JP3052506U - 破砕機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 作業者の負担が少なく且つ作業時間が短縮さ
れた衝突板と打撃板との間隔調整作業が可能である破砕
機を提供すること課題とする。 【解決手段】 ケーシング１１内には、ロータ１４の外
周に配設された打撃板１５と、支持部材１７，１７によ
り支持された衝突板１６が設けられている。支持部材は
油圧シリンダ１９，１９によりケーシング１１に対し上
下方向に摺動される。支持部材には、衝突板と打撃板の
間隔を保つように保持部材２０，２０が設けられてお
り、この保持部材は間隔調整部材２１，２１の上に載置
されている。間隔調整部材２１，２１は、スライド方向
に厚みが変化した部材であり、電動シリンダ２５によっ
てスライドされる。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【考案の属する技術分野】

この考案は、破砕機に係り、特に破砕機の打撃板と衝突板との間隔を調整する 装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

図５に従来の破砕機を示す。ケーシング１内に駆動装置により回転駆動される ロータ２が配置され、ロータ２の外周部に複数の打撃板３がロータ２の周に沿っ て等間隔に設けられている。ロータ２の上方にはケーシング１の天井部から支持 部材４を介して吊設された第１衝突板５及び第２衝突板６が配置されている。ケ ーシング１の投入口から投入された鉱石や原石等の被破砕物は、回転するロータ ２に取り付けられた打撃板３によって打撃加速され、その飛び出す方向に設けら れた第１衝突板５に衝突し反発される。被破砕物は、こうした打撃及び反発とい う２回の衝撃によって破砕される他、次の打撃板３によって打撃加速されて飛ん でくる別の被破砕物ともケーシング１内の空間で衝突し互いに破砕される。また 、第２衝突板６においても同様の作用が行われる。破砕後の粒度管理は打撃板３ と第２衝突板６との間隔の調整により行われる。

【０００３】 これら第１及び第２衝突板５，６を支持する支持部材４，４は、ケーシング１ を貫通しケーシング１に対し上下に摺動可能に設けられており、支持部材４，４ の外周に形成されたねじ溝に螺合するダブルナット７，７によりケーシングに保 持されている。これら第１及び第２衝突板５，６と打撃板３との間隔は、それぞ れ対応するダブルナット７，７のねじ溝の巻き回数をもとにした位置により管理 されている。

【０００４】 第１及び第２衝突板５，６には被破砕物の打撃及び反発に伴って摩耗が生じ、 これら衝突板５，６と打撃板３との間隔が最適間隔からずれてくることがあった 。このため、破砕物の所望の粒度を得るために適宜間隔の調整作業が行われてい た。例えば、第２衝突板６と打撃板３との間隔の調整作業について説明すると、 調整前の衝突板６と打撃板３との間隔を測定した後、ケーシング１上に設けられ ている図示しない油圧シリンダにより第２衝突板６を持ち上げ、ダブルナット７ のうち上方のナットを緩めてから、衝突板６と打撃板３との最適間隔を得るよう に下方のナットを回し、最後に油圧シリンダにより第２衝突板６を下げる。尚、 第１衝突板５と打撃板３との間隔の調整も同様に行われる。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、かかる間隔調整作業は、ダブルナット７の調整が終わり衝突板 ５，６を下ろした後、衝突板５，６と打撃板３との間隔を測定して実際の間隔を 確認するが、そのとき最適間隔に調整されていなかった場合には、再び油圧シリ ンダにより衝突板５，６を持ち上げダブルナット７の位置を変える作業を行い、 最適間隔になるまでこのような作業を繰り返す必要があるため、作業時間のかか る効率のよくないものであった。

【０００６】 また、かかる間隔調整作業は、ダブルナット７の位置を変える度に、作業者が ケーシング１上に登り降りし、またナット７を回すためには重い工具を用いる必 要があったことから、作業者の負担が大きかった。

【０００７】 この考案は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、作業 者の負担が少なく且つ作業時間が短縮された衝突板と打撃板との間隔調整作業が 可能である破砕機を提供することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するために、本考案の破砕機は、ケーシング内で回転駆動され るロータと、このロータの外周に設けられた打撃板と、この打撃板にて打撃加速 された被破砕物を反発する衝突板と、ケーシングを貫通すると共に衝突板を支持 する支持部材と、打撃板及び衝突板間の間隔を維持するように支持部材を前記ケ ーシングに対して保持する保持部材と、打撃板及び衝突板間の間隔を変化させる ように支持部材をその長手方向に摺動させる第１駆動機構と、ケーシングと前記 保持部材との間にスライド可能に設けられ且つそのスライド方向に厚みが変化し ている間隔調整部材と、この間隔調整部材をスライドさせる第２駆動機構とを備 えている。

【０００９】 また、間隔調整部材はスライド方向に関し階段状に厚みが変化しているように 構成することができる。間隔調整部材には支持部材が貫通可能な切り欠きがスラ イド方向に形成されているようにしてもよい。間隔調整部材は連結フレームを介 して第２駆動機構に連結されており、ケーシングにはこの連結フレームをスライ ド方向に沿って案内するガイドレールが設けられているように構成することがで きる。さらに、第１及び第２駆動機構はフロア上に設置された操作盤により操作 されるように構成すると好適である。

【００１０】 さらに、第１及び第２駆動機構の少なくとも一方を油圧シリンダから構成し、 また、支持部材の外周にねじ溝を設けておき、保持部材はこのねじ溝に螺合する ナットから構成することもできる。

【００１１】

【考案の実施の形態】

以下、この考案の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。 図１にこの考案の実施の形態に係る破砕機の斜視図を示す。ケーシング１１の 上部には鉱石や原石等の被破砕物が投入される投入口１２が形成されている。ケ ーシング１１内には、図示しない駆動装置により駆動軸１３を介して回転駆動さ れるロータ１４が配置され、ロータ１４の外周部には高マンガン鋼からなる複数 の打撃板１５が周方向に等間隔に設けられている。

【００１２】 図２に示されるように、ロータ１４の上方には、打撃板１５にて打撃加速され た被破砕物を反発させる衝突板１６が設けられている。衝突板１６は、低合金鋼 から形成され、その長手方向両端において、ケーシング１１を貫通し且つケーシ ング１１に対して摺動可能に設けられた一対の棒状の支持部材１７，１７により 支持されている。これら支持部材の各上端はケーシング１１上に設けられた吊り 上げ金具１８の各端部に接続されている。この吊り上げ金具１８には第１駆動機 構として一対の油圧シリンダ１９，１９のロッドが接続されており、油圧シリン ダ１９，１９の作動により吊り上げ金具１８及びこれに接続された一対の支持部 材１７，１７がケーシング１１に対して上昇し、衝突板１６と打撃板１５との間 隔が変位するようになっている。

【００１３】 また、これら支持部材１７，１７の各々にはケーシング１１に対する下降移動 を規制し、衝突板１６と打撃板１５との間隔を維持するための保持部材２０が設 けられている。すなわち、本実施の形態に係る保持部材２０，２０としては、支 持部材の外周に形成されたねじ溝に螺合する既存のナットが用いられる。各保持 部材２０，２０とケーシング１１との間には、それぞれ、間隔調整部材２１，２ １が支持部材１７，１７の軸心方向にほぼ直交する方向にスライド可能に設けら れており、これら保持部材２０，２０は対応する間隔調整部材２１，２１の上面 に載置されている。

【００１４】 図３に示されるように、一対の間隔調整部材２１，２１はそれぞれ、スライド 方向に関し階段状に厚みが変化している。また、一対の間隔調整部材２１，２１ のそれぞれには、各々の幅方向における中央すなわち図４における左右方向にお ける中央に、それぞれ対応する支持部材１７，１７が貫通可能な切り欠き２２， ２２がスライド方向に亙って形成されている。これにより、各支持部材１７，１ ７の保持部材２０，２０はそれぞれ、各支持部材１７，１７の左右両側方におい て間隔調整部材２１の上面に引っ掛かり、支持部材１７をより安定した態様で保 持する。

【００１５】 図４に示されるように、一対の間隔調整部材２１，２１の各上端２３，２３は 連結フレーム２４の長手方向両端に接続されており、この連結フレーム２４の長 手方向中央には第２駆動機構である電動シリンダ２５のロッド２６が接続されて いる。また、連結フレーム２４には上記スライド方向に延びた一対のガイドレー ル２７，２７が貫通している。電動シリンダ２５は図２に示されるブラケット２ ８によりケーシング１１に固定されている。尚、電動シリンダ２５及び前述の油 圧シリンダ１９，１９の作動は、ケーシング１１が置かれたフロア（図１参照） ２９に設けられた操作盤３０におけるスイッチ操作により集中制御することがで きるようになっている。

【００１６】 以上のように構成された破砕機において、投入口１２からケーシング１１内に 鉱石や原石等の被破砕物が投入されると、被破砕物は回転するロータ１４に取り 付けられた打撃板１５によって打撃加速され、更に衝突板１６に衝突し反発され 、この２回の衝撃によって破砕される。

【００１７】 また、衝突板１６と打撃板１５との間隔が不適当となりこれらの間隔の調整が 必要な場合には以下のようにして間隔調整作業が行われる。まず、作業者３１は フロア２９に設けられた操作盤３０を操作し油圧シリンダ１９，１９のロッドを 上昇させて、吊り上げ金具１８及び支持部材１７，１７を上昇させ、保持部材２ ０，２０をそれぞれ対応する間隔調整部材２１，２１の上面から十分に離間させ る。次に操作盤３０を操作し電動シリンダ２５のロッド２６を動かし、連結フレ ーム２４及びそれに接続した間隔調整部材２１，２１をスライドさせ、ケーシン グ１１と保持部材２０，２０との間に介在する間隔調整部材２１，２１の部分の 厚みを変える。スライド方向は、例えば、衝突板１６と打撃板１５との間隔を狭 めたい場合すなわち衝突板１６を打撃板１５に近づけたい場合には、図２〜図４ において実線矢印に示される向きとなる。また、衝突板１６を打撃板１５から離 すように調整する場合には、点線矢印に示される向きとなる。

【００１８】 この後、操作盤３０を操作し油圧シリンダ１９，１９のロッドを下降させて吊 り上げ金具１８及び支持部材１７，１７を下降させ、保持部材２０，２０を間隔 調整部材２１，２１の上面に載置させる。図２〜図４の実線矢印の方向に間隔調 整部材２１，２１をスライドさせた場合には、保持部材２０，２０とケーシング １１との間に位置する間隔調整部材２１，２１の厚みが減少するため、その分、 衝突板１６が打撃板１５に近づき両者の間隔が狭められる。このようにして衝突 板１６と打撃板１５との間隔を最適間隔に調整する。

【００１９】 以上の間隔調整作業においては、従来のようにナットを緩めたり締めたりする ことなく間隔調整が行えるので、作業者３１がケーシング１１上から登り降りす ることがなく、また、重い工具を用いることもないので、作業者３１の負担が軽 減されている。

【００２０】 さらに、間隔調整部材２１，２１の厚みにより衝突板１６と打撃板１５との間 隔を管理するため、調整精度が向上しており、繰り返し同一工程を行わなくても よいので作業工程や作業時間の短縮及び作業に必要な労務費の低減による生産性 の向上が図られている。また、上記間隔調整作業における一連の操作は殆どフロ ア２９に設けられた操作盤３０により行えるため、作業人員を省略でき、しかも ケーシング１１上といった高所に登る必要もないことから、安全面において好適 である。この実施の形態に係る破砕機により、例えば最大２００×４００×４０ ０ｍｍ程度の大きさの原石を約４０〜５０ｍｍの径に破砕することができる。

【００２１】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案の破砕機によれば、衝突板と打撃板との間隔調整 作業において作業者の負担を軽減できると共に作業時間を短縮することができる 。

【００２２】 間隔調整部材に支持部材が貫通可能な切り欠きをスライド方向に形成している ため、支持部材がより安定した態様で保持される。また、間隔調整部材が連結フ レームを介して第２駆動機構に連結され、ケーシングにはこの連結フレームをス ライド方向に沿って案内するガイドレールが設けられているように構成すれば、 間隔調整部材がスライド方向により確実に移動する。さらに、第１及び第２駆動 機構はフロア上に設置された操作盤により操作されるように構成すれば、間隔調 整作業における一連の操作を殆どフロア上で行うことができ安全面において好適 である。

【００２３】 また、第１及び第２駆動機構の少なくとも一方を油圧シリンダから構成し、あ るいは、保持部材は支持部材に螺合するナットから構成すれば、既存の部品を利 用しコスト低減を図ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 この考案の実施の形態に係る破砕機の斜視図
である。

【図２】 この考案の実施の形態に係る破砕機要部の斜
視図である。

【図３】 図２のＩＩＩ−ＩＩＩ線に関する部分断面図
である。

【図４】 図３のＩＶ方向から見た平面図である。

【図５】 従来の破砕機側面の断面図である。

【符号の説明】

１１ ケーシング １４ ロータ １５ 打撃板 １６ 衝突板 １７，１７ 支持部材 １９，１９ 油圧シリンダ ２０，２０ 保持部材 ２１，２１ 間隔調整部材 ２２，２２ 切り欠き ２４ 連結フレーム ２５ 電動シリンダ ２７，２７ ガイドレール ２９ フロア ３０ 操作盤

フロントページの続き (72)考案者 佐々木 隆 大分県津久見市合ノ元町２−１ 秩父小野 田株式会社 津久見工場内 (72)考案者 牛嶋 廣 大分県津久見市合ノ元町１−４ 古手川産 業株式会社内 (72)考案者 矢野 ▲あさ▼宏 大分県津久見市下青江2430−３ 豊州車輌 工業株式会社内

Claims (7)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシング内で回転駆動されるロータ
   と、 このロータの外周に設けられた打撃板と、 この打撃板にて打撃加速された被破砕物を反発する衝突
   板と、 前記ケーシングを貫通すると共に前記衝突板を支持する
   支持部材と、 前記打撃板及び衝突板間の間隔を維持するように前記支
   持部材を前記ケーシングに対して保持する保持部材と、 前記打撃板及び衝突板間の間隔を変化させるように前記
   支持部材をその長手方向に摺動させる第１駆動機構と、 前記ケーシングと前記保持部材との間にスライド可能に
   設けられ且つそのスライド方向に厚みが変化している間
   隔調整部材と、 この間隔調整部材をスライドさせる第２駆動機構とを備
   えた破砕機。
2. 【請求項２】 前記間隔調整部材は前記スライド方向に
   関し階段状に厚みが変化している請求項１に記載の破砕
   機。
3. 【請求項３】 前記間隔調整部材には前記支持部材が貫
   通可能な切り欠きが前記スライド方向に形成されている
   請求項１又は２に記載の破砕機。
4. 【請求項４】 前記間隔調整部材は連結フレームを介し
   て前記第２駆動機構に連結されており、前記ケーシング
   にはこの連結フレームを前記スライド方向に沿って案内
   するガイドレールが設けられている請求項１乃至３の何
   れか１項に記載の破砕機。
5. 【請求項５】 前記第１及び第２駆動機構はフロア上に
   設置された操作盤により操作される請求項１乃至４の何
   れか１項に記載の破砕機。
6. 【請求項６】 前記第１及び第２駆動機構の少なくとも
   一方は油圧シリンダから構成されている請求項１乃至５
   の何れか１項に記載の破砕機。
7. 【請求項７】 前記支持部材の外周にはねじ溝が設けら
   れており、前記保持部材はこのねじ溝に螺合するナット
   から構成される請求項１乃至６の何れか１項に記載の破
   砕機。