝酸
亜鉛、酢酸亜鉛等を挙げることができる。クロム(II
I)の塩としては、水酸化クロム、三酸化クロム、クロ
ム酸塩、重クロム酸塩、ポリクロム酸塩等を挙げること
ができる。亜鉛化合物をクロムの塩の水溶液に混合させ
ると、ヒドロキシクロム酸亜鉛の水和物を得ることがで
きる。この水和物の亜鉛とクロムの原子比(Zn/C
r)が、0.5以上4以下の範囲となるように、亜鉛及
びクロムの塩の割合を調節する。0.5未満の場合及び
4を越える場合には触媒としての期待するような結果を
得ることができない。前記ヒドロキシクロム酸亜鉛の水
和物は、ZnCrO・(0.3−3.0)Zn(O
H)・nHOで表される組成物である。次に、前記
ヒドロキシクロム酸亜鉛水和物に、モリブデン酸硫化物
の塩の水溶液、例えば、チオモリブデン酸アンモニウム
水溶液を添加する。この生成物は粘土状の生成物であ
り、沈殿しているような状態である。これを十分に攪拌
することにより、水溶液の部分が粘土状物質中に入り込
んだ状態となるようにしてやることが必要である。チオ
モリブデン酸アンモニウムの添加量は、亜鉛とクロムの
原子に対するモリブデンの原子の割合(Mo/Zn+C
r)が、0.005以上で、0.08以下の範囲となる
ように添加する。次に、組成が一定になるように十分に
攪拌しつつ、ニッケル塩の水溶液を添加する。ニッケル
塩の添加量は添加した組成物中のモリブデンに対するニ
ッケルの原子比(Ni/Mo)が、1.0以下であり、
0を含まない範囲の値である。用いるニッケル塩として
は、水溶液となるものであれば、用いることができる。
具体的には、硫酸ニッケル、硫酸ニッケルアンモニウム
のような硫黄原子を含むニッケル塩である。このように
して得られた生成物は不均一な状態の固液状となる。こ
れを結晶の成長を抑制しつつ攪拌し、加熱することによ
り水分及びアンモニア蒸気除去する。その結果、目的と
する塊状体を得ることができる。触媒を粒状で使用する
場合には、水分及びアンモニアを除去した後に、粉砕操
作などを施して、粒状とする。次に、粒状生成物を10
0〜180℃の範囲の還元状態の雰囲気下に加熱し、最
終的には450〜500℃に保持する。還元には硫化水
素ガス、二酸化硫黄、水素ガス、一酸化炭素等の還元性
ガスが用いられる。この加熱には、横置加熱炉が用いら
れている。加熱には電気炉などを用いることができる。
このようにして、粒状の触媒を得ることができる。触媒
として、ペレット状又は錠剤の形状のものを得ようとす
る場合には、前記の水分除去の工程で、水分を一部除去
した状態であって、完全に水を除去しない状態のとき
に、ペレット状又は錠剤に成形する。このように成形操
作を施しものについて、前記と同様な条件下に還元操作
を施す。いずれも還元分解は、触媒を反応器に充填した
状態で行う。その際に生成するガスは、硫化水素、水、
場合によっては炭酸ガス、アンモニア等のガスである。
これらのガスの中のアンモニア等は触媒の反応管への充
填前の焼成処理の工程で分解除去することが有効であ
る。
【0010】本発明で得られる水素化処理触媒は、水素
添加反応に用いることができる。水素添加反応として
は、芳香族炭化水素又は(及び)縮合多環炭化水素の水
素化反応に用いることができる。この水素化反応では、
核の水素化により脂環式炭化水素や多環を形成する環の
一部を水素化し、脂環式炭化水素としたり、さらに環を
開環して脂肪族炭化水素や脂肪族炭化水素基とすること
ができる。1-メチルナフタレンの水素化反応の場合に
は、一部の核の水素化により、1−メチルテトラリンや
5−メチルテトラリンを製造し、さらにこれらを水素化
しメチルデカリン類を製造することができる。この反応
では、一部に異性化反応を伴う。また、核が水素化され
た後に、開環し、脂肪族炭化水素基、具体的にはペンチ
ル基とすることができる。このアルキル基は異性化反応
により分岐するアルキル基にすることができる。さらに
水素化を進めることにより、開環して脂肪族炭化水素と
したり、さらに異性化することにより分岐状の脂肪族炭
化水素とすることができる。これらの反応経路を示す
と、図1に示すとおりである。
【0011】本発明の水素添加反応に用いられる原料物
質としては、芳香族炭化水素、縮合多環芳香族炭化水素
等の炭化水素を挙げることができる。芳香族炭化水素と
しては、ベンゼンの他トルエン、キシレンなどのアルキ
ル基を有するベンゼンを挙げることができる。縮合多環
芳香族炭化水素には、ナフタレン、アントラセン、フエ
ナントレン、アセナフテンなどを挙げることができる。
これらの縮合多環芳香族炭化水素には、一部の芳香環が
水素化されているものであっても差し支えない。 これ
らの芳香族炭化水素、縮合多環芳香族炭化水素には、脂
肪族炭化水素又は脂環式炭化水素を含有していても差し
支えない。また、これらの混合物を含有する炭化水素
が、ガソリン留分、軽油留分、接触分解装置で処理され
た軽油であっても処理することができる。特に、接触分
解装置(F.C.C.)より得られる接触分解軽油は、
直接蒸留することにより得られる軽油留分と比較して、
芳香族炭化水素化合物、特に縮合多環芳香族炭化水素化
合物の含有量が多いものであるが、このような炭化水素
であっても原料物質として取り扱うことができる。本発
明の方法で用いられる水素は、通常の水素の製造方法で
あるナフサなどの炭化水素から製造するものなど各種の
製造方法のものが用いられる。原料の炭化水素中には、
微量ではあるが硫黄化合物が含まれるが、反応に影響が
ないものであれば差し支えない。場合によっては反応を
促進させることもある。接触分解軽油の一例を示すと次
の通りである。 油種 中東原油アラビアンライト 使用装置 U.O.P式流動接触分解装置 性状 硫黄濃度 0.10重量% 窒素濃度 120ppm 密度 (15/4℃) 0.9110 セタン指数 27.0 F.I.A分析 芳香族 65% 飽和分 33% オレフイン 2%
【0012】本発明の水素化処理反応は、芳香族炭化水
素や縮合多環炭化水素を含有する炭化水素を水素添加し
て、脂環式炭化水素及び芳香族炭化水素及び脂肪族炭化
水素とすることもできる。この水素化処理により、炭化
水素燃料油中に含まれるベンゼン、ナフタレンなどの芳
香族炭化水素や多環式炭化水素の含有量を減少させた
り、含まないようにすることもできる。
【0013】本発明の炭化水素の水素化処理反応の条件
は、以下の通りである。反応温度は、290〜400
℃、好ましくは320〜400℃である。290℃より
低い反応温度を設定すると、芳香族炭化水素や縮合多環
炭化水素の水素化反応速度は非常に遅くなる。400℃
を越える温度を設定すると、熱的分解反応が起こりやす
い傾向にある。圧力は、3〜15MPa、好ましくは5
〜12MPaの範囲である。ここでの圧力は水素分圧を
意味している。圧力が50kg/cmより低い場合に
は芳香族炭化水素や多環式炭化水素は水素化されない。
150kg/cmを越えるような圧力では、それ以下
の場合の圧力を用いた場合と比較して、格別効果が見ら
れない。炭化水素の供給量(液空間速度 LHSV)
は、0.2〜3.0h−1、好ましくは、0.3〜1.
2h−1の範囲である。水素/炭化水素油の供給割合
は、モル比で、1.0〜100の範囲である。水素化処
理反応終了後の反応生成物は、蒸留操作などにより特定
の沸点範囲の成分として分離される。これらの温度範囲
は利用する分野や用途に応じて適宜選択することができ
る。未反応の炭化水素原料や一部飽和された多環式炭化
水素を含む炭化水素は、再び反応器に循環することによ
り再び水素添加反応を行うことができる。未反応原料物
質を反応系に循環使用することは、反応が急速に促進さ
れことを防止し、反応選択率を上昇させることができる
ことがある。また、水素化処理反応が未だ十分に行われ
ていないような反応生成物であり、更に水素化処理反応
を行った方が有利である生成物を得た場合には、分離後
再び反応器に原料物質と共に再循環することにより、さ
らに水素化を行うこともできる。
【0014】本発明の触媒を用いる水素化処理反応は、
二段階で行うこともできる。この場合には、前記の触媒
を用いて、前記炭化水素を水素化処理し、引き続いて、
さらに前記の触媒を用いて、水素化処理することもでき
る。また、一段階目の水素化処理又は二段階目の水素化
処理の反応を、他の水素添加触媒であるIV族及びVIII族
から選ばれる金属触媒を用いることもできる。
【0015】本発明の水素化処理反応で得られる反応生
成物は、原料炭化水素である芳香族炭化水素や縮合多環
炭化水素が水素化された炭化水素の混合物である。場合
によっては、芳香族炭化水素や縮合多環炭化水素が形成
している芳香環の部分が水素化されている化合物や芳香
環が水素化されて脂環式化合物が開環し、更に異性化さ
れた炭化水素化合物である。1−メチルナフタレンを出
発物質とする場合の水素化化合物の具体例は、図1に示
されるとおりである。また、接触分解軽油では、原料油
中に含まれる芳香族炭化水素や縮合多環炭化水素の水素
化物を含む混合物が得られるが、これらの生成物のセタ
ン価は、原料炭化水素のセタン価と比較して大幅に向上
した結果のものとなる。
【0016】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。本発明は、この実施例により限定されるもので
はない。実施例及び比較例で用いた反応試料油は、1−
メチルナフタレンを、活性アルミナを充填したオープン
カラムクロマトグラフイーにより精製し、その150g
を市販のテトラデカンで希釈して調整したものである。
活性測定法は、以下の方法による。内容積40mlのス
テンレス鋼製マイクロオートクレーブに試料油5mlと
触媒を充填し、水素を室温で、8MPa加え、330℃
で1時間反応させたものである。触媒の使用量は、硫化
モリブデンあるいは硫化モリブデンと硫化ニッケルの合
計量に換算して10mg,20mg、30mg及び40
mgである。1−メチルナフタレンを出発物質とした場
合の反応生成物(図1)の収集分析には、以下のように
して行ったものである。反応生成物は、1−及び5−メ
チルナフタレン、メチルデカリン、ペンチルベンゼンに
大別される。1−メチルナフタレンの水素化率は、前記
メチルナフタレン、メチルデカリン、ペンチルベンゼン
の合計収率とした。ペンチルベンゼンは、メチルテトラ
リンの開環反応で生成する。ペンチルベンゼンの選択率
は、ペンチルベンゼンとメチルデカリンの合計収率に対
するペンチルベンゼンの収率とした。
【0017】実施例1(MoCrZnS触媒の合成) 酸化亜鉛(ZnO)162.72gを、三酸化クロム
(CrO)100gを含有する水溶液に徐々に添加し
ながらニーダにより練り合わせた。全量を添加し終わっ
た段階で、ニーダーを70℃に加温した。水分を蒸発さ
せて、練り合わせがやや困難になるまで、練り合わせ、
板状に成形した。このようにして、ペースト状のヒドロ
キシクロム酸亜鉛の水和物が得られた。 次に、このペ
ースト状のヒドロキシクロム酸亜鉛水和物に、チオモリ
ブデン酸アンモニウム17.45gの水溶液を徐々に添
加した。このようにして得られた生成物は固液状であ
り、十分に攪拌することにより、一定の組成となるよう
にしつつ、60℃で加熱することにより含まれている水
分を蒸発させ、板状に成形し、140℃で乾燥後、粉砕
し、粉状にした。得られた粉状物を篩い分けし、20−
30メッシュ粒分を取り出した。次に、内径38mm、
長さ400mmの石英製反応管内に充填した。反応管を
横置式電気炉内に挿入し、電気炉内に10%硫化水素−
90%水素の混合ガスを流しながら、温度を室温から徐
々に昇温させて、最終的に400℃とした。触媒の組成
は、原子比で以下の通りであった。 Mo:Zn:Cr:S 0.067:2:1:
0.14
【0018】実施例2(ZnCrNiMoS触媒の合
成) 酸化亜鉛(ZnO)162.72gを、三酸化クロム
(CrO)100gを含有する水溶液に徐々に添加し
ながらニーダにより練り合わせた。全量を添加し終わっ
た段階で、ニーダを70℃に加温した。水分を蒸発させ
て、練り合わせがやや困難になるまで、練り合わせ、板
状に成形した。このようにして、ペースト状のヒドロキ
シクロム酸亜鉛の水和物が得られた。 次に、このペー
スト状のヒドロキシクロム酸亜鉛水和物に、チオモリブ
デン酸アンモニウム17.45gの水溶液を徐々に添加
した。このようにして得られた生成物は固液状であり、
十分に攪拌することにより、一定の組成となるようにし
つつ、60℃で加熱をすることにより含まれている水分
を蒸発させた。その後、硫酸ニッケルアンモニウム1
0.57gの水溶液を加え、70℃の温度下に水分を除
去しながら、ニーダで練り合わせを行った。次に、板状
に成形し、140℃で乾燥後、粉砕し、粉状にした。得
られた粉状物を篩い分けし、20−30メッシュ粒分を
取り出した。次に、内径38mm、長さ400mmの石
英製反応管内に充填した。反応管を横置式電気炉内に挿
入し、電気炉内に10%硫化水素−90%水素の混合ガ
スを流しながら、温度を室温から徐々に昇温させて、最
終的に400℃とした。触媒の組成は、原子比で以下の
通りであった。 Ni:Mo:Zn:Cr:S 0.027:0.0
67:2:1:0.2
【0019】比較例1(非担持硫化モリブデン触媒の合
成) チオモリブデン酸アンモニウム(NHMoS
5gを、内径38mm、長さ400mmの石英製反応管
内に充填した。反応管を横置式電気炉内に挿入し、電気
炉内に10%硫化水素−90%水素の混合ガスを流しな
がら、温度を室温から徐々に昇温させて、最終的に40
0℃とした。この結果、硫化モリブデン(MoS)触
媒を得た。
【0020】比較例2(非担持硫化モリブデン・アルミ
ナ触媒の合成) アルミナ粉末70gに、チオモリブデン酸アンモニウム
(NHMoS8.8gの水溶液を徐々に添加し
た。このようにして得られた生成物は固液状であり、十
分に攪拌することにより、一定の組成となるようにしつ
つ、ニーダで練り合わせ、70℃で加熱することにより
含まれている水分を蒸発させ、板状に成形し、100℃
で乾燥後、粉砕し、粒状にした。得られた粉状物を篩い
分けし、20−30メッシュ粒分を取り出した。次に、
内径38mm、長さ400mmの石英製反応管内に充填
した。反応管を横置式電気炉内に挿入し、電気炉内に1
0%硫化水素−90%水素の混合ガスを流しながら、温
度を室温から徐々に昇温させて、最終的に400℃とし
た。この結果、MoS/Alが、30/70
(重量比)の触媒を得た。
【0021】比較例3(硫化ニッケル−硫化モリブデン
触媒の合成) チオモリブデン酸アンモニウム(NHMoS
50gの水溶液に、硫酸ニッケルアンモニウム(NiS
(NHSO・6HO) 30.3gを含
む水溶液を、攪拌しながら徐々に添加した。このように
して得られた混合物は均一な液体であるが、70℃で加
温しながらニーダで練り合わせると、徐々にペースト状
になり、さらに練り合わせを続けて水分を除去し、粉状
の固形物を得た。それを、120℃で乾燥後、乳鉢です
りつぶし、黒色の粉末を得た。次に、得られた粉末を篩
い分けし、20−30メッシュ粒分を取り出した。次
に、内径38mm、長さ400mmの石英製反応管内に
充填した。反応管を横置式電気炉内に挿入し、電気炉内
に10%硫化水素−90%水素の混合ガスを流しなが
ら、温度を室温から徐々に昇温させて、最終的に400
℃とした。触媒の組成は、原子比で以下の通りであった
Ni/Moの原子比は、2/5であった。
【0022】比較例4(硫化ニッケル−硫化モリブデン
/アルミナ触媒の合成) アルミナ粉末82gを、チオモリブデン酸アンモニウム
(NHMoS4.4gの水溶液に徐々に添加し
た。このようにして得られた生成物は固液状であり、十
分に攪拌することにより、一定の組成となるようにしつ
つ、ニーダで練り合わせ、その後、硝酸ニッケルNi
(NO・6HO 9.6gの水溶液を添加し、
さらに、70℃で加熱しながら、ニーダで練り合わせ、
板状に成形し、100℃で乾燥後、粉砕し、粒状にし
た。得られた粒状物を篩い分けし、20−30メッシュ
粒分を取り出した。次に、内径38mm、長さ400m
mの石英製反応管内に充填した。反応管を横置式電気炉
内に挿入し、電気炉内に10%硫化水素−90%水素の
混合ガスを流しながら、温度を室温から徐々に昇温させ
て、最終的に400℃とした。この結果、NiS/Mo
/ALO3が、3/15/82(重量比)の触媒
を得た。
【0023】実施例3及び4、比較例5乃至8 1−メチルナフタレンの水素化反応は、硫化モリブデン
の使用量に応じて、どのように変化するかを実験により
確認した。1−メチルナフタレンについては、供給する
1−メチルナフタレンに対する水素化された反応生成物
(メチルテトラリン類、メチルデカリン類及びペンチル
ベンゼンの合計量)の割合を、1−メチルナフタレンの
水素化率として測定した。結果は、図2に示すとおりで
ある。本発明に用いられる触媒は、硫化ニッケル−硫化
モリブデン触媒、硫化モリブデン触媒及び硫化モリブデ
ン及びアルミナ触媒より高い水素化率が得られることが
わかった。そして、硫化ニッケル−硫化モリブデン−ア
ルミナ触媒と同様の結果を得ることができることがわか
った。開環反応に対する各触媒の能力の比較を、以下の
方法で行った。ペンチルベンゼンを表すm/z=148
のイオンクロマトグラフ(生成量)と、メチルデカリン
類を表すm/z=152のイオンクロマトグラフ(生成
量)の比較を行うことにより行った結果を、図3に示し
た。そして、ペンチルベンゼンとメチルデカリン類で
は、イオンクロマトグラムの感度が異なるので、これら
の化合物の収率から求めた開環反応の選択率を、表1に
示した。これらの結果より以下のことが分かった。非担
持硫化モリブデン触媒(MoS)の開環反応への選択
率は0.17であり、それにニッケルが添加された非担
持硫化ニッケル−硫化モリブデン(NiS−MoS
触媒の開環反応の選択率では0.01であった。この結
果、ニッケルを担持した場合には選択率が低下すること
がわかった。アルミナに担持された硫化モリブデン触媒
(MoS/Al)の開環反応への選択率は、
0.15で、非担持硫化モリブデン触媒よりやや減少す
る結果となった。この場合にも、さらにNiを添加した
触媒の開環反応における選択率は0.03と著しく減少
する結果となった。これに対して、本発明のZnCrM
oSからなる触媒の開環反応における選択率は、0.2
5で、前記非担持及びアルミナ担持触媒と比較して高
く、この触媒にニッケルを添加したZnCrNiMoS
触媒の開環反応における選択率は0.17であり、前記
非担持及びアルミナ担持硫化モリブデンにニッケルを添
加した触媒において見られた開環能の選択率の減少は著
しく小さいことがわかった。本発明の触媒では、従来の
知られていたアルミナ担持ニッケル−モリブデン触媒等
と比較して、水素化能の点ではこれらの触媒に匹敵する
ものであり、そして開環能の点では良好な結果をえるこ
とができたものであり、さらに、ニッケルを添加した触
媒でも開環能の減少は少なく、水素化能は高い結果を得
られることがわかった。
【0024】実施例5 本発明に用いられるZnCrMoSからなる触媒に含ま
れる、モリブデンの含有量を変化させたときに、水素化
能と開環能がどのように変化するかを以下の方法により
測定した。実施例1の方法と同様な方法により、モリブ
デンの含有量が異なる以下の4種類の触媒を調製した。 モリブデンを15重量%含有する触媒(ZnCrMoS
−15、 Mo:Zn:Cr原子比 0.2:2:1) モリブデンを10重量%含有する触媒(ZnCrMoS
−10、Mo:Zn:Cr原子比 0.134:2:
1) モリブデンを5重量%含有する触媒(ZnCrMoS−
5、Mo:Zn:Cr原子比 0.067:2:1) モリブデンを2重量%含有する触媒(ZnCrMoS−
2、Mo:Zn:Cr原子比 0.027:2:1) 前記1−メチルナフタレンからなる反応試料油を使用し
た。前記活性測定法に従い、試料油5mlと触媒を用
い、水素を室温で8MPa加え、330℃で1時間反応
させた。触媒の使用量は、400mg(重量)、であっ
た。結果を図4乃至6で示した。図4は、2硫化モリブ
デンの含有量と1−メチルナフタレンの水素化率の結果
を図示したものである。この結果によれば、同一重量の
触媒を用いた1−メチルナフタレンの水素化率は、2硫
化モリブデン含有量が高いほど、高い結果となる。図5
は、各触媒を2硫化モリブデンに換算して20mg用い
たときの反応結果である。この結果によれば、2硫化モ
リブデン含有量当たりの水素化活性は、2硫化モリブデ
ンの含有量5重量%付近で最大の結果となっていること
が分かる。図6は、2硫化モリブデンの含有量と開環反
応における選択率の関係を図示したものである。選択率
は2硫化モリブデンの含有量の増加に対してわずかに減
少していることがわかる。2硫化モリブデンの含有率が
15重量%の触媒であっても、非担持2硫化モリブデン
触媒(表1)と比較すると、選択率は高い結果となって
いることが分かる。これらの結果より、2硫化モリブデ
ンの含有量は、2〜15重量%の範囲の場合が良好であ
ると言うことができる。
【0025】
【表1】
【0026】実施例6 本発明に用いられるのZnCrNiMoSからなる触媒
において、ニッケルの含有量とモリブデンの含有量の比
を変化させたときに、水素化能と開環能がどのように変
化するかを以下の方法により測定した。実施例1の方法
と同様な方法により、モリブデンの含有量が異なる以下
の4種類の触媒を調製した。ニッケルの含有量とモリブ
デンの含有量の比が15である触媒(ZnCrNiMo
S−15、 ニッケルの含有量は、NiSに換算して
2.3重量量%であり、Ni:Moの原子比は1:5で
ある。)ニッケルの含有量とモリブデンの含有量の比が
10である触媒(ZnCrNiMoS−25、ニッケル
の含有量はNiSに換算して4.6重量%であり、N
i:Mo原子比は2:5である。)ニッケルの含有量と
モリブデンの含有量の比が5である触媒(ZnCrNi
MoS−45、ニッケルの含有量は、NiSに換算し
て9.2重量%であり,Ni:Mo原子比は4:5であ
る。)ニッケルの含有量とモリブデンの含有量の比が2
である触媒(ZnCrNiMoS−85ニッケルの含有
量は、NiSに換算して18.4重量%であり、N
i:Moの原子比は8:5である。)2硫化モリブデン
の含有量が5重量%である触媒(ZnCrNiM0S−
5、実施例1のZnCrMoS触媒と同一であり、ニッ
ケルは含有されていない。前記1−メチルナフタレンか
らなる反応試料油を使用した。前記活性測定法に従い、
試料油5mlと触媒を用い、水素を室温で8MPa加
え、330℃で1時間反応させた。触媒の使用量は、触
媒全体の重量で、400mg(重量)であった。上記5
種類の触媒を用いた結果を、図7及び8で示した。図7
は、ニッケル含有量とモリブデン含有量の比と、1−メ
チルナフタレンの水素化率の結果である水素化能の関係
を図示したものである。この比が増加するに伴って水素
化能は増加し、Ni:Moの原子比が2:5付近で最大
となり、1:1付近から水素化能の減少が顕著となって
いることがわかる。図8は、ニッケル含有量とモリブデ
ン含有量の比と開環能の関係を図示したものである。比
の値がぞかするにしたがって、開環能は減少しているこ
とが分かる。比の値が1以下であることが好ましいこと
が分かる。
【0027】実施例7 以下の性状の接触分解油を、前記実施例1及び2、比較
例4で製造した触媒を用いて処理を行った。原料に用い
た接触分解軽油の内容は、次の通りであった。 油種 中東原油アラビアンライト 使用装置及び処理対象物 (U.O.P式)流動接触分解装置から得られ る接触分解油 性状 硫黄濃度 0.10重量% 窒素濃度 120ppm 密度 (15/4℃) 0.9110 セタン指数 27.0 F.I.A分析 芳香族 65(重量)% 飽和分 33% オレフイン 2% 反応操作は以下の通りであった。反応器は、内容積35
mlのマイクロオートクレーブを使用した。原料油の使
用量は10ml、触媒は1g、反応温度は330℃、水
素初圧は8MPa、反応時間5時間であった。生成物の
分析方法は、以下の方法によるものであった。生成物を
オートクレーブ中から回収し、触媒を分離除去し、密度
測定(JIS2249)及び蒸留曲線の測定(JIS2
254を参考にしたガスクロマトグラフイーを使用する
方法)を行い、セタン指数を計算した(JIS228
0)。 結果 本発明の触媒及び従来公知の触媒を用いた処理結果は以
下の通りであった。 ZnCrNiMo/S触媒を用いた結果 セタン指数37.7 ZnCrMo/S触媒を用いた結果 セタン指数35.0 ZnCrNiMo/S−NiMo/Al を用いた結果 セタン指数35.0
【0028】実施例8 本発明の方法と従来公知の触媒を用いる方法を、縮合多
環芳香族化合物に対する水素化能及び水素化開環反応に
おける活性の比較により比較確認を行った。各触媒の略
号の記載方法と触媒の調製方法は実施例1及び2と同じ
である。使用物質は、1−メチルナフタレンを使用し、
調製は以下の方法により行った。1−メチルナフタレン
を、活性アルミナを充填したオープンカラムクロマトグ
ラフイーにより精製した。精製した1−メチルナフタレ
ン150gを市販のテトラデカン550gにより希釈し
て、処理対象物質とした。活性測定方法は、以下の方法
によった。内容積40mlのステンレス鋼製のマイクロ
オートクレーブに試料油5mlと触媒を充填し、水素を
室温で8MPa加えた後、330℃で1時間反応させ
た。触媒の使用量は、硫化モリブデン含有量として、4
mg、8mg、12mg及び16mgを含むものであっ
た。触媒の水素化能は、1−メチルナフタレンの水素化
率によるもので表したものであり、メチルテトラリン
類、メチルデカリン類及びペンチルベンゼンの合計収率
により表したものである。触媒の水素化開環能は、ペン
チルベンゼンの収率で表したものである。水素化能につ
いては、図-9、及び水素化開環能については、図−1
0に示した。以上に結果より、水素化能は、従来石油精
製触媒として公知であるNiMoAlを用いる方
法の方が、本発明の方法より高い結果を得ることができ
るが、水素化開環能は、本発明の方法の方が有効な結果
を得ることができることを示している。
【0029】
【発明の効果】本発明の水素化処理方法は、ZnCrN
iMo又はZnCrMoからなる水素化処理触媒を用い
ることにより、炭化水素に含まれる芳香族炭化水素、縮
合多環炭化水素を水素添加し、脂環式炭化水素、芳香族
炭化水素や脂肪族炭化水素とすることにより、芳香族炭
化水素や縮合多環炭化水素の含有量を減少させること、
及び含まないようにすることができる。また、前記触媒
を用いて接触分解油を処理すると、セタン価指数の高い
油を得ることができる。本発明の水素化処理方法で用い
られる触媒は、従来知られているコバルト(ニッケル)
−モリブデン/アルミナ系触媒をと比較すると、低温下
で水素化分解能を有するものであり、ゼオライト系やシ
リカーアルミナ系触媒と比較すると、高温下でも活性が
安定した状態を保つことができるものである。また、本
発明の方法では、過分解が起こりにくいので、反応を進
めることに問題がなく、縮合多環芳香族化合物の水素化
開環活性が高いなどの有利な方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】1−メチルナフタレンの水素化反応経路と生成
物を示す図である。
【図2】本発明の触媒と二硫化モリブデンを含有するそ
の他の触媒の水素化能の比較を示す図である。
【図3】本発明の触媒と二硫化モリブデンを含有するそ
の他の触媒の開環反応への選択率に関しイオンクロマト
グラムによる比較を示す図である。
【図4】二硫化モリブデン含有量の異なる4種類のZn
CrMoS触媒の、触媒全重量当たりの1−メチルナフ
タレンの水素化活性の比較を示す図である。
【図5】二硫化モリブデン含有量の異なる4種類のZn
CrMoS触媒の、二硫化モリブデン含有量当たりの1
−メチルナフタレンの水素化活性の比較を示す図であ
る。
【図6】二硫化モリブデン含有量の異なる4種類のZn
CrMoS触媒の、1−メチルナフタレンの開環反応へ
の選択率の比較
【図7】ニッケル含有量の異なる5種類のZnCrNi
MoS触媒の、触媒全重量当たりの1−メチルナフタレ
ンの水素化活性の比較
【図8】ニッケル含有量の異なる5種類のZnCrNi
MoS触媒の、1−メチルナフタレンの開環反応への選
択率の比較
【図9】ZnCrNiMo/S及びZnCrMo/S触
媒とNiS-MoS/Al触媒を用いたときの
1−メチルナフタレンの水素化率の比較
【図10】ZnCrNiMo/S及びZnCrMo/S
触媒とNiS-MoS/Al触媒を用いたとき
のペンチルベンゼンの収率の比較
【符号の説明】
図2の符号は以下の触媒をあらわす。 □ : MoS触媒 ■ : NiS-MoS触媒 ○ : MoS/Al触媒 ● : NiS−MoS/Al触媒 △ : ZnCrMoS触媒 ▲ : ZnCrNiMoS触媒 図3のm/z=148は、ペンチルベンゼンの生成量を
表している。同じく、m/z=152は、メチルデカリ
ン類の生成量を表している。 図4〜6の○は、ZnCrMoS触媒を用いた結果を表
している。 図7及び8の○は、ZnCrNiMoS触媒を用いた結
果を表している。図9、10の符号は以下の触媒をあら
わす。 □ : NiS−MoS/Al触媒 △ : ZnCrMoS触媒 ○ : ZnCrNiMoS触媒
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C10G 45/50 B01J 27/051 C10G 47/00 C10G 49/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化
    水素を含有する炭化水素を、水素、並びにモリブデン、
    クロム、亜鉛及び硫黄を含有する非担持水素化処理触媒
    又はニッケル、モリブデン、クロム、亜鉛及び硫黄を含
    有する非担持水素化処理触媒の存在下に処理して、芳香
    族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化水素を水素化・開
    環して炭化水素を得ることを特徴とする炭化水素の水素
    化処理方法。
  2. 【請求項2】芳香族炭化水素及び(又は)縮合多環炭化
    水素を含有する炭化水素が接触分解油であることを特徴
    とする請求項1記載の炭化水素の水素化処理方法。
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