JP3049965B2 - 容量可変型斜板式圧縮機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両空調装置等に用い
られる容量可変型斜板式圧縮機に関するものである。

【０００２】

【従来技術】従来の容量可変型斜板式圧縮機（以下、単
に圧縮機という）として、例えば実開昭６２−１８３０
８２号公報に開示してあるものが知られている。この圧
縮機では、駆動軸にラグプレートが同期回転可能に固着
され、さらに前記駆動軸にはスリ−ブを介してスイング
プレートと斜板が固着されている。そして前記ラグプレ
ートには長孔が貫設してあり、回転駆動体から伸びるス
イングプレートに固着したヒンジピンが前記長孔と係合
することにより、ラグプレ−ト、ヒンジピン及びスイン
グプレートからなるヒンジ機構を形成している。また、
前記斜板の運動を往復直線運動に変換する機構を介し
て、シリンダボア内にある複数のピストンが往復直線運
動を行い、シリンダボア内に吸入された冷媒ガスを圧縮
し、また吐出する。

【０００３】この圧縮機においては、吸入室とクランク
室との圧力を調節する事により、斜板の傾斜角を変化さ
せ、圧縮容量を変化させることができる。圧縮容量が変
化する場合、前記ヒンジ機構を形成するヒンジピンがラ
グプレ−トにある長孔内をスライドする事により、スイ
ングプレート及び斜板が駆動軸に対して前後に摺動する
ため、ピストンの上死点位置を変化することなく圧縮容
量を変化させることができる。従って、斜板の角度が変
化しても斜板のトップ位置が変化せず、ピストンは圧縮
工程終了時においてほぼ一定のトップクリアランスを保
持するようになっている。

【０００４】しかし、同型圧縮機では最大容量時におい
て、ピストンから斜板に作用する圧縮反力の作用点と、
前記ヒンジピンの圧縮反力の支持点とが同一直線上に位
置するようになっているため、容量を減少するように斜
板を摺動させると、ピストンの圧縮反力を受ける作用点
が上方へ移動し、ヒンジピンでの圧縮反力の支持点が下
方へ移動するため、圧縮反力を受ける作用点と支持点が
同一直線上でなくなり、さらに、トップ位置にあるピス
トンの圧縮反力が斜板の傾斜角をさらに減少させる方向
への曲げモ−メントとして作用し、容量を減少する動作
の応答性が過剰となり、逆に小容量から大容量への斜板
の動作は鈍重であり、容量制御性が悪いという問題点が
あった。

【０００５】また、複数あるシリンダボア内の、吸入側
の低い圧力と、吐出側の高い圧力との圧力差により、ヒ
ンジ機構には、吐出側から吸入側にかけて曲げモ−メン
トが発生し、吸入側の吸入反力及び吐出側の圧縮反力の
支持点である一本のヒンジピンに前記曲げモ−メントが
集中するため、容量可変を行う際、長孔内でのヒンジピ
ンの動きが鈍く、容量制御性が悪いという問題点もあっ
た。

【０００６】そこで本件発明者らは、特願平３−６７３
６５号（平成３年３月３０日出願「容量可変型斜板式圧
縮機」）において、ヒンジ機構に長孔とヒンジピンを用
いるのでなく、ラグプレ−トにガイド孔を形成し、さら
に前記ガイド孔には軸受けを形成し、回転支持体に固着
した案内ピンを、前記軸受けを有したガイド孔に挿入す
ることにより形成した新たなヒンジ機構を提案した。

【０００７】この新たなヒンジ機構では斜板の角度が変
化しても、ピストンから斜板に作用する圧縮反力の作用
点と、前記案内ピンの圧縮反力の支持点とが常に同一直
線上Ｐに位置することができるため、従来、圧縮反力の
作用点と支持点が同一直線上にないことが原因であった
曲げモ−メントは発生せず従って、案内ピンの動きは円
滑であり、容量制御性が良好である。

【０００８】さらに先の提案では、ピストンが上死点位
置にある時、該ピストンと平行である駆動軸を跨ぐよう
にヒンジ機構の支点位置を一対設けるという、圧力二点
支持のヒンジ機構も提案している。該圧力二点支持のヒ
ンジ機構では、吸入側の低い圧力と、吐出側の高い圧力
とをそれぞれ別のヒンジ機構により支持するため、吸入
側と吐出側の圧力差により発生する曲げモ−メントを、
圧力二点支持のヒンジ機構により好適に受けることがで
きるため、前記曲げモ−メントが原因であった容量制御
性の難点を解決した。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】しかし、前記新たなヒ
ンジ機構及び、圧力二点支持のヒンジ機構を用いた圧縮
機では、ラグプレ−トに突設した支持アームの円環部が
案内ピンを受承している部分において、円環部と案内ピ
ンの受承には高い加工精度が要求されかつ、円環部に案
内ピンを結合保持する組付けが困難であるという問題点
がある。即ち、円環部に案内ピンを保持するには、円環
部に案内ピンをはめ込んだ後、円環部周囲に予め形成し
ておいた、かしめ用の凸部でかしめることにより、円環
部と案内ピンを保持する方法や、円環をあらかじめ二つ
に分割しておき、案内ピンを前記分割した円環で挟み込
み保持したのち、分割部を溶接することにより案内ピン
を保持する方法等がある。しかし、前者の方法ではかし
め、また後者の方法では一旦分割した円環部の溶接とい
う複雑な作業手段を用いなければならず、手間がかかる
だけでなく、高精度が要求される箇所であるにもかかわ
らず、かしめ又は溶接を用いるため組付精度が低下する
という問題がある。

【００１０】本発明は、支持アームが案内ピンを保持す
る際、容易かつ正確に案内ピンを保持することを解決す
べき課題とする。

【００１１】

【課題を解決するための手段】そこで、本発明では上記
課題を解決するために、ハウジング内に吸入室、吐出
室、クランク室及び複数のシリンダボアを有し、前記ハ
ウジングに回転自在に支承された駆動軸にはラグプレー
トを固着するとともに、駆動軸に傾動可能に枢支されか
つ前記ラグプレ−トにヒンジ機構を介して斜板を連結
し、該斜板には、斜板の揺動運動を往復直線運動に変換
する機構を介して、前記複数のシリンダボア内に収容さ
れた複数のピストンを係留し、吸入室とクランク室の圧
力差を調節することにより斜板傾角を変化させシリンダ
ボア内の圧縮容量を変化させる容量可変型斜板式圧縮機
において、前記ラグプレートに前記駆動軸を跨ぐように
突設した一対の支持アームと斜板及び両者を結合する案
内ピンとから前記ヒンジ機構を構成し、前記支持アーム
は前記案内ピンを回動自在に保持しかつ、該案内ピンは
前記支持アームもしくは斜板にスライド可能に挿入して
おり、前記支持アームには、案内ピンからの圧縮反力及
び吸入反力を受承しかつ、支持アームから案内ピンへ回
転力を伝達する受承面及び開口部を形成するようにし
た。

【００１２】なお、上記一対のヒンジ機構内の支持アー
ムの開口部は、それぞれ異なる向きに開口させることが
好ましい。

【００１３】

【作用】本発明において、ピストンが上死点位置にある
時、該ピストンと平行である駆動軸を跨ぐように一対の
支持アームを有するラグプレートにより、吸入側支持ア
ームと吐出側支持アームとに分かれるため、圧力を分掌
しつつ好適に受承できる。

【００１４】また、案内ピンがラグプレートに対して回
動しつつ、斜板又はラグプレート内をスライドできるた
め、斜板の角度が変化してもラグプレートにおける圧縮
反力及び吸入反力の支持点位置は変化せず、ピストンの
トップクリアランスがほぼ一定に保たれる。さらに、案
内ピンを保持するためにラグプレートに突設している一
対の支持アームの少なくとも一方は案内ピンからの圧縮
反力を受承し、吸入反力の作用する面には吸入反力を受
承し、また、少なくとも一方には支持アームから案内ピ
ンへ回転力を伝達するそれぞれの受承面を有し、その他
の面は開口部としたことにより、案内ピンを支持アーム
の開口部より容易にはめ込むことができる。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を具体化した第一実施例及び第
二実施例を図１から図７に基づいて説明する。まず、第
一実施例では図１に示すように、シリンダブロック１の
一端側にはフロントハウジング２が接合し、他端側には
リアハウジング３がバルブプレート４を介して接合して
いる。シリンダブロック１とフロントハウジング２とで
形成しているクランク室５内には、駆動軸６が軸受け７
を介して回転可能に支持されている。シリンダブロック
１は、駆動軸６を取り囲む位置に複数個のシリンダボア
８を設置しており、ピストン９は各シリンダボア８にそ
れぞれ嵌挿している。ピストン９の中心軸線は駆動軸６
の軸心に対し平行となっている。

【００１６】クランク室５内において駆動軸６は、ラグ
プレ−ト１０を該駆動軸６と一体回転可能かつ垂直に支
持するとともに、スリーブ１１を回転可能かつスライド
可能に支持している。ラグプレ−ト１０とスリーブ１１
との間には押圧バネ１２が介在しており、スリーブ１１
をリアハウジング３方向へ付勢する。図１に示すように
スリーブ１１は、駆動軸６を包囲するように環状に形成
された回転駆動体１３を前後揺動可能に支承しており、
その上部前面には一対のブラケット１３ａ、１３ｂが駆
動軸６を挟むように左右から突設している。そして前記
ラグプレ−ト１０の上部後面には、一対の支持アーム１
４Ａ、１４Ｂが前記ブラケット１３ａ、１３ｂと対向す
るように突設されている。

【００１７】両支持アーム１４Ａ、１４Ｂの内面には、
案内ピン１５Ａ、１５Ｂの球体部１５ａ、１５ｂを保持
するための球面状凹部の圧力受承面１４ａ、１４ｂが設
けてあり、また図２に示すように、前記両支持アーム１
４Ａ、１４Ｂには、一方向に開口する、案内ピン１５
Ａ、１５Ｂをはめ込むための開口部３０Ａ、３０Ｂも設
けてある。

【００１８】回転駆動体１３の各ブラケット１３ａ、１
３ｂの先端部にはボス１６Ａ、１６Ｂが設けてあり、案
内ピン１５Ａ、１５Ｂの棒状部３１Ａ、３１Ｂがボス１
６Ａ、１６Ｂのガイド孔１６ａ、１６ｂにスライド可能
に挿通している。駆動軸６上におけるスリーブ１１の前
後摺動及び回転駆動体１３の前後摺動に伴い、各案内ピ
ン１５Ａ、１５Ｂがボス１６Ａ、１６Ｂのガイド孔１６
ａ、１６ｂ内を摺動しつつ、球体部１５ａ、１５ｂを中
心として揺動する。従って、駆動軸６上におけるスリー
ブ１１の位置や回転駆動体１３の傾角に係わらず、ラグ
プレ−ト１０と回転駆動体１３とが両案内ピン１５Ａ、
１５Ｂを介して同期回転可能に連結している。

【００１９】図１に示す押圧バネ１２の最圧縮状態で
は、回転駆動体１３の下部背面に斜状に形成した当接面
１３ｃがラグプレ−ト１０に当接し、これにより回転駆
動体１３は最大傾角を設定できるようになっている。図
１に示すように、回転駆動体１３の外周部には斜板１７
が嵌着されており、該斜板１７と前記案内ピン１５Ａ、
１５Ｂ及び一対の支持アーム１４Ａ、１４Ｂとからなる
ヒンジ機構が形成されている。そして、各シリンダボア
８内のピストン９の基端は係留凹部を形成し、各係留凹
部では斜板１７の外周部が一対のシュー１９を介して係
留することで、斜板１７の回転運動を往復直線運動に変
換する機構を構成している。従って、駆動軸６の回転運
動はラグプレ−ト１０、案内ピン１５Ａ、１５Ｂ及び回
転駆動体１３を介して斜板１７の回転運動として伝達さ
れ、前記往復直線運動に変換する機構を介することによ
り各ピストン９がシリンダボア８内を前後に往復動され
る。

【００２０】リアハウジング３内は、隔壁２０によって
吸入室２１及び吐出室２２に区画されている。バルブプ
レート４には各シリンダボア８に対応して吸入口２３及
び吐出口２４が開口形成されており、バルブプレート４
とピストン９との間に形成される圧縮室２５が吸入口２
３及び吐出口２４を介して吸入室２１及び吐出室２２に
連通される。各吸入口２３及び吐出口２４には吸入弁２
６及び吐出弁２７がそれぞれ設けられており、これらは
ピストン９の往復運動に応じて吸入口２３及び吐出口２
４を開閉する。

【００２１】ピストン９の往復動により吸入室２１から
圧縮室２５へ流入した冷媒ガスは、圧縮されつつ吐出室
２２へ吐出する。この時、シリンダボア８内のピストン
９の端面に作用する圧力と、ピストン９の背面に作用す
るクランク室５内の圧力との圧力差によって、スリーブ
１１は駆動軸６上を前後にスライドし、これにより斜板
１７の傾角が変化してピストン９のストロークが変化す
る。なお、リアハウジング３には容量制御弁機構２８が
設けてあり、この容量制御弁機構２８がクランク室５内
の圧力を制御している。

【００２２】また、クランク室５内の圧力と吸入圧力と
の差圧に基づく斜板１７の傾角変化に伴い、前記ヒンジ
機構を構成している両案内ピン１５Ａ、１５Ｂの球体部
１５ａ、１５ｂがラグプレ−ト１０に形成された圧力受
承面１４ａ、１４ｂに対して摺動かつ同期回転しつつ、
斜板１７より延びた回転駆動体のブラケット１３ａ、１
３ｂに掘設されたガイド孔１６ａ、１６ｂ内をスライド
するとともに、回転駆動体１３は斜板１７のトップ位置
が一定に保たれるように駆動軸６上をスライドしつつ傾
動する。これにより、斜板１７は傾角に係わらずピスト
ン９のトップクリアランスを一定に保つことができる。

【００２３】図２はピストン９がシリンダボア８最上部
で上死点位置にある圧縮機の平面図である。図２に示し
てあるＸ方向は駆動軸６に平行であり、フロントハウジ
ング２からリアハウジング３側へ向かう方向を示し、Ｘ
方向の逆方向を−Ｘ方向とする。また、Ｙ方向はＸ方向
と直交し、支持アーム１４Ｂから支持アーム１４Ａへ向
かう方向であり、Ｙ方向の逆方向を−Ｙ方向とする。

【００２４】図２において、駆動軸６は常に矢印Ｒの方
向に回転するので、前記支持アーム１４Ａには常に吸入
側の圧力が作用し、また支持アーム１４Ｂには常に吐出
側の圧力が作用する。吸入側の圧力が作用する支持アー
ム１４Ａでは、−Ｘ方向へ斜板１７からの圧縮反力が作
用し、また、Ｘ方向へは吸入反力が作用する。つまり圧
力受承面としては、Ｘ、−Ｘ方向の受承面を設ければよ
く従って、案内ピン１５Ａを容易にはめ込むには、前記
Ｘ、−Ｘ方向に直交しているＹ方向に案内ピン１５Ａの
径よりも大きな幅を有する開口部３０Ａを形成すればよ
い。

【００２５】一方、吐出側圧力が作用する支持アーム１
４Ｂでは、−Ｘ方向への斜板１７からの圧縮反力の他
に、−Ｙ方向へ作用しているラグプレ−ト１０から案内
ピン１５Ｂへ回転力を伝達する必要がある。つまり、受
承面としては、圧縮反力を受承する−Ｘ方向の受承面
と、回転力を伝達するＹ方向の受承面を設ければよい。
従って案内ピン１５Ｂを容易にはめ込むには、Ｘ方向か
ら時計回りに−Ｙ方向にかけての任意の領域において、
案内ピン１５Ｂの径よりも大きな幅の開口部３０Ｂを有
する支持アーム１４Ｂとすればよい。

【００２６】なお、前記開口部３０Ａ及び３０Ｂは互い
に異なる方向に開口部を持っているため、一度組付けた
案内ピンが支持アームから脱落する心配はない。上記開
口部３０Ａ、３０Ｂを有する支持アーム１４Ａ、１４Ｂ
を用いても、斜板１７の角度が変化した場合のピストン
９から斜板１７に作用する圧縮反力の作用点と、案内ピ
ン１５Ａ、１５Ｂの圧縮反力の支持点とが常に同一直線
上Ｐに位置しており、案内ピン１５Ａ、１５Ｂの動きは
円滑である。従って支持アーム１４Ａ、１４Ｂに開口部
を有しても容量制御性は良好である。

【００２７】なお、吸入側の支持アームとして図４に示
すように、−Ｙ方向ヘの球面加工を深くした支持アーム
１４Ｃを用いることもできる。支持アーム１４Ｃでは球
面加工を深くしたことにより、案内ピン１５Ａと支持ア
ーム１４Ｃとの間で隙間ができ、案内ピン１５Ａを組付
けた際に生じるＹ、−Ｙ方向の案内ピンの組付け誤差を
前記隙間により吸収できる。なお、吸入側の支持アーム
１４Ｃには、ピストン９から斜板１７を介して伝わる圧
力としては、−Ｘ方向の圧縮反力とＸ方向の吸入反力し
かなく、前記二つの反力と直行する−Ｙ方向で球面加工
を深くした支持アーム１４Ｃは、支持アーム１４Ａと比
べて圧力受承上の差はない。

【００２８】次に本発明の第二実施例を図５から図７に
示す。この第二実施例では、ヒンジ機構のみ第一実施例
と異なるので以下、第二実施例のヒンジ機構について説
明する。なお、第一実施例と共通する部位については同
一の符号を付して説明する。第二実施例において駆動軸
６と結合しているラグプレ−ト１０の後面には、取り付
け孔５３ａ、５３ｂを形成した支持アーム５３Ａ、５３
Ｂがラグプレ−ト１０と一体に形成しており、前記取り
付け孔５３ａ、５３ｂでは球体５２Ａ、５２Ｂを回転摺
動自在に保持しており、該球体５２Ａ、５２Ｂの中央に
はガイド孔５２ａ、５２ｂがある。そして該ガイド孔５
２ａ、５２ｂには棒状案内ピン５０Ａ、５０Ｂが往復摺
動可能に挿通支持してあり、該棒状案内ピン５０Ａ、５
０Ｂの基端部は、回転駆動体１３にある固定孔５４ａ、
５４ｂへ貫通固定しており、該回転駆動体１３は球体５
２Ａ、５２Ｂを中心に前後方向へ揺動可能となってい
る。そして該ヒンジ機構を有した圧縮機は第一実施例の
圧縮機と同じく、クランク室５内の圧力と吸入圧力との
差圧に基づく斜板１７の傾角変化に伴い、ラグプレ−ト
１０と同期回転している棒状案内ピン５０Ａ、５０Ｂ
は、支持アーム５３Ａ、５３Ｂに形成された球体内部の
ガイド孔５２ａ、５２ｂ内をスライドすると共に、前記
球体５２Ａ、５２Ｂは取り付け孔５３ａ、５３ｂ内を回
転摺動すると共に、回転駆動体１３は斜板１７のトップ
位置が一定に保たれるように駆動軸６上をスライドしつ
つ傾動することができこれにより、斜板１７は傾角に係
わらずピストン９のトップクリアランスを一定に保つこ
とができる。

【００２９】図６においても図２と同様に、駆動軸６は
常に矢印Ｒの方向に回転するので、前記支持アーム５３
Ａには常に吸入側の圧力が作用し、また支持アーム５３
Ｂには常に吐出側の圧力が作用する。従って第一実施例
と同様に、吸入側ではＹ方向に球体５２Ａよりも大きな
開口部３０Ａを有する支持アーム５３Ａとすことがで
き、吐出側では、Ｘ方向から時計回りに−Ｙ方向までの
任意の領域で、球体５２Ｂよりも大きな開口部３０Ｂを
有する支持アーム５３Ｂとすることにより、案内ピン５
０Ａ、５０Ｂを支持アーム５３Ａ、５３Ｂへ容易にはめ
込むことができる。

【００３０】なお、前記開口部３０Ａ及び３０Ｂは第一
実施例と同様に互いに異なる方向に開口部３０Ａ、３０
Ｂを持っているため、一度組付けた案内ピンが支持アー
ムから脱落する心配はない。上記第二実施例の開口部を
有する支持アーム５３Ａ、５３Ｂを用いて、第一実施例
と同様にピストン９から斜板１７に作用する圧縮反力の
作用点と、案内ピン５０Ａ、５０Ｂの圧縮反力の支持点
とは常に同一直線上Ｐに位置しており、案内ピン５０
Ａ、５０Ｂの動きは円滑であり、容量制御性も第一実施
例と同様に良好である。

【００３１】また、吸入側の支持アームとしても第一実
施例と同様に図４に示すように、−Ｙ方向へ球面加工を
深くし、棒状案内ピン５０Ａと支持アーム５３Ａとの間
に隙間ができる支持アームを用いることにより、棒状案
内ピン５０Ａを組付けた際に生じるＹ、−Ｙ方向の案内
ピンの組付け誤差を、前記隙間により吸収できる。な
お、本発明は第一実施例及び第二実施例にあるシュー１
９を用いた斜板とピストンの連結機構に代えて、ピスト
ンロッド及び揺動斜板を介して斜板とピストンの間を連
結する機構を用いた圧縮機、いわゆるワッブル型圧縮機
においても実施可能である。

【００３２】

【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、圧
縮反力と吸入反力とを一対の支持アームにより好適に受
承することができるため圧縮機の信頼性が向上し、ま
た、案内ピンを支持アームの開口部より容易にはめ込む
ことができるため、圧縮機の信頼性が向上する。

【００３３】さらに、吸入側および吐出側支持アームの
開口部はそれぞれ同一方向でないものとすれば、二本の
案内ピンがそれぞれの支持アームから脱落することを確
実に防止できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の第一実施例を示す断面図である。

【図２】 第一実施例でのラグプレ−ト近傍の構造を示
す一部断面平面図である。

【図３】 図１におけるＡ−Ａ断面の上半分の断面図で
ある。

【図４】 第一実施例の変形例でラグプレ−ト近傍の構
造を示す一部断面平面図である。

【図５】 本発明の第２実施例を示す断面図である。

【図６】 第二実施例でのラグプレ−ト近傍の構造を示
す一部断面平面図である。

【図７】 図５におけるＢ−Ｂ断面の上半分の断面図で
ある。

【符号の説明】

１─ハウジングを構成するシリンダブロック、５─クラ
ンク室、６─駆動軸、８─シリンダボア、９─ピスト
ン、１０─ラグプレ−ト、１１─スリーブ、１３─回転
駆動体、１４Ａ、１４Ｂ、１４Ｃ、５３Ａ、５３Ｂ─支
持アーム、１４ａ、１４ｂ─受承面、１５Ａ、１５Ｂ、
５０Ａ、５０Ｂ─案内ピン、１７─斜板、２１─吸入
室、２２─吐出室、３０Ａ、３０Ｂ─開口部

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F04B 27/10

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ハウジング内に吸入室、吐出室、クランク
   室及び複数のシリンダボアを有し、前記ハウジングに回
   転自在に支承された駆動軸にはラグプレートを固着する
   とともに、駆動軸に傾動可能に枢支されかつ前記ラグプ
   レ−トにヒンジ機構を介して連結された斜板には、その
   揺動運動を往復直線運動に変換する機構を介して、前記
   複数のシリンダボア内に収容された複数のピストンを係
   留し、吸入室とクランク室の圧力差を調節することによ
   り斜板傾角を変化させてシリンダボア内の圧縮容量を変
   化させるようにした容量可変型斜板式圧縮機において、
   前記ラグプレートに前記駆動軸を跨ぐように突設した一
   対の支持アームと斜板及び両者を結合する案内ピンとか
   ら前記ヒンジ機構を構成し、前記支持アームは前記案内
   ピンを回動自在に保持しかつ、該案内ピンは前記支持ア
   ームもしくは斜板にスライド可能に挿入されており、前
   記支持アームには、案内ピンからの圧縮反力及び吸入反
   力を受承しかつ、支持アームから案内ピンへ回転力を伝
   達する受承面及び開口部を形成したことを特徴とする容
   量可変型斜板式圧縮機。
2. 【請求項２】前記支持アームの開口部は、それぞれ異な
   る向きに開口していることを特徴とする請求項１記載の
   容量可変型斜板式圧縮機。