JP3053033B2 - 液晶光学変調素子 - Google Patents

液晶光学変調素子

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JP3053033B2
JP3053033B2 JP4061492A JP4061492A JP3053033B2 JP 3053033 B2 JP3053033 B2 JP 3053033B2 JP 4061492 A JP4061492 A JP 4061492A JP 4061492 A JP4061492 A JP 4061492A JP 3053033 B2 JP3053033 B2 JP 3053033B2
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修三 金子
良治 藤原
朋子 丸山
智子 村上
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶を用いた光学変調素
子に関し、特に自発分極を有する液晶を用いて諧調表示
を行う液晶光学変調素子に関する。
【0002】
【従来の技術】自発分極を有する液晶として強誘電性液
晶(FLC)は、その高速応答性やメモリ性等の利点に
注目され、表示素子、ライトバルブ等の目的のために積
極的に開発されている。上記利点を生かした装置とし
て、光シャッタアレイ、単純マトリックス駆動による高
精細表示装置、光導電体と組み合わせた高密度記録のラ
イトバルブ等が挙げられる。またさらに、薄膜トランジ
スタ(TFT)等を用いたアクティブマトリクス駆動に
よる動画像表示にも適用が期待され、この特性は例えば
U.S.P.4,840,462号やProceedi
ng of theSID,VOL.30/2,198
9「 Ferroelectric Liquid C
rystal Video Display」等に示さ
れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記F
LCを駆動する場合、一般的に、または本発明者らによ
る実験検証の結果、以下に述べるような問題点が生じる
ことが明らかになっている。
【0004】すなわちまず、FLCに対し長時間にわた
る直流電圧(DC)成分が連続的に印加されると、液晶
の応答が疎外されるという問題がある。この原因として
は、上記DC成分により、液晶の内部イオンの偏在が誘
起され、これが電界を形成するためと考えられる。これ
に対し、補助パルスによりDC成分をキャンセルする提
案が本発明者らにより特願平2−69547号において
なされている。
【0005】しかしさらに、FLCにおいては、分子自
身が自発分極を有するため、この自発分極に対応して偏
在する内部イオンが電界を形成するものと考えられる原
因により、所望の中間調が不安定になり、また外部電圧
値(印加電圧値)に対しての光学応答性においてヒステ
リシスが生じる場合がある。
【0006】例えば、図7に示すように基板13上に電
極12およびその上の絶縁層10を設けて形成した1組
の対向電極基板間にFLC11を配置した従来の液晶セ
ルに対し図6に示すようなアクティブマトリクス構成に
よる駆動を、テレビレート(30〜60Hz)程度の駆
動周波数で、図8(a)に示すようなリセットパルスお
よび書込みパルスを連続的にFLCに印加して行った場
合、DC成分により、透過率Tは時間tの経過に従い図
9に示すような変化を生じる。これによれば、リセット
電圧VR および書込み電圧VW のパルスが繰り返し印加
されることにより、透過率Tが次第に減少することがわ
かる。
【0007】図10はこの現象を説明するための模式図
である。図8に示すような駆動波形は、幾何学的にはプ
ラスのDC成分が過剰に印加されるようにみえるが、図
10においては、このDC成分がどのように液晶に作用
するかが示されている。すなわち、プラスのDC成分の
印加により、絶縁層部10と、液晶部分11との間にチ
ャージの蓄積が生じ、このチャージ成分による液晶分圧
がマイナス方向となり、この結果、次第に「白」書込み
がされ難くなるものと考えられる。
【0008】また関連した現象として、図7に示すよう
なメモリ性を有する液晶セルに対し図11(a)に示す
ようなプラスのステップ電圧を印加し、ある時間の経過
後アースした場合の光学応答は、図11(b)に示すよ
うに、電圧印加が短時間の場合は、破線で示すように
「白」書込み後、透過率Tが維持されるが、長時間のパ
ルス印加による場合は、前記チャージの蓄積による逆電
圧のため、「黒」状態へ戻されてしまう。
【0009】さらに図12を用い、自発分極の作用と思
われる前記ヒステリシスに対する定性的な説明をする。
図12(a)は「黒」安定である場合の自発分極の方向
121とこれにより誘起されると思われるチャージの極
性を、図12(b)は「白」安定である場合の自発分極
の方向121とこれにより誘起されると思われるチャー
ジの極性を、それぞれ前状態、リセット後、および書込
み電圧印加後について示す。これらに示されるような、
誘起されるチャージの極性の違いにより、同じ書込み電
圧VW を印加した場合においても、前状態が「黒」であ
ったか、「白」であったかにより、液晶部分に印加され
る電圧が異なり、前状態が「白」であった方がより大き
い電圧が液晶に印加されるため、ヒステリシス現象等を
生じるものと考えられる。
【0010】このような電気的な不安定性を回避するた
めには、従来のポリイミドやポリビニルアルコール等の
ラビング配向層、あるいはこれらと付加的に設けた絶縁
層による上述の絶縁層部分をなくしてしまうのが1つの
手段であると考えられるが、そうすることによっては十
分一様性の高い配向が得られない等の悪影響が生じる場
合も多々ある。
【0011】さらに、強誘電性液晶の場合、液晶層の層
厚は1〜2μm程度と小さく、上記のように絶縁層部を
取り除いた場合、上下の電極のショートにより素子全体
に損傷を及ぼすおそれがある。
【0012】本発明の目的は、このような従来技術の問
題点に鑑み、液晶光学変調素子において、弊害を生じさ
せることなくヒステリシス現象などを防止し、諧調表示
に適した安定した光学応答が得られるようにすることに
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明では、一対の電極と、該一対の電極間に配置した
強誘電性液晶とで構成した画素をマトリクス配置し、該
画素毎に配置したアクティブスイッチング素子を介して
該強誘電性液晶に外部電圧を付与する様になした液晶光
学変調素子であって、前記画素を構成している一対の電
極の少なくとも一方の電極と前記強誘電性晶との間
に、透光性の光導電性配向膜を設けている。
【0014】前記少なくとも一方の電極は金属反射性
電極とすることができ、また、前記画素と画素との間に
遮光マスクを配置する場合もある。また、前記光導
電性配向膜は、光導電性層とこれに接するカラム配向制
御層とで構成しても良い。
【0015】
【作用】この構成において、駆動に際しては、外部から
与えられる諧調信号等の駆動電圧が電極を介して液晶に
印加されるが、その際、両電極基板の電極間の短絡が、
光導電体層により防止される。また、従来のポリイミド
配向膜等の絶縁性の高い層が存在せず、かつ光導電体層
は、変調されるべき光が素子に照射されると低抵抗化し
た状態となるため、電気的なインピーダンス保有による
導通疎外の影響が十分に小さくなり、駆動電圧に実質的
に作用する分圧が常に駆動信号に適応して安定する。ま
た、カラム状の配向制御層は、液晶をより良好に配向さ
せる作用をする。
【0016】この作用は、光導電体層を直接ラビングし
て液晶層の一様な配向を得る場合にも、また、光導電体
層上にさらに、すかすかのカラム状の配向制御層を形成
する場合にも発揮される。
【0017】この結果、前記様々な不安定性やヒステリ
シス等の現象が大きく改善され、良好な諧調特性が得ら
れる。
【0018】
【実施例】以下、図面を用いて本発明の実施例を説明す
る。図1は、本発明の一実施例に係る液晶光学変調素子
の構成を示す断面図である。図中、1aおよび1bはガ
ラス、石英等の基体、2aおよび2bはそれら基体上に
形成された、ITO、Sn2 、In23 等の透明電
極またはAl、An等の電極である。3aおよび3bは
それら電極上に形成された透光性の光導電体層、4aお
よび4bはそれら光導電体層上に形成された、SiO、
TiO2 等のカラム形成された配向制御層であり、これ
ら光導電体層および配向制御層は、電極・液晶間の界面
部をなすとともに、本発明の主要部を構成する部分であ
る。光導電体層3a,3bとしては特に有機光導電性の
層が最適である。なお、光導電体層3aおよび3bにラ
ビング等の処理を施して良好な配向性が得られる場合
は、配向制御層4a,4bを設けなくてもよい。5は強
誘電性液晶(FLC)層であり、適度な大きさ例えば1
〜100nC/cm2 の自発分極PS を有するものが、
一様に配向されたものである。
【0019】この構成において、駆動に際しては、外部
から与えられる諧調信号電圧が電極2aおよび2bを介
して液晶に印加されるが、その際、電極2aおよび2b
間の短絡(ショート)が、光導電体層3a,3bにより
防止される。また、光導電体層3a,3bは、諧調信号
電圧に実質的に作用する分圧が常に諧調信号に適応して
安定するように作用するため、良好な諧調表示が行われ
る。また、カラム状の配向制御層4a,4bを有するた
め、より良好な配向が得られる。すなわち、本実施例の
素子は、ショート防止および液晶分圧の安定化を目的と
した光導電体層3a,3bによる良好な界面機能と、さ
らに最適な構成であるカラム状配向制御層4a,4bの
良好な配向機能とを有する、複合的な機能分離積層型液
晶セルによる光学変調素子となっている。
【0020】さらにまた、光導電体層3a,3bとして
有機光導電体層を用いた場合、これを従来のポリイミド
膜等と同様にラビングして液晶を配向させることもで
き、この場合は、カラム状配向制御層4a,4bを特に
設ける必要はない。
【0021】この液晶光学変調素子は次のようにして作
製することができる。まず、1.1mm厚のガラス基体
1a,1bを用意し、これらの上にITO(酸化インジ
ウム・スズ)膜をスパッタ法により約800Å厚の薄膜
となるように形成することにより、透明電極2a,2b
を形成する。
【0022】次に、一般に有機光導電体の電荷発生層と
して用いられるフタロシアニン、またはアズレニウム塩
等を含む有機顔料を、蒸着により、または樹脂中に分散
させて塗布することにより、好ましくは300〜500
0Å程度の厚さの光導電体層3aおよび3bを透明電極
2a,2b上に形成する。なお、この光導電体層3aお
よび3bの抵抗値等は、前記顔料の組成、樹脂中への分
散重量等で調整可能である(参考文献;85/3高分子
可能性講座講演要旨集(P33〜38)これからの表示
と記録)。
【0023】次に、形成された光導電体層3aおよび3
bの表面にラビングを施し、その一方の光導電体層3a
表面上に、粒径約1.5μmのシリカビーズの分散液を
スピナ−塗布し乾燥させ、さらに接着剤を印刷塗工して
軽く乾燥させ、そして、これに対し、他方の基板をその
光導電体層3bが対向するようにして貼り合わせること
により、約1.3μmのギャップを有するセルを形成す
る。
【0024】そして、このセルに自発分極が例えば5n
C/cm2 の強誘電性液晶を真空注入し強誘電性液晶層
5を形成することにより、液晶光学変調素子が完成す
る。
【0025】ここで、カラム状の配向制御層4a,4b
を設ける場合は、光導電体層3aおよび3bの形成後、
そのラビングは行わず、それらの上にカラム状の配向制
御層4a,4bを形成する。この形成は、一般に知られ
ている斜方蒸着法によって行えるが、光導電体層上に形
成されるため、次に示すような、適度な蒸着温度で行え
るものが適している。
【0026】図4は、カラム状の配向制御層4a,4b
を、SiO斜方蒸着層として形成するための装置の構成
図である。図中、40は真空チャンバ、42はSiOの
分子ビーム源、43は分子ビーム源42の電源、44は
2 ボンベ、45は光導電体層3aまたは3bまでが形
成されている基体1aまたは1bを送るローラ、46は
ロータリポンプ、47はメカニカルブースタポンプ、4
8はクライオポンプ、49はバルブ、410はスリット
である。
【0027】この構成において、分子ビーム源42から
放出されるSiO分子ビームはボンベ44からO2 の供
給を得、スリット410を経て基体1a(1b)に達す
る。一方、ローラ45は、一定の角速度ωで回転してお
り、これにより、基体1a(1b)も一定速度で移動し
ている。このため、基体1a(1b)上の光導電体層3
a(3b)にはSiOX が均一な膜厚で付着する。ま
た、基体1a(1b)はSiO分子ビームの進行方向に
対し、角度θの傾きを有しており、これにより、光導電
体層3a(3b)上に均一なカラム状の配向制御層4a
(4b)が形成される。
【0028】この後は、上記と同様に、シリカビーズを
介し基体1aと1bを貼り合わせ、ることにより、約
1.3μmのギャップを有するセルが形成されるが、こ
の際の基体1aと1b間の位置関係は、前記蒸着時の基
体1aと1bの移動方向が反平行(平行かつ逆向き)ま
たは平行となるような位置関係とするか、あるいはこれ
ら位置関係における方向から相互に微小にずれた方向と
なるような位置関係にしても良い。
【0029】図2は、光導電体層3a,3bによる界面
作用効果を示す等価回路図であり、図3は、素子断面方
向のチャージ状態を示す模式図である。前記構成の液晶
光学変調素子においては、光導電体層3a,3bの明抵
抗、すなわち低抵抗化した状態により前記ヒステリシス
等による問題が解決される。すなわち、変調されるべき
光が素子に照射された場合、従来のポリイミド配向膜等
の絶縁性の高い層が存在しないため、電気的なインピー
ダンス保有による導通疎外の影響を十分に小さくするこ
とができる。
【0030】この効果は、光導電体層3a,3bを直接
ラビングして液晶層5の一様な配向を得る場合にも、ま
た、光導電体層3a,3b上にさらに、すかすかのカラ
ム状の配向制御層4a,4bを形成する場合にも発揮さ
れ、良好な界面効果として作用する。さらに、明抵抗を
利用する光導電体層3a,3bは、ポリイミド、ポリビ
ニルアルコール等の通常の絶縁性配向膜に比べ、抵抗が
十分小さいため、膜時定数CRR が減少し、同程度の
膜厚であれば、その容量CR を大きく保つことができ
る。
【0031】すなわち、従来、前述の透過率変動やヒス
テリシス等の現象は、図3(a)に示す外部からの電圧
A の印加時において、光導電体層3a,3bとFLC
層5それぞれの時定数の差(CLCLCとCRR との
差)に基づき、変動して注入されるチャージΔQVAと、
図3(b)および(c)に比較して示すFLC特有の自
発分極PS の様々な中間調状態における向き121の違
いにより変動するΔQPSとによって引き起こされると考
えられる。しかし、光導電体層3a,3bはその時定数
RR を小さく保つことによりΔQVAとΔQPSの変動
の影響をより早く緩和するするとともに、容量CR を大
きく保つことによりΔQVAとΔQPSの液晶分圧への影響
の係数として表されるΔQVA/(CLC+CR )およびΔ
PS/(CLC+CR )の値を十分小さくしている。
【0032】ちなみに、2mm×2mm=0.04cm
2 □の電極交差画素における光導電体層3a,3bのイ
ンピーダンスを測定したところ、従来のポリイミドラビ
ング膜では、同様の条件でC〜2μF,R〜8GΩであ
ったのに対し、CR 〜10nF,RR 〜1MΩ程度とい
う結果が得られている。これは、時定数値で3桁以上の
低下、容量値で5倍程度の増加である。
【0033】この結果、前記様々な不安定性やヒステリ
シス等の現象が大きく改善され、良好な諧調特性が得ら
れる。
【0034】なお、この効果は、TFT(薄膜トランジ
スタ)等のアクティブマトリクススイッチング素子によ
る駆動(オープンモードの駆動)の場合に限らず、画素
電極が外部の回路にローインピーダンスで結合された単
純マトリクス型ドライブ法においても得られ、前記光導
電体層の時定数(液晶層との合成時定数として作用す
る)減少および容量増大の効果は十分発揮される。作用
する。
【0035】また、光導電体層3a,3bに用いる光導
電体膜の電気的性質は、本発明者等が前記ヒステリシス
や不安定性等の現象を明確に観察した従来のポリイミド
ラビング膜では、誘電率εがε〜4程度、ρ〜1013Ω
・cm程度以上であったのに対し、十分に光照射された
状態で、望ましくはセル化した状態での膜厚における値
に換算して、誘電率εが3〜10倍もしくはそれ以上、
ρが1/100もしくはそれより数桁小さい値をとるこ
とができ、これにより前記効果が得られる。また、さら
に明部の導電化を向上させたものとして、10-9S/c
m(シーメンス・cm-1)以上のものも望ましく用い得
る。
【0036】また、カラム状配向層4a,4bとして
は、SiOの他に、TiO2 、ZrO2 、SiO2 等の
斜方蒸着法で製膜し得る他の材料も、カラム長が大きく
なり過ぎないようにすれば、用いることができる。
【0037】さらに、強誘電性液晶としては、例えば、
化1式に示すようなドーパントを重量比で0.1〜1%
混入し、その抵抗を減少させることにより、液晶の抵抗
が1011Ω・cm程度以下のものが得られ、これにより
前記チャージΔQVAやΔQPSのような分圧変動の影響が
より素早く緩和されると考えられる。そして実際、これ
により、さらに改善された諧調特性が得られている。
【0038】
【化1】 図5は、本発明の他の実施例に係る液晶光学変調素子を
用いたプロジェクションタイプの表示デバイスを示す模
式図である。図中、51は光源となるランプ、52は偏
光ビームスプリッタ、53はクロスダイクロプリズム、
54は液晶光学変調素子、55は投射レンズであり、ラ
ンプ51からの光は、偏光ビームスプリッタ52および
クロスダイクロプリズム53を経て液晶光学変調素子5
4に入射し、そこで変調され、そして再びクロスダイク
ロプリズム53および偏光ビームスプリッタ52を経、
投射レンズ55によってスクリーン56上に投射される
ようになっている。
【0039】円57内は、液晶光学変調素子54の一部
の拡大断面を示しており、58は基体1bと光導電体層
3bとの間に設けられた反射電極、59は基体1aのク
ロスダイクロプリズム53側の画素間部分に設けられた
遮光マスクである。他の構成は、上述図1の場合と同様
である。反射電極58はAl、Au等の金属膜で形成さ
れる。
【0040】光導電体層の下地となる電極は光導電体層
との接合がよりオーミック的であるのが望ましく、この
点においては、表面がより滑らかなアルミニウム等の、
光学的により正反射性の高い金属反射性を有する反射電
極58は好ましい。
【0041】このように、一方の基体の電極を金属膜で
形成した反射型とすることにより、本発明は、特にプロ
ジェクションタイプの表示デバイスにも有効に応用する
ことができる。
【0042】また、液晶5との界面に光導電体層3a,
3bを用いることは、他の一般的なポリピロール、ポリ
チオフェン等の導電性膜を用いた場合に比較し、画素間
にランプ51からの外部光あるいはプロジェクション光
が照射されると、画素間の絶縁性が失われがちになる
が、ここでは画素間に遮光マスク59を設けたため、画
素間部分の絶縁性あるいは高抵抗性が維持される。した
がって、画素間部分の導電性による画素間のクロストー
クが防止され、良好な表示品質が保たれる。
【0043】遮光マスク59の形成は、公知の色素、金
属等を用いパターニングするによって行うことができ、
角画素周辺がそれぞれ区切られた構成となるようにする
ことができる。
【0044】また、TFT等のアクティブマトリクス素
子を用いる場合は、そのゲートラインおよびソースライ
ンによる画素間部分の遮光効果が期待できるため、最適
な構成となる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、少
なくとも一方の電極基板の電極と液晶層との間に、透光
性の光導電性配向層を備えるようにしたため、ヒステリ
シス現象等が防止され、諧調表示にも適した安定な駆動
を行うことができる。
【0046】また、少なくとも一方の電極基板の電極と
液晶層との間に、透光性の光導電性層、および液晶層に
接するカラム配向層を備えるようにしたため、ヒステリ
シス現象等が防止され、諧調表示にも適した安定な駆動
を行うことができることに加え、より制御された良好な
配向が得られる。この場合、さらに、カラム配向層の下
地となる、いずれか一方の電極基板の電極を金属反射性
電極とした場合、カラム配向層に接する面を平坦化でき
る等の効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る液晶光学変調素子の
構成を示す断面図である。
【図2】 図1の素子における光導電体層による界面作
用効果を示す等価回路図である。
【図3】 図1の素子における素子断面方向のチャージ
状態を示す模式図である。
【図4】 図1の素子のカラム状の配向制御層をSiO
斜方蒸着層として形成するための装置の構成図である。
【図5】 本発明の他の実施例に係る液晶光学変調素子
を用いたプロジェクションタイプの表示デバイスを示す
模式図である。
【図6】 アクティブマトリクス構成の模式図である。
【図7】 従来例に係る液晶セルの構成を示す断面図で
ある。
【図8】 液晶セルに印加される駆動信号波形およびそ
れに対応する透過率の変化を例示する説明図である。
【図9】 図8のような駆動信号を図7のような液晶セ
ルに連続的に印加した場合の透過率の変化を示すグラフ
である。
【図10】 図9に示される現象を説明するための模式
図である。
【図11】 図9に示される現象に関連した現象を説明
するための模式図である。
【図12】 図7のような液晶セルにおけるヒステリシ
スを定性的に説明するための説明図である。
【符号の説明】
1a,1b:基体、2a,2b:電極、3a,3b:
透光性の光導電体層、4a,4b:カラム状配向制御
層、5:強誘電性液晶層、58:反射電極、59:遮光
マスク
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村上 智子 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−7022(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02F 1/1337 G02F 1/135

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の電極と、該一対の電極間に配置し
    た強誘電性液晶とで構成した画素をマトリクス配置し、
    該画素毎に配置したアクティブスイッチング素子を介し
    て該強誘電性液晶に外部電圧を付与する様になした液晶
    光学変調素子であって、前記画素を構成している一対の
    電極の少なくとも一方の電極と前記強誘電性晶との間
    に、透光性の光導電性配向膜を設けたことを特徴とする
    液晶光学変調素子。
  2. 【請求項2】 前記少なくとも一方の電極は、金属反射
    性電極であることを特徴とする請求項1記載の液晶光学
    変調素子。
  3. 【請求項3】 前記画素と画素との間には遮光マスク
    配置してなる請求項1記載の液晶光学素子。
JP4061492A 1992-01-31 1992-01-31 液晶光学変調素子 Expired - Fee Related JP3053033B2 (ja)

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