JP3059511B2 - 移動体位置探索システム - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ビルや倉庫等を巡回・
警備する警備員等の移動位置を的確に探索するための移
動体位置探索システムに関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、ビルや倉庫等を巡回・警備する警
備員等の移動位置を的確に探索することによって、防犯
上の異常や不慮の事故等に遭遇した場合に未然に警備員
等の安全を確保することが望まれている。警備員等は一
人又は少人数で巡回・警備するので、巡回中に生じる事
故等に対して自己で防衛することが必要であったが、例
えば、倉庫等に保管されている積荷等が巡回中の警備員
等に落下して不慮の事故に遭遇し、他の第三者に通報す
る手段が無いまま大きな事故に発展する等の問題が指摘
されていた。

【０００３】従来、このような通報手段として、特開平
１−２７８１３４号の技術が知られている。この通報手
段は、監視センターに設置されている操作卓から監視区
域へデータ伝送路を延設し、このデータ伝送路に送信及
び受信機能を有する固定局としての複数の端末機器が所
定間隔で接続されており、警備員等が無線送受信機を内
蔵したＩＤカードを携帯して巡回すると、巡回場所に設
置されている端末機器から無線発信された情報をＩＤカ
ード中の無線送受信機が受信し、更に、無線送受信機が
その端末機器へ位置情報を無線で返送し、そして該返送
信号を受信した端末機器がデータ伝送路を介して中央監
視センター内の操作卓へ送出することにより、操作卓を
監視している他の警備員等が、巡回警備員の場所を特定
し異常発生の有無を確認することができるようにした通
信システムである。

【０００４】即ち、操作卓と予め決められた位置に配置
された複数の端末機器とをデータ伝送路で接続したこの
通信システムは、所謂ポーリング方式の双方向データ伝
送を行い、警備員等の携帯するＩＤカードが、ある端末
機器の近傍を通過すると、その端末機器からの信号をＩ
Ｄカードが受信して位置情報を再び端末器に返送し、そ
の位置情報がデータ伝送路を介して操作卓に送出される
ことから、警備員の巡回位置等を特定することができる
システム構成となっている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながらこのよう
な従来技術にあっては、データ伝送路を敷設し、そのデ
ータ伝送路に送受信機能を有する端末機器を複数個接続
しなければならないので、監視区域が拡大するほど大規
模な敷設工事が必要となり、又、高価なシステムとなる
という問題点があった。

【０００６】本発明はこのような課題に鑑みて成された
ものであり、低価格で簡易且つ、比較的小規模なシステ
ムから大規模なシステムまで適用が可能な移動体位置探
索システムを提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために本発明は、移動体を検出すると位置情報として
の監視地区を示す情報を無線信号で放出する複数の出力
装置を監視地区内の予め決められた位置に配置し、ある
出力装置の近傍を移動体が通過したときに該出力装置か
ら放出された無線信号を受信して該出力装置の監視地区
を示す情報を記憶部に記憶すると共に、自己アドレスと
該出力装置の監視地区を示す情報を含む無線信号を出力
する無線送信装置を移動体に携帯させるようにし、所定
の位置に設けられた無線受信装置で該無線送信装置から
の無線信号を受信することにより無線送信装置を携帯し
た移動体の位置を確認するシステム構成とした。

【０００８】又、無線送信装置に内蔵されている所定の
スイッチ手段が操作されると自己設定アドレスと該出力
装置の監視地区を示す情報を含む無線信号を出力して、
所定の位置に設けられた無線受信装置で該無線送信装置
からの無線信号を受信することにより無線送信装置を携
帯した移動体の位置を確認するシステム構成とした。

【０００９】

【作用】このような構成を有する本発明の移動体位置探
索システムによれば、適宜の監視地区内に上記出力装置
を設置しておくだけで、警備員等の移動体の移動位置を
監視センター等に設置した上記無線受信装置で容易に確
認することができるので、従来のようなデータ伝送路を
敷設する必要が無くなる。

【００１０】又、警備ルートの変更や新規に設定する場
合、出力装置の取付け位置を容易に変更したり新たに設
置することができるので簡易且つ安価なシステムであ
り、小規模なシステムから大規模なシステムまで適用が
可能である。

【００１１】

【実施例】以下、本発明の移動体位置探索システムの一
実施例を図面と共に説明する。まず、図１に基づいて全
体のシステム構成を説明する。同図において、Ａ(i),Ａ
(i+1) ……は夫々が後述する機能を有する出力装置であ
り、予め決められた監視地区ｉ，ｉ＋１……の天井等に
取り付けられる。

【００１２】これらの出力装置Ａ(i),Ａ(i+1) ……は、
夫々が図２に示す構成の赤外線送信回路を内蔵してお
り、乾電池１を電源として作動する中央制御部２と、設
置された監視地区の情報を設定するための切替えスイッ
チ部３、赤外線発光ダイオード４等が内蔵されている。
更に構成を詳述すると、中央制御部２は、水晶発振子５
と共に所定周波数の基準クロック信号を形成する発振回
路６を有している。そして、分周器７が基準クロック信
号を分周することによって所定周波数の副搬送波信号と
更に他の所定周波数のクロック信号を形成し、副搬送波
信号が出力回路８に供給され、クロック信号がタイミン
グ発生回路９に供給されている。

【００１３】タイミング発生回路９は、クロック信号か
ら所定周波数の同期信号を形成し、キー入力回路１０
と、キー出力回路１１、データレジスタ１２、及びコン
トロール回路１３に供給している。そして、キー出力回
路１１が切替えスイッチ部３の接点回路へ所定周期で走
査データを供給し、導通状態となっている接点を介して
キー入力回路１０へ入力するデータの周期をキー入力回
路１０が検出することにより、設定されている自己アド
レス及び監視地区を判断する。この監視地区を示す所定
ビットのデータ（以下、位置表示データという）はデー
タレジスタ１２に保持され、更にコントロール回路１３
がデータレジスタ１２に保持された位置表示データを時
系列のデータに並直列変換して出力回路８に供給する。

【００１４】そして、出力回路８が、時系列のデータを
副搬送波信号に重畳させることによって送信信号に変換
し、この送信信号を駆動用トランジスタ１４を介して赤
外線発光ダイオード４に供給することにより、位置表示
データを送信させる。即ち、出力装置Ａ(i) を代表して
述べれば、出力装置Ａ(i) の監視地区データＢｉを含む
赤外線信号Ｓi が出力される。

【００１５】１５はデータレジスタ１２に保持されてい
るアドレスデータをコントロール回路１３へ供給する切
替えスイッチであり、図示のように電源ＶDDの電位に設
定されると、位置表示データをコントロール回路１３へ
供給させて赤外線発光ダイオード４による送信を行わ
せ、アース電位Ｖssに設定されると、赤外線発光ダイオ
ード４による送信を停止するようになっている。

【００１６】尚、図示しないが、出力装置Ａ(i) ，Ａ(i
+1) ……の夫々には、例えば赤外線反射型検出器のよう
な赤外線を放射する移動体感知器が内蔵されており、移
動体が近傍を通過するときに反射してきた赤外線を検出
することによって移動体の存在を検出する。そして、移
動体からの赤外線の反射を検出している間は、切替えス
イッチ１５を電源ＶDD側へ自動的に切替えることにより
赤外線発光ダイオード４に送信させる。又、４ａは赤外
線発光ダイオード４が送信動作を行っている期間中発光
することにより、送信中であることを表示する発光ダイ
オードである。

【００１７】尚、移動体感知器としては、焦電素子を用
いた人体検出器など、適宜の検出器が使用できる。再び
図１において説明すると、ＩＤは警備員等が巡回中に携
帯する無線送信装置であり、警備員等が第ｉ地区に設置
されている出力装置Ａ(i) の近傍を通過すると、出力装
置Ａ(i) の赤外線発光ダイオード４から送信された赤外
線信号Ｓiを受信して通過位置を示す信号ＳiAを自己ア
ドレスと共に無線送信し、又、第ｉ＋１地区に設置され
ている出力装置Ａ(i+1) の近傍を通過すると、出力装置
Ａ(i+1) 中の赤外線発光ダイオード４から送信された赤
外線信号Ｓi+1 を受信して通過位置を示す信号Ｓi+1Aを
自己アドレスと共に無線送信する機能を有している。

【００１８】ＨＲは監視区域中の特定の場所に設置され
た無線受信装置であり、無線送信装置ＩＤからの無線信
号を受信することによって、警備員等の位置を判断す
る。図３は無線送信装置ＩＤの構成を示す。まず、１６
は無線送信装置ＩＤの電源であり、携帯用に乾電池が使
用されている。１７は受光部であり、出力装置Ａ(i) ，
Ａ(i+1) ……の何れからか送出された赤外線信号を赤外
線受光素子で受光して復調処理を行うことにより、赤外
線信号を送信した出力装置の監視地区を示す位置表示デ
ータを再生して、マイクロコンピュータ１８へ供給す
る。

【００１９】１９は無線送信装置ＩＤ自身の設定アドレ
スを設定するためのアドレス設定部であり、設定アドレ
スデータがマイクロコンピュータ１８へ供給される。２
０は半導体集積回路素子から成るランダムアクセスメモ
リであり、受信部１７で復調した位置表示データを順次
に記憶していく。２１は無線送信部であり、位置表示デ
ータ及び設定アドレスデータから成る被送信データを所
定周波数の副搬送波に重畳して無線送信する。

【００２０】２２はタイマー回路であり、所定時間毎に
無線送信部２１の無線送信を行わせるためのタイミング
を設定する。２３は押しボタンスイッチであり、警備員
等が例えば異常時に押圧すると、被送信データに異常発
生を示すデータを含めて無線送信部２１に無線送信を行
わせる。

【００２１】図４は受信装置ＨＲの構成を示す。図４に
おいて、２４は無線送信装置ＩＤからの無線信号を受信
して復調処理する受信部であり、復調したデータをマイ
クロコンピュータ２５に供給する。マイクロコンピュー
タ２５は該データを解析し、使用されている無線送信装
置ＩＤの設定アドレスデータと、その無線送信装置ＩＤ
の存在位置を示す位置データを夫々アドレス表示部２６
及び地区表示部２７に表示させる。又、無線送信装置Ｉ
Ｄの押しボタンスイッチ２３が押圧されて異常通報があ
った場合には、警報装置２８を鳴動させる。

【００２２】このようにこの実施例は、伝送線路を敷設
しないでも無線送信装置ＩＤの位置から警備員等の位置
を検知することができるので、簡易で安価なシステム構
成を実現している。又、警備員等が巡回中に何らかの異
常を発見した場合や遭遇したような場合に無線送信装置
ＩＤの押しボタンスイッチを操作するだけで、無線受信
装置側の他の警備員等に、異常等の発見した地区と無線
送信装置ＩＤのアドレスとを通報することができるの
で、誰がどの地区で異常等を発見したか判断できる。

【００２３】又、無線送信装置ＩＤのメモリ２０に、移
動した地区のデータが記憶されるので、このデータを読
み取ることによって警備順路の履歴を確認することがで
き、警備状況を確実にすることができる等の効果があ
る。尚、この実施例では、出力装置Ａ(i) ，Ａ(i+1) …
…が位置表示データを赤外線で無線送信装置ＩＤへ無線
送信する構成となっているが、無線電波で通信するよう
にしてもよい。

【００２４】又、出力装置の駆動電力源として乾電池を
使用する場合を説明したが、商用１００ボルト電源等の
コンセントから電力を供給するようにしてもよい。又、
無線送信装置ＩＤに内蔵される駆動電力源としての乾電
池の電圧についてのデータを無線受信装置ＨＲへ通信
し、無線受信装置ＨＲ側で乾電池の残存電力を確認する
ことができるようにしてもよい。

【００２５】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、位
置情報としての監視地区を示す情報を無線信号で放出す
る複数の出力装置を監視地区内の予め決められた位置に
配置し、ある出力装置の近傍を移動体が通過したときに
該出力装置から放出された無線信号を受信して該出力装
置の自己アドレスと監視地区を示す情報を記憶部に記憶
すると共に、自己アドレスと該出力装置の監視地区を示
す情報を含む無線信号を出力する無線送信装置を移動体
に携帯させるようにし、所定の位置に設けられた無線受
信装置で該無線送信装置からの無線信号を受信すること
により無線送信装置を確認するシステム構成としたの
で、適宜の監視地区内に上記出力装置を設置しておくだ
けで、警備員等の移動体の移動位置を監視センター等に
設置した上記無線受信装置で容易に確認することができ
るので、従来のようなデータ伝送路を敷設する必要が無
くなる。

【００２６】又、警備ルートの変更や新規に設定する場
合、出力装置の取付け位置を容易に変更したり新たに設
置することができるので簡易且つ安価なシステムであ
り、小規模なシステムから大規模なシステムまで適用で
きる。又、無線受信装置に内蔵されたスイッチ手段を操
作すると通報が可能となり、安全確実な警備等の実現を
図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による一実施例のシステム構成を示す説
明図である。

【図２】出力装置の構成を示す回路ブロック図である。

【図３】無線送信装置の構成を示す回路ブロック図であ
る。

【図４】無線受信装置の構成を示す回路ブロック図であ
る。

【符号の説明】

Ａ(i) ，Ａ(i+1) ……；出力装置 ＩＤ；無線送信装置 ＨＲ；無線受信装置 ４；赤外線発光ダイオード １７，２４；受信部 １８，２５；マイクロコンピュータ １９；アドレス設定部 ２０；メモリ ２１；送信部 ２３；押しボタンスイッチ ２６；アドレス表示部 ２７；地区表示部

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 移動体の位置を探索する移動体位置探索
   システムにおいて、監視地区内の予め決められた位置に
   配置し、前記移動体を検出した際に位置情報としての監
   視地区を示す情報を無線信号にて送出する複数の出力装
   置と、該出力装置の近傍を前記移動体が通過した際に該
   出力装置から出力された無線信号を受信して該出力装置
   の監視地区を示す情報を記憶する記憶手段と、自己アド
   レスと該出力装置の監視地区を示す情報を含む無線信号
   を出力する送信部とを有する無線送信装置と、該無線送
   信装置から送出される無線信号を受信することにより該
   無線送信装置の位置を検出する無線受信装置とから構成
   される移動体位置検索システム。
2. 【請求項２】 移動体の位置を探索する移動体位置探索
   システムにおいて、監視地区内の予め決められた位置に
   配置し、前記移動体を検出した際に位置情報としての監
   視地区を示す情報を無線信号にて送出する複数の出力装
   置と、該出力装置の近傍を前記移動体が通過した際に該
   出力装置から出力された無線信号を受信して該出力装置
   の監視地区を示す情報を記憶する記憶手段と、内蔵され
   ている所定スイッチ手段が操作されると自己アドレスと
   該出力装置の監視地区を示す情報を含む無線信号を出力
   する送信部とを有する無線送信装置と、該無線送信装置
   から送出される無線信号を受信することにより該無線送
   信装置の位置を検出する無線受信装置とから構成される
   移動体位置検索システム。