JP3054009U - 耐水性印刷物、半耐水性印刷物および耐水性印刷物用受像シート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】インクジェットプリンタの画像出力を用いても
長期の防水効果がある。生産性を向上させ、品質の安定
化を図ることができる。 【解決手段】両面粘着防水フィルム８と受像層４と透明
防水フィルム６とから成る。受像層４は少なくとも一方
の面にインク画像５を有する。受像層４は防水性粘着剤
層９ａを介して他方の面が両面粘着防水フィルム８の一
方の面に接着される。透明防水フィルム６は防水性粘着
剤層７を介して受像層４の一方の面に接着される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

本考案は、インクジェットプリンタ等を利用して製作可能な耐水性印刷物、そ の耐水性印刷物に加工可能な半耐水性印刷物およびその耐水性印刷物に適した耐 水性印刷物用受像シートに関する。

【０００２】

【従来の技術】

近年、パーソナルコンピュータ、インクジェットプリンタ等の高度化、低価格 化により屋外看板製作は、インクジェットプリンタを用いた画像出力による製作 が主流になりつつある。しかしながら、現行のインクジェットプリンタ用の受像 紙は、疎水性のプラスチックフィルム基材の上に親水性のインク受像層を形成し て成るため、フィルム基材は吸水、吸湿せず変化しないが、受像層が吸水、吸湿 して膨潤、収縮する。このため、現行のインクジェットプリンタで出力された印 刷物は、耐水性に欠け、特に、屋外使用の場合、施工後の印刷物の端面からの吸 水、吸湿によりプラスチックフィルム基材とインク受像層との剥離を生じるとい う問題がある。

【０００３】 そこで、従来、防水対策として、印刷物に表面ラミネート加工を施し、さらに 印刷物の外周端面の有機溶媒系シーラー塗布や、外周端面の防水テープによる２ 重張り加工を施工時の後加工として行っている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、インクジェットプリンタによる従来の耐水性印刷物は、外周端 面のみの防水加工のため、防水効果が一時的であり、また、加工が完全に手作業 のため、生産性が低いうえ、品質にばらつきが出るという問題点があった。

【０００５】 本考案は、このような従来の問題点に着目してなされたもので、インクジェッ トプリンタの画像出力を用いても長期の防水効果があり、また、生産性を向上さ せ、品質の安定化を図ることが可能な耐水性印刷物、その耐水性印刷物に加工可 能な半耐水性印刷物およびその耐水性印刷物に適した耐水性印刷物用受像シート を提供することを目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案に係る耐水性印刷物は、両面粘着防水フィ ルムと、少なくとも一方の面にインク画像を有し他方の面が前記両面粘着防水フ ィルムの一方の面に防水性粘着剤で接着された受像層と、前記受像層の前記一方 の面に防水性粘着剤で接着された透明防水フィルムとを、有することを特徴とす る。

【０００７】 両面粘着防水フィルムには、ＰＥＴ、ＰＶＣまたはＰＰ等のプラスチックフィ ルムの両面に粘着剤層を設けて成るものが好ましい。この場合、両面粘着防水フ ィルムの少なくとも一方の面の粘着剤層は、防水性粘着剤から成る。両面粘着防 水フィルムの受像層と反対側の面には、剥離シートが剥離可能に張り付けられて いることが好ましい。受像層には、無機フィラーを含む吸水性ポリマーから成る ものがインクジェットプリンタの画像出力に適するため好ましい。インク画像は 、水性インクから成っても油性インクから成ってもよい。受像層には、疎水性の プラスチックフィルムから成る基材シートの上に親水性の受像層を形成して成る インクジェットプリンタ用の受像シートを用いて、インクジェットプリンタでイ ンク画像を形成後、受像層を透明防水フィルムに接着させてから、基材シートを 剥離させたものが好ましい。透明防水フィルムは、少なくとも一部が透明であれ ば、不透明部分または半透明部分を有していてもよい。

【０００８】 本考案に係る耐水性印刷物は、両面粘着防水フィルムの受像層と反対側の面を 施工箇所に接着して使用される。受像層は、両面が防水性粘着剤で透明防水フィ ルムおよび両面粘着防水フィルムに接着され、これらで覆われているため、吸水 、吸湿が防止されている。このため、受像層に、疎水性のプラスチックフィルム から成る基材シートの上に親水性の受像層を形成して成るインクジェットプリン タ用の受像シートの受像層を用いた場合にも、耐水性を有し、屋外で使用すると き受像層の吸水、吸湿を防止し、受像層が剥離しにくい。本考案に係る耐水性印 刷物は、両面粘着防水フィルムと受像層と透明防水フィルムとの接着により製造 可能なため、製造工程の機械化が容易である。

【０００９】 本考案に係る半耐水性印刷物は、基材シートと、少なくとも一方の面にインク 画像を有し他方の面が前記基材シートの一方の面に剥離可能に張り付けられた受 像層と、前記受像層の前記一方の面に防水性粘着剤で接着された透明防水フィル ムとを、有することを特徴とする。

【００１０】 基材シートには、受像層を剥離可能に加工されているものが好ましい。受像層 には、無機フィラーを含む吸水性ポリマーから成るものがインクジェットプリン タの画像出力に適するため好ましい。インク画像は、水性インクから成っても油 性インクから成ってもよい。基材シートおよび受像層は、疎水性のプラスチック フィルムから成る基材シートの上に親水性の受像層を形成して成るインクジェッ トプリンタ用の受像シートを用いて、インクジェットプリンタでインク画像を形 成したものが好ましい。透明防水フィルムは、少なくとも一部が透明であれば、 不透明部分または半透明部分を有していてもよい。

【００１１】 本考案に係る半耐水性印刷物は、基材シートを受像層から剥離し、受像層の剥 離した面に両面粘着防水フィルムを防水性粘着剤で接着させて、両面粘着防水フ ィルムの反対側の面を施工箇所に接着して使用される。使用の際、受像層は、両 面が防水性粘着剤で透明防水フィルムおよび両面粘着防水フィルムに接着され、 これらで覆われることにより、吸水、吸湿が防止される。基材シートおよび受像 層に、疎水性のプラスチックフィルムから成る基材シートの上に親水性の受像層 を形成して成るインクジェットプリンタ用の受像シートを用いた場合にも、基材 シートを受像層から剥離し、受像層の剥離した面に両面粘着防水フィルムを防水 性粘着剤で接着させて使用することにより、耐水性を有し、屋外で使用するとき 受像層の吸水、吸湿を防止し、受像層が剥離しにくい。本考案に係る半耐水性印 刷物は、基材シートと受像層と透明防水フィルムとの接着により製造可能なため 、製造工程の機械化が容易である。

【００１２】 本考案に係る耐水性印刷物用受像シートは、透明防水フィルムと、一方の面か ら他方の面までインクが浸透可能な浸透性を有し前記透明防水フィルムの一方の 面に防水性粘着剤で接着された受像層とを、有することを特徴とする。

【００１３】 本考案に係る耐水性印刷物用受像シートは、インクジェットプリンタを用いて 受像層に画像を印刷するのに適している。この耐水性印刷物用受像シートは、受 像層にインク画像を形成したならば、受像層に両面粘着防水フィルムを防水性粘 着剤で接着させて、両面粘着防水フィルムの反対側の面を施工箇所に接着して使 用される。使用の際、受像層は、両面が防水性粘着剤で透明防水フィルムおよび 両面粘着防水フィルムに接着され、これらで覆われることにより、吸水、吸湿を 防止して耐水性を有し、受像層が剥離しにくい。本考案に係る耐水性印刷物用受 像シートは、受像層と透明防水フィルムとの接着により製造可能なため、製造工 程の機械化が容易である。

【００１４】

【考案の実施の形態】

以下、図面に基づき本考案の実施の第１および第２形態について説明する。 図１は、本考案の実施の第１形態を示している。 耐水性印刷物１は、図１（Ａ）〜（Ｄ）に示す工程で製造される。まず、図１ （Ａ）に示すように、インクジェットプリンタ用の受像シート２が基材シート３ の一方の面に受像層４を形成して成る。基材シート３は、疎水性のプラスチック フィルムから成り、剥離性を有する。受像層４は、無機フィラーを含む吸水性ポ リマーから成る。受像層４は、基材シート３に剥離可能に張り付けられている。 受像シート２には、インクジェットプリンタを用いて、受像層４の一方の面から 他方の面まで浸透するようインク画像５が印刷される。インク画像５は、水性イ ンクにより形成される。

【００１５】 次に、図１（Ｂ）に示すように、受像層４の基材シート３と反対側の面に、透 明防水フィルム６が接着される。透明防水フィルム６は、一方の面全体に厚さ３ ０〜１００ミクロンの防水性粘着剤層７を有しており、その防水性粘着剤層７で 受像層４に接着される。防水性粘着剤層７は、親油性の粘着剤から成る。図１（ Ｂ）に示す構成は、半耐水性印刷物１ａを構成する。透明防水フィルム６の接着 後、図１（Ｃ）に示すように、受像層４から基材シート３を剥離し、透明防水フ ィルム６に受像層４を転写する。

【００１６】 受像層４の転写後、図１（Ｄ）に示すように、受像層４の透明防水フィルム６ と反対側の面に両面粘着防水フィルム８を接着する。両面粘着防水フィルム８は 、ＰＥＴ、ＰＶＣまたはＰＰ等のプラスチックフィルムの両面全体にそれぞれ厚 さ３０〜１００ミクロンの防水性粘着剤層９ａ，９ｂを設けて成り、その防水性 粘着剤層９ａで受像層４に接着される。こうして、耐水性印刷物１が製造される 。

【００１７】 次に、作用について説明する。 図１（Ｄ）に示す耐水性印刷物１は、両面粘着防水フィルム８の受像層４と反 対側の面を防水性粘着剤層９ｂで施工箇所に接着して使用される。耐水性印刷物 １は、完成品として流通するほか、図１（Ｂ）に示す半耐水性印刷物１ａで流通 させ、施工する際に両面粘着防水フィルム８を接着し、耐水性印刷物１を完成さ せて使用してもよい。耐水性印刷物１の受像層４は、両面が防水性粘着剤層７， ９ａで透明防水フィルム６および両面粘着防水フィルム８に接着され、これらで 覆われているため、吸水、吸湿が防止されている。このため、受像層４に、疎水 性のプラスチックフィルムから成る基材シート３の上に親水性の受像層４を形成 して成るインクジェットプリンタ用の受像シート２の受像層を用いていても、耐 水性を有し、屋外で使用するとき受像層４の吸水、吸湿を防止し、受像層４が剥 離しにくい。耐水性印刷物１は、端面が濡れて吸水、吸湿にさらされても、防水 性粘着剤層７，９ａにより完全に密封、固着されており、膨潤、収縮は発生しな い。さらに、防水性粘着剤層７，９ａは、受像層４を密封、固着して、受像層４ への空気の侵入を防ぎ、受像層４の吸水性ポリマーの酸化劣化を防止する。

【００１８】 このように、耐水性印刷物１は、受像層４の両面が防水性粘着剤層７，９ａで 覆われ、その両面に透明防水フィルム６および両面粘着防水フィルム８が接着さ れているので、インクジェットプリンタの画像出力を用いても長期の防水効果が あり、屋外での長期の使用に耐えるものである。従来、インクジェットプリンタ の画像出力は屋外用には向かなかったが、耐水性印刷物１は屋内および屋外、両 方のサインに適しており、インクジェットプリンタの使用範囲を拡大するもので ある。すなわち、耐水性印刷物１は、交通標識、案内表示板、屋外長期看板、店 頭シャッター、車用マーキング、その他の用途に用いることができる。

【００１９】 また、従来の印刷物では、有機溶媒系シーラー塗布や、外周端面の防水テープ による２重張り加工を施して防水対策をしており、手作業のために生産性が低く 、品質にばらつきが出ていた。これに対し、耐水性印刷物１は、両面粘着防水フ ィルム８と受像層４と透明防水フィルム６との接着および基材シート３の剥離に より製造可能なため、全製造工程の機械化が容易であり、機械化により製造工程 を大幅に削減し、生産性を向上させ、品質の安定化を図ることができる。また、 防水対策に有機溶媒系シーラーを使用せずに済むため、作業環境の改善が可能と なる。

【００２０】 次に、本考案の実施の第２形態について説明する。 図２は、本考案の実施の第２形態を示している。 図２に示すように、耐水性印刷物用受像シート１０は、透明防水フィルム１１ と受像層１２とから成っている。透明防水フィルム１１は、一方の面全体に厚さ ３０〜１００ミクロンの防水性粘着剤層１３を有している。防水性粘着剤層１３ は、親油性の粘着剤から成る。受像層１２は、無機フィラーを含む吸水性ポリマ ーから成る。受像層１２は、一方の面から他方の面までインクが浸透可能な浸透 性を有し透明防水フィルム１１の一方の面に防水性粘着剤層１３で接着されてい る。

【００２１】 図２に示す耐水性印刷物用受像シート１０は、インクジェットプリンタを用い て受像層１２に画像を印刷するのに適している。インク画像１４は、受像層１２ の一方の面から透明防水フィルム１１の側の他方の面まで浸透するよう印刷され る。この耐水性印刷物用受像シート１０は、受像層１２にインク画像１４を形成 したならば、受像層１２に防水性粘着剤層１３で両面粘着防水フィルム（図１（ Ｄ）参照）を接着させて、両面粘着防水フィルムの反対側の面を施工箇所に接着 し、耐水性印刷物として使用される。使用の際、受像層１２は、両面が防水性粘 着剤層１３で両面粘着防水フィルムおよび透明防水フィルム１１に接着され、こ れらで覆われるため、吸水、吸湿を防止して耐水性を有し、屋外で使用しても受 像層１２が剥離しにくい。また、防水性粘着剤層１３は、受像層１２を密封、固 着して、受像層１２への空気の侵入を防ぎ、受像層１２の吸水性ポリマーの酸化 劣化を防止する。

【００２２】

【考案の効果】

本考案に係る耐水性印刷物、半耐水性印刷物および耐水性印刷物用受像シート によれば、受像層の両面に両面粘着防水フィルムおよび透明防水フィルムを防水 性粘着剤で接着して使用可能なので、インクジェットプリンタの画像出力を用い ても長期の防水効果があり、また、製造工程の機械化が容易なので、機械化によ り生産性を向上させ、品質の安定化を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施の第１形態の耐水性印刷物の製造
工程を示す説明図である。

【図２】本考案の実施の第２形態の耐水性印刷物用受像
シートを示す断面図である。

【符号の説明】

１ 耐水性印刷物 １ａ 半耐水性印刷物 ２ 受像シート ３ 基材シート ４ 受像層 ５ インク画像 ６ 透明防水フィルム ７ 防水性粘着剤層 ８ 両面粘着防水フィルム ９ａ，９ｂ 防水性粘着剤層 １０ 耐水性印刷物用受像シート １１ 透明防水フィルム １２ 受像層 １３ 防水性粘着剤層 １４ インク画像

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】両面粘着防水フィルムと、少なくとも一方
   の面にインク画像を有し他方の面が前記両面粘着防水フ
   ィルムの一方の面に防水性粘着剤で接着された受像層
   と、前記受像層の前記一方の面に防水性粘着剤で接着さ
   れた透明防水フィルムとを、有することを特徴とする耐
   水性印刷物。
2. 【請求項２】基材シートと、少なくとも一方の面にイン
   ク画像を有し他方の面が前記基材シートの一方の面に剥
   離可能に張り付けられた受像層と、前記受像層の前記一
   方の面に防水性粘着剤で接着された透明防水フィルムと
   を、有することを特徴とする半耐水性印刷物。
3. 【請求項３】透明防水フィルムと、一方の面から他方の
   面までインクが浸透可能な浸透性を有し前記透明防水フ
   ィルムの一方の面に防水性粘着剤で接着された受像層と
   を、有することを特徴とする耐水性印刷物用受像シー
   ト。