JP3054449B2 - 高速増殖炉 - Google Patents

高速増殖炉

Info

Publication number
JP3054449B2
JP3054449B2 JP3036241A JP3624191A JP3054449B2 JP 3054449 B2 JP3054449 B2 JP 3054449B2 JP 3036241 A JP3036241 A JP 3036241A JP 3624191 A JP3624191 A JP 3624191A JP 3054449 B2 JP3054449 B2 JP 3054449B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
core
region
fuel
enrichment
fast breeder
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP3036241A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH04274798A (ja
Inventor
正俊 川島
和夫 有江
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP3036241A priority Critical patent/JP3054449B2/ja
Publication of JPH04274798A publication Critical patent/JPH04274798A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3054449B2 publication Critical patent/JP3054449B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E30/00Energy generation of nuclear origin
    • Y02E30/30Nuclear fission reactors

Landscapes

  • Structure Of Emergency Protection For Nuclear Reactors (AREA)
  • Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】〔発明の目的〕
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は原子力発電を目的とした
高速増殖炉に係り、特に炉心内の燃料物質の配置構成を
改良した高速増殖炉に関する。
【0003】
【従来の技術】一般に、液体金属としてナトリウムを冷
却材とする高速増殖炉においては、何等かの原因により
冷却材流量の減少が生じると、冷却材温度が上昇しその
密度の減少により反応度が投入される。この反応度は原
子炉の出力規模に依存し、小型炉では負であるが中型炉
・大型炉では冷却材密度の減少により炉心出力を上昇さ
せることとなり、万一制御棒による炉停止が行われない
場合には炉心の損傷を招く事故に進展する可能性があ
る。
【0004】このナトリウムによる正の反応度は中性子
もれの増大や中性子スペクトルの軟化により低減できる
ことから、従来より炉心内に中性子吸収物質を装荷した
り、炉心高さを低くして偏平化を図って中性子もれを増
大させたり、或いはベリリウムや水素化ジルコニウム等
の中性子減速材を装荷して中性子スペクトルを軟化させ
る等の手段が採られてきた。
【0005】ところで、高速増殖炉の代表的な炉心部の
構成概念を図6に示す。この図6に示すように高速増殖
炉の炉心は炉心領域1とその周囲に径ブランケット領域
2、下部軸ブランケット領域3および上部軸ブランケッ
ト領域4がそれぞれ配置されて構成されている。このブ
ランケット領域2,3,4には燃料核種Pu239 の親物質
U238 が多く含まれている。
【0006】炉心領域1には内側ブランケットが含まれ
る場合もある。高速増殖炉は通常1つまたは複数の燃料
富化度を有する炉心領域から構成される均質炉心と呼ば
れる炉心構成と、炉心領域内にブランケット領域を配置
する非均質炉心がある。増殖比は炉心やブランケット領
域で生成・消滅する燃料物質のバランスで決定され、設
計目標値は出力規模、炉心サイズ、燃料集合体の長さ・
大きさ、燃焼材料の条件または制約を含め燃料サイクル
全体の長期見通し等とともに決定される。
【0007】一方、冷却材ボイド係数の高速炉体系にお
ける反応別要因をみると、冷却材がなくなることで変動
する中性子の“もれ”効果による負の反応度要因と中性
子吸収断面積の低下による正の反応度要因、散乱減速効
果の低下に伴うスペクトル変動の正の反応度要因があ
る。上記中性子減速材を炉心に装荷するのはこの3番目
のスペクトル効果を低減するためである。一般的には中
性子のもれを増加させてボイド効果の負の反応度要因を
増大させることが有効であると考えられてきた。
【0008】そのため、炉心の偏平化がボイド係数の低
減には有効であることが図7に示されている。この結果
より発電用の出力規模を有する炉心では、炉心高さが3
0cm程度まで偏平化しないと、負または1ドル以下とい
う低ボイド炉心にはならない。この場合高速増殖炉の炉
心からの中性子もれは主として軸方向もれとなり、炉心
径方向サイズが増大する。中性子もれの増加は炉心の実
効燃料富化度の増加を必要とし、そのため炉心部の内部
転換比は、図8に示すように低ボイド係数を実現しよう
とすると大幅に低下する。また、この結果を図9に示す
と運転サイクル期間に減少する燃焼反応度が大きくな
る。これらの結果より制御棒の必要本数や炉心サイズの
拡大等の観点から炉心性能に大きな影響を生ずる可能性
があることが判る。
【0009】このような傾向を緩和し、炉心のボイド係
数の低減化との両立を図るための高速増殖炉の炉心設計
例を図10に示す。図10は炉心形状を工夫して100
0MWeクラスの大型高速増殖炉炉心の炉心ボイド係数
を低減させている。この公知例[参考文献:M.M.E
l−Wakil著“Nuclear EnergyCo
nversion”,ANS Textbook,19
82版]はボイド係数の低減のために、前述の反応度変
化要因と関連した典型的な炉心形状である。これらの設
計例では炉心取出燃焼度10万Mwd/t,増殖比が
1.25〜1.57の高性能目標を設定している。図1
0(A)に示す“偏平化炉心(flatcylindr
ical core)”では炉心部ボイド係数は1$
(〜1$)まで、図10(B)に示す炉心中央領域をN
a領域としたアニュラー型炉心ではゼロボイド係数、図
10(C)のパンケーキ型炉心では3$(〜3$)ま
で、図10(D)のモジュラー型炉心構成でも1$まで
のボイド係数であることが報告されている。なお、図1
0(A)においては、高速増殖炉の炉心の炉心領域1の
周囲にブランケット領域5が配置され、図10(B)に
はナトリウム6が収容され、図10(D)ではハニカム
状の反射体7が設けられている。
【0010】これらの炉心の燃料は軸方向に一様な均質
炉心である。炉心部のボイド係数の低減化のために非均
質炉心がある程度の効果があることは知られている。非
均質炉心はブランケット領域を適切に設定することによ
り炉心からの中性子の“もれ”が増大することが主要因
である。しかし、炉心領域を広義にとらえ、炉心燃料領
域の内部を対象とすると均質炉心と本質的には変わらな
い。特に、炉心の出力平坦化のために炉心領域内に内側
ブランケット領域を軸方向に配置する場合は、狭義の炉
心部のボイド係数は低下しても内側ブランケット領域の
ボイド係数が大きくなるので、全体としては均質炉心と
同様になる。非均質炉心の延長として内側ブランケット
領域を大きくとり、炉心燃料領域を分割する場合にはボ
イド係数が低減する。
【0011】この場合の炉心設計への影響については最
近の公開文献例 Proc. of InternalConference on the
Phisics of Reacters;Operation,Design and Computati
on,April 23-27,1990, マルセーユ,フランス,P11〜1
9,R.N.Hil and H.Khalil “An Elevation of LMR Des
ign Options for Reduction of Sodium Void Worth ”
に記載されているように炉心の中性子的な結合度(coupl
ing)が減少し、炉心への何等かの原因による外乱による
中性子束分布の変動が大きくなるという不都合の生ずる
可能性が高いと指摘されている。
【0012】図10(B)に示すアニュラー型炉心の代
わりに炉心中央部でNa/構造材領域により分割した炉
心の例(特開昭50-50595号公報 高速中性子炉)の中で
もボイド係数の低減とその“負”化に効果があることが
述べられている。この公知例では上下分割炉心の径方向
領域に炉心高さを次第に高くしていくことも有効と述べ
られている。但し、炉心の軸方向には燃料富化度分布は
なく一様である。
【0013】また、図11に示すように炉心1周辺のブ
ランケット領域を取去り、ステンレス鋼または中性子吸
収材8を配置し炉心からの中性子“もれ”を大きくし、
且つ燃料体積比を最適化した体系で、増殖比向上のため
に図12に示すように燃料集合体9内に燃料要素9aと
ともに親物質9bを配置する手段もある。燃料要素は例
えば燃料ピン内にMOX型酸化物燃料を、親物質要素9
bはブランケットピン内に原子数密度の大きい金属ウラ
ンを充填した構成となっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
高速増殖炉においては中性子もれや中性子スペクトルの
軟化の工夫を行うことにより、中性子経済が悪化し増殖
特性が低下する。炉心内に中性子吸収物質を装荷する手
段としては、炉心燃料集合体の一部に中性子吸収物質を
含むピン(棒)を配置するか、中性子吸収物質を含むピ
ンのみを配置した集合体を炉心燃料集合体の間に散在さ
せることが考慮されるが、いずれも炉心燃料ピン(棒)
と中性子吸収物質を含むピンとが隣接することとなり、
冷却材ナトリウムボイドによる正の反応度を減少させる
ことはできるものの、通常運転時にも中性子吸収物質に
中性子が無駄に吸収されるため、中性子経済が悪化し増
殖特性が低下する。そのため、増殖特性を可及的に低下
させずにナトリウムによる正の反応度を減少することの
できる工夫が望まれている。
【0015】また、増殖比の他にも径方向炉心サイズの
低減、運転性の確保のために炉心の中性子結合の強いこ
と等はボイド係数の低減とのトレードオフ項目である。
したがって、ボイド係数を低減させるために炉心高さを
30cm程度までの偏平化をしなくてもよい炉心が望まれ
ている。これと同時に燃焼反応度変化の大幅な増大を避
け、炉心サイズの大幅な増大も回避するとともに、炉心
部の集合体発熱は径方向に平坦化し集合体あたりの圧力
損失を低減させることが炉心冷却能力確保の観点から目
標となる。
【0016】本発明は上述した事情を考慮してなされた
もので、冷却材密度減少に伴う正の反応度が小さく、且
つ通常運転時における運転の容易性と増殖特性を確保し
た高速増殖炉を提供することを目的とする。 〔発明の構成〕
【0017】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、本発明に係る高速増殖炉にあっては、請求項1
に記載したように、プルトニウムを主な炉心燃料とし、
液体金属を冷却材とする高速増殖炉において、上記炉心
燃料に軸方向燃料富化度分布を付け、炉心中央部領域の
燃料富化度を軸方向に最大とするとともに炉心上部領域
および炉心下部領域の燃料富化度を前記炉心中央部領域
の燃料富化度より低く設定し、上記炉心の周囲にブラン
ケット領域を設けたものである。
【0018】また、本発明に係る高速増殖炉は、上述し
た課題を解決するために、請求項2に記載したように、
プルトニウムを主な炉心燃料とし、液体金属を冷却材と
する高速増殖炉において、上記炉心燃料が装荷される炉
心内部に炉心領域が形成され、この炉心領域の周囲にブ
ランケット領域を設ける一方、上記炉心領域の炉心燃料
に軸方向燃料富化度分布を付け、炉心領域の軸方向中央
部に形成される燃料富化度の高い高富化度領域に段差を
設け、高富化度領域の炉心軸方向長さを炉心径方向外側
が径方向内側より小さくしたものである。
【0019】さらに、本発明に係る高速増殖炉は、上述
した課題を解決するために、請求項3に記載したよう
に、プルトニウムを主な炉心燃料とし、液体金属を冷却
材とする高速増殖炉において、上記炉心燃料が装荷され
る炉心内部に炉心領域が形成され、この炉心領域を炉心
軸方向上側と下側に分割し、分割された上部および下部
炉心領域に炉心燃料の軸方向燃料富化度分布をそれぞれ
付け、分割された上部および下部炉心領域の軸方向中央
部に燃料富化度の高い高富化度領域をそれぞれ設けたも
のである。
【0020】
【作用】上記の構成を有する本発明においては、大型炉
クラスの出力規模においても炉心内の中性子束勾配を確
保し、冷却材ボイド反応度要因の内、必然的に負となる
中性子“もれ”の項を大きくすることが可能で、ボイド
係数をゼロに近づけることができる。そして、炉心と上
部軸ブランケット領域ボイドに対しては“負”とするこ
とができる。また、炉心は均質型であるので中性子結合
度の観点からもカップリングが強いままであるので、炉
心の運転性の容易さが確保される。炉心周辺にブランケ
ット領域を設置することにより、燃焼反応度減少の増大
を抑制し、且つ増殖比を1.0以上にすることができ
る。
【0021】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。
【0022】図1,2および5において従来の構成と同
一または対応する部分には図6と同一の符号を付して説
明する。
【0023】図1は本発明による高速増殖炉の低ボイド
炉心を示す構成図である。この高速増殖炉の炉心10
は、炉心領域11と、この炉心領域11の周囲に形成さ
れる径ブランケット領域12、上部軸ブランケット領域
13および下部軸ブランケット領域14とから構成さ
れ、径ブランケット領域12の外周側に図示しない中性
子遮蔽領域が形成される。
【0024】炉心領域11は内側炉心領域15と外側
(外周側)炉心領域16とに区画される一方、炉心領域
11の軸方向中央部には炉心軸方向の燃料富化度が高い
高富化度領域17が斜線で示すように横断的に形成され
る。この炉心10はボイド係数の低減のために、軸方向
有効高さが例えば約80cm以下となるように設定された
場合に特に有効な炉心である。
【0025】図1では、高速増殖炉の炉心10におい
て、炉心領域11に配置される炉心燃料に軸方向の燃料
富化度分布を付け、炉心10から軸方向への中性子洩れ
を実効効的に増加させ、同時に燃料の最大許容線出力以
下の条件を満足できるようにしている。
【0026】60万KWeクラスの高速増殖炉の炉心に
適用した例を参照して、炉心の軸方向に燃料の高富化度
領域を設定することが、ボイド係数の低減に有効であ
る。この場合において、高富化度領域の範囲が重要であ
ることを説明する。
【0027】図2は本発明に係る高速増殖炉の第1実施
例における炉心体系を示す炉心構成図を示す。この高速
増殖炉の炉心10は炉心軸方向の有効長さ(アクティブ
長さ)が例えば約45cmのアニュラ型炉心を例示してい
る。
【0028】この炉心10は図2(A)および(B)に
示すように、炉心領域11の周囲に径ブランケット領域
12、上部軸ブランケット領域13および下部軸ブラン
ケット領域14が形成される一方、径ブランケット領域
12の外周側に中性子遮蔽領域20が形成される。上部
軸ブランケット領域13および下部軸ブランケット領域
14は軸方向高さが例えば約30cmである。
【0029】炉心領域11の中央部には、ステンレス鋼
等の構造材を装荷した構造材集合体領域21と、この外
周側にボロンカ―バイド(B4 C)やハフニウム(H
f)等の中性子吸収体を装荷した中性子吸収集合体領域
22と、この中性子吸収集合体領域22の外周側に配列
された内側ブランケット領域23と、この外周側に装荷
された炉心燃料領域24とから形成される。炉心燃料領
域24に装荷された燃料集合体25間に、多数本の制御
棒26が出し入れ自在に挿入される。制御棒26は炉心
上部からの出し入れにより、高速増殖炉の運転における
起動・停止や炉出力の調整を行なっている。アニュラ型
炉心10は、制御棒26の配置を含めて径方向の炉出力
の平坦化を図っている。
【0030】図2に示すアニュラ型炉心10の炉心燃料
領域24に配置される燃料集合体25は1種類である
が、径方向に複数種の燃料集合体を装荷して炉心径方向
の炉出力の平坦化を一段と図るようにしてもよい。炉心
燃料領域24は図2(B)に示すうに炉心軸方向に沿っ
て高位置部a、中央(中間)位置部bおよび低位置部c
に燃料富化度が区分される。
【0031】炉心燃料領域24の周囲に形成される径ブ
ランケット領域12には、径ブランケット集合体27が
周方向に沿って例えば1列に列状に配置される。このア
ニュラ型炉心10は全体としてボイド係数の低減のため
に偏平化している。
【0032】この炉心10の炉心燃料領域24に装荷さ
れる燃料の燃料体積比は約38%(スメア密度)、径ブ
ランケット集合体27の燃料体積比は約50%である。
この計算例はU−Pu−10%Zr金属燃料を例としてい
るが、酸化物燃料についても適用することができる。
【0033】炉心10の軸方向の出力ピーキング係数を
増大させるということは、軸方向に燃料の富化度分布
a,b,cを設定することによるボイド係数低減化への
メリットを調べる。ここで、ボイド係数としては炉心領
域11とその上部軸ブランケット領域13の範囲の冷却
材が喪失した場合を対象とし、制御棒チャンネルの冷却
材喪失は想定せず、燃料の高富化度は30%とした。
【0034】炉心燃料領域24の高富化度燃料領域aの
位置と幅を変動させた場合の特性は、平衡サイクル末期
(定格出力運転時)の炉心の余剰反応度が0.2 %ΔKと
なるように低富化度領域のPu富化度を調整したもので
ある。また、出力ピーキング係数への影響はサイクル初
期の値の変動割合を調べた。
【0035】図3には炉心10の軸方向レベルを炉心領
域11の炉心燃料領域24を1/3づつ区切り、低位置
L、中央位置M、高位置Hのサイクル末期の炉心/上部
軸ブランケットのボイド係数の変化(曲線dで示す。)
を調べた結果である。符号eで示す燃料の富化度を軸方
向に一様にした炉心との比較で示した。図3から炉心中
央付近に燃料の高富化度領域を設定する場合が顕著な効
果が有することが判る。すなわち、炉心軸方向に沿って
区分される領域a,b,cのうち、中央位置部bを高富
化度領域、高位置部aおよび低位置部cを低富化度領域
とすることが好適である。したがって、ボイド係数低減
のために燃料、特にPuの高富化度領域を設定すること
は大いに意義のあることである。符号fはサイクル初期
の炉心ピーキング係数の増加割合を示すものである。
【0036】次に、炉心中央付近に設定する高富化度領
域bの幅を最適化するために炉心軸方向高さ中心面の上
下に合計で10〜30cm幅で変化させた場合のボイド
係数と出力ピーキング係数との関係を図4に示す。この
図4(A)によれば、高富化度領域幅0および45cm
の場合は炉心のサイクル末期の余剰反応度を同一とする
観点から同一体系となる。そして、高富化度領域の厚さ
は中性子の炉心領域の平均自由行程(mfp)単位で約
(1〜2)mfp(約15〜35cm)としている。符
号gはサイクル末期におけるボイド係数の変化割合を示
し、符号hはサイクル初期における炉心ピーキング係数
の増加割合を示すものである。すなわち、図4(B)に
示すように高富化度領域の幅bとしては15〜40cm
程度の範囲でボイド係数低減に顕著な効果があり、出力
ピーキング係数増大についても若干の炉心サイズの増大
があるものの、運転性の点からも許容できる範囲である
ことが判る。
【0037】この炉心は運転サイクル長さ1年、3バッ
チ交換炉心で増殖比1.0の例である。燃料/ブランケ
ット領域の燃料体積比を調整することにより増殖比1.
05としても炉心ボイド50¢、上部軸ブランケットまで
のボイドが“負”となる炉心(図5に示す)となる。
【0038】図5は本発明の第2実施例を示し、前記第
1実施例と同一の部分には同一の符号を付して説明す
る。図5(A)は燃料領域の内側にブランケット領域を
設けない炉心配置構成の例であって、図5(B)は炉心
10内部の炉心領域11内において高富化度領域bの高
さに段差を設けたものである。また、図5(C)は炉心
10の炉心領域11内を多段化するように中性子吸収体
30で炉心軸方向に2分割して上部炉心領域31と下部
炉心領域32とし、炉心モジュールの一部または全モジ
ュールに適用した例である。そして、中性子吸収体30
の上下にはブランケットまたは炉心領域33が設けられ
ている。なお、図5(A),(B),(C)において斜
線部が燃料の高富化度領域bを示している。
【0039】このうち、図5(B)は、炉心燃料が装荷
される炉心領域11の周囲にブランケット領域(径ブラ
ンケット領域12、下部軸ブランケット領域13および
上部軸ブランケット領域14)が設けられる。炉心領域
11の炉心燃料には、軸方向燃料富化度分布が付けられ
る。炉心領域11の軸方向中央部に燃料富化度の高い高
富化度領域bが形成される。高富化度領域bは、炉心径
方向外側が径方向内側より炉心軸方向長さが小さくなる
ように段差が設けられる。
【0040】また、図5(C)は、図5(B)と同様、
炉心燃料が装荷される炉心領域11の周囲にブランケッ
ト領域(径ブランケット領域12、下部軸ブランケット
領域13および上部軸ブランケット領域14)が設けら
れる。炉心領域11は中性子吸収体30を介して炉心軸
方向に2分割され、分割された上部および下部炉心領域
31,32に炉心燃料の軸方向富化度分布をそれぞれ付
けたものである。分割された上部および下部炉心領域3
1,32の軸方向中央部に燃料富化度の高い高富化度領
域がそれぞれ設けられる。
【0041】図5(A),(B)および(C)にら示さ
れた高速増殖炉の実施例でも前記第1実施例と同様な作
用・効果が得られる。
【0042】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
炉心領域のボイド係数を有効的に低下させて増殖特性の
劣化を回避し、かつ冷却材による正の反応度を大幅に低
減させることができ、炉心の中性子結合度の低下を招く
非均質炉心の配置構成を採用しなくても、運転性も損な
わない安全な高速増殖炉を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高速増殖炉の低ボイド炉心構成を
示す概略図。
【図2】(A),(B)は本発明に係る高速増殖炉の第
1実施例を示す炉心構成の平断面図および概略図。
【図3】ボイド反応度と高富化度領域配置の効果の関係
を示すグラフ図。
【図4】(A)および(B)はボイド反応度と高富化度
領域幅の効果の関係を示すグラフ図および炉心の軸方向
領域を示す図。
【図5】(A),(B),(C)はそれぞれ本発明に係
る高速増殖炉の第2実施例を示す概略図。
【図6】従来の高速増殖炉において炉心およびブランケ
ットの配置を示す概略図。
【図7】均質大型炉心における炉心高さとNaボイド反
応度の関係を示すグラフ図。
【図8】Pu利用高速炉の炉心ボイド係数と内部転換比
の傾向を示すグラフ図。
【図9】Pu利用高速炉の炉心ボイド係数と燃焼反応度
減少量の関係を示すグラフ図。
【図10】(A),(B),(C),(D)は従来の低
ボイド炉心を示す概略図。
【図11】従来の他の低ボイド炉心を示す概略図。
【図12】図11の炉心に装荷される燃料集合体の平断
面図。
【符号の説明】
10 炉心 11 炉心領域 12 径ブランケット領域 13 上部軸ブランケット領域 14 下部軸ブランケット領域 15 内側炉心領域 16 外側炉心領域 20 中性子遮蔽領域 21 構造材集合体領域 22 中性子吸収集合体領域 23 内側ブランケット領域 24 炉心燃料領域 30 中性子吸収体 31 上部炉心領域 32 下部炉心領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G21C 5/00 G21C 3/30 G21C 5/20 G21C 3/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】プルトニウムを主な炉心燃料とし、液体金
    属を冷却材とする高速増殖炉において、上記炉心燃料に
    軸方向燃料富化度分布を付け、炉心中央部領域の燃料富
    化度を軸方向に最大とするとともに炉心上部領域および
    炉心下部領域の燃料富化度を前記炉心中央部領域の燃料
    富化度より低く設定し、上記炉心の周囲にブランケット
    領域を設けたことを特徴とする高速増殖炉。
  2. 【請求項2】 プルトニウムを主な炉心燃料とし、液体
    金属を冷却材とする高速増殖炉において、上記炉心燃料
    が装荷される炉心内部に炉心領域が形成され、この炉心
    領域の周囲にブランケット領域を設ける一方、上記炉心
    領域の炉心燃料に軸方向燃料富化度分布を付け、炉心領
    域の軸方向中央部に形成される燃料富化度の高い高富化
    度領域に段差を設け、高富化度領域の炉心軸方向長さを
    炉心径方向外側が径方向内側より小さくしたことを特徴
    とする高速増殖炉。
  3. 【請求項3】 プルトニウムを主な炉心燃料とし、液体
    金属を冷却材とする高速増殖炉において、上記炉心燃料
    が装荷される炉心内部に炉心領域が形成され、この炉心
    領域を炉心軸方向上側と下側に分割し、分割された上部
    および下部炉心領域に炉心燃料の軸方向燃料富化度分布
    をそれぞれ付け、分割された上部および下部炉心領域の
    軸方向中央部に燃料富化度の高い高富化度領域をそれぞ
    れ設けたことを特徴とする高速増殖炉。
JP3036241A 1991-03-01 1991-03-01 高速増殖炉 Expired - Fee Related JP3054449B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3036241A JP3054449B2 (ja) 1991-03-01 1991-03-01 高速増殖炉

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP3036241A JP3054449B2 (ja) 1991-03-01 1991-03-01 高速増殖炉

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH04274798A JPH04274798A (ja) 1992-09-30
JP3054449B2 true JP3054449B2 (ja) 2000-06-19

Family

ID=12464278

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP3036241A Expired - Fee Related JP3054449B2 (ja) 1991-03-01 1991-03-01 高速増殖炉

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3054449B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5838511B2 (ja) * 2014-03-25 2016-01-06 株式会社 シー・アール・ワイ 原子炉

Also Published As

Publication number Publication date
JPH04274798A (ja) 1992-09-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20210398700A1 (en) Fuel assembly
EP1085525B1 (en) Light water reactor core and fuel assembly
US5349618A (en) BWR fuel assembly having oxide and hydride fuel
JP3037717B2 (ja) 原子炉の燃料集合体
US3260649A (en) Nuclear reactor
JP2573399B2 (ja) 燃料集合体
US4689195A (en) Fuel assembly
JP3054449B2 (ja) 高速増殖炉
JP3241071B2 (ja) 軽水炉炉心
US11398315B2 (en) Fuel element, fuel assembly, and core
US20240013935A1 (en) Core of Fast Reactor
JPS60201284A (ja) 燃料集合体
JPH07311291A (ja) 燃料集合体
JPH0631744B2 (ja) 沸騰水型原子炉
JP2610254B2 (ja) 沸騰水型原子炉
JP3075749B2 (ja) 沸騰水型原子炉
JP3485956B2 (ja) 原子炉炉心およびその燃料集合体
JP3916807B2 (ja) Mox燃料集合体
AU2017213437B2 (en) Fuel Assembly
JP3318210B2 (ja) Mox燃料集合体及び炉心
JPH0634779A (ja) 軽水炉用燃料集合体及び軽水炉炉心
JP3943624B2 (ja) 燃料集合体
JPH07234295A (ja) 原子炉炉心
Lee et al. Conceptual design of PFBR core
JP2502173B2 (ja) 高速炉炉心

Legal Events

Date Code Title Description
LAPS Cancellation because of no payment of annual fees