JP3055048B2 - 金型鋳造における鋳造方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、鋳造時間を短縮し且つ
型開き時に溶湯の飛散を防止するようにした鋳造方法に
関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、例えば金型でカムシャフト等の製
品を鋳造する際、鋳造作業の短縮化を図る等の目的で金
型内に冷却機構を設けるようにしたものが知られてい
る。そして、かかる金型にあっては、通常溶湯を注湯す
るスプルは金型の型合せ面に設けられており、かかるス
プルから溶湯を注湯した後冷却機構によって金型内の溶
湯を急冷し、急速に凝固させて成形品を取り出すように
している。ところが、かかる冷却機構にあっても、溶湯
が最後に注湯されるスプル部では凝固に時間を要し、ス
プル部の溶湯が未凝固のままで型開きすると溶湯が飛散
する等の不具合があることから、例えば特開昭６４―５
３７５８号とか特開平３―２０４１６３号のようにスプ
ル部の冷却効果を高めるような装置が提案されている。
そして前者の場合は、湯口近傍の金型内に冷却水を導く
ような冷却機構を採用し、後者の場合は、湯口自体の構
造を改良してスプル部の冷却効果を高めるようにしてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、上述のような
装置はいずれもスプル内の溶湯に作用する冷却作用が間
接的なものであるため、スプル内の溶湯の凝固がキャビ
ティ内の溶湯の凝固に較べて多少なりとも遅くなり、型
開きに待ち時間が生じていた。このため、スプル部の溶
湯を一層効果的に冷却することが望ましかった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】かかる問題を解決するた
め、本発明は長手方向を垂直に向けて設けられたキャビ
ティの下端部に水平ランナ部が連通し、この水平ランナ
部の他端部に垂直ランナ部が連通し、この垂直ランナ部
の上端は金型上面に突出するスプルの湯口穴に連通し、
このスプルの湯口穴から溶湯を注湯し、前記キャビティ
を鋳造する鋳造方法において、注湯ショット作業が完了
した直後スプルの溶湯表面に直接エアを吹き付けて、キ
ャビティ内の溶湯の表層が殻状に凝固するまでの時間
と、スプルの溶湯の表層が凝固するまでの時間を合せる
ようにした。

【０００５】

【作用】注湯直後、スプルの溶湯表面に直接エアを吹き
付けることで、キャビティ内の溶湯の表層が殻状に凝固
した時点で、スプルの溶湯の少なくとも表層が凝固する
ので、型開きまでの時間は大幅に短縮される。

【０００６】

【実施例】本発明の金型鋳造の鋳造方法の実施例につい
て説明する。

【０００７】本発明の鋳造方法は、例えば図１に示すよ
うに、自動車のエンジン構成部品であるカムシャフトを
縦込めして造型するような重力鋳造式の金型１に適用さ
れている。

【０００８】そしてこの金型１は、水平横方向に型開
き、型締めする一対の金型本体を備え、型合せ面が垂直
面にされるとともに、この型合せ面に湯道、キャビティ
等が形成されている。

【０００９】すなわち、カムシャフトを成形するための
キャビティ２は、長手方向を垂直に向けて設けられてお
り、このキャビティ２の下端部にゲート３を介して連通
する水平ランナ部４の他端側に垂直ランナ部５が連通し
ている。

【００１０】そして、この垂直ランナ部５の上端は、金
型１上面に突出するスプル６の湯口穴６ａに連通し、こ
の湯口穴６ａは上部が拡がる漏斗状とされて溶湯の注湯
部とされている。

【００１１】そしてこのスプル６から注湯された溶湯は
キャビティ２、ランナ部４、５内に充填され鋳込まれ
る。尚、キャビティ２の上部には、金型１外部に連通す
るガス抜き孔７を設けている。

【００１２】ところで、カムシャフトのような製品を金
型で鋳造することは、砂型鋳造等に較べて成形精度を高
めることが出来る等の利点を有する反面、鋳造割れを生
じやすくなる等の欠点をも有するため、例えば溶湯の表
層のみを殻状に凝固させて内部が未凝固も段階で型開き
するような鋳造法が採られる。

【００１３】このため本実施例では、迅速に表層を凝固
させ且つ表層組織を所望のものとするための冷却機構８
と加熱機構９を設けており、冷却機構８でキャビティ２
の所定部を局部的に冷却し、加熱機構９によってキャビ
ティ２の別の箇所を局部的に加熱出来るようにしてい
る。

【００１４】そして、冷却機構８と加熱機構９からキャ
ビティ２の所定箇所に向けて夫々の冷却回路８ａ、加熱
回路９ａを延出させている。尚、図面では回路８ａ、９
ａの一部を省略している。

【００１５】因みに、冷却回路８ａの延出先は、カムシ
ャフトのカム部成形周辺であり、注湯直後に同部を急冷
して表層のチル化を促進させるよう図るとともに、加熱
回路９ａの延出先はカムシャフトの軸部成形周辺であ
り、注湯前に所定温度に与熱して注湯時の湯流れ性を良
好にし、注湯された溶湯を急冷する際に割れ等を起こす
のを防止するためである。

【００１６】本発明の金型装置は、スプル６内の溶湯を
直接冷却するためのエアパイプ１０を備えている。そし
て、このエアパイプ１０先端のエア吹出部１１をスプル
６の湯口穴６ａの略中央上部に臨ませ、注湯された溶湯
の表面に直接エアを吹き付けることが出来るようにして
いる。

【００１７】又、このエアパイプ１０から吹出すエアを
制御するための電磁弁１２を設け、エアの吹出し開始時
期、吹出し時間、吹出し量等を調整出来るようにしてい
る。

【００１８】かかる金型１における本発明の鋳造方法は
次のとおりである。

【００１９】注湯ポット等によってスプル６から注湯を
開始し、これと同時にそれまでキャビティ２の所定部を
加熱していた加熱機構９を停止させる。そして、注湯さ
れた溶湯はキャビティ２、ランナ部４、５に充填され、
スプル６の湯口穴６ａの上部附近まで満たされる。

【００２０】注湯ショットが完了すると冷却機構８が作
動してキャビティ２周囲を急冷する。又これと同時に電
磁弁１２が作動してエアパイプ１０からエアを吹き出
す。そして、かかる冷却機構８の作動開始、或いはエア
パイプ１０からのエアの吹き出しは、例えば注湯完了を
検知するセンサ等を活用して注湯ショット作業と同期作
動させる。

【００２１】そして例えば事前に設定した冷却時間、キ
ュアタイムが経過した時点で冷却機構８の作動、エアの
吹出しを停止させ、型開き、取り出しを行う。この際、
最後に注湯されたスプル６の溶湯はエアの直接の吹き付
けによって凝固が促進されている。

【００２２】そしてかかるスプル６へのエアの吹き付け
は、キャビティ２の溶湯が金型１から取り出す状態に凝
固した時点で、スプル６の溶湯の少なくとも表層が凝固
する程度に冷却し得るように行う。そして本実施例で
は、キャビティ２内の溶湯の表層が殻状に凝固した時点
で、スプル６内の溶湯の少なくとも表層が凝固するよう
にしており、この時点は、例えば注湯後１０秒強経過し
た時点である。

【００２３】又、スプル６の溶湯の少なくとも表層を凝
固させることで、型開き時に形が崩れず、しかも溶湯が
飛散するような不具合はない。

【００２４】

【発明の効果】以上のように本発明の鋳造方法は、注湯
ショットが完了すると同時にスプル部の溶湯に直接エア
を吹き付け、凝固が遅れがちな同部の溶湯の凝固を促進
させるようにしたため、型開き時間に待ち時間を生じ
ず、鋳造時間の短縮が図られる。又、従来のように型開
き時に溶湯が飛散するような事態も防げる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の鋳造方法を説明するための金型装置の
全体図

【符号の説明】

１ 金型 ６ スプル １０ エアパイプ

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭55−54255（ＪＰ，Ａ) 特開 昭64−78668（ＪＰ，Ａ) 特開 昭49−98327（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−85642（ＪＰ，Ａ) 特開 平３−204163（ＪＰ，Ａ) (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) B22D 27/04 B22D 29/04

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 長手方向を垂直に向けて設けられたキ
   ャビティの下端部に水平ランナ部が連通し、この水平ラ
   ンナ部の他端部に垂直ランナ部が連通し、この垂直ラン
   ナ部の上端は金型上面に突出するスプルの湯口穴に連通
   し、このスプルの湯口穴から溶湯を注湯し、前記キャビ
   ティを鋳造する鋳造方法において、 注湯ショット作業が完了した直後スプルの溶湯表面に直
   接エアを吹き付けて、キャビティ内の溶湯の表層が殻状
   に凝固するまでの時間と、スプルの溶湯の表層が凝固す
   るまでの時間を合せるようにしたことを特徴とする金型
   鋳造における鋳造方法。