JP3053404B2 - 全固体リチウム二次電池 - Google Patents

全固体リチウム二次電池

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JP3053404B2 JP1028317A JP2831789A JP3053404B2 JP 3053404 B2 JP3053404 B2 JP 3053404B2 JP 1028317 A JP1028317 A JP 1028317A JP 2831789 A JP2831789 A JP 2831789A JP 3053404 B2 JP3053404 B2 JP 3053404B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は新規な全固体二次電池に関するものであり、
溶媒を含まず、高温から低温までの広い温度範囲で使用
できる充放電特性に優れた全固体二次電池に関するもの
である。
(従来の技術) 近年、高エネルギー密度、高電圧の電池としてリチウ
ム電池が盛んに使用されている。これは、正極に二酸化
マンガンや弗化黒鉛を用い、負極にリチウムを使用した
ものであり、3V以上の高い電圧が得られる。しかし、こ
れらは一次電池であり、充電はできない。
一方、充電の可能なリチウム二次電池は、高エネルギ
ー密度、高電圧、多数回の放電が可能であるため、その
利点は多く、各方面で盛んに研究されているが、未だ十
分使用に耐える電池は得られていない。これら開発中の
二次電池は、正極活物質として、MoS2,TiS2等の遷移金
属カルコゲン化合物、MnO2,Cr3O8,V2O5等の酸化物等
を用い、負極活物質としては、リチウム、リチウム・ア
ルミニウム合金等を使用し、そして電解液としては、プ
ロピレンカーボネート,1,2−ジメトキシエタンのような
非プロトン系有機溶媒に、LiClO4,LiBF4のような電解
質を溶解したもの等が提案されている。これらの二次電
池の開発が不十分な原因としては次の問題点を挙げるこ
とができる。
第1の問題点は、電解液に用いている有機溶媒に起因
するものである。即ち、現在多用されている非プロトン
系溶媒は、低沸点、可燃性のものが多く、液漏れ或いは
破損による周辺部材の汚損、引火、発火並びに誤使用、
過充電による爆裂の危険性を有している。更に充放電の
繰り返しにより、負極上に電析される金属リチウムがデ
ンドライド状となり、徐々に成長し、最後には正極に達
して短絡するという問題である。
第2の問題点は、正極活物質に上記のようなカルコゲ
ン化合物、酸化物等の結晶質物質を使用することに基づ
く問題である。即ち、一般に結晶質物質は放電に伴うLi
イオンの結晶格子中への浸入により、結晶構造が崩れ、
本来の結晶としての特性が維持できない。そして、これ
は特にLiイオン量の浸入が多い放電深度の深い場合に顕
著であり、深い放電を繰り返すと数回で電池容量が大幅
に低下し、実用に耐えなくなるという問題である。
これらのうち、第1の問題点を解決するために、セク
エリアら〔エクステンデイド・アブストラクツ,163回ミ
ーテイング、エレクトロケミカル・ソサエテイ(Sequli
r et al,Extended Abstracts,163rd Meeting,Electroch
emical Society),1983年,83,751アブストラクト(Abst
ract),第493号〕は、溶媒を含まない薄膜ポリマー電
解質による新規な電池を記載しているが、該電解質のテ
ストの結果は、約100℃の媒体温度で用いることができ
る旨の記載しかなく、室温では成し得ていない。又ピー
・エム・ブロンスキーらはジヤーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカル・ソサエティ第106巻,6854頁1984年(P.M.
Blonsky et al,J.Am.Chem.Soc.,106,6854,1984)に電気
化学電池用電解質として、ポリホスフアゼン(MEEP)が
有用であると記述している。しかしながら、彼等は30℃
〜97℃の範囲で交流電導度のデータを示しているに過ぎ
ず、直流での充放電は成し得ていない。
又第2の問題点を解決するため、正極活物質としてV2
O5にP2O5を加え、溶融、急冷した非晶質物質を用いるこ
とが、特開昭61−116758号に提案されている。しかし、
ここで提案されている電池も上記の問題点を完全に解消
したものとは言えず、しかも第1の問題点は依然として
解決していない。
又、特願昭62−1028号には、第1及び第2の問題点を
解決する方法として電解質にオリゴエチレンオキシポリ
ホスフアゼンを使用し、正極活物質として層状のV2O5
用いる電池が提案されているが、耐過放電性、充放電特
性とも十分ではない。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、デンドライトの生成と液漏れを本質
的に排除し、加えて難燃性と低蒸気圧の特徴から引火性
がなく、爆裂等に対する安全性に優れ、かつ耐過放電性
にも優れた、充放電サイクル寿命の長い全固体二次電池
を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明は一般式 (V2O5)x・(A)y・zH2O (ここで、x+y=1,0<y≦0.5,z=0.1〜1.6,AはGe
O2,SiO2,B2O3,MoO3,WO3,Nb2O5,TeO2,Bi2O3,Cr3
O8及びZrO2から選ばれる1種以上の酸化物を示す。)で
表わされる層状構造酸化物を正極活物質とし、リチウム
或いはリチウム合金を負極活物質とし、次式(I)で示
されるポリマーにリチウム塩を溶解させたものを電解質
とする全固体リチウム二次電池に係る。
(但し、mはエチレンオキシ単位の平均の繰り返し数を
意味し、1〜20の実数値である。又nは平均の繰り返し
数で3≦n≦200000の範囲の実数値をとるものであ
る。) 本発明において用いられる正極活物質は一般式 (V2O5)x・(A)y・zH2O (ここで、x+y=1,0<y≦0.5,z=0.1〜1.6,AはGe
O2,SiO2,B2O3,MoO3,WO3,Nb2O5,TeO2,Bi2O3,Cr3
O8及びZrO2から選ばれる1種以上の酸化物を示す。)で
表わされる層状構造酸化物である。ここでV2O5に配合さ
れる酸化物の配合比は0.5以下、望ましくは0.001〜0.3
であり、V2O5単独では耐過放電性が不十分であり、0.5
を越えると放電容量が低下するので好ましくない。V2O5
に他の酸化物を添加して作成した層状構造酸化物が耐過
放電性に優れている理由については十分解明できていな
いが、添加した酸化物がゆるい結合の層状構造酸化物に
対して一種のアンカーの様な役目を果たし、層状構造を
補強するためと考えられる。このため添加する酸化物は
極めて少量でもその効果が認められる。又、zは0.1未
満では結晶化し、1.6を越えると過剰の水分がLiと反応
し、電池の特性を劣化させるので好ましくない。尚、本
発明における層状構造酸化物とは、平坦な基板の上に後
述する方法によつて膜を形成した場合、第1図に示すよ
うなX線回折パターンを示すもので基板に平行な層状の
構造となるものを言う。
このような層状構造酸化物は、常用の方法を適用して
調製することができる。即ち、V2O5と添加する他の酸化
物を所定量比で混合し、得られた混合物を溶融し、この
溶融物を冷却した鋼板や銅製のロールに接触させて急冷
させたものを水に溶解する。又、溶融物を直接水中に投
入して急冷、溶解させてもよい。又、添加する酸化物に
よつてはV2O5のみを上述のような方法で水に溶解した後
に、添加すべき酸化物を直接或いは水溶液として添加溶
解する方法も採用することができる。そして更には、V2
O5のアルコキシドVO(OR)3と添加する酸化物のアルコキ
シドを所定量比に混合後、加水分解して調製することも
できる。又、バナジン酸アンモニウム水溶液等をイオン
交換樹脂で処理し、アンモニウムイオンを除去する方法
でも可能である。このようにして調製した酸化物の水溶
液を乾燥することによつて目的とする層状構造酸化物を
得ることができるが、この乾燥工程においてもスプレー
ドライ法による粉末、スピンコート法による薄膜等、そ
の目的に応じて様々な方法を採用できる。このため、か
かる層状構造酸化物を用いて正極とする場合、上述の水
溶液をニツケル、ステンレス等の電導性支持体上に直接
塗布、乾燥して得た膜を正極としたり、或いは、得られ
た層状構造酸化物粉末に更に導電性を付与するためアセ
チレンブラツク、ケツチエンブラツク、グラフアイトの
ような導電性粉末を混合し、これに更にポリテトラフル
オロエチレン、ポリエチレン、ポリスチレンのような結
合剤粉末を所要に応じて加え、この混合物を混練、成形
して所定厚みのペレツト又はシートとして、ステンレ
ス、ニツケル等の金網等に着設し正極とすることができ
る。
又、この時、結合剤に替えて、或いは結合剤と共に本
発明で使用される電解質を適当量混合し、同じように成
形したり、或いは、層状構造酸化物の水溶液に、かかる
電解質を適当量溶解してから乾燥、成膜、ないしは導電
性粉末等との混合のための乾燥粉末とすることは、リチ
ウムイオンの伝導を促進し、内部抵抗の小さい電池を形
成できるため有益な方法である。
一方、本発明において用いられる負極活物質は、リチ
ウム或いはリチウム合金である。これらを負極とする場
合は、一般に行なわれているようにシート状とし、その
シートをニツケルやステンレス鋼等の導電性網等に圧着
して用いることができる。
更に電解質としては、前記式(I)で示されるポリマ
ーにリチウム塩を溶解した物質を用いる。
ここでmはエチレンオキシ単位の平均の繰り返し数を意
味し、1〜20、望ましくは5〜12であり、このmを適当
に選択することにより高いリチウムイオン伝導が得られ
る。又、nは3≦n≦200000の範囲の実数値をとるもの
であり、このnを選択することによりポリマーの流動
性、機械的性質を調節できるため、その目的に応じた特
性のポリマーとして利用できる。このポリマーは例えば
次のようにして合成される。即ち、ヘキサクロロトリホ
スホニトリルを開環重合して得たジクロロホスホニトリ
ルポリマーに、予め調製しておいたオリゴエチレングリ
コールモノアルキルエーテルのナトリウムアルコラート
を所定量反応させることによる。反応は通常の有機溶
媒、例えば、テトラヒドロフラン、ジグライム等を用い
て、約40℃以下で各成分を混合し、続けて数時間加熱還
流させることにより行うことができる。このポリマーを
電解質として用いる場合、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジメトキシエタン等のエーテル類、アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノー
ル等のアルコール類、アセトニトリル、プロピレンカー
ボネート等の溶媒にポリマーを溶解させた溶液に、リチ
ウム塩の溶媒溶液を添加し、均一に溶解させた後、製膜
して用いることができる。
本発明で用いられるリチウン塩としては、LiClO4,Li
AlCl4,LiBF4,LiCl,LiPF6,LiAsF6,CF3SO3Li等から選
ばれる一種以上の塩が好適に利用される。又、電池構成
上、必要に応じて微孔性セパレータ膜に上記の電解質を
含浸して用いることもできる。
上記の各部材を使用して電池を組み立てるわけである
が、一般に、電池特性は、各構成部材単独の特性のみで
は判断できず、特にその電池容量、充放電特性等は全く
予想できない面がある。本発明の全固体リチウム二次電
池が前述のリチウム二次電池の問題点を解決し、優れた
電池性能を示すのは、上述の各部材の組み合わせによつ
てはじめて成功したものであることは言うまでもない。
本発明の全固体二次電池を作成した一例を第2図に示
す。この電池はシート型の電池の一例を示したもので、
適用形態はこの限りでなく、ボタン型、筒型等の電池に
も適用できるのは言うまでもない。
電池の作製方法は、例えば所定のステンレス板に層状
構造酸化物の水溶液を塗布し、乾燥後、予め調製してお
いたポリマー電解質の溶液を塗布し、脱溶媒して成膜
後、不活性ガス雰囲気下で別に作製したリチウムコート
ステンレス板とシール材を用いて真空シールすることに
より得られる。
(実施例) 以下、本発明を実施例により詳細に説明する。尚、電
池の作成は全てアルゴン雰囲気中で行つた。
実施例1 (1)正極体の作製 V2O5に対して各種の酸化物を10モル%となるように添
加し、乳鉢で十分に摩砕、混合した後、白金製のノズル
中で加熱、溶融した。この溶融物を高速で回転する銅製
ローター上に吹き出し、急冷してリボン状の非晶質物を
得た。2種の混合例では各5モル%添加とした。このよ
うにして得た非晶質物を水に溶解し、5.5cm×9cm、厚さ
20μmのステンレス箔の中央部分36cm2に均一に塗布す
る。このものを80℃程度で乾燥し膜形成を行つた後、18
0℃で5時間乾燥したものを正極体とした。尚、上記一
般式(V2O5)・(A)y・zH2O中のzはいずれも0.3であ
つた。
(2)負極体の作製 5.5cm×9cm、厚さ20μmのステンレス箔の中央部分に
リチウム箔40mgを圧接したものを負極体とした。
(3)電解質の作製 〔NP{O(CH2CH2O)70CH32〕nで示される平均分
子量約100万のポリマー10gとLiClO41gをテトラハイドロ
フラン(THF)189gに溶解した溶液を作成した。
(4)電池の組み立て 第2図は本発明による電池の一具体例であるシート型
電池の断面概略図であり、外形寸法は5.5cm×9cmの名刺
サイズに合わせたものであり、厚さは約0.2mmのもので
ある。図中1は層状構造酸化物膜、2は金属リチウム、
3はLiClO4を溶解したポリマー膜、4はステンレス箔、
5はシール材である。電池の組み立てにあたつては、上
記の正極体上に上記の電解液を塗布し、THFを除去して
皮膜の形成を行つた。続いて負極体の周辺部の幅約5mm
にシール材を塗布したものと貼り合わせ、真空シールを
行い、電池を完成させた。
比較のために、正極として結晶質V2O5粉末と導電剤の
アセチレンブラツク及び成形用のポリテトラフルオロエ
チレンを70:25:5に混合して作製したシートであつたこ
とを除いては実施例1と同様の電池を作製し、これを比
較例1とした。
又、電解液をプロピレンカーボネートとジメトキシエ
タンの1:1混合液にLiClO4を1mol/lで溶解したものと
し、ポリプロピレン製不織布に含浸させたものを使用す
る以外は、実施例と同様の電池を作製し、これを比較例
2とした。尚、正極の層状構造酸化物は、V2O5とGeO2
組み合わせを用いた。
(5)電池の充放電特性の測定 これらの電池につき、4Vと2Vの間で0.5mAの定電流充
放電を行い、このときの各サイクルにおける電池の容量
維持率(初回の放電容量を100%とする)を測定した。
その結果を第1表に示す。
実施例2 正極の層状構造酸化物の配合比を変更し、電解質のポ
リマーを平均分子量約21万の〔NP{O(CH2CH2O)52CH
32〕nで示されるものとし、負極をリチウム・アルミ
ニウム合金としたことを除いては実施例1と同様に電池
を組み立てた。ただし、層状構造酸化物の乾燥は200℃
で3時間とした。これらの電池につき4Vと2Vの間で充放
電(0.5mA定電流)を行い、この時の100サイクルまでの
平均放電量を測定した。結果を第2表に示す。
実施例3 電解質のポリマーを平均分子量約200万の〔NP{O(C
H2CH2O)70CH32〕nで示されるものとしたことを除
いては実施例1と同様に電池を組み立てた。これらの電
池につき、4Vと0.5Vの間で0.5mAの定電流で深い充放電
を行い、各サイクルにおける容量維持率(初回の放電容
量を100%とする。)を測定した。結果を第3表に示
す。尚、比較例として層状構造酸化物がV2O5単独のもの
(比較例7)について示す。
実施例4 正極の層状構造酸化物を(V2O5)0.95・(GeO2)0.05・0.
3H2Oとし、電解質のポリマーを第4表に示したものに変
更した以外は実施例1と同様に電池を組み立てた。これ
らの電池につき4Vと2Vの間で0.5mAの定電流充放電を行
い、この時の100サイクルまでの平均放電量を測定し
た。結果を第4表に示す。尚、用いたポリマーの平均分
子量はいずれも約100万であつた。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明において用いられる層状構造酸化物を平
坦な基板に膜状に形成した場合のX線回折図形を示した
一例である。第2図は本発明による電池の一具体例であ
るシート型電池の断面概略図である。1は層状構造酸化
物膜、2は金属リチウム、3はLiClO4を溶解したポリマ
ー膜、4はステンレス箔、5はシール材を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−116757(JP,A) 特開 昭61−116756(JP,A) 特開 昭61−206168(JP,A) 特開 昭62−274555(JP,A) 特開 昭61−259455(JP,A) 特開 昭62−113721(JP,A) 特開 平2−223159(JP,A) 特開 平2−223160(JP,A) 特開 平1−231271(JP,A) 特開 平2−148653(JP,A) 第29回電池討論会講演要旨集(昭63− 10−19)pp.205−260 J.Power Sources 20 (1987)pp.165−172 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 10/36 - 10/40 H01M 4/36 - 4/62

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 (V2O5)x・(A)y・zH2O (ここで、x+y=1,0<y≦0.5, z=0.1〜1.6,AはGeO2,SiO2,B2O3,MoO3,WO3,Nb
    2O5,TeO2,Bi2O3,Cr3O8及びZrO2から選ばれる1種以
    上の酸化物を示す。)で表わされる層状構造酸化物を正
    極活物質とし、リチウム或いはリチウム合金を負極活物
    質とし、次式(I)で示されるポリマーにリチウム塩を
    溶解させたものを電解質とする全固体リチウム二次電
    池。 (但し、mはエチレンオキシ単位の平均の繰り返し数を
    意味し、1〜20の実数値である。又nは平均の繰り返し
    数で3≦n≦200000の範囲の実数値をとるものであ
    る。)
  2. 【請求項2】式(I)で示されるポリマーのエチレンオ
    キシ単位の平均繰り返し数mが5〜12の実数値である請
    求項1記載の全固体リチウム二次電池。
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