JP3061732B2 - 骨誘導と骨形成の場を提供するセラミックス機能材料及びその製造方法 - Google Patents

骨誘導と骨形成の場を提供するセラミックス機能材料及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体適合性に優れたリ
ン酸カルシウム系化合物焼結体から成り、骨誘導と骨形
成の場を提供するセラミックス機能材料及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】生体硬組織や軟組織の機能
修復の対策として人工材料によるインプランテーション
が行われてきた。そのインプラント材の材料としては、
金属、プラスチックス、セラミックスの単体あるいは複
合体が用いられてきた。インプラント材料に求められる
機能のうち最も重要なのは生体組織との適合性である。
この観点ではセラミックス材料は、他の素材と比較して
生体内での為害性が少なく、安定して存在すると言われ
ている。セラミックス材料のうち、特にリン酸カルシウ
ム系化合物セラミックスは、生体硬組織と類似の組成で
あり、インプラント材料として最適な材料であるとの評
価があり、既に人工骨材料、殊に骨欠損部補填材料とし
て多く製品化されている。
【0003】ここで、骨欠損部補填材料として多孔質リ
ン酸カルシウム化合物セラミックスを考えた場合、周囲
の生体骨との直接的な結合と気孔を通じて体液中の骨形
成に必要な細胞や結合因子の交通が成立し、その結果気
孔内での新生骨の形成が起こり、最終的には生体骨との
複合化も期待できる。したがって、今日ではリン酸カル
シウム化合物インプラント材料は、そのほとんどが多孔
質成形体から成っている。
【0004】ところが、この多孔質成形体を構成する気
孔空間の形態と骨形成との関わりについての詳細な報告
はほとんど見られず、実際に製品化された多孔質インプ
ラント材料についても、この点を充分に考慮して設計
し、管理された構造にはなっていないのが実情である。
例えば、本来材料外表と連絡していなければならない気
孔が閉塞状態になっている場合には、インプラント材料
中における体液の交通が成立せず、気孔内にほとんど骨
形成が見られず、不活性体として残存し、ひいてはイン
プラント材料全体が周囲の生体骨と充分に結合せず、長
期的には異物として生体から拒絶され、排出されること
に陥る。また、気孔空間は充分にあり、細胞も体液も交
通できるが、逆にマクロファージや異物巨細胞も自由に
交通するため骨形成が遅れたり石灰化量の不足からイン
プラント材料としての機能が果たせなくなることも起こ
る。このように、気孔空間の設計は、インプラント材料
の成否を決める重要な事項であるにもかかわらず従来の
多孔質インプラント材料について思想的にも技術的にも
充分な検討がなされていなかった。
【0005】
【発明の目的】本発明は、前記従来技術の欠点を解消
し、多孔質を構成する気孔空間の形態をインプラント材
料として優れた機能を発揮しうるように設計し、骨誘導
と骨形成の場を有効に提供しうるセラミックス機能材料
及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】本発明者らは、鋭意研究の結果、特定の
直径を有する複数の真球状空間と、当該空間の周辺に当
該空間と材料外表を連絡し、かつ互いにも連絡する特定
の寸法の複数の微細空間を有する多孔質リン酸カルシウ
ム化合物焼結体が上記目的を達成しうることを見出し、
本発明を完成した。
【0007】すなわち、本発明による骨誘導と骨形成の
場を提供するセラミックス機能材料は、リン酸カルシウ
ム系化合物の焼結体からなり、該焼結体内に直径が10
〜450μmの範囲で、骨形成の場を提供する複数の真
球状の空間を有し、かつ当該空間の周辺に当該空間と材
料外表とを連絡しかつ互いにも連絡する大きさが0.0
1〜0.5μmの複数の微細空間を有することを特徴と
する。
【0008】本発明のセラミックス機能材料は、リン酸
カルシウム系化合物の焼結体から成るものである。ここ
で、リン酸カルシウム系化合物としては、CaHP
4 、Ca3 (PO4 2 、Ca10(PO4 6 (O
H)2 等から選ばれた1種又は複数種を使用することが
できる。水酸アパタイトにおいては、これを構成するC
a、PO4 、OHの一部又は全部を他の元素又は原子団
で置換したものを採用することもできる。
【0009】本発明のセラミックス機能材料は、上記の
ようなリン酸カルシウム系化合物焼結体内に、直径が1
0〜450μmの複数の真球状空間と0.01〜0.5
μmの複数の微細空間を有する。直径が10〜450μ
mの真球状空間は、骨形成の認識の場の提供と、血液中
の血漿成分の交通に基づく骨形成細胞の活性化と産生機
能とを共存させる場を提供するものである。真球状空間
の直径が10μm未満であると、骨形成細胞の侵入が遅
れ、骨形成と成熟化が遅延し、また、450μmを超え
ると早期に細胞は場の認識を行わず、逆に血管の新生増
成作用を発揮する。一方、このような構造においては、
インプラント材料自体の強度低下を招く恐れが出てく
る。そのため、当該空間は可及的に真球に近い形状で、
かつ、インプラント材料中に均一に分布していることが
望ましい。また、空間を真球状にすることによって、骨
形成の促進に加えてインプラント材料に加わる外部から
の応力を集中することなく適度に分散させることができ
る。
【0010】一方、上記真球状空間の周辺にあって材料
外表と該空間を連絡し、さらに互いに連絡する複数の微
細空間は、フィルターの効果を保有し、体液、血液中の
血漿成分や骨始祖細胞のみを交通させ、真球状空間に居
住して骨形成に係わる細胞の活性化を促進し、このよう
な細胞の産生工場的機能を提供する。真球状空間のみで
も、確かに骨形成に係わる細胞と体液と血漿成分の交通
が可能であるため、上記微細空間は一見不要と考えられ
るが、真球状空間のみでは、真球状空間内部に細胞が充
分量居住し、骨形成が行われ、これが成熟してオステオ
ン構造が形成された場合、当該真球状空間は閉塞状態に
なり、その細胞並びに次の空間への材料外表からの栄養
補給の通路が断たれることになる。このように、微細空
間は、真球状空間の内部に細胞が充分量居住し、材料外
表との交通が不充分になった場合にも、細胞に対して栄
養成分のみならず物質移動の供給の場とする専用通路の
機能を果たすものである。そのためには、微細空間は、
内部に細胞が侵入して通路が閉塞する構造であってはな
らない。したがって、微細空間の大きさは、0.01〜
0.5μmであることが必要である。この大きさが0.
01μm未満であると体液や血漿成分の交通が困難とな
り、0.5μmを超えると単球や遊走細胞が微細空間に
侵入する可能性を生じる。
【0011】上記の構造を有する本発明のセラミックス
機能材料は、優れた骨形成機能を有し、その形態は顆粒
状、立方体、直方体、角柱状、円柱状、円板状など、任
意の形態であってよい。また、寸法についても、種々の
大きさであってよいが、比較的大きく、例えば、3c
m、5cmといった大きさのブロック状のインプラント
材料においては、その中心部まで骨形成が進むためには
比較的長時間を要し、極端な場合にはインプラント材料
の外側だけ骨形成が起こり、中心部には骨形成に係わる
細胞が侵入できなくなる恐れがある。
【0012】そこで、比較的大きいインプラント材料の
場合には、インプラント材料の相対する一対の面を連絡
する管状通路を少なくとも1個形成することが好まし
い。このインプラント材料を生体の欠損部の血流方向に
沿うように設置することによって中心部まで空間内での
新生血管の増成と増殖を可能にし、血流の確保ができる
ようになり骨形成に係わる細胞や栄養成分を充分に供給
することが可能となる。すなわち、上記管状通路は、イ
ンプラント材料の中心部まで骨形成に係わる細胞、体液
及び血漿成分を本来の血流方向に沿って交通させること
を目的とするものである。当該通路は、直径が0.6〜
1.2mmであることが望ましい。この直径が0.6m
m未満であると骨形成に伴い血流と血液成分が滞ること
なく交通することが困難になり、1.2mmを超えると
インプラント材料全体の強度低下を招く恐れが生じる。
【0013】上記のような管状通路を複数形成する場合
には、該通路と直交するインプラント材料断面において
互いに3〜5mmの間隔で当該通路が存在するのが好ま
しい。この間隔が3mm未満であるとインプラント材料
の強度低下を招く恐れがあり、5mmを超えると骨形成
に係わる細胞や栄養成分の細部への供給が不充分になる
恐れがある。
【0014】管状通路は、骨形成の面からは短い間隔で
数多い方が有利であるし、インプラント材料の強度の面
からは長い間隔で数少ない方が有利である。そこで、で
きるだけ数少ない通路で骨形成を充分に起こさせるため
には、当該通路に直交する断面上において、管状通路が
六方対称(Hexagonal symmetry)に配置され、かつ互いに
の間隔が3〜5mmであることが好ましい。このように
配置することによって、インプラント材料中のどの点か
らでも管状通路までの距離は最大でも5mmまでとする
ことができる。
【0015】次に、本発明のセラミックス機能材料の製
造方法について説明する。本発明のセラミックス機能材
料の製造方法は、セラミックス原料粉体として粒径5〜
10μmの球状リン酸カルシウム系化合物粒子を用いて
乾式又は湿式法で気孔空間を含むか又は球状熱消失性物
質を含む成形体を作製し、焼成して直径が10〜450
μmの範囲の複数の真球状の空間及び当該空間の周辺に
当該空間と材料外表とを連絡しかつ互いにも連絡する大
きさが0.01〜0.5μmの複数の微細空間を有する
多孔質焼結体を製造することを特徴とする。
【0016】0.01〜0.5μmの微細空間の形成
は、原料となるリン酸カルシウム系化合物の粉末を予め
5〜10μmの球状粒子として造粒することによって達
成される。本発明の方法においては、このような粒径の
球状粒子を原料粉体として用いて、成形体を作製し、焼
成することによって上記のような空間構造を有する多孔
質焼結体を製造するのであるが、成形体は、乾式又は湿
式法で作製することができる。乾式法としては、例え
ば、原料粉体を粒径12〜700μmの真球状熱消失性
物質と混合し、圧縮成形して成形体(圧粉体)を作製す
る方法がある。ここで、熱消失性物質としては、ナフタ
リン、アダマンタン、トリメチルノルボルナン、p−ジ
クロロベンゼン、アダマンタンとトリメチルノルボルナ
ンとの混合物、シクロドデカンなどの昇華性物質及びポ
リメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリスチレ
ン、ポリエチレンなどの合成樹脂が挙げられる。熱消失
性物質の粒径は、焼成時に該物質が消失することによっ
て生じる空間が焼成収縮により縮むことを考慮して選定
する。一般に、線収縮で0.6〜0.8倍に収縮すると
言われている。また、湿式法としては、過酸化水素、卵
白などの発泡剤を用いて発泡スラリーを作製し、これを
注型し、加熱乾燥して多数の気孔空間を有する成形体を
作製する方法などが挙げられる。
【0017】上記の方法で作製した成形体を、使用した
リン酸カルシウム化合物の種類や所望の気孔空間径など
を考慮して、例えば電気炉中で温度上昇勾配の充分な管
理設計のもとで焼成することにより、上記の空間構造を
有する焼結体を得ることができる。
【0018】本発明のセラミックス機能材料において、
少なくとも一対の相対する面を有し、その面同士を連絡
する直径が0.6〜1.2mmの管状通路を少なくとも
1個有する機能材料を製造するには、様々な方法を採用
することができる。具体的には、前記の方法で製造し
た成形体を少なくとも一対の相対する面を有する形状に
加工成形した後、相対する面同士を連絡する管状通路を
1個以上機械加工により形成し、焼成する方法、原料
粉体、粒径12〜700μmの球状熱消失性物質及び熱
消失性物質から成る直径0.7〜1.8mmの管状通路
形成材を用いて圧粉体を作製し、焼成する方法、発泡
剤を用いて原料粉体の発泡スラリーを調製し、これを底
面が平面である型内に入れ、このスラリー中に熱消失性
物質から成り、少なくとも液面から底面まで達する長さ
で、かつ直径が0.7〜1.8mmの管状通路形成材を
1個以上垂下させて成形体を作製し、焼成する方法、
発泡剤を用いて原料粉体の発泡スラリーを調製し、この
スラリーを、底面に直径が0.7〜1.8mmで、液面
まで達する長さの管状通路形成用ピンが1個以上直立す
る型内に注型して成形体を作製し、乾燥後、型から取り
外した成形体を焼成する方法などが挙げられる。
【0019】いずれの方法を採用する場合でも、特に焼
結時の昇温温度勾配の設定は重要であり、粒成長の完全
な制御の下で球状粒子同士の間隙が前述の微細空間を構
成するように製造管理を行う。この微細空間は、前述の
フィルターとしての機能を果たし、発泡剤による真球状
空間は、その曲率が骨形成細胞の認識の場となり、さら
に居住空間となる。また、管状通路(貫通孔)は、骨組
織内にインプランテーションされた中で血管の増成空間
を提供することになる。
【0020】
【発明の実施例】図1ないし図3は本発明によるセラミ
ックス機能材料(インプラント材料)の実施例を示す。
このインプラント材料11は、角柱状をなしており、そ
の長手方向に複数の管状通路12が形成されている。管
状通路12の一つは、角柱体の中心部に位置しており、
残りの管状通路は、この中心管状通路と六方対称(hexa
gonal symmetry)をなすように、配列されている。図示
例では、中心管状通路12aを中心とする二つの仮想同
心円上にそれぞれ、各6個の周辺管状通路12b、12
cが位置している。この六方対称形状によると、最も好
ましい結果が得られる。
【0021】図3は、このインプラント材料11中に形
成される真球状の空間13と微細空間14とを模式的に
示している。微細空間14は、真球状空間13どうし、
真球状空間13とインプラント材料11の外表面、ある
いは管状通路12の内表面とを接続する。
【0022】図4、図5は、本発明によるセラミックス
機能材料を円柱状インプラント材料11Aとしたもので
ある。管状通路12Aは、図4、図5と同様に、中心管
状通路12aと、この通路12aを中心とする仮想同心
円上に配置した周辺管状通路12bとからなっている。
この中心管状通路12aと周辺管状通路12bも、六方
対称形状をなしている。
【0023】管状通路12の間隔は、好ましくは、イン
プラント材料中の任意の点から管状通路までの距離が最
大でも5mm程度となるように、定めるのがよい。図
4、図5の例では、管状通路12の間隔を等しく3〜5
mmとすると、インプラント材料中の任意の点から管状
通路までの距離が5mm以下となる。
【0024】次に、具体例に基づいて本発明をさらに詳
細に説明するが、本発明はこれによって制限されるもの
ではない。
【0025】具体例1 公知方法で水酸アパタイトを湿式合成し、得られた水酸
アパタイトスラリーを回転式スプレードライヤを用いて
噴霧乾燥し、粒径5〜9μmの範囲の水酸アパタイト球
状粉末を得た。得られた水酸アパタイト球状粉末200
gに粉末状卵白アルブミン100gを添加し、乾式ボー
ルミルで穏やかに混合した。得られた混合粉末の粒度は
6.5μmであった。この混合粉末に水500gを添加
し、ハンドミキサーで15分間攪拌し泡立てた後、直径
20cm、深さ5cmのガラスシャーレに移し、80℃
の乾燥機内で24時間乾燥した。次いで、乾燥体をダイ
ヤモンドディスクを用いて直径1.2cm、高さ1cm
の円柱状に切り出し、相対する面を貫通するように直径
1.2mmの貫通孔(管状通路)を断面の中心点に1個
開け、さらに、4mm間隔で断面の中心点から等角度、
等距離で6個開けた後、1100℃で2時間電気炉内で
焼成し、インプラント材料を得た。焼結体の大きさは、
予め焼成収縮を予測しておいたとおり、円柱の直径8m
m、高さ7mm、貫通孔の間隔3mm、貫通孔の直径
0.8mmであった。水銀ポロシメータによる細孔分布
として気孔径を測定したところ平均で0.3μmの微細
空間と350μmの空間の2極分布が確認された。
【0026】得られたインプラント材料をビーグル成犬
の大腿骨骨髄中に埋入し、2週間後及び4週間後に組織
としてこれを取り出し、主としてインプラント組織構造
内の骨形成の状態を観察した。埋入後2週間でインプラ
ント材料中心部においても真球状空間の内壁にライニン
グセル構造が形成され、新生骨と見られる染色像の形成
が認められた。さらに、4週間経過後では真球状空間の
内部のほとんどの部分が新生骨で満たされ、従来の構
造、すなわち微細空間を伴わない組織構造の場合と比較
して顕著な骨形成像を示した。
【0027】具体例2 具体例1と同様の方法により作製したインプラント材料
を直径15mm、厚さ4mmの円板と直径12mm、厚
さ4mmの円板との二枚重ねの円板状に加工した。ビー
グル老犬(10才犬)の頭蓋骨側部に直径13mmの骨
穿孔を行い、骨欠損部とし、上記インプラント材料を埋
め込んだ。この状態では周囲1mmの間隙があり、指で
押せば動揺した。ここで帽状腱膜で押さえ込む形で縫合
を行い、3日間放置した。3日目に頭皮表面から指頭で
埋込部位の動揺性を確かめた結果、埋込部位でのインプ
ラント材料の動揺はなく、ほぼ固定が終了しているもの
と観察された。3週間経過後、ビーグル犬を犠牲とし剖
検を行った結果、インプラント材料と頭蓋骨穿孔部骨空
隙とのギャップは、明らかに新生骨で覆われ、極めて癒
合状態の良い所見と組織所見とが得られた。
【0028】具体例3 ビーグル成犬の左右脛骨骨端線下部から断面積で1/2
cm2 、長さ15mmを切除し、これと同様な形状に加
工したインプラント材料(材料は具体例1と同)を代替
充填した。術部位について、術直後、3日、1週、3
週、5週、7週、9週、12週、26週、そして52週
にX線所見を得、さらにこれと並行して血液生化学的検
索を実施した。X線像については、主として材料と骨と
の境界の陰影像の変化並びに新生骨形成を主体とした観
察を行った結果、5〜9週にわたって旺盛な骨形成像が
観察された。一方、血液生化学的検索については、アル
カリフォスファターゼ値は、7〜9週にわたり高位を示
した。これは、従来の同質インプラント材料でおおむね
12週に高位に達することと比較して極めて早い。この
事実は、本発明によるインプラント材料が従来のものと
比較して著しく優れた骨形成性を有することを示すもの
である。
【0029】具体例4 具体例1の乾燥体をそのまま1100℃の電気炉内で2
時間焼成し、籠形粉砕機により粗砕した後、ASTM規
格ふるいでふるい分けすることにより、粒径250〜5
00μmの顆粒状インプラント材料を製造した。この顆
粒状インプラント材料は、80μmの真球状空間と0.
3μmの微細空間を有していた。ビーグル幼犬の大腿骨
を麻酔下で人工的に骨折させ、骨髄中に上記顆粒状イン
プラント材料を充填し、整復した後、縫合し、さらにギ
プス包帯で固定した。術後3日、7日及び2週経過後に
ギプス包帯をはずし、X線像に基づく所見を観察した
後、ギプス包帯により再固定した。3週経過後には明ら
かに仮骨形成が認められる陰影像が認められたため、固
定から開放し、自由歩行に移行したが、以後再骨折など
の異常は生ぜず、正常な回復に向かい、X線所見として
7週経過後は治癒と判断できた。
【0030】具体例5 具体例4と同様な方法で焼成することにより作製したイ
ンプラント材料を籠形粉砕機により粗砕し、ASTM規
格ふるいにより140〜7メッシュの間で0.3mm間
隔にふるい分け、それぞれの集団を作製した。次いで、
粒径比を0.1mmを基準として粒径比がほぼ2×2
1/2 となる最密充填粒径分布となるように配合し、人工
骨頭固定用顆粒状インプラント材料とした。
【0031】一方、ビーグル老犬2頭(10才犬)を用
意し、上記インプラント材料の有効性を明らかにするこ
とを目的とする立場から荷重負荷である条件を必要とす
るため、左右の後足の人工骨頭置換術を実施した。すな
わち、Richards Manufacturing Company(アメリカ合衆
国テネシー州メンフィス在)製中型犬用人工骨頭を用
い、大腿骨を外側広筋(Vastus lat) 部位近傍で切断
し、骨髄腔に先の顆粒状インプラント材料をステムがほ
ぼ完全に動揺しなくなるまで強く充填することにより固
定した。術後は、1頭は縫合部位にノベクタン(感染防
止剤;商標、吉富製薬(株)製)を散布するに止めて2
週間柵中で飼育し、他の1頭はギプス包帯を用いて後足
側を拘束し、これを2週間持続し、その後は自由歩行に
移した。現在それぞれ20週の経過をみるが、X線所見
としてステム周辺にクリアゾーン等の異常は全く認めら
れず、また、顆粒周辺には雲状の陰影を伴うが、成形外
科学的に見て、特にルーズニングは認められない。
【0032】具体例6 具体例4と同様な方法で焼成し、ふるい分けすることに
より、0.1〜0.5mmの顆粒状インプラント材料を
製造した。この顆粒は、50μmの真球状空間と0.3
μmの微細空間を有していた。脊柱に湾曲の見られる先
天奇形と考えられる雄雑犬に創外固定術による脊柱矯正
術を施し、矯正部位に生じた骨欠損部位に上記の顆粒状
インプラント材料を充填した。術後、経時的にX線像に
基づく所見を得、創外固定器抜去の時期を探索した。術
後1ケ月で充填顆粒の周辺に雲状の陰影像が認められた
が、仮骨形成と骨癒合の進行と判断し、安全性を考慮の
上、術後2ケ月で同固定器の抜去を行った。以降約1ケ
年の経過をみるが、術部位の変形等の異常所見は得られ
ていない。
【0033】
【発明の効果】本発明による多孔質リン酸カルシウム化
合物焼結体から成る機能材料は、生体適合性、特に場の
認識としての新生骨誘起と石灰化の進行という観点から
最適な気孔空間構造を有するインプラント材料であり、
直径が10〜450μmの真球状空間は、骨形成の認識
の場の提供と、血液中の血漿成分の交通に基づく骨形成
細胞の活性化と産生機能とを共存させる場を提供し、
0.01〜0.5μmの微細空間はフィルターの作用を
有し、体液や血液中の血漿成分のみを交通させ、真球状
空間に居住して骨形成に係わる細胞の活性化を促進する
機能を有する。本発明による機能材料は、さらに、本来
必要である血流を妨げずにインプラント組織構造中に骨
の形成に直接関与する細胞成分を供給できる管状通路を
有することができ、この形態は比較的大きいインプラン
ト材料に好適である。管状通路を有する本発明のインプ
ラント材料は、生体の欠損部の血流方向に沿うように埋
入することによってインプラント材料中心部まで空間内
での新生血管の増成と増殖を可能にし、血流の確保がで
きるようになり、骨形成に係わる細胞や栄養成分を充分
に供給することが可能となる。この結果、従来のインプ
ラント材料と比較して極めて早期に骨形成が行われ、か
つ長期にわたって安定した成熟骨化を進行させることが
できる。そして、最終的には生体骨との複合体(Biocom
posite)を形成し、半永久的に骨として要求される機能
を果たすものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様を示す角柱状インプラント
材料の斜視図である。
【図2】図1に示したインプラント材料の断面説明図で
ある。
【図3】同真球状の空間、微細空間、及び環状通路を模
式的に示す図である。
【図4】本発明の別の実施態様を示す円柱状インプラン
ト材料の斜視図である。
【図5】図4に示したインプラント材料の断面説明図で
ある。
【符号の説明】
11 11A インプラント材料 12 12A 管状通路 13 真球状空間 14 微細空間

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 リン酸カルシウム系化合物の焼結体から
    なり、該焼結体内に直径が10〜450μmの範囲で、
    骨形成の場を提供する複数の真球状の空間を有し、かつ
    当該空間の周辺に当該空間と材料外表とを連絡しかつ互
    いにも連絡する大きさが0.01〜0.5μmの複数の
    微細空間を有することを特徴とする骨誘導と骨形成の場
    を提供するセラミックス機能材料。
  2. 【請求項2】 少なくとも一対の相対する面を有し、そ
    の面同士を連絡する直径が0.6〜1.2mmの管状通
    路を少なくとも1個有する請求項1記載のセラミックス
    機能材料。
  3. 【請求項3】 相対する面同士を連絡する直径が0.6
    〜1.2mmの管状通路を複数個有し、当該通路に直交
    する断面上で互いに3〜5mmの間隔で当該通路が存在
    する構造を有する請求項2記載のセラミックス機能材
    料。
  4. 【請求項4】 全体形状が角柱状である請求項1ないし
    3に記載のセラミックス機能材料。
  5. 【請求項5】 全体形状が円柱状である請求項1ないし
    3に記載のセラミックス機能材料。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、管状通路
    は、柱状体の中心の中心管状通路と、この中心管状通路
    を中心とする一以上の同心の仮想円上に等間隔で配した
    複数個の周辺管状通路とを備えているセラミックス機能
    材料。
  7. 【請求項7】 請求項6において、管状通路は、六方対
    称に配列されているセラミックス機能材。
  8. 【請求項8】 セラミックス原料粉体として、粒径5〜
    10μmの球状リン酸カルシウム系化合物粒子を用いて
    気孔空間を含むか又は球状熱消失性物質を含む成形体を
    作製し、焼成して直径が10〜450μmの範囲の複数
    の真球状空間及び当該空間の周辺に当該空間と材料外表
    とを連絡しかつ互いにも連絡する大きさが0.01〜
    0.5μmの複数の微細空間を有する多孔質焼結体を製
    造することを特徴とする骨誘導と骨形成の場を提供する
    セラミックス機能材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記成形体を少なくとも一対の相対する
    面を有する形状に加工成形し、その面同士を連絡する、
    直径が0.6〜1.2mmの管状通路を少なくとも1個
    形成する請求項8記載のセラミックス機能材料の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 相対する面同士を連絡する管状通路を
    機械加工により形成する請求項9記載のセラミックス機
    能材料の製造方法。
  11. 【請求項11】 粒径5〜10μmの球状リン酸カルシ
    ウム系化合物粒子、粒径12〜700μmの球状熱消失
    性物質及び1個以上の熱消失性物質から成る直径0.7
    〜1.8mmの管状通路形成材を用いて圧粉体を作製
    し、焼成する請求項8記載のセラミックス機能材料の製
    造方法。
  12. 【請求項12】 水中に粒径5〜10μmの球状リン酸
    カルシウム系化合物粒子及び発泡剤又は粒径12〜70
    0μmの球状熱消失性物質を加え、底面が平面である型
    内で充分攪拌したスラリー中に、熱消失性物質から成り
    少なくとも液面から底面まで達する長さで、かつ直径が
    0.7〜1.8mmの管状通路形成材を1個以上垂下さ
    せて成形体を作製し、焼成する請求項8記載のセラミッ
    クス機能材料の製造方法。
  13. 【請求項13】 水中に粒径5〜10μmの球状リン酸
    カルシウム系化合物粒子及び発泡剤又は粒径12〜70
    0μmの球状熱消失性物質を加え、充分攪拌したスラリ
    ーを、底面に直径が0.7〜1.8mmで、液面まで達
    する長さの管状通路形成用ピンが1個以上直立する型内
    に注型して成形体を作製し、乾燥後、型から取り外した
    成形体を焼成する請求項8記載のセラミックス機能材料
    の製造方法。
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