JP3058267B2 - 双ドラム式連続鋳造機用サイド堰 - Google Patents

双ドラム式連続鋳造機用サイド堰

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JP3058267B2
JP3058267B2 JP10086212A JP8621298A JP3058267B2 JP 3058267 B2 JP3058267 B2 JP 3058267B2 JP 10086212 A JP10086212 A JP 10086212A JP 8621298 A JP8621298 A JP 8621298A JP 3058267 B2 JP3058267 B2 JP 3058267B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、双ドラム式連続鋳
造において用いられるサイド堰に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から一般に知られている例えば双ド
ラム式連続鋳機を用いた広幅薄肉鋳片の連続鋳造におい
ては、図1に示されるように、回転する一対の冷却ドラ
ム1a,1bと、このドラムの両端面に押し当てられた
一対のサイド堰2a,2bとによって形成された湯溜り
部3に溶湯eを供給し、供給した溶湯を冷却ドラムによ
って冷却し凝固シェルを形成し、この凝固シェルを冷却
ドラムの最接近部において圧接・一体化して広幅薄肉鋳
片cを得るようになっている。
【0003】サイド堰2a,2bは、湯溜り部3の溶湯
eをシールするために必要不可欠なものであり、一般に
はこのようなサイド堰は例えば実開昭63−90548
号公報に開示されているように、図2(断面図)のよう
に構成されている。
【0004】即ち、サイド堰2は、底板4aと側板4b
からなるサイド堰ケース4と、このケースに収容された
不定形耐火物5と、この耐火物に植設されたベース部材
6と、このベース部材に内蔵されたヒータ7と、ベース
部材に植設されたセラミックスプレート8とからなって
いる。なお、ケース底板4aの背面に熱変形を防止する
ための補剛体(図示略)が取付けられたものも知られて
いる。
【0005】鋳造中は、サイド堰と回転する冷却ドラム
端面との間から溶湯が漏れないようにする必要があり、
そのためにはサイド堰はドラム端面に密着して摺動接触
する必要があり、ドラム端面に十分に適合する形状を有
することが必要である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このような機
能を備えているとされるサイド堰を用いても、溶湯漏れ
が発生する場合があり、特に長時間の鋳造時に多く発生
する。溶湯漏れが発生した場合は、その状態が続いてサ
イド堰は短時間でその機能を失い、鋳造の続行が不可能
となる場合があり、また、鋳片はその両端部に鋳バリが
発生してその形状を損なう他に、搬送中に蛇行が発生し
易くなる。鋳バリにより鋳片搬送ライン及び鋳片搬送ラ
インに設けられた圧延機等の損傷を招き、蛇行により鋳
片巻形状の乱れを招く。
【0007】本発明者等は、鋳造後のサイド堰を綿密に
調査した結果、ベース部材同士の間において僅かではあ
るが目地開きが発生しており、この目地開き部には溶湯
が侵入してベース部材の背面にまで達していた。目地開
き部への溶湯侵入により発生した地金はドラム端面間に
巻き込まれ、ベース部材の背面に達した溶湯は地金とな
ってベース部材を変位させ、その結果、サイド堰と冷却
ドラム間で間隙が発生するものと考えた。
【0008】そこで本発明は、双ドラム式連続鋳造機を
用いた広幅薄肉鋳片の連続鋳造において、ベース部材の
目地開きを防止することにより、冷却ドラムとサイド堰
との摺動面からの溶湯漏れを防止することを課題とす
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、図3に示さ
れるように、目地開き部mは、冷却ドラム1の回転力に
よりベース部材6が押し下げられることや、図4に示さ
れるように、ベース部材6がその熱膨張により不定形耐
火物5に沈み込む(押し込まれる)ことにより生じるも
のと考え、ベース部材の押し下がりや沈み込みを防止す
るように構成したものであり、その要旨は、底板と側板
を有するサイド堰ケースと、このサイド堰ケースに収容
された不定形耐火物と、この不定形耐火物に植設された
上下複数段のベース部材とで構成された双ドラム式連続
鋳造機用サイド堰において、前記上下複数段のベース部
材のうち最下段のベース部材の下面と前記サイド堰ケー
スの側板の間に受け煉瓦が設けられていることを特徴と
する双ドラム式連続鋳造機用サイド堰である。
【0010】
【発明の実施の形態】図5及び図6は本発明のサイド堰
を説明する図であり、底板11aと側板11bとでサイ
ド堰10の枠体を形成するサイド堰ケース11(例えば
SS41製)には、断熱のための不定形耐火物12(例
えばフューズドSiO2 質)が収容されており、この不
定形耐火物には複数のベース部材13a〜13d(例え
ば高アルミナ質)が植設されている。
【0011】上下複数段のベース部材13a〜13dの
うち最下段のベース部材13dの下面とサイド堰ケース
の側板11bの間には、冷却ドラム9の回転力によるベ
ース部材13a〜13dの押し下がりを防止するための
受け煉瓦14が両者に当接して設けられており、ベース
部材13a〜13dの背面とサイド堰ケースの底板11
aとの間には、ベース部材13a〜13dの不定形耐火
物12への沈み込みを防止するための支柱部材15が両
者に当接して設けられている。
【0012】ベース部材13a〜13dの目地開きを十
分に防止するためには、受け煉瓦14及び支柱部材15
は、JIS−R−2209で定められたところの、2k
g/cm2 での荷重軟化点T2 (2%収縮)が1700
℃以上のクリープ強度を有するものが望ましい。荷重軟
化点T2 が1700℃未満であると、ベース部材の押し
下がり及び沈み込みを十分に防止することができない。
ベース部材の押し下がり及び沈み込みを十分に防止がで
きる耐火物としては、Al2 3 を60%以上含む耐火
れんが最も適している。
【0013】支柱部材15の設置位置は、各ベース部材
13a〜13d毎で冷却ドラムの周縁部と対面する部位
fの中央部に配置することにより、各ベース部材13a
〜13d毎で面圧のバランスを得るようになっている。
支柱部材15のサイズは、その強度を得るためには大き
い方が望ましいが、不定形耐火物の断熱効果を損なわな
いよう注意する必要がある。支柱部材15の配設数は、
図5に示されるように、1個のベース部材13について
冷却ドラムの周縁部と対面する部位fの中央部に1個だ
け設けるか、または中央部から等間隔の位置に複数個設
けてもよい。何れにしても、ベース部材13は面圧のバ
ランスを得ることが望ましい。
【0014】上下複数段のベース部材13a〜13dの
うち最上段のベース部材13a及び13bの上面と不定
形耐火物12の間には、ベース部材13a〜13dの熱
膨張を補償する間隙16が設けられており、サイド堰ケ
ースの底板11aと不定形耐火物12の間には断熱材1
7が設けられている。断熱材17は、熱伝導率が0.5
kcal/m・hr・℃以下で、かつ、厚さが2mm以
上であり、例えばAl 2 3 を主体とするセラミックス
の粉体にバインダーを混合し、圧縮成形して造られてい
る。ベース部材13a〜13dの目地開きを十分に防止
するためには、間隙16はベース部材13a〜13dの
熱膨張の50%以上を補償する大きさが望ましく、断熱
材17は、熱伝導率が0.5kcal/m・hr・℃以
下で、かつ、厚さが2mm以上であることが望ましい。
【0015】図7に示されるように、ベース部材13a
〜13dの表面の冷却ドラム周縁部(フランジ部)と対
面する部位f(図5)には、溝(図示略)が設けられ、
この溝に沿って複数(図では合計17枚)のセラミック
スプレート18(例えばSi 3 4 −BN−AlN質)
が植設されている。このセラミックスプレート18によ
りドラム端面との摺動がより一層円滑になり、良好なシ
ールとサイド堰寿命延長の効果が得られる。
【0016】なお、サイド堰10は公知のものと同様
に、ベース部材13a〜13dにはSiC発熱体等を用
いたヒータが埋設され、サイド堰ケースの底板11aの
外面にはサイド堰ケースの熱変形を防止するために冷却
機構付の補剛体が取付けられ、サイド堰ケースの底板1
1aの内面には不定形耐火物を固定するためのY字状ア
ンカが取付けられることが望ましいが、説明を簡明にす
るため図示を省略する。
【0017】つぎに、本発明のサイド堰10の製造方法
について、その概要を図4及び図5により説明する。個
別のベース部材13について、サイド堰ケースの底板1
1aの冷却ドラムの周縁部と対面する部位fの中央部ま
たは中央部から等間隔の位置に支柱部材15を縦にして
配置し、支柱部材15の間に断熱材17を配置し、サイ
ド堰ケース11の下端部に受け煉瓦14を配置する。こ
の場合、各耐火物には必要に応じて予め接着材を塗てお
く。
【0018】支柱部材15の上にベース部材13a〜1
3dを配置して拘束部材(図示略)により拘束する。こ
の状態でサイド堰ケース11とベース部材13a〜13
dの間隙に流動状の不定形耐火物12を流し込んで充填
し、不定形耐火物が乾燥した後、拘束を解く。
【0019】間隙16を形成する方法は、ベース部材1
3a〜13dの熱膨張係数から鋳造中における膨張代を
計算によって求め、この膨張代に相当する厚さをもつス
ペーサー(図示略)を不定形耐火物12を充填する前に
挿入しておき、乾燥後に除去するか、スペーサーが可燃
性であれば除去しなくてもよい。
【0020】図7に示されるように、セラミックスプレ
ート18を設ける方法は、ベース部材13a〜13dの
表面の冷却ドラムの周縁部と対面する部位fに設けた溝
(図示略)に複数のセラミックスプレート18を接着材
等により張り付けた後、その表面を研摩して平坦に仕上
げる。
【0021】このように構成されたサイド堰10をベー
ス部材13a〜13dに埋設したヒータ19により各耐
火物を所定温度に予熱した後、冷却ドラム9の両端面に
当接させて鋳造を行う。ベース部材13a〜13dは冷
却ドラムの回転力によって、押し下げられようとするが
(図3の下向矢印)、ベース部材13dとサイド堰ケー
スの側板11bの間には、強度の大きい受け煉瓦14が
配置されているため、ベース部材13a〜13dの押し
下がりによる目地開きを防止できる。
【0022】また、ベース部材13a〜13dは熱膨張
や冷却ドラムの回転力によって不定形耐火物12に沈み
込もうとするが(図4)、ベース部材13a〜13d
は、その背面を強度の大きい支柱部材15によって支え
られているため、ベース部材13a〜13d不定形耐火
物12への沈み込みによる目地開きを防止できる。
【0023】上下複数段のベース部材13a〜13dの
うち最上段のベース部材13a及び13bの上面と不定
形耐火物12の間には、ベース部材13a〜13dの熱
膨張を補償する間隙16が形成されているため、ベース
部材13a〜13dが溶湯熱を受けて熱膨張するとき、
この膨張を間隙16が許容するため、ベース部材13a
〜13dの熱膨張による目地開きを防止できる。
【0024】サイド堰ケースの底板11aと不定形耐火
物12の間には、熱伝導度の小さい断熱材17が設けら
れているため、溶湯熱によるベース部材13a〜13d
やサイド堰ケース11の不均一加熱を防止できる。その
結果、不均一加熱によるベース部材の目地開きを防止で
きる。
【0025】
【実施例】図5〜図7に示されるサイド堰10を設けた
双ドラム式連続鋳造機を用いて、SUS304ステンレ
ス鋼の鋳造を行い、幅1200mm、厚さ4mmの広幅
薄肉鋳片を連続鋳造した。本発明の実施例では、1時間
にわたって溶湯漏れの発生はなく、形状の良好な鋳片を
安定的に鋳造することができた。これに対して支柱部
材、間隙、断熱材を設けなかった従来例では、冷却ドラ
ムの両端面とサイド堰との摺動面から溶鋼が漏れ出すこ
とが多く、この状態が続いてサイド堰は短時間でその機
能を失い、鋳造の続行が不可能になる場合もあった。
【0026】
【発明の効果】本発明の請求項1に沿うサイド堰は、上
下複数段のベース部材のうち最下段のベース部材の下面
とサイド堰ケースの側板の間には強度の大きい受け煉瓦
が設けられているため、この受け煉瓦によって冷却ドラ
ムの回転力によるベース部材の押し下がりを防止でき
る。本発明の請求項2に沿うサイド堰は、ベース部材の
背面に強度の大きい支柱部材が設けられているため、ベ
ース部材の熱変形や冷却ドラムの回転力によるベース部
材の不定形耐火物への沈み込みや押し下がりを防止でき
る。
【0027】本発明の請求項3に沿うサイド堰は、上下
複数段のベース部材のうち最上段のベース部材の上面と
不定形耐火物の間にベース部材の熱膨張を補償する間隙
が形成されているため、ベース部材はその熱膨張をこの
間隙によって許容されるため、熱変形を防止できる。本
発明の請求項4に沿うサイド堰は、サイド堰ケースの底
板と不定形耐火物の間に熱伝導度の小さい断熱材が設け
られているため、この断熱材によってベース部材及びサ
イド堰ケースの不均一加熱による熱変形を防止できる。
以上のように、本発明のサイド堰は、ベース部材及びサ
イド堰ケースの熱変形を防止できるので、熱変形による
ベース部材の目地開き、目地開きによる地金発生及び溶
湯漏れを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、双ドラム式連続鋳造機の斜視図であ
る。
【図2】図2は、従来のサイド堰の断面図である。
【図3】図3は、冷却ドラムの回転力によるベース部材
の目地開きを示す断面図である。
【図4】図4は、ベース部材の熱膨張による目地開きを
示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の請求項1に沿うサイド堰の正
面図である。
【図6】図6は、図5のY−Y線断面図である。
【図7】図7は、本発明のサイド堰の他の実施例を示す
正面図である。
【符号の説明】
1a,1b…冷却ドラム 2…サイド堰 2a,2b…サイド堰 3…湯溜り部 4…サイド堰ケース 4a…ケースの底板 4b…ケースの側板 5…不定形耐火物 6…ベース部材 7…セラミックスプレート 8…ヒータ 9…冷却ドラム 10…サイド堰 11…サイド堰ケース 11a…ケース底板 11b…ケース側板 12…不定形耐火物 13…ベース部材 13a〜13d…ベース部材 14…受け煉瓦 15…支柱部材 16…間隙 17…断熱材 18…セラミックスプレート 19…ヒータ f…冷却ドラムの周縁部と対面する部位 c…広幅薄肉鋳片 m…目地開き部 e…溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平10−249494(JP,A) 特開 平7−60410(JP,A) 特開 平9−206892(JP,A) 特開 平7−68352(JP,A) 特開 平3−101339(JP,A) 特開 平4−41050(JP,A) 特開 平4−157047(JP,A) 実開 昭63−150741(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22D 11/06 330

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 底板と側板を有するサイド堰ケースと、
    このサイド堰ケースに収容された不定形耐火物と、この
    不定形耐火物に植設された上下複数段のベース部材とで
    構成された双ドラム式連続鋳造機用サイド堰において、
    前記上下複数段のベース部材のうち最下段のベース部材
    の下面と前記サイド堰ケースの側板の間に受け煉瓦が設
    けられていることを特徴とする双ドラム式連続鋳造機用
    サイド堰。
  2. 【請求項2】 請求項1において、前記ベース部材の背
    面とサイド堰ケースの底板の間にJIS−R−2209
    で定められた、2kg/cm2 での荷重軟化点T2 (2
    %収縮)が1700℃以上の支柱部材が設けられている
    ことを特徴とする双ドラム式連続鋳造機用サイド堰。
  3. 【請求項3】 請求項1において、前記上下複数段のベ
    ース部材のうち最上段のベース部材の上面と不定形耐火
    物の間に該上下複数段のベース部材の熱膨張の50〜1
    00%を補償する間隙が形成されていることを特徴とす
    る双ドラム式連続鋳造機用サイド堰。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記サイド堰ケース
    の底板と不定形耐火物の間に熱伝導率が0.5kcal
    /m・hr・℃以下で、かつ、厚さ2mm以上の断熱材
    が設けられていることを特徴とする双ドラム式連続鋳造
    機用サイド堰。
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