JP3045327B2 - 磁気再生装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【目次】以下の順序で本発明を説明する。 産業上の利用分野 従来の技術（図１２） 発明が解決しようとする課題（図１２） 課題を解決するための手段（図１） 作用（図１） 実施例 （１）全体構成（図１〜図８） （２）再生信号の処理（図１） （３）エラー伝搬の防止（図１及び図９） （４）位相合わせ（図１、図１０及び図１１） （５）実施例の動作 （６）実施例の効果 （７）他の実施例 発明の効果

【０００２】

【産業上の利用分野】本発明は磁気再生装置に関し、例
えばデイジタルオーデイオテープレコーダに適用し得
る。

【０００３】

【従来の技術】従来、この種のデイジタルオーデイオテ
ープレコーダにおいては、磁気テープに順次斜めに記録
トラツクを形成することにより、デイジタルオーデイオ
信号を高密度記録し得るようになされている。

【０００４】すなわちこの種のデイジタルオーデイオテ
ープレコーダにおいては、所定の回転速度で回転する回
転ドラムに磁気テープを巻き付け、当該磁気テープを所
定速度で走行させる。これによりデイジタルオーデイオ
テープレコーダにおいては、回転ドラムに搭載された磁
気ヘツドを用いて、当該磁気テープ上に順次斜めに記録
トラツクを形成する。

【０００５】さらにこのときデイジタルオーデイオテー
プレコーダにおいては、互いにアジマス角の異なる磁気
ヘツドを用いて、順次交互に密接して記録トラツクを形
成することにより、クロストークを有効に回避し得るよ
うに記録トラツクを形成する。

【０００６】さらにデイジタルオーデイオテープレコー
ダにおいては、デイジタルオーデイオ信号と共に所定の
パイロツト信号を順次記録トラツクに記録し、再生時、
当該パイロツト信号を基準にしてトラツキング制御する
ことにより、高密度記録したデイジタルオーデイオ信号
を確実に再生し得るようになされている。

【０００７】すなわち図１２に示すように、デイジタル
オーデイオテープレコーダ１においては、磁気ヘツド２
から出力される再生信号Ｓ１を増幅回路４を介してパイ
ロツト信号検出回路６に与え、ここで隣接する記録トラ
ツクのパイロツト信号を検出する。

【０００８】信号処理回路８は、再生信号Ｓ１を信号処
理し、デイジタルオーデイオ信号を復調して出力する。
同時に信号処理回路８は、再生信号Ｓ１から所定の同期
信号を検出し、当該同期信号を基準信号生成回路１０に
出力する。

【０００９】基準信号生成回路１０は、当該同期信号を
基準にして、サンプルホールド回路（Ｓ／Ｈ）１２及び
１４にサンプルホールドパルスを出力する。これにより
デイジタルオーデイオテープレコーダ１においては、そ
れぞれ先行及び後行する記録トラツクについて、パイロ
ツト信号の信号レベルをサンプルホールド回路１２及び
１４に取り込み、取り込んだ信号レベルを減算回路１６
で減算してトラツキングエラー信号ＳＥＲを検出する。

【００１０】かくしてデイジタルオーデイオテープレコ
ーダ１においては、当該トラツキングエラー信号ＳＥＲ
が０レベルになるように磁気テープ１８の走行速度を制
御することにより、各磁気ヘツド２が対応する記録トラ
ツクをジヤストトラツキングするようにトラツキング制
御し、確実にデイジタルオーデイオ信号を再生し得るよ
うになされている。

【００１１】

【発明が解決しようとする課題】ところで例えばビデオ
テープレコーダにおいては、トラツキング調整用の操作
子を操作してトラツキングのタイミングをずらすと、画
質が良くなる点が２箇所存在することが分かる。これに
対してジヤストトラツキングの状態は、記録トラツクの
トラツクセンタと磁気ヘツドのトラツクセンタが一致す
る状態でなることから、この場合ジヤストトラツキング
以外のタイミングで画質が最良になる点が存在すること
がわかる。

【００１２】デイジタルオーデイオテープレコーダにお
いても、同様な点が存在すると考えられ、このような状
態でデイジタルオーデイオ信号を再生することができれ
ば、さらに一段と当該デイジタルオーデイオテープレコ
ーダのエラーレートを向上し得ると考えられる。

【００１３】本発明は以上の点を考慮してなされたもの
で、従来に比してエラーレートを向上することができる
磁気再生装置を提案しようとするものである。

【００１４】

【課題を解決するための手段】かかる課題を解決するた
め本発明においては、磁気テープ４０上に斜めに形成さ
れた記録トラックＴＡ、ＴＢの幅よりも広いヘッド幅Ｔ
_W で記録トラックＴＡ、ＴＢを走査する磁気ヘッド２
Ａ、２Ｂと、当該磁気ヘッド２Ａ、２Ｂが記録トラック
ＴＡ、ＴＢを走査することにより得られる出力信号Ｓ１
に基づいてサンプルホールドパルスを生成するサンプル
ホールドパルス生成回路２６と、出力信号Ｓ１から記録
トラックＴＡ、ＴＢに記録されたトラッキング制御用の
パイロット信号を抽出する抽出回路２２と、当該抽出回
路２２によって抽出された目的とする記録トラックＴＡ
のパイロット信号Ｓ５をサンプルホールドパルス生成回
路２６から供給されるサンプルホールドパルスに基づい
てサンプルホールする第１のサンプルホールド回路３０
と、抽出回路２２によって抽出された目的とする記録ト
ラックＴＡに先行した記録トラックＴＢのパイロット信
号Ｓ２をサンプルホールドパルスに基づいてサンプルホ
ールする第２のサンプルホールド回路２８と、抽出回路
２２によって抽出された目的とする記録トラックＴＡに
後続する記録トラックＴＢのパイロット信号Ｓ３をサン
プルホールドパルスに基づいてサンプルホールする第３
のサンプルホールド回路２９と、先行した記録トラック
ＴＢのパイロット信号Ｓ２と後続する記録トラックＴＢ
のパイロット信号Ｓ３との差分信号Ｓ４に対して、目的
とする記録トラックＴＡのパイロット信号Ｓ５を加算す
ることによりトラッキングエラー信号ＳＥＲ１を生成す
る演算処理回路３４と、トラッキングエラー信号ＳＥＲ
１に基づいてキャプスタンモータ３７を駆動することに
より、目的とする記録トラックＴＡの他に先行する記録
トラックＴＢ又は後続する記録トラックＴＢのいずれか
一方にだけ磁気ヘッド２Ａ、２Ｂを走査させる駆動回路
３５と、当該駆動回路３５によって磁気ヘッド２Ａ、２
Ｂを走査させたことにより得られる再生信号Ｓ１をディ
ジタルデータに変換することにより再生ディジタルデー
タＤ１を生成するアナログディジタル変換回路３６と、
再生ディジタルデータＤ１を所定時間保持して出力する
遅延回路３８と、再生ディジタルデータＤ１を１記録ト
ラック周期だけ遅延させると共に、当該再生ディジタル
データＤ１のクロストークを低減する重み付け処理を施
す遅延重付回路４４、４２と、遅延回路３８の出力デー
タから遅延重付回路４４、４２の出力データＤ２を減算
することによりクロストークを低減する減算回路３９と
を設けるようにする。

【００１５】

【作用】目的とする記録トラックＴＡの他に、先行する
記録トラックＴＢ又は後続する記録トラックＴＢのいず
れか一方にだけ磁気ヘッド２Ａ、２Ｂを走査させること
により、磁気ヘッド２Ａ、２Ｂと隣接した先行又は後続
の記録トラックＴＢとのアジマス損失を大きくしてエラ
ーレートを向上させると共に、磁気ヘッド２Ａ、２Ｂを
走査させたことにより得られる出力データから、当該出
力データを１記録トラック周期だけ遅延させると共にク
ロストークを低減する重み付け処理の施された出力デー
タＤ２を減算して出力することにより、磁気ヘッド２
Ａ、２Ｂで走査した先行又は後続の記録トラックＴＢか
らのクロストークの影響を低減して一段とエラーレート
を向上することができる。

【００１６】

【実施例】以下図面について、本発明の一実施例を詳述
する。

【００１７】（１）全体構成 図１において、２０は全体としてデイジタルオーデイオ
テープレコーダの再生系を示し、再生信号Ｓ１をパイロ
ツト信号検出回路２２に与える。ここでパイロツト信号
検出回路２２は、先行及び後行する記録トラツクの他に
目的トラツクのパイロツト信号を抽出し、各パイロツト
信号の信号レベルを検出する。

【００１８】ここでデイジタルオーデイオテープレコー
ダ２０においては、各記録トラツクの所定領域にパイロ
ツト信号の記録領域が形成され、周波数の異なる４種類
のパイロツト信号が各記録トラツクに順次循環的に記録
されるようになされている。これによりパイロツト信号
検出回路２２は、パイロツト信号の周波数の違いを利用
して、再生信号Ｓ１から各周波数成分を抽出することに
より、先行及び後行する記録トラツクと目的トラツクの
パイロツト信号を抽出する。さらにパイロツト信号検出
回路２２は、抽出した信号成分をエンベロープ検波し、
これにより各パイロツト信号の信号レベルを検出する。

【００１９】前処理回路２４は、再生信号Ｓ１の周波数
特性を補正した後、リミツタ回路を介して出力する。

【００２０】基準信号生成回路２６は、前処理回路２４
の出力信号を受け、当該出力信号から同期信号を検出す
る。さらに基準信号生成回路２６は、前処理回路２４の
出力信号を基準にして再生クロツク信号ＣＫを生成する
と共に、サンプルホールド回路（Ｓ／Ｈ）２８〜３０に
サンプルホールドパルスを出力する。これにより基準信
号生成回路２６は、サンプルホールド回路２８〜３０に
それぞれ先行及び後行する記録トラツクと目的トラツク
について、それぞれパイロツト信号の信号レベルをサン
プルホールドする。

【００２１】減算回路３２は、サンプルホールド回路２
８の出力信号Ｓ２からサンプルホールド回路２９の出力
信号Ｓ３を減算し、その結果得られる減算信号Ｓ４を出
力する。加算回路３４は、減算信号Ｓ４とサンプルホー
ルド回路３０の出力信号Ｓ５を加算し、その結果得られ
る加算信号をトラツキングエラー信号ＳＥＲ１として出
力する。

【００２２】ここで図２に示すように、デイジタルオー
デイオテープレコーダ２０においては、磁気ヘツド２
Ａ、２Ｂのヘツド幅Ｔ_W がトラツクピツチＴ_P の約２倍
に設定され、記録時、先行して形成した記録トラツクと
一部重複するように磁気ヘツド２Ａ、２Ｂを走査させる
ことにより、所定のトラツクピツチＴ_P で記録トラツク
ＴＡ、ＴＢ、……を形成するようになされている。

【００２３】従つて図３に示すように、デイジタルオー
デイオテープレコーダ２０においては、再生時、ジヤス
トトラツキングの状態で磁気ヘツド２Ａが記録トラツク
ＴＡを走査するとき、当該磁気ヘツド２Ａは、アジマス
角の異なる先行及び後行する記録トラツクＴＢにそれぞ
れ（Ｔ_W −Ｔ_P ）／２（＝Ｔ_P ／２）だけはみ出した状
態で走査する。

【００２４】これにより再生信号Ｓ１においては、先行
及び後行する記録トラックＴＢの信号成分がアジマス損
失を受けて混入し、目的トラックＴＡから得られる再生
信号の信号レベルを基準にして、それぞれ先行又は後行
する記録トラックＴＢの一方から得られる信号成分の比
Ｅ_C を、次式

【数１】 で表すことができる。ここでθはアジマス角、λは記録
波長である。

【００２５】従つて、目的トラックＴＡに対する両隣接
トラックの信号レベルの比Ｅ_CAは、（１）式から、次式

【数２】 で表すことができる。

【００２６】これに対して、トラツクセンタＴＣから磁
気ヘツド２Ａ、２Ｂがオフセツトして走査すると、オフ
セツトした方向の記録トラツクについては、再生信号の
信号レベルが増加し（図３においては先行する記録トラ
ツクＴＢでなる）、これと逆方向の記録トラツクについ
ては、信号レベルが減少する。このときオフセツト量Ｔ
が（Ｔ_W −Ｔ_P ）／２（＝Ｔ_P ／２）以下の範囲におい
ては、目的トラツクからの信号レベルはジヤストトラツ
キングの信号レベルに維持される。

【００２７】これに対してオフセツト量Ｔが（Ｔ_W −Ｔ
_P ）／２（＝Ｔ_P ／２）以上大きくなると、目的トラツ
クにおいてはオフセツト量に応じて信号レベルが低下す
るのに対し、オフセツトの方向及び逆方向の記録トラツ
クにおいては、それぞれ信号レベルが増加及び減少す
る。

【００２８】従つて、当該再生信号Ｓ１から抽出される
パイロツト信号においては、結局図４に示すように、オ
フセツト量Ｔに応じて信号レベルが変化し、各サンプル
ホールド回路２８〜３０に当該信号レベルに比例した検
出結果Ｓ２、Ｓ３、Ｓ５がサンプルホールドされる。

【００２９】これにより図４に対応して図５に示すよう
に、減算回路３２から出力される減算信号Ｓ４において
は、従来のトラツキングエラー信号と同様に、トラツク
センタを中心にして信号レベルが変化するのに対し、加
算回路３４から出力されるトラツキングエラー信号ＳＥ
Ｒ１においては、先行する記録トラツク側にＴ_P ／２だ
けオフセツトした状態で信号レベルが最大になる。

【００３０】すなわち当該デイジタルオーデイオテープ
レコーダ２０においては、磁気ヘツド２Ａ、２Ｂの後行
側の端面が、目的及び後行する記録トラツクの境界とほ
ぼ一致する状態で、トラツキングエラー信号ＳＥＲ１が
最大になるようになされている。これにより当該デイジ
タルオーデイオテープレコーダ２０においては、当該ト
ラツキングエラー信号ＳＥＲ１をキヤプスタンモータ駆
動回路３５に出力し、当該トラツキングエラー信号ＳＥ
Ｒ１が最大値になるようにキヤプスタンモータ３７を駆
動する。

【００３１】かくして当該デイジタルオーデイオテープ
レコーダ２０においては、磁気ヘツド２Ａ、２Ｂの後行
側の端面が、目的及び後行する記録トラツクの境界とほ
ぼ一致するように保持して、各磁気ヘツド２Ａ、２Ｂが
目的トラツクを走査するようになされている。

【００３２】このとき再生信号Ｓ１においては、（２）
式に対応して信号レベルの比Ｅ_OFを表すと、次式

【数３】 で表すことができる。これを記録波長を横軸に設定して
特性曲線図に表すと、図６に示すように、従来のジヤス
トトラツキングの状態に比して、この実施例の場合、隣
接トラツクからの影響が少ないことがわかる。

【００３３】すなわちデイジタルオーデイオテープレコ
ーダ２０においては、周波数１〜５〔ＭHz〕の範囲で各
ピークが約３〔dB〕改善され、しかも波長λの変化に対
して１／２の周期で全体の特性が脈動することがわか
る。なおここで図６の特性曲線図においては、トラック
ピッチＴ_P をデイジタルオーデイオテープレコーダ２０
の記録フオーマツトの13.6〔μmm〕に設定し、ヘツド幅
Ｔ_W を20〔μmm〕、アジマス角θを20度に設定した場合
の特性曲線である。

【００３４】かくして、デイジタルオーデイオテープレ
コーダ２０においては、先行側にオフセツトして磁気ヘ
ツド２Ａ、２Ｂを走査させることにより、従来に比して
隣接トラツクからの影響を有効に回避して再生信号Ｓ１
を得ることができ、その分エラーレートを向上すること
ができる。

【００３５】実際上、この種のデイジタルオーデイオテ
ープレコーダ２０においては、主に周波数１〜５〔ＭH
z〕の範囲を使用してデイジタルオーデイオ信号を記録
再生することにより、この実施例のように、当該周波数
帯域で隣接トラツクからの影響を低減することにより、
図７に示すようにエラーレートを向上し得ることを確認
できた。

【００３６】さらに図８に示すように、この種のデイジ
タルオーデイオテープレコーダ２０において、トラツク
ピツチＴ_P を当該記録フオーマツトの１／２の 6.8〔μ
mm〕に設定すると共に、ヘツド幅Ｔ_W を10〔μmm〕に設
定した場合、脈動の周期が１／２になつた分さらに一段
と全体の特性を改善し得、特にトラツクピツチを小さく
して高密度記録する場合にエラーレートを向上し得るこ
とがわかつた。かくしてデイジタルオーデイオテープレ
コーダ２０においては、所定量だけトラツクセンタから
オフセツトして再生することにより、隣接トラツクから
の影響を低減し得、その分エラーレートを向上すること
ができる。

【００３７】（２）再生信号の処理 ところでこのようにしてトラツキング制御しても、デイ
ジタルオーデイオテープレコーダ２０においては、隣接
する記録トラツクからのクロストークを避け得ない。こ
のためこの実施例においては、再生信号を１記録トラツ
ク分遅延させて、先行する記録トラツクからのクロスト
ーク成分をキヤンセルすることにより、クロストークを
低減するようになされている。

【００３８】すなわちデイジタルオーデイオテープレコ
ーダ２０においては、アナログデイジタル変換回路３６
に再生信号Ｓ１を与え、ここで再生クロツク信号ＣＫを
基準にして当該再生信号Ｓ１をデイジタル信号（以下再
生デイジタル信号と呼ぶ）Ｄ１に変換する。

【００３９】メモリ回路３８は、再生デイジタル信号Ｄ
１を順次蓄積すると共に、所定期間保持して順次出力す
ることにより、当該再生デイジタル信号Ｄ１を所定期間
遅延させて出力する。

【００４０】減算回路３９は、メモリ回路３８から出力
される再生デイジタル信号Ｄ１を順次取り込み、当該再
生デイジタル信号Ｄ１からメモリ回路４２の出力データ
Ｄ２を減算する。これにより当該デイジタルオーデイオ
テープレコーダ２０においては、当該減算回路３９から
出力される減算データＤ３を所定の信号処理回路（図示
せず）に出力し、ここで誤り検出訂正処理、デインター
リーブ処理することにより、デイジタルオーデイオ信号
を復調するようになされている。さらに減算回路３９
は、当該減算データＤ３を重み付け回路４４に出力し、
ここで当該減算データＤ３を所定量だけ重み付け処理す
る。

【００４１】メモリ回路４２は、当該重み付け処理され
た減算データＤ３を１記録トラツク周期だけ遅延して出
力する。ここで、それぞれｎ及びｎ−１番目の記録トラ
ツクにそれぞれ記録データａ_(n) 及びａ_(n-1) が記録さ
れているとき、ｎ番目の記録トラツクを走査する際の再
生デイジタル信号Ｄ１は、次式

【数４】 で表される。ここでｒは、（３）式で表される値Ｅ_OFに
対応した値１より小さな値である。

【００４２】従つて重み付け回路４４において、当該値
ｒとほぼ等しい値で減算データＤ３を重み付け処理すれ
ば、次式

【数５】 の関係に保持された減算データＤ３を再生し得、クロス
トークの影響を低減することができる。かくしてこの実
施例において、重み付け回路４４は、（３）式を基準に
した値ｒで減算データＤ３を重み付け処理し、（５）式
に基づいて減算処理することによりクロストークを低減
した減算データＤ３を出力し得るようになされている。

【００４３】なお、このようにしてクロストーク成分を
キヤンセルする場合、順次連続して再生デイジタル信号
Ｄ１を処理することにより、減算データＤ３に最初の記
録トラックの記録データ成分がいつまでも残存する結果
となる。ところが減算データＤ３に含まれる最初の記録
トラックの記録データａ₀ においては、値ｒが１よりも
小さな値であるので、（５）式に示したように走査を繰
り返すたびに順次級数的に信号レベルを低減し得、これ
により実用上充分な範囲でクロストークの影響を低減す
ることができる。かくして当該デイジタルオーデイオテ
ープレコーダ２０においては、減算データＤ３を１記録
トラック周期だけ保持してクロストーク成分をキヤンセ
ルすることにより、確実に再生データを復調し得、その
分全体のエラーレートを向上することができる。

【００４４】（３）エラー伝搬の防止 ところでこのようにしてクロストーク成分をキヤンセル
する場合、例えばドロツプアウト、ヘツドクロツグ等に
より、一旦再生デイジタル信号Ｄ１にエラーが発生する
と、続く記録トラツクについても、減算データＤ３にエ
ラーが伝搬する。このためこの実施例においては、記録
時、所定周期でエラー伝搬防止用の記録トラツク（以下
同期トラツクと呼ぶ）を形成することにより、この種の
エラー伝搬を未然に防止するようになされている。

【００４５】すなわち図９に示すように、デイジタルオ
ーデイオテープレコーダ２０においては、記録時、所定
周期毎に（この実施例においては数十トラツク毎に）、
１記録トラツク周期の期間の間、磁気ヘツド２Ａ又は２
Ｂへの記録電流の供給を停止制御し、これにより当該周
期で、トラツク幅が２トラツクピツチ２Ｔ_P の同期トラ
ツクＴＢＢを形成する。

【００４６】さらにデイジタルオーデイオテープレコー
ダ２０においては、当該同期トラツクＴＢＢの走査開始
端側の所定領域に識別データを記録し、これにより再生
時、当該同期トラツクＴＢＢを検出し得るようにする。
これに対応して識別データ検出回路４６は、当該識別デ
ータが検出されると、当該検出結果ＤＨを基準信号生成
回路２６及びメモリ回路４２に出力する。

【００４７】基準信号生成回路２６は、当該検出結果Ｄ
Ｈに基づいてサンプルホールドパルスの出力を停止制御
し、これによりデイジタルオーデイオテープレコーダ２
０は、記号Ａ、Ｂ、Ｃで示すように磁気ヘツド２Ａ又は
２Ｂが同期トラツクＴＢＢを走査する期間の間、直前の
トラツキングエラー信号ＳＥＲ１を基準にしてトラツキ
ング制御する。

【００４８】メモリ回路４２は、当該検出結果ＤＨに基
づいて、記号Ｂで示すように、磁気ヘツド２Ａ又は２Ｂ
が同期トラツクＴＢＢだけを走査する期間の間、出力デ
ータＤ２の出力を停止制御する。これによりデイジタル
オーデイオテープレコーダ２０においては、磁気ヘツド
２Ａ又は２Ｂが同期トラツクＴＢＢだけを走査する期間
の間、減算回路３９を介して再生デイジタル信号Ｄ１が
直接出力され、ドロツプアウト、ヘツドクロツグ等によ
りエラー伝搬が発生した場合でも、当該同期トラツクＴ
ＢＢを境にしてエラー伝搬を防止することができる。

【００４９】さらに当該同期トラツクＴＢＢにおいて
は、トラツク幅Ｔ_W が他の記録トラツクの２倍に設定さ
れていることにより、他の記録トラツクに比して６〔d
B〕信号レベルの大きな再生信号Ｓ１を得ることがで
き、その分同期トラツクＴＢＢの再生信号Ｓ１について
エラーレートを向上することができる。かくして所定周
期毎に同期トラツクＴＢＢを形成し、当該同期トラツク
ＴＢＢでクロストークのキヤンセル動作を停止制御する
ことにより、当該同期トラツクＴＢＢを境にしてエラー
伝搬を防止し得、その分全体的にエラーレートを向上す
ることができる。

【００５０】（４）位相合わせ ところで、このようにしてクロストーク成分をキヤンセ
ルする場合、デイジタルオーデイオテープレコーダ２０
においては、再生デイジタル信号Ｄ１に対して対応する
出力データＤ２を正しく位相合わせする必要がある。と
ころがこの種のデイジタルオーデイオテープレコーダ２
０においては、回転ドラム上に搭載された２つの磁気ヘ
ツドを交互に用いて記録トラツクを形成することから、
一定のタイミングで再生デイジタル信号Ｄ１から出力デ
ータＤ２を減算すると、正しく位相合わせした状態で減
算することが困難になる。

【００５１】すなわち、隣接する記録トラツクＴＡ、Ｔ
Ｂにおいては、記録トラツクの長手方向に１〔μmm〕記
録トラツクの形成位置がずれただけでも、位相関係が狂
つてしまう特徴がある。このためデイジタルオーデイオ
テープレコーダ２０においては、図１０に示すように、
記録時、位相合わせ用の同期信号を記録し、当該同期信
号を用いて位相合わせする。

【００５２】すなわちデイジタルオーデイオテープレコ
ーダ２０においては、各記録トラツクＴＡ、ＴＢの走査
開始端側の所定領域ＡＲＨに単一周波数の同期信号を記
録する。さらにデイジタルオーデイオテープレコーダ２
０においては、記録時、先行して記録した記録トラツク
ＴＢの同期信号記録領域ＡＲＨを磁気ヘツド２Ａ、２Ｂ
が続いて走査するタイミングで記録信号の供給を停止制
御し、これにより同期信号記録領域ＡＲＨに隣接する領
域ＡＲＮで記録動作を停止する。

【００５３】これに対応して再生時、デイジタルオーデ
イオテープレコーダ２０は、識別データ検出回路４６で
当該同期信号を検出する。この場合デイジタルオーデイ
オテープレコーダ２０においては、隣接する２つの記録
トラツクを同時に走査するように磁気ヘツド２Ａ、２Ｂ
を駆動することにより、図１１に示すように、再生信号
Ｓ１においては、目的トラツクについて同期信号ＳＢが
得られた後、先行側の記録トラツクから同期信号ＳＡが
得られる（図１１（Ａ））。

【００５４】これにより識別データ検出回路２６は、当
該同期信号ＳＢ及びＳＡの検出結果ＤＰＨを位相制御回
路４８に出力し、当該位相制御回路４８は当該検出結果
ＤＰＨに基づいてメモリ回路４２の読出のタイミングを
制御する。すなわち位相制御回路４８は、再生デイジタ
ル信号Ｄ１の目的トラツクの同期信号ＳＡと出力データ
Ｄ２の後行する記録トラツクの同期信号ＳＢについて、
タイミングが一致するようにメモリ回路４２のタイミン
グを制御し（図１１（Ｂ））、これにより再生デイジタ
ル信号Ｄ１に対して正しく位相合わせした出力データＤ
２を生成し、確実にクロストーク成分をキヤンセルす
る。

【００５５】かくしてデイジタルオーデイオテープレコ
ーダ２０においては、各記録トラツクに記録した同期信
号を基準にして、出力データＤ２のタイミングを制御す
ることにより、正しく位相合わせした出力データＤ２を
再生デイジタル信号Ｄ１から減算することができる。従
つてデイジタルオーデイオテープレコーダ２０において
は、確実にクロストーク成分をキヤンセルすることがで
き、これにより全体としてエラーレートを向上すること
ができる。

【００５６】（５）実施例の動作 以上の構成において、磁気ヘツド２Ａ、２Ｂから出力さ
れる再生信号Ｓ１は、パイロツト信号検出回路２２でパ
イロツト信号の信号レベルが検出され、それぞれ先行す
る記録トラツク、後行する記録トラツク、目的トラツク
毎に、サンプルホールド回路２８〜３０に当該信号レベ
ルがサンプルホールドされる。

【００５７】各サンプルホールド回路２８〜３０のサン
プルホールド結果Ｓ２、Ｓ３、Ｓ５は、減算回路３２で
先行及び後行する記録トラツク間について減算された
後、加算回路３４で当該減算結果が目的トラツク分と加
算され、これにより磁気ヘツド２Ａ、２Ｂの後行側端面
が目的トラツクの後行側端面と一致する状態で信号レベ
ルが最大値に立ち上がるトラツキングエラー信号ＳＥＲ
１が生成される。

【００５８】これにより当該デイジタルオーデイオテー
プレコーダ２０においては、当該トラツキングエラー信
号ＳＥＲ１が最大値になるように磁気テープ４０の走行
速度を制御し、トラツクセンタに対して磁気ヘツド２
Ａ、２Ｂが所定量だけ先行側にオフセツトした状態で再
生信号Ｓ１を再生し、隣接トラツクからの影響を低減す
ることができる。

【００５９】さらに再生信号Ｓ１は、アナログデイジタ
ル変換回路３６で再生デイジタル信号Ｄ１に変換された
後、メモリ回路３８を介して出力される。このとき減算
回路３９を介して出力される減算データＤ３は、重み付
け回路４４で所定量だけ重み付けされた後、メモリ回路
４２で約１記録トラツク周期だけ遅延されて再生デイジ
タル信号Ｄ１から減算され、これによりクロストークを
キヤンセルして確実に再生デイジタル信号Ｄ１を復調す
ることができる。

【００６０】さらに再生信号Ｓ１は、識別データ検出回
路４６に出力され、ここで同期トラツクＴＢＢが検出さ
れる。これにより同期トラツクＴＢＢにおいて、サンプ
ルホールド回路２８〜３０のサンプルホールド動作が停
止制御され、直前のトラツキングエラー信号ＳＥＲ１を
基準にしてトラツキング制御されると共に、磁気ヘツド
２Ａ、２Ｂが同期トラツクＴＢＢだけを走査する期間の
間、出力データＤ２の出力が停止制御される。

【００６１】これにより磁気ヘツド２Ａ、２Ｂが同期ト
ラツクＴＢＢだけを走査する期間の間、クロストークの
キヤンセル動作が停止制御され、当該同期トラツクＴＢ
Ｂを境にしてエラー伝搬を防止することができ、確実に
再生デイジタル信号Ｄ１を復調することができる。

【００６２】さらに再生信号Ｓ１においては、識別デー
タ検出回路４６で同期信号が検出され、当該同期信号を
基準にして出力データＤ２のタイミングが制御される。
これによりデイジタルオーデイオテープレコーダ２０に
おいては、再生デイジタル信号Ｄ１に対して正しい位相
に保持された出力データＤ２を減算し得、確実にクロス
トーク成分をキヤンセルすることができる。

【００６３】以上の構成によれば、トラツクセンタに対
して先行側に所定量だけ磁気ヘツド２Ａ、２Ｂをオフセ
ツトしてトラツキング制御することにより、従来に比し
て隣接トラツクからの影響を低減し得、その分エラーレ
ートを向上することができる。

【００６４】（７）他の実施例 なお上述の実施例においては、磁気ヘツドを先行側にオ
フセツトする場合について述べたが、本発明はこれに限
らず、必要に応じて後行側にオフセツトするようにして
もよい。

【００６５】さらに上述の実施例においては、記録トラ
ツクの端面と磁気ヘツドの端面とが一致するように磁気
ヘツドをオフセツトする場合について述べたが、本発明
はこれに限らず、目的トラツクから逸脱しない範囲で必
要に応じてオフセツト量を自由に選定することができ
る。

【００６６】さらに上述の実施例においては、メモリ回
路を用いて減算データを遅延させる場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、必要に応じてシフトレジス
タを用いる等種々の遅延手段を広く適用することができ
る。

【００６７】さらに上述の実施例においては、識別デー
タを基準にして同期トラツクを検出する場合について述
べたが、本発明はこれに限らず、例えば再生信号Ｓ１の
信号レベルを基準にして同期トラツクを検出する等、種
々の検出方法を広く適用することができる。

【００６８】さらに上述の実施例においては、トラツク
ピツチに対して磁気ヘツドのヘツド幅を２倍に設定した
場合について述べたが、本発明はこれに限らず、要はト
ラツクピツチに対してヘツド幅を広く設定すればよく、
必要に応じてヘツド幅を種々の値に自由に選定すること
ができる。

【００６９】さらに上述の実施例においては、数十トラ
ツク毎に同期トラツクを形成する場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、必要に応じて数百トラツク
毎等、自由に形成することができる。

【００７０】さらに上述の実施例においては、専用の同
期信号を基準にして位相合わせする場合について述べた
が、本発明はこれに限らず、トラツキング制御用のパイ
ロツト信号等を位相合わせに共用してもよい。

【００７１】さらに上述の実施例においては、本発明を
デイジタルオーデイオテープレコーダに適用する場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、磁気テープ上
に形成した記録トラツクから種々の信号を再生する磁気
再生装置に広く適用することができる。

【００７２】

【発明の効果】上述のように本発明によれば、目的とす
る記録トラックＴＡの他に、先行する記録トラックＴＢ
又は後続する記録トラックＴＢのいずれか一方にだけ磁
気ヘッド２Ａ、２Ｂを走査させることにより、磁気ヘッ
ド２Ａ、２Ｂと隣接した先行又は後続の記録トラックＴ
Ｂとのアジマス損失を大きくしてエラーレートを向上さ
せると共に、磁気ヘッド２Ａ、２Ｂを走査させたことに
より得られる出力データＤ１から、当該出力データＤ１
を１記録トラック周期だけ遅延させると共にクロストー
クを低減する重み付け処理の施された出力データＤ２を
減算して出力することにより、磁気ヘッド２Ａ、２Ｂで
走査した先行又は後続の記録トラックＴＢによるクロス
トークの影響を低減して一段とエラーレートを向上する
ことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例によるデイジタルオーデイオ
テープレコーダを示すブロツク図である。

【図２】その磁気テープの記録フオーマツトを示す略線
図である。

【図３】磁気ヘツドのオフセツトを示す略線図である。

【図４】パイロツト信号の信号レベルの変化を示す信号
波形図である。

【図５】トラツキングエラー信号を示す信号波形図であ
る。

【図６】隣接トラツクの影響を示す特性曲線図である。

【図７】エラーレートの変化を示す特性曲線図である。

【図８】トラツクピツチを小さくした場合の隣接トラツ
クの影響を示す特性曲線図である。

【図９】同期トラツクの説明に供する略線図である。

【図１０】同期信号の記録の説明に供する略線図であ
る。

【図１１】位相合わせの説明に供する信号波形図であ
る。

【図１２】従来のデイジタルオーデイオテープレコーダ
を示すブロツク図である。

【符号の説明】

１、２０……デイジタルオーデイオテープレコーダ、
２、２Ａ、２Ｂ……磁気ヘツド、２２……パイロツト信
号検出回路、２６……基準信号生成回路、２８、２９、
３０……サンプルホールド回路、３２、３９……減算回
路、３４……加算回路、３８、４２……メモリ回路、４
０……磁気テープ、４６……識別データ検出回路、４８
……位相制御回路。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】磁気テープ上に斜めに形成された記録トラ
   ックの幅よりも広いヘッド幅で上記記録トラックを走査
   する磁気ヘッドと、 上記磁気ヘッドが上記記録トラックを走査することによ
   り得られる出力信号に基づいてサンプルホールドパルス
   を生成するサンプルホールドパルス生成回路と、 上記出力信号から上記記録トラックに記録されたトラッ
   キング制御用のパイロット信号を抽出する抽出回路と、 上記抽出回路によって抽出された目的とする記録トラッ
   クのパイロット信号を上記サンプルホールドパルス生成
   回路から供給される上記サンプルホールドパルスに基づ
   いてサンプルホールする第１のサンプルホールド回路
   と、 上記抽出回路によって抽出された上記目的とする記録ト
   ラックに先行した記録トラックのパイロット信号を上記
   サンプルホールドパルスに基づいてサンプルホールする
   第２のサンプルホールド回路と、 上記抽出回路によって抽出された上記目的とする記録ト
   ラックに後続する記録トラックのパイロット信号を上記
   サンプルホールドパルスに基づいてサンプルホールする
   第３のサンプルホールド回路と、 上記先行した記録トラックのパイロット信号と上記後続
   する記録トラックのパイロット信号との差分信号に対し
   て、上記目的とする記録トラックのパイロット信号を加
   算することによりトラッキングエラー信号を生成する演
   算処理回路と、 上記トラッキングエラー信号に基づいて
   キャプスタンモータを駆動することにより、上記目的と
   する記録トラックの他に上記先行する記録トラック又は
   上記後続する記録トラックのいずれか一方にだけ上記磁
   気ヘッドを走査させる駆動回路と、 上記駆動回路によって上記磁気ヘッドを走査させたこと
   により得られる再生信号をディジタルデータに変換する
   ことにより再生ディジタルデータを生成するアナログデ
   ィジタル変換回路と、 上記再生ディジタルデータを所定時間保持して出力する
   遅延回路と、 上記再生ディジタルデータを１記録トラック周期だけ遅
   延させると共に、当該再生ディジタルデータのクロスト
   ークを低減する重み付け処理を施す遅延重付回路と、 上記遅延回路の出力データから上記遅延重付回路の出力
   データを減算することにより上記クロストークを低減す
   る減算回路と を具える ことを特徴とする磁気再生装置。