JP2527099Y2 - 内燃機関用金属ガスケット - Google Patents

内燃機関用金属ガスケット

Info

Publication number
JP2527099Y2
JP2527099Y2 JP1989092179U JP9217989U JP2527099Y2 JP 2527099 Y2 JP2527099 Y2 JP 2527099Y2 JP 1989092179 U JP1989092179 U JP 1989092179U JP 9217989 U JP9217989 U JP 9217989U JP 2527099 Y2 JP2527099 Y2 JP 2527099Y2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
bead
beads
metal gasket
cylinder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1989092179U
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0332157U (ja
Inventor
国利 井上
茂 川口
憲治 窪内
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Gasket Co Ltd
Original Assignee
Nippon Gasket Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Gasket Co Ltd filed Critical Nippon Gasket Co Ltd
Priority to JP1989092179U priority Critical patent/JP2527099Y2/ja
Publication of JPH0332157U publication Critical patent/JPH0332157U/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2527099Y2 publication Critical patent/JP2527099Y2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Gasket Seals (AREA)

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は、内燃機関、特に、多気筒内燃機関におい
て、シリンダヘッドとシリンダブロックとの対向面をシ
ールするために使用される金属ガスケットに関する。
〔従来の技術〕
最近の内燃機関は、高出力化と共に軽量化が求めら
れ、その一環としてシリンダヘッド又はシリンダヘッド
のみならずシリンダブロックを従来の比重の大きい鋼、
鋳物に代えて比重の小さいアルミニウム材料で製作する
傾向にある。アルミニウム材料は、軽量である反面、剛
性が低い材料であるので、内燃機関の運転に伴いシリン
ダヘッドやシリンダブロックの剛性の低下傾向を示し、
且つシリンダブロックに対するシリンダヘッドの相対的
変位が大きくなる傾向にある。
上記のような傾向に対して、シリンダヘッドとシリン
ダブロックとの間に配置されて両者の対向面をシールす
る金属ガスケットについて、ビードを備えた2枚の基板
から成る金属ガスケットが提案されている。上記金属ガ
スケットとして、例えば、特公昭60−55704号公報や特
公昭62−34936号公報に開示されたものがある。
特公昭60−55704号公報に開示された金属ガスケット
は、第14図に示すように、軟質金属製の中央層とその表
面の硬質金属層とから成る内側プレート20を一対の金属
製外側プレート21で挟んでいる。一対の金属製外側プレ
ート21の基板には、波形輪郭部のビード22,23が形成さ
れているが、ビード22は全体的に外側に離れる方向に対
称的に膨出している。両基板は、板厚、材料、ビードの
断面形状及び剛性等からみて同じものが用いられる。シ
リンダブロックとシリンダヘッドとの間に作用する締付
け力や振動力は、両方のビード22に直列に作用し、ビー
ド22の高さ方向の変位は2倍になる。即ち、2枚構成の
ビード付き基板から成る金属ガスケットのビード22のば
ね定数は、1枚構成のビード付き基板から成る金属ガス
ケットのビードのばね定数に比べると、1/2の大きさに
なる。
実開昭63−84462号公報に開示された金属ガスケット
は、ビードを有する二つの基板から成り、基板のビード
を互いに対向する方向に配置し、両ビードの頂部間には
基板の平行な方向についての間隔が設けられている。該
金属ガスケットは、シリンダヘッドやシリンダブロック
との当たり面積を大きくすることにより、接触部分の圧
痕の発生を防止し、シリンダヘッド面とシリンダブロッ
ク面の条痕と異物に対して鈍感にし、それによってシー
ル性を向上するものである。
〔考案が解決しようとする課題〕
しかしながら、上記金属ガスケットは、次のような技
術的な問題点がある。即ち、シリンダヘッドとシリンダ
ブロックの素材をアルミニウム材料とするために、シリ
ンダヘッドとシリンダブロックの剛性が低くなり、金属
ガスケットに設けたビードが外側に向かって対称形に膨
張していると、該金属ガスケットのばね定数が小さくな
る。即ち、柔らかい金属ガスケットをシリンダヘッドと
シリンダブロックとの間に挿入すると、内燃機関の爆発
行程時に、金属ガスケットに対してシリンダボアの周り
で歪量が増加することが、理論解析上、及び実験的にも
確認されている。
金属ガスケットの歪量が大きくなると、金属ガスケッ
トのビードの振幅変形量が大きくなり、ひいてはビード
に加わる負荷応力が大きくなる。その結果、ビードのへ
たりや亀裂が生じる可能性が高くなる。
また、基板のそれぞれのビードを互いに対向する方向
に配置し、両ビードの頂部間に基板の平行な方向につい
ての間隔を設けた金属ガスケットは、ビードがシリンダ
ヘッドとシリンダブロックとの間の押圧力により変形
と、ビードの両側の平坦部分がビードが膨出する方向に
反り返ろうとする。ビードの反り返りはビードからの距
離が大きいところほど大きな変位を示す。内燃機関の爆
発行程時に、上記押圧力が変動してシリンダボアの周り
での歪量が増加すると、基板のこの大きな反り返りを示
す部分は、そのシール力が小さいが故に、不安定な挙動
を示す傾向がある。かかる反り返り部分がシリンダヘッ
ド又はシリンダブロックに当接しても、締付け力のうち
ビード部分が受け持つ負担を充分に軽減するものではな
い。従って、ビード部分を中心に依然として基板のへた
りや亀裂が発生する原因が存在する。
この考案の目的は、上記の課題を解決することであ
り、内燃機関の爆発行程時にシリンダブロックのシリン
ダボアの周りでの歪量を低下させ、ビードに加わる変位
の振幅を低下させるために、シリンダヘッドとシリンダ
ブロックとの間の限られたスペース即ち間隔の中で、ビ
ードのばね定数を集中させることなく多重に大きくし、
ビードに加わる負荷応力を安定的に低下させて、ビード
のへたり、亀裂の発生を防ぐことができる内燃機関用金
属ガスケットを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この考案は、上記の目的を達成するために、次のよう
に構成されている。即ち、この考案は、シリンダヘッド
とシリンダブロックの間に互いに押圧状態に積層して配
置された第1基板と第2基板を具備し、前記第1基板に
はシリンダボア孔に沿って半径方向に隔置した延びる内
側のビードと外側のビードとの間に平坦部を形成し、前
記第2基板にはシリンダボア孔に沿って前記平坦部に対
応する位置に1条のビードを形成し、前記第1基板の前
記各ビードが前記第2基板の前記ビードの両側の平坦部
にそれぞれ当接状態に且つ前記各ビードが互いに接触し
ない位置に配置され、隣接する前記シリンダボア孔間の
領域では前記第1基板の前記内側のビードのみが延び、
前記内側のビードの間に形成される平坦部に前記第2基
板の会合した前記ビードが当接状態に且つ前記各ビード
が互いに接触しない位置に配置されている内燃機関用金
属ガスケットに関する。
また、前記第1基板と前記第2基板との間で且つ前記
第1基板の外側のビードの外側に調整板を介在させたも
のである。
〔作用〕
この考案による内燃機関用金属ガスケットは、以上の
ように構成されており、次のように作用する。即ち、こ
の内燃機関用金属ガスケットは、シリンダブロックとシ
リンダヘッドとの間に締付けられる金属ガスケットの2
枚の基板が互いにビードで当接し、且つ一方の基板の一
つのビードの頂点が他方の基板の二つのビードの間に配
置され、ビードが互いに接触していないので、2枚の基
板が互いに当接する部分は、各ビードによる実質的に同
じ形態の三つの当接領域を形成し、三重の面圧を形成す
ることになる。このように、各ビードが対向する基板に
当接する方向に形成されているため、ビードと基板の平
坦部との対向面にシリンダボア孔近傍周囲の半径方向に
隔置した状態で並んだ少なくとも三重の環状に閉じたル
ープとして面圧を形成するように配置されることにな
る。従って、シリンダヘッドとシリンダブロックとの間
の締付け力は、格別に支持能力に差異のない少なくとも
三つのビードと平坦部との当接領域で並列に分散支持さ
れる。
また、前記第1基板と前記第2基板との間で且つ前記
第1基板の外側のビードの外側に調整板を介在させたの
て、前記ビードの高さや厚さが調整され、面圧が調整さ
れる。
〔実施例〕
以下、図面を参照して、この考案による内燃機関用金
属ガスケットの実施例を詳述する。
第1図はこの考案による内燃機関用金属ガスケットの
一実施例を示す平面図である。
内燃機関用金属ガスケット1は、四気筒エンジンのシ
リンダヘッドとシノンダブロックとの間の当接面をシー
ルするために使用されたものである。金属ガスケット1
は、上側基板10と下側基板11から構成されている。金属
ガスケット1には、四つの気筒に対応する四つのシリン
ダボア孔2が形成されている。シリンダブロックとシリ
ンダヘッドとを互いに連結するためのボルト穴3が形成
されている。金属ガスケット1には、冷却水を通す水穴
4やオイルを通す穴やオイル戻り穴5,6、ノック穴7、
リベット止め穴8等が形成されている。
更に、第1図(a)において、第1図の符号A部にお
ける上側基板10の平面図を示し、また、第1図(b)に
おいて、第1図の符号A部における下側基板11の平面図
を示している。
金属ガスケット1は、第2図乃至第5図に示されるよ
うに、基本的には、上側基板10と下側基板11とから構成
されている。上側基板10も下側基板11も厚さが約0.3mm
のステンレスのばね板から形成され、互いに重ね合わさ
れている。上側基板10と下側基板11との間には、内燃機
関の種類に応じて調整板12が介装され、調整板12によっ
てビード13,14,15の高さや厚みが調節され、面圧が調整
されている。調整板12に形成されたシリンダボアに対応
する孔16の周囲における境界線は、第1図において点線
で示されている。
第2図は第1図の線II−IIにおける断面図、及び第3
図は第1図の線III−IIIにおける断面図である。第2図
には、それぞれ隣接するシリンダボア孔2の境界部分を
そのシリンダボア孔の中心を結ぶ線で切断した金属ガス
ケット1の断面が示されている。第3図には、シリンダ
ボア孔2と端部即ち縁部分とを結ぶ線で切断した金属ガ
スケット1の断面が示されている。金属ガスケット1の
上側基板10と下側基板11とには、シリンダボア孔2の近
傍周囲を環状に取り巻くビード13,14,15が形成されてい
る。
第5図は、第1図の線V−Vにおける金属ガスケット
1の周辺の断面図であるが、金属ガスケット1の周辺部
分でも上側基板10と下側基板11とには互いに対向するビ
ード17,18が形成されている。
更に、上側基板10と下側基板11の表面に対して、耐熱
性及び耐油性のゴム、樹脂等の材料で、例えば、10μ〜
15μ程度の厚さにコーティングを施す。コーティング
は、上側基板10と下側基板11との両面行ってもよく、場
合によっては、上側基板10に対してはシリンダヘッドの
下面側及び下側基板11に対してはシリンダブロックの上
面側の片面だけに施してもよい。基板に対してゴム、樹
脂等の材料でコーティングすることによって、シリンダ
ブロック及びシリンダヘッドに対して金属対金属の接触
状態を避け、ガスケットとしての耐久性、強度を確保
し、十分なシール機能を果たすことができる。
次に、金属ガスケット1における上側基板10と下側基
板11とに形成したビードについて説明する。
第2図及び第3図に示すように、上側基板10には、シ
リンダブロックのシリンダボアに対応して上側基板10に
形成したシリンダボア孔2の近傍周囲において、同心上
で且つ環状に、対向する下側基板11に向かって山形状と
なったビード13,14が形成されている。ビード13,14は、
第1図及び第1図(a)において、1点鎖線で示され、
シリンダボア孔2に対して半径方向内側のビードが符号
13で示され、また、半径方向外側のビードが符号14で示
されている。二つのビード13,14間の間隔は、シリンダ
ボア孔2の直径(例えば、82.0mm)に対して充分に短く
(例えば、2.5mm)形成されている。隣接するシリンダ
ボア孔2に対する上側基板10の内側のビード13は隣接す
るビード13と互いに交わすことはない。
しかし、外側のビード14は、隣接する両シリンダボア
孔2の互いの最も接近する付近において、滑らかな曲線
状になって交わって接続している。内側のビード13と外
側のビード14とは、断面山形の形状が同一である。例え
ば、シリンダボア孔2の半径方向で見たビード13,14の
幅は2mm、高さは0.25mmである。
第2図及び第3図に示すように、下側基板11のビード
15は、シリンダボア孔2の周囲において同心上で且つ環
状に、対向する上側基板10に向かって山形状になってい
る。ビード15の頂点は、第1図及び第1図(b)におい
て2点鎖線で示されている。第1図(b)に示すよう
に、隣接するシリンダボア孔2,2のビード15は、両シリ
ンダボア孔2の最も接近する部分で互いに交わり即ち会
合し、交わる2点間において、シリンダボア孔2の中心
を結ぶ線と直交する長さ約10mmの一本の共通即ち会合し
たビード15aとなっている。ビード15は、上側基板10の
半径方向内側のビード13と半径方向外側のビード14との
中間位置においてビードの頂点が位置するように形成さ
れている。シリンダボア孔2の半径方向で見たビード15
の幅は2mmであり、高さは0.25mmである。
従って、第2図及び第3図に示すように、金属ガスケ
ット1における上側基板10と下側基板11に形成したビー
ド13,14,15は、下側基板11のビード15の頂点を通る縦線
に対して実質的に対称となっている。しかも、上側基板
10のビード13,14は、下側基板11のビード15のシリンダ
ボア孔2の半径方向で見て両側において下側基板11の上
面の平坦部に当接し、また、下側基板11のビード15は、
上側基板10の両ビード13,14の中間において上側基板10
の下面の平坦部に当接している。
金属ガスケット1における上側基板10と下側基板11の
ビード13,14,15は、シリンダボア孔2の近傍周囲に半径
方向に隔置して設けられ、例えば、シリンダボア孔2の
直径が82.0mmであるのに対して、上側基板10の外側ビー
ドの最外位置の直径が93mmである。
第4図は、第1図の線IV−IVにおける断面図であり、
金属ガスケット1のボルト穴3を通る部位を示してい
る。上側基板10と下側基板11とは、ボルト穴3の周囲で
上に向かって変位されている。該変位量は、ビード13,1
4,15の高さと同一高さ0.25mmである。調整板12は、平ら
な状態の形状であり、ボトル穴3の近傍の周囲部位では
下側基板11の上面に当接し、また、ボルト穴3の半径方
向外側にやや離れた部位において上側基板10の下面に当
接している。
金属ガスケット1をシリンダヘッドとシリンダブロッ
クとの間に介装して、例えば、計10本のボルトを金属ガ
スケット1のボルト穴3にそれぞれ通して締め付ける。
この実施例は、以上のように、一方の基板を下側基板
11として、他方の基板を上側基板10として記述してきた
が、上側基板に1つのビードを設け且つ下側基板に一対
のビードを設ける構造に構成してもよい。
また、基板間に介装した調整板12は、内燃機関の種類
に応じて省略することもできる。調整板12を省略した金
属ガスケット1の一部断面図が第6図に示されている。
第6図は、調整板12を有する金属ガスケット1を示した
第3図に相当する断面図である。金属ガスケット1にお
ける上側基板10及び下側基板11は、第3図に示したもの
と全く同一の構成及び機能であるので、同一の符号を付
して、重複する説明は省略する。
第7図(a)、第7図(b)及び第7図(c)に示す
ように、ビードに作用する力をPmax、ビードのばね定数
をK1,K2,K3とする。
第7図(a)に示すように、ビード形状が一山の場合
には、最大締付荷重P1=Pmaxとなる。
第7図(b)に示すように、ビード形状が二山の場合
は、P1=Pmax・K1/(K1+K2) P2=Pmax・K2/(K1+K2) ただし、Pmax=P1+P2 第7図(c)に示すように、ビード形状がこの属ガスケ
ット1のように三山の場合は、 P1=Pmax・K1/(K1+K2+K3) P2=Pmax・K2/(K1+K2+K3) P3=Pmax・K3/(K1+K2+K3) ただし、Pmax=P1+P2+P3 従って、ビードに作用する力Pmaxが一定であるとする
と、この金属ガスケット1における基板に形成したビー
ドの一山当たりの締付け荷重は減少することになる。
次に、爆発時の荷重変動について検討する。ボルトば
ね定数をKB、ヘッドばね定数をKH、ビード一山のばね定
数をKGとすると、Pmaxからの荷重変動は、ビード一山を
基準として、第8図に示された荷重−変位関係から求め
られ、次のようになる。但し、KHGはボルトとビード一
山の合成ばね定数である。
(1)ΔFHG=ΔF・KHG/(KB+KHG) (2)KHG=KH・KG/(KH+KG) 従って、 この状態で、金属ガスケット1のように、ビードが二
山以上である時に、ガスケットのばね定数をKGVとする
と、変動荷重ΔFHGVは、次の式で与えられる。
ここで、 KH=mKG,KB=lKG KGV=nKG とおくと、 上記式に基づいて、l(通常、l<1)を固定し、m
をパラメータにしてnに関する ΔFMGV/ΔFをプロットした結果を、第9図(a)、
第9図(b)、第9図(c)及び第9図(d)に示す。
これらの図では、lを次の条件とした線図である。
l=0.1,0.25,0.5及び0.75 今、一例として、l=0.25,m=2.5として、金属ガス
ケット1のように、基板のビードが二山の場合(n=
2)と、更に、ビードを増やして三山の場合(n=3)
であるとすると、第10図に示すように、ビード一山当た
りの荷重変動は減少することになる。他のl,mの組合わ
せについても同様である。
第11図には、3種のガスケットA,B,Cに対する締付荷
重に対するばね定数の変化が、測定データに基づいて示
されている。ガスケットA,Cは金属ガスケットであり、
ガスケットBはアスベストガスケットである。この図か
ら分かるように、ガスケットA,Cは非線形特性が強く、
ガスケットBは比較的に線形特性に近いものであり、ば
ね定数は、常に一定ではなく、一般には、締付荷重が大
きくなるにつれて大きくなる傾向にある。このことは、
ビードの潰れが大きくなるほど、基板のばね力は硬くな
る。即ち、同じ変位を生じさせるのに、より大きな力を
必要とすることを示している。
また、4気筒ガソリンエンジンに実際に用いられてい
るシリンダヘッド及びボルトの特性値を用い、ガスケッ
トばね定数を測定し、これらをパラメータとして、変動
荷重比の減少を計算で求めた線図が第12図に示されてい
る。図において、両者の金属ガスケットは、全く同一形
状であり、板厚が、NK25は0.25mmであり、NK30は0.30mm
である。
更に、第13図には、内燃機関のガス圧(即ち、爆発力
に相当)に対するシリンダヘッドの変位測定値が示され
ている。ばね定数は2倍にしたものとの二つがパラメー
タとして用いられている。ガス圧が大きいほど、シリン
ダヘッド変位量がほぼ比例して大きくなることが分か
る。また、ばね定数が大きくなると、シリンダヘッド変
位量は、相当に減少をすることが分かる。
〔考案の効果〕
この考案による内燃機関用金属ガスケットは、以上の
ように構成されているので、次のような効果を有する。
即ち、この金属ガスケットは、シリンダヘッドとシリン
ダブロックとの間で互いに押圧状態に配置した複数の基
板から成り、一方の基板には一対のビードをシリンダボ
ア孔近傍周囲に半径方向に隔置して形成し、他方の基板
には前記両ビード間に位置する1つのビードを形成し、
前記各ビードを対向する前記基板の平坦部にそれぞれ当
接状態にビードが互いに非接触状態に配置されているの
で、前記介各基板に対向する方向に形成されている前記
各ビードは、ビード基板の対向する狭いスペースの間隔
内において、実質的に同じ断面形態をしてシリンダボア
孔の半径方向に隔置して並んだ少なくとも三つの環状に
閉じたループとして配置されることになる。
従って、シリンダヘッドとシリンダブロックの間の締
付け力は、応力的にみて実質的に同じ負担能力のあるこ
れらの少なくとも三つのビード領域で並列的に分散支持
される。この結果、シリンダヘッドとシリンダブロック
との間に作用する締付け力と変位との関係を定めるばね
定数は大きくなり、ビードに生じる変位の振幅は小さく
なる。
更に、一つのビードが形成された一方の基板のビード
の両側の平坦部は、他方の基板に形成された二つのビー
ドによって押さえられる。このため、シリンダヘッドと
シリンダブロックとの間に変動締付け力の負担状態が安
定している。反対に、前記他方の基板にとっても二つの
ビード間において前記一方の基板のビードが当接してい
るため、やはり三つの領域で支持されることになり、前
記他方の基板の挙動も安定化され、ビードの締付け力の
負担状態も安定している。
最近の多気筒内燃機関は、軽量化に伴い、シリンダボ
ア間の距離がより一層短くなり、短いシリンダボア間に
おいてシリンダヘッドとシリンダブロックとの間のシー
ルをビードで確保することが非常に難しくなっている
が、この考案によれば、シリンダボア間のスペースが小
さい内燃機関であっても大きなシール面圧を確保でき
て、シールの信頼性を向上させることができる。
また、アルミニウム合金製のシリンダヘッドであって
も、シリンダヘッドの歪量は実際の測定結果でも軽減す
ることができることが分かっている。これは同時に、ガ
スケットのビードに加わる負荷の応力振幅を小さくする
ことができることを意味している。従って、従来のビー
ド基板の構成に比べて、ビードの亀裂やへたりを防止す
ることができ、ひいては金属ガスケットの耐久性とシー
ル性とを向上することができる。
更に、この考案による金属ガスケットを調整板と組合
わせることによって、ディーゼルエンジンやガソリンエ
ンジン、或いは、他の形式の内燃機関にも用いることが
でき、ガスケットの汎用性を向上することができる。
また、前記基板の表面に耐熱性及び耐油性のゴム、樹
脂等の非金属材料をコーティングしたので、シリンダブ
ロック及びシリンダヘッドに対して金属対金属の接触状
態を避け、ガスケットとしての耐久性、強度を確保し、
十分なシール機能を果たすことができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの考案による金属ガスケットの一実施例を示
す平面図、第1図(a)及び第1図(b)は第1図の符
号A部分の拡大図、第2図は第1図の線II−IIにおける
断面図、第3図は第1図の線III−IIIにおける断面図、
第4図は第1図の線IV−IVにおける断面図、第5図は第
1図の線V−Vにおける断面図、第6図は第1図の線II
I−IIIにおける部位に相当する別の例を示し、調整板を
持たない金属ガスケットの断面図、第7図(a)、第7
図(b)及び第7図(c)はビード形状が重なる場合の
ビードに加わる力とばね定数の対応を説明する説明図、
第8図は内燃機関の爆発行程時の変動荷重を求めるため
の荷重−変位線図、第9図(a)、第9図(b)、第9
図(c)、及び第9図(d)はガスケットのばね定数の
大きさに対する爆発行程時の変動荷重の変化をパラメー
タを用いて示した線図、第10図は第9図(b)に示す線
図についてビード山あたりの変動荷重を示す線図、第11
図は締付荷重に対するばね定数の変動を示す線図、第12
図はガスケットのばね定数の大きさに対する爆発行程時
の変動荷重の変化を内燃機関に実際に用いられている構
成要素の実測値に基づいて計算して求めた線図、第13図
はガスケットのばね定数をパラメータとして内燃機関の
ガス圧に対するシリンダヘッドの変位量の実測値を示す
図、並びに第14図は従来の金属ガスケットの一例を示す
一部断面図である。 1……金属ガスケット、2……シリンダボア孔、10……
上側基板、11……下側基板、12……調整板、13,14,15…
…ビード、15a……会合したビード。

Claims (2)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダヘッドとシリンダブロックの間に
    互いに押圧状態に積層して配置された第1基板と第2基
    板を具備し、前記第1基板にはシリンダボア孔に沿って
    半径方向に隔置した延びる内側のビードと外側のビード
    との間に平坦部を形成し、前記第2基板にはシリンダボ
    ア孔に沿って前記平坦部に対応する位置に1条のビード
    を形成し、前記第1基板の前記各ビードが前記第2基板
    の前記ビードの両側の平坦部にそれぞれ当接状態に且つ
    前記各ビードが互いに接触しない位置に配置され、隣接
    する前記シリンダボア孔間の領域では前記第1基板の前
    記内側のビードのみが延び、前記内側のビードの間に形
    成される平坦部に前記第2基板の会合した前記ビードが
    当接状態に且つ前記各ビードが互いに接触しない位置に
    配置されている内燃機関用金属ガスケット。
  2. 【請求項2】前記第1基板と前記第2基板との間で且つ
    前記第1基板の外側のビードの外側に調整板を介在させ
    た請求項1に記載の内燃機関用金属ガスケット。
JP1989092179U 1989-08-07 1989-08-07 内燃機関用金属ガスケット Expired - Lifetime JP2527099Y2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1989092179U JP2527099Y2 (ja) 1989-08-07 1989-08-07 内燃機関用金属ガスケット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1989092179U JP2527099Y2 (ja) 1989-08-07 1989-08-07 内燃機関用金属ガスケット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0332157U JPH0332157U (ja) 1991-03-28
JP2527099Y2 true JP2527099Y2 (ja) 1997-02-26

Family

ID=31641619

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1989092179U Expired - Lifetime JP2527099Y2 (ja) 1989-08-07 1989-08-07 内燃機関用金属ガスケット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2527099Y2 (ja)

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US4759585A (en) * 1987-06-26 1988-07-26 Ishikawa Gasket Co., Ltd. Steel laminate gasket with meshing corrugated beads

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0332157U (ja) 1991-03-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3142155B2 (ja) 金属製ガスケット
US4721315A (en) Metallic cylinder head gasket
JPH086805B2 (ja) 金属ガスケット
JPH10184916A (ja) 金属製ガスケット
US5588657A (en) Laminated metal gasket with diverse bead height
JP3129626B2 (ja) 金属製ガスケット
US5873577A (en) Metal laminate gasket with partial bead section
JPS63158360A (ja) 内燃機関用金属ガスケツト
JPH11118038A (ja) 金属製ガスケット
EP1528246A2 (en) Cylinder head gasket
JPH109392A (ja) 金属製ガスケット
JP4127726B2 (ja) シリンダヘッドガスケット
US20070252339A1 (en) Cylinder head gasket
JP4056503B2 (ja) 金属ガスケット
JP2527102Y2 (ja) 金属ガスケット
US5794945A (en) Metal gasket
JP2527099Y2 (ja) 内燃機関用金属ガスケット
JP2844500B2 (ja) 金属製ガスケット
US20040212155A1 (en) Cylinder head gasket with fold-over stopper
JP2930779B2 (ja) 金属製ガスケット
JPH04248070A (ja) 金属ガスケット
JP2789798B2 (ja) 金属製シリンダヘッドガスケット
JP3086008B2 (ja) 金属製ガスケット
JP2002005292A (ja) 金属ガスケット
JP3343468B2 (ja) 金属製ガスケット

Legal Events

Date Code Title Description
EXPY Cancellation because of completion of term