JP3048090B2

JP3048090B2 - 容量可変型斜板式圧縮機

Info

Publication number: JP3048090B2
Application number: JP4222758A
Authority: JP
Inventors: 真広川口; 正法園部; 繁樹神崎; 智彦横野; 健二竹中
Original assignee: Toyota Industries Corp
Current assignee: Toyota Industries Corp
Priority date: 1992-04-28
Filing date: 1992-08-21
Publication date: 2000-06-05
Anticipated expiration: 2015-06-05
Also published as: JPH0610834A

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両空調装置等に用い
られる容量可変型斜板式圧縮機に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来の容量可変型斜板式圧縮機（以下、
単に圧縮機という。）として、実開昭６２−１８３０８
２号公報に開示されたものが知られている。この圧縮機
においては、クランク室内の駆動軸に回転支持体が嵌合
固定され、この回転支持体に突設された支持アームには
長孔が形成されている。この長孔には、連結ピンが摺動
案内され、連結ピンを介して回転駆動体が前後方向へ傾
動可能に連結されている。回転駆動体には摺動可能に斜
板が取り付けられ、斜板と複数のシリンダボア内に収容
された各ピストンとの間にはそれぞれピストンロッドが
介在されている。こうして、この圧縮機では、駆動軸の
回転運動を回転駆動体の回転運動を介して斜板の揺動運
動に変換し、この斜板の揺動運動が各ピストンの往復動
に変換されるようになっている。また、クランク室内の
圧力により斜板の傾角が制御され、これによりピストン
のストロークが変化され、もって圧縮容量が変化する。
このとき、回転支持体の支持アームに形成された長孔に
より回転駆動体及び斜板の傾動動作が規制されるため、
最終圧縮行程終了時においてはピストンのトップクリア
ランスが常に略一定に保持され、斜板の傾角変化にかか
わらず斜板のトップ位置が前後に変位しないようになさ
れている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記従来の
圧縮機は、斜板の傾角が最大となって圧縮機の吐出容量
が最大のときに、ピストン及びピストンロッドを介して
斜板に作用する圧縮反力の斜板上における作用点位置
と、回転支持体の支持アームに形成された長孔内におけ
る連結ピンを介した圧縮反力の支点位置とが駆動軸に平
行な直線上に位置するように設計されている。そのた
め、斜板の傾角減少に伴い、連結ピンを介した圧縮反力
の支点位置が長孔内を下方へ移動すると共に、トップ位
置にあるピストンの圧縮反力を受ける斜板上の作用点位
置が支点位置に対して相対的に上方へ移動する。その結
果、トップ位置にあるピストンを介した圧縮反力の作用
点位置が、連結ピンを介した圧縮反力の支点位置よりも
駆動軸から遠ざかるため、圧縮反力に基づいて斜板の傾
角を更に減少させようとするモーメントが発生し、この
モーメントの影響によって吐出容量を減少する動作が過
敏になる。これに対し、斜板の傾角増大方向への動作は
モーメントによって少なからず阻害されるため、吐出容
量を増大する動作は鈍重となり、全体として吐出容量の
制御性が必ずしも良好ではなかった。

【０００４】そこで、本願発明者等は、ピストンのトッ
プクリアランスを略一定に保ちつつ吐出容量の制御性を
向上させるため、圧縮反力の支点位置が位置変位しない
ようにしたヒンジ機構を備える圧縮機を提案した（特願
平３−２４１９９８号）。この提案のヒンジ機構は、図
９に示すように、シリンダブロック４５等によって形成
されたクランク室４２内において、図示しない回転支持
体に後方側へ突出して設けられた一対の支持アーム４１
Ａ、４１Ｂと、各支持アーム４１Ａ、４１Ｂにその基端
が前後方向へ回動可能に把持されるとともにその脚部が
斜板側に設けられた一対のガイド孔４３Ａ、４３Ｂにス
ライド可能に挿通された一対のガイドピン４４Ａ、４４
Ｂとで構成されている。かかるヒンジ機構における支点
位置Ｐ₁、Ｐ₂は、支持アーム４１Ａ、４１Ｂに回動自
在に把持されたガイドピン４４Ａ、４４Ｂの基端に存在
し、位置変位しない。

【０００５】しかしながら、上記提案の圧縮機では、支
持アーム４１Ａ、４１Ｂに把持される球体部４４ａ、４
４ｂをガイドピン４４Ａ、４４Ｂの基端に形成しなけれ
ばならず、面倒な球面加工工程を要する。また、かかる
球体部４４ａ、４４ｂを支持アーム４１Ａ、４１Ｂに把
持させる場合でも、現実には、支持アーム４１Ａ、４１
Ｂに円孔を形成し、この円孔内に球面状凹部をもつ２分
割された外輪ブッシュをサークリップにより抜け止めし
なければならず、部品点数が増大してしまう。このた
め、かかる圧縮機では、製造コストが高騰してしまうと
いう欠点があった。

【０００６】本発明は、前記提案に基づき更に改良を加
えたものであって、ピストンのトップクリアランスを略
一定に保ちつつ圧縮反力に基づくモーメントによる容量
制御の阻害を防止するとともに、製造コストの低廉化を
実現することを解決すべき課題とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の圧縮機は、上記
課題を解決するため、前記ヒンジ機構は、前記回転支持
体に後方側へ突出して設けられ、軸直角方向に延びる円
筒状の主ガイド孔をもつ支持アームと、該主ガイド孔に
回動可能に挿入された円柱状の主ガイドピンと、該主ガ
イドピンと直交して延在し、一端側が該主ガイドピン及
び前記斜板側の一方に形成された副ガイド孔にスライド
可能に挿通され、他端側が他方に固着された副ガイドピ
ンとを備えてなるという新規な構成を採用している。

【０００８】本発明の圧縮機において、支持アームは、
斜板の上死点位置を跨いで対向し、主ガイドピンの両端
を支持する主ガイド孔をもつことが好ましい。本発明の
圧縮機において、支持アームの主ガイド孔と主ガイドピ
ンとの間にはころがり軸受を設けることがさらに好まし
い。

【０００９】

【作用】本発明の圧縮機では、クランク室内の圧力と吸
入圧力との差圧に基づく斜板の傾角変化に伴い、主ガイ
ドピンが回転支持体に対して主ガイド孔により前後方向
へ回動し、同時に副ガイドピンが主ガイドピン及び斜板
側の一方に形成された副ガイド孔内を摺動するため、斜
板はそのトップ位置が定位置に保たれるように駆動軸上
をスライドしつつ傾動する。これにより、斜板の傾角に
かかわらずピストンのトップクリアランスが常に略一定
に保たれる。

【００１０】かかる主ガイドピンは円柱状である。ま
た、支持アームに形成する主ガイド孔は円筒状であり、
主ガイドピン及び斜板側の一方に形成する副ガイド孔は
主ガイドピンと直交して延在しておればよい。このた
め、面倒な球面加工工程を要しない。さらに、副ガイド
ピンの他端側は圧入等の容易な手段により主ガイドピン
及び斜板側の他方に固着されるため、上記のように球面
状凹部をもつ２分割された外輪ブッシュ等を採用する必
要がなく、部品点数の削減を図り得る。

【００１１】また、この圧縮機では、主ガイドピンが支
持アームの軸直角方向に延びる主ガイド孔に回動可能に
挿入されていることにより回転支持体に対して変位しな
いため、斜板の傾角が変化しても、回転支持体における
圧縮反力の支点位置は変化しない。そのため、斜板に対
してピストンを介した圧縮反力に基づくモーメントが生
じないようにすることができ、圧縮反力に基づくモーメ
ントによる容量制御の阻害が防止される。

【００１２】ところで、支持アームに作用するピストン
からの圧縮反力は、厳密に言えば、斜板の下死点位置か
ら上死点位置までの圧縮力と、斜板の上死点位置から下
死点位置までの吸引力との合力である。したがって、各
ピストンから斜板に作用する圧縮反力の作用点位置は、
斜板の上死点位置と正確に一致するのではなく、斜板の
回転方向へ変動されている。このため、仮に単一の支持
アームを斜板の上死点位置に対応して設けるならば、圧
縮反力の作用点位置と支持アームの支点位置とが斜板の
回転方向にずれることとなり、支持アームの主ガイド孔
と主ガイドピンとの間で曲げモーメントが作用し、主ガ
イドピンが主ガイド孔内でこじられて滑らかに回動しに
くい。かかる作動性の悪さは、特に、斜板が小傾角であ
ることから主ガイドピンを回動させる圧縮反力が小さい
場合、つまり斜板が小傾角から大傾角に変化せんとする
低圧縮比条件で生じやすい。このため、圧縮比拡大の応
答性が不十分となる等、容量制御性が不十分となる。

【００１３】そこで、本発明の圧縮機において、支持ア
ームとして、斜板の上死点位置を跨いで対向し、主ガイ
ドピンの両端を支持する主ガイド孔をもつものを採用し
た場合には、圧縮反力を一対の支点位置で分掌して支持
するため、支持アームの主ガイド孔と主ガイドピンとの
間で曲げモーメントが作用せず、主ガイドピンが主ガイ
ド孔内で滑らかに回動する。

【００１４】また、本発明の圧縮機において、支持アー
ムの主ガイド孔と主ガイドピンとの間にころがり軸受を
設けた場合には、支持アームの主ガイド孔と主ガイドピ
ンとの間に曲げモーメントが作用しても、この曲げモー
メントにかかわらず、主ガイドピンがころがり軸受の低
い摩擦係数によって主ガイド孔内で滑らかに回動する。

【００１５】

【実施例】以下、本発明を具体化した実施例１〜４を図
面を参照しつつ説明する。（実施例１）実施例１の圧縮機では、図１に示すよう
に、シリンダブロック１の一端側にはフロントハウジン
グ２が接合され、他端側にはリアハウジング３が弁板４
を介して接合されている。シリンダブロック１とフロン
トハウジング２とによって形成されるクランク室５には
駆動軸６が収容され、駆動軸６は軸受７によって回転可
能に支持されている。シリンダブロック１には駆動軸６
を取り囲む位置に複数個のシリンダボア８が穿設されて
おり、各シリンダボア８にはピストン９がそれぞれ嵌挿
されている。ピストン９の中心軸線は駆動軸６の軸芯に
対し平行となっている。

【００１６】クランク室５内において駆動軸６には、回
転支持体１０が駆動軸６と同期回転可能に支持されると
共に、球面スリーブ１１が回転可能かつスライド可能に
支持されている。回転支持体１０と球面スリーブ１１と
の間には押圧ばね１２が介在されており、押圧ばね１２
は球面スリーブ１１をリアハウジング３方向へ付勢して
いる。球面スリーブ１１上には、球面スリーブ１１を包
囲する如く環状に形成された回転駆動体１３が前後揺動
可能に支承されている。この回転駆動体１３は、図１に
示す押圧ばね１２の最収縮状態では、回転駆動体１３の
下部背面に斜状に形成された当接面１３ａが回転支持体
１０に当接し、傾角増大方向への更なる傾動を規制され
ている。

【００１７】回転駆動体１３の外周部には、その両面に
駆動軸６の軸線を中心とするリング状の支持レール１４
ａ、１４ａを有する斜板１４が嵌着されている。支持レ
ール１４ａ、１４ａには周方向に軸線をもつ半円柱状の
内シュー１５、１５が係合されており、この内シュー１
５、１５は斜板１４と半径方向への変位が規制されてい
る。内シュー１５、１５の外周面には半円柱状に抉られ
外面が半径方向に軸線をもつ半円柱状の外シュー１６、
１６が係合されており、この外シュー１６、１６の外面
は、ピストン９の首部に形成された斜板通過溝９ａにお
ける互いに対向する円柱状に抉られた円筒支承面と係合
されている。こうして、斜板１４に内シュー１５、１５
及び外シュー１６、１６を介して係留される複数のピス
トン９は各シリンダボア８内を往復動可能に収納されて
いる。

【００１８】一方、回転駆動体１３の背面には、図２に
示すように、略Ｕ字形状のブラケット１７が駆動軸６を
挟んで突設されている。また、回転支持体１０の上部前
面には、ヒンジ機構Ｋを構成する支持アーム１８がブラ
ケット１７の中央と対向するように軸方向後方に突出し
ている。この支持アーム１８の先端部には軸直角方向に
延びる円筒状の主ガイド孔１８ａが形成されている。こ
の主ガイド孔１８ａ内には円柱状の主ガイドピン１９が
回動可能に挿入されている。主ガイドピン１９にはそれ
ぞれ直径方向に貫通する副ガイド孔１９ａ、１９ｂが形
成されている。これら副ガイド孔１９ａ、１９ｂには、
それぞれ主ガイドピン１９と直交して延在する一対の円
柱状の副ガイドピン２０Ａ、２０Ｂの上端側がスライド
可能に挿通され、副ガイドピン２０Ａ、２０Ｂの他端側
はブラケット１７に形成された圧入孔１７ａ、１７ｂ内
に圧入されている。

【００１９】ここに、かかる主ガイドピン１９は円柱状
である。そして、支持アーム１８に形成する主ガイド孔
１８ａは円筒状であり、主ガイドピン１９に形成する副
ガイド孔１９ａは主ガイドピン１９と直交して延在する
円筒状である。このため、この圧縮機では、面倒な球面
加工工程を要しない。さらに、副ガイドピン２０Ａ、２
０Ｂの下端側は比較的容易な圧入手段によりブラケット
１７に固着されるため、上記のように球面状凹部をもつ
２分割された外輪ブッシュ等を採用する必要がなく、部
品点数の削減を図り得る。

【００２０】リアハウジング３内は、図１に示すよう
に、隔壁２３によって吸入室２４及び吐出室２５に区画
されている。弁板４には各シリンダボア８に対応して吸
入口２６及び吐出口２７が開口形成されており、弁板４
とピストン９との間に形成される圧縮室２８が吸入口２
６及び吐出口２７を介して吸入室２４及び吐出室２５に
連通される。各吸入口２６及び吐出口２７には吸入弁２
９及び吐出弁３０がそれぞれ設けられており、これらは
ピストン９の往復動に応じて吸入口２６及び吐出口２７
を開閉する。また、リアハウジング３には、クランク室
５の圧力を調整する制御弁３１、３１が装備されてい
る。

【００２１】以上のように構成された圧縮機において、
駆動軸６の駆動に伴って斜板１４が回転すると、各ピス
トン９と外シュー１６、１６を介して係合する内シュー
１５、１５は斜板１４に対して支持レール１４ａ、１４
ａ上を周方向に摺動し、各ピストン９がシリンダボア８
内で往復動し、これにより吸入室２４からシリンダボア
８内に冷媒ガスが吸入され、冷媒ガスは圧縮された後、
吐出室２５へ吐出される。このとき、吐出室２５へ吐出
される冷媒ガスの圧縮容量は、制御弁３１、３１による
クランク室５内の圧力調整により制御される。

【００２２】すなわち、例えば制御弁３１、３１の圧力
調整でクランク室５の圧力が低下すれば、ピストン９に
作用する背圧が下がることにより、斜板１４の傾角が大
きくなる。つまり、ヒンジ機構Ｋにおける主ガイドピン
１９が回転支持体１０に対して主ガイド孔１８ａにより
前方向へ回動し、回転駆動体１３が球面スリーブ１１を
中心に前方側に揺動するとともに球面スリーブ１１が押
圧ばね１２に抗して前進し、同時に副ガイドピン２０
Ａ、２０Ｂが主ガイドピン１９に形成された副ガイド孔
１９ａ、１９ｂ内を上方へ摺動し、斜板１４の傾角が大
きくなる。そして、外シュー１６、１６は内シュー１
５、１５に対して周方向で摺動するとともにピストン９
の斜板通過溝９ａ内で中心方向へ摺動する。このため、
図４の状態から図３の状態に変化し、ピストン９のスト
ロークが伸長されて圧縮容量は大きくなる。これによ
り、斜板１４の傾角が最大になれば、圧縮機は最大容量
で運転を継続する。

【００２３】逆に、図１に示す制御弁３１、３１がクラ
ンク室５と吸入室２４とを閉鎖することによりブローバ
イガスでクランク室５の圧力が高くなれば、ピストン９
に作用する背圧が上がることにより、斜板１４の傾角が
小さくなる。つまり、ヒンジ機構Ｋにおける主ガイドピ
ン１９が回転支持体１０に対して主ガイド孔１８ａによ
り後方向へ回動し、回転駆動体１３が球面スリーブ１１
を中心に後方側に揺動するとともに球面スリーブ１１が
押圧ばね１２の付勢力によって後退し、同時に副ガイド
ピン２０Ａ、２０Ｂが主ガイドピン１９に形成された副
ガイド孔１９ａ、１９ｂ内を下方へ摺動し、斜板１４の
傾角が小さくなる。そして、外シュー１６、１６は内シ
ュー１５、１５に対して周方向で摺動するとともにピス
トン９の斜板通過溝９ａ内で外方向へ摺動する。このた
め、図３の状態から図４の状態へ変化し、ピストン９の
ストロークが短縮されて圧縮容量は小さくなる。これに
より、斜板１４の傾角が最小になれば、圧縮機は最小容
量で運転を継続する。

【００２４】これら各容量運転時には、斜板１４はその
トップ位置が定位置に保たれるように駆動軸６上をスラ
イドしつつ傾動する。これにより、斜板１４の傾角にか
かわらずピストン９のトップクリアランスが常に略一定
に保たれる。また、この圧縮機では、主ガイドピン１９
が支持アーム１８の軸直角方向に延びる主ガイド孔１８
ａに回動可能に挿入されていることにより回転支持体１
０に対して変位しないため、斜板１４の傾角が変化して
も、回転支持体１０における圧縮反力の支点位置は変化
しない。そのため、斜板１４に対してピストン９を介し
た圧縮反力に基づくモーメントは生じず、圧縮反力に基
づくモーメントによる容量制御の阻害を防止することが
できる。

【００２５】加えて、この圧縮機では、ブラケット１７
が回転駆動体１３の背面で略Ｕ字形状に形成されている
ため、回転駆動体１３の回転に伴う動的不均衡はブラケ
ット１７によって好適に吸収される。したがって、荷重
バランスの変化に伴い生起する振動等が発生することは
なく、回転駆動体１３及び斜板１４の回転が安定化す
る。

【００２６】したがって、この圧縮機では、ピストン９
のトップクリアランスを略一定に保ちつつ圧縮反力に基
づくモーメントによる容量制御の阻害を防止するととも
に、製造コストの低廉化を実現することができる。（実施例２）実施例２の圧縮機では、図５及び図６に示
すように、支持アーム１８の主ガイド孔１８ａ内に円柱
状の主ガイドピン２１が回動可能に挿入されている。こ
の主ガイドピン２１にはそれぞれ主ガイドピン２１と直
交して延在する一対の円柱状の副ガイドピン２２Ａ（一
方Ｂは図示せず）の上端が溶着され、副ガイドピン２２
Ａの下端側はブラケット１７に形成された副ガイド孔１
７ｃ（一方は図示せず）にスライド可能に挿通されてい
る。他の構成は実施例１と同様であり、同一符号を付し
て詳説は省略する。

【００２７】ここに、かかる主ガイドピン２１は円柱
状、主ガイド孔１８ａは円筒状、ブラケット１７に形成
する副ガイド孔１７ｃは円筒状である。このため、この
圧縮機では、面倒な球面加工工程を要しない。また、副
ガイドピン２２Ａの上端側は比較的容易な溶着手段によ
り主ガイドピン２１に固着されるため、部品点数の削減
を図り得る。

【００２８】以上のように構成された圧縮機では、ヒン
ジ機構Ｋにおける主ガイドピン２１が回転支持体１０に
対して主ガイド孔１８ａにより前後方向へ回動し、回転
駆動体１３が球面スリーブ１１を中心に前後方向に揺動
するとともに球面スリーブ１１が押圧ばね１２を介して
前後進し、同時に副ガイドピン２２Ａがブラケット１７
に形成された副ガイド孔１７ｃ内を上下に摺動し、斜板
１４の傾角が変化する。このため、圧縮機は、図５の状
態と図６の状態との間で変化し、制御された容量で運転
を継続する。

【００２９】したがって、この圧縮機においても、実施
例１と同様の効果を奏することができる。（実施例３）実施例３の圧縮機では、図７に示すよう
に、支持アーム１８の主ガイド孔１８ａと主ガイドピン
１９との間にころ軸受２３を設けている。他の構成は実
施例１と同様であり、同一符号を付して詳説は省略す
る。

【００３０】以上のように構成された圧縮機では、支持
アーム１８を斜板１４の上死点位置に対応して設け、こ
れにより支持アーム１８の主ガイド孔１８ａと主ガイド
ピン１９との間に曲げモーメントが作用しても、この曲
げモーメントにかかわらず、主ガイドピン１９がころ軸
受２３の低い摩擦係数によって主ガイド孔１８ａ内で滑
らかに回動する。

【００３１】したがって、この圧縮機では、実施例１と
同様の効果を奏することができるとともに、斜板１４が
小傾角から大傾角に変化せんとする低圧縮比条件であっ
ても、圧縮比拡大の応答性が敏感となる等、圧縮反力に
基づくモーメントによる容量制御の阻害を確実に防止す
ることができる。（実施例４）実施例４の圧縮機では、図８に示すよう
に、支点位置Ｐ₁、Ｐ₂が斜板１４の上死点位置を跨ぐ
一対の支持アーム２４、２５を採用している。各支持ア
ーム２４、２５は主ガイドピン１９の両端を支持する互
いに対向した主ガイド孔２４ａ、２５ａをもつ。また、
実施例３と同様、支持アーム２４、２５の主ガイド孔２
４ａ、２５ａと主ガイドピン１９との間に図示しないこ
ろ軸受を設けている。他の構成は実施例１と同様であ
り、同一符号を付して詳説は省略する。

【００３２】以上のように構成された圧縮機では、一対
の支持アーム２４、２５の支点位置Ｐ₁、Ｐ₂で圧縮反
力を分掌して支持するため、支持アーム２４、２５の主
ガイド孔２４ａ、２５ａと主ガイドピン１９との間で曲
げモーメントが作用せず、かつ主ガイドピン１９がころ
軸受の低い摩擦係数によって主ガイド孔２４ａ、２５ａ
内で滑らかに回動する。

【００３３】したがって、この圧縮機においては、実施
例３より大きな効果を奏することができる。なお、上記
実施例の両内外シュー１５、１６を用いた連結機構に代
えて、斜板１４と各ピストン９とをピストンロッドによ
って連結するようにしてもよい。また、上記実施例では
斜板１４が駆動軸６の回転と同期して回転する圧縮機を
採用したが、前記従来の圧縮機のように回転駆動体と相
対摺動をし、自らは回転しない揺動斜板を採用した型の
圧縮機にも、本発明を適用することができる。

【００３４】

【発明の効果】以上詳述したように、本発明の圧縮機で
は、ヒンジ機構として、支持アーム、主ガイドピン及び
副ガイドピンからなるものを採用しているため、ピスト
ンのトップクリアランスを略一定に保つつつ、圧縮反力
に基づくモーメントによる容量制御の阻害を防止するこ
とができるとともに、製造コストの低廉化を実現するこ
とができる。

【００３５】また、本発明の圧縮機において、所定の支
持アームを斜板の上死点位置を跨ぐように一対設けた場
合、並びに支持アームの主ガイド孔と主ガイドピンとの
間にころがり軸受を設けた場合には、主ガイドピンが主
ガイド孔内で滑らかに回動できるため、圧縮反力に基づ
くモーメントによる容量制御の阻害をさらに防止するこ
とができる。

【００３６】したがって、この圧縮機が例えば車両空調
装置に組み込まれた場合、安価な製造コストの下、好適
な空調が可能となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１の圧縮機の縦断面図である。

【図２】実施例１の圧縮機に係り、図１のIIーII線断面
図である。

【図３】実施例１の圧縮機に係り、最大傾角時のヒンジ
機構等を示す断面図である。

【図４】実施例１の圧縮機に係り、最小傾角時のヒンジ
機構等を示す断面図である。

【図５】実施例２の圧縮機に係り、最大傾角時のヒンジ
機構等を示す断面図である。

【図６】実施例２の圧縮機に係り、最小傾角時のヒンジ
機構等を示す断面図である。

【図７】実施例３の圧縮機に係り、最大傾角時のヒンジ
機構等を示す断面図である。

【図８】実施例４の圧縮機に係り、図２と同様の断面図
である。

【図９】提案の圧縮機に係り、図２と同様の断面図であ
る。

【符号の説明】

１…シリンダブロック２…フロントハウジング
３…リアハウジング５…クランク室６…駆動軸
８…シリンダボア９…ピストン１０…回転支持体
１３…回転駆動体１４…斜板Ｋ…ヒンジ機構
１１…球面スリーブ１５、１６…内外シュー（連結機構）１７…ブラケット１８、２４、２５…支持アーム１８ａ、２４ａ、
２５ａ…主ガイド孔１９、２１…主ガイドピン１９ａ、１９ｂ、
１７ｃ…副ガイド孔２０Ａ、２０Ｂ、２２Ａ…副ガイドピン
２３…ころ軸受

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者横野智彦愛知県刈谷市豊田町２丁目１番地株式会社豊田自動織機製作所内 (72)発明者竹中健二愛知県刈谷市豊田町２丁目１番地株式会社豊田自動織機製作所内 (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) F04B 27/10

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】ハウジングにクランク室、吸入室、吐出室
及びこれらと接続されたシリンダボアが区画形成される
とともに、該各シリンダボアにはそれぞれピストンが往
復動可能に収容され、ハウジングに支持された駆動軸に
は前記クランク室内に位置する回転支持体が同期回転可
能に支持され、該回転支持体との間にヒンジ機構を介し
かつ前記駆動軸との間にスリーブを介して斜板が傾角変
位可能に枢支され、該斜板と前記ピストンとの間には前
記斜板の揺動運動を各該ピストンの往復動に変換する連
結機構が介装され前記クランク室内の圧力により前記斜
板の傾角を制御して圧縮容量を変化するように構成した
容量可変型斜板式圧縮機において、前記ヒンジ機構は、前記回転支持体に後方側へ突出して
設けられ、軸直角方向に延びる円筒状の主ガイド孔をも
つ支持アームと、該主ガイド孔に回動可能に挿入された
円柱状の主ガイドピンと、該主ガイドピンと直交して延
在し、一端側が該主ガイドピン及び前記斜板側の一方に
形成された副ガイド孔にスライド可能に挿通され、他端
側が他方に固着された副ガイドピンとを備えてなること
を特徴とする容量可変型斜板式圧縮機。
【請求項２】支持アームは、斜板の上死点位置を跨いで
対向し、主ガイドピンの両端を支持する主ガイド孔をも
つことを特徴とする請求項１記載の容量可変型斜板式圧
縮機。
【請求項３】支持アームの主ガイド孔と主ガイドピンと
の間にはころがり軸受が設けられていることを特徴とす
る請求項１又は２記載の容量可変型斜板式圧縮機。