JP3048928U - 輸送用防振パレット - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 測定機器等の精密機器類の輸送に際し，エア
サスペンション仕様車輌等の特殊車輌を使用することな
く，該精密機器類を外部振動から守り輸送するためのパ
レットに関するものである。 【解決手段】 格子状の支持桟を有する枠体からなる上
下デッキを設けるとともに，該上下デッキ間の四隅にベ
ローズ形空気ばねを配置し，該ベローズ形空気ばねと上
下デッキとを連結したことおよびさらにこれに加えてベ
ローズ形空気ばねの近傍に捩じり止めを設けたことによ
り，輸送中，デッキ上に載置した精密機器類に，許容衝
撃値以上の振動が加わることを阻止し，一般車輌を使用
して，精密機器類を安全に輸送して，輸送コストの低減
を図る。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は，例えば精密測定機器等の精密機器類の輸送に際し，該精密機器類を 外部振動から守り輸送するためのパレットに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

近年，精密測定機器等の精密機器類の輸送に際しては，エアサスペンション仕 様車輌を使用することが主流となっている。ところが，少量の輸送の場合でも， 上記のようなエアサスペンション仕様車輌のような特殊車輌の使用は，チャータ ー便扱いとなり，輸送コストアップの最大の原因となっている。

【０００３】 そこで，上記のような場合，特殊な装備を必要としない通常車輌による輸送お よび他製品との積み合わせ輸送が可能となれば，輸送コストを低減することがで き，極めて効果的である。

【０００４】 しかしながら，従来から，上記のような目的を達成するための適当な手段は存 在しなかった。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

本考案は，上記のような問題点を解決し，輸送コストの低減を図ることを目的 とするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

すなわち，本考案は，格子状の支持桟を有する枠体からなる上下デッキを設け るとともに，該上下デッキ間の四隅にベローズ形空気ばねを配置し，該ベローズ 形空気ばねと上下デッキとを連結したことおよび，前記ベローズ形空気ばねの近 傍に捩じり止めを設けたことにより，上記の課題の解決を図ったものである。

【０００７】

【考案の実施の形態】

以下，図面により本考案について説明する。図１は本考案の正面図，図２は平 面図である。図１乃至図２において，１は上部デッキ，２は下部デッキで，それ ぞれ鋼製の枠体３および該枠体３間に縦横に架設した支持桟４で構成する。５は 該枠体３の四隅に設けた空気ばね取付け部，６は該空気ばね取付け部５に取付け たベローズ形空気ばねで，上部デッキ１および下部デッキ２との間に介在させて ある。７は該ベローズ形空気ばね６を上部デッキ１および下部デッキ２に固定す るボルト，８はベローズ形空気ばね６への空気注入バルブである。また，９は前 記ベローズ形空気ばね６の近傍で，かつ上部デッキ１および下部デッキ２との間 に介在，固定した捩じれ止め，１０はベローズ形空気ばね６を上部デッキ１およ び下部デッキ２に固定する台座である。

【０００８】 本考案パレットを組立てるには，先ず，鋼製の枠体３および，該枠体３間に縦 横に架設した支持桟４で構成した上部デッキ１および下部デッキ２を準備し，そ れぞれ，その四隅に設けた空気ばね取付け部５に台座１０を介してベローズ形空 気ばね６をボルト７により取付ける。さらに，捩じれ止め９を，該ベローズ形空 気ばね６の近傍で，かつ上部デッキ１および下部デッキ２との間に介在させて固 定する。また，空気注入バルブ８から送入する空気量を調節して，ベローズ形空 気ばね６の受圧荷重を設定する。

【０００９】 本考案パレットは，このように構成されているので，精密機器類の輸送に際し ては，本考案パレットを輸送用車輌の荷台（図示せず）等にボルト等により固定 した後，上部デッキ１の上に輸送する精密機器を載置すれば，該精密機器は，枠 体３の支持桟４によって保持固定される。従って，輸送中，外部から加わる振動 は，上部デッキ１および下部デッキ２の四隅に設けたベローズ形空気ばね６の運 動により吸収され，また，上部デッキ１あるいは下部デッキ２に加わる捩じれ力 は，捩じれ止め９により抑制されるので，上部デッキ１上に載置した精密機器に は許容衝撃値（１０Ｇ）以上の衝撃は伝達されず，特に垂直方向には１Ｇ以上の 力は加わらず，従って，運搬中の精密機器が外部振動に起因する故障を生じるこ とはない。

【００１０】 なお，本考案パレットの諸元の一例を示すと，以下のとおりである。 但し，パレットおよびベローズ形空気ばねの大きさ，性能等は，輸送する精密 機器の形状，重量等に応じて適宜変更することが可能であることは勿論である。

【００１１】

【実施例】

つぎに，本考案パレットを使用して，精密機器をテスト輸送した場合の実例を 示す。 （１）輸送条件 ａ．輸送用車種 ４トン積みウイングゲート装備（車輌総重量８トン） ｂ．輸送精密機器の重量 １，０００ｋｇ（空気ばね受圧１，０００／４，空 気ばね１個当たり，２５０ｋｇ） ｃ．輸送精密機器積み付け位置 車輌後輪・荷台上部 ｄ．積み合わせ貨物の重量 ２，６００ｋｇ ｅ．空気ばね設定内圧 ４ｋｇｆ／ｃｍ^２ （２）輸送区間および道路 ａ．走行区間 神奈川県厚木市〜大阪市内 ｂ．走行道路 一般道路〜厚木ＩＣ（東名・名神高速道路）〜豊中ＩＣ・阪神 豊中ランプ（阪神東線・大阪環状線）〜福島ランプ〜一般道路 ｃ．走行距離 ６００ｋｍ （３）走行テスト中の衝撃記録 ａ．衝撃記憶計 山一電機（株）製 型番ＩＭ６０６０Ｔ（３軸６方向） ｂ．記録データ数 ３，０００（記憶設定 １Ｇ以上関知記録） ｃ．最大衝撃記録 各走行区間における最大衝撃記録は下記のとおりである。 （４）テスト結果 走行テスト衝撃記録Ｇデータ数３，０００の中から走行道路別の最大衝撃値を 抽出したが，精密測定機器の許容衝撃値（Ｇ）１０Ｇを越える記録はなかった。 車輌の進路変更時の左右方向（Ｘ）の衝撃値は，空気ばねの特性から若干他の記 録より高めの値が記録されたが，許容範囲内に収まっていた。また，発進・減速 （ブレーキ使用）時の前後方向（Ｙ）の衝撃に対しても吸収性を発揮し，特に上 下方向（Ｚ）の衝撃吸収特性に優れ，ベクトル値についても許容できる衝撃範囲 内の値で，全ての条件を満たしていた。

【００１２】

【考案の効果】

以上説明したように，本考案パレットは，運搬中，載置した精密機器に外部か ら，許容衝撃値（１０Ｇ）以上の振動が伝達されることがないので，精密機器の 輸送に際し，エアサスペンション仕様車輌のような特殊車輌を使用することなく ，一般の車輌を使用して，精密機器の輸送を行うことができ，また，少量ロット の精密機器の輸送に際しても，特殊車輌を使用する必要がなく，精密機器とその 他の貨物を混載して輸送することも可能となり，従って，輸送コストの低減を図 ることができる等々，その効果は多大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の正面図。

【図２】本考案の平面図。

【符号の説明】

１ 上部デッキ ２ 下部デッキ ３ 枠体 ４ 支持桟 ５ 空気ばね取付け部 ６ ベローズ形空気ばね ７ ボルト ８ 空気注入バルブ ９ 捩じれ止め １０ 台座

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 格子状の支持桟を有する枠体からなる上
   下デッキを設けるとともに，該上下デッキ間の四隅にベ
   ローズ形空気ばねを配置し，該ベローズ形空気ばねと上
   下デッキとを連結したことを特徴とする輸送用防振パレ
   ット。
2. 【請求項２】 上下デッキ間の四隅に設けたベローズ形
   空気ばねの近傍に，捩じり止めを設けたことを特徴とす
   る請求項１記載の輸送用防振パレット。