JP3055002B2

JP3055002B2 - オイル穴用ビード

Info

Publication number: JP3055002B2
Application number: JP7226802A
Authority: JP
Inventors: 進稲村
Original assignee: 石川ガスケット株式会社
Priority date: 1995-09-04
Filing date: 1995-09-04
Publication date: 2000-06-19
Anticipated expiration: 2015-09-04
Also published as: JPH0972422A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、オイル穴用ビード
に関し、更に詳細には金属薄板からなるシリンダヘッド
ガスケットのオイル穴に設けるシール用ビードに関する
ものである。

【０００２】

【従来の技術】内燃機関のシリンダヘッドとシリンダボ
ディとの間に設けるシリンダヘッドガスケットは、燃焼
室を形成するシリンダ穴の他、潤滑用オイル、冷却水、
ヘッドボルト、プッシュロッドなどが通る各種の穴が多
数設けられている。そして、機関の高出力化に伴い、金
属薄板からなる金属ガスケットが、一般に高出力用に使
用されるディーゼルエンジンは元より、ガソリンエンジ
ンにおいても、多く使用されるに至っている。

【０００３】金属ガスケットのシールは、通常、シール
する穴の周囲を取り巻き、金属板をループ状に膨出させ
たビードを設け、ガスケットを締め付けてビードを圧縮
する際に生じる反力によってガスケットの金属板間をデ
ッキ面に押し付けてシールするものである。周知のよう
に、多気筒直列型内燃機関のシリンダヘッドとシリンダ
ボディとの接合面には、シリンダ穴が横一列に配置さ
れ、その周囲に、前記各種の穴が配置されている。そし
て、ヘッドボルトは、高圧となるシリンダ穴の周囲に、
より均一な締め付け力を及ぼすように配置されるため、
オイル穴や水穴などの液体穴は、ヘッドボルトに対して
偏在した位置となり、液体穴に設けたビードの締め付け
力は均一とはなりにくいという問題がある。

【０００４】また機関を軽量化して高出力とするため、
近年、アルミニウム合金製のシリンダヘッドが使用され
るようになった。そのため、シリンダヘッドは、前記ビ
ードの反力を受け、中央部が反り上がる変形力を受け易
くなり、液体穴に設けたビードの締め付け力が更に不均
一になる傾向にある。ところで、前記オイル通路はシリ
ンダヘッドの上部に設ける動弁機構の潤滑用に設けるも
のであり、シリンダボディ及びシリンダヘッドに直接関
係する部分が少ない関係上、従来から機関のコーナー部
や、本体から突設させた部分に設けることが多い。した
がって、ヘッドボルトによる締め付け力が不均一になる
傾向が水穴より著しくなる。

【０００５】そこで、ボルトの締め付け力が及び易いよ
うに、オイル通路をヘッドボルトの近くに配置し、その
ためシリンダヘッドガスケットのオイル穴用ビードが、
ボルト穴と干渉しないように、オイル穴用ビードを、ボ
ルト穴を取り巻くように形成することが従来から行われ
ている。この共通ビードによるシール性能を向上させる
ため、本出願人は、ビードのばね定数を、ボルト穴側よ
りオイル穴側を小さい値とすることを考案（実開平２−
１０１０６１号）した。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところで内燃機関、特
に自動車用内燃機関は、周知のとおり市場から高性能化
を追求する要請があり、常に改良が加えられている。シ
リンダヘッドガスケットのオイル穴のシールに対して
も、更に高性能化が要求されるに至っている。本発明
は、以上の問題に着目してなされたものであり、オイル
穴用ビードをボルト穴用ビードと一体的に形成する金属
シリンダヘッドガスケットにおいて、シール性能を更に
向上させたオイル穴用ビードの提供を課題としている。

【０００７】

【課題を解決するための手段】以上の課題を他製するた
めの本発明のオイル穴用ビードの第１の構成は、シリン
ダボディからシリンダヘッドに通じるオイル通路を、ヘ
ッドボルトの近くの機関外周側に形成した内燃機関に適
用する金属シリンダヘッドガスケットに、前記オイル通
路用のオイル穴と前記ヘッドボルト用のボルト穴とを形
成し、これらの穴の周囲を取り巻くビードを、両方の穴
に共通する１つの台形ビードによって形成し、このビー
ドのオイル穴側の立上り角よりボルト穴側の立上り角を
小さく、且つ台形ビードの頂部平坦部の幅である頂部幅
を、オイル穴側よりボルト穴側を狭く形成し、少なくと
もオイル穴側のビード中央部分を、ビードが突出する方
向と反対側に窪ませた折り筋を形成したものである。ま
た前記課題を他製するための本発明のオイル穴用ビード
の第２の構成は、シリンダボディからシリンダヘッドに
通じるオイル通路を、ヘッドボルトの近くの機関外周側
に形成した内燃機関に適用する金属シリンダヘッドガス
ケットに、前記オイル通路用のオイル穴と前記ヘッドボ
ルト用のボルト穴とを形成し、これらの穴の周囲を取り
巻くビードを、両方の穴に共通する１つの円弧状ビード
によって形成し、このビードの幅方向断面形状を、オイ
ル穴側の立ち上がり角よりボルト穴側の立ち上がり角を
小さく、且つ前記ビードの頂部曲率をオイル穴側よりボ
ルト穴側を小さく形成し、少なくともオイル穴側のビー
ド中央部分を、ビードが突出する方向と反対側に窪ませ
た折り筋を形成したものである。

【０００８】ビードの頂部に中央部分が窪む前記折り筋
は、より低い締付け荷重でビードを容易に変形させる変
形誘発用のものである。したがって、折れ曲げ方に特に
限定はない。但し、ビードに亀裂を誘発することがない
ように、折り曲げ部分がより曲線状になるように形成す
ることがより好ましい。容易に逆Ｗ形に変形したビード
は、復元する力及び元に戻る復元量が増大する。

【０００９】前記折り筋を設ける部分は、少なくともオ
イル穴側のビードに設けること以外に特に限定はなく、
例えばオイル穴に近い部分のみに設ける、オイル穴とボ
ルト穴との中間部分まで設ける、ビード全周に設けるな
どである。前記ビードのオイル穴側の頂部が、同ビード
のボルト穴側の頂部より幅広に形成する手段として、ビ
ード高さを一定とし、ビード幅方向両側のビード立ち上
がり角を調節して行うことができるが、本発明はこれに
限定されず、ビード幅、台形ビード頂部幅、波形又は円
弧状ビードの頂部曲率やビード高さを変化させるなど、
他の手段によって行うこともできる。

【００１０】オイル穴側及びボルト穴側のビードの前記
頂部形状と立上り角との変化には特に限定はなく、段状
に変化させてもよいが、一般には、ボルト穴側とオイル
穴側との間で、連続的に変化させるなど、徐々に変化さ
せるようにすることが好ましい。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下添付の図面を参照し、実施の
形態により本発明を具体的に説明する。図１，２に示す
実施の形態１のオイル穴用ビード１は、単板からなるシ
リンダヘッドガスケット（以下単にガスケットと略称す
る）２に形成したオイル穴３とボルト穴４との両方を囲
むように設けられている。

【００１２】前記オイル穴３は、ガスケット２の外周５
のコーナー部に設けられており、ボルト穴４に対しシリ
ンダ穴６の反対側に位置している。シリンダ穴６の周囲
には複数個のボルト穴（ボルト穴４以外は図示せず）が
配置されている。なお、図１に示す符号７は水穴であ
り、８はシリンダ穴用ビード、９は水穴用ビードであ
る。

【００１３】そしてオイル穴用ビード１は、ビード幅Ｗ
及び高さｈを有する台形状に形成し、図２に示すよう
に、オイル穴３側からオイル穴３とボルト穴４との中間
部ｃまでに、中央部分に僅かに窪んだ折り筋１０を設け
たものである。本実施の形態では、前記中間部ｃの部分
から折り筋１０が、徐々に深くなるようにした。そし
て、ボルト穴４側Ａの立上り角θ_１をオイル穴側Ｂの立
上り角θ_２より小さく（θ_１＜θ_２）形成し、ボルト穴
側Ａの頂部の幅ｔ_１を、オイル穴側Ｂの頂部の幅ｔ_２よ
り狭く（幅ｔ_１＜ｔ_２）なるように形成した。

【００１４】オイル穴用ビード１の各部寸法は、対象と
する内燃機関の仕様によって一定しないが、通常のシリ
ンダヘッドガスケットの場合、一般にＷが１．５〜３ｍ
ｍ、ｈが０．２〜１ｍｍであり、前記折り筋１０の深さ
は、オイル穴用ビード１が圧縮された際に、逆Ｗ形に屈
曲する変形を誘発するものであればよい。なお、図２
（Ａ）に示す符号ｗ _１はボルト穴側のビード全体の幅を
表し、図２（Ｂ）に示す符号ｗ _２はオイル穴側のビード
全体の幅を表している。

【００１５】即ち、波形、円弧などの幅方向断面形状の
ビードを圧縮すると、頂部が反対側に折れて逆Ｗ形に変
形するが、前記オイル用ビード１のオイル穴側は、既に
中央が折れ曲がっているので容易に屈曲し、図３に示す
ように容易に逆Ｗ形となる。この逆Ｗ形を更に圧縮する
とビード幅Ｗ全体により均一に変形が進み、前記立上り
角が小さい場合より均等な反力が得られるようになり、
より弱い圧縮力でビード幅Ｗ全体により均等な面圧を発
生させることができる。なお図３に示す符号11はシリン
ダヘッド、12はシリンダボディ、13はシリンダヘッド11
及びシリンダボディ12に穿設したオイル通路である。

【００１６】これに対してボルト穴４側では、圧縮され
ると頂部の幅ｔ₁が狭く、立上がり角が小さいので、容
易にビードを圧縮できる。ところで、ボルト（図示せ
ず）の締め付け力は、シリンダ穴６側により均等に作用
するが、オイル穴３に対しては片締まり状態となる。更
に、内燃機関（図示せず）の作動により、前記締め付け
力が脈動し、その影響は、オイル穴３のオイル穴側Ｂの
締め付け条件はボルト穴側Ａより脈動の振幅が大きくな
る。

【００１７】しかしながら、実施の形態１のオイル穴用
ビード１は、締め付け力が弱く、且つ締め付け力の脈動
が激しくなる外周５側が、弱い締め付け力で逆Ｗ形に圧
縮・変形することが可能であり、容易に脈動に追随して
伸縮が可能となり、高いシール性能を維持することがで
きる。図４に示す実施の形態２のオイル穴用ビード１
は、積層形シリンダヘッドガスケット１４によって実施
し、幅方向断面形状を連続する円弧状に形成し、中央部
分に凹状の折り筋１０を形成し、ビード高さを同じに
し、ボルト穴側Ａのビード立ち上がり傾斜よりオイル穴
側Ｂの立ち上がり傾斜を急にし、頂部の曲率を小さくし
たものである。実施の形態２のオイル穴用ビード１も、
実施の形態１のオイル穴用ビード１と同様の高いシール
性能が得られた。なお図４に示す符号１５はヘッドボル
トであり、１６はシリンダヘッド１１及びシリンダボデ
ィ１２側のボルト穴である。

【００１８】

【発明の効果】以上説明したように本発明のオイル穴用
ビードは、幅方向断面形状を、オイル穴側の立上り角よ
りボルト穴側の立上り角を小さく、且つボルト穴側の頂
部幅をオイル穴側の頂部幅より狭くし、オイル穴側のビ
ード中央部分に僅かな窪みからなる折り筋を形成したの
で、より低い圧縮力が作用するガスケットの外周側部分
にビード幅全体をより均一に圧縮して幅広の面圧を発生
させ、且つ脈動圧縮力に追随して高いシール性能を維持
させることができ、シリンダヘッドガスケットの信頼性
を高めることができた。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例１によるオイル穴用ビードの部
分平面図である。

【図２】図２のＡは図１のIIＡ−IIＡ線断面図であり、
Ｂは図１のIIＢ−IIＢ線断面図である。

【図３】図２に示すビード断面が変形した様子を示す説
明図である。

【図４】本発明の実施例２によるオイル穴用ビードの部
分断面図である。

【符号の説明】

１オイル穴用ビード２ガスケット（シリンダヘッドガスケット）３オイル穴４ボルト穴５外周６シリンダ穴 12 シリンダボディ 13 オイル通路 14 積層形シリンダヘッドガスケット 15 ヘッドボル
トＡボルト穴側Ｂオイル穴側ｈ高さｔ₁幅ｔ₂幅Ｗビード幅ｗ₁幅ｗ₂幅 θ₁立上り角 θ₂立上り角

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】シリンダボディからシリンダヘッドに通
じるオイル通路を、ヘッドボルトの近くの機関外周側に
形成した内燃機関に適用する金属シリンダヘッドガスケ
ットに、前記オイル通路用のオイル穴と前記ヘッドボル
ト用のボルト穴とを形成し、これらの穴の周囲を取り巻
くビードを、両方の穴に共通する１つの台形ビードによ
って形成し、このビードの幅方向断面形状を、オイル穴
側の立上り角よりボルト穴側の立上り角を小さく、且つ
台形ビードの頂部平坦部の幅である頂部幅を、オイル穴
側よりボルト穴側を狭く形成し、少なくともオイル穴側
のビード中央部分を、ビードが突出する方向と反対側に
窪ませた折り筋を形成したオイル穴用ビード。
【請求項２】シリンダボディからシリンダヘッドに通
じるオイル通路を、ヘッドボルトの近くの機関外周側に
形成した内燃機関に適用する金属シリンダヘッドガスケ
ットに、前記オイル通路用のオイル穴と前記ヘッドボル
ト用のボルト穴とを形成し、これらの穴の周囲を取り巻
くビードを、両方の穴に共通する１つの円弧状ビードに
よって形成し、このビードの幅方向断面形状を、オイル
穴側の立ち上がり角よりボルト穴側の立ち上がり角を小
さく、且つ前記ビードの頂部曲率をオイル穴側よりボル
ト穴側を小さく形成し、少なくともオイル穴側のビード
中央部分を、ビードが突出する方向と反対側に窪ませた
折り筋を形成したオイル穴用ビード。
【請求項３】オイル穴側及びボルト穴側のビードの幅
と立上り角とを、ボルト穴側とオイル穴側との間で徐々
に変化させるようにした請求項１又は２記載のオイル穴
用ビード。