JP3057580U - 冷却部を備えた頭部装着品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷却効果を直接頭部に作用させることがで
き、しかも、冷却部に水を含ませた状態での重量をあま
り大きくさせずに、帽子等の頭部装着品の全体に冷却部
を設けても、多大な重圧感を感じさせることのない頭部
装着品の提供を図る。 【解決手段】 水を含ませることによって頭部の冷却を
行う冷却部を備えた帽子等の頭部装着品において、冷却
部３を表地４と、その内面側に配位された冷却用シート
５との２層とする。吸水性並びに吸水した水の拡散性の
点について、冷却用シート５が表地４に比して高いもの
とする。冷却用シートの、頭部に接する内面側には多数
の凹凸を有するディンプル構造とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本願考案は、帽子、サンバイザー、ヘアバンド、鉢巻き等の頭部装着品の改良 に関するもであり、さらに詳しくは、水を含ませることによって頭部の冷却を行 う冷却部を備えた頭部装着品の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

水を含ませることによって頭部の冷却を行う冷却部を備えた帽子等としては、 実用新案登録第３０１０１５６号の提案がなされており、また実用化されている 。この考案は、メッシュ状の表地と、防水性の裏地との間に、吸水性を有する高 分子繊維からなる不織布を封入した三層材を主材としていることを特徴とする帽 子に関するものである。使用方法は、帽子を水につけることにより、不織布に水 を保持させて着用するものであり、着用中に水が気化する気化熱によって、頭部 の冷却を行うものである。

【０００３】 ところが、このものは、防水性の裏地を用いる三層構造となっているため、気 化熱による冷却作用は、裏地を通して頭部に伝わるものであり、裏地がある分、 冷却効率の低下は避けることができないものである。また、３層構造における中 間層の不織布に保水させることによって、帽子全体の重量が大きくなり、帽子を 被った際に重圧感を感じてしまう。そのため、実用化に際しては、帽子の前方側 ３分の１の部分のみに、この三層材を使用し、後方側の３分の２は、メッシュ素 材のみを使用している。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

そこで、本願考案は、冷却効果を直接頭部に作用させることができ、しかも、 冷却部に水を含ませた状態での重量をあまり大きくさせずに、帽子等の頭部装着 品の全体に冷却部を設けても、多大な重圧感を感じさせることのない頭部装着品 の提供を目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本願考案は、水を含ませることによって頭部の冷却を行う冷却部を備えた頭部 装着品において、この冷却部が表地と、その内面側に配位された冷却用シートと の少なくとも２層を備え、吸水性並びに吸水した水の拡散性の点について、冷却 用シートが表地に比して高いものであることを特徴とする冷却部を備えた頭部装 着品を提供することにより上記の課題を解決する。 表地については、防水性と撥水性との少なくとも何れか一方の点について、表 地が冷却用シートに比して高いものとすることができる。また、表地が冷却用シ ートより通気性の高いメッシュとすることもできる。 冷却用シートについては、東レ株式会社製のシルリード（商標）、同クールア ンドドライ（商標）、カネボウ合繊株式会社製のアクアステルス（商標）、東洋 紡績株式会社製のトライアクター（商標）、ユニチカ株式会社製のルミエース（ 商標）、株式会社クラレ製のウオーターマジック（商標）、同スペースマスター （商標）、帝人株式会社製のアクアドライ（商標）、同「ウエルキィ」（商標） 、旭化成工業株式会社製のテクノファイン（商標）からなる群から選択された少 なくとも１種の素材から構成されたものを採用することができるものである。 また、上記の冷却用シートは、頭部に接する内面側が多数の凹凸を有するディ ンプル構造となっているものとすることができる。 頭部装着品の裏面の下端に滑り帯を設ける場合、この滑り帯をフェルト等の保 水性を有する芯材と、この芯材の表面側の少なくとも一部を開放した状態で、芯 材の少なくとも内面側を被覆する被覆材とを備えたものとし、この被覆材が冷却 用シートと同じ素材で形成されているものとすることができる。 これらの頭部装着品は、帽子、サンバイザー、ヘアバンド、鉢巻き等の頭部に 接触して装着されるものとすることができる。

【０００６】

【発明の実施の形態】

以下、図面に基づき本願考案の実施の形態を説明する。 まず、図１は本願考案の実施の形態に係る頭部装着品の斜視図であり、図２は その要部断面図である。

【０００７】 この実施の形態に係る頭部装着品は、帽子として実施されたものであり、特に 、前方に帽子本体１の前方に鍔２を形成したキャップ型の帽子として実施されて いる。尚、図示は省略するが、帽子本体の全周に鍔を形成したハット型の帽子と して実施することも可能であり、また、鍔のない鍔無し型の帽子として実施する ことも可能である。

【０００８】 この帽子本体１には、その全体に冷却部３が形成されているが、鍔２には形成 されておらず、通常の鍔を用いている。 冷却部３は、表地４と、その内面側に配位された冷却用シート５との２層から なる。尚、本願考案の説明において、内面側とは、頭部に対して近い方を言い、 表面側とは遠い方を言う。

【０００９】 表地４は、帽子の表地として用いられる織り物、編み物、組み物等の各種の材 質を適宜選択して用いることができるが、防水性や撥水性の高いものを用いるこ とが望ましい。具体的には、布材に防水加工や撥水性加工を施したものを用いる 。防水加工については、全く湿気を通過させないものとすると、頭部に被った際 にむれるため、透湿性を備えたものを用いることが望ましい。尚、布に対して上 記の各加工を施す他、布や糸の性質を改良して、防水性と透湿性とを備えたもの や、撥水性を備えたものとした素材を用いることも可能である。

【００１０】 冷却用シート５は、吸水性並びに吸水した水の拡散性の点について、表地４よ りも高いものを用いる。具体的には、東レ株式会社製のシルリード（登録商標） 製品を用いることができるが、これと、同等の性能を備えたものを用いることも 可能である。ボリエステル製の特殊な編成構造を備えた生地であり、水を素早く 吸い取り、且つ、吸い取った水を生地全体に拡散させる性質を備えたものである 。さらに、詳しくは、この冷却用シート５は、図３に示すように、頭部に接する 内面側に多数の２〜４mm程度の径の凹部５１が形成されたディンプル構造となっ ている。この凹部５１の底は比較的細い糸によるメッシュ構造となっており、凸 部５２は比較的細い糸によるメッシュ構造の上に比較的太い糸のメッシュ構造と なっている。尚、東レ株式会社製のシルリード（登録商標）の他、東レ株式会社 製のクールアンドドライ（商標）、カネボウ合繊株式会社製のアクアステルス（ 商標）、東洋紡績株式会社製のトライアクター（商標）、ユニチカ株式会社製の ルミエース（商標）、株式会社クラレ製のウオーターマジック（商標）、同スペ ースマスター（商標）、帝人株式会社製のアクアドライ（商標）、同「ウエルキ ィ」（商標）、旭化成工業株式会社製のテクノファイン（商標）等の素材を使用 することもできる。

【００１１】 使用に際しては、この帽子を水に浸して、或いは内面側から水をかけて、冷却 用シート５に水を含ませる。そして、数回振って余剰の水を飛ばして、着用する 。このように、水に浸すことによって、冷却用シート５が水を吸収して、冷却用 シート５の全体に拡散させる。従って、迅速に水が冷却用シート５全体に行き渡 るように吸収される。そして、着用中に、冷却用シート５に吸収された水が、着 用中に気化し、頭部を冷却することができる。しかも、従来と異なり、冷却用シ ート５が直接頭部に接するため、気化熱による冷却作用が、より直接的に頭部に 働くものである。特に、この実施の形態では、この冷却用シート５は、上記のよ うに、頭部に接する内面側がディンプル構造となっているため、頭部との接触面 積が少なく、吸水した水が頭部に付着してしまうことを防止することができ、通 気性も良好である。従って、従来のように、防水性の裏地を用いなくとも、防水 性が高く、通気性の低下も防止し得る。

【００１２】 さらに、この実施の形態では、滑り帯６に関して、次の手段を採用している。 一般に滑り帯は、防止の着脱時の滑りを良好にするために帽子の裏面の下端に設 けられているが、この例では、滑り帯を水滴が垂れのを防ぐためにも用いている 。即ち、図２に示すように、この滑り帯６は、フェルト等の保水性を有する芯材 ６１と、この芯材６１の被覆する被覆材６２とを備える。この被覆材６２は、芯 材６１の内面側の全体を被覆すると共に、芯材６１の表面側にも折り返されて、 糸ｍ１，ｍ２を用いたミシン縫い等によって芯材と固定されている。この芯材６ １の表面側への折り返し部分は、芯材６１の上下辺寄りまでであり、中央の部分 ６３は、芯材６１が開放された状態となっている。従って、水を多量に含ませ過 ぎたり、水を飛ばすのが充分でなかったりした場合に、余剰の水滴が帽子本体の 下端に集まってくるが、この水は、吸水性を有する芯材６１に吸収され、水滴と なって滴下することが防止される。特に、被覆材６２として、東レ株式会社製の シルリード（登録商標）製品を用いた場合には、芯材６１に吸収しきれなかった 水も迅速に吸水して、全体に拡散させるため、滴下をより確実に防止でき、しか も、装着時にむれることなく、良好な装着感を得ることができる。この滑り帯６ は、下辺が帽子本体１の下端と糸ｍ３を用いたミシン縫い等によって芯材と固定 されている。

【００１３】 尚、この帽子本体１の縫製方法と従来のものと同様として実施することができ 、表地４と冷却用シート５との２層からなる冷却部３を適当な形状に裁断して、 糸ｍ４を用いたミシン縫い等によって、複数の冷却部３同士を縫合して、縫合部 分の内面側にテープ布１１を糸ｍ５，ｍ６を用いたミシン縫い等によって縫着し ておけばよい。勿論、この縫製は帽子等の構造によって、種々変更して実施し得 るものである。

【００１４】 次に、図４は他の実施の形態を示すもので、この例では、表地４にメッシュを 用いたものであり、他の形態については、先の例と同じであるため、同一の部分 については、詳細な説明を省略する。このように、表地４にメッシュを用いるこ とによって、帽子全体の通気性が良好となり、全体の装着感がさらに向上するも のである。

【００１５】 次に、上記の実施の形態では、帽子として実施した場合を示したが、本願考案 は、この他にも、図５に示すようなサンバイザー７として実施したり、図６（Ａ ）に示すようなヘアバンド８や、（Ｂ）に示すような鉢巻き９等の種々の頭部装 着品として実施することもでき、その際、各頭部装着品の頭部に接する部分に冷 却部３を配位して実施する。また、冷却部３は、頭部装着品の全体に渡って形成 することもできるが、一部のみに形成することも可能である。また、子供用のも のや大人用のもの等、サイズが変わっても、同様に実施することができる。

【００１６】

【実施例】

以下、図面に基づき本願考案の理解を高めるために実施例を示す。 実施例１ 上記の図１に示す実施の形態に係る帽子で、帽子本体１の全体に冷却 部３を形成したものを用いた。表地４は、織り布地に撥水加工を施したものを用 いた。冷却用シート５は、東レ株式会社製のシルリード（登録商標）製品を用い た。

【００１７】 比較例１ 従来の技術に示す三層材を主材としたものに相当する市販品を用いた 。三層材は、帽子の前方側３分の１の部分のみに用いられ、後方側の３分の２は 、メッシュ素材のみを使用している。

【００１８】 比較例２ 従来の通常の織り布地製の帽子を用いた。

【００１９】 試験１ 上記の３品について、試験１と異なる日の炎天下の午後１時２０分から の２時間、帽子内の温度変化等を試験した。試験方法は、実施例１及び比較例１ ，２について、帽子を水に浸した後、３回振って水切りを行った後、地上に置い た板材の上に、各帽子を載置した。載置の方法は、帽子の鍔の前端を接地させ、 帽子の後端にスペーサを配位して、板材上５cm浮かした状態とした。そして、浮 かした隙間から温度計を帽子の中に差し込んで、温度計を板材上３cmの位置に配 位して、帽子内の温度を測定した。その結果を表１に示す。

【００２０】

【表１】

【００２１】 試験２ 上記の実施例１及び比較例１の２品について、試験１と異なる日の炎天 下の午前１１時００分からの２時間、帽子内の温度変化等を試験した。試験方法 は、実施例１及び比較例１について、帽子を水に浸した後、１回振って水切りを 行った後、地上に置いた板材の上に、各帽子を載置した。載置の方法と温度計測 方法は、試験１と同様とした。その結果を表２に示す。

【００２２】

【表２】

【００２３】 以上の各試験から明らかなように、実施例１については、水切り状態で比較的 軽い重量で１時間以上の温度上昇を帽子し得たのに対して、比較例１についは比 較的軽い重量でも重い重量としても、温度変化は大差がなく、１時間以内であれ ば、実施例１の方が温度上昇を低く抑えることができた。

【００２４】 以上の各試験において温度と重量の計測の他、実施例１及び比較例１を着用し て炎天下にて野外作業を行っ、その装着感を比較したが、実施例１については、 頭部の全体に渡って、涼しさを得られたのに対して、比較例１についは頭部の前 方側にのみ涼しさを得られ、後頭部については、涼しさを得ることができなかっ た。また、何れの例においても、１時間以上を経過すると、吸収されている水分 自体が高温になり、あまり涼しさを得ることはできなかった。

【００２５】

【考案の効果】

以上、本願の請求項１の考案に係る頭部装着品においては、気化熱の冷却作用 を直接頭部に働かせることができ、全体の重量を大きくすることなく、頭部全体 に渡って、涼しさを与えることができたものである。

【００２６】 本願の請求項２の考案にあっては、防水性と撥水性との少なくとも何れか一方 の点について、表地が冷却用シートに比して高いものであるため、水に漬けた時 に、水を表地が受け止めて、冷却用シート全体に行き渡らせ易い頭部装着品を提 供することができたものである。

【００２７】 本願の請求項３の考案にあっては、表地が冷却用シートより通気性の高いメッ シュであるため、全体に通気性の高い頭部装着品を提供することができたもので ある。

【００２８】 本願の請求項４の考案にあっては、繊維の主要各社が販売している吸水製や水 の分散製の高い素材を採用するため、上記の各効果をより確実に発揮し得る頭部 装着品を提供することができたものである。

【００２９】 本願の請求項５の考案にあっては、冷却部の内面側がディンプル構造となって いるため、頭部が水で濡れてしまうことを防止でき、しかも、良好な通気性と通 気性をもたらすことができる頭部装着品を提供することができたものである。

【００３０】 本願の請求項６の考案にあっては、余剰の水が、帽子から滴下することを防ぐ ことができた頭部装着品を提供することができたものである。

【００３１】 本願の請求項７の考案にあっては、上記の各効果を奏する帽子、サンバイザー 、ヘアバンド、鉢巻きを提供することができたものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本願考案の実施の形態に係る頭部装着品の斜視
図である。

【図２】同要部断面図である。

【図３】同実施例の冷却用シートの平面図てある。

【図４】本願考案の他の実施の形態に係る頭部装着品の
斜視図である。

【図５】本願考案のさらに他の実施の形態に係る頭部装
着品の斜視図である。

【図６】（Ａ）（Ｂ）は、それぞれ本願考案のさらに他
の実施の形態に係る頭部装着品の斜視図である。

【符号の説明】

１ 帽子本体 ３ 冷却部 ４ 表地 ５ 冷却用シート ６ 滑り帯 ７ サンバイザー ８ ヘアバンド ９ 鉢巻き ６１ 芯材 ６２ 被覆材

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 水を含ませることによって頭部の冷却を
   行う冷却部を備えた頭部装着品において、この冷却部が
   表地と、その内面側に配位された冷却用シートとの少な
   くとも２層を備え、吸水性並びに吸水した水の拡散性の
   点について、冷却用シートが表地に比して高いものであ
   ることを特徴とする冷却部を備えた頭部装着品。
2. 【請求項２】 防水性と撥水性との少なくとも何れか一
   方の点について、表地が冷却用シートに比して高いもの
   であることを特徴とする請求項１記載の冷却部を備えた
   頭部装着品。
3. 【請求項３】 表地が冷却用シートより通気性の高いメ
   ッシュであることを特徴とする請求項１記載の冷却部を
   備えた頭部装着品。
4. 【請求項４】 冷却用シートが東レ株式会社製のシルリ
   ード（商標）、同クールアンドドライ（商標）、カネボ
   ウ合繊株式会社製のアクアステルス（商標）、東洋紡績
   株式会社製のトライアクター（商標）、ユニチカ株式会
   社製のルミエース（商標）、株式会社クラレ製のウオー
   ターマジック（商標）、同スペースマスター（商標）、
   帝人株式会社製のアクアドライ（商標）、同「ウエルキ
   ィ」（商標）、旭化成工業株式会社製のテクノファイン
   （商標）からなる群から選択された少なくとも１種の素
   材から構成されたものであることを特徴とする請求項２
   又は３記載の冷却部を備えた頭部装着品。
5. 【請求項５】 上記の冷却用シートは、頭部に接する内
   面側が多数の凹凸を有するディンプル構造となっている
   ことを特徴とする請求項４記載の冷却部を備えた頭部装
   着品。
6. 【請求項６】 頭部装着品の裏面の下端に設けられた滑
   り帯が、フェルト等の保水性を有する芯材と、この芯材
   の表面側の少なくとも一部を開放した状態で、芯材の少
   なくとも内面側を被覆する被覆材とを備え、この被覆材
   が冷却用シートと同じ素材で形成されたことを特徴とす
   る請求項４又は５に記載の冷却部を備えた頭部装着品。
7. 【請求項７】 頭部装着品が、帽子、サンバイザー、ヘ
   アバンド、鉢巻きからなる群から選択された１種であ
   り、この頭部装着品の頭部に接する部分の全体に、上記
   の冷却部が設けられたことを特徴とする請求項１乃至６
   の何れかに記載の冷却部を備えた頭部装着品。