JP3052049B2 - 偏向横波用電磁超音波トランスデューサ - Google Patents

偏向横波用電磁超音波トランスデューサ

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JP3052049B2
JP3052049B2 JP7347206A JP34720695A JP3052049B2 JP 3052049 B2 JP3052049 B2 JP 3052049B2 JP 7347206 A JP7347206 A JP 7347206A JP 34720695 A JP34720695 A JP 34720695A JP 3052049 B2 JP3052049 B2 JP 3052049B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、導電材料の表面及
び内部の傷の検出、残留応力の検出、材料特性(弾性係
数、減衰係数)の測定、荷重、熱等による材料内部の損
傷、劣化を検出する偏向横波用電磁超音波トランスデュ
ーサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】図3は電磁超音波トランスデューサの計
測原理を説明するための図である。電磁超音波トランス
デューサは導電性材料(被測定物)2の表面にスペーサ
3aを介在させて互いに磁気方向の異なる永久磁石3、
3を配置し、該永久磁石3、3の下部に配置した渦巻状
の平面コイル5を配置した構成である。なお、永久磁石
3、3の代りに同様な磁界を形成する電磁石でも良い。
【0003】永久磁石3は導電性材料2の深さ方向に静
磁場4を形成し、平面コイル5にコントローラ18から
高周波電流7を流すと、導電性材料2の表面にその電流
7と逆向きの渦電流8が発生し、この渦電流8と静磁場
4の相互作用。所謂フレミングの左手の法則により、ロ
ーレンツ力9が発生し、導電性材料2の内部の自由電子
に働き、イオンなどに衝突し、静磁場4と高周波電流7
の方向に垂直な運動を導電性材料2の内部に励起させ、
超音波の横波10を発生させる。
【0004】上記超音波の横波10が矢印11の方向に
進行し、導電性材料2の表面や内部の傷、欠陥、結晶粒
界、組織変化等、端面で反射し矢印12に示すように進
み表面近傍に達すると、力13が発生し、この力13と
静磁場4との相互作用により渦電流14を発生する。こ
の渦電流14を平面コイル5により検出し、プリアンプ
16で増幅し、更に主アンプ17で増幅し、コントロー
ラ18に送る。該コントローラ18はこれを解析し、導
電性材料2の内部の傷、欠陥、結晶粒界、組織変化等を
計測する。
【0005】図4は従来の偏向横波用電磁超音波トラン
スデューサの概略構成を示す図である。平面コイル41
には2本のエナメル線を相隣あうように手巻きし樹脂で
固めたものを用い、0.1mm程度の保護フィルム42
を平面コイル41(送信用コイル41a、受信用コイル
41b)に接着することにより、強磁性体の被測定物
(図示せず)の計測時の永久磁石43と該被測定物(図
示せず)の間の磁力により、設置時の平面コイル41の
損傷を防ぐようにしている。なお、図4(a)は偏向横
波用電磁超音波トランスデューサの平面図、同図(b)
は同図(a)のA−A断面図である。また、43aは互
いに磁気方向の異なる永久磁石43と43の間に介在す
るスペースである。
【0006】また、従来の電磁超音波発生検出コイルと
しては、例えば特開昭53−1078号公報に開示する
ように、2重渦巻状コイルを絶縁板の両側に設け、送信
用コイルと受信用コイルを分けているもの、特開昭62
−277555号公報に開示するように、平行型コイル
を片面に設け、送受信を1つのコイルで行なうようにし
たもの、特開昭53−23066号公報に開示するよう
に、平行型コイルを印刷技術を用いて8字状(向きの異
なるコイルが2つ配置されている)に片面に設けたもの
がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来構成の偏向横
波用電磁超音波トランスデューサにおいては、上記のよ
うに設置時の平面コイル41の損傷を防ぐため、保護フ
ィルム42を平面コイル41に接着する必要があった。
また、受信用コイル41と送信用コイルを同一平面に隣
合うように配置されているため平面コイル41が大型化
し、小型化できないという問題があった。また、平面コ
イル41はエナメル線を手巻きするので、線間のばらつ
きによりトランスデューサの性能にばらつきが生じ、安
定した品質が得られなかった。さらに外形寸法も大きく
なるという問題もあった。
【0008】また、特開昭53−1078号公報に開示
したものは、コイルを送信用と受信用に分けているが、
接続で2つのコイルのアース部を共通していないため、
S/N比が悪く、且つゲインも劣る。
【0009】また、特開昭62−277555号公報に
開示したものは、平行型コイルを片面に設け、送受信を
1つのコイルで行なうようにしているため、S/N比が
悪く、且つゲインも劣る。
【0010】また、特開昭53−23066号公報に開
示したものは、片面に平行型コイルを印刷技術を用いて
8字状に設けているため、寸法が大きくなり、また接続
で2つのコイルのアース部を共通していないため、S/
N比が悪く、且つゲインも劣る。
【0011】本発明は上述の点に鑑みてなされたもの
で、トランスデューサの性能向上、品質の安定、精密・
小型化を図った偏向横波用電磁超音波トランスデューサ
を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
請求項1に記載の発明は、絶縁シートの両面に形成した
導電性材料からなる渦巻状コイルを該絶縁シートを介在
させ両渦巻状コイルが互いに対向一致するように配
すると共に、絶縁シートの両面に配置した渦巻状コイ
ルはそれぞれ独立しその一方の端部はスルーホールを介
して他方の面に通じて外部線と接続し、他方はアース部
を共通にし、それぞれ絶縁材に覆われた構成の平面渦巻
コイルを具備し、該両渦巻状コイルの一方を電磁的作用
によって超音波を発生する送信用とし、他方を検知用と
することを特徴とする。
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1は本発明の偏向横波用電磁超
音波トランスデューサの平面図、同図(b)は同図
(a)のA−A断面図である。本偏向横波用電磁超音波
トランスデューサは永久磁石(又は電磁石)20と平面
渦巻コイル21を具備する構成である。平面渦巻コイル
21は絶縁シート21−1の両面にエッチング又は印刷
技術を用いて形成した導電性材料からなる渦巻状コイル
21−2と渦巻状コイル21−3を該絶縁シート21−
1を介在して互いに対向一致する(重なり合う)ように
配置し、更に渦巻状コイル21−2の面と渦巻状コイル
21−3の面に耐熱性で且つ絶縁性の接着材で絶縁シー
ト21−6、21−6を接着した構造である。
【0015】渦巻状コイル21−2及び渦巻状コイル2
1−3のいずれか一方は電磁超音波を発する送信用で、
他方は検知作用を有する受信用になっている。どちらが
上面にくるかは決まっていないが、電磁超音波トランス
デューサは、送信より受信特性の方が優れているので、
通常、送信面が被計測材料側に位置することが多い。
【0016】次に、上記構成の偏向横波用電磁超音波ト
ランスデューサの製造方法を図2に基づいて説明する。
先ず、図2の(1)に示すように、所定の外形寸法に切
断した厚さ25μm程度の耐熱性のある絶縁シート(例
えばポリイミド系の樹脂シート)21−6に厚さ18〜
75μm程度の銅箔21−4を接着材で接着したものを
2枚用意する。
【0017】次に、図2の(2)に示すように、銅箔2
1−4をエッチング処理して渦巻き状に形成し渦巻状コ
イル21−2、21−3のパターンを形成する。なお、
該パターンは回路印刷技術を用いて形成しても良いこと
は当然である。
【0018】次に、図2の(3)に示すように、渦巻状
コイル21−2、21−3のパターンが形成された絶縁
シート21−6のパターン形成側の面に耐熱性の接着材
21−5を塗布する。この接着材21−5は後述する絶
縁シートを接着するだけでなく、渦巻状コイル21−
2、21−3の隣合うパターン(線)間の絶縁材として
の役割も果たす。
【0019】次に、図2の(4)に示すように、耐熱性
のある絶縁シート21−1を渦巻状コイル21−2、2
1−3の上面に接着する。
【0020】次に、図2の(5)に示すように、絶縁シ
ート21−1の上面に接着材21−5を塗布する。
【0021】次に、図2の(6)に示すように、同図の
(2)で作成した渦巻状コイル21−2又は21−3の
パターンが形成された絶縁シート21−6を同図の
(5)で作成した絶縁シート21−1の上の接着材21
−5に接着して平面渦巻きコイル21が完成する。な
お、渦巻状コイル21−2及び21−3の一方の端部は
スルーホール22により絶縁シート21−6を通して他
方の面に通じ外部リード線と接続し、他方の端部はアー
ス部を共通にするように接続する(図1参照)。
【0022】上記製造方法に基づいて、図1に示す構成
の偏向横波用電磁超音波トランスデューサに用いる平面
渦巻コイルを製作した。寸法例は下記の通りである。絶
縁シート21−1の外形寸法は長さL=40mm、幅W
=25mm、厚さH=0.025mmである。該絶縁シ
ート21−1の両面に幅W1=0.1mm、間隔L1=
0.1mm、厚さH1=0.018mm、巻回数44の
渦巻状コイル21−2及び21−3を形成した。該渦巻
状コイル21−2及び21−3の抵抗値は50Ω、イン
ダクタンス40μHで、実用上十分な感度を有するトラ
ンスデューサの平面渦巻コイル21が得られる。
【0023】偏向横波用電磁超音波トランスデューサに
図1に示すような構成を採用することにより、下記のよ
うな優れた作用効果が得られる。
【0024】第1に、絶縁シート21−1は数十ミクロ
ン程度の例えばポリイミド系の耐熱性絶縁シートであ
り、該絶縁シート21−1を挟んで受信用コイルとなる
渦巻状コイル21−2又は21−3と受信用コイルとな
る渦巻状コイル21−3又は21−2は対向一致する
(重なり合う)位置にあるので、送信した波(超音波の
横波)の反射波を同じ位置で捕らえることができ、精度
のよい計測が可能である。
【0025】第2に、渦巻状コイル21−2及び21−
3のコイル間隔L1が精度良く作成されるので、安定し
た超音波の受信が可能となる。
【0026】第3に、絶縁シート21−6の接着に絶縁
性の接着材21−5を用いることにより、渦巻状コイル
21−2及び21−3のコイル間の絶縁も可能となり、
計測時1000V前後の電圧に耐え得ることが可能にな
る。
【0027】第4に、従来の渦巻状コイルにエナメル線
等の被覆銅線を手巻したものに比較し、両面にコイルを
配置することにより、小型化、精密化が可能になると共
に、絶縁シート21−6が保護フィルムの役割を兼ねる
ことができる。
【0028】第5に、スルーホール22を介して、反対
面でリード線との接合部とすることにより、被測定物と
渦巻状コイル21−2又は21−3の間に凹凸をなくす
ることが可能となる。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本願請求項に記載の
発明によれば、下記のような優れた効果が得られる。 (1)絶縁シートの両面に導電性材料からなる渦巻状コ
イルを該絶縁シートを介在して両渦巻状コイルが互いに
対向一致するように配置し、いずれか一方を受信用、他
方を送信用とするので、従来のように同一平面に隣合っ
て受信用コイルと送信用コイルとを配置するのに比較
し、渦巻状コイルの小型化が可能になる。
【0030】(2)絶縁シートの両面に配置した渦巻状
コイルの一方の渦巻状コイルを送信用とし、他方を受信
用とし、アース部を共通にするように両渦巻状コイルの
端部を接続するので、手作りでは製作できない性能の向
上、安定性、品質の均一化、小型・精密化、製作時間の
短縮そして理想的な平行コイルによる高能化(S/N
比の改善)が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の偏向横波用電磁超音波トランスデュー
サの概略構成を示す図で、同図(a)は平面図、同図
(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【図2】本発明の偏向横波用電磁超音波トランスデュー
サの平面渦巻コイルの製造方法を説明する図である。
【図3】電磁超音波トランスデューサの計測原理を説明
するための図である。
【図4】従来の偏向横波用電磁超音波トランスデューサ
の概略構成を示す図で、同図(a)は平面図、同図
(b)は同図(a)のA−A断面図である。
【符号の説明】 20 永久磁石(又は電磁石) 21 平面渦巻コイル 21−1 絶縁シート 21−2 渦巻状コイル 21−3 渦巻状コイル 21−4 銅箔 21−5 接着材 21−6 絶縁シート
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−1078(JP,A) 特開 昭63−302360(JP,A) 実開 昭63−111662(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G01N 29/00 - 29/28

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁シートの両面に形成した導電性材料
    からなる渦巻状コイルを該絶縁シートを介在させ
    渦巻状コイルが互いに対向一致するように配置すると共
    に、絶縁シートの両面に配置した渦巻状コイルはそれぞ
    れ独立しその一方の端部はスルーホールを介して他方の
    面に通じて外部線と接続し、他方はアース部を共通に
    し、それぞれ絶縁材に覆われた構成の平面渦巻コイルを
    具備し、該両渦巻状コイルの一方を電磁的作用によって
    超音波を発生する送信用とし、他方を検知用とすること
    を特徴とする偏向横波用電磁超音波トランスデューサ。
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