JP3055931B2 - ガラクトシル―マルトオリゴ糖誘導体、その製造法及びそれを用いたヒト膵臓型及び唾液型α―アミラーゼの分別定量方法 - Google Patents

ガラクトシル―マルトオリゴ糖誘導体、その製造法及びそれを用いたヒト膵臓型及び唾液型α―アミラーゼの分別定量方法

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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、特にヒト膵臓型及び/又は睡液型α−アミ
ラーゼ活性の分別定量を行なうための測定用基質として
適したガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体、その製造
法、及びそれを用いたヒト膵臓型及び睡液型α−アミラ
ーゼの分別定量方法に関する。
「従来の技術」 ヒトの体液、例えば睡液、膵液、血液、尿等に含まれ
るα−アミラーゼの活性を測定することは、臨床診断上
極めて重要である。ところで、ヒトが有するα−アミラ
ーゼには、膵臓型と睡液型の2種類があり、例えば膵
炎、膵臓癌の場合には、膵臓型α−アミラーゼ活性が上
昇し、耳下腺炎の際には、睡液型のα−アミラーゼ活性
が上昇することが知られている。したがって、臨床診断
においては、この2種類のα−アミラーゼ活性を、合計
値としてだけではなく、分別して定量する方法の開発が
望まれ、いくつかの方法が報告されている。
これらの報告には、例えば電気泳動法を用いる方法
(神津(1974)日消誌,71,1)、等電点分画法を用いる
方法(Takeuchi(1975)Clin.Chim.Acta,60,207)、モ
ノクローナル抗体を用いて免疫学的に両酵素を分離して
から酵素量を測定堤する方法(Ito(1985)J.Biochem.,
97,1357)、睡液型α−アミラーゼを優先的に阻害する
インヒビターを使用する方法(O'Donnell(1977)Clin.
Chem.,23,560)等がある。
しかしながら、電気泳動法、等電点分画法は、測定操
作が煩雑で、自動分析計への適合性が困難であり、モノ
クローナル抗体を用いる方法は、抗体の調製が必要であ
り、インヒビターを用いる方法では、膵臓型α−アミラ
ーゼも阻害される等の問題があった。
また、別の方法として、非還元末端のグルコースをア
ミノピリジル基で修飾したマルトオリゴ糖誘導体に対す
る両酵素の作用の相違を、高速液体クロマトグラフィー
等の自動分析計を利用して測定する方法(特開昭59−31
699号、同59−51800号及び同61−83195号)も報告され
ている。
しかし、上記方法では、測定用基質の調製に極めて複
雑な行程が必要とされる。例えば、アミロースを構成す
るグルコース残基を部分的にCHOに酸化した後、アミノ
ピリジル基に置換する。この部分修飾アミロースに、液
化型アミラーゼとグルコアミラーゼを作用させて、非還
元末端のグルコースが修飾されたマルトオリゴ糖の混合
物を得る。この混合物を水素化ホウ素ナトリウムで還元
した後、カラムクロマトグラフィーにより精製して、非
還元末端が修飾され、還元末端が糖アルコールになった
目的の重合度のマルトオリゴ糖誘導体を得るという方法
で調製される。
又は、前記部分修飾アミロースに、グルコアミラーゼ
を作用させ、次いで、水素化ホウ素ナトリウムを反応さ
せて得られる混合物に、p−ニトロフェニルグルコシド
等を添加して、サイクロデキストリングルカノトランス
フェラーゼを作用させた後、カラムクロマトグラフィー
を用いて精製して、非還元末端が修飾され、還元末端に
発色団が結合した目的とする重合度のマルトオリゴ糖誘
導体を得るという方法で調製される。
このように、非還元末端が修飾されたマルトオリゴ糖
誘導体の調製方法は、極めて複雑な工程が必要であり、
収率も低い。そのため、このマルトオリゴ糖誘導体を基
質として用いてヒト膵臓型と睡液型のα−アミラーゼ活
性を分別定量する方法も、実用化することは容易ではな
かった。
「発明が解決しようとする課題」 このように、従来の方法では、膵臓型のα−アミラー
ゼと、睡液型のα−アミラーゼとを分別定量するのは容
易ではない。その理由は、両酵素のアミノ酸配列には、
94%のホモロジーがあり、活性部位を構成するアミノ酸
残基も互いによく似ており、基質に対する作用形式もあ
まり相違がないためと考えられる。
したがって、本発明の目的は、ヒト膵臓型及び/又は
睡液型α−アミラーゼの分別定量が可能で、かつ、製造
容易な測定用基質であるガラクトシル−マルトオリゴ糖
誘導体、その製造法、及びそれを用いたヒト膵臓型及び
睡液型α−アミラーゼの分別定量方法を提供することに
ある。
「課題を解決するための手段」 本発明者らは、αアミラーゼの活性測定の際に、共役
酵素の作用を受けない安定な基質を得る目的で、酵素の
転移反応を利用して、p−ニトロフェニル−α−マルト
ペンタオキシドの非還元末端グルコース残基に、ガラク
トシル基を結合させた誘導体を製造し、既に特願平2−
64620号として提案している。この製造過程では、ガラ
クトシル基がβ−1,4結合した誘導体と、β−1,6結合し
た誘導体とが4:1で混合した混合物が得られる。
本発明者らは、この2種類の異性体について更に検討
したところ、上記のβ−1,6結合した誘導体は、膵臓型
α−アミラーゼを作用させた場合と、睡液型α−アミラ
ーゼに作用させた場合とでは、異なった分解生成物を生
成するが、β−1,4結合した誘導体にはその作用がない
ことがわかった。したがって、ガラクトシル基がβ−1,
6結合した誘導体をα−アミラーゼ活性測定基質として
用いることにより、ヒト膵臓型及び/又は睡液型α−ア
ミラーゼの分別定量が可能であることを見出し、本発明
を完成するに至った。
すなわち、本発明のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘
導体は、下記一般式(I)で示される。
(式中、Rは置換あるいは無置換のフェニル基を示し、
nは2〜5の整数を示す。) また、本発明のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体
の製造法は、ガラクトシル残基を有する糖と、下記一般
式(II)で示されるマルトオリゴ糖誘導体とに、β−ガ
ラクトシダーゼを作用させて、ガラクトシル基を、前記
マルトオリゴ糖誘導体の非還元末端のグルコース残基
に、β−1,6結合させることを特徴とする。
(式中、Rは置換あるいは無置換のフェニル基を示し、
nは2〜5の整数を示す。) 更に、本発明のヒト膵臓型及び睡液型α−アミラーゼ
の分別定量方法は、ヒト膵臓型及び/又は睡液型α−ア
ミラーゼを含有する検体と、前記一般式(I)で示され
るガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体とを反応させ
て、生成する数種のマルトオリゴ糖誘導体の生成比を測
定し、この測定値からヒト膵臓型及び/又は睡液型α−
アミラーゼ活性を分別定量することを特徴とする。
以下、本発明について更に詳細に説明する。
前記一般式(I)、(II)において、Rは置換あるい
は無置換のフェニル基を示し、例えば4−ニトロフェニ
ル基、2−クロロ−4−ニトロフェニル基、2,4−ジク
ロロフェニル基等が挙げられる。これらの配糖体のアグ
リコン部の結合様式はα体、β体のいずれでもよい。
また、nは2〜5の整数を示すが、基質として使用す
る際の水解作用を考慮すると、nは3〜5であることが
より好ましい。
本発明の一般式(I)で示されるガラクトシル−マル
トオリゴ糖誘導体は、ガラクトシル残基を有する糖をド
ナーとし、一般式(II)で示されるマルトオリゴ糖誘導
体をアクセプターとする糖転移反応を、β−ガラクトシ
ターゼを用いて行なうことにより得ることができる。
ここで、ドナーとして用いられるガラクトシル残基を
有する糖は、下記一般式(III)で示される。
(式中、X1はグルコース残基、シュークロース残基又は
ガラクトースの重合体を示す。) 一般式(III)で示されるガラクトシル残基を有する
糖としては、例えばラクトース、メリビオース、ラフィ
ノース、スタキオース、ガラクタン等が挙げられる。本
発明においてはこれら糖のいずれを用いてもよいが、安
価で、入手しやすいことから、ラクトースを用いるのが
好ましい。
アクセプターとして用いられるマルトオリゴ糖誘導体
は、前記一般式(II)で示されるが、この具体例として
は、Rがフェニル基であるものとして、フェニル−α−
マルトシド、フェニル−α−マルトトリオシド、フェニ
ル−α−マルトテトラオシド、フェニル−α−マルトペ
ンタオシド、フェニル−α−マルトヘキサオシド、フェ
ニル−α−マルトヘプタオシド等が例示される。また、
Rが置換フェニル基であるものとしては、p−ニトロフ
ェニル−α−マルトシド、p−ニトロフェニル−α−マ
ルトトリオシド、p−ニトロフェニル−α−マルトテト
ラオシド、p−ニトロフェニル−α−マルトペンタオシ
ド、p−ニトロフェニル−α−マルトヘキサオシド、p
−ニトロフェニル−α−マルトヘプタオシド等が例示さ
れる。
本発明において用いられるβ−ガラストシダーゼは、
ガラクトシドを加水分解してガラクトースを遊離する酵
素として知られている。本発明では、いずれの起源のβ
−ガラクトシダーゼを用いてもよく、具体的には「Biol
acta」(商品名、大和化成(株)製)、「Lactose F
“アマノ”」(商品名、天野製薬(株)製)、「Lactos
e Y−AO」(商品名、(株)ヤクルト製)等が挙げられ
る。
本発明の糖転移反応は、好ましくは次のような方法に
よって行なうことができる。
まず、一般式(III)で示されるガラクトシル残基を
有する糖と、一般式(II)のマルトオリゴ糖誘導体と
を、pH6〜9程度に調整された緩衝液中に添加する。こ
の場合、ガラクトシル基を有する糖の基質濃度は10〜40
重量%が好ましく、マルトオリゴ糖誘導体の基質濃度は
10〜40重量%が好ましい。次に、上記緩衝液にβ−ガラ
クトシダーゼを添加し、20〜60℃の温度下に、50〜100
時間反応させて、一般式(II)のマルトオリゴ糖誘導体
非還元末端のグルコース残基に、ガラクトシル基がβ−
1,4結合した誘導体と、β−1,6結合した誘導体とが混合
して生成された反応液を得る。
次いで、この反応液に緩衝液を追加して基質濃度を1/
3〜1/2に低下させることにより、ガラクトシル基がβ−
1,4結合した誘導体を選択的に加水分解させ、ガラクト
シル基がβ−1,6結合したガラクトシル−マルトオリゴ
糖誘導体を優先的に合成させる。反応終了後、pH調整又
は加熱により酵素反応を停止し、例えばカラムクロマト
グラフィー等により分画して、前記一般式(I)で示さ
れる本発明のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体を得
る。
カラムクロマトグラフィーによる分画は、例えば「ト
ヨパール(Toyopearl)HW−40Sゲル」(商品名、TOSOH
(株)製)を充填したカラムを用い、移動相として25%
メタノールを用いる方法、ODSカラムを用い、移動相に
は10%メタノールを用いる方法等により行なうのが好ま
しい。このカラムクロマトグラフィーによる分画の際
に、未反応のアクセプターである一般式(II)のマルト
オリゴ糖誘導体の分画を回収することができ、これを次
の反応に繰り返し再使用することにより収率を著しく高
めることができる。
このようにして得られた本発明のガラクトシル−マル
トオリゴ糖誘導体は、ヒト膵臓型及び/又は睡液型α−
アミラーゼの分別定量が可能な活性測定用基質として使
用することができる。
次に、本発明のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体
を測定用基質として用いるα−アミラーゼの活性測定方
法について説明すると、測定検体としては、ヒト膵臓型
及び睡液型α−アミラーゼの混合物あるいはそれぞれを
単独に含有するものでもよく、例えばヒトの血液、血
清、尿、睡液等が挙げられる。そして、上記ガラクトシ
ル−マルトオリゴ糖誘導体を含有する基質溶液に、上記
のような検体を添加し、所定時間反応させる。
反応条件としては、従来から行なわれているマルトオ
リゴ糖を測定用基質として用いる方法に採用されている
条件をそのまま採用することができる。すなわち、測定
用基質の濃度は0.1〜10mMの範囲とすることが好まし
く、反応温度は25〜40℃とすることが好ましい。また、
反応時間は測定の目的により自由に選択できるが、通常
3〜30分間程度が好ましく、pHは約6〜8が好ましく、
各緩衝液を使用して至適pHを維持することが好ましい。
こうして反応させると、各種のマルトオリゴ糖誘導体
が加水分解により生成する。この加水分解により生成し
たマルトオリゴ糖誘導体を高速液体クロマトグラフィー
により測定する。この測定値から、次のような方法によ
って、ヒト膵臓型α−アミラーゼと、睡液型α−アミラ
ーゼとの活性を分別定量することができる。
すなわち、測定用基質であるガラクトシル−マルトオ
リゴ糖誘導体として、p−ニトロフェニル−α−マルト
ペンタオシド(pNP−α−G5)の非還元末端グルコース
残基に、ガラクトシル基がβ−1,6結合した誘導体(Gal
−β−1,6−pNP−α−G5)を用いた場合、ヒト膵臓型α
−アミラーゼ(HPA)及び/又は睡液型α−アミラーゼ
(HSA)と反応させると、加水分解物として、p−ニト
ロフェニル−α−グルコシド(pNP−α−G1)、p−ニ
トロフェニル−α−マルトシド(pNP−α−G2)、p−
ニトロフェニル−α−マルトトリオシド(pNP−α−
G3)とが生成される。
これらの加水分解物を総生成量から、α−アミラーゼ
活性の総量を求めることができる。また、ヒト膵臓型α
−アミラーゼ(HPA)と、睡液型α−アミラーゼ(HSA)
とでは、pNP−α−G1とpNP−α−G2の生成比にかなりの
相違がある。すなわち、加水分解物におけるpNP−α−G
1/pNP−α−G2のモル比と、HPAとHSAの存在比とは、直
線関係を示す。したがって、pNP−α−G1/pNP−α−G2
のモル比から、HPAとHSAの存在比を求めることができ
る。そこで、加水分解物の総生成量から求めたα−アミ
ラーゼ活性を、上記で求めたHPAとHSAの存在比で割り振
ることにより、HPAの活性とHSAの活性の分別定量を行う
ことができる。
「作用及び効果」 上記のように、本発明の前記一般式(I)で示される
ガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体は、α−アミラー
ゼ活性の測定用基質として用いた場合、ヒト膵臓型α−
アミラーゼと、睡液型α−アミラーゼとで、加水分解物
の生成比にかなりの相違がある。したがって、加水分解
物の総量によってα−アミラーゼ活性の総量を求めると
ともに、それぞれの加水分解物の生成比によって、ヒト
膵臓型α−アミラーゼと睡液型α−アミラーゼの活性を
分別定量することができる。また、この測定は、高速液
体クロマトグラフィーを用いて行なうことができるの
で、操作が比較的簡便であり、また、自動化も可能であ
る。
更に、本発明のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体
は、安価で入手しやすいラクトースを原料とすることが
でき、比較的温和な反応条件の酵素合成法で製造するこ
とができるので、工業的な製造においても有利である。
「実施例」 実施例1(ガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体の製
造) ラクトース1884.8mgと、p−ニトロフェニル−α−マ
ルトペンタオシド(pNP−α−G5)1704mgを、50mMリン
酸緩衝液(pH7.0)6mlに分散させた後、β−ガラクトシ
ダーゼとして「Biolacta」(商品名、大和化成(株)
製)を3mg添加し、40℃で、86時間静置して反応させ
た。
その後、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を等量添加し、4
0℃で、30時間反応させることにより、ガラクトシル基
がpNP−α−G5にβ−1,4結合した誘導体を選択的に加水
分解させた。
反応終了後、トヨパール(Toyopearl)HW−40Sゲルを
充填したカラム(φ2.2×95cm)を用いて分画を行なっ
た。分画は、移動相として25%メタノールを用い、流速
0.8ml/minで、室温下に行なった。目的とする区分を分
取し、凍結乾燥して粉末150mgを得た。
この粉末を高速液体クロマトグラフィーで分析したと
ころ、p−ニトロフェニル−α−マルトペンタオシドの
非還元末端グルコース残基に、ガラクトシル残基がβ−
1,4結合した誘導体と、β−1,6結合した誘導体とが、組
成比1:9で含まれる混合物であった。
更に、この粉末を、ODSカラム(充填剤:「YMC−pack
AQ−323」(商品名、(株)エイエムシィ製))を用
いて分画した。分画は、移動相として10%メタノールを
用い、流速3.8ml/minで、室温下にて行ない、目的とす
る区分を分取し、凍結乾燥して粉末95mgを得た。この粉
末について、13C核磁気共鳴スペクトル(NMR)により、
構造確認を行なったところ、p−ニトロフェニル−α−
マルトペンタオシドの非還元末端グルコース残基に、ガ
ラクトシル基がβ−1,6結合した誘導体(Gal−β−1,6
−pNP−α−G5)であることを確認した。上記の13C核磁
気共鳴スペクトルを第1図に示す。なお、NMRの測定
は、内部標準物質としてトリメチルシリルプロパンスル
フォネートを用いて行ない、化学シフトは内部標準から
低磁場側にppm単位で示した。
実施例2(α−アミラーゼ活性の測定) 上記のGal−β−1,6−pNP−α−G5を0.1mMとなるよう
に、0.04MのCaCl2を含有する0.1M 3,3−ジメチルグルタ
リックアシッド−5M NaOH緩衝液(pH6.8)に溶解し、基
質溶液とした。この基質溶液を2組用意し、一方の組に
はヒト膵臓型α−アミラーゼ(HPA)を、他方の組には
睡液型α−アミラーゼ(HSA)をそれぞれ2.6U/ml添加
し、37℃で、12分間反応させた。
上記反応中、3分毎に反応液を採取し、その加水分解
生成物の組成を、ODSカラム(充填剤:YMC−pack AQ−3
12)を用い、移動相:10%メタノール、流速1.0ml/min、
室温の条件下に、高速液体クロマトグラフィーで追跡し
た。なお、加水分解物の検出は、UV検出基(300nm)で
行なった。
この結果、加水分解として、p−ニトロフェニル−α
−グルコシド(pNP−α−G1)、p−ニトロフェニル−
α−マルトシド(pNP−α−G2)、p−ニトロフェニル
−α−マルトトリオシド(pNP−α−G3)が検出され
た。
こうして測定した加水分解物の組成と、反応時間との
関係を第2図に示す。第2図において、左欄「A)HS
A」は、睡液型α−アミラーゼ(HSA)の反応結果を示
し、右欄「A)HPA」は、ヒト膵臓型α−アミラーゼ(H
PA)の反応結果を示す。また、−●−はpNP−α−G1
−▲−はpNP−α−G2、−■−はpNP−α−G3の生成量を
表わしている。
第2図の結果から、HPA及び、HSAの加水分解物の生成
比にはかなり相違があることがわかる。つまり、p−ニ
トロフェニル−α−グルコシド(pNP−α−G1)とp−
ニトロフェニル−α−マルトシド(pNP−α−G2)との
モル比が、HPAでは約3.2であるのに対して、HSAでは1.1
である。
実施例3 Gal−β−1,6−pNP−α−G5を実施例2と同様にして
緩衝液中に溶解し、基質溶液を作成した。この基質溶液
に、HPAとHSAの混合比を変えた各種の混合物(HPAの含
有量がそれぞれ80%、60%、50%、40%、20%となり、
かつ、合計のα−アミラーゼ活性が2.6U/mlとなるよう
にしたもの)をそれぞれ添加し、37℃で9分間反応させ
た。この反応中、3分毎に反応液を採取し、その加水分
解生成物の組成を、実施例2と同様な高速液体クロマト
グラフィーで測定した。
こうして測定した加水分解の組成と、反応時間との関
係を第3図に示す。第3図において、「A)20%HPA」
はHPA 20%とHSA 80%の混合物、「B)40%HPA」はHPA
40%とHSA 60%の混合物、「C)50%HPA」はHPA 50%
とHSA 50%の混合物、「D)60%HPA」はHPA 60%とHSA
40%の混合物、「E)80%HPA」はHPA 80%とHSA 20%
の混合物の反応結果をそれぞれ示している。また、−●
−はpNP−α−G1、−▲−はpNP−α−G2、−■−はpNP
−α−G3の生成量を表わしている。
また、pNP−α−G1/pNP−α−G2のモル比と、HPAとHS
Aの存在比との相関関係を求めた結果を第4図に示す。
第4図の結果から、pNP−α−G1/pNP−α−G2のモル
比と、HPAとHSAの存在比とは直線関係を示すことがわか
る。したがって、pNP−α−G1/pNP−α−G2のモル比か
ら、HPAとHSAの存在比を求めることができる。また、加
水分解物の総生成量も同時に求めることができ、それに
よって求められた合計の活性を測定できるので、この合
計の活性をヒト膵臓型及び睡液型α−アミラーゼの存在
比で割り振ることにより、それぞれの酵素活性が算出で
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の実施例で得られたGal−β−1,6−pNP
−α−G513Cの核磁気共鳴スペクトルを示す図、第2
図はGal−β−1,6−pNP−α−G5に対するヒト膵臓型及
び睡液型α−アミラーゼの加水分解作用を示す図、第3
図は種々の混合比のヒト膵臓型及び睡液型α−アミラー
ゼの、Gal−β−1,6−pNP−α−G5に対する加水分解作
用を示す図、第4図はpNP−α−G1−α−G1/pNP−α−G
2のモル比と、HPAとHSAの存在比との相関関係を示す図
である。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07H 1/00 - 23/00 C08B 37/00 C12P 19/00 - 19/64 C12Q 1/00 - 1/70 BIOSIS(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN) WPI(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記一般式(I)で示されるガラクトシル
    −マルトオリゴ糖誘導体。 (式中、Rは置換あるいは無置換のフェニル基を示し、
    nは2〜5の整数を示す。)
  2. 【請求項2】ガラクトシル残基を有する糖と、下記一般
    式(II)で示されるマルトオリゴ糖誘導体とに、β−ガ
    ラクトシダーゼを作用させて、ガラクトシル基を、前記
    マルトオリゴ糖誘導体の非還元末端のグルコース残基
    に、β−1,6結合させることを特徴とする請求項1記載
    のガラクトシル−マルトオリゴ糖誘導体の製造法。 (式中、Rは置換あるいは無置換のフェニル基を示し、
    nは2〜5の整数を示す。)
  3. 【請求項3】ヒト膵臓型及び/又は睡液型α−アミラー
    ゼを含有する検体と、請求項1記載のガラクシル−マル
    トオリゴ糖誘導体とを反応させて、生成する数種のマル
    トオリゴ糖誘導体の生成比を測定し、この測定値からヒ
    ト膵臓型及び/又は睡液型α−アミラーゼ活性を分別定
    量することを特徴とするヒト膵臓型及び睡液型α−アミ
    ラーゼの分別定量方法。
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