JP3058926B2 - ユビデカレノン含有組成物およびその調製方法 - Google Patents

ユビデカレノン含有組成物およびその調製方法

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JP3058926B2 JP03012738A JP1273891A JP3058926B2 JP 3058926 B2 JP3058926 B2 JP 3058926B2 JP 03012738 A JP03012738 A JP 03012738A JP 1273891 A JP1273891 A JP 1273891A JP 3058926 B2 JP3058926 B2 JP 3058926B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、冠機能の改善に有効な
医薬品として臨床上広く利用されているユビデカレノン
の経口投与における吸収を改善した組成物、およびその
調製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ユビデカレノンは水に難溶性のために経
口投与における吸収性が低いことはよく知られている。
ユビデカレノンが経口投与された場合、ユビデカレノン
の集積しやすい肝臓、脾臓、副腎などは別として、他の
多くの組織ではユビデカレノンの保持は一過性となるた
め、十分なユビデカレノンの薬理活性を維持するにはユ
ビデカレノンを大量を投与することが必要となる。この
ような場合、大量かつ頻回の投与は、投与方法が経口で
あっても患者にとっては大きな負担となるものであり、
大量投与による副作用を防止する上からも好ましくな
い。
【0003】従って、必要とされるユビデカレノンの剤
型は、経口の製剤であって吸収率が良好で高い血中濃度
を長時間維持することのできるものが望ましい。このよ
うな観点から、これ迄ユビデカレノンを界面活性剤や油
脂で溶解しまたは乳化分散の状態にして投与したり、そ
のような状態のものを製剤化したりして経口吸収性を改
善する試みがなされているが、必ずしも十分な効果を得
るには到っていない。また、安全性などのうえからも界
面活性剤などの使用に対しては配慮が必要である。例え
ば、界面活性剤としては非イオン活性剤のポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンソルビタン
モノオレエートなどの使用が試みられてはいるが、これ
らの非イオン活性剤の使用は、溶血性、粘膜刺激、粘膜
欠損などの問題を有しているため、実際上医薬としての
利用が躊躇される機会が多い。
【0004】また、より安全度の高いポリグリセロール
脂肪酸エステルやグリセリン脂肪酸エステルなどの合成
界面活性剤が広く使用されだしているが、これらと同等
以上の乳化能を有し、安全性の極めて高い天然の乳化剤
の開発も要望されてきているのが現状であり、何らかの
有用な医薬添加物の使用によりユビデカレノンの吸収改
善がなされれば臨床上の有用性は大きい。近年、安全性
の高い天然の乳化剤として一般に牛乳脂肪球皮膜が有用
であることを示唆した報告がなされている(Drug Deliv
ery System, 5(2), 61〜64, 1990) 。牛乳脂肪球皮膜
は、主に脂質と蛋白質で構成される構造リポ蛋白質であ
ることが知られており、牛乳1ml中0.1〜10μm
の脂肪球が平均3.6×109 個含まれており、乳汁中
でこれらの脂肪球が安定なエマルジョンを保持できるの
は、この牛乳脂肪球皮膜の乳化作用によることが知られ
ている。この牛乳脂肪球皮膜の構造や組成についての生
化学的な研究は多数報告されているが、新しい製剤素材
としてユビデカレノンについて試みた報告は未だなされ
ていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
課題を解決するためのものであり、その目的とするとこ
ろは、ユビデカレノンの吸収改善すなわち高い血中濃度
を維持することのできる安定性の良いかつ安全度の高い
医薬組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等はユビデカレ
ノンの経口での吸収改善を目的として鋭意研究を行なっ
た結果、乳化剤として哺乳類の乳汁中の脂肪球皮膜例え
ば牛乳脂肪球皮膜を用いて調製した水中油滴型エマルジ
ョン粒子をさらに分画精製することにより得られるユビ
デカレノン含有の乳化安定性の高いエマルジョンまた
は、これを製剤化したものを投与することによってユビ
デカレノンの吸収性を改善しえることを見い出し、本発
明を完成させるに到った。
【0007】即ち、本発明の要旨は (1)哺乳類乳汁中の脂肪球皮膜で乳化されたユビデカ
レノンを含有する組成物であって、乳化安定性の高いリ
ピドマイクロスフェアーを高密度に有する画分を主成分
とすることを特徴とするユビデカレノン含有組成物、お
よび(2)ユビデカレノンを哺乳類乳汁中の脂肪球皮膜
を用いて乳化し、次いで該エマルジョンの分画精製によ
り、乳化安定性の高いリピドマイクロスフェアーを高密
度に有する画分を分取することを特徴とするユビデカレ
ノン含有組成物の調製方法に関する。
【0008】本発明は経口でのユビデカレノンの吸収率
を改善し、高い血中濃度を長時間維持することのできる
乳化安定性の高いユビデカレノンを含有するエマルジョ
ンを調製する方法を見い出したことに基いている。具体
的にユビデカレノンを含有するエマルジョンを調製する
には以下の通り行なう。先ず、ユビデカレノンを溶解し
ている油脂類に哺乳類の乳汁中の脂肪球皮膜を加え、生
理的等張緩衝液(pH7.0)で適量にし、ホモジナイ
ズ及び超音波などによる乳化を行ない、水中油滴型エマ
ルジョンを形成することにより種々な粒子のユビデカレ
ノンを含有するエマルジョンを調製する。この操作後、
さらに濾過や遠心分離などの分画精製のステップを加え
ることにより乳化安定性がより向上したユビデカレノン
を含有するエマルジョンを得ることができるが、このと
きのリピドマイクロスフェアーの粒径は乳化安定性及び
含有率の点から約1〜3μmのものが高密度に存在する
画分を用いることが好ましい。
【0009】本発明におけるユビデカレノンは、コエン
ザイムQ10として知られる公知の化合物であり、冠機能
改善剤として用いられる一般に入手可能な薬物である。
本発明において用いられる哺乳類の乳汁中の脂肪球皮膜
としては、特に制限はないが原料の入手の容易性からし
て牛乳脂肪球皮膜を用いるのが好ましい。牛乳脂肪球皮
膜は、公知の方法により容易に調製することができる。
例えば、乳汁を遠心分離して得られるクリームを水で数
回洗浄後、チャーニング工程により脂肪球を物理的に破
壊する方法が一般的である(Journal of Dairy Researc
h ,50 ,107−133 ,1983)。
【0010】本発明において使用される油脂類として
は、医薬添加物としての油脂(動物油、植物油、精油、
脂質、合成油)であれば何ら制限はないが、なかでもセ
サミオイル、ピーナッツオイル、トリオレインなどが乳
化安定性の点からもっとも好ましい。またこのとき加え
る牛乳脂肪球皮膜は油脂1gに対して通常、約60mg
以上あれば良いが、乳化の程度を考えて約80mg使用
すれば充分である。約60mgより少ないと乳化が充分
ではなく、約80mgを越えて使用しても効果にかわり
はなく経済的でない。また、ユビデカレノンは前記の油
脂に対して高濃度で添加可能であるが、用いる油脂の種
類によっても異なり、通常、回収率の点から10〜50
%程度、好ましくは20〜30%程度の添加である。生
理的等張緩衝液(pH7.0)としては、リン酸ナトリ
ウム等張緩衝液などが用いられる。乳化の方法は、例え
ばホモジナイザーやソニケーターなどを含む通常の乳化
器などの製剤学上通常用いられる方法が使用できる。
【0011】遠心分離による分画精製は、約1μmより
小さな粒径画分を除く工程(A工程)および、約5μm
より大きな粒径画分を除く工程(B工程)の通常2種の
工程を有している。A工程では、例えば約3000〜4
000rpm(約1500〜2500×g)、好ましく
は約3500rpm(約2000×g)で例えば約60
分間以上で遠心し、下層を取り除き上層をリン酸ナトリ
ウム等張緩衝液(pH7.0)で懸濁するという操作を
数回繰り返すことにより行なわれる。このA工程の結
果、粒径が約1μmより小さくてユビデカレノンの含有
量の少ないエマルジョンの画分を除くことができる。B
工程では、例えば約500〜1000rpm(約50〜
150×g)、好ましくは約750rpm(約90×
g)で例えば約10分間以上遠心し、下層を分取するこ
とにより行なわれる。このB工程の結果、約5μmより
大きな粒径の乳化安定性の良くないエマルジョンの画分
を除去できる。これらの遠心分離操作の条件は、前記の
例に限定されるものではなく、約1μmより小さな粒径
画分を除き、または約5μmより大きな粒径画分を除く
ことのできる条件であれば、回転数および時間を適宜選
択して行うことができる。
【0012】このような分画精製により乳化安定性の高
いリピドマイクロスフェアーを高密度に有する画分を分
取することができる。この画分(約1〜5μm)中、特
に約1〜3μmの粒径は後述の実験例で示すように乳化
安定性に優れ、かつユビデカレノン高含有量のリピドマ
イクロスフェアーが高密度に存在する部分である。尚、
分画精製はA工程、B工程の順序で行なってもよく、B
工程、A工程の順序であってもよい。
【0013】このようにして得た画分を本発明のユビデ
カレノン含有組成物として調製するには、該画分の粉末
化方法として、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキ
シエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、
ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアル
コール、ポリビニルピロリドンなどの合成又は半合成高
分子物質や、アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチン
などの天然高分子物質、粉末乳糖、カゼイン、微結晶セ
ルロース、澱粉、小麦粉、デキストリン、二酸化硅素な
どの適当な増量剤を加え、噴霧乾燥、混練造粒、凍結乾
燥など常法により行なうことにより可能であり、さらに
こうして得た粉末は適宜、錠剤もしくはハードカプセル
剤などの製剤の形態をとることができる。あるいは、こ
うした分画精製によって脂肪球皮膜のリッチなかつ水分
含量の極めて減少したユビデカレノン含有のエマルジョ
ン組成物を得ることができるので、該エマルジョン自体
またはグリセリンなどの粘稠剤の添加により、ソフト
(軟)カプセルのかたちに製剤化することもできる。
【0014】本発明のユビデカレノン含有組成物は、種
々の製剤の形で服用された場合、消化管のなかで乳化状
態となり、リパーゼなどによる脂肪球皮膜の急激な崩壊
が生ずる心配が予想される。このリパーゼなどによる脂
肪球皮膜の崩壊が急激に進行すれば、大部分のユビデカ
レノンが一度に脂肪球皮膜内から腸管内に放出され、ユ
ビデカレノンを含有するエマルジョン組成物による持続
性などの吸収改善は期待できなくなる。従って、リパー
ゼなどの酵素に対して抵抗性を示すことが血中濃度の持
続性のために必要であると考えられるが、本発明のユビ
デカレノン含有組成物は、リパーゼに対して優れた抵抗
性を有する。即ち、後述の実験例で述べるように、例え
ば、リパーゼ( Porcine Pancreas(110〜120 unit/mg
蛋白で25%蛋白を含む画分)由来、フナコシ薬品よ
り購入)を選び、本発明のユビデカレノン含有組成物に
対して添加し、乳化安定性、粒径分布、電顕安定性をみ
たところ、リパーゼに対して抵抗性があることが観察さ
れる。このリパーゼ抵抗性は、意外にも本発明において
分画精製することによりさらに高めることができ、前記
のB工程により約5μmより大きな粒径画分を除いたエ
マルジョン画分とすることにより、経時的な乳化安定性
に優れた製剤とすることができる。
【0015】このように、乳化安定性が良好でかつリパ
ーゼに対して抵抗性を示す本発明のユビデカレノン含有
組成物は、生体内に経口投与された場合、消化器の中で
極めて良好かつ安定的に乳化し、かつリパーゼなどの酵
素に対しエマルジョンの性状を維持し、徐々に崩壊して
いく薬物の分散乳化の挙動がみられるので、本発明のユ
ビデカレノン含有組成物の経口投与により高い血中濃度
の維持などの吸収改善の効果が得られる。事実、後述の
実験例で示すように動物(ラット)に経口投与すること
によりこの有用性が確認されている。かくして得られた
本発明のユビデカレノン含有組成物は、ユビデカレノン
を組成物中通常、10〜30%含有しており、また1日
成人あたり現在1回10mgを1日3回の30mg/日
程度投与されているが、本発明の製剤では1回2.5〜
5mgを1日2〜3回の5〜15mg/日となるよう投
与されることが可能である。
【0016】
【実施例】以下、実施例および実験例により本発明を更
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例により何
ら限定されるものではない。 実施例1 ユビデカレノン(鐘淵化学工業(株)製)100mgを
トリオレイン1gに溶解し、これに80mgの牛乳脂肪
球皮膜(中外製薬(株)より入手)を添加し、リン酸ナ
トリウム等張緩衝液(pH7.0)にて全容量を20m
lとし、ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA PT
10−35)を用い、25000rpm2分間ホモジナ
イズし、さらに40W、2分間ブランソンソニファイア
ー(Branson 250)を用い、超音波処理を行ない水中
油滴型エマルジョンを得た。このエマルジョンの粒径分
布の分析を行なった結果を図1に示したが、1μmより
小さな粒径から数μmまでの粒径のものまで分布してい
た(測定限界が約4〜5μmであるため、それ以上大き
い粒径のものについてのデータは得られていない)。こ
の調製したエマルジョンを3500rpm(2000×
g)で遠心し、下層を取り除き上層をリン酸ナトリウム
等張緩衝液(pH7.0)で懸濁する。この操作を3回
繰り返すことにより、粒径が約1μmより小さなエマル
ジョンの画分を除いた。取り除かれた下層の粒径分布
は、図2に示す。さらに750rpm(90×g)で1
0分間遠心し下層を得ることにより、約5μmより大き
な粒径のエマルジョンの画分を除去した。この様にして
得たユビデカレノン含有エマルジョン画分(約1〜5μ
m)は、図3に示す様に約1〜3μmの粒径のリピドマ
イクロスフェアーの高密度なものであり、乳化安定性の
極めて高いものであった。このユビデカレノン含有エマ
ルジョン画分を微結晶セルロースに噴霧、乾燥すること
により粉末化し、ユビデカレノン含有粉末製剤を調製し
た。粒径分布の測定はNICOMP 370/Autodilute Submicr
on Particle Sizerを用いて行なった。
【0017】実施例2 ユビデカレノン(鐘淵化学工業(株)製)500mgを
トリオレイン5gに溶解し、牛乳脂肪球皮膜(中外製薬
(株)より入手)400mgを添加し、リン酸ナトリウ
ム等張緩衝液(pH7.0)にて全量を20mlとし、
ポリトロンホモジナイザー(KINEMATICA PT10−3
5)25000rpm2分間ホモジナイズし、さらにブ
ランソンソニファイアー(Branson 250)40W、2
分間超音波処理を行なうことにより水中油滴型エマルジ
ョンを得た。この調製したエマルジョンを出来るだけ多
量の例えば5倍希釈になる様、リン酸ナトリウム等張緩
衝液(pH7.0)で希釈し、3500rpm(200
0×g)60分間遠心し、下層を除く。この操作を3回
繰り返した後、750rpm(90×g)で遠心し下層
を分取することにより粒径が約1〜3μmのリピドマイ
クロスフェアーが高密度な乳化安定性の高いユビデカレ
ノン含有エマルジョン画分(約1〜5μm)を得ること
ができた。このユビデカレノン含有エマルジョン画分に
グリセリンを添加して、ユビデカレノン含有ソフトカプ
セルを調製した。粒径の測定は実施例1と同様にNICOMP
370/Autodilute Submicron Particle Sizer を用いて
行なった。
【0018】実験例1 ユビデカレノン(鐘淵化学工業(株)製)500mgを
トリオレイン5gに溶解し、卵黄レシチン400mg、
コレステロール400mgを添加し、リン酸ナトリウム
等張緩衝液(pH7.0)にて全量20mlとし、ポリ
トロンホモジナイザー(KINEMATICA PT10−35)
を用いて25000rpm、2分間ホモジナイズし、さ
らにブランソンソニファイアー(Branson 250)40
W、2分間超音波処理を行なった。得られた水中油滴型
エマルジョンを実施例2と同様にして遠心分離を行なう
ことにより、対照としてのユビデカレノン含有卵黄レシ
チンエマルジョン画分を調製した。この卵黄レシチンエ
マルジョン画分と実施例2の本発明エマルジョン画分に
対して、リパーゼ( Porcine Pancreas (110〜120 unit
/mg 蛋白で25%蛋白を含む画分)由来、フナコシ薬
品より購入)を、0,5,10,20,30mg/dl
になるように加え、乳化安定性、粒径分布、電顕などの
観察から両者のリパーゼ抵抗性を比較した。乳化安定性
は酵素処理した後、25℃、24時間迄静置し、また粒
径分布および電顕は酵素処理した後、37℃、60分間
静置して検討を行なった。乳化安定性については、乳化
液10mlを径14.5mmのガラスカラムに充填し、
室温で鉛直方向に静置し、経時的にガラスカラムの下端
より一定量ずつ試料採取を行ない、リン酸ナトリウム等
張緩衝液(pH7.0)で100倍希釈後、24時間静
置し、乳化液全長及びクリーム長を測定する(非乳化率
=クリーム長/乳化液全長×100)の方法により検討
を行ない、非乳化率が低い程、乳化安定性が高いことを
指標にしてエマルジョンの乳化安定性を判断した。粒径
分布はNICOMP 370/Autodilute Submicron Particle Si
zer 、及び電顕は日本電子JEM−100CXを用いて
測定した。図4〜8に示した様に実施例2の本発明エマ
ルジョン画分の場合はリパーゼを加えても、非乳化率は
低く乳化状態や粒径に大きな影響を与えることはない
が、卵黄レシチンエマルジョン画分の場合には明らかに
エマルジョン画分の粒度の破壊を生じ大粒径のものがみ
られ、また乳化表面にもユビデカレノンを溶解したトリ
オレインの層が生じるなど非乳化率が上昇していた。こ
の現象から、ユビデカレノン含有の牛乳脂肪球皮膜を用
いた本発明エマルジョン画分は、リパーゼに対して抵抗
性を示し、生体内に投与されたときには血中濃度の持続
性を示すことが予想された。
【0019】実験例2 実施例1と同様の方法により得た分画精製前の水中油滴
型エマルジョンと、さらに750rpm(90×g)で
10分間遠心して下層を分取することにより、約5μm
より大きな粒径を除いたエマルジョン画分について、リ
パーゼ( Porcine Pancreas (110〜120 unit/mg 蛋白
で25%蛋白を含む画分)由来、フナコシ薬品より購
入)を30mg/dlになるように加えて酵素処理した
後25℃、24時間迄静置し、経時的に乳化安定性を検
討した。乳化安定性は実験例1と同様に、非乳化率を測
定して行なった。その結果を図9に示したが、分画精製
前エマルジョンと比較して分画精製により、分画精製後
エマルジョンは非乳化率の上昇がみられないなど乳化安
定性が向上することが判明した。
【0020】実験例3 実施例2で得た本発明エマルジョン画分を用いて、ユビ
デカレノンの吸収改善の程度を知る目的で、ラットにユ
ビデカレノンとして10mg/kgの投与量で経口投与
したときの血清中のユビデカレノン濃度を測定した(検
体試料)。対照としてはユビデカレノンをトリオレイン
に溶解した状態で投与したものを選択して比較した(対
照試料)。血清中のユビデカレノンはn−ヘキサンで抽
出後、ジオキサンにて溶解し、高速液体クロマトグラフ
ィーによって定量した。高速液体クロマトグラフィーの
条件は、Finepak SIL C18T−5(4.6×250m
m)のカラムを用い、メタノール/エタノール(5/
1)の移動相で1.5ml/minの流速で275nm
の波長で検出を行なった。血清中に出現したユビデカレ
ノン量の経時的推移を図10に示したが、本発明のエマ
ルジョン画分の投与により高い血清中濃度が長時間維持
されることが判明した。
【0021】
【発明の効果】本発明の方法により、乳化剤として哺乳
類の乳汁中の脂肪球皮膜(例えば牛乳脂肪球皮膜)を用
いてユビデカレノンを乳化し、得られた水中油滴型エマ
ルジョン粒子をさらに分画精製することにより乳化安定
性の高いエマルジョンを得ることができる。このように
して得られる本発明のユビデカレノン含有組成物は、リ
パーゼ抵抗性が高いことから経口投与により高い血中濃
度を長時間維持することができるなど、ユビデカレノン
の吸収改善を図ることができる。また、乳化剤が哺乳類
の乳汁由来のものであるので安全性の高いものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の乳化時におけるエマルジョンの粒径
のボリューム分析の結果を示した図である。
【図2】実施例1の3500rpm(2000×g)の
遠心後、下層の画分粒径のボリューム分析の結果を示し
た図である。
【図3】実施例1の3500rpm(2000×g)の
遠心後、上層を750rpm(90×g)で遠心を行な
った際の下層の画分粒径のボリューム分析の結果を示し
た図である。
【図4】実験例1のリパーゼ濃度と非乳化率の関係を示
した図である。
【図5】実験例1の卵黄レシチンエマルジョン画分にお
けるリパーゼ未処理、60分間静置後のエマルジョン粒
子の構造を示した電子顕微鏡写真である。
【図6】実験例1の卵黄レシチンエマルジョン画分にお
けるリパーゼ30mg/dl処理、60分間静置後のエ
マルジョン粒子の構造を示した電子顕微鏡写真である。
【図7】実験例1の本発明エマルジョン画分におけるリ
パーゼ未処理、60分間静置後のエマルジョン粒子の構
造を示した電子顕微鏡写真である。
【図8】実験例1の本発明エマルジョン画分におけるリ
パーゼ30mg/dl処理、60分間静置後のエマルジ
ョン粒子の構造を示した電子顕微鏡写真である。
【図9】実験例2の分画精製前後のエマルジョンの乳化
安定性について、比較を示した図である。
【図10】実験例3の本発明エマルジョン画分をラット
に経口投与した際の血中濃度を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 31/12 A61K 9/107 CA(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN)

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 哺乳類乳汁中の脂肪球皮膜で乳化された
    ユビデカレノンを含有する組成物であって、乳化安定性
    の高いリピドマイクロスフェアーを高密度に有する画分
    を主成分とすることを特徴とするユビデカレノン含有組
    成物。
  2. 【請求項2】 哺乳類乳汁中の脂肪球皮膜で乳化された
    ユビデカレノンを含有する組成物であって、約1〜5μ
    mの粒径画分を主成分とすることを特徴とするユビデカ
    レノン含有組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2記載の哺乳類乳
    汁中の脂肪球皮膜が、牛乳脂肪球皮膜である請求項1ま
    たは請求項2記載のユビデカレノン含有組成物。
  4. 【請求項4】 ユビデカレノンを哺乳類乳汁中の脂肪球
    皮膜を用いて乳化し、次いで該エマルジョンの分画精製
    により、乳化安定性の高いリピドマイクロスフェアーを
    高密度に有する画分を分取することを特徴とするユビデ
    カレノン含有組成物の調製方法。
  5. 【請求項5】 ユビデカレノンを哺乳類乳汁中の脂肪球
    皮膜を用いて乳化し、次いで該エマルジョンの分画精製
    により、約1〜5μmの粒径画分を分取することを特徴
    とするユビデカレノン含有組成物の調製方法。
  6. 【請求項6】 請求項4または請求項5記載の哺乳類乳
    汁中の脂肪球皮膜が、牛乳脂肪球皮膜である請求項4ま
    たは請求項5記載のユビデカレノン含有組成物の調製方
    法。
  7. 【請求項7】 請求項4または請求項5記載の分画精製
    が、約1μmより小さな粒径画分を除く工程(A工程)
    および約5μmより大きな粒径画分を除く工程(B工
    程)を有することを特徴とする請求項4または請求項5
    記載のユビデカレノン含有組成物の調製方法。
  8. 【請求項8】 請求項7記載のA工程が、約1500〜
    2500×g、約60分間以上の遠心分離により得られ
    る上層を分取する工程を有し、請求項7記載のB工程が
    約50〜150×g、約10分間以上の遠心分離により
    得られる下層を分取する工程を有することを特徴とする
    請求項7記載のユビデカレノン含有組成物の調製方法。
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